特許第6306144号(P6306144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306144履物用の柔軟な靴底(ソール)及びアッパー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306144
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】履物用の柔軟な靴底(ソール)及びアッパー
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20180326BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   A43B13/14 Z
   A43B13/12 Z
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-502385(P2016-502385)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-512140(P2016-512140A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014027261
(87)【国際公開番号】WO2014152367
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】61/789,201
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/206,400
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】アーロン エイシー クーパー
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/115743(WO,A1)
【文献】 米国特許第02334719(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0180335(US,A1)
【文献】 スイス国特許発明第00400830(CH,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/00
A43B 13/12
A43B 13/14
A43B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッドソールを有する履物底部であって、前記ミッドソールが、
第一の複数の実質的に平行なサイプと第二の複数の実質的に平行なサイプとを含む上側表面であって、前記第一の複数のサイプが実質的に前記第二の複数のサイプに対して垂直であると共に、前記第一の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第二の複数のサイプのうちの少なくとも一つとが交差することを特徴とする上側表面と、
第三の複数の実質的に平行なサイプと第四の複数の実質的に平行なサイプとを含む下側表面であって、前記第三の複数のサイプが前記第四の複数のサイプに対して実質的に垂直であると共に、前記第三の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第四の複数のサイプの内の少なくとも一つとが交差することを特徴とする下側表面と、
を備え
前記第一の複数のサイプは前記第三の複数のサイプに対して、側方-中間方向にオフセットしている、履物底部。
【請求項2】
前記第一の複数のサイプが前記第三の複数のサイプに対して実質的に平行である、請求項1に記載の履物底部。
【請求項3】
前記第一の複数のサイプが前記第三の複数のサイプからオフセットしており、前記オフセットは前記第一の複数のサイプに対して垂直方向にある、請求項2に記載の履物底部。
【請求項4】
前記オフセットが第一のサイプと前記第一の複数のサイプに連続するサイプ間隔の半分に等しい、請求項3に記載の履物底部。
【請求項5】
前記第一の複数のサイプと前記第二の複数のサイプが、フットサポート領域にて前記上側表面に組み込まれる、請求項1に記載の履物底部。
【請求項6】
前記第一の複数のサイプと前記第二の複数のサイプが、前記ミッドソールの周囲までは延在しない、請求項1に記載の履物底部。
【請求項7】
前記第三の複数のサイプと前記第四の複数のサイプが、フットサポート領域にて前記下側表面に組み込まれる、請求項1に記載の履物底部。
【請求項8】
前記第三の複数のサイプと前記第四の複数のサイプが、前記ミッドソールの周囲までは延在しない、請求項1に記載の履物底部。
【請求項9】
アウトソールをさらに含み、前記アウトソールが、第一の複数のチャンネル及び第二の複数のチャンネルを含む、請求項1に記載の履物底部。
【請求項10】
前記第一の複数のチャンネルが、前記第一の複数のサイプに対して実質的に平行であり、前記第二の複数のチャンネルが、前記第二の複数のサイプに対して実質的に平行である、請求項9に記載の履物底部。
【請求項11】
前記第一の複数のチャンネルが、前記第三の複数のサイプに対して実質的に平行であり、前記第二の複数のチャンネルが、前記第四の複数のサイプに対して実質的に平行である、請求項9に記載の履物底部。
【請求項12】
前記第一の複数のチャンネルのうちの1つが、前記第三の複数のサイプの1つと実質的に並列し、前記第二の複数のチャンネルのうちの1つが、実質的に前記第四の複数のサイプの1つと並列する、請求項11に記載の履物底部。
【請求項13】
前記第一の複数のチャンネルが第一のチャンネル、第二のチャンネル及び第三のチャンネルを含み、前記第一のチャンネルと前記第三のチャンネルとの間の間隔が、第一のサイプと前記第三の複数のサイプに連続するサイプとの間の間隔とほぼ同等である、請求項11に記載の履物底部。
【請求項14】
バンドをさらに含み、前記バンドが、前記上側表面に隣接する前記ミッドソールと結合する、請求項9に記載の履物底部。
【請求項15】
前記第一の複数のサイプが前記上側表面から前記下側表面へ向かって1ミリメートルから5ミリメートル延びる、請求項14に記載の履物底部。
【請求項16】
前記アウトソールのトレッドが、前記アウトソールの上側表面からトレッドの先端部へ向かって2ミリメートルから6ミリメートル延びる、請求項14に記載の履物底部。
【請求項17】
ミッドソール及びアウトソールを有する履物底部であって、前記ミッドソールが、
第一の複数の実質的に平行なサイプと第二の複数の実質的に平行なサイプとを含む上側表面であって、前記第一の複数のサイプが実質的に前記第二の複数のサイプに対して垂直であると共に、前記第一の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第二の複数のサイプのうちの少なくとも一つとが交差することを特徴とする上側表面と、
