(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの点検運転と通常運転とを切り替えて実行可能な制御装置と、前記制御装置に接続され、前記エレベータの点検作業を行うための複数の作業場所の各々に設置される第1コネクタと、前記第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、前記制御装置に前記点検運転を実行させるか前記通常運転を実行させるかを選択する選択操作を受け付ける選択操作受付部と、前記点検運転を実行中の前記制御装置に前記エレベータのかごを上昇させる上昇操作を受け付ける上昇操作受付部と、前記点検運転を実行中の前記制御装置に前記かごを下降させる下降操作を受け付ける下降操作受付部と、前記かごを緊急停止させる緊急停止操作を受け付ける緊急停止操作受付部と、を備える、携帯可能な端末装置と、前記第1コネクタに接続可能に構成され、前記第1コネクタに接続された状態で、前記制御装置に前記通常運転を実行させるための第1信号を伝達する第1伝達経路の一部を構成する第3コネクタと、を備え、前記第1コネクタは、前記第1伝達経路に接続される第1端子と、前記点検運転を実行中の前記制御装置に前記かごを上昇させるための第2信号を伝達する第2伝達経路に接続される第2端子と、前記点検運転を実行中の前記制御装置に前記かごを下降させるための第3信号を伝達する第3伝達経路に接続される第3端子と、を備え、前記端末装置は、前記第1コネクタに接続された状態で、前記選択操作、前記上昇操作、および前記下降操作に応じて、前記第1端子および前記第1伝達経路を介して前記第1信号が伝達される状態と、前記第2端子および前記第2伝達経路を介して前記第2信号が伝達される状態と、前記第3端子および前記第3伝達経路を介して前記第3信号が伝達される状態と、を切り替える、エレベータの点検システム。
前記第1コネクタは、当該第1コネクタの設置場所に対応するように設けられ、前記制御装置に前記設置場所を通知するための第4信号を伝達する第4伝達経路に接続される第4端子を備え、前記第2コネクタは、前記第4端子に接続可能な複数の端子を備え、前記端末装置は、前記第1コネクタに接続された状態で、前記第4端子および前記第4伝達経路を介して前記第4信号が伝達可能になるように、前記選択操作に応じて、前記複数の端子のうちの1つと前記第4端子とを接続する、請求項1に記載のエレベータの点検システム。
前記端末装置は、警報を出力可能な警報出力部をさらに備え、前記制御装置は、前記複数の作業場所のうちの少なくとも2つの作業場所から前記第4信号が伝達された場合に、前記警報出力部に前記警報を出力させる、請求項2に記載のエレベータの点検システム。
前記かごのドアの開閉を制御する開閉制御装置をさらに備え、前記端末装置は、前記開閉制御装置に前記ドアを開けさせる開操作を受け付ける開操作受付部と、前記開閉制御装置に前記ドアを閉じさせる閉操作を受け付ける閉操作受付部と、をさらに備え、前記第1コネクタは、前記開閉制御装置に前記ドアを開けさせるための第5信号を伝達する第5伝達経路に接続される第5端子と、前記開閉制御装置に前記ドアを閉じさせるための第6信号を伝達する第6伝達経路に接続される第6端子と、をさらに備え、前記端末装置は、前記第1コネクタに接続された状態で、前記開操作および前記閉操作に応じて、前記第5端子および前記第5伝達経路を介して前記第5信号が伝達される状態と、前記第6端子および前記第6伝達経路を介して前記第6信号が伝達される状態と、を切り替える、請求項1に記載のエレベータの点検システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態の構成について説明する。第1実施形態の技術は、建物に設置される昇降機(エレベータ)の据え付け調整時や保守作業時に必要となる点検作業を行うためのシステムに適用される。
【0010】
図1は、第1実施形態によるエレベータ1の点検システム100の概略的な構成を示した例示的な図である。
図1に示されるように、第1実施形態によるエレベータ1は、複数の乗場2を有した建物に設けられる昇降路3内を昇降可能な乗りかご4と、つり合おもりとしてのカウンタウェイト5と、をメインロープ6で連結した、いわゆるつるべ式のエレベータである。
【0011】
メインロープ6は、昇降路3内の上部に設けられた巻上機7に掛けられる。巻上機7は、たとえば、動力を発生させる電動機(モータ)を有し、当該電動機の動力により、メインロープ6を巻き上げる。
【0012】
乗りかご4は、かご内操作盤8と、かごドア9と、を備える。かご内操作盤8は、乗りかご4内で行先階登録操作などを受け付けるように構成される。また、かごドア9は、乗りかご4と昇降路3とを分離するように設けられる。
【0013】
また、乗場2と昇降路3とは、乗場ドア10によって分離されている。乗場ドア10の近傍には、乗場2で乗りかご4の呼び登録操作などを受け付ける乗場操作盤11が設けられている。なお、
図1には、乗場2が3つ存在する例が図示されているが、乗場2の数は3つに制限されるものではない。
【0014】
ここで、
図1の例では、昇降路3内に、エレベータ1の動作を制御する制御盤12が設けられている。制御盤12は、「制御装置」の一例である。制御盤12は、エレベータ1の点検運転を実行可能な点検運転制御部12aを備える。これにより、制御盤12は、エレベータ1の点検運転と通常運転とを切り替えて実行可能に構成されている。点検運転とは、作業者による点検作業時に実行される運転モードであり、たとえば乗りかご4の昇降速度などが通常運転時よりも低く制限された運転モードである。
【0015】
一般に、点検作業は、乗場2や、乗りかご4内、乗りかご4の上、昇降路3のピット内などといった複数の作業場所で行われる。したがって、第1実施形態では、制御盤12は、乗りかご内に設けられたかご内操作盤8と、乗りかご4上に設けられたかご上配線分岐箱13とに、テールコード14を介して接続されている。また、制御盤12は、乗場2に設けられた乗場操作盤11と、昇降路3のピット内に設けられたピット配線分岐箱15とに、昇降路配線16を介して接続されている。
【0016】
従来では、上述した複数の作業場所の各々に、点検作業のための専用の点検装置を固定的に設置し、当該点検装置を操作することで点検作業を行う技術が提案されていた。しかしながら、このような技術では、点検装置の近傍でしか、点検作業のための各種点検操作(非常時の緊急停止操作を含む)を行うことができないため、作業性および安全性が損なわれることがあった。
【0017】
そこで、第1実施形態では、各種点検操作(非常時の緊急停止操作を含む)の入力を携帯可能な端末装置200を介して行うことを可能にし、複数の作業場所の各々には、当該端末装置200を接続するための接続インターフェースのみを設けることにした。
