(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されており、第1の音受容開口部を通じて空気伝送音波を受け、かつ第2の音放出開口部を通じて空気伝送音波を放出するように構成された回旋状の音響ホーンを備えるイヤピース本体であって、
前記第1の音受容開口部の断面積は前記第2の音放出開口部よりも約150〜約1600の漸増率だけ大きく、前記第2の音放出開口部はオフセット開口部であり、前記回旋状の音響ホーンを提供するために、前記第1の音受容開口部と前記第2の音放出開口部とは互いに流体接続されており、
前記イヤピース本体は前記イヤピース本体に取り付け可能なイヤチップを受け入れるように構成されており、前記イヤチップは使用者の耳の外耳道に装着するように構成されており、前記イヤピース本体と前記イヤチップとを組み合わせて受動的聴力保護デバイスを提供する、イヤピース本体。
前記回旋状の音響ホーンは、前記回旋状の音響ホーンの前記第2の音放出開口部のいずれの部分も前記回旋状の音響ホーンの前記第1の音受容開口部のどの部分とも重なった関係にないオフセット螺旋の形態である、請求項1に記載のイヤピース本体。
前記回旋状の音響ホーンは、ホーン長さ1センチメートルあたりの漸増率変化が約50〜約400の範囲である全体的なテーパを示す、請求項1に記載のイヤピース本体。
前記イヤピース本体の外面に配置された機械的スイッチを備えており、この機械的スイッチは、バルブに作動的に接続され、前記回旋音響ホーン内における音の空気伝送を少なくとも一部遮断するために前記機械的スイッチを使用して前記バルブを少なくとも部分的に閉じることができる、請求項1に記載のイヤピース本体。
前記デバイスは音レベル依存音減衰物理的特徴部を備えており、前記音レベル依存音減衰物理的特徴部は、前記音響ホーンの前記第2の音放出開口部から放出されたあらゆる空気伝送音が前記イヤチップの前記主要音受容開口部に到達する前に前記音レベル依存音減衰物理的特徴部に遭遇しなければならないように、前記音響ホーンの前記第2の音放出開口部と前記イヤチップの前記主要音受容開口部との間に配置されている、請求項14に記載のデバイス。
前記音レベル依存音減衰物理的特徴部は音響フィルタであり、前記音響フィルタは、前記イヤピース本体の突出した柱の内部に成形された表面によって少なくとも部分的に画定されるチャンバ内に取り付けられており、前記音響ホーンの前記第2の音放出開口部から放出された音が前記イヤチップの前記主要音受容開口部に到達するためには前記音響フィルタを通過しなければならない、請求項15に記載のデバイス。
前記イヤピース本体は少なくとも1つの接触面を備えており、前記少なくとも1つの接触面は、前記デバイスが使用者の耳に装着されると、前記少なくとも1つの接触面が、前記使用者の耳の甲介の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する耳の部位の皮膚表面に接触するように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
前記イヤピース本体の前記少なくとも1つの接触面は、前記デバイスが使用者の耳に装着されると、前記少なくとも1つの接触面が前記使用者の耳の耳珠、対珠及び前記対珠の近傍の対輪の一部分の皮膚表面のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている、請求項17に記載のデバイス。
前記イヤピース本体は、前記デバイスが前記使用者の耳に装着されたときに、前記デバイスが、前記デバイスの前記イヤピース本体と、前記使用者の耳の耳珠、対珠及び前記対珠の近傍の対輪の一部分のうちの少なくともいずれか2つとの圧縮嵌合によって少なくともある程度前記耳内に保持されるように構成されている、請求項18に記載のデバイス。
前記イヤピース本体は、前記デバイスが前記使用者の耳に装着されたときに、前記イヤピース本体が少なくとも実質的に耳甲介腔内にあるように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
前記イヤピース本体は、前記デバイスが前記使用者の耳に装着されたときに、前記イヤピース本体の少なくとも実質的にどの部分も前記使用者の耳の耳甲介舟へと延びないように構成されている、請求項20に記載のデバイス。
前記イヤピース本体は、前記デバイスが前記使用者の耳に装着されたときに、前記イヤピース本体の少なくとも実質的にどの部分も、前記イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に沿って、前記使用者の耳の甲介の外側に延びないように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されており、第1の音受容開口部を通じて空気伝送音波を受け、かつ第2の音放出開口部を通じて空気伝送音波を放出するように構成された回旋状の音響ホーンを備える少なくとも1つのイヤピース本体であって、
前記第1の音受容開口部の断面積は前記第2の音放出開口部よりも約150〜約1400の漸増率だけ大きく、前記第2の音放出開口部はオフセット開口部であり、前記回旋状の音響ホーンを提供するために、前記第1の音受容開口部と前記第2の音放出開口部とは互いに流体接続されている、少なくとも1つのイヤピース本体と、
前記使用者の耳の外耳道に装着するように構成された少なくとも1つのイヤチップであって、前記イヤチップは、更に、前記イヤピース本体に取り付け可能であるように構成されている、イヤチップと、を備える、キット。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で開示するデバイス並びにヒトの耳内におけるその配置及び機能の記載を明確にするために、以下の用語に従う。(本明細書中に記載される多くの説明は図に見られるようなヒトの右耳及びその中に装着されるデバイスに関するものであり、対応する説明は、ヒトの左耳及びその中に装着される同様のデバイスに当てはまることは理解されよう。)本発明で使用する場合、「内側」は、デバイスが装着されている耳の内耳の方という意味であり、「外側」は、デバイスが装着されている耳の内耳から遠ざかる方を意味する。イヤピース本体の内側から外側に延びる軸IO
a(例えば
図2、
図4及び
図5に示されるような)は、本体が使用者の耳に装着されたときに少なくともほぼこの方向に沿って配向される軸を意味する。「径方向内側」及び「径方向外側」はそれぞれ、この軸に向かう径方向内側及びこの軸から遠ざかる径方向外側(例えば、この軸に少なくともほぼ直交する方向に)を意味する。時計回り方向及び反時計回り方向という用語は、それらの慣例的な意味を有する。上部、上方、上端、上方等、及び下部、下方、下端、下などのような用語は、ヒトの耳に沿ってほぼ上下に延びる軸を基準としたそれらの慣例的な意味を有する(例えば、耳たぶがヒトの耳の下端である)。
【0006】
性質又は属性の修飾子として本明細書で使用する場合、「ほぼ」という用語は、特に定めのない限り、当業者には、高度の近似(例えば、定量化可能な性質の場合、+/−20%以内)を要することなく性質又は属性を容易に認識可能であることを意味する。特に定めのない限り、「実質的に」という用語は、高度の近似(例えば、定量化可能な性質の場合、+/−10%以内)を意味する。「本質的に」という用語は、非常に高度の近似(例えば、定量化可能な性質の場合、プラス又はマイナス2%以内)を意味する。「少なくとも本質的に」という語句は、特定の「厳密な」一致の場合を包摂することは理解されよう。しかしながら、「厳密な」一致、又は例えば、同じ、等しい、同一、均一、一定などの用語を使用する任意の他の特性であっても、絶対の正確さ又は完全な一致を要とするというよりもむしろ、特定の状況に当てはまる通常の許容範囲又は測定誤差の範囲内であることは理解されよう。本明細書中における数値パラメータ(寸法、比率等)のあらゆる参照は、(別途注記のない限り)特に、可変パラメータの場合、パラメータのいくつかの測定値から得た平均値の使用によって計算可能であると理解される。
【0007】
図1の例示的実施形態に示すように、本明細書においては、ヒトの耳の甲介に装着するのに適した聴力保護デバイス1が開示される。少なくともいくつかの実施形態においては、デバイス1は受動的なデバイスであり、電子的な聴力保護デバイスとは区別される。
図1及び
図2に示すように、デバイス1は、2つの主要構成要素、イヤチップ40とイヤピース本体10とを備える。イヤピース本体10は、ヒトである使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されている(すなわち、形状及び大きさに作られている)とともに、空気伝送音を受けるように構成されている。空気伝送音は、回旋状の音響ホーン20(
図3及び
図4において最も容易に見られる)へと送られ、回旋状の音響ホーン20を通り、その後、回旋状の音響ホーン20から放出されてイヤチップ40によって受けられる。イヤチップ40は、使用者の耳の外耳道に装着する(この用語は、イヤチップ40の少なくとも一部分を外耳道の外側部分に装着すること広く意味するものであり、イヤチップ40の全体が外耳道に装着されなければならないことを意味するものではない)ように構成されている(すなわち、形状及び大きさにされており、かつ適切な柔軟性を持つ材料を含む)。少なくともいくつかの実施形態では、所望であれば、イヤチップ40を取り外して掃除することができる又は交換することができるように、イヤチップ40はイヤピース本体10に着脱可能に取り付けられている。他の実施形態では、イヤチップ40は、イヤピース本体10と共に、例えば、イヤピース本体10に着脱不能に取り付けられて供給されてもよい。
【0008】
例示的なイヤピース本体10を(イヤチップ40と併せて)
図1及び
図2に、並びに
図3〜
