特許第6306310号(P6306310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306310駆動機構、及び、当該駆動機構を具備するオープンルーフ構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306310
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】駆動機構、及び、当該駆動機構を具備するオープンルーフ構造体
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   B60J7/02 B
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-195111(P2013-195111)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-65486(P2014-65486A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】12185815.3
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】マルセル・ヨハン・クリスティアーン・ネレン
(72)【発明者】
【氏名】ルート・ゲウルツ
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−277836(JP,A)
【文献】 特開2002−200921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のオープンルーフ構造体のための駆動機構であって、
前記駆動機構が、ガイドチャネル(5)と、前記ガイドチャネル(5)と協働するスライドシュー(6)とを備えており、
前記ガイドチャネルが、第1の高さにおいて略水平方向に前記スライドシュー(6)を移動させるために略水平方向に延在している第1のガイドチャネル部分(5)と、前記第1の高さより低い第2の高さに前記スライドシュー(6)を移動させるために略水平方向に対して下方に向かって延在している第2のガイドチャネル部分(5’)とを備えており、
前記ガイドチャネルが、前記スライドシュー(6)に取り付けられている桿体状の駆動部材(10)であって、前記ガイドチャネルの前記第1のガイドチャネル部分(5)に対して略平行に前記ガイドチャネルに沿って延在している前記駆動部材(10)を備えている、前記駆動機構において、
前記スライドシュー(6)が相対的に下方の前記第2の高さに位置決めされた場合に,
前記スライドシュー(6)の少なくとも一部分(6’;6’’)が、桿体状の前記駆動部材(10)と干渉しない位置に前記スライドシュー(6)の他の部分に対して相対的に移動可能とされ、
前記スライドシュー(6)が前記第2の高さに位置決めされた場合に、前記駆動部材(10)が、前記第1のガイドチャネル部分より下で、かつ前記スライドシュー(6)の最下方部分が位置する高さより上方で、前記ガイドチャネル(5)の垂直方向投影内に配置されることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分(6’;6’’)が、前記スライドシュー(6)が前記第1のガイドチャネル部分(5)内に位置決めされた場合における伸展位置と前記スライドシュー(6)が相対的に下方の前記第2の高さに位置決めされた場合における後退位置との間において、前記スライドシュー(6)の前記他の部分に対して相対的に滑動可能とされることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分(6’’)が、バネ部材によって前記伸展位置に向かってプリロードされていることを特徴とする請求項2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記ガイドチャネル(5)が、2つの対向するガイドスロット(5’’;5’’’)を備えており、
前記ガイドスロット(5’’;5’’’)が、前記ガイドチャネルの前記第1のガイドチャネル部分(5)及び前記第2のガイドチャネル部分(5’)に沿って延在しており、2つの互いに対して反対側に配設されたスライドシューウィング(6’,6’’)と協働しており、
前記スライドシューウィング(6’,6’’)のうち第1のスライドシューウィング(6’’)が、前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分を形成しており、
前記スライドシュー(6)が前記第2のガイドチャネル部分(5’)内に入った場合に、前記第1のスライドシューウィング(6’’)と協働している前記ガイドスロット(5’’’)が、前記第1のスライドシューウィング(6’’)を前記伸展位置から前記後退位置に向かって移動させるように形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分(6’)が、前記スライドシュー(6)が前記第1のガイドチャネル部分(5)内に位置決めされた場合における非回転位置と前記スライドシュー(6)が相対的に下方の前記第2の高さに位置している場合における回転位置との間において、前記スライドシュー(6)の前記他の部分に対して相対的に回転可能とされることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分(6’)が、バネ部材によって前記非回転位置に向かってプリロードされていることを特徴とする請求項5に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記ガイドチャネル(5)が、2つの対向するガイドスロット(5’’;5’’’)を備えており、