【0018】
図2は、第1実施形態による端末装置200の構成を示した例示的な図である。
図2に示されるように、端末装置200は、複数の作業場所(より具体的にはかご内操作盤8、乗場操作盤11、かご上配線分岐箱13、およびピット配線分岐箱15)の各々に設けられる接続インターフェースとしての第1コネクタ201に接続可能な第2コネクタ202を備える。なお、第1コネクタ201は、端末装置200の第2コネクタ202が接続されない場合、第3コネクタ203が接続されるように構成されている。
【0019】
端末装置200は、各種点検操作の入力を受け付ける入力受付部を備える。より具体的に、端末装置200は、選択スイッチ211と、上昇ボタン212と、下降ボタン213と、運転ボタン214と、緊急停止スイッチ215と、を備える。
【0020】
選択スイッチ211は、制御盤12に点検運転を実行させるか通常運転を実行させるかを選択する選択操作を受け付ける選択操作受付部として機能する。上昇ボタン212は、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を上昇させる上昇操作を受け付ける上昇操作受付部として機能する。下降ボタン213は、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を下降させる下降操作を受け付ける下降操作受付部として機能する。
【0021】
運転ボタン214は、上昇ボタン212および下降ボタン213にそれらの機能を発揮させるためのトリガとなるボタンである。つまり、第1実施形態では、選択スイッチ211を点検運転側に切り替え、かつ運転ボタン214を押下した状態で、上昇ボタン212を押下した場合に、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を上昇させることが可能になる。また、第1実施形態では、選択スイッチ211を点検運転側に切り替え、かつ運転ボタン214を押下した状態で、下降ボタン213を押下した場合に、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を下降させることが可能になる。
【0022】
緊急停止スイッチ215は、乗りかご4を緊急停止させる緊急停止操作を受け付ける緊急停止操作受付部として機能する。緊急停止スイッチ215は、作業者の誤操作やエレベータ1の誤動作などが発生した非常時に使用される。乗りかご4の緊急停止は、制御盤12とは別個に設けられる後述の安全装置400(
図4参照)によって実現される。
【0023】
以下、端末装置200の操作に応じて実現される動作について、回路構成を参照しながら説明する。
【0024】
まず、選択スイッチ211、上昇ボタン212、下降ボタン213、および運転ボタン214の操作に応じて実現される動作について説明する。
【0025】
図3は、第1実施形態による端末装置200を含んだ点検システム100の概略的な回路構成を示した例示的な図である。
図3の例では、作業場所が4箇所、すなわち第1コネクタ201が4つ存在し、これら4つの第1コネクタ201のうちの1つに端末装置200(第2コネクタ202)が接続され、残りの3つの第1コネクタ201には第3コネクタ203が接続されている。
【0026】
図3に示されるように、第1実施形態による点検システム100では、制御盤12は、複数の信号入力部301〜303を備える。そして、制御盤12は、これら複数の信号入力部301〜303のうちのどの信号入力部から信号が入力されたかに応じて、通常運転(NORMAL)と、点検運転中における乗りかご4の上昇(UP)と、点検運転中における乗りかご4の下降(DOWN)と、を切り替えて実行する。
【0027】
図3の例では、信号入力部301は、制御盤12に通常運転を実行させるための第1信号を伝達する第1伝達経路C1に接続されている。また、信号入力部302は、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を上昇させるための第2信号を伝達する第2伝達経路C2に接続されている。また、信号入力部303は、点検運転を実行中の制御盤12に乗りかご4を下降させるための第3信号を伝達する第3伝達経路C3に接続されている。なお、以下では、説明の便宜上、第1伝達経路C1、第2伝達経路C2、および第3伝達経路C3で伝達される信号をそれぞれ第1信号、第2信号、および第3信号として区別するが、これら第1信号、第2信号、および第3信号は、いずれも、制御盤12の信号出力部(不図示)から信号出力経路C0を介して出力される同一の信号である。また、以下では、第1信号を通常運転信号、第2信号を上昇信号、第3信号を下降信号として記載することがある。
【0028】
ここで、第1実施形態では、第1コネクタ201は、信号出力経路C0側に設けられる端子T100と、第1伝達経路C1に接続される第1端子T101と、第2伝達経路C2に接続される第2端子T102と、第3伝達経路C3に接続される第3端子T103と、を備える。そして、端末装置200は、第1コネクタ201に接続された状態で、上述した選択操作、上昇操作、および下降操作に応じて、第1端子T101および第1伝達経路C1を介して第1信号が伝達される状態と、第2端子T102および第2伝達経路C2を介して第2信号が伝達される状態と、第3端子T103および第3伝達経路C3を介して第3信号が伝達される状態と、を切り替える。なお、以下では、簡単化のため、第1端子T101を単に端子T101、第2端子T102を単に端子T102、第3端子T103を単に端子T103と記載する場合がある。
【0029】
より具体的に、第1実施形態では、端末装置200の第2コネクタ202は、第1コネクタ201の上記4つの端子T100〜T103に対応した4つの端子T200〜T203を備える。そして、端末装置200は、これら4つの端子T200〜T203の接続関係を、選択操作、上昇操作、および下降操作に応じて切り替えることで、通常運転と、点検運転中における乗りかご4の上昇と、点検運転中における乗りかご4の下降と、を制御盤12に切り替えて実行させる。
【0030】
たとえば、選択スイッチ211が通常運転側に切り替えられた場合、端末装置200は、端子T200と端子T201とを接続することで、信号出力経路C0の信号が、端子T100、T200、T201、T101、および第1伝達経路C1を介して制御盤12の信号入力部301に入力される状態を生成する。これにより、通常運転が実現される。
【0031】