第三の複数の実質的に平行なサイプと第四の複数の実質的に平行なサイプとを含む下側表面であって、前記第三の複数のサイプが前記第四の複数のサイプに対して実質的に垂直であると共に、前記第三の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第四の複数のサイプの内の少なくとも一つとが交差することを特徴とする下側表面、とを含み、
前記アウトソールが、上側表面と、ウェビング表面から延びる複数のトレッドとを含む下側表面であって、前記複数のトレッドがウェビング表面にて少なくとも1つのチャンネルを形成することを特徴とする下側表面を含み、
前記ミッドソールの下側表面が前記アウトソールの上側表面と結合し、さらに、
前記第一の複数のサイプは前記第三の複数のサイプに対して、側方-中間方向にオフセットしていることを特徴とする、履物底部。
【請求項18】
前記第一の複数のサイプと前記第三の複数のサイプが実質的に平行であり、前記第二の複数のサイプと前記第四の複数のサイプが実質的に平行であり、さらに少なくとも1つのチャンネルが前記第三の複数のサイプと実質的に平行である、請求項17に記載の履物底部。
【請求項19】
前記第一の複数のサイプが前記第三の複数のサイプから第一間隔でオフセットしており、
前記第一の複数のサイプの延在方向に対して垂直方向に前記第一間隔があり、前記第一間隔は、前記第一の複数のサイプの2つの連続するサイプ間隔の半分に等しい、請求項18に記載の履物底部。
【請求項20】
ミッドソール及びアウトソールを有する履物底部であって、前記ミッドソールが、
第一の複数の実質的に平行なサイプと第二の複数の実質的に平行なサイプとを含む上側表面であって、前記第一の複数のサイプが実質的に前記第二の複数のサイプに対して垂直であると共に、前記第一の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第二の複数のサイプのうちの少なくとも一つとが交差することを特徴とする上側表面と、
第三の複数の実質的に平行なサイプと第四の複数の実質的に平行なサイプとを含む下側表面であって、前記第三の複数のサイプが前記第四の複数のサイプに対して実質的に垂直であると共に、前記第三の複数のサイプの内の少なくとも一つと、前記第四の複数のサイプの内の少なくとも一つとが交差することを特徴とする下側表面、とを含み、
前記アウトソールが、上側表面と、ウェビング表面から延びる複数のトレッドを含む下側表面であって、前記複数のトレッドがウェビング表面にて少なくとも1つのチャンネルを形成することを特徴とする下側表面を含み、
前記ミッドソールの下側表面が前記アウトソールの上側表面と結合することを特徴とし、
前記第一の複数のサイプと前記第三の複数のサイプが実質的に平行であり、
前記第二の複数のサイプと前記第四の複数のサイプが実質的に平行であり、
少なくとも1つのチャンネルが前記第三の複数のサイプと平行であり、
前記第一の複数のサイプが前記第三の複数のサイプから前記第一の複数のサイプの延在方向に対して垂直方向にオフセットしており、且つ、前記第一の複数のサイプは前記第三の複数のサイプから、側方-つま先方向にオフセットしていることを特徴とする、履物底部。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
靴のようなほとんど全ての履物は、ゴム、フォーム、又はその他の素材で作られたサポート用のソールを含む。人々の足にサポートと快適さを提供しつつ、靴底自体は通常、様々な理由からやや硬い。一つの理由として靴底は、常に平坦であるとは限らない多様な表面を歩いたり、走ったりする際に人の足をサポートしなければならない。例えば、ハイキングでは人々は平坦ではない原野を移動しなければならず、人は丘に登ったり、岩を登ったりあるいは、平坦ではない表面を移動し、これらのいずれも靴底の着地の際に完全に平坦な表面を提供するものではない。単純なランニングやウォーキングのような活動さえもしばし、平坦でなかったり、上又は下に傾斜した地形で行われることがある。足が平坦でない表面にあたると、足の異なる領域は他の部分よりも多くの力を吸収する。そのため靴底は平坦ではない表面において異なる方法で曲がる足に適応するのに十分なほど柔軟でなければならない。
【発明の概要】
【0002】
本発明の概要は、後述の詳細な説明にさらに説明する、簡素な形態において、概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、請求項の内容の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するのではなく、請求項の内容の範囲の決定を助けるものとして使用されることを意図するものでもない。むしろ、本概要は本発明の異なる様々な実施例を説明するために提供されるものであるが、全ての実施例を説明することができた訳ではない。そのため、本概要は請求項の内容を制限するものとして依拠してはならない。
【0003】
本発明の一側面は、異なる方向への柔軟性を提供するよう計画的にミッドソールの上部と下部の表面に組み込まれた様々なサイプ(例:切り込みライン )を含む、靴底に関連する。さらに、上部表面の複数のサイプは実質的に下部表面の複数のサイプと実質的に平行であると考える。さらに、上部表面の平行なサイプは、下部表面のサイプの延在方向に対して垂直方向に向かって下部表面のサイプからオフセットしていると考える。さらに、下部サイプと実質的に平行方向に延在するチャンネルを 有するアウトソールも本発明のいくつかの側面において含まれると考える。
【0004】
本発明の詳細を添付の図面を参照して以下に説明する 。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の一実施例に係る、計画的に組み込まれた切り込みラインを有する靴底の下面図である。
図2】本発明の一実施例に係る、計画的に組み込まれた切り込みラインを有する靴底の下面図である。
図3】本発明の一実施例に係る、計画的に組み込まれた切り込みラインを有する靴底の下面図である。
図4】本発明の一実施例に係る、アウトソールに張り付けられる靴底の展開図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る、計画的に切り込まれた様々なラインを有する靴底に張り付けられたアウトソールの側面図である。
図5B】本発明の一実施例に係る、靴が取り付けられた靴底に張り付けられ、つま先部及び踵部を上向きに曲げるよう伸縮させたアウトソールの側面図である。
図6】本発明のいくつかの側面に係る、靴底のミッドソールの一例示的な上側(例:上部)表面図である。
図7】本発明の一又は複数の側面に係る、靴底のアウトソールの下面(例:下部)図である。
図8】本発明のいくつかの側面に係る、靴底の側面図である。
図9】本発明のいくつかの側面に係る、靴底の内面図である。
図10】本発明のいくつかの側面に係る、靴底のつま先先端部から見た図である。
図11】本発明のいくつかの側面に係る、靴底の踵先端部分から見た図である。
図12】本発明のいくつかの側面に係る、ミッドソールの下側表面図である。
図13】本発明のいくつかの側面に係る、図6に示す靴底のカットラインB−Bに沿った断面図である。
図14】本発明のいくつかの側面に係る、図6に示す靴底のカットラインC−Cに沿った断面図である。