前記ガイドスロット(5’’;5’’’)が、前記ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分(5)及び第2のガイドチャネル部分(5’)に沿って延在しており、2つの互いに対して反対側に配設されたスライドシューウィング(6’)と協働しており、
前記スライドシューウィング(6’)が、前記スライドシュー(6)の他の部分と共に回転可能な状態で前記スライドシュー(6)の他の部分に接続されている、前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分を形成しており、
前記スライドシュー(6)が前記第2のガイドチャネル部分(5’)内に入った場合に、前記ガイドスロット(5’’’)によって前記第1のスライドシューウィング(6’)を前記非回転位置から前記回転位置に向かって回転させるように、前記ガイドスロット(5’’’)が前記第2のガイドチャネル部分(5’)内に形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記スライドシュー(6)の前記少なくとも一部分(6’)が、前記第1のガイドチャネル部分(5)に対して略平行に延在している回転軸線(12)を中心として、前記スライドシュー(6)の前記他の部分に対して相対的に回転可能とされることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の駆動機構。
【請求項9】
車両(1)のためのオープンルーフ構造体であって、
固定式ルーフ部分(3)に形成されたルーフ開口部(2)と、前記ルーフ開口部(2)を閉じるための、又は少なくとも部分的に開くための可動式パネル(4)とを備えている、前記オープンルーフ構造体において、
前記可動式パネル(4)が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の少なくとも2つの駆動機構によって移動可能とされることを特徴とするオープンルーフ構造体。
【請求項10】
前記可動式パネル(4)が、スポイラーであることを特徴とする請求項9に記載のオープンルーフ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
最初に、本発明は、車両のオープンルーフ構造体のための駆動機構であって、駆動機構が、ガイドチャネルと、ガイドチャネルと協働するスライドシューとを備えており、ガイドチャネルが、第1の高さにおいて略水平方向にスライドシューを移動させるために略水平方向に延在している第1のガイドチャネル部分と、第1の高さより低い第2の高さにスライドシューを移動させるために略水平方向に対して下方に向かって延在している第2のガイドチャネル部分とを備えており、ガイドチャネルが、スライドシューに取り付けられている桿体状の駆動部材であって、ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分に対して略平行にガイドチャネルに沿って延在している駆動部材を備えている、駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
このような駆動機構の大きさを限定するために(その結果として、当該駆動機構を具備するオープンルーフ構造体の大きさを限定するために)、桿体状の駆動部材(例えばプッシュプル式ケーブル)は、ガイドチャネルに可能な限り近接した状態で位置決めされるべきである。しかしながら、桿体状の駆動部材を位置決めする際には、スライドシューが、第2のガイドチャネル部分内において、第1の高さから当該第1の高さより低い第2の高さに向かって下方に移動した場合に、駆動部材がスライドシューと干渉しないように留意しなくてはならない。
【0003】
特許文献1は、本出願の請求項1のおいて書き部分に基づく駆動機構に関し、スライドシューのためのガイドチャネルの垂直側壁の外方に配置されていると共に当該垂直側壁に取り付けられているケーブルチャネル内に駆動ケーブルが位置決めされている、駆動機構を開示している。このように駆動ケーブルを位置決めすることによって、降下しているガイドシューとの干渉が防止されるが、駆動機構の幅が大きくなり、その結果として、利用可能なルーフ開口部が小さくなる。さらに、駆動ケーブルがガイドシューに対して極めて非対称に配置されるので、ガイドチャネル内においてガイドシューの望ましくない変形及び走行不良が生じてしまう。そこで、駆動ケーブルをスライドシューに接続する構成部材を通過させるために必要とされるが、ガイドチャネルの強度を低下させるスロットを垂直側壁に形成することによって、このような欠点の解消が図られている(例えば垂直壁を肉厚にすることによって反作用が低減されるが、その結果としてガイドチャネルの重量が大きくなってしまう)。
【0004】