また、選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられ、かつ運転ボタン214が押下された状態で、上昇ボタン212が押下された場合、端末装置200は、端子T200と端子T202とを接続することで、信号出力経路C0の信号が、端子T100、T200、T202、T102、および第2伝達経路C2を介して制御盤12の信号入力部302に入力される状態を生成する。これにより、点検運転中における乗りかご4の上昇が実現される。
【0032】
同様に、選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられ、かつ運転ボタン214が押下された状態で、下降ボタン213が押下された場合、端末装置200は、端子T200と端子T203とを接続することで、信号出力経路C0の信号が、端子T100、T200、T203、T103、および第3伝達経路C3を介して制御盤12の信号入力部303に入力される状態を生成する。これにより、点検運転中における乗りかご4の下降が実現される。
【0033】
ここで、第1実施形態では、第3コネクタ203は、第1コネクタ201に接続された状態で、制御盤12に通常運転を実行させるための第1信号を伝達する第1伝達経路C1の一部を構成する。すなわち、第1実施形態では、第3コネクタ203が、第1コネクタ201の2つの端子T100およびT101に対応する2つの端子T300およびT301を備え、これら2つの端子T300およびT301が、短絡されている。
【0034】
第1実施形態では、全ての第1コネクタ201に第3コネクタ203が接続された場合に、信号出力経路C0に接続される一つながりの第1伝達経路C1が構成されるようになっている。これにより、第1実施形態では、たとえば複数の第1コネクタ201に複数の端末装置200が同時に接続されている場合に、信号出力経路C0に近い側(制御盤12から遠い側)の端末装置200の選択スイッチ211が通常運転側に切り替えられた場合でも、信号出力経路C0から遠い側(制御盤12に近い側)の端末装置200の選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられた場合には、通常運転が実行されなくなる。したがって、第1実施形態によれば、端末装置200を用いた点検作業が複数の作業場所で同時に行われる場合に、どの作業場所からの要求を優先して実現するかを表す優先順位を設けることができるので、安全性を向上させることができる。
【0035】
次に、緊急停止スイッチ215の操作に応じて実現される動作について説明する。
【0036】
図4は、第1実施形態による端末装置200を含んだ安全装置400の回路構成を示した例示的な図である。
図4に示されるように、安全装置400は、安全回路401と、電磁接触器402と、を備える。電磁接触器402は、安全回路401の動作などに応じて巻上機7による動力の供給を遮断し、乗りかご4を停止させる。
【0037】
ここで、第1実施形態では、第1コネクタ201は、上述した4つの端子T100〜T103に加えて、電磁接触器402の配線経路C400上に設けられる端子T104およびT105を備える。そして、端末装置200は、第1コネクタ201に接続された状態で、緊急停止スイッチ215の操作に応じて、配線経路C400が導通された状態と、配線経路C400が遮断された状態と、を切り替える。
【0038】
より具体的に、第1実施形態では、端末装置200の第2コネクタ202は、第1コネクタ201の上記2つの端子T104およびT105に対応した2つの端子T204およびT205を備える。そして、端末装置200は、これら2つの端子T204およびT205の接続関係を、緊急停止スイッチ215の操作に応じて切り替えることで、乗りかご4の緊急停止を実現する。
【0039】
たとえば、緊急停止スイッチ215が押下されていない場合、端末装置200は、端子T204と端子T205とが短絡された状態を継続するので、電磁接触器402は、巻上機7による動力の供給を停止することはない。しかしながら、緊急停止スイッチ215が押下された場合、端末装置200は、端子T204と端子T205との接続を遮断することで、電磁接触器402に巻上機7による動力の供給を遮断させる。これにより、乗りかご4の緊急停止が実現される。
【0040】
なお、第1実施形態では、第3コネクタ203は、第1コネクタ201に接続された状態で、電磁接触器402の配線経路C400の一部を構成する。すなわち、第1実施形態では、第3コネクタ203が、第1コネクタ201の上記2つの端子T104およびT105に対応する2つの端子T304およびT305を備え、これら2つの端子T304およびT305が、短絡されている。
【0041】
次に、第1実施形態において実行される制御処理について説明する。
【0042】
図5は、第1実施形態による点検システム100の制御盤12が実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0043】
図5に示されるように、第1実施形態による制御盤12は、まず、S501において、通常運転信号がOFFか否かを判断する。なお、前述したように、通常運転信号とは、選択スイッチ211が通常運転側に操作された状態で制御盤12の信号入力部301に第1伝達経路C1を介して入力される第1信号のことである。通常運転信号がOFFの状態は、信号入力部301に第1信号が入力されていない状態に対応する。
【0044】
上記のS501の処理は、通常運転信号がOFFであると判断されるまで、つまり選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられるまで繰り返される。そして、S501において、通常運転信号がOFFであると判断された場合、S502に処理が進む。
【0045】
S502において、制御盤12は、通常運転から点検運転に切り替える。そして、S503において、制御盤12は、上昇信号がONか否かを判断する。なお、前述したように、上昇信号とは、制御盤12の信号入力部302に第2伝達経路C2を介して入力される第2信号のことである。上昇信号がONの状態は、信号入力部302に第2信号が入力された状態に対応する。
【0046】
S503において、上昇信号がONであると判断された場合、S504に処理が進む。そして、S504において、制御盤12は、下降信号がONか否かを判断する。なお、前述したように、下降信号とは、制御盤12の信号入力部303に第3伝達経路C3を介して入力される第3信号のことである。下降信号がONの状態は、信号入力部303に第3信号が入力された状態に対応する。
【0047】