図15】本発明のいくつかの側面に係る、図6に示す靴底のカットラインD−Dに沿った断面図である。
図16】本発明のいくつかの側面に係る、図6に示す靴底のカットラインE−Eに沿った断面図である。
図17】本発明のいくつかの側面に係る、図6に示す靴底のカットラインA−Aに沿った断面図である。
図18】本発明のいくつかの側面に係る、靴底のカットラインA−Aに沿う、図17に示した、注目領域18を示した図である。
図19】本発明のいくつかの側面に係る、靴底のカットラインA−Aに沿う、図17に示した、注目領域19を示した図である。
図20】本発明のいくつかの側面に係る、可動性を有する素子を含む靴の構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の内容は、法的要件を満たすように、本明細書に具体的に記載される。しかしながら記載そのものは、本特許の範囲を制限することを意図するものではない。むしろ本発明者らは、他の現在又は将来の技術と併せて、異なるステップ又は本明細書に記載のものと同様のステップの組合せを含むように、請求項の内容を他の態様でも具現化することを考えた。
【0007】
一般的に本発明は、下部表面及び/又は上部表面に多様なライン線分切り込み(切れ目を入れたもの、形成されたもの、あるいは組み込まれたものを含む)を有する履物底部(以下、単に「靴底」とする)に関するものである。特にミッドソール部はミッドソールの上部表面及び/又は下部表面上の一又は複数の多様なライン線分を備える。ライン(例:チャンネル、グルーブ、凹部、切り込み)は、柔軟性と軽量化を一層向上させるために靴底の1つ又は2つ以上の部分にかけて靴底に組み込まれる。一実施例においては、靴底の幅方向(外側に向かうアーチ面)のラインが端から端へと横切り、そのため靴底の踵部とつま先部をより簡単に上側(例:上面)に向けて、互いに離れた状態で曲げることができる。他の実施例は、靴底の上側つま先部に組み込まれたアーチ状のラインと靴底のつま先先端部から踵部の下端部にかけて縦断するよう組み込まれたアーチ状のラインである、平行縦断を含む。さらに、いくつかの実施例では、踵部において組み込まれた十字状又は風車状のラインが含まれる。
【0008】
具体的な説明の前にいくつかの用語を明確にしたい。本明細書中「靴底」とは履物のミッドソール部を示し、例えば、インソールとアウトソール間の靴の部分を指す。当業者であれば、一例示的側面からインソールは靴の下側底部であり、人の足の直下で、フットベッド(一般的に中敷として知られる)の下に敷かれるものであることを理解するであろう。インソールは、釣り込みの際のクロージング(製甲)の最中に履物の靴型の周りを包む、履物上部の釣り代に取り付けられる。インソールは、セルロースペーパーボード、合成不織布インソールボード等から形成されることが可能である。
【0009】
付加的なクッション性を与えるために靴底、繰り返しの説明になるが、一般的にミッドソールとして知られたものは、インソールの下に形状や湿気、靴の臭いを制御したり、元来の足の形の欠点を補う健康上の理由や立ったり、歩いたり、走ったりする際の足の位置を調整するといった快適さを提供するものとして付加される。靴底は、フォーム、フォームクッションシート、ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、プラスチック、熱可塑性物質又はそれらを混合したものから形成され又は統合される。一例示的側面において、靴底は、完全に一種類の材料から作られるということはない。例えば、靴底はスチール又はプラスチック製のつま先部をサポート及び/又は保護するために空気又はジェルのポケットを備えていてもよい。他のバリエーションも可能であり、それらは一般的に当業者に理解され、認識されるであろう。
【0010】
靴底の底部に連結するのは「アウトソール」であり、直接、地面に接触するように作られた靴の層である。ドレス・シューズはしばし、革や樹脂ゴムのアウトソールを有し、カジュアル又はスポーツ用の靴は、通常、天然ゴムやプラスチック、またはポリウレタンのような合成材から作られている。アウトソールは、1種類の材料から作られていても異なる材料の個々の物質の集合体を含んでいてもよい。さらに、アウトソールは多様な目的に対応し、異なる取り付け部分を含んでもよく、例えば、競技用の滑り止めやファッション用のハイヒール又は木材、トレッド(底部)等である。特にトレッドは、グリップ力を最大化するためにアウトソールにおいてパターン化し構成してもよい。例えば、アウトソールのトレッドは、突起部で円形、三角形、長方形、五角形、六角形、八角形又はその他の種類のパターンを含んでいてもよい。そのようなパターンの実施例を添付の図面に示し、以下に詳述する 。
【0011】
ラインは、本明細書に述べるパターン及び実施例に従い、靴底に組み込まれ、切り込まれ、形成され及び/又は切れ目を入れられる。組み込まれたラインについては、当業者ならは数多くの機械及び工程が効果的にラインを靴底に組み込むために使用されていることを理解し、認識するだろうから、本明細書にて長く述べる必要はない。このような組み込みは、手作業、機械及び/又はどちらか一方の方法によって実行することが可能である。例えば、コンベアーは、靴底を、特定のパターンのラインを組み込むようにコンピュータ制御されたレーザーカッター機に導入する。あるいは恐らく、作業員が靴底をカッター機の下に設置し、手作業によって靴底に組み込み又は切り込みを入れるのであろう。
【0012】
図1は、本発明の一実施例に従う、計画的に組み込まれたラインの底部の下面図である。靴底100は、少なくとも2つの部分、即ち、つま先部102及び踵部104を含む。つま先部102は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底100の前方(例:つま先先端部)半分にわたる。踵部104は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底100の後方半分(例:踵先端部)にわたる。本明細書では靴底100は2つの側面、アーチ側106(例:内側)及び外側108(例:側部側)を含む。アーチ側106は、人の土踏まずに最も近い靴底100の端部を含む。外側108は、靴底100において反対側の端部、人の土踏まずから離れた端部を含む。
【0013】
靴底100は、異なる部分や側面を縦断する、いくつもの計画的に組み込まれたラインを含む。横ライン110は、つま先部102及び/又は踵部104において幅方向にアーチ側106から外側108へ横断する。本実施例における横ラインは、一つ一つ均一に離間されている。図中には示されていないが、本発明のいくつかの実施例において、実際に横ライン110を、アーチ側106の中心において端部の間隔を相互に近づけると共に、外側108の上側領域においてはさらに間隔を空けるようにすることで、小さな及び大きなカーブの周囲に間隔を配置する ことが可能である。実際の靴では、横ライン110は靴底100に靴の踵及び/又はつま先部を曲げるためのより高い柔軟性を提供することができるであろう。さらに、1つ又は2以上のラインの間隔、サイズ、形状及び配置は本明細書に示したものとは異なるであろうと考えられる。