特許文献2は、本出願の請求項1のおいて書き部分に基づく駆動機構に関し、スライドシューのためのガイドチャネルの底部壁より下方に位置していると共に当該底部壁に取り付けられているケーブルチャネル内に駆動ケーブルが位置決めされている、駆動機構を開示している。このように駆動ケーブルを位置決めすることによって、降下しているガイドシューとの干渉が防止されるが、駆動機構の高さが大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1616738号明細書
【特許文献2】仏国特許第2917337号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述のタイプの改善された駆動機構を提供することである。
【0007】
従って、本発明における駆動機構の特徴は、スライドシューの少なくとも一部分が、スライドシューの他の部分に対して相対的に、スライドシューが相対的に下方の第2の高さに位置決めされた場合に桿体状の駆動部材と干渉しない位置に移動可能とされ、ガイドシューが第2の高さに位置決めされた場合に、駆動部材が、ガイドシューの最下方部分が位置する高さより上方でガイドチャネルの垂直方向投影内に配置されることである。
【0008】
スライドシューの少なくとも一部分の動作に起因して、スライドシューは、桿体状の駆動部材と干渉しないので、駆動部材をガイドチャネルの側方又は下方に位置決めする必要が無い。駆動機構は、従来技術に基づく駆動機構より小型であり、オープンルーフ構造体において、利用可能な空間を大きく確保することができ、例えばルーフ開口部の幅を大きくすることができる。
【0009】
本発明における駆動機構の一の実施例では、スライドシューの少なくとも一部分が、スライドシューが第1のガイドチャネル部分内に位置決めされた場合における伸展位置とスライドシューが相対的に下方の第2の高さに位置決めされた場合における後退位置との間において、スライドシューの他の部分に対して相対的に滑動可能とされる。
【0010】
伸展位置では、スライドシューは、(一般にスライドシューが第1のガイドチャネル部分内に位置決めされている場合に)正常に機能する。しかしながら、後退位置では、ガイドシューは、ガイドチャネル(特に第2のガイドチャネル部分)内における案内機能を損なうことなく、桿体状の駆動部材を通過する場合がある。
【0011】
このような駆動機構の特別な実施例では、スライドシューの少なくとも1つの部分が、伸展位置に向かってプリロードされている。このようなプリロードは、例えばバネ部材によって発生し、スライドシューの少なくとも一部分が対応するガイドチャネル部分から係合解除されることを防止する。
【0012】
このような駆動機構の他の実施例では、ガイドチャネルが、2つの対向するガイドスロットを備えており、ガイドスロットが、ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分及び第2のガイドチャネル部分に沿って延在しており、2つの互いに対して反対側に配設されたガイドシューウィングと協働しており、ガイドシューウィングのうち第1のガイドシューウィングが、スライドシューの少なくとも一部分を形成しており、第1のガイドシューウィングと協働しているガイドスロットが、ガイドシューが第2のガイドチャネル部分内に入った場合に第1のガイドシューウィングを伸展位置から後退位置に向かって移動させるように形成されている。
【0013】
このような実施例では、第1のガイドシューウィングと協働するガイドスロットの形状と、ガイドスロットと対応するガイドシューウィングとの協働とによって、ガイドシューウィングは、他の構成部材を必要としないで、伸展位置と後退位置との間において自動的に移動可能となる。
【0014】
スライドシューの少なくとも一部分が、スライドシューが第1のガイドチャネル部分内に位置決めされた場合における非回転位置とスライドシューが相対的に下方の第2の高さに位置している場合における回転位置との間において、スライドシューの他の部分に対して相対的に回転可能とされる。
【0015】
非回転位置では、スライドシューは、(一般にスライドシューが第1のガイドチャネル部分内に位置決めされている場合に)正常に機能する。しかしながら、回転位置では、ガイドシューは、ガイドチャネル(特に第2のガイドチャネル部分)内における案内機能を損なうことなく、桿体状の駆動部材を通過する場合がある。
【0016】
また、駆動機構のこのような実施例では、スライドシューの少なくとも一部分が、非回転位置に向かうようにプリロードされている場合がある。
【0017】
駆動機構の当該代替的な実施例では、ガイドチャネルが、2つの対向するガイドスロットを備えており、ガイドスロットが、ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分及び第2のガイドチャネル部分に沿って延在しており、2つの互いに対して反対側に配設されたガイドシューウィングと協働しており、ガイドシューウィングのうち第1のガイドシューウィングが、スライドシューの少なくとも一部分を形成しており、第1のガイドシューウィングと協働しているガイドスロットが、ガイドシューが第2のガイドチャネル部分内に入った場合に第1のガイドシューウィングを伸展位置から後退位置に向かって移動させるように形成されている。