S504において、下降信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S505に処理が進む。この場合、乗りかご4の上昇が要求されていると判定することができる。したがって、この場合、S505において、制御盤12は、乗りかご4を上昇させる制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0048】
一方、S504において、下降信号がONであると判断された場合、S506に処理が進む。この場合、上昇信号も下降信号もONであると判断されているため、乗りかご4の上昇と下降とが同時に要求されているという不都合が発生している。したがって、S506において、制御盤12は、乗りかご4を上昇も下降もさせることなく停止させる制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0049】
なお、S503において、上昇信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S507に処理が進む。そして、S507において、制御盤12は、下降信号がONか否かを判断する。
【0050】
S507において、下降信号がONであると判断された場合、S508に処理が進む。この場合、乗りかご4の下降が要求されていると判定することができる。したがって、この場合、S508において、制御盤12は、乗りかご4を下降させる制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0051】
一方、S507において、下降信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S509に処理が進む。この場合、乗りかご4の上昇も下降も要求されていないことになる。したがって、S509において、制御盤12は、乗りかご4を上昇も下降もさせることなく停止させる制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態では、携帯可能な端末装置200が、点検作業時に必要な各種の操作入力を受け付ける操作受付部(選択スイッチ211や、上昇ボタン212、下降ボタン213、緊急停止スイッチ215など)を備えており、複数の作業場所の各々には、端末装置200(の第2コネクタ202)を接続可能な接続インターフェースとしての第1コネクタ201のみが設けられている。また、第1実施形態では、端末装置200が接続されていない第1コネクタ201には、第1コネクタ201に接続された状態で制御盤12に通常運転を実行させるための第1信号を伝達する第1伝達経路C1の一部を構成する第3コネクタ203が接続されている。これにより、点検作業時における作業性および安全性を向上させることができる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態と同様の構成に加えて、たとえば点検作業が行われている作業場所が暗い場合は照明を点けるなどといった、作業場所に応じた制御を実現するための構成を有する。以下では、第1実施形態と第2実施形態とで共通する構成、制御処理、および効果については、重複した説明をできるだけ省略する。
【0054】
まず、第2実施形態の構成について説明する。
【0055】
図6は、第2実施形態によるエレベータ601の点検システム600の概略的な構成を示した例示的な図である。
図6に示されるように、第2実施形態では、点検作業を行うには比較的暗い場所(乗りかご4の上およびピット内)に、照明装置613および615が設けられる。照明装置613および615は、制御盤612の制御のもとで点灯および消灯される。
【0056】
また、第2実施形態では、乗場ドア10の安全スイッチとしてのインターロックスイッチ610が設けられている。インターロックスイッチ610は、制御盤612の制御のもとで動作する。インターロックスイッチ610が解除されると、乗場ドア10を手動で開閉することが可能になる。
【0057】
ここで、第2実施形態では、端末装置200aを用いた点検作業が行われている場所が制御盤612に通知される。そして、制御盤612は、点検作業が行われている場所の近傍に設けられる構成に対して、当該場所に応じた制御を実行する。
【0058】
たとえば、制御盤612は、端末装置200aを用いた点検作業が乗りかご4内で行われている場合、つまり端末装置200aがかご内操作盤8の第1コネクタ201aに接続されている場合、乗場操作盤11を介した呼び登録操作などの入力をキャンセルする制御を実行する。これにより、点検作業中に乗場操作盤11を介した呼び登録操作に応じて乗りかご4が昇降するのを防止することができるので、安全性がより向上する。
【0059】
また、制御盤612は、端末装置200aを用いた点検作業が乗りかご4の上で行われている場合、つまり端末装置200aがかご上配線分岐箱13の第1コネクタ201aに接続されている場合、照明装置613を点灯させる制御を実行する。同様に、制御盤612は、端末装置200aを用いた点検作業がピット内で行われている場合、つまり端末装置200aがピット配線分岐箱15の第1コネクタ201aに接続されている場合、照明装置615を点灯させる制御を実行する。これにより、比較的暗い乗りかご4の上およびピット内が明るくなるので、作業性がより向上する。
【0060】
また、制御盤612は、端末装置200aを用いた点検作業が乗場2で行われている場合、つまり端末装置200aが乗場操作盤11の第1コネクタ201aに接続されている場合、インターロックスイッチ610を解除する制御を実行する。これにより、乗場ドア10を手動で開閉することが可能になるので、作業性がより向上する。
【0061】
図7は、第2実施形態による端末装置200aを含んだ点検システム600の概略的な回路構成を示した例示的な図である。
図7の例では、作業場所が4箇所、すなわち第1コネクタ201aが4つ存在し、これら4つの第1コネクタ201aのうちの1つのみに端末装置200a(第2コネクタ202a)が接続されている。以下では、作業場所が、乗りかご4の上と、ピット内と、乗場2と、および乗りかご4内と、の4箇所であるものとする。
【0062】
図7に示されるように、第2実施形態による点検システム600では、制御盤612は、複数の作業場所に対応した複数の信号入力部701〜704を備える。そして、制御盤612は、これら複数の信号入力部701〜704に接続された複数の第4伝達経路C41〜C44を介して入力される第4信号の有無に基づき、端末装置200aを用いた点検作業が行われている作業場所を判定する。なお、第4信号とは、制御盤612の信号出力部(不図示)から信号出力経路C10を介して出力される信号である。
【0063】