図5の部分図に示す。イヤピース本体10は筺体11を備える。筺体11は、例えば、成形高分子材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、筺体11は、2つの主要筺体部品、例えば、内側主要筺体部品と外側主要筺体部品とを共に嵌合させることによって形成してもよい。他の実施形態では、筺体11(及び例えば、イヤピース本体10の全体)は、例えば、3D印刷によって作製した単一の実体を含んでもよい。筺体11は少なくとも部分的に内部22(例えば、
図5に示されている)を画定し、内部22内に、回旋状の音響ホーン20が設けられている。これについては本明細書で後に詳述する。
図5の断面図は音響ホーン20以外のイヤピース本体内部22の大部分が中実として示される単なる理想的な表現であることが強調される。これは音響ホーン20の可視化を容易にするために行うものであり、多くの実施形態では、イヤピース本体10の内部22は、音響ホーン20を集合的に提供する空隙に加えて、1つ以上の空隙を備えてもよい。このような付加的な空隙は、例えば、本明細書で後述する他の構成要素又は特徴部のための空間を提供してもよい。
【0009】
少なくともいくつかの実施形態においては、筺体11は、硬質又は半硬質材料、例えば、イヤチップ40の材料ほど軟質かつ変形可能でない材料を含んでもよい。種々の実施形態では、筺体11は、ショアAスケールで少なくとも約70、80、90又は100の硬度を持つ有機高分子材料(例えば、熱可塑性射出成形樹脂)を含んでもよい。
【0010】
音響ホーン
図3〜
図5の例示的実施形態に見られるように、イヤピース本体10は音響ホーン20を備える。定義上、音響ホーンは、第1の音受容開口部13(すなわち、入口)と、第2の音放出開口部17(すなわち、例えば、
図5に見られるような出口)と、を備えており、入口に入る空気伝送音がホーン内を移動して出口から放出され得るように、第1の音受容開口部13と第2の音放出開口部17とは互いに流体接続されている。定義上、入口13がホーンの「口」として機能する一方で、出口17がホーンの「のど」として機能するように、音受容入口13の面積は音放出出口17よりも大きい。
【0011】
いくつかの実施形態では、音受容入口13は、少なくともほぼ外側に面した開口部(例えば、
図1及び
図3、並びに特に
図5から明らかなように)であり、これは、音受容入口13がイヤピース本体10の内側から外側に延びる軸IO
aに沿って少なくともほぼ外側に面することを意味している。他の実施形態では、音受容入口13は少なくともほぼ内側に面した開口部であってもよい。少なくともいくつかの実施形態においては、音放出出口17は、少なくともほぼ内側に面した開口部である(
図5の例示的実施形態では、出口17は、内側から外側に延びる軸IO
aからわずかな角度離れているとはいえほぼ内側に面していることに留意されたい)。
【0012】
音響ホーン20は回旋状のホーンであり、回旋状のという用語はその通常の意味を有する。すなわち、ホーン20は、少なくとも例えば、略蛇行状(generally tortuous)、蛇行状(serpentine)、コイル状又は螺旋状の経路をとる(ホーンの長さに沿って入口13から出口17まで)。このような回旋状のホーン(
図3及び
図4の例示的実施形態に最も容易に見られるような)は、例えば、「ヘアピン」ホーンとは区別される。「ヘアピン」ホーンは、その長手方向に、鋭く湾曲する部分を1つのみ備えており、ホーン長さの残りは比較的真っ直ぐである。
【0013】
いくつかの実施形態では、音響ホーン20は螺旋状のホーンであってもよい。これは、ホーン20の長さの少なくともかなりの部分(少なくとも約35パーセントを意味する)が、ホーンの長さを入口13から出口17へと移動する際、内側方向に移動する螺旋状の経路を示すことを意味する。このような螺旋状のホーン経路は、経路のほとんど又は本質的にすべてが軸IO
aに沿った比較的一定の位置にある平面内にある少なくとも実質的に平坦な螺旋状経路とは区別される。音響ホーン20が螺旋状のホーンである更なる実施形態では、ホーンの経路長の少なくとも40、50、60、70又は80パーセントが螺旋状の経路を示す。
【0014】
経路長(又はホーン20の任意の他の特性)を測定する目的で、ホーン20の「経路」を、ホーン20の中心線に沿って入口13から出口17までトレースする。(詳細に後述するように、及び例えば、
図5で明らかなように、ホーン20の出口17は必ずしも音放出開口部(
図5の参照符号12)(音放出開口部を通って空気伝送音がイヤピース本体10を出る)と同じ開口部である必要はない。)ホーンの断面積がホーンの長さに沿って円形である単純なケースのホーンにおいては、このような経路は、ホーンを入口から出口までたどり、それぞれの連続する円形断面の幾何学的中心をホーンの長さにわたって繋げた、単純に中心線のトレースである。他の形状(例えば、正方形、矩形、二等辺三角形等)では、このような経路は、同様に、ホーンの長さに沿ってそれぞれの連続する断面の幾何学的中心をたどる。例えば、不規則形状、非二等辺三角形等では、ホーンのそれぞれの連続する断面スライスの質量中心(重心)を使用して、経路を設けることができる。ホーンの断面形状がその長さに沿って変化する場合、必要に応じてこれらのいずれかを併用してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、音響ホーン20は少なくとも1つのアンダーパス特徴を示してもよい。アンダーパス特徴は、
図4のように、ホーンを、内側から外側に延びる軸IO
aに沿って外側から内側に見た場合、ホーンの内側部分の断面積の少なくとも一部分が、ホーンの外側部分の断面積の少なくとも一部分の内側下にある(かつホーンの外側部分の断面積の少なくとも一部分から、音響ホーンの一部ではないイヤピース本体10の内部22のいくらかの体積によって分離されている)ものである。つまり、このように見た場合、ホーンのこのような内側部分は少なくとも部分的にホーンの外側部分の下内側を通過する。2つのこのようなアンダーパス特徴部18及び19を
図3及び
図5、及び特に
図4において見ることができる。種々の実施形態では、音響ホーン20は、ゼロ、1つ、2つ、3つ、4つ又はこれを超える数のアンダーパス特徴部を有してもよい。
【0016】
オフセット開口部
いくつかの実施形態では、回旋状のホーン20の第2音放出開口部(出口)17は、オフセット開口部であってもよい。これは、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸IO
aに沿って見た場合、ホーン20の開口部(出口)17がイヤピース本体10の幾何学的中心(質量中心)に重なっていないことを意味する。
図4の(内側から外側に延びる軸に沿った)図は、したがって、その図に示される例示的な出口17がオフセット開口部であることを示している。このようにオフセットしたホーン出口(例えば、実質的にイヤピース本体の幾何学的中心に位置するホーン出口とは対照的に)は、有利には、イヤピース本体のある部分が使用者の耳のある部分(例えば、耳珠及び/又は対珠)に当たり、不快感を生じさせる可能性なく、より大きなイヤピース本体(かつしたがって、より大きな及び/又はより長いホーン)を使用することを可能にし得ることは理解されよう。
【0017】
いくつかの実施形態では、回旋状のホーン20の第1の音放出開口部(入口)13がオフセット開口部であってもよい。これは、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸IO
aに沿って見た場合、ホーン20の開口部(入口)13がイヤピース本体10の幾何学的中心(質量中心)に重なっていないことを意味する。いくつかの実施形態では、入口13と出口17とは、ホーン20がオフセット螺旋の形態をとるように配置されている。これは、(同じく、内側から外側に延びる軸に沿って見た場合)出口17のいずれの部分も入口13のどの部分とも重なっていないことを意味する。
図4の図は、したがって、図に示される例示的なホーン20がオフセット螺旋の形態であることを示す。
【0018】
いくつかの実施形態では、音響ホーン20は、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に沿って見た場合、偏心螺旋(eccentric spiral)の形態をとってもよい。偏心とは、ホーンの同心円状に隣り合うセグメント間の間隔(セグメントの上記中心線間において測定した)が一定でないことを意味する。
図4の例示的なホーンは、したがって、偏心しオフセットした螺旋の形態をとっていることが分かる。このような配置は、例えば、有利には、イヤピース本体10の内部22に、内部構成要素、機構等(例えば、本明細書で後述するバルブ25に関連する構成要素)のための空間を与えられ得ることが理解されよう。いくつかの実施形態では、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に沿って見た場合、ホーン20は、(ホーンの上記中心線経路をたどることによって確認されるように)入口13と出口17との間の長さに沿って少なくとも0.5、0.8、1.0.1.2又は1.4回転してもよい。更なる実施形態では、ホーン20はこの長さに沿って2.0、1.8又は1.6回転未満を行ってもよい(
図4の例示的なホーンは約1.5回転しているようにみえる)。
【0019】
当業者であれば、音響ホーン20は、有利には、少なくともある周波数の空気伝送音が入口13により受けられ(集められ)、ホーン20の長さを下って伝送され、出口17を通じてホーン20を出ることを可能にし得ることを理解するであろう。ホーン20の減少する断面積により、ホーン20を下って移動する間、音波の強度が増すことになる。したがって、イヤピース本体内に音響ホーン20を設けることで、少なくともある周波数において、挿入損失を少なくとも一部相殺することができる。挿入損失はイヤピース本体が甲介に挿入されたときに生じることが多く、そのため、外耳の自然な音収集効果を阻害する。
