特許第6306313号(P6306313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスド イオン ビーム テクノロジー,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6306313非平面半導体装置へのプラズマドーピング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306313
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】非平面半導体装置へのプラズマドーピング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/22 20060101AFI20180326BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20180326BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20180326BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   H01L21/22 E
   H01L29/78 301X
   H01L29/78 301R
   H01L21/265 F
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-212093(P2013-212093)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-90166(P2014-90166A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年10月3日
(31)【優先権主張番号】13/648,127
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512197766
【氏名又は名称】アドバンスド イオン ビーム テクノロジー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED ION BEAM TECHNOLOGY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヅー−シー,イェン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,タン
(72)【発明者】
【氏名】ツンナン,チェン
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/124213(WO,A1)
【文献】 特開2002−118255(JP,A)
【文献】 特表2007−520885(JP,A)
【文献】 特開2010−010417(JP,A)
【文献】 特開2008−141177(JP,A)
【文献】 特開2005−064500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/22
H01L 21/265
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平面半導体装置をプラズマドーピングするための方法であって、
第1非平面半導体本体が形成された基板を得るステップと、
チャンバーに前記基板を配置するステップと、
前記チャンバーにドーパントイオンを含むプラズマを形成するステップと、
前記第1非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを注入するために第1バイアス電圧を生成し、前記第1バイアス電圧は、前記基板へ前記ドーパントイオンを加速させ、前記第1バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンは、前記基板に直交する軸に対して第1注入角度で前記基板にて作用されるステップと、
前記領域にドーパントイオンを注入するために、第2バイアス電圧を生成し、前記第2バイアス電圧は、前記基板へ前記ドーパントイオンを加速させ、前記第2バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンは、前記軸に対して第2注入角度で前記基板にて作用されるステップとを含み、
前記第1バイアス電圧は、前記第2バイアス電圧より大きく、
前記第1注入角度は、前記第2注入角度よりも小さいことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記領域は、チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域、ソース拡張領域およびドレイン拡張領域のうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1バイアス電圧を生成するステップは、前記第2バイアス電圧を生成するステップより前であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1バイアス電圧を生成するステップは、第1ドーパントイオン種を前記領域へ注入し、前記第2バイアス電圧を生成するステップは、第2ドーパントイオン種を前記領域へ注入し、
前記第1ドーパントイオン種は、前記第2ドーパントイオン種より大きい分子量を有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1バイアス電圧を生成するステップは、第1ドーパントイオン種を前記領域へ注入し、前記第2バイアス電圧を生成するステップは、第2ドーパントイオン種を前記領域へ注入し、
前記第1ドーパントイオン種は、前記第2ドーパントイオン種と異なる分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記領域においてドーパントイオンを注入するために第3バイアス電圧を生成するステップを含み、
前記第3バイアス電圧は、前記第1バイアス電圧および前記第2バイアス電圧と異なることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1非平面半導体本体は、高さを有し、前記第1バイアス電圧、前記第1注入角度、前記第2バイアス電圧および前記第2注入角度は、前記高さにおいて5%以下の領域においてドーパント濃度均一性を満たすよう規定されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバーに前記基板を配置するステップより前に、前記第1非平面半導体本体上および周囲にパディング層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1非平面半導体本体は、上面を有し、前記パディング層は、前記第1非平面半導体本体の前記上面上に0−10nmの厚みに形成されていることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