制御盤612は、第4伝達経路C41を介して信号入力部701から第4信号が入力された場合、乗りかご4の上(CAR−INS)で点検作業が行われていると判定し、第4伝達経路C42を介して信号入力部702から第4信号が入力された場合、ピット内(PIT−INS)で点検作業が行われていると判定する。以下では、信号入力部701から入力される第4信号をかご上点検信号、信号入力部702から入力される第4信号をピット点検信号と記載することがある。
【0064】
また、制御盤612は、第4伝達経路C43を介して信号入力部703から第4信号が入力された場合、乗場2(HALL−INS)で点検作業が行われていると判定し、第4伝達経路C44を介して信号入力部704から第4信号が入力された場合、乗りかご4内(CAR−INS2)で点検作業が行われていると判定する。以下では、信号入力部703から入力される第4信号を乗場点検信号、信号入力部704から入力される第4信号をかご内点検信号と記載することがある。
【0065】
ここで、第2実施形態では、第1コネクタ201aは、当該第1コネクタ201aの設置場所に対応した第4端子T106、T107、T108、またはT109と、信号出力経路C10側に設けられる端子T110と、を備える。より具体的に、乗りかご4の上に設置される第1コネクタ201aは、第4伝達経路C41に接続される第4端子T106を備え、ピット内に設置される第1コネクタ201aは、第4伝達経路C42に接続される第4端子T107を備える。また、乗場2に設置される第1コネクタ201aは、第4伝達経路C43に接続される第4端子T108を備え、乗りかご4内に設置される第1コネクタ201aは、第4伝達経路C44に接続される第4端子T109を備える。なお、以下では、簡単化のため、第4端子T106〜T109を単に端子T106〜T109と記載する場合がある。
【0066】
端末装置200aの第2コネクタ202aは、上記の端子T106〜T110の全てに対応した端子T206〜T210を備える。これにより、端末装置200a(第2コネクタ202a)がどの第1コネクタ201aに接続された場合でも、端子T206〜T209のうちいずれか1つの端子が、対応する端子T106〜T109に接続される。そして、端末装置200aが第1コネクタ201aに接続された状態で選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられると、信号出力経路C10の信号が、端子T110と、端子T210と、端子T206〜T209のうちいずれか1つの端子と、対応する端子T106〜T109と、対応する第4伝達経路C41〜C44と、を介して制御盤612に伝達される。
【0067】
このようにして、第2実施形態では、端末装置200aが接続された第1コネクタ201aの設置場所、つまり端末装置200aを用いた点検作業が行われている作業場所を、制御盤612に通知することができる。
【0068】
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。たとえば、第2実施形態による制御盤612も、第1実施形態による信号入力部301〜304(
図3参照)と同様の構成を備えている。
【0069】
次に、第2実施形態において実行される制御処理について説明する。
【0070】
図8は、第2実施形態による点検システム600の制御盤612が実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0071】
図8に示されるように、第2実施形態による制御盤612は、まず、S801において、通常運転信号がOFFか否かを判断する。通常運転信号については第1実施形態において既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0072】
S801の処理は、通常運転信号がOFFであると判断されるまで、つまり選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられるまで繰り返される。そして、S801において、通常運転信号がOFFであると判断された場合、S802に処理が進む。
【0073】
S802において、制御盤612は、かご内点検信号がONか否かを判断する。前述したように、かご内点検信号とは、制御盤612の信号入力部704に、乗りかご4内に設置された第1コネクタ201aの端子T109から第4伝達経路C44を介して入力される第4信号である。かご内点検信号がONの状態は、信号入力部704に第4信号が入力されている状態に対応する。
【0074】
S802において、かご内点検信号がONであると判断された場合、S803に処理が進む。この場合、乗りかご4内の第1コネクタ601aに端末装置200aが接続されているので、乗りかご4内で点検作業が行われていると判定することができる。したがって、この場合、制御盤612は、S803において、乗場操作盤11の操作をキャンセルする。
【0075】
なお、S802において、かご内点検信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S803の処理はスキップされ、次の処理が実行される。
【0076】
S804において、制御盤612は、乗場点検信号がONか否かを判断する。前述したように、乗場点検信号とは、制御盤612の信号入力部703に、乗場2に設置された第1コネクタ201aの端子T108から第4伝達経路C43を介して入力される第4信号である。乗場点検信号がONの状態は、信号入力部703に第4信号が入力されている状態に対応する。
【0077】
S804において、乗場点検信号がONであると判断された場合、S805に処理が進む。この場合、乗場2の第1コネクタ601aに端末装置200aが接続されているので、乗場2で点検作業が行われていると判定することができる。したがって、この場合、制御盤612は、S805において、乗場ドア10のインターロックスイッチ610を解除する。
【0078】
なお、S804において、乗場点検信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S805の処理はスキップされ、次の処理が実行される。
【0079】
S806において、制御盤612は、ピット点検信号がONか否かを判断する。前述したように、ピット点検信号とは、制御盤612の信号入力部702に、ピット内に設置された第1コネクタ201aの端子T107から第4伝達経路C42を介して入力される第4信号である。ピット点検信号がONの状態は、信号入力部702に第4信号が入力されている状態に対応する。
【0080】