【0014】
つま先部102においては、つま先部102の前方つま先先端部から延在する5つのラインが組み込まれている。最右側の4つのアーチ状のライン(内側ライン112及びより長いライン114)は、つま先部102と同じ領域において、互いに平行であり、さらに外側108の湾曲に対して実質的に平行である。踵部104に向かって延在する内側ライン112は一横ライン110にて停止し、より長いライン114は踵方向寄りにある横ライン110にて停止する。内側ライン112及びより長いライン114は、両方ともいくつもの横ライン110を横切る。本発明のいくつかの側面に従い代替となる長さや組み合わせを有するラインも適用できると考えられる。
【0015】
縦ライン116は、より長いライン114の隣にあり、全長は横ライン110を縦断し、つま先部102から踵部104を縦断し、つま先先端部及び踵先端部分からそれぞれ延在したものである。縦ライン116は、つま先部102の外側108の湾曲を模倣しており、双方は実質的に平行である。縦ライン116は、踵部104に延在し、縦ライン116は踵部104を縦断するため縦ライン116は、アーチ側106の湾曲を模倣し、アーチ側106と平行である湾曲とは、対極である湾曲を含む。
【0016】
交差ライン118及び120は、縦ライン116とも交差する中心点122にて交差するよう、いくつもの横ライン110を縦断する。交差ライン118及び120は、対角線状にアーチ側106及び外側108の間を対極方向に縦断する。交差ライン118はアーチ側106の上方領域より外側108の下方領域に向かって縦断する。対照的に交差ライン120は外側108の上方領域よりアーチ側106の下方領域に向かって縦断する。
【0017】
靴底100は、本発明の一実施例を示したに過ぎない。他の代替の実施例には、図1に示されているラインに付加的なラインを加えたもの又はいくつかのラインを除いたものを含んでもよい。そのため、本発明は、それぞれ示された本数とは異なる数の横ライン110、内側ライン112、より長いライン114、縦ライン116又は交差ライン118及び120を含んでもよい。同様に他の実施例は、靴底100に示すライン間の間隔の数が異なっているものも含む。異なる多様な本数については本明細書に記載するのには到底多すぎるが、本発明の多様な実施例においては、計画的に組み込まれたラインの異なる配置及び本数を含むことを認識されたい。
【0018】
横ライン110がより高い柔軟性を付加することで、靴底100がよりつま先部及び踵部においてより上方に曲がりやすくなるだけでなく、内側ライン112、より長いライン114及び縦ライン116は靴底100の幅方向での柔軟性を高め、アーチ側106及び外側108がより上方に曲がりやすくなる。さらに交差ライン118及び120は、縦ライン116と共に踵部104の柔軟性を高め、人の踵をより受け入れ易くし、クッション性を高めることを可能にする。これらの実施例は、計画的に作られたラインによってもたらされるいくつかの利点を説明のために挙げたに過ぎない。記載された利点は、利点が網羅されたリストではなく、本発明の請求項に係る実施例を特定の利点に制限するものとして依拠してはならない。
【0019】
図2は、本発明の一実施例に係る、計画的に組み込まれた切り込みラインを有する靴底の下面図である。靴底200は、2つの部分、即ち、つま先部202及び踵部204を含む。つま先部202は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底200の前方半分にわたる。踵部204は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底200の後方半分にわたる。本明細書では靴底200は2つの側面、アーチ側206(例:内部)及び外側208(例:側部)を含む。アーチ側206は、人の土踏まずに最も近い靴底200の端部を含む。外側208は、靴底200において反対側の端部、人の土踏まずから離れた端部を含む。
【0020】
靴底200は、異なる部分や側面を縦断する、いくつもの計画的に組み込まれたラインを含む。横ライン210は、つま先部202又は踵部204において幅方向にアーチ側206から外側208へ横断する。横ライン210は、一つ一つ均一に離間されている。図中には示されていないが、本発明のいくつかの実施例において、実際に横ライン210を、アーチ側206の中心において端部の間隔を相互に近づけ、外側208の上側領域においてはさらに間隔を空けるようにすることで、小さな及び大きなカーブの周囲に間隔を配置することが可能である。実際の履物では、横ライン210は靴底200に靴の踵及び/又はつま先を曲げるためのより高い柔軟性を提供することができるであろう。
【0021】
つま先部202においては5つのラインが、つま先部202の先端部にて打ち止めされるよう組み込まれている。最右側の4つのアーチ状のライン(内側ライン212及びより長いライン214)は、つま先部202と同じ領域において、互いに平行であり、さらに外側208の湾曲に対して平行である。踵部204に向かって流入する内側ライン212は一横ライン210にて停止し、より長いライン214は連続する次の横ライン210にて停止する。内側ライン212及びより長いライン214は、両方ともいくつもの横ライン210を横切る。
【0022】
縦ライン216は、より長いライン214の隣に位置し、全長は横ライン210を縦断し、つま先部202から踵部204を通り、つま先部及び踵部のそれぞれの上方及び下方先端と接触している。縦ライン216は、つま先部202の外側208の湾曲を模倣しており、双方は平行である。縦ライン216は踵部204を縦断するため縦ライン216は、アーチ側206の湾曲を模倣し、アーチ側106と平行な湾曲とは、対極である湾曲を含む。
【0023】
靴底200は、本発明の一実施例を示したに過ぎない。他の代替の実施例には、図1に示されているラインに付加的なラインを加えたもの又はいくつかのラインを除いたものを含んでもよい。そのため、本発明は、それぞれ示された本数とは異なる数の横ライン210、内側ライン212、より長いライン214、縦ライン216を含んでもよい。同様に他の実施例は、靴底200に示すライン間の間隔の数が異なっているものも含む。異なる多様な本数については本明細書に記載するのには到底多すぎるが、本発明のいくつもの実施例が計画的に組み込まれたラインの異なる配置及び本数を含むことを認識されたい。
【0024】
図3は、本発明の一実施例に係る、計画的に組み込まれた切り込みラインを有する靴底の下面図である。靴底300は、2つの部分、即ち、つま先部302及び踵部304を含む。つま先部302は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底300の上方半分にわたる。踵部304は、人の足をサポートするように設計された領域を含み、靴底300の下方半分にわたる。本明細書では靴底300は、2つの側面、アーチ側306及び外側308を含む。アーチ側306は、人の土踏まずに最も近い靴底300の端部を含む。外側308は、靴底300において反対側の端部、人の土踏まずから離れた端部を含む。