パンチスルーストッパー層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記パンチスルーストッパー層は、前記第1非平面半導体本体より下に直接、基板に形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1非平面半導体本体は、限界寸法および高さを有し、前記パンチスルーストッパー層は、前記非平面半導体本体において、前記第1非平面半導体本体の前記限界寸法より大きく、前記高さより小さい深さにおいて形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1非平面半導体装置は、チャネル幅を有し、前記チャネル幅は、およそ前記パンチスルーストッパー層の前記深さの2倍に前記限界寸法を加算したものであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1バイアス電圧、前記第1注入角度および前記第2バイアス電圧および前記第2注入角度は、前記パンチスルーストッパー層の深さにおいて5%以下の領域にドーパント濃度均一性を満たすように規定されていることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1非平面半導体本体は、長さを有し、前記パンチスルーストッパー層の前記深さは、前記第1非平面半導体本体の長さにおいて、5%以下の均一性を有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記得られた基板は、第2非平面半導体本体が形成され、前記第1非平面半導体本体および前記第2非平面半導体本体それぞれは、高さを有し、
前記第1非平面半導体本体の前記高さは、前記第2非平面半導体本体の前記高さにおよそ等しく、
前記第1非平面半導体本体において、第1の深さに、第1パンチスルーストッパー層を形成するステップと、
前記第2非平面半導体本体において、第2の深さに、第2パンチスルーストッパー層を形成するステップとを含み、
前記第1の深さは、前記第2の深さと異なり、前記第1の深さおよび前記第2の深さは、前記第1非平面半導体本体および前記第2非平面半導体本体の前記高さに対して小さいまたは等しく、
前記第2非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを注入するために第3バイアス電圧を生成するステップと、
前記第2非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを注入するために第4バイアス電圧を生成するステップとを含み、
前記第3バイアス電圧と前記第4バイアス電圧とは、異なることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1非平面半導体本体および前記第2非平面半導体本体それぞれは、限界寸法を有し、前記第1非平面半導体本体は、第1チャネル幅を有する第1非平面半導体装置を形成し、前記第2非平面半導体本体は、第2チャネル幅を有する第2非平面半導体装置を形成し、前記第1チャネル幅は、前記第1の深さの2倍に前記第1非平面半導体本体の限界寸法を加算したものであり、前記第2チャネル幅は、前記第2の深さの2倍に前記第2非平面半導体本体の限界寸法を加算したものであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1非平面半導体本体をアニーリングするステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1非平面半導体本体は、フィン、ナノワイヤーおよび垂直配列のナノワイヤーのうちの1つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記非平面半導体装置は、FinFET装置、非平面マルチゲートトランジスタ装置または非平面ナノワイヤートランジスタ装置のうちの1つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
非平面半導体装置をプラズマドーピングするための方法であって、
非平面半導体本体が形成された基板を得るステップと、
チャンバーに前記基板を配置するステップと、
前記チャンバーにドーパントイオンを含むプラズマを形成するステップと、
第1非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを加速させるために第1バイアス電圧を生成するステップと、
前記第1バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンを、前記基板に直交する軸に対して第1注入角度で前記領域に注入するために、前記チャンバーに第1傾斜角度で電極スクリーンを配置するステップと、
前記領域にドーパントイオンを加速させるために第2バイアス電圧を生成し、前記第2バイアス電圧は、前記第1バイアス電圧よりも小さいステップと、
前記第2バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンを、前記軸に対して第2注入角度で前記基板に注入するために、前記チャンバーに第2傾斜角度で電極スクリーンを配置し、前記第2注入角度は、前記第1注入角度よりも大きいステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
前記第1バイアス電圧は、前記領域へ第1種のドーパントイオンを加速させ、前記第2バイアス電圧は、前記領域へ第2種のドーパントイオンを加速させ、
前記第1種の前記ドーパントイオンは、前記第2種の前記ドーパントイオンより大きい分子量を有することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
非平面半導体装置をプラズマドーピングするための方法であって、
非平面半導体本体が形成された基板を得るステップと、
イオン注入プロセスを用いて、前記非平面半導体本体にパンチスルーストッパー層を形成するステップと、
チャンバーに前記基板を配置するステップと、
前記チャンバーにドーパントイオンを含むプラズマを形成するステップと、
第1非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを加速するために第1バイアス電圧を生成し、前記第1バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンは、前記基板に直交する軸に対して第1注入角度で前記基板にて作用されるステップと、
前記領域にドーパントイオンを加速するために、第2バイアス電圧を生成し、前記第2バイアス電圧により加速された前記ドーパントイオンは、前記軸に対して第2注入角度で前記基板にて作用されるステップとを含み
前記第1バイアス電圧は、前記第2バイアス電圧より大きく、
前記第1注入角度は、前記第2注入角度よりも小さいことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、一般的に半導体装置の製造に関し、より具体的には非平面半導体装置へのプラズマドーピングの方法に関する。
【0002】
〔関連技術〕
半導体装置の製造者は、大きな回路密度、高いパフォーマンス、寄生キャパシタンスおよびオフ状態リークのような短チャネル効果を達成するために、トランジスタ装置の寸法を小さくし続けるので、ますますトランジスタ装置の特性を損なっている。ダブルゲートトランジスタ、トリゲートトランジスタおよびゲートオールアラウンドトランジスタのようなフィン電界効果トランジスタ(FinFET)は、短チャネル効果の制御について、半導体プロセスにおける最近の技術である。FinFETは、基板表面上に突き出るフィンを有する。フィンは、長い実効チャネル幅を生成し、短チャネル効果を減少する。
