特許第6306301号(P6306301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306301
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】線状発光パターンを形成する発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20180326BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180326BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180326BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20180326BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20180326BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180326BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180326BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180326BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20180326BHJP
【FI】
   F21S8/10 371
   F21S8/10 353
   F21S8/10 400
   F21V5/00 320
   F21V8/00 320
   F21V8/00 330
   F21V8/00 350
   F21Y115:30
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-171261(P2013-171261)
(22)【出願日】2013年8月21日
(65)【公開番号】特開2015-41466(P2015-41466A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】山本 典正
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−105093(JP,A)
【文献】 特開2011−065979(JP,A)
【文献】 特開2011−180242(JP,A)
【文献】 特開2013−097911(JP,A)
【文献】 特開2000−194287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 43/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直進光を発生するレーザー光源を備えた光源ユニットと、直進光の進路を形成するレンズとを備え、レンズの内部に光散乱粒子が分布し、光散乱粒子により直進光の進路を線状に発光させ、
前記レンズが、直進光の進路を外部に表示する表示面と、表示面を取り囲む周面を備え、周面の一部に散乱粒子を含む入射部が設けられ、前記レーザー光源が入射部を覆うブラケットを介して前記レンズに取り付けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記周面が、入射部と異なる部位に直進光の進路を変更する内面反射部を含む請求項記載の発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置を車体上に保持するための手段を備えたことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直進光の進路を線状に発光させる装置と、該装置を備えた車両用灯具とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光体を使用してLED光源からの光を線状に発光させる技術が知られている。例えば、図12(A)に示す発光装置101は、LED光源102と棒状導光体103を備え、棒状導光体103に帯状の全反射ステップ104を形成し、LED光源102からの拡散光を全反射ステップ104で反射させ、棒状導光体103の長手方向へ延びる線状発光を形成している。図12(B)に示す発光装置111では、面状導光体113にV溝形の全反射ステップ114を形成し、LED光源102からの拡散光を全反射ステップ114で反射させ、面状導光体113の出射面に横方向へ延びる線状発光を形成している。
【0003】
また、特許文献1には、LED光源を棒状導光体の端面に配置し、棒状導光体の透明樹脂材料中に光反射粒子を分散させ、LED光を棒状導光体の周面全域から均一に放射する発光装置が記載されている。特許文献2には、板状の導光体を全面発光させるために、導光体の表面全域に蛍光物質を塗布した発光装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−207661号公報
【特許文献2】特開2006−73202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の発光装置によると、次のような問題点があった。
(a)LED光源102が出射する光は広がり角度が大きいため、拡散光の一部が導光体103,113に入射せず、光の利用効率が悪い。
(b)全反射ステップ104,114によって線状発光を形成しているため、非点灯時にステップ104,114が外部から見え、見栄えが悪い。
(c)LED光はレーザー光と比較して直進度が低いため、導光体にシャープな線状発光を形成しにくい。
(d)棒状または板状の導光体を全面発光させると、特に車両用灯具として使用した場合に、見栄えがバルブ等の在来光源と代わり映えしなくなる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光の利用効率を高め、シャープな見栄えの線状発光パターンを形成できる発光装置および車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のような発光装置と車両用灯具を提供する。
(1)直進光を発生する光源ユニットと、直進光の進路を形成するレンズとを備え、レンズの内部に光散乱粒子を分布させ、光散乱粒子により直進光の進路を線状に発光させることを特徴とする発光装置。
【0008】
(2)レンズが、直進光の進路を外部に表示する表示面と、表示面を取り囲む周面とを備え、周面が直進光の入射部を含むことを特徴とする上記1に記載の発光装置。
【0009】
(3)レンズの周面が、入射部と異なる部位に直進光の進路を変更する内面反射部を含むことを特徴とする上記2に記載の発光装置。
【0010】
(4)光源ユニットが、レンズの内部で直進光をスキャンする手段を備えたことを特徴とする上記1、2又は3に記載の発光装置。
【0011】
