特許第6306259号(P6306259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6306259
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】炭酸水供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20180326BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20180326BHJP
   B67D 3/00 20060101ALI20180326BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20180326BHJP
   G07F 13/06 20060101ALI20180326BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
   B67D1/08 Z
   B01F1/00 D
   B67D3/00 Z
   B01F3/04 A
   G07F13/06 E
   !A23L2/00 T
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-195532(P2017-195532)
(22)【出願日】2017年10月6日
【審査請求日】2017年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-170418(P2017-170418)
(32)【優先日】2017年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506376218
【氏名又は名称】ケイ・アンド・アイ有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508309658
【氏名又は名称】株式会社イオンコマース
(74)【代理人】
【識別番号】100085257
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 有
(72)【発明者】
【氏名】小山 かすみ
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−144788(JP,A)
【文献】 実開昭55−178785(JP,U)
【文献】 特開2000−348250(JP,A)
【文献】 特開2014−040832(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0107876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00−3/04
G07F 13/00−15/12
B01F 1/00−5/26
A23L 2/00−2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスが溶解した炭酸水を供給する炭酸水供給装置であって、この炭酸水供給装置は炭酸水の吐出口につながる水の供給配管の一部が貯留部とされ、この貯留部または貯留部の下流側にはボンベなどの炭酸ガス源につながる炭酸ガス噴出部が設けられ、更に前記貯留部は水の供給配管に設けた開閉弁を操作することで選択的に密閉空間又は大気開放空間になり、前記水の供給配管および炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁は、レバー操作やボタン操作などの使用者の炭酸水の供給要求操作に連動して開閉され、更に水の供給配管に設けられた開閉弁の開動作は炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の開動作よりも若干遅れて動作するように設定され、また水の供給配管に設けられた開閉弁の閉動作は炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の閉動作よりも若干早めて動作するように設定されていることを特徴とする炭酸水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料水サーバの一部に組み込まれるか、或いは単独で炭酸水の供給を可能とした炭酸水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーや水の他に、炭酸水を供給することができる飲料水サーバとして特許文献1〜3に開示されるものがある。
【0003】
特許文献1に開示されるサーバは、水中に炭酸を溶解させるカーボネータとして圧力容器を用い、この圧力容器内に加圧水と炭酸ガスを入れて水中に炭酸ガスを溶解させて炭酸水とし、この圧力容器中の炭酸水を炭酸ガスの圧力でカップ内に供給するようにしている。
【0004】
特許文献2及び3では圧力容器を用いずに、水中に直接炭酸ガスを吹き込む直噴式が開示されている。
特許文献2では、エジェクタとディフューザとが一体化したインラインカーボネータが開示され、エジェクタから水中に炭酸ガスを噴出し、ディフューザ内で撹拌して炭酸ガスと水を効果的に混ぜ、吐出口から炭酸水を供給するようにしている。
この特許文献2では、段落(0012)に記載されているように、製造した炭酸水はそのまま下方に排出され、蓄えておけない構造になっている。
【0005】
特許文献3にあっては、上昇流の配管の側面から、多孔部材を介して直接炭酸ガスを水中に噴出する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4466255号公報