【0025】
靴底300は、異なる部分や側面を縦断する、いくつもの計画的に組み込まれたラインを含む。横ライン310は、つま先部302又は踵部304において幅方向にアーチ側306から外側308へ横断する。横ライン310は、一つ一つ均一に離間されている。図中には示されていないが、本発明のいくつかの実施例において、実際に横ライン310を、アーチ側306の中心において端部の間隔を近づけ合わせ、外側308の上側領域においてはさらに間隔を空けるようにすることで、小さな及び大きなカーブの周囲に間隔を備えることが可能である。実際の履物では、横ライン310は靴底300に履物の踵及び/又はつま先を曲げるためのより高い柔軟性を提供することができるであろう。
【0026】
交差ライン312及び314は、中心点316にて交差するよう、いくつもの横ライン310を縦断する。交差ライン312及び314は、対角線状にアーチ側306及び外側308の間を対極方向に縦断する。交差ライン312はアーチ側306の上方領域より外側308の下方領域に向かって縦断する。対照的に交差ライン314は外側308の上方領域よりアーチ側306の下方領域に向かって縦断する。
【0027】
靴底300は、本発明の一実施例を示したに過ぎない。他の代替の実施例には、図1に示されているラインに付加的なラインを加えたもの又はいくつかのラインを除いたものを含んでもよい。そのため、本発明は、それぞれ示された本数とは異なる数の横ライン310、交差ライン312及び314を含んでもよい。同様に他の実施例は、靴底300に示すライン間の間隔の数が異なっているものも含む。異なる多様な本数については本明細書に記載するのには到底多すぎるが、本発明のいくつもの実施例が計画的に組み込まれたラインの異なる配置及び本数を含むことを認識されたい。
【0028】
図4は、本発明の一実施例に係る、アウトソールに張り付けられる靴底の展開図である。靴底400はアウトソ−ル402に接着、糊付け、縫い付け、溶解又はアウトソールをミッドソールに張り付けるための他の技術によって結合する。いくつかの種類の組み込まれるラインは、靴底400の下側表面に組み込まれた後にアウトソール402の上側表面において、アウトソール402と結合する。靴底400の下側表面にラインは、横ライン404、内側ライン406、より長いライン408、縦ライン410及び交差ライン412及び414を含むが、これらのラインに制限されない。各ラインは図1に示されたラインと同様の方式で靴底400の下側表面を通る。代替のラインのパターンは、例えば、図2及び図3において図示されているように、他の実施例において使用することが可能である。
【0029】
アウトソール402は、六角形状の突起部として 図示されているトレッド416を下側表面に備えることが可能である。他の実施例として、異なるパターン又は形状のトレッドを含むことが可能である。例えば、トレッドはアウトソール402において対称に配置する必要はなく、代わりにトレッド416を非対称方式に配置してもよい。同様にトレッド416は、滑り止めやプレート、ハイヒール等、アウトソールの他の形状の周囲に配置することも可能である。トレッド416自体は、代替として円形、三角形、長方形、五角形、八角形又はその他の形状で形成されていてもよい。いくつかの実施例においては、トレッド416は、高くなっているのではなく逆に低くなって(くぼんで)いてもよく、それ2つの組み合わせ(くぼみ及び突起)をアウトソール402に組み込んでもよい。
【0030】
アウトソール402を靴底400に組み込むことで、1つ又はそれ以上の利点を提供することができる。例えばアウトソール402を、熱弾性ポリマーのような1つ又はそれ以上の外部の物体が靴底400に引っ掛ったり、刺さることを防止する薄い弾力性のある材料で形成してもよい。特に、アウトソール402は物体(例えば、岩、石、枝、泥)が入り込むことを妨げ、ラインによって形成される靴底を保全するのに効果的である。
【0031】
図5Aは、本発明の一実施例に係る、計画的に切り込まれた様々なラインを有する靴底に張り付けられるアウトソールの側面図である。アウトソール502は、前述の技術(例:接着、糊付け、縫い付け、溶解等)のいずれによってもアウトソール502に張り付けることができる。アウトソール502は、外側に向かって延在するトレッド504のパターンを含み、アウトソール502は、いくつもの組み込まれたライン506であって、横ライン、内側ライン、より長いライン、縦ライン又は交差ラインのいずれかで、全て特定の深さ(例:0.5ミリメートル)にて靴底500に組み込まれることが示されているラインを含んでもよい。本明細書中のいずれのラインのパターンも使用することが可能である。
【0032】
図5Bは、本発明の一実施例に係る、靴底500に張り付けられたアウトソール502と、靴底に取り付けて、つま先部を曲げ、踵部を上向きにするよう伸縮させ た靴508の側面図である。履物500は、靴508がさらに伸縮するに従って、ライン506を全開(例:ラインの第一の仕切り及び第二の仕切りの幅は靴底の分節の増大に伴い広がる)させることができるため、容易にさらに伸縮させることが可能である。図示されていないが、靴底500のアーチ状のラインも異なる動き又は圧力が靴底500に加えられた場合に全開するよう伸縮することが可能である。例えば、靴底500の踵部は、人の踵が靴508に入っている場合又は恐らく履物500において、人が踵を強く踏みしめた場合には、通常の中央領域よりもさらに強く押されることなる。又は、他の一実施例では、ランナーは、ランナーがアーチ状の内側ライン及び/又はより長いライン、縦ラインによって、横に傾いた際、ランナーの足のボール(母指球、小指球)部分において、靴508のさらなる幅方向の柔軟性を得ることができるであろう。
【0033】
図6から20は、本発明の一例示的な側面に係る、着用時の位置における、足の動きの変化に伴い適応し、動く機能を持つ可動性を有する靴を示している。特に以下に記載する履物の内容は、所望の動作の自由を提供することと調和するものである。例えば、(例示的な側面における)アウトソール、ミッドソール及びストローベルは、それらの集合体が全体で所望の動き及び動作を尊重するような方式でそれぞれ形成及び寸法され、組み立てられている。後に図示及び記載するが、各構成要素の特徴は、柔軟に適応する靴及び靴底を全体として達成するための配置、設定、寸法を示し、組み合わせで使用されることもある。
【0034】
図6は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600の例示的なミッドソール601の上側(例:上部)表面図である。ミッドソール601は、つま先先端部602、その反対側に位置する踵先端部分606、内側608及びその反対側に一する側部側604を含む。前述したように靴底の上側表面は従来、その靴底の上方部である。例えば、従来のストローベル(又はインソール)はミッドソールの上側表面に接触し、同時にアウトソールはミッドソールの従来の下側表面に接触する。
【0035】