【0020】
ホーン効果は、したがって、ホーン入口13をホーン出口17よりも大きくすることによって実現される。種々の実施形態では、第1の音受容開口部(入口)13の面積は、第2の音放出開口部の面積よりも約150〜約1400の漸増率だけ大きくてもよい。更なる実施形態では、入口の面積は出口の面積よりも約200〜約1000又は約250〜約600の漸増率だけ大きくてもよい。漸増率は、小さい方の出口開口部を基準として使用し計算される。例えば、37.0mm
2の面積を有する開口部及び2.7mm
2の面積を有する出口を想定すると、開口部は出口よりも(37.0−2.7)/2.7すなわち約1270の漸増率だけ面積が大きい。(厳密には、このような計算で使用する入口13の面積は、詳細に後述するように、目的の音周波数において音響的に透明でない、例えば、メッシュ又はスクリーンの中実材料によって塞がれているあらゆる面積を除いた有効面積である)。
【0021】
種々の実施形態では、ホーン入口13の面積は少なくとも約25、30又は35mm
2であってもよい。更なる実施形態では、ホーン入口13の面積は、多くとも約50、45又は40mm
2であってもよい。種々の実施形態では、ホーン出口17の面積は、少なくとも約1.5、2.0又は2.5mm
2であってもよい。更なる実施形態では、ホーン出口17の面積は、多くとも約4.0、3.5又は3.0mm
2であってもよい。種々の実施形態では、入口13から出口17までのホーン20の長さは、少なくとも約3.0、3.5、3.8又は4.0cmであってもよい。更なる実施形態では、ホーン20の長さは、多くとも約5.5、5.0、4.5、4.2又は4.0cmであってもよい。
【0022】
出口17の面積が入口13よりも小さいことでホーン20がテーパを示すこととなる。種々の実施形態では、ホーン20は、ホーン長さ1センチメートルあたり少なくとも約50、100、150、200、250、300、又は350の漸増率の全体的なテーパ(ホーン長さ全体にわたって測定した)を示してもよい。更なる実施形態では、ホーン20は、ホーン長さ1センチメートルあたり多くとも約450、400、350又は300の漸増率の全体的なテーパを示してもよい。特定の例として、面積が37.0mm
2の入口、及び面積が2.7mm
2の出口面積を有し、長さが4cmのホーンは、([37.0−2.7]/2.7)/4の漸増するテーパ、すなわちホーン長さ1cm当たり約320の漸増率を示す。ホーン20の長さに沿う任意の特定の箇所における局所テーパは全体的なテーパ又はコースとは異なっていてもよい。つまり、場合によっては、テーパはいくつかの位置においてより顕著であってもよく、他の位置においてより顕著でなくてもよい。この例示的態様の1つは、ホーン20が、ホーン20の長さにわたっていくつか(例えば、4つ、3つ、2つ、又は更には1つ)の、面積の段階的変化を示す設計である。このような設計は本明細書で開示する音響ホーンの範囲内であるが、他の実施形態では、ホーン20は少なくともほぼ一定のテーパを示してもよい。少なくともほぼ一定のテーパとは、局所テーパが、経路長の少なくともかなりの部分(すなわち、80%)にわたって、全体的な平均テーパのプラス又はマイナス10%以内であることを意味する。この文脈では、一定のテーパには、ゼロ又はほぼゼロ(すなわち、ホーン長さ1cm当たり10未満の漸増率)のテーパという特定のケースを含まない。特定の実施形態では、ホーン20は滑らかにテーパしている。滑らかにテーパしているとは、ホーン20の長さが入口13から出口17へと進む際、ホーンの面積がホーンの長さに沿ういかなる箇所においても増加しないことを意味する。ホーン20は、ホーン20の長さに沿う一部又は全部の位置において少なくともほぼ円形の形状を有すると好都合な場合があるが、形状は特に限定されず、その長手方向の任意の所与の位置において、ホーン20は任意の好適な形状(例えば、正方形、矩形、楕円形、三角形、不規則形等)を有してもよい。種々の実施形態では、ホーン20は、少なくともほぼ、実質的に又は本質的に、円錐ホーン、指数ホーン又はトラクトリクスホーンに相当する形状を有してもよい。
【0023】
少なくともいくつかの実施形態においては、入口13及び出口17はホーン20の唯一の開口部である(開口部によって空気伝送音波がホーン20に入ったりホーン20を出たりすることができる)。ホーン出口17は、定義上、ホーン20の内側端部である。本明細書中の別の箇所で示されるように、ホーン出口17は、必ずしもイヤピース本体10の最も内側の及び/又は末端の開口部に該当しなくてもよい(例えば、
図5に示す例示的な設計では、ホーン出口17はイヤピース本体10の音放出アウトレット12とは区別され、アウトレット12はイヤピース本体10の最も内側の位置に配置されている)。
【0024】
いくつかの実施形態では、ホーン入口13は実質的に塞がれていない開口部であってもよい。実質的に塞がれていない開口部とは、開口部の利用可能であり得る面積の20%以下が空気不透過性材料によって(例えば、スクリーン、メッシュ、多孔板等の中実部分によって、又は何らかの他の物品によって)塞がれていることを意味する。更なる実施形態では、ホーン入口13は塞がれていない開口部である。塞がれていない開口部とは、開口部の利用可能であり得る面積のどの部分も空気不透過性材料によって塞がれていないことを意味する。
図1及び
図4に示す例示的実施形態では、利用可能であり得る面積(すなわち、開口部13を画定する円形周縁によって境界を与えられた面積)全体のどの部分も塞がれていないことから、入口13は塞がれていない開口部である。このような実施形態は、例えば、開口部の利用可能であり得る面積のかなりの部分、又は更には、大部分が塞がれている設計とは対照的であり得る。塞がれた開口部の特定の例は、音波を収集するために利用可能な開口部の使用可能面積が、開口部の面積全体を使用していれば利用可能であったはずの面積よりもかなり小さな面積を有する円環であるように、開口部の大部分の中に円筒状の部材が配置されている開口部であろう。
【0025】
本明細書で開示する回旋状のホーン設計は、大きさ及び外観が比較的目立たず、特に比較的薄型の(例えば、甲介から大きく突出しない)イヤピース本体を有する場合であっても、比較的長いホーン長さを実現することが可能となることは理解されよう。この比較的長いホーン長さは、本明細書で開示するテーパと併せて、音響ホーン20が約2KHzの範囲内のカットオフ周波数(これより下では、音はほとんど又は全く効果的に集められない及び/又は増強されないことがある)を示すことになり得る。これにより、音響ホーン20は、例えば、ヒトの会話の了解度にとって最も有用な波長域内の音、すなわち、例えば2KHz以上の範囲の音を選択的に増幅することができるということになり得る。(厳密には、ホーン20はこのような音を、使用者の耳内にあるイヤピース本体10が存在しない状態で聞こえるもの以上に「増幅する」とは考えられず、むしろ、ホーン20は、耳内にイヤピース本体を配置する際に生じて外耳の自然な音採集及び収集能力を妨げる挿入損失の補償を補助する。)
【0026】
特定の実施形態では、聴力保護デバイス1内に、ホーン20と併せてレベル依存音減衰特徴部(例えば、本明細書で後述するレベル依存音響フィルタ)を用いることで、デバイス1が使用者を大きな音から適切に保護することをなお可能にしつつも、デバイス1がヒトの会話の了解度を高めるのを可能にし得る。また、本明細書で後述するように、更なる実施形態では、デバイス1内の全音響経路に沿ったいずれかの位置にバルブを設けることで、所望であれば、デバイス1を「閉じた」イヤプラグへと可逆的に変換することを可能にできる(例えば、使用者が、比較的大きな強度の音が頻繁に又は常時存在するため、可能な限り最大の音の遮断が望まれる環境にいる場合)。
【0027】
イヤピース本体10は、少なくともほぼ内側に面した空気伝送音放出アウトレット12(
図2及び
図5に最も容易に見られる)を備えており、少なくともほぼ内側に面した空気伝送音放出アウトレット12は、イヤチップ40の貫通路41の主要音受容開口部42を空気伝送音放出アウトレット12に音響的に結合することを可能にする位置に便利に設けられていてもよい。「音響的に結合される」とは、アウトレット12から放出される音波がアウトレット12から開口部42へと(例えば、直接)移動することができるように、イヤピース本体10のアウトレット12とイヤチップ40の主要音受容開口部42とが互いに流体接続されていることを意味する。
図2及び
図5に最も容易に見られる例示的実施形態において、イヤチップ40の外側端部46が突起14に取り付けられているとき、イヤピース本体10のアウトレット12とイヤチップ40の開口部42とが互いに位置合わせされ、かつ互いに極めて接近するように、アウトレット12は、(デバイス1が使用者の耳に装着されているとき)内側に延びる中空突起14(例えば、柱)の末端部の近傍に設けられていてもよい。(多くの実施形態では、イヤチップ40の外側端部46は、例えば、圧縮嵌合による確実な接続を行うために突起14上に押し付けられてもよい。そのため、厳密には、アウトレット12から放出される音を受けるイヤチップ40の開口部42は、貫通路41の外側終端にあるのではなくむしろイヤチップ40の貫通路41に沿った幾分内側に配置されていてもよい)。いくつかの実施形態では、イヤピース本体10の突起14は、イヤピース本体10の筺体11と同じ組成及び性質(例えば、同一材料から作製されている)のものであってもよい。特定の実施形態では、突起14は、筺体11の一体部分であってもよい(この条件には、筺体11が2つの主要筺体部品を共に組み合わせることで形成される特定の例において、突起14が主要筺体部品の一体部分であるケースを含む)。
【0028】