【0003】
フィンは、FinFETのチャネル、ソース/ドレイン領域およびソース/ドレイン拡張領域を定める。従来の平面型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のように、FinFET装置のチャネル、ソース、ドレイン、ソース拡張領域およびドレイン拡張領域は、好ましい電気的特性を生成するために、不純物(ドーパント)を用いてドープされる。理想的には、これら領域は、フィンの高さに沿って一様にドープされる。不良なドーパント均一性は、ソース/ドレインのパンチスルー問題と同様にゲートの高さを横切って、好ましくないしきい値電圧変化を生じるかもしれない。
【0004】
プラズマドーピング(プラズマ浸漬イオン注入として知られる)は、FinFET装置のチャネル、ソース/ドレインおよびソース/ドレイン拡張領域をドープするための方法である。しかしながら、フィンの高さを横切って均一なドーパントプロファイルを達成することは、プラズマドーピングを用いる必要がある。プラズマドーピングの間に形成されるプラズマは、フィンの寸法に関して大きく、プラズマはフィンに順応しない。結果として、プラズマドーピングは、フィンの上部がフィンの下部より多くドープされる垂直方向に生じる。
【0005】
〔要約〕
典型的な実施形態において、非平面半導体本体が形成された基板が得られる。非平面半導体本体を有する基板は、チャンバーに配置される。ドーパントイオンを含むプラズマは、チャンバーにおいて形成される。第1バイアス電圧は、非平面半導体本体の領域にドーパントイオンを注入するために生成される。第2バイアス電圧は、同じ領域にドーパントイオンを注入するために生成される。ある例において、第1バイアス電圧および第2バイアス電圧は、異なる。
【0006】
〔図の説明〕
図1は、FinFET装置をプラズマドープするために使用される典型的なプラズマドーピングシステムの概略的なブロック図である。
【0007】
図2は、FinFETをプラズマドープするための典型的なプロセスを示す。
【0008】
図3A−3Dは、FinFET装置をプラズマドープするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図である。
【0009】
図4は、FinFET装置をプラズマドープするための他の典型的なプロセスを示す。
【0010】
図5A−5Gは、FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
【0011】
図6A−6Cは、FinFET装置をドーピングするための典型的なプロセスによって形成された典型的なFinFET装置の断面図を示す。
【0012】
〔詳細な説明〕
非平面半導体装置にプラズマドーピングするための方法が記載される。次の記載は、当業者が様々な実施形態を生成し、使用できるよう提示されている。特定の装置、方法およびアプリケーションの記載は、例として提示されている。ここに記載された例に対して様々な修正は、当業者にとって明白であり、ここに定義された一般的な原則が、様々な実施形態の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、他の例およびアプリケーションに対して適用されてもよい。したがって、様々な実施形態は、ここに記載および示された例に限定されるものではなく、クレームと一致する範囲と一致する。例えば、FinFET装置をプラズマドープするための典型的な工程は、以下に開示されている。これら典型的な工程は、非平面マルチゲートトランジスタ装置および非平面ナノワイヤートランジスタ装置のようなFinFET装置以外の非平面半導体装置に適用してもよい。
【0013】
1.プラズマドーピングシステム
図1は、FinFET装置のような非平面半導体装置にプラズマドープするために使用される典型的なプラズマドーピングシステム100を示す。典型的なプラズマドーピングシステム100は、円筒の側壁、土台、蓋によって囲まれたチャンバー102を有する。フィンを有する基板104は、チャンバー102内に設けられ、支持台106に支持される。支持台106の温度は、加熱冷却機構によって制限され、基板104の温度を制御する。
【0014】
プロセスガスは、シャワーヘッド110を介してガスパネル108からチャンバー102に設けられる。プロセスガスは、ドーパントガス(例えば、三フッ化ホウ素、シボラン、ホスフィン、五フッ化リン、アルミンなど)および挿入希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオンなど)の少なくとも1つを含むガス混合物であってもよい。真空ポンプ124は、スロットルバルブ128を介してチャンバー102を排気し、好ましい範囲(例えば2−150mT)にチャンバーの圧力を制御する。
【0015】
プラズマ120は、1以上の電力源をシャワーヘッド110に与えることによってプロセスガスからチャンバー102内において形成される。例えば、高周波(RF)電源112は、マッチングネットワーク114を介してシャワーヘッド110に提供される。RF電源は、200W−10kWの電力、5−30MHzの周波数を有する。プラズマ120は、ガス混合物における少なくとも1つのドーパントガスから形成されるドーパントイオンを含む。プラズマ120は、シャワーヘッド110と基板104との間に形成され、プラズマシース122は、プラズマ120と基板104との間に形成される。
【0016】
RFバイアス電源116は、マッチングネットワーク118を介して支持台106に設けられる。RFバイアス電源116は、50−500Wの電力、0.5−5MHzの周波数を有してもよい。RFバイアス電源116は、プラズマ120と基板104との間のプラズマシース122においてバイアス電圧を生成する。バイアス電圧は、プラズマ120からドーパントイオンを抽出し、プラズマシース122においてドーパントイオンを加速させ、基板104上においてフィンに注入する。より高いバイアス電圧が生成されるほど、ドーパントイオンは、より深くフィンに注入される。RFバイアス電源116は、100V−15kVのバイアス電圧を生成する。バイアス電圧は、基板104の表面に対して実質的に垂直な注入角度で、フィンに注入するようドーパントイオンに作用する。例えば、注入角度は、基板104の表面に対して直交する軸に関しておよそ0−10度である。選択的電極スクリーン126は、プラズマ120と基板104との間に配置される。電力供給(図示せず)は、電気ポテンシャルを電極スクリーン126に適用し、フィンにおけるプラズマシース122においてドーパントイオンを加速させる。電極スクリーン126は、好ましい注入角度でフィンにドーパントイオンを作用するよう傾けられる。
【0017】
コントローラ130は、プラズマドーピングシステム100の様々な構成部材と接続され、プラズマドーピングシステムを制御して、ここに記載の非平面半導体装置をプラズマドーピングするためのプロセスを行う。コントローラ130の機能および特性は、後に詳細に記載される。
【0018】