ミッドソール601は、複数のサイプ(例:切り込み、チャンネル、打痕、くぼみ、ライン)を備える。サイプは、履物の鋳造過程又は後の工程、例えば、1つ又は二つ以上のサイプをミッドソール601の表面に形成するよう、刃物又はレーザーをあててもよい。本実施例において、ミッドソール601のサイプは、第一グループおいては、実質的に互いに平行な配置であって、一般的に内側のつま先寄り方向から側面の踵部寄り方向に向かうように設定されている。ミッドソール601の上側表面に組み込まれる第二グループのサイプは、実質的に互いに平行な配置であって、一般的に側面のつま先寄り方向から内側の踵部寄り方向に向かうように設定されている。サイプ612は、第一グループの例示的なサイプであり、サイプ610は、第二グループの例示的なサイプである。結果的に第一グループのサイプ及び第二グループのサイプは、実質的に互いに垂直方向に配置される。さらに第一グループのサイプ及び第二グループのサイプは、カットライン A−Aにより定義される軸線から約45度の位置に配置される。
【0036】
図示するようにミッドソール601の上側表面には、ミッドソール601のフットサポート領域の実質的な領域を横断する第一グループのサイプ及び第一グループのサイプが組み込まれている。フットサポート領域は、静止時の位置では着用者の足の圧力がミッドソールを通じて伝わるミッドソール601の一部である。異なる見方をすると、フットサポート領域は、着用時の位置では着用者の足の裏に実質的に隣接する。そのため一例示的な側面においては、ミッドソール601の前方領域の上側表面において、一又は複数のサイプを除くこともある。一例示的な側面においては、前方領域おいてサイプを停止させることにより、一定のレベルの継続性を特定の位置(例:前方領域)に提供することで、ミッドソール601の構成上の統合性及び内側/側面へのサポートを提供することが可能となる。代替として、一例示的な側面から、上側表面(及び/又は下側表面)の一又は複数のサイプをミッドソールの先端まで延在させてもよい。
【0037】
ミッドソールは多様な材料を備えることが可能である。例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)素材を、ミッドソール601を形成する際に使用することが考えられる。前述したように本発明のミッドソールには一定レベルの弾性/伸縮性及び柔軟性が所望される。しかしながら、EVAは機械的に強化させなければ所望の弾性/伸縮性及び柔軟性の定量値を提供することができない。そのため上側表面及び/又は下側表面におけるサイプの計画的な組み込み(図12において後述する)によって、EVAによって形成されたミッドソールが、所望レベルの弾性/伸縮性及び/又は柔軟性を達成することを可能にするであろうと考える。
【0038】
図6は、図6の靴底600の断面図を示すために複数のカットラインを図示している。例えば、カットラインA−Aはつま先先端部602から踵先端部606にむかって延在し、後述の図17に図示する。カットラインB−Bは、後述の図13に図示する。カットラインC−Cは、後述の図14に図示する。カットラインD−Dは、後述の図15に図示する。カットラインE−Eは、後述の図16に図示する。
【0039】
図7は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底のアウトソールの一例の下面(例:下部)図である。アウトソール701は、複数のチャンネル(例:チャンネル704)によって分離された複数のトレッド(例:トレッド702)を備える。トレッドは、突出状の形状であり、アウトソールのウェビング(例:チャンネルの下側表面)より外側寄り(例:下側方向)に向かって延在する。図示するトレッドの形状は長方形角柱(例:立方体形状)であるが、トレッドはどのような形状(例:円柱状)でもよいと考える。さらに、例示的な側面から、下側表面における特定の大きさのトレッド及び特定の幅のチャンネルが図示されているが、大きさ及び幅は双方とも代替することが可能である。
【0040】
しかしながら、図示する側面からすれば、トレッドの大きさ及びチャンネルの幅は機能的な特性を提供する。例えば本実施例において、3つの実質的に平行なチャンネルのうち、第一及び第三チャンネルは、共通のサイプグループの第一サイプ及び第二サイプ間の間隔と実質的に同様の間隔を有している。例示的な一側面において、アウトソール701のチャンネルの方向は、図6及び図12に示すミッドソール601の方向に合わせて並列すると考える。さらに後に詳述するが、例示的な一側面において、ミッドソール601の下側表面はアウトソール701のチャンネルと方向を合わせて並列し、対応する。ミッドソールのサイプ及びアウトソールのチャンネルの方向を合わせた配列が、集合体として結合した際に靴底全体として所望のレベルの動作性、応答性 及び柔軟性の達成を助成することが認められるであろう。特定の大きさ、方向及び関係性が図示され、示されているが、どのような大きさ、形状及び配列も本発明の一又は複数の側面において実施されると考えられる。
【0041】
アウトソール701は所望の一定レベルの柔軟性、弾力性及び応答性を提供する多様な材料を備える。例えば、一定の度合いの伸縮性を備えるように形成されたゴム(例:合成ゴム)材料は、アウトソールを形成する際に利用する。さらにアウトソールは、ウェビングの厚さ(例:チャンネル部における上側表面から下側表面まで)が約1ミリメートルとなるように形成する。さらにトレッドは、トレッドの上側表面から先端部までの厚さが約4ミリメートル(例:又は、ウェビングの下側表面からトレッドの先端部までの厚さが約3ミリメートル)となるように形成する。比較的最小のウェビングの厚さにすることでアウトソール701の所望の特性を達成することが可能となる。特定の寸法が示されているが、他の大きさ及び範囲も本発明の一又は複数の側面において使用できると考える。
【0042】
図8は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600の側面図である。特に靴底600はアウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらにつま先先端部602及び側部側604を方向性の目的で明確にする。
【0043】
バンド801は、靴底補強材であって、靴底600に付加的な内側及び側面のサポートを提供する。一例示的側面において、バンドは、つま先先端部602、側部側604、踵先端部606及び内側608を含むミッドソール601の周囲領域に沿って延在する。一例示的な側面において、バンド801は、組み立てられた靴底600について、他の靴底600の特性と同様に、柔軟性及び応答性を盛り込む。そのため、バンド801は、所望のサイドウォール及び内側/側部の安定性を提供しながらも所望レベルの伸縮性を達成する弾力性機能を有する材料から形成される。
【0044】
図9は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底の内面図である。特に靴底600はアウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらにつま先先端部602及び内側608を方向性の目的で明確にする。