【0018】
このような実施例では、基本的に、ガイドシューの動作部分全体が、ガイドシューの他の部分に対して相対的に回転可能とされる。すなわち、ガイドスロットが、第2のガイドチャネル部分内において、ガイドシューが第2のガイドチャネル部分内に入った場合に、ガイドスロットによってガイドシューウィングが非回転位置から回転位置に向かって回転されるように、ガイドスロット同士の距離がガイドチャネル全体に亘って一定に保たれているように、及び、第2のガイドチャネル部分に向かうガイドスロットの空間的な向きが第1のガイドチャネル部分に向かうガイドスロットの空間的な向きと相違するように形成されている。
【0019】
しかしながら、実施例によっては、ガイドシューウィングのうち一のガイドシューウィングのみが回転可能とされる場合があることに留意すべきである。このような場合には、一のガイドスロットのみが、ガイドシューウィングを回転させるための形状を必要とする(基本的には、上述の実施例と同様に、一のガイドシューウィングがガイドシューの他の部分に対して相対的に滑動可能とされる)。
【0020】
第2の実施態様では、本発明は、固定式ルーフ部分内に形成されたルーフ開口部と、当該ルーフ開口部を閉口する共に少なくとも部分的に開口するための可動式パネルとを備えている、車両のためのオープンルーフ構造体であって、可動式パネルが、少なくとも2つの本発明における駆動機構によって移動可能とされる、オープンルーフ構造体に関する。
【0021】
このようなオープンルーフ構造体の一の実施例では、可動式パネルがスポイラーである。しかしながら、可動式パネルは、例えばウィンドデフレクターやスライド及び/又はチルト可能なルーフパネルのような、他のタイプの可動式パネルであっても良い。
【0022】
本発明について、添付図面を参照しつつ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明におけるオープンルーフ構造体を具備する車両の一部分を表わす斜視図である。
図2】本発明における駆動機構の動作中における逐次的な段階を表わす。
図3】本発明における駆動機構の動作中における逐次的な段階を表わす。
図4】本発明における駆動機構の動作中における逐次的な段階を表わす。
図5】回転可能なスライドシュー部分を具備する一の実施例の、図4の断面V−Vにおける断面図である。
図6図5に表わす実施例におけるガイドシューの斜視図である。
図7】回転可能なスライドシュー部分を具備する実施例の、図2の断面VI−VIにおける断面図である。
図8図7に表わす実施例におけるガイドシューの斜視図である。
図9】滑動可能なスライドシュー部分を具備する一の実施例の、図4の断面V−Vにおける断面図である。
図10図9に表わす実施例におけるガイドシューの斜視図である。
図11】滑動可能なスライドシュー部分を具備する実施例における、図2の断面VI−VIにおける断面図である。
図12図11に表わす実施例におけるガイドシューの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、車両1の一部分を表わす。車両1は、固定式ルーフ部分3に形成されたルーフ開口部2と、ルーフ開口部2を閉じるための、又は少なくとも部分的に開くための可動式パネル4とを備えている。
【0025】
可動式パネル4は、ルーフ開口部2の対向する長手方向側面に配置されている少なくとも2つの駆動機構によって移動することができる、スポイラー、頂部スライダー、又は任意の他の種類の可動式パネルとされる。図1は、これら駆動機構のうち、ルーフ開口部2の一方の長手方向側面に配置されているガイドチャネル5のみを表わす。
【0026】
図2図4は、このような駆動機構の一部分を明確に表わす。スライドシュー6は、ガイドチャネル5内に配設されており、所望の手順(当該実施例では、既知の協働を実現する従動スライド8とレバー9との組み合わせが利用されるが、本発明に関連しないので、本明細書では詳述しない)でガイドチャネル5に取り付けられたブラケット7を移動させるように(詳述しない方式で可動式パネル4を移動させるように)既知の方式でガイドチャネル5と協働する。その結果として、スライドシュー6をガイドチャネル5に沿って移動させると、可動式パネル4も自在に移動させることができる。
【0027】
ガイドチャネルは、スライドシュー6を第1の高さに移動させるために略水平方向に延在している第1の部分5と、スライドシュー6を比較的下方の第2の高さに移動させるために当該略水平方向に対して下向きに延在している第2の部分5’(当該技術分野では、ロケーターと呼称される)とを備えている。図2では、スライドシュー6は、ガイドチャネルの第2の部分5’(すなわちロケーター)内に配置されている。しかしながら、図3及び図4では、スライドシュー6は、略水平方向に延在しているガイドチャネルの第1の部分5に配設されている(図3が、可動式パネル4が部分的に開口された状態を表わす一方、図4は、可動式パネル4が完全に開口された状態を表わす)。
【0028】
図5図7図8、及び図11に明瞭に表わすように、駆動機構は、スライドシュー6に取り付けられていると共にガイドチャネルの第1の部分5に対して略平行に且つガイドチャネル5に沿って延在している、桿体状の駆動部材10をさらに備えている(すなわち、図5図7図8、及び図11に明瞭に表わすように、ガイドチャネル5はチャネル11を介して一体になっている)。桿体状の駆動部材10は、例えばプッシュプル式ケーブルとされ、(例えば電気モータによって、又は作業員の手作業によって生じる)任意の種類の駆動力によって駆動される。