ここに記載の典型的なプラズマドーピングシステム100は、容量結合によってプラズマ120を形成する。非平面半導体装置をプラズマドーピングするための方法は、任意の適切なプラズマドーピングシステムを用いて行われると理解される。例えば、プラズマ120は、誘電結合によって生成される。プラズマは、トロイダルプラズマ源、ヘリコンプラズマ源、DCプラズマ源または遠隔プラズマ源のような多数の他のプラズマ源の構成から提供される。RF源およびRF周波数のようなパラメータ値は、例によって与えられ、他の値が発明の範囲内において利用されると理解される。
【0019】
2.非平面半導体装置のプラズマドーピング
図2に関して、FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセス200が記載される。プロセス200のブロック202において、フィンを有する基板が得られる。フィンは、チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域、ソース拡張領域およびドレイン拡張領域を含む。ブロック204において、フィンを有する基板は、チャンバーに配置される。ブロック206において、プラズマは、チャンバー内に形成される。プラズマは、ドーパントイオンを含む。ブロック208において、第1バイアス電圧は、チャンバーに生成され、フィンの領域にドーパントイオンを注入する。領域は、チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域、ソース拡張領域、ドレイン拡張領域のうち任意の1つを含む。ブロック210において、第2バイアス電圧は、少なくとも部分的に、ドーパントイオンがフィンに注入される深さを決定する。ある例において、第1バイアス電圧は、第2バイアス電圧と異なり、フィンにおける異なる深さにドーパントイオンを注入する。そのような例において、第1バイアス電圧は、第2バイアス電圧より大きい。
【0020】
典型的なプロセス200のより詳細な説明は、図2図3A−3Dに同時に提供される。図3A−3Dは、プロセス200の様々な段階におけるFinFET装置300の断面図を示す。プロセス200のブロック202および図3Aに示されるように、フィン304が形成された基板302が得られる。基板302は、FinFET装置300に適切な一般的に知られた基板を含む。例えば、基板302は、単結晶半導体ウエハ(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素など)を含む。他の例において、基板302は、異なる単結晶ウエハ(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素など)上に成長された1以上のエピタキシャル単結晶半導体層(例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウム、インジウムガリウムヒ素など)を含む。1以上のエピタキシャルに成長された半導体層は、バッファ層として機能し、異なる結晶ウエハから基板304の上面まで格子定数を類別する。他の例において、基板302は、単結晶半導体基板と例えばシリコン・オン・インシュレーター基板を形成するためのエピタキシャル層との間に絶縁層(例えば、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、高k誘電体層など)を含む。基板302は、シャロートレンチアイソレーション構造のような他の構造および層を含んでもよいと理解されるべきである。
【0021】
基板302上のフィン304は、フォトリソグラフィ、エッチングおよび化学蒸着法のような従来の半導体製造方法によって形成されるが、それらに限定するものではない。フィン304は、ソース領域314とドレイン領域316との間に設けられたチャネル領域312を有する。ソース拡張領域313は、チャネル領域312とソース領域314との間に設けられ、ドレイン拡張領域315はチャネル領域312とドレイン領域316との間に設けられる。フィン304は、単結晶半導体材料(例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素など)を含む。また、フィン304は、エピタキシャルに成長された半導体材料から成る多数の層を含んでもよい。そのような例において、エピタキシャルに成長された半導体材料から成る多数の層は、チャネル領域において、多数のナノワイヤーの垂直の配列を形成する。図3Aに示されるように、フィン304は、限界寸法306、高さ308および長さ310を有する。ある例において、限界寸法306は、5−50nm、高さ15−150nm、長さ20−1200nmである。
【0022】
プロセス200のブロック204において、フィン304を有する基板302は、チャンバー内に配置される。チャンバーは、図1のチャンバー102のような非平面半導体装置にプラズマドーピングすることが可能な任意の好適なチャンバーであってもよい。ブロック206および図3Bに示されるように、プラズマ318は、チャンバー内に形成され、プラズマシース320は、プラズマ318と基板302との間に形成される。図1に前述されたように、プラズマ318は、プロセスガスをチャンバーに与え、少なくとも1つの電源(例えば、RF電源)を与えることによって形成される。プロセスガスは、プラズマ318にドーパントイオンを連続的に形成する少なくとも1つのドーパントガスを含む。チャンバーに設けられたドーパントガスのタイプは、プラズマ318に形成されたドーパントイオンのタイプを決定する。例えば、ジボランおよび三フッ化ホウ素のようなp型ドーパントガスは、プラズマ318において、B,BF,BF2+,BF3+のようなp型ドーパントイオンを形成する。一方、アルシンおよびホスフィンのようなn型ドーパントガスは、プラズマ318において、PおよびAsのようなn型ドーパントイオンを形成する。n型ドーパントガスの適切なタイプは、ドーパントイオンの好ましいタイプを用いて、フィン304の領域にプラズマドープするために選択される。チャネル領域312は、NMOSトランジスタ装置を形成するときp型ドーパントイオンが注入され、PMOSトランジスタ装置を形成するときにn型ドーパントイオンが注入される。一方、ソース/ドレイン領域314,316およびソース/ドレイン拡張領域313,315は、PMOSトランジスタ装置を形成するとき、p型ドーパントイオンが注入され、NMOSトランジスタ装置を形成するときn型ドーパントイオンが注入される。
【0023】
プロセス200のブロック208および図3Cに示されるように、第1バイアス電圧321は、チャンバーにおいて生成される。図1において前述したように、第1バイアス電圧321は、基板302を支持する支持台にRFバイアス電源を供給することによって生成される。第1バイアス電圧321は、プラズマシース320において生成され、プラズマからのドーパントイオンを、ソース/ドレイン領域314,316、ソース/ドレイン拡張領域313,315またはチャネル領域312のようなフィン304の1以上の領域に注入する。バイアス電圧の大きさは、ドーパントイオンがフィン304に注入される深さを少なくとも部分的に決定する。バイアス電圧が高いほど、ドーパントイオンがフィン304に注入される深さが大きくなる。図3Cに示されるように、第1バイアス電圧321は、フィン304の底部324における深さ319にドーパントイオンを注入するために生成される。例えば、深さ319は、2−50nmである。ある例において、第1バイアス電圧321は、0.5kV−15kVである。他の例において、第1バイアス電圧321は、2kV−10kVであってもよい。また、他の例において、第1バイアス電圧321は、2kV−6kVであってもよい。