【0045】
図10は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のつま先先端部から見た図である。特に靴底600はアウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらに内側608及び側部側604を方向性の目的で明確にする。
【0046】
図11は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600の踵先端部から見た図である。特に靴底600はアウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらに内側608及び側部側604を方向性の目的で明確にする。
【0047】
図12は、本発明のいくつかの側面に係る、ミッドソール601の下側表面図である。ミッドソール601は、つま先先端部602、踵先端部606及び側部側604を含む。さらに下側表面は、図6においてミッドソール601の上側表面について記載したように、複数のサイプを備える。
【0048】
特に図示された下側表面のサイプは、第一グループおいては、実質的に互いに平行な配置であって、一般的に内側のつま先寄り方向から側面の踵部寄り方向に向かうように設定されている。ミッドソール601の下側表面に組み込まれる第二グループのサイプは、実質的に互いに平行な配置であって、一般的に側面のつま先寄り方向から内側の踵部寄り方向に向かうように設定されている。サイプ1206、1208、1210及び1212は、第一グループの例示的なサイプであり、サイプ1202、1204、1214及び1216は、第二グループの例示的なサイプである。結果的に第一グループのサイプ及び第二グループのサイプは、実質的に互いに垂直方向に配置される。さらに第一グループのサイプ及び第二グループのサイプは、カットラインA−Aにより定義される軸線から約45度の位置に配置される。図示するように下側表面は、下側表面のフットサポート領域を横断するサイプを組み込まれており、図6の上側表面について前述したものと同様である。
【0049】
一例示的な側面において、後述の図15に示されるように上側表面のサイプ及び下側表面のサイプは互いにオフセットしている。さらにオフセットは、共通のグループのサイプ間隔の約半分に等しいと考えられる(例:1206と1208間の半分の間隔)。さらに上側表面の一グループ内のサイプのサイプ間の間隔は、下側表面の一グループ内のサイプのサイプ間の間隔と同様に保たれていると考えられる。即ち、一例示的側面において、同一側面上の他のサイプに関する方向、ミッドソール601に関する方向及びサイプの大きさは、上側表面のサイプ及び下側表面のサイプと調和するよう保たれている。しかしながら、上側表面のサイプのグループ及び下側表面のサイプのグループは、上側下側方向で並列するのではなく、むしろ、互いにオフセットしている。オフセットしているサイプは、アコーディオン様の効果を作り出し、ミッドソールが伸縮し、動的環境及び動く足に快適さを与えることを可能にする。
【0050】
図13は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインB−Bに沿った断面図1300である。靴底は、アウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらに靴底600の一部は、内側608及び側部側604であると定義する。
【0051】
断面図1300は、ミッドソール601の上側表面に図6にて双方明示したサイプ、610及びサイプ612のような、複数のサイプを備える。ミッドソール601は、下側表面に図6にて既に明示したサイプ1202、1204、1206及び1208のような、複数のサイプを備える。
【0052】
図14は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインC−Cに沿った断面図1400である。靴底は、アウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。
【0053】
断面図1400は、ミッドソール601の下側表面のサイプと対応するアウトソール701のチャンネル間の例示的な関係を図示している。例えば、チャンネル1404は、トレッド1402及び1406のような、トレッドの間に形成される。前述したようにミッドソール601の下側表面のサイプは、アウトソールの下側表面のチャンネルと並列し、対応するよう方向づけされると考える。本実施例においては、下側のサイプのチャンネルによって形成されたアウトソールの柔軟な領域によって形成された、ミッドソールの柔軟な領域の配列は、靴底の集合体が動的環境に適応する応答性と柔軟性を持つことを可能にする。図13から図16に図示するようにミッドソール601の下側サイプとアウトソール701のチャンネルの配列は靴底を幅方向に横断する。しかしながら、本発明の複数の側面においては、オフセットする構造 (例:サイプ、チャンネル)は、構造の配列/関係とは無関係に適用できると考えられる。
【0054】
図15は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインD−Dに沿った断面図1500である。靴底は、アウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。断面図1500は、ミッドソール601の上側表面と下側表面との間の例示的なオフセットを図示している。例えば、カットラインD−Dは、ミッドソールの上側表面の第一グループと第二グループ間の交差部分のサイプを横断(例:図6に最もよく図示されている)し、カットラインD−Dは、ミッドソールの下側表面の第一グループと第二グループ間の交差部分のサイプを横断(例:図12に最もよく図示されている)しており、ミッドソールの上側及び下側サイプの特徴が明確に図示されている。本例示的側面において、サイプのオフセットは、ミッドソールにアコーディオン様の効果を提供し、その効果は機械的に導入された伸縮性を構成要素に提供する。導入される伸縮性は、本実施例のミッドソールのサイプ形状とアウトソールのチャンネル形状間の交差(例:アウトソール701のチャンネル1504と下側サイプ1502の配列)によって、特定の方向に限定(例:つま先から踵又は内側から側面側)されることはない。しかしながら、全体を通じて明示してきたように、対応する形状又は配列の利用の有無に関わらず、付加的な構成も適用可能できると考えられる。
【0055】
図16は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインE−Eに沿った断面図1600である。靴底は、アウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらに例示的な下側表面サイプ1602は、アウトソールチャンネル1604と並列するように図示されている。
【0056】