S806において、ピット点検信号がONであると判断された場合、S807に処理が進む。この場合、ピット内の第1コネクタ601aに端末装置200aが接続されているので、ピット内で点検作業が行われていると判定することができる。したがって、この場合、制御盤612は、S807において、ピット内の照明装置615を点灯する。
【0081】
一方、S806において、ピット点検信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S807の処理はスキップされ、次の処理が実行される。
【0082】
S808において、制御盤612は、かご上点検信号がONか否かを判断する。前述したように、かご上点検信号とは、制御盤612の信号入力部701に、乗りかご4上に設置された第1コネクタ201aの端子T106から第4伝達経路C41を介して入力される第4信号である。かご上点検信号がONの状態は、信号入力部701に第4信号が入力されている状態に対応する。
【0083】
S808において、かご上点検信号がONであると判断された場合、S809に処理が進む。この場合、乗りかご4上の第1コネクタ601aに端末装置200aが接続されているので、乗りかご4上で点検作業が行われていると判定することができる。したがって、この場合、制御盤612は、S809において、乗りかご4上の照明装置613を点灯する。そして、処理が終了する。
【0084】
一方、S808において、かご上点検信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S809の処理はスキップされ、処理が終了する。
【0085】
なお、S802およびS803の処理と、S804およびS805の処理と、S806およびS807の処理と、S808およびS809の処理と、の順番は、
図8に示された順序以外の順序で実行されてもよい。
【0086】
第2実施形態において実行されうるその他の制御処理は、第1実施形態と同様である。
【0087】
以上説明したように、第2実施形態では、複数の作業場所の各々に設置された第1コネクタ201aが、当該第1コネクタ201aの設置場所を制御盤612に通知するための第4信号を伝達する第4伝達経路C41〜C44のうちいずれか1つに接続される第4端子T106〜T109のうちいずれか1つを備えている。また、端末装置200aの第2コネクタ202aが、第4端子T106〜T109に接続可能な端子T206〜T209を備えている。そして、端末装置200aは、第1コネクタ201aに接続された状態で、選択スイッチ211を用いた選択操作に応じて、端子T206〜T209のうちいずれか1つと、第4端子T106〜T109のうちいずれか1つとを接続し、第4端子T106および第4伝達経路C41と、第4端子T107および第4伝達経路C42と、第4端子T108および第4伝達経路C43と、第4端子T109および第4伝達経路C44と、のうちいずれか1つの組み合わせを介して第4信号が制御盤612に伝達される状態を生成する。これにより、端末装置200aが接続された第1コネクタ201aの設置場所、つまり端末装置200aを用いた点検作業が行われている作業場所を制御盤612に通知することができる。その結果、作業場所に応じた制御を実行することができるので、作業性をより向上させることができる。
【0088】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0089】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、上述した第2実施形態と同様の構成に加えて、複数の作業場所で点検作業が行われている場合に、その旨を作業者に警報として通知するための構成を有する。以下では、第2実施形態と第3実施形態とで共通する構成、制御処理、および効果については、重複した説明をできるだけ省略する。
【0090】
まず、第3実施形態の構成について説明する。
【0091】
図9は、第3実施形態によるエレベータ901の点検システム900の概略的な構成を示した例示的な図である。
図9に示されるように、第3実施形態による点検システム900の制御盤912は、警報出力制御部912bを備える。警報制御部912bは、複数の作業場所の各々に設けられた第1コネクタ201bに接続可能な第2コネクタ202b(
図10参照)を有した端末装置200bに設けられる警報出力部216(
図10参照)を制御可能に構成される。これにより、制御盤912は、前述の信号入力部701〜704(
図7参照)のうち2以上から信号が入力された場合、つまり2以上の作業場所で点検作業が行われている場合に、当該点検作業に用いられている端末装置200bの警報出力部216を介して、作業者に警報を出力する。
【0092】
図10は、第3実施形態による端末装置200bの構成を示した例示的な図である。
図10に示されるように、端末装置200bは、2以上の作業場所で点検作業が行われている旨の警報を作業者に通知する音声を出力可能な警報出力部216を備える。警報出力部216は、制御盤912の制御のもとで動作する。なお、警報の出力形態は、音声に限らず、画像などの視覚的な形態であってもよいし、音声と画像とを併用した形態であってもよい。
【0093】
なお、第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0094】
次に、第3実施形態において実行される制御処理について説明する。
【0095】
図11は、第3実施形態による点検システム900の制御盤912が実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0096】
図11に示されるように、第3実施形態による制御盤912は、まず、S1101において、通常運転信号がOFFか否かを判断する。通常運転信号については第1実施形態において既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0097】
S1101の処理は、通常運転信号がOFFであると判断されるまで、つまり選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられるまで繰り返される。そして、S1101において、通常運転信号がOFFであると判断された場合、S1102に処理が進む。
【0098】
S1102において、制御盤912は、複数の点検信号のうち2以上がONになっているか否かを判断する。複数の点検信号とは、第2実施形態で説明したかご上点検信号、乗場点検信号、ピット点検信号、およびかご内点検信号の4つの信号である。
【0099】