いくつかの実施形態では、イヤチップ40はイヤピース本体10に着脱可能な状態で取り付けてもよい(例えば、イヤチップの外側端部46はイヤピース本体10の突起14に取り付けられる)。これは、例えば、イヤチップ40を掃除する、イヤチップ40を新しい又は掃除済みのイヤチップと交換する等のために、使用者がイヤチップ40をイヤピース本体10から手で(すなわち、プライヤ、ねじ回し、プライバー等などのなんらかの特殊な工具を用いることなく指のみで)分離することができることを意味する。
図1及び
図2に示す特定の実施形態では、イヤピース本体10へのイヤチップ40の着脱可能な取り付けは、イヤチップの本体43の環状部分を突起(柱)14の径方向外側表面上に摩擦嵌合することにより行われてもよい。(ここ及び別の箇所では、環状という用語は広く使用され、厳密に又は更には実質的に円形の幾何学的形状を意味しない又は必要としない)。しかしながら、イヤチップ40をイヤピース本体10に着脱可能に取り付ける任意の適切な方法を使用することができることは理解されよう。
【0029】
少なくともいくつかの実施形態においては、デバイス1は、少なくとも1つのレベル依存音減衰物理的(すなわち、非電子的)特徴部23を含んでもよい。このような特徴部は、少なくともいくつかの周波数において、その特徴部が低強度の音を減衰させるよりも多く高強度の音を減衰させる。このような特徴部は、例えば、細長い音伝送通路の長さに沿ったある位置における1つ以上のオリフィス、制限部又は閉塞部の形態をとってもよく、この特徴部は、音がこの特徴部を通るための、通路41の平均径と比較すると大幅に減少した断面積を提供する。このようなレベル依存音減衰特徴部は、任意の適切な音伝送通路内に、例えば、音響ホーン20の長さに沿った任意の箇所に、又はイヤチップ40の貫通路41の長さに沿った任意の箇所に配置されていてもよい。しかしながら、特定の実施形態では、音響ホーンの出口17から放出されるあらゆる空気伝送音がイヤチップの主要音受容開口部42に達する前に音レベル依存音減衰物理的特徴部に遭遇しなければならないように、このような特徴部23を音響ホーン20の第2の音放出開口部(出口)17とイヤチップの主要音受容開口部42との間に配置すると有利であり得る。このような配置は、
図5の代表的な実施形態に示される。
図5の例示的な設計では、音レベル依存音減衰物理的特徴部は、イヤピース本体10の突出した柱14の内部に成形された表面によって少なくとも部分的に画定されるチャンバ24内に取り付けられたレベル依存音響フィルタ23である。この一般的な種類の構造では、音響ホーン20の第2の音放出開口部17から放出される空気伝送音が(アウトレット12を通じて)イヤピース本体10を出て、イヤチップ40の主要音受容開口部42に達するためには、音響フィルタ23を通過しなければならない。
【0030】
任意の適切なレベル依存音響フィルタを使用してもよい。種々の適切であり得る音響フィルタは、例えば、米国特許第6148821号、同第6070693号、同第6068079号及び同第5936208号、並びに米国特許出願公開第2014/0190494号に詳細に記述されている。
図5に示される特定の実施形態では、音響フィルタ23は、その少なくとも1つの端部に比較的小さな直径の孔を有する中空の略ドラム形状の実体であり、チャンバ24内に取り付けられる(例えば、圧縮嵌合される及び/又は接着剤若しくは任意の他の手段によって保持される)。
【0031】
特定の実施形態では、上記の位置に配置されたレベル依存音減衰物理的特徴部(例えば、音響フィルタ)はデバイス1内に存在するこのような特徴部の唯一のものである。つまり、いくつかの実施形態では、レベル依存音減衰物理的特徴部(単数又は複数)はイヤチップ40の通路41内に存在しない。例えば、いくつかの実施形態では、通路41は、例えば、その長さに沿って、例えば、プラス又はマイナス20%を超えて変化しない平均径(又は等価径)を有する中空導管である場合がある。同様に、いくつかの実施形態では、このようなレベル依存音減衰物理的特徴部は音響ホーン20の長さに沿ったいずれの場所にも配置されない。
【0032】
当業者であれば、
図5に示す例示的な設計では、上記の出口17は音響ホーン20の内側端部に相当し、チャンバ24及びその中の音響フィルタ23は(イヤチップ40の通路41も)音響ホーン20の一部ではないことを理解するであろう。当業者であれば、更に、このような配置は、音響フィルタ/ダンパが音響ホーンの長さの範囲内のある位置に(例えば、ホーンの長さに沿った中間点と3分の2との間)に明らかに配置される設計とは区別されることを理解するであろう。当業者であれば、音響ホーンの長さの範囲内に音響フィルタ/ダンパを配置することは、ホーンの機能に不利に影響する可能性がある(及び実際には、事実上、ホーンを2つの別個の連続するホーンへと分割する可能性があり、不利な結果を伴う)ことを理解するであろう。したがって、当業者であれば、本明細書で開示する任意のこのようなレベル依存音減衰物理的特徴部(例えば、音響フィルタ)を配置することは、音響ホーン20を最大の効率で使用することを有利に可能にし得ることを理解するであろう。
【0033】
所望であれば、イヤピース本体10は少なくとも1つのバルブ25を備えてもよく、少なくとも1つのバルブ25は、空気伝送音が音響ホーン20内に伝送されないように、音響ホーン20を部分的に又は完全に閉じるために作動させてもよい。このようなバルブは、任意の適切な種類(例えば、摺動させる、曲げる及び/又はピボット(例えば、ヒンジ)の周りを部分的に回転させることによって開閉できる部材を備えるゲートバルブ)であってもよい。このようなバルブは、音響ホーン20の長さに沿う任意の位置に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、このようなバルブは、音響ホーン20の第2の音放出開口部(出口)17の近傍に配置されていてもよい(
図2の例示的な表示と同様に)。
【0034】
バルブ25は、例えば、任意の適切な種類の機械的スイッチ21(例えば、ロッカスイッチ、スライドスイッチ、回転式スイッチ、ボタンスイッチ等)によって作動させてもよい。このような機械的スイッチは、イヤピース本体10の筺体11の任意の適切な位置にあってもよい。いくつかの実施形態では、スイッチ21はイヤピース本体10の外側表面16に便利に配置してもよく、そのため、イヤピース本体10は、デバイス1を耳から取り外す必要なく操作され得る。特定の実施形態では、バルブ25は音響ホーン20の第2の音放出開口部17の近傍に配置されていてもよい一方で、スイッチ21はイヤピース本体10の外側表面16に(つまり、バルブ25から離れた位置に)配置されている。このような実施形態では、スイッチ21によるバルブ25の動作を容易にするために、スイッチ21とバルブ25とは、例えば、1つ以上のプッシュロッド、ケーブル等によって互いに動作的に接続されていてもよい。音響ホーン20の回旋状の設計は、例えば、イヤピース本体10の内部22内に更なる空隙を設けることと併せて、このような配置を有利に促進し得ることは理解されよう。
【0035】
概して、イヤピース本体10の筺体11は、周囲空気伝送音が、音響ホーン20により提供された所望の経路以外を通ってイヤピース本体10の内部22に入るのを最小限にする(例えば、少なくとも実質的に防ぐ)ように構成され得る。これは、例えば、筺体11内の任意の貫通開口部の数及び大きさを最小にすることによって行ってもよい。いくつかの実施形態では、イヤピース本体10は、音響ホーン20の第1の音受容開口部13及びイヤピース本体10の音放出アウトレット12以外にイヤピース本体10の内部22に通じるなんらかの(塞がれていない)開口部を有しない。
【0036】
更に詳細には、例えば、スイッチなどの構成要素を収容するために貫通開口部が必要な可能性がある筺体11の任意の位置において、このような構成要素は、構成要素が(例えば、密封を形成するために)開口部を少なくとも実質的に塞ぐように、その貫通開口部に嵌合してもよい。これを補助するために、任意の適切なガスケット、シーラント、接着剤等を使用して、任意のこのような構成要素を筺体11内の貫通開口部に取り付けることができる。(同様に、2つ以上の筺体部品が共に嵌合されて筺体11を形成する場合、任意の適切なガスケット、シーラント、接着剤等を同様の効果のために使用してもよい。)これに加え、少なくともいくつかの実施形態では、音響ホーン20は、上述の入口13及び出口17以外の開口部を備えないように構成されていてもよい。このため、イヤピース本体10の内部22に入る可能性のあるあらゆる迷走空気伝送ノイズ(stray airborne noise)がホーン20に入るのを少なくとも実質的に妨げてもよい。同様に、イヤピース本体10の外側周囲に入る可能性のあるあらゆる迷走空気伝送ノイズがイヤチップ40の外側周囲を流れて使用者の内耳に達することを少なくとも実質的に妨げてもよい(イヤチップ40により実現される上記の外部閉塞によって)。更に、イヤチップ40と例えばイヤピース本体10の突起14との間の密封により、イヤピース本体10の外側周囲に入る可能性のあるあらゆる迷走空気伝送ノイズがイヤチップ40の内部通路41に入ることを少なくとも実質的に妨げてもよい。どのように実現されたとしても、このような配置により、例えば、使用者の内耳に到達する少なくとも実質的にすべての空気伝送音が、その入口13を通じて音響ホーン20に入り、音響ホーン20を通過した音であるということになり得、本明細書中に記載されるような有利な結果を伴う。
【0037】
所望であれば、ホーン入口13の少なくとも一部分の外側に、例えば、ホーン20へのデブリの進入を最小限にするための任意の適切な保護要素が配置されてもよい。このような保護要素は、例えば、メッシュ、スクリーン、多孔板等であってもよく、任意の好適な材料で作製されていてもよい。保護要素は、所望であれば、取り外し可能及び清掃可能及び/又は交換可能であってもよい。保護要素の中実材料が、例えば、要素が少なくとも実質的に音響的に透明であるような大きさにされかつ配置される場合、例えば、開口部13の面積を計算する目的において、この要素は無視してもよい(すなわち、全体的な又は公称面積を使用してよい)。しかしながら、保護要素の中実材料が空気伝送音の伝送に無視できない影響を及ぼす場合、このような計算において、例えば、開口部の一部を遮断する任意の保護要素の開口面積比率を考慮して修正された開口部13の「有効」面積を使用してもよい。