図17は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインA−Aに沿った断面図1700である。靴底は、アウトソール701、ミッドソール601及びバンド801を備える。さらに靴底600の一部は、つま先先端部602及び踵先端部分606であると定義する。さらに注目領域18を図示している。注目領域18は、後述の図18において拡大されている。加えて、注目領域19を図示している。注目領域19は、後述の図19において拡大されている。
【0057】
図18は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインA−Aに沿う、図17に示した、注目領域 18を示した図である。特にミッドソール601及びアウトソール701が図示されている。ミッドソール601は、ミッドソール上側表面1802及びミッドソール下側表面1804を備える。さらにミッドソール601は、例えば、上側サイプ1802のような、ミッドソール上側表面1802に複数のサイプを備える。同様にミッドソール下側表面1804は下側サイプ1812のような、複数のサイプを備える。
【0058】
アウトソ−ル701は、上側表面1806及び反対側の下側表面1808を備える。さらにアウトソール701は、チャンネル1814を備える。一例示的側面において、ミッドソール下側表面1804は、上側表面1806と結合し全体として靴底を形成する。例示的な寸法を図示している。例えば、アウトソール上側及び下側表面1808及び1806間の長さは各4.0ミリメールである。アウトソールウェビングの厚さは、1.0ミリメートルである。加えて、ウェビングからトレッド凸部分までの長さは3.0ミリメートルである。しかしながら、一又は複数の部分の寸法は図示されたもの以外の多岐にわたってよいと考えられる。
【0059】
図19は、本発明のいくつかの側面に係る、靴底600のカットラインA−Aに沿う、図17に示した、注目領域19を示した図である。特にミッドソール601及びアウトソール701が図示されている。例示的な寸法を図示している。例えば、3.0ミリメートルの下側サイプの深さが図示されている。同様に3.0ミリメートルの上側サイプの深さも図示されている。最後に後方から下側までのミッドソールの寸法が6.0ミリメートルであることが図示されている。しかしながら、一又は複数の部分の寸法は図示されたもの以外の多岐にわたってよいと考えられる。
【0060】
均一なパターンのサイピング及びチャンネルが、図6から19において図示されているが、多様性を持たせることも可能であると考える。例えば、 伸縮性に勾配があることが所望される場合、サイピング及び/又はチャンネルのサイプの大きさ、形状、相対位置及び相対方向を所望の度合いの伸縮性及び応答性を達成するよう合わせることが可能である。例えば、区域ごとにサイプ及び/又はチャンネルの切り込みに多様性を持たせることで、他の区域に関連するミッドソール、アウトソール及び/又はストローベルの機械的特性に作用させ、第一区域の伸縮性を抑制するよう適用することが可能である。
【0061】
図20は、本発明のいくつかの側面に係る、可動素子を含む履物2000の構造を示した図である。履物(以下、「靴」とする)2000は、ソール2001、可動上部2002、静的上部2004を備える。
【0062】
靴底2001は、図6から19にて前述した靴底600のようなミッドソール及びアウトソールを備える。可動上部2002は、ナイロン系の材料のような高い伸張力を有する糸(スレッド)を備える。高い伸張力を有する糸の一例として、糸2006が挙げられる。糸2006は、着用者の足が着用時の位置にある際に靴紐の仕組み(糸2006が延在する周囲の靴紐はとめ2008)周囲にかかる負荷を移行させることで、可動上部2002にサポート及び構成を提供するのに効果的である。結果的に可動上部2002が、同様に柔軟性、伸縮性及び適応性の高い靴底2001に組み込まれると、靴2000は、足及び靴の動作に対し、可動反応を提供することが可能であると考えられる。
【0063】
糸2006は、アッパー(上部)内に縫製用機械及び/又は刺繍用等の機械を使用して組み込まれる。さらに糸2006は、靴2000に組み込まれ、第一糸(例:ひと巻きの糸)が第一直径を有し、第二糸が(例:糸巻き糸)が第二直径を有すると考えられる。一例示的側面から第一糸は、第二糸の直径よりもより大きな直径を有し、より高い伸張力を提供する。アッパーに糸2006を組み込むために必要な2つの糸の内1つの糸に異なる直径(又は材料、ねじれ、張力等その他の特徴)を利用することで、重量を軽減しつつ靴2000により高いレベルの構造上のサポートを提供することが可能である。
【0064】
さらに柔軟性を有する靴下のような裏地を靴2000に組み込んでもよいと考えられる。例えば裏地2010は、靴2000の内側の空洞内に含まれており、(本実施例における)ストローベルの縫い目より踝の開口部に向かって上側寄りに延在するよう図示されている。裏地2010は、伸縮性の材料間に格子状の構造を有するフォームのような材料で形成される。裏地2010の薄板状の構造は、靴2000の柔軟性及び可動特性を保ちつつ、サポート性及び加圧力を有する結果をもたらす。
【0065】
図示されていないが、一例示的側面においてストローベルボードは、靴2000の中敷にかけて延在し、アッパーの部分を結合力のある構造に形成することを可能にする。多方向伸縮材料がストローベルボードに組み込まれるため、さらに柔軟性及び適応性の高い靴を容易に作成することが可能となると考えられる。さらにストローベル材料は、アッパーにつま先から踵方向へ傾きながら組み込まれる。言い換えるとストローベルボードの縦糸及び/又は横糸は、ストローベルが組み込まれる、靴のつま先先端部から踵部の下端部にかけて延在する軸に対して約45度の角度を有する。ストローベル技術を適用するが、どのような製造技術でも実施することが可能であり、ストローベルボードを全て一括に取り除くことも可能である。
【0066】
一実施例において、ストローベル材料をミッドソールの上側表面に結合する。柔軟性のある接着剤を適用することでソールからストローベル及び連結するアッパーへの柔軟性及び動きの伝達が可能となると考えられる。そのため、特徴の組み合わせは、変化する環境、地形及び体の構造に反応し、柔軟性が高い、可動性を有する靴に組み込まれると考えられる。
【0067】
本発明は、特定の実施形態に関連して述べられているが、全方面を示すためであって制限を目的としたものではない。当業者によって明らかになるであろう代替の実施形態は、請求項の内容の範囲から外れるものではない。多くの代替の実施形態は存在するが、本発明の特性から本明細書には含んでいない。
【0068】
本内容は、構造上の特徴、方法論に基づいた行為を特定する用語が使用されているが、請求項にて定義した本内容は、必ずしも前述の特定の特徴又は行為に制限するものではない。むしろ、前述の特定の特徴又は行為は、請求項の内容を適用する際の例示的形式として述べられている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20