(5)上記1〜4の何れか一つに記載の発光装置を車体上に保持するための手段を備えたことを特徴とする車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発光装置および車両用灯具によれば、レンズに分散させた光散乱粒子で直進光の進路を線状に発光させるので、光の利用効率を高め、シャープな見栄えの線状発光パターンを形成できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示す車両用灯具の斜視図である。
図2図1のII−II線に沿って発光装置を示す断面図である。
図3】レンズに対するレーザー光源の取付構造を示す斜視図である。
図4】直進光の進路を示すレンズの部分的な正面図である。
図5】レンズに内面反射部を備えた発光装置を示す正面図である。
図6】直進光をスキャンする手段を備えた発光装置の斜視図である。
図7】2枚のレンズ片を重ね合わせたレンズの斜視図である。
図8】屈折率が異なるレンズ素子を組み合わせたレンズの斜視図である。
図9】線状発光パターンの変更例を示す斜視図である。
図10】線状発光パターンの別の変更例を示す斜視図である。
図11】線状発光パターンのさらに別の変更例を示す斜視図である。
図12】従来の発光装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1図2に示す車両用灯具1は、ハウジング2の内側に発光装置3とエクステンション4を備えている。ハウジング2はボディ5とカバー6からなり、ボディ5が保持具7により車体8に保持され、カバー6が車体8の外側から発光装置3を覆っている。そして、エクステンション4が発光装置3の発光域を画定し、発光域からの光がカバー6を透過して、車体8の周辺を照明するようになっている。
【0015】
発光装置3は、光源ユニット10とレンズ11とからなっている。光源ユニット10は、直進光Lを発生するレーザー光源12と、レーザー光源12をレンズ11に取り付けるためのブラケット13とを備えている。図3(A)に示すブラケット13はホルダ14を備え、ホルダ14の周壁にレーザー光源12を掛止するための掛止爪15が設けられている。図3(B)に示すブラケット13は、レンズ11の切欠部17に配置されたレーザー光源12を2枚の挟着板16で挟み付け、ネジ部材18でレンズ11に取り付けるように構成されている。
【0016】
レンズ11は、図4に示すように、透明樹脂材料で板状に成形され、直進光Lの進路を外部に表示する表示面20と、表示面20を取り囲む周面21とを備えている。周面21の一部は直進光Lを入射する入射部22となっていて、入射部22に突設されたピン23にブラケット13が固定されている。そして、レンズ11の樹脂材料中に光散乱粒子24が均一な分布で混入され、光散乱粒子24によって直進光Lをレンズ11内部で散乱させ、灯具外部から視認可能な太さの線状に発光させるようになっている。
【0017】
なお、光散乱粒子24は、特定の材質に限定されず、シリコン等の光透過性のない微粒子、アクリル樹脂系の光透過性のある粒子、どちらも使用可能である。透過性のある粒子を使用する場合は、粒子とこれを覆う透明樹脂との屈折率の違いから、両者の界面で直進光Lを屈折または全反射させて散乱光を生じさせることができる。レンズ11の透明樹脂材料には、透明度が高く加工が容易なメタクリル樹脂を使用できる。好ましくは、メタクリル樹脂中に光散乱粒子を分布させたレンズ素材、例えば、商品名「デラグラスAL」(旭化成テクノプラス社製)を使用可能である。
【0018】
上記のように構成された車両用灯具1によれば、レーザー光源12からの光をレンズ11の内部で直進させ、直進光Lの進路上にある散乱粒子24のみを効率よく発光させることができる。このため、図1に示すように、レンズ11の表示面20にシャープな見栄えの線状発光パターンP1を形成できるとともに、全反射ステップや蛍光物質を不要にし、レンズ11の加工コストを削減することができる。また、レンズ11の周面21に設定した入射部22に光源ユニット10を配置したので、発光装置3を薄く形成し、車両用灯具1の全体を小型化できる利点もある。
【0019】
次に、本発明の別の実施形態を図5図11に従って説明する。図5に示すレンズ11は、周面21の一部に入射部22が設定され、入射部22と異なる複数部位に内面反射部26が形成され、内面反射部26により直進光Lを全反射させて、直進光Lの進路を変更するように構成されている。この構成によれば、単一のレーザー光源12を用いて、複数本の線状発光を含むパターンP2を形成できる。なお、内面反射部26をアルミ蒸着加工してもよい。
【0020】
図6に示す光源ユニット10は、レーザー光源12を支持するターンテーブル28を備え、ターンテーブル28の往復回動に伴い、レーザー光源12からの直進光Lをレンズ11の内部で高速にスキャンするように構成されている。この構成によれば、線状発光パターンP3に残像効果を与え、レンズ11の表示面20を疑似的に面発光させることができる。
【0021】
図7に示すレンズ11は、2枚(またはそれ以上)のレンズ片11A、11Bを重ね合わせて構成されている。一方のレンズ片11Aには二つのレーザー光源12が配置され、他方のレンズ片11Bに一つのレーザー光源12が配置されている。この構成によれば、レンズ11に奥行きのある線状発光パターンP4を形成できる。
【0022】
図8に示すレンズ11は、屈折率が異なる複数のレンズ素子11a,11b,11cを同一面内で組み合わせ、隣接するレンズ素子の界面によって内部反射面31,32を形成している。そして、レーザー光源12からの直進光Lを内部反射面31,32で屈折させ、屈折線を含む線状発光パターンP5を形成できるように構成されている。
【0023】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するように、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成や形状を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)図9に示すように、複数のレーザー光源12をレンズ11の下側または上側に配置し、複数本の垂直線からなる線状発光パターンP6を形成すること。
(2)図10に示すように、複数のレーザー光源12を斜めに配置し、斜交線からなる線状発光パターンP7を形成すること。
(3)図11に示すように、レンズ11をL字形に形成し、灯具ハウジング2の奥行き方向に延びる複数本の斜線によって立体感のある線状発光パターンP8を形成すること。
【符号の説明】
【0024】
1 車両用灯具
3 発光装置
7 保持具
10 光源ユニット
11 レンズ
12 レーザー光源
20 レンズの表示面
21 レンズの周面
22 入射部
24 光散乱粒子
26 内面反射部
28 ターンテーブル
L 直進光
P 線状発光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12