【0024】
プラズマシース320の寸法は、フィン304の寸法に比べて比較的大きく、フィン304の上に形成し、フィン304に適合しない。結果、ドーパントイオンは、実質的に基板302に垂直な注入角度で、フィン304の上部に注入する。例えば、第1バイアス電圧321は、基板302に直交する軸に対して、およそ0度の注入角度で、フィン304にドーパントイオンを注入する。例えば、電極スクリーンは、第1バイアス電圧が基板302に直交する軸に対して第1注入角度でフィン304にドーパントイオンを注入するよう傾けられる。ある例において、第1注入角度は、0−10度である。他の例において、第1注入角度は、0−5度である。
【0025】
プロセス200のブロック210および図3Dに示されるように、第2バイアス電圧は、チャンバーにおいて生成される。第2バイアス電圧323は、フィン304における同一の1以上の領域(すなわち、ソース/ドレイン領域、ソース/ドレイン拡張領域またはチャネル領域)にプラズマ318からのドーパントイオンを注入するようプラズマシース320において生成される。第2バイアス電圧323は、フィン304において、2−33nmの深さにドーパントイオンを注入するよう定められる。第2バイアス電圧323は、第1バイアス電圧321と異なり、ドーパントイオンはフィン304における異なる深さに注入される。例えば、図3Dに示されるように、第2バイアス電圧323は、第1バイアス電圧321より低く、第2バイアス電圧323は、部分324の深さ319より小さい部分326における深さ325にドーパントイオンを注入する。部分326は、部分324に接しているか、または、部分的に覆っている。ある例において、第2バイアス電圧323は、0.5kV−10kVである。他の例において、第2バイアス電圧323は、0.5kV−6kVである。他の例において、第2バイアス電圧は、0.5kV−2kVである。
【0026】
第2バイアス電圧323は、基板302に対して実質的に垂直な注入角度で、ドーパントイオンをフィン304に注入する。また、電極スクリーンは、第2バイアス電圧323が基板302に直交した軸に対して第2注入角度で、フィン304にドーパントイオンを注入するよう傾けられていてもよい。ある例において、第2注入角度は、1−10度である。他の例において、第2注入角度は、2−6度である。
【0027】
バイアス電圧は、フィン304に注入されたドーパントイオンの散在に影響を与える。散在は、フィン304に注入されたドーパントイオンの広がりである。散在は、水平方向(例えばフィン304の長さ310に沿って)および垂直方向(例えばフィン304の高さ308に沿って)において生じ、バイアス電圧が増加する。異なるバイアス電圧でのドーパントイオンの注入は、全体の散在を大きくし、フィン304の長さ310および高さ308において不良なドーパント均一性を生じる。本実施形態において、第1注入角度および第2注入角度は、異なるバイアス電圧での注入から生じる全体の水平散在を減少させるよう規定される。例えば、第1バイアス電圧321が第2バイアス電圧323より高い場合、第1注入角度は、第2注入角度より小さく規定される。そのような例において、第1バイアス電圧321は、2−10kVであり、第1注入角度0−2度であり、一方第2バイアス電圧323は、0.5−2kVであり、第2注入角度は2−10度である。
【0028】
全体の散在は、異なるバイアス電圧で異なるドーパントイオン種を注入することによって、減少される。異なるドーパントイオン種は、プラズマ318に異なるドーパントイオン種を形成するために、異なるドーパントイオンガスをチャンバーに与えることによって注入される。大きい分子量を有するドーパントイオン種は、小さい侵入深さおよび少ない散在を有す傾向がある。全体の散在を減少するために、大きい分子量を有するドーパントイオン種は、高いバイアス電圧が注入され、一方小さい分子量を有するドーパントイオン種は、低いバイアス電圧が注入される。例えば、74.9の大きい分子量を有するヒ素のドーパントイオン種は、2−10kVの高い第1バイアス電圧で注入され、31.0の小さい分子量を有するリンのドーパントイオン種は、0.5−2kVの低い第2バイアス電圧で注入される。
【0029】
深いイオン注入は、好ましくは浅いイオン注入より先に実行される。このように、浅く注入されたドーパントイオンは、後の深い注入によって置き換え(「打ち込み」)られない。例えば、プロセス200において、第1バイアス電圧は、第2バイアス電圧より大きく、第1バイアス電圧は、第2バイアス電圧より先に生成される。
【0030】
記載のように、ブロック210は、ブロック208と同じチャンバーにおいて実行される。また、ブロック208,210は、異なるチャンバーにおいて実行されてもよいと理解されるべきである。例えば、ブロック210において、フィン304を有する基板302は、ブロック208と異なるチャンバーにおいて配置される。ドーパントイオンを有するプラズマは、異なるチャンバーに形成されてもよく、プラズマシースは、プラズマと基板302との間に形成されてもよい。第2バイアス電圧は、フィン304にドーパントイオンを注入するように、プラズマシースにおいて生成される。
【0031】
プロセス200は、限定するものではないが、非平面マルチゲートトランジスタ装置、非平面ゲートオールアラウンドトランジスタ装置および非平面ナノワイヤートランジスタ装置のような他の非平面半導体装置に適用してもよい。例えば、フィン304は、ナノワイヤーまたは垂直配列のナノワイヤーのような他の非平面半導体装置本体に代えられてもよい。
【0032】
図4に関して、FinFET装置にプラズマドーピングするための他の典型的なプロセス400が示される。図5A−5Fは、プロセス400を示す様々な段階を示すFinFET装置500の断面図である。プロセス400は、ブロック402〜416を含む。選択的ブロック404,406は点線の輪郭で示される。
【0033】
プロセス400のブロック402および図5Aに示されるように、フィン504が形成された基板が得られる。基板502は、単結晶半導体基板、シリコンウエハ上の1以上のエピタキシャル成長層、シリコン・オン・インシュレーターまたはFinFET装置が形成される他の既知の基板を含む。フィン504は、ソース/ドレイン領域、ソース/ドレイン拡張領域およびチャネル領域を含む。フィン504は、限界寸法510、高さ508および長さ(図示せず)を有する。マスク、ダミー特徴または隣接フィンのような隣接構造506は、フィン504の隣に形成される。
【0034】
プロセス400の選択的ブロック404および図5Bに示されるように、パディング層511は、フィン504の上および周囲に形成され、フィン504と隣接構造506との間の領域を満たす。パディング層511は、ドーパントイオンが基板502に到達することを防止し、プラズマドーピングの間、フィン504の側壁にドーパントイオンの再スパッタリングを防止する。また、パディング層511は、フィン504においてドーパント保持を増加させる。フィン504の上面上のパディング層の厚み512は、注入の間に、ドーパントイオンがフィン504に入ることを防ぐことがないように十分に薄い。例えば、パディング層511は、フィン504の上面上に0−10nmの厚みで形成される。また、パディング層511は、フィン504および隣接構造506上のおよそ平面の表面を有する。