【0038】
例示的なイヤチップ40を
図1及び
図2の部分図に示す。イヤチップ40は貫通路41を備える。貫通路41は、イヤチップ40内を外側端部46から内側端部47まで延び、イヤチップ40内における空気伝送音の通過を可能にする。少なくともいくつかの実施形態においては、貫通路41は内部貫通路である。内部貫通路とは、その長さの全体にわたり、(例えば、イヤチップ40の径方向最外側表面に開放された溝又はチャネルであるよりむしろ)通路41がイヤチップ40の材料によって径方向に取り囲まれていることを意味する。貫通路41(例えば、
図2に示すように、イヤチップ40の長軸と少なくともほぼ位置合わせされていてもよい)は、主要音受容開口部(例えば、
図2に示すような開口部42)を備える。主要音受容開口部は、イヤチップ40がイヤピース本体10に取り付けられているとき、空気伝送音をイヤピース本体10から受ける。貫通路41は、使用者の内耳に面する二次音放出開口部45を更に備える。そのため、空気伝送音が内部貫通路41内を伝送され得るとともに、内部貫通路41から使用者の内耳に向かって伝送され得る。
【0039】
少なくともいくつかの実施形態においては、イヤチップ40の少なくとも一部分を外耳道の少なくとも一部分に装着すると、外耳道を外部から塞ぐ。外部から塞ぐとは、イヤチップの少なくともいくつかの径方向外側表面(例えば、表面51)が外耳道の壁の一部と十分に接触し、そうしなければイヤチップと外耳道壁との間に存在する空間を周囲空気伝送音が外耳道に沿って移動し内耳に達するのを実質的に妨げることを意味する。これにより、内耳に到達する少なくとも実質的にすべての又は本質的にすべての空気伝送音が内部貫通路41を通って到達する(したがって、上述のように、イヤピース本体の音響ホーンを通過する)ことになり得る。イヤチップ40はイヤピース本体10にきつく取り付けられてもよく(例えば、少なくとも実質的に漏れない状態で)、更に、同じく上記のように、内耳に到達するあらゆる空気伝送音がイヤピース本体の音響ホーンを通過することになる。
【0040】
更に詳細には、イヤチップとは、その少なくとも大部分が少なくとも径方向内側方向に弾性的に圧縮可能及び/又は変形可能である本体を意味する。そのため、外耳道にイヤチップが挿入されると、イヤチップの少なくともいくつかの部分が径方向外側に弾性的に付勢され、イヤチップの少なくともいくつかの径方向外側表面が外耳道の壁の一部に押し付けられ、イヤチップの少なくともいくつかの径方向外側表面と外耳道の壁の一部との間のあらゆる空隙を実質的に又は完全に除去する。イヤチップ40は長軸Lを含む。長軸Lは、デバイス1がヒトである使用者の耳に装着されると、典型的には、イヤチップが装着されている外耳道の一部分の長軸と少なくともほぼ位置合わせされる。イヤチップ40は、外側端部46と内側端部47とを備えており、端部46は、イヤピース本体10に(永久的又は着脱可能にかかわらず)取り付けられる端部であり、端部47は、使用者の内耳の最も近くに配置される端部である。イヤチップ40は、任意の適切な幾何学的形状の任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イヤチップ40は、弾性的に変形可能及び/又は圧縮可能な有機高分子材料、例えば、適切な成形プラスチック材料を含んでもよい。第1の一般的種類の実施形態では、イヤチップの所望の弾性圧縮性は、例えば、任意の特定の幾何学的設計によってではなくむしろ、有機高分子材料の性質のみにより提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、イヤチップ40は、例えば、弾性圧縮性発泡体を含む略円筒状及び/又はテーパ状の本体からなる可能性がある。第2の一般的種類の実施形態では、所望の弾性圧縮性は、イヤチップの少なくともいくつかの構成要素の幾何学的設計によって提供又は強化されてもよい。例えば、
図1及び
図2に例示的な状態で示すように、イヤチップ40は主要本体(例えば、胴部)43を備えてもよく、主要本体(例えば、胴部)43は、弾性変形可能材料でできた1つ以上の径方向外側に突出したフランジ44を備える。外耳道へのこのようなイヤチップの挿入により、このようなフランジの変形(例えば、イヤチップの外側端部46に向かって押し戻される)がもたらされる可能性があり、したがって、外耳道の壁に対するフランジの表面の所望の弾性付勢が実現される。特定の実施形態では、1つ以上のフランジ44は、外耳道に挿入される前であっても、すでに押し戻された(張り出した又はベル状の)構成で提供されてもよい(
図1及び
図2に例示的な状態で示すように)。特定の実施形態では、このようなフランジは、少なくとも略半球状の形状であってよい。この第2の一般的種類の実施形態では、イヤチップの少なくともある種の構成要素(例えば、フランジ)が弾性変形可能であるとともに、このような変形により、外耳道壁に対するこのような構成要素の表面の所望の弾性付勢を提供することを可能にする幾何学的形状で提供される限りは、イヤチップ40が作製される材料のすべて又は更にはいずれかが大幅に圧縮可能でなければならない必要はない場合があることは理解されよう。
【0041】
いくつかの実施形態では(イヤチップ40がフランジを備える又は備えないにかかわらず)、イヤチップ40(例えば、主要本体43及び存在し得る任意のフランジ)は、有機高分子材料、例えば、弾性変形可能及び/又は圧縮可能材料の単一(例えば、成形)部品からなってもよい。他の実施形態では、イヤチップ40は、例えば、必ずしも弾性及び/又は圧縮可能でないが、その主要本体の径方向外側に1つ以上の弾性変形可能フランジ、弾性圧縮可能材料の1つ以上の環状層等が取り付けられた主要本体を備える可能性がある。(
図1〜
図3に示す一般的種類の設計では、例えば、イヤチップ40の外側開口部(例えば、参照符号42)をイヤピース本体10の突起14上に伸展装着(stretch-fitting)することを容易にするために、イヤチップ40の本体43の少なくとも外側部分は弾性変形可能であり得ることが望ましい場合があることは理解されよう。)
【0042】
いくつかの実施形態では、イヤチップ40はテーパ形状を示してもよく、このテーパ形状は、イヤチップ40が一体部品の形態であるかどうかにかかわらず、又はこのようなテーパ形状が異なる直径を持つ複数のフランジによって段階的に提供されているかどうかにかかわらず、(内耳に面する)内側端部47が狭い端部である。それぞれが外耳道壁接触表面を有する3つのフランジ(44a、44b及び44c)を
図1及び
図2に示すが、任意の数のフランジが使用されてもよい。多種多様な配置が可能であり、
図1及び
図2に示した特定の設計は単なる例示的実施形態であることは理解されよう。種々の実施形態では、イヤチップ40の弾性変形可能及び/又は圧縮可能な部分(又はその全体)が、ショアAスケールで約50、45、40、35、30、25、又は20未満の硬度を示す材料で作製されていてもよい。特定の実施形態では、このようなイヤチップ又はその一部分は、ショアAスケールで約30〜約40の硬度を示す材料で作製されていてもよい。イヤチップ40の特定の設計がどのようなものであろうと、外耳道へのイヤチップ40の挿入により、外耳道の壁に対するイヤチップの表面の所望の弾性付勢を実現するために、イヤチップ40の少なくともある部分は、(イヤチップ40の構成要素が変形していない及び/又は圧縮されていない状態にあるとき)成人の外耳道の平均径よりも少なくとも幾分大きな径方向の直径を有するように好都合に選択されてもよい。イヤチップの例示的な型を詳細に記載してきたが、本明細書で記載されている回旋状の音響ホーンを有するイヤピース本体は、任意の適切な設計の及び任意の好適な材料で作製された任意の適切なイヤチップと共に使用可能であることが強調される。
【0043】
耳の生理学及び耳へのデバイスの装着
使用者の耳への本デバイスの装着について厳密な詳細をもって記載することができるようにヒトの耳の生理学及び特徴について簡潔に示す。
図6を参照すると、ヒトの外耳100は、耳介と呼ばれる広い構造101を含む。耳介101は、耳輪と呼ばれる顕著な外側湾曲縁103を含む。耳輪は、耳輪脚と呼ばれる上部基部領域111において発生し、そこから耳介の径方向外側縁部に沿って反時計回り方向に延びる。耳輪103の径方向内側は対輪と呼ばれる別の湾曲突出部107であり、対輪は、甲介として知られている幾分皿形の陥凹部106を一部周方向に取り囲むように、対輪脚と呼ばれる上部基部領域112から略反時計回り方向に延びる。甲介106は少なくともある程度、耳輪脚111によって、耳甲介腔と呼ばれる下方部分109と、耳甲介舟(cimba concha)と呼ばれる上方部分115とに分割されている。甲介106の最内領域は外耳道104に通じている。外耳道104は(断面が)幾分円形又は楕円形の通路であり、鼓膜及び内耳に通じている。
【0044】
対輪107は径方向内側に面する縁113を示し、径方向内側に面する縁113は、その長さの少なくとも一部又は大部分に沿ってわずかに径方向内側に突出し、甲介106の径方向外側辺縁にわずかに張り出す唇部又は出縁を提供し得る。対輪107の最下部(例えば、
図6に示す部分116)は対珠108になる。対珠108は、耳甲介腔の辺縁上に径方向内側に延びる(及び典型的には、対輪107に比べより顕著な径方向内側に延びる唇部を示す)突出部である。対珠から耳甲介腔の下部を横切るのは耳珠と呼ばれる別の径方向内側に延びる突出部105であり、耳珠は(対珠と同様に)、典型的には、対輪に比べより顕著な唇部を示し、外耳道104の一部のわずかに外側を覆い得ることが多い。
【0045】