【0029】
以下に説明するように、スライドシュー6の少なくとも一部分が、スライドシュー6の他の部分に対して相対的に、スライドシュー6が第1の高さより低い第2の高さに位置決めされた場合に桿体状の駆動部材10と干渉しない位置に移動可能とされる。ガイドシュー6が相対的に低い第2の高さに位置決めされた場合に、駆動部材10は、ガイドシュー6の最下方部分が位置する高さの上方でガイドチャネル5の垂直方向投影内に配置される。
【0030】
図5図8は、駆動機構の一の実施例を表わす。当該実施例では、ガイドチャネルが、2つの対向するガイドスロット5’’,5’’’を備えており、ガイドスロット5’’,5’’’は、ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分5及び第2のガイドチャネル部分5’それぞれに沿って延在しており、スライドシュー6の少なくとも一部分を形成している2つの互いに対して反対側に配設されたガイドシューウィング6’と協働するようになっており、スライドシュー6の少なくとも一部分は、ガイドシュー6の他の部分と共に回転可能な状態でガイドシュー6の他の部分に接続されている。
【0031】
第2のガイドチャネル部分5’のガイドスロット5’’’は、ガイドシュー6が第2のガイドチャネル部分5’内に入った場合に、ガイドスロット5’’’によって、ガイドシューウィング6’が図5及び図6に表わす非回転位置から図7及び図8に表わす回転位置に向かって回転されるように形成されている。
【0032】
ガイドシューウィング6’は、第1のガイドチャネル部分5に対して略平行に延在している回転軸線12を中心として、スライドシュー6の他の部分に対して相対的に回転可能とされる。
【0033】
このような機構によって、ガイドシュー6は、桿体状の駆動機構10に係合することなく、(第1のガイドチャネル部分5内の)第1の高さから(第2のガイドチャネル部分すなわちロケーター5’内の)第2の高さに移動可能とされる。その結果として、ガイドシュー6がロケーター5’内の第2の高さに位置決めされた場合に、駆動部材10は、ガイドシュー6の最下方部分が位置する高さより上方でガイドチャネル5の垂直方向投影内に配置される(基本的には、このことは、駆動部材10がガイドチャネル5の断面内に配置されていることを意味する)。従って、駆動機構の大きさが、駆動部材10がガイドチャネル5の断面の外側に配置されている従来技術と比較して小さくすることができる。例えば、ヘッドライナー13(図2参照)が、比較的高い位置に配置可能とされる。
【0034】
図9図12は、駆動機構の代替的な実施例を表わす。ガイドチャネルは、2つの対向するガイドスロット5’’,5’’’を備えており、ガイドスロット5’’,5’’’は、ガイドチャネルの第1のガイドチャネル部分5及び第2のガイドチャネル部分5’それぞれに沿って延在しており、2つの互いに対して反対側に配設されたガイドシューウィング6’,6’’と協働しており、ガイドシューウィング6’,6’’のうち第1のガイドシューウィング6’’は、スライドシュー6の一部分を形成しており、スライドシュー6の一部分は、スライドシュー6が第1のガイドチャネル部分5内に位置決めされている場合における伸展位置(図9及び図10参照)とスライドシュー6が(第2のガイドチャネル部分5’内の)相対的に低い第2の高さに位置決めされている場合における後退位置(図11及び図12参照)との間において、スライドシュー6の他の部分に対して相対的に滑動可能とされる。図11に明確に表わすように、ガイドチャネル部分のうち左側のガイドチャネル部分5’’’は、左側のガイドチャネル部分5’’’によってガイドシューウィング6’’が滑動可能となるように形成されている。
【0035】
このような機構によって、ガイドシュー6は、桿体状の駆動部材10に係合することなく、第1の高さから第2の高さに移動可能となる。
【0036】
スライドシュー6の少なくとも一部分は、スライドシュー6の他の部分に対して相対的に回転可能又は滑動可能とされるので、非回転位置すなわち伸展位置に向かってプリロードされている場合がある(図10は、このようなプリロードを発生させるためのバネ部材14を表わす)。
【0037】
本発明は、上述の実施例に限定される訳ではなく、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲に属するものであれば自在に変更可能とされる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
2 ルーフ開口部
3 固定式ルーフ部分
4 可動式パネル
5 ガイドチャネル(第1のガイドチャネル部分)
5’ 第2のガイドチャネル部分
5’’ ガイドスロット
5’’’ ガイドスロット
6 スライドシュー
6’ ガイドシューウィング
7 ブラケット
8 従動スライド
9 レバー
10 駆動部材
11 チャネル
12 回転軸線
13 ヘッドライナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12