【0035】
パディング層511は、注入されたドーパントイオンを閉じ込める任意の物質を含む。例えば、パディング層511は、限定するものではないが、非ドープシリコン酸化物、ドープシリコン酸化物、窒化ケイ素および酸窒化ケイ素のような誘電体材料またはその場ドープ材料である。パディング層511は、プロセス400におけるブロック408,410より先に形成され、フィン504をアニーリングするブロック412より前または後に除去されてもよい。
【0036】
プロセス400の選択的ブロック406および図5Cに示されるように、パンチスルーストッパー(PTS)層514は、フィン504に形成される。PTS層514は、フィン504のソース/ドレイン領域、チャネル領域および/またはソース/ドレイン拡張領域の下に形成され、電気的なパンチスルーを防ぐ。ソース/ドレイン領域、チャネル領域および/またはソース/ドレイン拡張領域は、部分的にPTS層514を覆ってもよい。また、PTS層514は、プラズマドーピングおよびアニーリング工程の間、ドーパントの移動をふせぐまたは十分に遅らせることによって障壁として機能し、フィン504においてドーパントの垂直な散在を最小化する。PTS層514は、ドーパント濃度が消滅するフィン504のPTS層514とソース/ドレイン領域、チャネル領域および/またはソース/ドレイン拡張領域の間に急(切り立った)境界面515を生成する。例えば、PTS層514は、ソース/ドレイン領域、チャネル領域および/またはソース/ドレイン拡張領域におけるシート抵抗が、PTS層514とソースドレイン領域、チャネル領域および/またはソース/ドレイン拡張領域との間で急な(切り立った)境界面515において3nmの厚みを超えると3桁増加するように形成される。
【0037】
PTS層514は、限定するものではないが、炭素、酸素、フッ素、窒素または組み合わせのようなドーパントの動きを抑える任意の種をフィン504に注入することによって形成される。また、PTS層514は、PTS層514上に注入されるドーパントイオンのタイプと反対のドーパントイオンのタイプを注入することによって形成される。例えば、PTS層514は、p型ドーパントイオンがPTS層514上の領域において注入される場合、n型ドーパントイオンを注入することによって形成される。注入は、イオンビーム注入またはプラズマドーピングのような任意の適切な注入プロセスによって行われる。ある例において、PTS層514は、プロセス400のブロック412,414と同じプラズマドーピングチャンバーにおいて形成される。
【0038】
PTS層514が形成される深さ516は、FinFET装置500の有効高さ516におよそ等しい。既知のように、FinFET装置500の有効チャネル幅は、FinFETの有効高さの2倍とフィンの限界寸法との和におよそ等しい。深さ516は、注入プロセスによって制御されるので、FinFET装置500の有効チャネル幅は、フィン504の物理的高さ508と独立して、注入プロセス(例えばイオンビーム注入およびプラズマドーピング)によって制御される。ある例において、PTS層514は、フィン504の下の基板502に形成されてもよい。そのような例において、PTS層514は、フィン504の底部と部分的に覆う。他の例において、PTS層514は、フィン504内の任意の深さ516に形成されてもよい。PTS層514は、好ましくはフィン504の限界寸法510より大きい深さ516に形成される。例えば、PTS層514は、限界寸法510より大きく、フィン504の高さ508より小さい深さ516で、フィン504に形成される。PTS層514の深さ516は、フィン504の長さにおいて5%以下の均一性を有する。
【0039】
プロセス400のブロック408において、フィン504を有する基板502は、チャンバーに配置される。チャンバーは、図1におけるチャンバー102のようなプラズマドーピングが可能な任意の適切なチャンバーである。ブロック410および図5Dに示されるように、プラズマ522は、チャンバーにおいて形成され、プラズマシース518は、プラズマ522と基板502との間に形成される。プラズマ522は、ドーピングイオンを含む。
【0040】
プロセス400のブロック412および図5Eに示されるように、第1バイアス電圧521は、チャンバーに生成される。第1バイアス電圧521は、ソース/ドレイン領域、ソース/ドレイン拡張領域またはチャネル領域のような、フィン504の1以上の領域にドーパントイオンを注入するために生成される。第1バイアス電圧521は、フィン504の深さ520にドーパントイオンを注入する。ある例において、深さ520は、フィン504において2−50nmである。ある例において、第1バイアス電圧521は、0.5kV−15kVである。他の例において、第1バイアス電圧521は、2kV−10kVである。また、他の例において、第1バイアス電圧521は、2kV−6kVである。第1バイアス電圧521は、基板502に実質的に垂直である注入角度で、フィン504にドーパントイオンを注入する。例えば、注入角度は、およそ0度である。また、図1に示される電極スクリーン126のような、プラズマドーピングシステムにおける電極スクリーンは、第1バイアス電圧521が第1注入角度で、フィン504にドーパントイオンを注入するように傾けられている。ある例において、第1注入角度は、0−5度である。
【0041】
プロセス400のブロック414および図5Fに示されるように、第2バイアス電圧523は、チャンバーにおいて生成される。第2バイアス電圧523は、第1バイアス電圧521と同じ1以上の領域(すなわち、ソース/ドレイン領域、ソース/ドレイン拡張領域またはチャネル領域)に同じタイプのドーパントイオン(すなわち、p型またはn型)を注入するために生成される。第2バイアス電圧523は、フィン504における2−33nmの深さにドーパントイオンを注入するように規定される。第2バイアス電圧523は、ドーパントイオンがフィン504の異なる深さに注入される第1バイアス電圧521と異なる。例えば、第2バイアス電圧523は、第1バイアス電圧521より低く、第2バイアス電圧523は、第1バイアス電圧521より浅い深さにドーパントイオンを注入する。そのような例において、第2バイアス電圧523によって注入されたドーパントイオンは、第1バイアス電圧521によって注入されたドーパントイオンを用いて、フィン504において、部分的に覆う。ある例において、第2バイアス電圧523は、0.5kV−10kVである。他の例において、第2バイアス電圧523は、0.5kV−2kVである。第2バイアス電圧523は、基板502に実質的に垂直な注入角度で、フィン504にドーパントイオンを注入する。例えば、注入角度は、およそ0度である。また、電極スクリーンは、第2バイアス電圧523が第2注入角度でフィン504にドーパントイオンを注入するように傾けられる。第2注入角度は、第1注入角度におよそ等しくてもよい。また、第2注入角度は、第1注入角度と異なっていてもよい。ある例において、第2注入角度は、0−10度であってもよい。他の例において、第2注入角度は、0−5度である。
【0042】