本明細書に開示されるデバイス1は、デバイス1が使用者の耳内の適所に確実かつ快適に保持され得るように構成されている(大きさ及び形状にされている)。いくつかの実施形態では、少なくともイヤピース本体10は特定の使用者の耳に装着するために特別に作製されたものであってもよいが、他の実施形態では、使用者の耳内におけるデバイス1の装着及び保持はデバイス1をその特定の使用者の耳に装着するための特別な形状にすることを要さずに実現してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、デバイス1(及びイヤピース本体10及びそのイヤチップ40)は特別に作製されたデバイス(例えば、その任意の構成要素の任意の部分が特定の使用者の耳の型又は3D画像に従って作製されるデバイス)ではない。更に、少なくともいくつかの実施形態においては、イヤピース本体10は少なくとも半剛性又は剛性であり、デバイス1の通常の操作において使用者はいかにしても大きく圧縮又は変形することができない。
【0046】
少なくともいくつかの実施形態では、デバイス1は、使用者の右耳に装着することができ、かつ使用者の左耳にも装着することができるように構成されていてもよい。このような実施形態では、使用者の右耳及び左耳で使用される、異なるように構成された(例えば、形状に作られた)イヤピース本体10を提供する必要はなく、むしろ、一対の同様の形状のデバイスが供給され得る。他の実施形態では、イヤピース本体10は右耳と左耳とで幾分異なる形状で供給されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、その全体的な形状が比較的ある程度の左右対称性を有するイヤピース本体を提供することが有用であり得る。例えば、イヤピース本体10は、所望のように、右耳又は左耳に快適に装着するための十分な左右対称性(すなわち、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸IO
aに沿って見た場合)を示してもよい。しかしながら、イヤピース本体10の全体的な形状に比較的高い左右対称性を有することを望むことは、種々の特徴部(特に、ホーン入口13及び突起14)の配置が必ずしも左右対称性を示さなければならないことを要求するものではないことに留意されたい。また、このことは、イヤピース本体10の全体的な形状の十分な左右対称性が維持されている限りはイヤピース本体10の形状におけるわずかな局所的非対称性の存在を排除するものでもない。
【0048】
イヤピース本体10の形状の全体的な左右対称性の程度は、イヤピース本体10の内側から外側に延びる軸IO
aに実質的に垂直な平面上にイヤピース本体10の投影面積をとり、投影面積の長軸に少なくともほぼ沿って通りこの投影面積を2つの(例えば、おおよそ等しい)部分面積に分割する対称軸を特定することによって測定してもよい。部分面積の1つは、その後、もう一方の部分面積上へと、対称軸の周りを回転させることができる(すなわち、投影面積を対称軸に沿って折り、1つの部分面積をもう一方の部分面積の上に重ねるかのように)。2つの部分面積が共有するそれら面積の割合を測定することができ、この割合が、存在する左右対称性の程度を表す。少なくともほぼ左右対称な形状を有するイヤピース本体とは、このようにして作製され測定された2つの部分面積がそれら面積の少なくとも70%を共有することを意味する。(例示的なイヤピース本体10の左右対称性は、
図4の図に最も容易に見られ得る。)種々の実施形態では、イヤピース本体10は、少なくとも約80、90、95又は98%の左右対称性を有してもよい。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態においては、イヤピース本体10は、少なくとも略楕円形(イヤチップ40の長軸に沿って見た場合)を呈してもよい。略楕円形の用語には、楕円形、長円形、1つ以上の丸みのある角を持つ矩形、涙滴形状等を含む。
図1〜
図5に示す特定の実施形態では、イヤピース本体10は略楕円形のものであり、端部31(この端部にイヤチップ40が取り付けられる)は反対端32よりも幾分狭い(したがって、本実施形態では、イヤピース本体10は幾分涙滴形状であり、テーパ状の端部31と、先のとがっていない端部32と、を有する)。
【0050】
これら一般的種類の形状は、イヤピース本体10の1つ以上の表面を、甲介106の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する耳の部位の表面に非常に近接させて(及びいくつかの実施形態では、接触して)配置することを可能にし得る。このような耳の部位としては、例えば、耳珠105、対珠108及び対輪107の径方向内側に面する縁113の一部のいずれか又はそのすべてが挙げられ得る。このような配置は(例えば、外耳道104におけるイヤチップ40の装着と併せて)デバイス1をヒトの耳の甲介106内に確実に、しかも快適に保持するように機能し得る。これは
図7に例示的な状態で示される。
図7は、ヒトである使用者の右耳に取り付けられた例示的なイヤピース本体10(表示を簡易にするためにイヤチップ40及び外耳道104はこの図から省略されている)を示す。
【0051】
イヤピース本体10の寸法及び形状は、したがって、イヤピース本体10がヒトの耳の甲介106内(特定の実施形態では、耳甲介腔109内)に配置され得るように構成されている。例えば、イヤピース本体10の内側表面15は、デバイス1が耳に取り付けられたとき、内側表面15の面積の一部又は大部分が、甲介106の内側境界を画定する(皮膚)表面に接触し得るような形状にされていてもよい。(
図2及び
図5の例示的な表示では比較的平坦であるとして示されているものの、いくつかの実施形態では、表面15は湾曲(例えば、凸状)形状を示してもよい。)また、前述のように、イヤピース本体10の1つ以上の接触面(例えば、
図1〜
図2に示す表面35)がイヤピース本体10の外周部の少なくとも一部分の周りに(間隔をあけて又は連続的に延在して)提供され得る。この接触面(単数又は複数)は、デバイス1が使用者の耳に装着されたときに、少なくとも1つの接触面が、甲介106(例えば、耳甲介腔109の)径方向外周部の少なくとも一部分を画定する耳の部位の(皮膚)表面に接触するように構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、イヤピース本体10は、イヤピース本体10の少なくとも1つのほぼ外側に面する又は径方向外側に面する接触面(例えば、表面35)を、甲介の径方向外周部の一部を画定する耳の部位の径方向内側に突出する辺縁(例えば、唇部)の内側に面する表面下の少なくとも部分的に内方に(及びいくつかの実施形態では、接触して)装着することができるような大きさ及び形状にされ得る。したがって、いくつかの実施形態では、イヤピース本体10のイヤピース本体10は、耳珠105、対珠108及び/又は対珠に近接する対輪の一部分116の、径方向内側に面する表面(例えば、径方向内側に突出した唇部)に径方向内側に近接して及び/若しくは内側に近接して配置されるようにそれぞれ構成された種々の接触面を備えてもよい。(この文脈では、対珠の近傍の対輪の一部分とは、対輪の周りで時計回り方向に測定した、対珠の径方向最内側に突出する部分の約25mm以内の一部分を意味する。)このような1つの構成を、
図7の例示的な図に示す。
図7では、イヤピース本体10の先のとがっていない端部32に近接する接触面が対珠108の唇部の内方下にあり、かつ対珠108の唇部と接触していてもよい。同様に、イヤピース本体10のテーパ状端部31の接触面が耳珠105の唇部の一部分の内方下にあり、かつ耳珠105の唇部の一部分と接触していてもよい。多くの使用者にとって、このようにして耳珠105の唇部の「下に収められた」イヤピース本体10のテーパ状端部31は、イヤピース本体10の甲介内への保持を可能にする又は強化する主要機構であってもよい。しかしながら、特定の使用者の耳の部位の特定の形状に応じて、任意の個々の接触面(若しくはその一部分)又はイヤピース本体10は、(その使用者の耳の甲介の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する)任意の特定の耳の部位の(皮膚)表面に接触しても必ずしも接触しなくてもよいことが強調される。
【0053】
したがって、大まかに要約すると、いくつかの実施形態では、イヤピース本体10は、外耳道104へのイヤチップ40の装着と併せて、デバイス1が、甲介106の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する皮膚表面に隣接する(例えば、接触する)デバイス1のイヤピース本体10の少なくとも1つの接触面によってヒトの耳内の適所に保持され得るように構成されていてもよい。(このような配置は、外耳道にデバイスのイヤチップを装着することのみによってデバイスが耳内の適所に実質的に又は本質的に支持及び保持される配置とは区別されてもよい。)更なる実施形態では、イヤピース本体10は、デバイス1が、ヒトの耳内の適所に、甲介106の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する対応の皮膚表面に隣接する(例えば、接触する)イヤピース本体10(例えば、イヤピース本体10の径方向外周部に沿う異なる位置にある)の2つ以上の接触面によって少なくともある程度保持され得るように構成されていてもよい。種々の実施形態では、使用者の耳にデバイス1が装着されると、イヤピース本体10の接触面と、甲介106の径方向外周部の一部を画定する耳の部位の表面との間の2つのこのような接触領域は、イヤピース本体10の外周部の周りで、少なくとも120、140又は160度(時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかにおいて)の円周状分離を伴い、間隔があいてもよい。このような配置は