【特許文献2】特開2000‐348250号公報
【特許文献3】特許第6134521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される飲料水サーバは大量の炭酸水をカーボネータを兼ねる圧力容器内に蓄えることができるので、自動販売機などには有利であるが、圧力容器がボンベ以外にも必要になり装置全体が大型化する不利がある。
【0008】
特許文献2、3にあっては、装置の小型化が可能になる。しかしながら、特許文献2では、ディフューザ内に炭酸水は蓄えられず、また特許文献3にあっても、炭酸水を溜める部材はなく、U字の底部に水が残る可能性はあるが、細い配管なので残る量は僅かであり、この僅かな水中には大量の炭酸ガスは吹き込まれていない。
【0009】
そして、特許文献2、3において、レバーやボタンなどを操作して、炭酸水を出口からカップ内に供給する場合、レバーやボタンなどの操作と同時に最初に吐出口から供給される水には炭酸ガスが殆ど入っておらず、しばらくしてから炭酸ガスが入った水が供給される。その結果、カップ内の炭酸水は濃度が薄く不味い炭酸水となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る炭酸水供給装置は、炭酸水の吐出口につながる水の供給配管の一部が貯留部とされ、この貯留部または貯留部の下流側にはボンベなどの炭酸ガス源につながる炭酸ガス噴出部が設けられ、更に前記貯留部は水の供給配管に設けた開閉弁を操作することで選択的に密閉空間又は大気開放空間になる構造である。
【0011】
前記水の供給配管および炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁は、レバー操作やボタン操作などの使用者の炭酸水の供給要求操作に連動して開閉され、更に水の供給配管に設けられた開閉弁の開動作は炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の開動作よりも若干遅れて動作するように設定され、また水の供給配管に設けられた開閉弁の閉動作は炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の閉動作よりも若干早めて動作するように設定することが、最初から高濃度の炭酸水を供給する上で好ましい。
【0012】
前記貯留部の容積は、一回に吐出口から供給される炭酸水の容積よりも少なくすることで、装置全体の小型化を図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来のようにカーボネータとして圧力容器をラインから外れた位置に配置せず水の供給配管(ライン)に設けているので、装置全体を軽量小型化することができる。特に炭酸水の貯留部及び炭酸ガスの噴出部が水の供給配管の一部となったインライン構造であるので、従来のお湯と水のみを提供する飲料水サーバと大きさが殆ど変わらず、家庭用や事務所用の飲料水サーバとして最適である。
【0014】
また、貯留部内に貯留されるのは、前回供給された炭酸水の残りであるので、大量の炭酸ガスが既に含まれている。この炭酸ガスが大量に含まれた水が次回最初に供給されるため、炭酸水濃度が薄くなることがない。したがって、おいしい炭酸水を供給することができる。
【0015】
毎回、一定量の炭酸水が貯留部内に残され、且つ炭酸水を供給した後は貯留部は密閉空間になるので、貯留部内圧が高まり、待機中に貯留部内の水に溶け込む炭酸ガスの割合が高くなる。
【0016】
特に、水の供給配管に設けられた開閉弁の開動作を、炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の開動作よりも若干遅らせ、また水の供給配管に設けられた開閉弁の閉動作を、炭酸ガスの供給配管に設けられた開閉弁の閉動作よりも若干早めることで、貯留部内の水に溶け込む炭酸ガス量を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る炭酸水供給装置を組み込んだ飲料水サーバの外観図
図2】同飲料水サーバの炭酸水供給装置の構成図で、貯留部に炭酸ガスを噴出する前の状態を示す図
図3】炭酸水の供給開始から停止に至るまでを弁の開閉に沿って説明した図
図4】同飲料水サーバの炭酸水供給装置の構成図で、貯留部に炭酸ガスを噴出している状態を示す図
図5】別実施例を示す図2と同様の図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
飲料水サーバは本発明に係る炭酸水供給装置を組み込んだサーバ本体1を備え、このサーバ本体1上に水タンク2が交換可能にセットされる。水タンク2については本体1の下部に収納するようにしてもよい。この場合はポンプで水タンク2内の水を汲み上げる構造になる。
【0019】
サーバ本体1の中間高さ位置には正面に向かって開放されたスペース3が形成され、このスペース3の天井部には湯の供給口4、冷水の供給口5および炭酸水の供給口6が設けられ、スペース3の底面はコップ等の載置面とされている。
【0020】
前記供給口4,5,6の上方の本体1の正面には押しボタン4a,5a,6aが設けられ、その上に供給口4,5,6から何が供給されるかを表示している。消費者は好みのボタンを押すことで、ほしい量の湯、水または炭酸水を紙コップ7に注ぐことができる。
【0021】
前記押しボタン4a,5a,6aは消費者が湯、冷水および炭酸水のうちの何がほしいかを要求する手段であり、この要求手段としてはコックなどを用いてもよい。