追加のバイアス電圧がフィン504に追加のドーパントイオンを注入するために生成されることは理解されるだろう。例えば、第3バイアス電圧(図示せず)が生成される。ある例において、生成されるバイアス電圧(第1,2バイアス電圧を含む)の総数は、2−20である。他の例において、生成されるバイアス電圧の総数は、2−6である。
【0043】
それぞれ追加のバイアス電圧は、第1,2バイアス電圧と同じ1以上の領域(すなわち、ソース/ドレイン領域、ソース/ドレイン拡張領域およびチャネル領域)に同じドーパントイオンを注入する。それぞれ追加のバイアス電圧は、プラズマドーピングシステムにおける電極スクリーンを傾けることによって、任意の注入角度で、フィン504にドーパントイオンを注入する。ある例において、バイアス電圧は、注入の間、ドーパントイオンの変位(「打ち込み」)を妨げるために降順に生成される。
【0044】
ドーパントイオンは、バイアス電圧に反比例する注入角度に注入される。例えば、最も高いバイアス電圧は、最も小さい注入角度でドーパントイオンを注入し、一方で最も低いバイアス電圧は、最も大きい注入角度でドーパントイオンを注入する。そのような例において、バイアス電圧および対応する注入角度は、フィン504のドーパントイオンの全体の水平の散在を最小限にするよう規定される。例えば、バイアス電圧および注入角度は、フィン504の注入領域の高さにおいて、5%以下のドーパント濃度均一性を満たすように規定される。PTS層514が形成される典型的なプロセスにおいて、バイアス電圧および注入角度は、PTS層514が形成される深さ516において5%以下のドーパント濃度均一性を満たすように規定される。
【0045】
全体の散在を減少させるために、1以上のバイアス電圧は、他のバイアス電圧のものとは異なる、異なる分子量を有するドーパントイオン種を注入する。例えば、1以上の高いバイアス電圧は、他のバイアス電圧のものより高い分子量を有するドーパントイオン種を注入する。
【0046】
プロセス400のブロック416および図5Gに示されるように、フィン504は、アニーリングされる。アニーリングは、矢印524によって示される。アニーリングの間、フィン504に注入されたドーパントは、活性化される。また、注入ダメージ(例えば、アモルファスおよび損傷した結晶)は、結晶再成長によって修復される。アニーリングの間、ドーパント拡散は、フィン504において良好なドーパント均一性を維持するために好適に最小化される。アニーリングは、プロセス400のブロック408,412,414と同じチャンバーにおいて実行される。また、アニーリングは、独立したアニーリングチャンバーにおいて実行されてもよい。フィン504は、ドーパント拡散を最小にするアニールプロセスによってアニールされる。例えば、フィン504は、レーザーアニーリングプロセスまたはパルスレーザーアニーリングプロセスによってアニールされる。他の例において、フィン504は、ドーパント拡散が5nmを超えないようにアニールされる。
【0047】
上述のように、FinFET装置500の有効チャネル幅は、フィン504の物理的高さ508と独立して、注入プロセスによって制御される。したがって、ここに記載の非平面半導体装置にプラズマドーピングは、異なる物理的高さを有するフィンを形成することなく、異なる有効チャネル幅を有する製造されたFinFET装置に使用される。このように、リソグラフィーおよびエッチングパターンのステップが避けられても良い。例えば、基板504は、第1フィンおよび第2フィン(図示せず)を有して得られてもよい。第1,2フィンは、およそ同じ高さであってもよい。第1フィンは、第1FinFET装置を形成し、第2フィンは第2FinFET装置を形成してもよい。第1PTS層は、第1の深さにおいて第1フィンに形成され、第2PTS層は、第2深さにおいて第2フィンに形成されてもよい。第1,2の深さは、第1,2フィンの高さ以下であってもよいし、等しくてもよい。また、第1の深さは、第2の深さと異なっていてもよく、第1FinFET装置は、第2FinFET装置と異なる有効チャネル幅を有していても良い。例えば、第1FinFET装置は、第1の深さの2倍と第1フィンの限界寸法の合計におよそ等しい第1チャネル幅を有しても良く、一方第2FinFET装置は、第2の深さの2倍と第2フィンの限界寸法の合計におよそ等しい第2チャネル幅を有しても良い。また、第1フィンは、第1フィンおよび第2フィンは、ここに記載の非平面半導体装置にプラズマドーピングする方法およびプロセスに従って、ドープされる。例えば、第1バイアス電圧は、第1フィンの領域にドーパントイオンを注入するよう生成され、第2バイアス電圧は、第1フィンの領域にドーパントイオンを注入するように生成される。第3バイアス電圧は、第2フィンの領域に注入するよう生成され、第4バイアス電圧は第2フィンの領域に注入するよう生成されてもよい。そのような例において、第1バイアス電圧と第2バイアス電圧は異なり、第3バイアス電圧と第4バイアス電圧は異なる。
【0048】
プロセス400において示されていない追加の半導体プロセスステップがFinFET装置500の製造時に実行されてもよい。例えば、共形のゲート誘電体層は、FinFET装置500のチャネル領域上に形成され、ゲート電極は、共形のゲート誘電体層上に形成され、1組の側壁スペーサーはゲート電極のそれぞれの側方に形成される。完成したFinFET装置500は、デュアルゲートFinFET、トリゲートFinFETまたはオールアラウンドFinFETであってもよい。
【0049】
また、上述のように、典型的なプロセス400は、限定するものではないが、非平面マルチゲートトランジスタ装置、非平面ゲートオールアラウンドトランジスタ装置および非平面ナノワイヤートランジスタ装置のような非平面半導体装置に適用されると理解するだろう。例えば、フィン504は、ナノワイヤーまたは垂直配列のナノワイヤーのような他の非平面半導体装置本体と代えられてもよく、非平面半導体装置本体は、典型的なプロセス400によってプラズマドープされる。
【0050】
図6A−6Cについて、ここに記載の典型的なプロセスによって形成された典型的なFinFET装置500が示される。図6Aは、典型的なFinFET装置600の三次元断面図である。図6Bは、フィン604の長さに沿った典型的なFinFET装置600の2次元断面図である。図6Cは、ゲート電極618の長さに沿った典型的なFinFET装置600の2次元断面図である。本実施形態において、FinFET装置600は、基板602に設けられたフィン604を含む。フィン604は、ソース領域606、ドレイン領域608、ソース拡張領域610、ドレイン拡張領域612およびチャネル領域614を含む。PTS層616は、フィン604において、限界寸法626より大きく、高さ624より低い深さに配置される。FinFET装置600のチャネル幅は、深さ622の2倍と限界寸法626の合計におよそ等しい。PTS層616の深さ622は、フィン604の長さにおいて5%以下の均一性を有する。図6Bに記載のように、ソース/ドレイン領域606,608、ソース/ドレイン拡張領域610,612およびチャネル領域614は、PTS層616上に設けられる。領域の任意の1つは、部分的にPTS層616を覆ってもよい。任意の1つの領域において、ドーパント濃度は、PTS層616、ソース/ドレイン領域606,608、ソース/ドレイン拡張領域610,612およびチャネル領域614の間の境界面628において消える。ある例において、任意の領域におけるシート抵抗(Rs)は、境界面628における3nmの厚みを超えると3桁増加するように形成される。ゲート誘電体層620は、限定するものではないが、酸化ケイ素、高k誘電体、酸化ハフニウムおよび酸化チタンのような任意の適切な電気絶縁材料を含んでも良い。ゲート電極618は、ゲート誘電体層620上に設けられる。ゲート電極618は、限定するものではないが、ドープポリシリコン、金属、金属窒化物、金属シリサイド、チタン、タンタルおよびタングステンのような任意の好適な導電性材料である。