図7の例示的実施形態に示される。
図7では、約130度の範囲内であると判断される円周状分離を有する2つのこのような接触領域(それぞれ耳珠の一部及び対珠の一部との)を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、外耳道104にイヤチップ40を装着することで、デバイス1をヒトの耳にしっかりと装着する上記効果を増強し得るものの、イヤピース本体10の外周部に少なくとも1つの接触面(及び特に、2つ以上のこのような表面)を提供することで、外耳道へのイヤチップ40のあまり強力でない装着を可能にしてもよく(つまり、イヤチップ40を外耳道内に深く装着する必要がない場合がある)、したがって、使用者に快適性の向上をもたらす一方で、デバイス1をなお適所に確実に保持することを可能にする。つまり、このような実施形態では、イヤチップ40は、耳内においてデバイス1を固定する主要機構として機能するのではなくむしろ、上述の外部閉塞を提供するのに十分な程度まで外耳道内に装着されることのみ必要であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、デバイス1は、甲介の径方向外周部を画定する部位の一部の間における、例えば、使用者の耳の耳珠、対珠及び/又は対珠の近傍の対輪の一部分の任意の組み合わせの間におけるデバイス1のイヤピース本体10の圧縮嵌合によって、部分的に、実質的に又は本質的に完全に耳内の適所に保持されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、イヤピース本体10のいずれの部分も、対輪の最外境界に一致する想像面を越えて外側に延出しないように、イヤピース本体10の内側から外側の寸法(すなわち、内側表面15と外側表面16との間の平均距離は最小に維持されてもよい。これにより、使用者が寝ているときであってもデバイス1の装着が快適であり得ることになり得る(例えば、使用者が頭部及び耳を枕に接して配置するとデバイス1が使用者の耳に不快な力をかける可能性が生じるほどかなり外側までデバイス1が突出しないように)。少なくともいくつかの実施形態においては、デバイス1が使用者の耳に装着されると、イヤピース本体10のすべての部分はほぼ、実質的に又は完全に耳甲介腔内に配置されてもよい。特に、いくつかの実施形態では、イヤピース本体10は、デバイス1が使用者の耳に装着されたときに(例えば、耳甲介舟の縁の径方向内側に追従する及び/又は載る弓状突出部の状態で)耳甲介舟へと上方に延びる任意の突起を備えない。
【0056】
いくつかの実施形態では、イヤチップ40の長軸Lとイヤピース本体10との間に(具体的には、イヤチップ40の長軸Lとイヤピース本体10の内側から外側に延びる軸IO
aとの間に)オフセット角が存在してもよい。このようなオフセット角は、使用者の耳に装着されたときにデバイス1の快適性の向上をもたらしてもよい。したがって、
図1〜
図5に示される例示的な設計は、約10〜15度の範囲内のオフセット角を提供する。種々の実施形態では、このようなオフセット角は、少なくとも約6、8又は10度であってもよい。更なる実施形態では、このようなオフセット角は、多くとも約18、16又は14度であってもよい。多くの実施形態では、イヤチップ40の長軸Lの向きは、イヤチップ40が取り付けられるイヤピース本体10の取付構造体(例えば、突起14)の向きによって決定されてもよい。したがって、多くの実施形態では、このようなオフセット角は、
図5に最も良く見られる例示的実施形態の場合と同様、例えば、突起14がイヤピース本体10のイヤピース本体10から離れる方に延びる角度だけ設けられてもよい。
【0057】
上記の説明は、ヒトの耳の形状にある程度の違いが存在することを考慮して解釈されるべきである。したがって、本明細書中に記載される、ヒトの耳、例えば、甲介へのデバイス1の装着に関する説明は、聴覚学の専門家により平均的なヒトの成人集団の代表例としてみなされる耳の幾何学的形状及び特徴を持つ成人に該当するものと理解されよう。デバイス1(具体的には、そのイヤピース本体10及び/又はイヤチップ40)は、複数のサイズで提供してもよく、任意のデバイス1において、上記の説明はそのサイズに合わせてデバイス1を構成した少なくとも特定のヒト集団に対し有効であることに留意されたい。特定の実施形態では、本明細書中に記載される甲介へのデバイス1の装着は、2010年に規定されているようにANSI S12.42(実耳内にマイクロフォンを用いた連続若しくは衝撃雑音における聴力保護デバイスの挿入損失の測定方法又は音響試験取り付け具手順(Methods for the Measurement of Insertion Loss of Hearing Protection Devices in Continuous or Impulsive Noise Using Microphone−in−Real−Ear or Acoustic Test Fixture Procedures))に概説される試験方法での使用に適した人工耳(すなわち、成形プラスチック製人工耳介)へのデバイス1の装着に関して評価されてもよい。このような人工耳の具体的な例は、G.R.A.S.45CB音響試験取り付け具と共に使用するための、G.R.A.S.Sound&Vibration A/S(Holte,Denmark)からKB0077(左)及びKB0078(右)の商品名で入手可能であるようなものである。したがって、特定の実施形態では、イヤピース本体10は、「皮膚」表面に接触するように構成された少なくとも1つの接触面を有するように構成されており、その「皮膚」表面はANSI S12.42の試験方法において使用するための要件を満たす人工耳の甲介の径方向外周部の少なくとも一部分を画定している。
【0058】
上記では、イヤピース本体10及びイヤチップ40を、それらを組み合わせて聴力保護デバイス1を形成する構成で説明してきたが、少なくともいくつかの実施形態では、イヤピース本体10はイヤピース本体10にイヤチップを取り付けることなく供給してもよいことが強調される。つまり、イヤピース本体10を使用者に供給してよく、その後、使用者が、イヤピース本体10を任意の適切なイヤチップと組み合わせて使用してもよい。更に、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのイヤピース本体と少なくとも1つのイヤチップとを、例えば、キットの形態で共にパッケージ化してもよい。このようなキットには、使用上の取扱説明書(このような使用説明書は、例えば、ユーザガイドを読む又はアップロードする等のためにアクセスすることができるリスト式ウェブサイトの形態の仮想使用説明書であってよいことに留意されたい)を含んでもよい。
【0059】
上記の説明は、主として受動的聴力保護デバイスに関するものであるが、他の実施形態では、本明細書で開示するイヤピース本体は、電子的な聴力保護デバイスにおいて使用してもよい。電子的な聴力保護デバイスとは、周囲空気伝送音が外耳道に直接入ることを実質的に防止するとともに、周囲空気伝送音を受け、この音を電子信号に変換し、電子信号を処理し、処理された電子信号を処理された音に変換し、その後、処理された音を外耳道内に放出する電子的構成要素を含むデバイスを意味する。しかしながら、本明細書で開示する回旋状の音響ホーンを備えるイヤピース本体は、聴覚保護デバイス(受動的又は電子的であるかにかかわらず)での使用のために構成されており、このデバイスは、受動的及び電子的両方の聴覚補助デバイス(例えば、補聴器、らっぱ形補聴器等)とは区別されることが強調される。
【0060】
本明細書中における説明において、種々のデバイス、構成要素及び配置は、例えば、空気伝送音波の通過を「実質的に防止する」ものとして特徴付けられてきたことに留意されたい。このような用語は、このようなデバイス、構成要素又は配置が空気伝送音に対する絶対的障壁を必ずしも提供することを要求するものではないことは理解されよう。むしろ、この用語によって示される唯一の要件は、あらゆるこのような構成要素及び配置が空気伝送音に対する十分な障壁特性を集合的に提供し、本明細書で開示するイヤチップ40とイヤピース本体10とを備えるデバイス1が本明細書で開示するように機能できることである。
【0061】
例示的実施形態の一覧
実施形態1は、使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されており、第1の音受容開口部を通じて空気伝送音波を受け、かつ第2の音放出開口部を通じて空気伝送音波を放出するように構成された回旋状の音響ホーンを備えるイヤピース本体であって、第1の音受容開口部の断面積は第2の音放出開口部よりも約150〜約1600の漸増率だけ大きく、第2の音放出開口部はオフセット開口部であり、回旋状の音響ホーンを提供するために、第1の音受容開口部と第2の音放出開口部とは互いに流体接続されており、イヤピース本体はイヤピース本体に取り付け可能なイヤチップを受け入れるように構成されており、イヤチップは使用者の耳の外耳道に装着するように構成されており、イヤピース本体とイヤチップとを組み合わせて受動的聴力保護デバイスを提供する、イヤピース本体である。
【0062】
実施形態2は、第1の音受容開口部の面積が第2の音放出開口部よりも約200〜約1000の漸増率だけ大きい、実施形態1のイヤピース本体である。実施形態3は、第1の音受容開口部が少なくともほぼ外側に面した開口部である、実施形態1〜2のいずれかのイヤピース本体である。実施形態4は、回旋状の音響ホーンが、約3cm〜約5cmの、第1の音受容開口部から第2の音放出開口部までの長さを含む、実施形態1〜3のいずれかのイヤピース本体である。実施形態5は、回旋状の音響ホーンが、回旋状の音響ホーンの第2の音放出開口部のいずれの部分も回旋状の音響ホーンの第1の音受容開口部のどの部分とも重なった関係にないオフセット螺旋の形態である、実施形態1〜4のいずれかのイヤピース本体である。