【0022】
また、前記供給口4,5,6を1つにし、スプール弁などを介して1つの供給口から湯、冷水および炭酸水のいずれかを選択的に供給するようにしてもよい。更に、甘味料などの供給口を追加することもできる。
【0023】
炭酸水供給装置は図2に示すように、炭酸水の供給口6につながる逆U字状をなす供給管8の上流端(供給口と反対側の下端)には炭酸水の貯留部9の上端部が連結され、この貯留部9の下端には炭酸ガス噴出部10の上端部が連結され、この炭酸ガス噴出部10の下端部には前記水タンク2につながる配管11が接続されている。
【0024】
前記炭酸水の供給管8の貯留部9よりも下流部分には開閉弁12が設けられ、前記配管11の炭酸ガス噴出部10よりも上流部分には逆止弁13が設けられている。開閉弁12については押しボタン6aの押圧動作と連動して電磁的に開閉する。
【0025】
前記貯留部9の上半部はテーパー状に絞られ、水が流動する際に旋回して水と炭酸ガスとが混合されやすくしている。この貯留部9の容積は1回に供給する炭酸水の量よりも少ない容量としている。ここで、ボタンやレバーなどを押している限り、炭酸水が供給される構造にあっては、1回に供給する量として飲料水サーバで一般的に使用される紙コップの8分目程度を設定する。
【0026】
前記炭酸ガス噴出部10は筒状をなし、内部に配管11と同径の多孔質部材14を保持している。この多孔質部材14の外側には空間部15が形成され、この空間部15は配管16を介して炭酸ガスボンベなどの炭酸ガス源17につながっている。また、配管16の途中には、前記押しボタン6aの操作と連動する開閉弁18が設けられている。
【0027】
以下に炭酸水の供給手順を設営する。先ず、図3において、開閉弁12、18が閉の状態では、配管11には逆止弁13が設けられているので、貯留部9内は密閉状態になっている。また、前回送り込んだ炭酸水の一部19が貯留部9内に残っている。更に本実施例では開閉弁12が閉じるタイミングを開閉弁18が閉じるタイミングよりも若干早くなるように制御回路を構成している。
【0028】
したがって、貯留部9内の圧力は高まっており且つ貯留部9内のガスは殆どが炭酸ガスであるので、炭酸ガスが貯留部9内に残った炭酸水の一部19に更に溶け込む。
【0029】
斯かる状態からボタン6aを押す。このボタン6aの押圧動作と略同時に開閉弁18が開となり、既に炭酸ガスが溶け込んでいる炭酸水の一部19に追加の炭酸ガスを供給し、更に炭酸ガス濃度が高まる。
【0030】
開閉弁18の開から若干(例えば0.1〜1.0秒)遅れて開閉弁12が開となる。開閉弁12が開となると貯留部9内の炭酸水は貯留部9内の圧力によって炭酸水の供給端末管8を介して紙コップ7に供給される。また、貯留部9内の圧力が低下するため逆止弁13が開となり、水タンク2内の水が配管11を介して貯留部9内に送り込まれる。この間も継続して炭酸ガスは貯留部9内に供給されるため、貯留部9内に送り込まれた水は炭酸水となって送り出される。
【0031】
次いで、ボタン6aの押圧動作を止めると、略同時に開閉弁12が閉じる。一方開閉弁18は開閉弁12が閉じてから、若干(例えば0.1〜1.0秒)遅れて閉となるように制御回路を構成している。したがって、貯留部9内が密閉状態となった後も所定時間炭酸ガスが貯留部9内に供給され貯留部9内の圧力が高まり、次回供給する最初の炭酸水中の炭酸濃度が高まる。
【0032】
この後、開閉弁18が閉となり、貯留部9内に残った炭酸水は高い炭酸ガス圧力下で静置され、この間に炭酸ガスが溶解する。
【0033】
図5は別実施例を示し、前記実施例では供給端末管8に至る配管の上昇ラインの途中に炭酸水の貯留部9を設け、所定量の炭酸水が残るようにしたが、この実施例ではU字トラップの上流側(下降ライン)に炭酸ガス噴出部10を設けた。このような構成とすると、炭酸ガス噴出部10よりも下流側の炭酸水が残留する部分が多くなるので、拡径した特別の貯留部を設けなくとも炭酸ガス噴出部10よりも下流側全体を貯留部として利用することができる。
【0034】
実施例では、サーバ本体1の上部に水タンク2セットするタイプの構造を示したが、水タンク2をサーバ本体1の下部の内部にセットし、ポンプを使って水タンクの水を圧送するようにしてもよい。更に、水タンクは使わずに水道直結タイプとしてもよい。
【0035】
また、実施例では炭酸水の他に、冷水及び温水を供給できるサーバを示したが、冷水及び温水以外の飲料、或いは炭酸水のみを供給するサーバでもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…サーバ本体、2…水タンク、3…スペース、4…湯の供給口、5…冷水の供給口、6…炭酸水の供給口、4a,5a,6a…押しボタン、7…紙コップ、8…炭酸水の供給管、9…貯留部、10…炭酸ガス噴出部、11…水タンクにつながる配管、12…開閉弁、13…逆止弁、14…多孔質部材、15…空間部、16…炭酸ガス源につながる配管、17…炭酸ガス源、18…開閉弁、19…炭酸水。
【要約】
【課題】小型且つ軽量で炭酸水も供給できる飲料水サーバを提供する。
【解決手段】
一回の炭酸水の供給が終了すると、貯留部8内には前回の供給の際に炭酸ガスが吹き込まれた炭酸水16が残る。次いで、前記押しボタン6aを操作すると、開閉弁10及び開閉弁15が連動して同時に「開」となる。開閉弁10が開となることで、水タンク2内の水が配管9、炭酸ガス噴出部8、貯留部7及び供給口6を介して紙コップ17内に注がれる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5