S1102において、2以上の点検信号がONになっていると判断された場合、S1103に処理が進む。この場合、2以上の作業場所で端末装置200bを用いた点検作業が行われていると判定することができる。したがって、この場合、制御盤912は、S1103において、端末装置200bの警報出力部216を動作させるための信号を出力し、2以上の作業場所で点検作業が行われている旨の警報を、警報出力部216を介して作業者に通知する。そして、処理が終了する。
【0100】
なお、S1102において、2以上の点検信号がONになっていない、つまりONになっている点検信号が1つのみ、または全ての点検信号がOFFになっていると判断された場合、S1103の処理はスキップされ、処理が終了する。
【0101】
なお、第3実施形態において実行されうるその他の制御処理は、第2実施形態と同様である。
【0102】
以上説明したように、第3実施形態では、端末装置200bは、警報を出力可能な警報出力部216を備えており、制御盤912は、端末装置200bを用いた点検作業が行われている作業場所を通知するための第4信号が、複数の作業場所のうちの少なくとも2つの作業場所から伝達された場合に、当該点検作業に用いられている端末装置200bの警報出力部216に警報を出力させる。これにより、複数の場所で点検作業が行われていることを、当該点検作業を行っている作業員に通知することができるので、安全性をより向上させることができる。
【0103】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、上述した第1実施形態と同様の構成に加えて、点検作業時におけるかごドア9の開閉を実現するための構成を有する。以下では、第1実施形態と第4実施形態とで共通する構成、制御処理、および効果については、重複した説明をできるだけ省略する。
【0104】
まず、第4実施形態の構成について説明する。
【0105】
図12は、第4実施形態によるエレベータ1201の点検システム1200の概略的な構成を示した例示的な図である。
図12に示されるように、第4実施形態では、乗りかご4上に、かごドア9を開閉するための開閉制御装置1212が設けられている。開閉制御装置1212は、端末装置200cの第2コネクタ202c(
図13参照)が接続される第1コネクタ201cを有したかご上配線分岐箱13に接続されている。
【0106】
開閉制御装置1212は、端末装置200cからの要求に応じて、かごドア9を開閉する。ここで、かごドア9の開閉が必要となるケースは、複数の作業場所である乗場2、乗りかご4内、乗りかご4の上、およびピット内のうち、主に乗場2および乗りかご4の上での点検作業時である。したがって、第4実施形態では、乗場操作盤11と、かご上配線分岐箱13とに、かごドア9の開閉に関する端末装置200cからの要求を受け付け可能な第1コネクタ201cが設けられ、かご内操作盤8と、ピット配線分岐箱15とには、かごドア9の開閉に関する端末装置200cからの要求を受け付け不能な、第1実施形態と同様の第1コネクタ201が設けられている。
【0107】
図13は、第4実施形態による端末装置200cの構成を示した例示的な図である。
図13に示されるように、第4実施形態による端末装置200cは、戸開ボタン217と、戸閉ボタン218と、を備える。戸開ボタン217は、開閉制御装置1212にかごドア9を開けさせる開操作を受け付ける開操作受付部として機能し、戸閉ボタン218は、開閉制御装置1212にかごドア9を閉じさせる閉操作を受け付ける閉操作受付部として機能する。
【0108】
図14は、第4実施形態による端末装置200cを含んだ点検システム1200の概略的な回路構成を示した例示的な図である。
図14に示されるように、第4実施形態による点検システム1200では、開閉制御装置1212は、かごドア9を開ける旨の要求に対応した第5信号と、かごドア9を閉じる旨の要求に対応した第6信号と、の入力を受け付ける2つの信号入力部1401〜1402を備える。
【0109】
すなわち、開閉制御装置1212の信号入力部1401は、開閉制御装置1212にかごドア9を開けさせるための第5信号を伝達する第5伝達経路C5に接続され、開閉制御装置1212の信号入力部1402は、開閉制御装置1212にかごドア9を閉じさせるための第6信号を伝達する第6伝達経路C6に接続されている。なお、ここでは、第5信号と第6信号とを便宜上区別しているが、第5信号および第6信号は、いずれも、開閉制御装置1212の信号出力部(不図示)から信号出力経路C20を介して出力される同一の信号である。
【0110】
開閉制御装置1212は、第5伝達経路C5を介して信号入力部1401から第5信号(D−OPEN)が入力された場合、かごドア9を開く制御を実行し、第6伝達経路C6を介して信号入力部1402から第6信号(D−CLOSE)が入力された場合、かごドア9を閉じる制御を実行する。以下では、信号入力部1401から入力される第5信号を戸開信号と記載し、信号入力部1402から入力される第6信号を戸閉信号と記載することがある。
【0111】
ここで、第4実施形態では、第1コネクタ201cは、第5伝達経路C5に接続される第5端子T111と、第6伝達経路C6に接続される第6端子T112と、信号出力経路C20に接続される端子T113と、を備えている。なお、以下では、簡単化のため、第5端子T111を端子T111、第6端子T112を端子T112と記載する場合がある。
【0112】
端末装置200cの第2コネクタ202cは、上記の端子T111〜T113に対応した端子T211〜T213を備える。そして、端末装置200cは、戸開ボタン217および戸閉ボタン218の操作に応じて、端子T213と端子T211とを接続するか、端子T213と端子T212とを接続するか、を切り替える。
【0113】
すなわち、第4実施形態による端末装置200cは、第1コネクタ201cに接続された状態で戸開ボタン217を用いた開操作を受け付けた場合、端子T213と端子T211とを接続することで、信号出力経路C20の信号が端子T113、T213、T211、T111、および第5伝達経路C5を介して開閉制御装置1212の信号入力部1401に入力される状態を生成する。また、端末装置200cは、第1コネクタ201cに接続された状態で戸閉ボタン218を用いた閉操作を受け付けた場合、端子T213と端子T212とを接続することで、信号出力経路C20の信号が端子T113、T213、T212、T112、および第6伝達経路C6を介して開閉制御装置1212の信号入力部1402に入力される状態を生成する。
【0114】