【0063】
実施形態6は、回旋状の音響ホーンが、ホーン長さ1センチメートルあたりの漸増率変化が約50〜約400の範囲である全体的なテーパを示す、実施形態1〜5のいずれかのイヤピース本体である。実施形態7は、回旋状の音響ホーンが、回旋状の音響ホーンの長さの少なくとも約80%にわたって少なくとも実質的に一定のテーパを示す、実施形態1〜6のいずれかのイヤピース本体である。実施形態8は、回旋状の音響ホーンの第1の音受容開口部の断面積が約30〜45mm
2の範囲内である、実施形態1〜7のいずれかのイヤピース本体である。実施形態9は、回旋状の音響ホーンが1つ又は2つのアンダーパス特徴を示す、実施形態1〜8のいずれかのイヤピース本体である。
【0064】
実施形態10は、イヤピース本体が、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に沿って見た場合、少なくともほぼ左右対称な形状を示す、実施形態1〜9のいずれかのイヤピース本体である。実施形態11は、イヤピース本体が、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に少なくとも実質的に直交して配向された長軸を示す、実施形態1〜10のいずれかのイヤピース本体である。実施形態12は、イヤピース本体の外面に配置された機械的スイッチを備えており、この機械的スイッチは、バルブに作動的に接続され、回旋音響ホーン内における音の空気伝送を少なくとも一部遮断するために機械的スイッチを使用してバルブを少なくとも部分的に閉じることができる、実施形態1〜11のいずれかのイヤピース本体である。実施形態13は、バルブが音響ホーンの第2の音放出開口部の近傍に配置されている、実施形態12のイヤピース本体である。
【0065】
実施形態14は、ヒトである使用者の耳に装着するように構成された受動的聴力保護デバイスであって、使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されており、第1の音受容開口部を通じて空気伝送音波を受け、かつ第2の音放出開口部を通じて空気伝送音波を放出するように構成された回旋状の音響ホーンを備えるイヤピース本体であって、第1の音受容開口部の断面積は第2の音放出開口部よりも約150〜約1400の漸増率だけ大きく、第2の音放出開口部はオフセット開口部であり、回旋状の音響ホーンを提供するために、第1の音受容開口部と第2の音放出開口部とは互いに流体接続されている、イヤピース本体と、使用者の耳の外耳道に装着するように構成されたイヤチップであって、イヤチップはイヤピース本体に取り付けられており、イヤピース本体の回旋状のホーンを通過した空気伝送音を受けるように構成された主要音受容開口部と、使用者の内耳に面する二次音放出開口部と、を有する空気伝送音通路を備える、イヤチップと、を備える、受動的聴力保護デバイスである。
【0066】
実施形態15は、デバイスが音レベル依存音減衰物理的特徴部を備えており、音レベル依存音減衰物理的特徴部は、音響ホーンの第2の音放出開口部から放出されたあらゆる空気伝送音がイヤチップの主要音受容開口部に到達する前に音レベル依存音減衰物理的特徴部に遭遇しなければならないように、音響ホーンの第2の音放出開口部とイヤチップの主要音受容開口部との間に配置されている、実施形態14のデバイスである。実施形態16は、音レベル依存音減衰物理的特徴部が音響フィルタであり、音響フィルタは、イヤピース本体の突出した柱の内部に成形された表面によって少なくとも部分的に画定されるチャンバ内に取り付けられており、音響ホーンの第2の音放出開口部から放出された音がイヤチップの主要音受容開口部に到達するためには音響フィルタを通過しなければならない、実施形態15のデバイスである。
【0067】
実施形態17は、イヤピース本体が少なくとも1つの接触面を備えており、少なくとも1つの接触面は、デバイスが使用者の耳に装着されると、少なくとも1つの接触面が、使用者の耳の甲介の径方向外周部の少なくとも一部分を画定する耳の部位の皮膚表面に接触するように構成されている、実施形態14〜16のいずれかのデバイスである。実施形態18は、イヤピース本体の少なくとも1つの接触面が、デバイスが使用者の耳に装着されると、少なくとも1つの接触面が使用者の耳の耳珠、対珠及び対珠の近傍の対輪の一部分の皮膚表面のうちの少なくとも1つに接触するように構成されている、実施形態17のデバイスである。実施形態19は、イヤピース本体が、デバイスが使用者の耳に装着されたときに、デバイスが、デバイスのイヤピース本体と、使用者の耳の耳珠、対珠及び対珠の近傍の対輪の一部分のうちの少なくともいずれか2つとの圧縮嵌合によって少なくともある程度耳内に保持されるように構成されている、実施形態18のデバイスである。
【0068】
実施形態20は、イヤピース本体が、デバイスが使用者の耳に装着されたときに、イヤピース本体が少なくとも実質的に使用者の耳の耳甲介腔内にあるように構成されている、実施形態14〜19のいずれかのデバイスである。実施形態21は、イヤピース本体が、デバイスが使用者の耳に装着されたときに、イヤピース本体の少なくとも実質的にどの部分も使用者の耳の耳甲介舟へと延びないように構成されている、実施形態20のデバイスである。実施形態22は、イヤピース本体が、デバイスが使用者の耳に装着されたときに、イヤピース本体の少なくとも実質的にどの部分も、イヤピース本体の内側から外側に延びる軸に沿って、使用者の耳の甲介の外側に延びないように構成されている、実施形態14〜21のいずれかのデバイスである。実施形態23は、実施形態1〜13のうちのいずれかのイヤピース本体を備える、実施形態14のデバイスである。
【0069】
実施形態24は、使用者の耳の甲介内に配置されるように構成されており、第1の音受容開口部を通じて空気伝送音波を受け、かつ第2の音放出開口部を通じて空気伝送音波を放出するように構成された回旋状の音響ホーンを備える少なくとも1つのイヤピース本体であって、第1の音受容開口部の断面積は第2の音放出開口部よりも約150〜約1400の漸増率だけ大きく、第2の音放出開口部はオフセット開口部であり、回旋状の音響ホーンを提供するために、第1の音受容開口部と第2の音放出開口部とは互いに流体接続されている、少なくとも1つのイヤピース本体と、使用者の耳の外耳道に装着するように構成された少なくとも1つのイヤチップであって、イヤチップは、更に、イヤピース本体に取り付け可能であるように構成されている、イヤチップと、を備えるキットである。実施形態25は、少なくとも1つのイヤピース本体が実施形態1〜13のいずれかのイヤピース本体である、実施形態24のキットである。
【実施例】
【0070】
実施例のイヤピース本体は、
図1〜
図5に示されるものとほぼ同様の設計のラピッドプロトタイピング法(ステレオリソグラフィ)によって作製した。この試作品では、イヤピース本体は、
図4に最も容易に見られるものと同様のレイアウトを持つ回旋状の螺旋音響ホーンを備える別様の中実構造体(プラスチック製)であった。ホーンは、面積が37mm
2である外側に面している円形の塞がれていない入口と、面積が約2.7mm
2であるほぼ内側に面している出口と、約4cmの経路長と、を有していた。イヤピース本体は、
図2及び
図5に最も容易に見られるものと同様の設計の突起を備えるものであり、この突起はチャンバを含んでおり、このチャンバ内に、3M CompanyからCOMBAT ARMS EARPLUGSの商品名で入手可能な聴覚保護製品で使用されている種類のレベル依存音響フィルタを配置した。
図1〜
図2に示したものとほぼ同様の種類のイヤチップをイヤピース本体の突起上に圧入し、実施例の受動的聴力保護デバイスを形成した。聴力保護デバイスをKEMAR G.R.A.S.45CB人体模型の耳内に配置した。挿入損失(試作品の聴覚保護デバイスの不存在下でG.R.A.S.45CB人体模型に対し測定した)を(ピンクノイズを使用する)従来の方法によって測定し、
図8に示した。
【0071】
比較のために、従来の受動的聴力保護デバイス(いかなる種類の音響ホーンも含まないが、実施例で使用したものと同じ音響フィルタを含み、また実施例で使用したものと同じイヤチップも使用した)の挿入損失を同様に測定した。実施例が、特に約2000Hzを超える周波数範囲において、従来の聴力保護デバイスよりも大幅に低い挿入損失を示したことは明らかである。
【0072】
上記の実施例は理解を深める目的で記載したものに過ぎず、そこから不必要な限定が何らなされることはない。実施例に記載されている試験及び試験結果は予測的なものではなく、あくまで例示的なものに過ぎないことが意図され、試験手順の変更により、異なる結果をもたらすことが予想され得る。実施例中の定量的値はすべて、使用された手順に含まれる一般に公知の許容誤差の観点から近似値であることが理解される。本明細書において開示される特定の例示的な要素、構造、特徴、詳細、構成などは、修正され得る、及び/又は多数の実施形態と組み合わされ得ることが、当業者には明らかであろう。(詳細には、本明細書に代替物として積極的に記載される要素のいずれも、所望の任意の組み合わせにおいて、特許請求の範囲に明確に含まれる場合も、又は特許請求の範囲から除外される場合もある。)このような変形及び組み合わせはすべて、本発明者によって、例示的な説明としての役割を果たすべく選択された代表的な設計としてのみならず、想到される発明の境界内にあるものと思料されるものである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の例示的構造に限定されるべきではないが、むしろ少なくとも請求項の文言によって説明される構造、及びそれらの構造に相当する構造にまで拡大する。記載されたとおりの本明細書と、参照によって本明細書に援用されるいずれかの文書の開示内容との間に矛盾又は食い違いが存在する場合、記載されたとおりの本明細書が優先するものとする。