【0051】
3.コンピュータの実装
図1に関して、プラズマドーピングシステム100は、コントローラ130を有する。上述のように、コントローラ130は、プラズマドーピングシステム100の様々な構成要素に結合され、ドーピングシステム100を制御して、ここに記載の非平面半導体装置をプラズマドーピングするための処理を実行する。例えば、コントローラ130は、ガスパネル108における質量流量コントローラ(図示せず)を制御することによって、チャンバー102に与えられるプロセスガスの流量および比率を調整する。コントローラ130は、チャンバーに与えられるRF電源112およびRFバイアス116の大きさおよび周波数を設定する。また、コントローラ130は、電源(図示せず)を制御することによって電極スクリーン126に適用される電位を調整してもよい。コントローラ130は、電極スクリーン126の傾きを制御することによって、ドーパントイオンが基板104のフィンに注入する注入角度を制御する。さらに、コントローラ130は、真空ポンプ124およびスロットルバルブ128を制御することによって、チャンバー102におけるチャンバー圧力を制御する。
【0052】
コントローラ130は、プラズマドーピングシステム100の様々な構成要素を制御するために使用される任意の形式の汎用データ処理システムのうちの1つである。一般的に、コントローラ130は、バス140を介して主記憶装置134、記録媒体136および補助装置138と通信するプロセッサー132を含んでも良い。プロセッサー132は、マイクロプロセッサー、中央処理装置(CPU)などのような1以上の汎用処理装置であってもよい。主記憶装置134は、情報の記憶および指示が処理装置716によって実行されるアクセスメモリ(RAM)または他の任意の動的記憶装置であってもよい。記録媒体136は、限定するものではないが、ハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ、光ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)または他の取り外し可能な媒体または固定媒体のような、コンピュータソフトウエア、指示、またはデータを記録することができるコンピュータ読取可能な任意の非一時的な記録媒体を含む。補助装置138は、USBポート、ネットワークインターフェース、イーサネット(登録商標)、PCMCIAスロットなどのような入出力インターフェースまたは通信インターフェースを含む。補助装置138は、コントローラ130にコンピュータプログラム、ソフトウエア、データまたは他の指示がロードされるよう促し、実行のためにプロセッサー132に与えられる。
【0053】
記録媒体136またはコントローラ130に対する任意の他の適切な内部または外部の記録媒体のような非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体は、ここに記載の非平面半導体装置をプラズマドーピングするための処理の任意の1以上の特徴または機能を行うためのコンピュータ実行指示(一般的にコンピュータプログラムまたは他の分類の形式でまとめられる「コンピュータプログラムコード」と呼ばれる)を含む。1以上のそのようなコンピュータ実行指示は、実行のためにプロセッサー132に与えられるとき、ここに記載の非平面半導体装置をプラズマドーピングするプロセスの任意の1以上の特徴または機能を行うようコントローラ130がプラズマドーピングシステムを制御する。
【0054】
特定の要素、構成、特徴および機能が設けられる一方で、他のバリエーションが使用されることが当業者に理解されるだろう。また、特徴は、特定の実施形態と関連して記載されているが、当業者であれば記載の実施形態の様々な特徴が組あわされてもよいと理解するだろう。さらに、実施形態と関連して記載される局面は、スタンドアローンであってもよい。
【0055】
実施形態は添付の図面について完全に記載されているが、当業者であれば様々な変更および修正が可能であることは明白である。そのような変更および修正は、クレームによって定義されるものと、様々な実施形態の範囲内に含まれるものとが同じであると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】FinFET装置をプラズマドープするために使用される典型的なプラズマドーピングシステムの概略的なブロック図である。
図2】FinFETをプラズマドープするための典型的なプロセスを示す。
図3A】FinFET装置をプラズマドープするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図である。
図3B】FinFET装置をプラズマドープするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図である。
図3C】FinFET装置をプラズマドープするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図である。
図3D】FinFET装置をプラズマドープするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図である。
図4】FinFET装置をプラズマドープするための他の典型的なプロセスを示す。
図5A】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5B】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5C】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5D】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5E】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5F】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図5G】FinFET装置をプラズマドーピングするための典型的なプロセスの様々な段階における典型的なFinFETの断面図を示す。
図6A】FinFET装置をドーピングするための典型的なプロセスによって形成された典型的なFinFET装置の断面図を示す。
図6B】FinFET装置をドーピングするための典型的なプロセスによって形成された典型的なFinFET装置の断面図を示す。
図6C】FinFET装置をドーピングするための典型的なプロセスによって形成された典型的なFinFET装置の断面図を示す。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C