このようにして、第4実施形態では、第1コネクタ201cが設けられた作業場所(乗場2および乗りかご4の上)での点検作業時に戸開ボタン217および戸閉ボタン218を操作することで、開閉制御装置1212にかごドア9を開閉させることができる。これにより、作業性が向上する。また、第4実施形態では、かごドア9の開閉操作が不要な作業場所(乗りかご4内およびピット内)には、第1コネクタ201cではなく、かごドア9の開閉に関する要求を受け付け不能な第1コネクタ201が設けられている。これにより、かごドア9の開閉操作が不要な作業場所での点検作業時に戸開ボタン217および戸閉ボタン218の誤操作があった場合でも、安全性を確保することができる。
【0115】
なお、第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0116】
次に、第4実施形態において実行される制御処理について説明する。
【0117】
図15は、第4実施形態による点検システム1200の開閉制御装置1212が実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0118】
図15に示されるように、第4実施形態による開閉制御装置1212は、まず、S1501において、通常運転信号がOFFか否かを判断する。ここで言及している通常運転信号は、第1実施形態において既に説明したものと同様のものである。第4実施形態では、制御盤12だけでなく、開閉制御装置1212も、通常運転信号のON/OFFを判定可能であるものとする。
【0119】
上記のS1501の処理は、通常運転信号がOFFであると判断されるまで、つまり端末装置200cの選択スイッチ211が点検運転側に切り替えられるまで繰り返される。そして、S1501において、通常運転信号がOFFであると判断された場合、S1502に処理が進む。
【0120】
S1502において、開閉制御装置1212は、戸開信号がONか否かを判断する。前述したように、戸開信号とは、開閉制御装置1212の信号入力部1401に第5伝達経路C5を介して入力される第5信号のことである。戸開信号がONの状態は、信号入力部1401に第5信号が入力された状態に対応する。
【0121】
S1502において、戸開信号がONであると判断された場合、S1503に処理が進む。そして、S1503において、開閉制御装置1212は、戸閉信号がONか否かを判断する。前述したように、戸閉信号とは、開閉制御装置1212の信号入力部1402に第6伝達経路C6を介して入力される第6信号のことである。戸閉信号がONの状態は、信号入力部1402に第6信号が入力された状態に対応する。
【0122】
S1503において、戸閉信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S1504に処理が進む。この場合、かごドア9を開く旨の要求が行われていると判定することができる。したがって、この場合、S1504において、開閉制御装置1212は、かごドア9を開く制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0123】
一方、S1503において、戸閉信号がONであると判断された場合、S1505に処理が進む。この場合、戸開信号も戸閉信号もONであると判断されているため、かごドア9を開く旨の要求と閉じる旨の要求とが同時に行われているという不都合が発生している。したがって、この場合、S1505において、開閉制御装置1212は、かごドア9を開閉することなく停止する制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0124】
なお、S1502において、戸開信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S1506に処理が進む。そして、S1506において、開閉制御装置1212は、戸閉信号がONか否かを判断する。
【0125】
S1506において、戸閉信号がONであると判断された場合、S1507に処理が進む。この場合、かごドア9を閉じる旨の要求が行われていると判定することができる。したがって、この場合、S1507において、開閉制御装置1212は、かごドア9を閉じる制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0126】
一方、S1506において、戸閉信号がONではない、つまりOFFであると判断された場合、S1508に処理が進む。この場合、かごドア9を開く旨の要求も閉じる旨の要求も行われていないと判定することができる。したがって、この場合、S1508において、開閉制御装置1212は、かごドア9を開閉することなく停止する制御を実行する。そして、処理が終了する。
【0127】
なお、第4実施形態において実行されうるその他の制御処理は、第1実施形態と同様である。
【0128】
以上説明したように、第4実施形態では、かごドア9の開閉を制御する開閉制御装置1212が設けられている。そして、端末装置200cは、第1コネクタ201cに接続された状態で、戸開ボタン217を用いた開操作および戸閉ボタン218を用いた閉操作に応じて、第1コネクタ201cの第5端子T111および第5伝達経路C5を介して開閉制御装置1212に第5信号が伝達される状態と、第1コネクタ201cの第6端子T112および第6伝達経路C6を介して開閉制御装置1212に第6信号が伝達される状態と、を切り替える。なお、第5信号とは、開閉制御装置1212にかごドア9を開けさせるトリガとなる信号であり、第6信号とは、開閉制御装置1212にかごドア9を閉じさせるトリガとなる信号である。これにより、点検作業時における作業性をより向上させることができる。
【0129】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述したいくつかの実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したいくつかの実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、上述したいくつかの実施形態およびそれらの変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】実施形態によるエレベータの点検システムは、制御装置と、第1コネクタと、携帯可能な端末装置と、第3コネクタと、を備える。制御装置は、エレベータの点検運転と通常運転とを切り替えて実行可能に構成される。第1コネクタは、制御装置に接続され、エレベータの点検作業を行うための複数の作業場所の各々に設置される。端末装置は、第2コネクタと、選択操作受付部と、上昇操作受付部と、下降操作受付部と、緊急停止操作受付部と、を備える。第2コネクタは、第1コネクタに接続可能に構成される。第3コネクタは、第1コネクタに接続可能に構成され、第1コネクタに接続された状態で、制御装置に通常運転を実行させるための第1信号を伝達する第1伝達経路の一部を構成する。