特許第6306317号(P6306317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306317
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】反射型液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20180326BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/1335 510
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-228768(P2013-228768)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-87731(P2015-87731A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関 克矢
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−101181(JP,A)
【文献】 特開2000−047175(JP,A)
【文献】 特開2004−309660(JP,A)
【文献】 特開2003−270617(JP,A)
【文献】 特開2006−308822(JP,A)
【文献】 特開2001−215474(JP,A)
【文献】 実開昭54−009684(JP,U)
【文献】 特開2009−229964(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/157038(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1335
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型液晶表示パネルと、
前記反射型液晶表示パネルを搭載するパネル搭載基板と、
前記反射型液晶表示パネルに光を供給する光源と、
前記光源から出射された光に含まれる互いに偏光軸が直交する二つの直線偏光のうち一方の直線偏光のみを前記反射型液晶表示パネルの画像表示面に向けて反射すると共に、前記反射型液晶表示パネルにより生成され及び反射された前記一方の直線偏光とは偏光軸が直交する他方の直線偏光を透過させる偏光ビームスプリッターと、
前記偏光ビームスプリッターを保持すると共に、前記反射型液晶表示パネルの画像表示面を覆うように前記パネル搭載基板上に配置された筐体と、
を有する反射型液晶表示装置において、
前記筐体にフック部を設けると共に、前記パネル搭載基板に当該フック部が係合する係合部を設け、当該係合部に前記フック部を係合させることにより、前記筐体を前記パネル搭載基板に位置決め固定し、
前記筐体と前記パネル搭載基板との接地領域に前記筐体と前記パネル搭載基板との隙間を塞ぐ充填部材を配置し、
前記筐体と前記パネル搭載基板との接地領域の一部に前記充填部材の非配置領域を設け、当該非配置領域と前記反射型液晶表示パネルとの間に、前記充填部材から離間して壁部を設けた、
ことを特徴とする反射型液晶表示装置。
【請求項2】
前記反射型液晶表示パネルにワイヤーを電気的に接続し、当該ワイヤーを覆うようにワイヤー保護材料を配置し、当該ワイヤー保護材料を囲むように前記パネル搭載基板上にダムを配置し、当該ダムの一部で前記壁部を形成したことを特徴とする請求項に記載の反射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやビデオカメラの電子ビューファインダー等には反射型液晶表示装置が使用されている。
【0003】
図2は、従来の反射型液晶表示装置の分解斜視図である。図2に示す従来の反射型液晶表示装置では、回路基板1の同一面上に反射型液晶表示パネル2と発光素子3が配置されており、さらに反射型液晶表示パネル2の周囲を囲むように基台4が接着剤などにより固定されている。基台4の上部には三つのガイドピン4aが設けられており、各ガイドピン4aが筐体5に設けられた三つの孔部5aにそれぞれ嵌合することより筐体5が基台4に位置決め固定されている。発光素子3の上方に位置する筐体5の内部には、発光素子3から出射された光を反射型液晶表示パネル2の上方に配置された偏光ビームスプリッター6へ導く反射板と、反射板からの反射光を均一な面光源へと変換する導光板及び拡散板と、互いに偏光軸が直交する二つの直線偏光のうち一方の直線偏光(以下P波という)のみを透過させる偏光板とが、互いに所定の位置関係を保った状態で収納されている。偏光ビームスプリッター6は、P波を反射し、それと偏光軸が直交する直線偏光(以下S波という)を透過させるものであり、偏光板から偏光ビームスプリッター6に入射したP波を反射型液晶表示パネル2の画像表示面へ垂直に入射させるように傾斜角と曲率が決められている。偏光ビームスプリッター6、反射板、導光板、拡散板、偏光板は、互いに所定の位置関係を保った状態で筐体5により保持されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
図3は、従来の反射型液晶表示装置の分解斜視図である。図3に示す従来の反射型液晶表示装置では、基台4の上部に所定の曲げ弾性を有する三つのフック部4bが設けられており、各フック部4bが筐体5に設けられた複数の係合部5bにそれぞれ係合することにより、筐体5が基台4に位置決め固定されている。尚、その他の基本構成は、図2に示した従来の反射型液晶表示装置と同様である。但し、発光素子3は筐体5の内部に収容されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
図2、3に示した従来の反射型液晶表示装置において、光源側から偏光ビームスプリッター6側へ向かって照射されたP波は、偏光ビームスプリッター6で反射され、反射型液晶表示パネル2の画像表示面へ垂直に入射する。反射型液晶表示パネル2が電源オン状態の場合、反射型液晶表示パネル2に入射したP波は、反射型液晶表示パネル2の液晶層を通過する過程で映像光(P波とS波が混合された光)となり、反射型液晶表示パネル2の裏面側に設けられた反射要素(反射電極等)で反射され、再度偏光ビームスプリッター6へ向かって進む。偏光ビームスプリッター6はS波を透過する状態に配置されており、偏光ビームスプリッター6を通過したS波が反射型液晶表示パネル2と対向する観察者の目へと到達し、映像として視認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−108882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、基台4を介して筐体5を回路基板1上に位置決め固定しているため、その分、部品点数が増加するという問題があった。また、その一方で、筐体5は回路基板1に簡単且つ確実に位置決め固定されることが望まれる。
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みたものであり、筐体を簡単且つ確実に位置決め固定することが可能な部品点数の少ない反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
反射型液晶表示パネルと、前記反射型液晶表示パネルを搭載するパネル搭載基板と、前記反射型液晶表示パネルに光を供給する光源と、前記光源から出射された光に含まれる互いに偏光軸が直交する二つの直線偏光のうち一方の直線偏光のみを前記反射型液晶表示パネルの画像表示面に向けて反射すると共に、前記反射型液晶表示パネルにより生成され及び反射された前記一方の直線偏光とは偏光軸が直交する他方の直線偏光を透過させる偏光ビームスプリッターと、前記偏光ビームスプリッターを保持すると共に、前記反射型液晶表示パネルの画像表示面を覆うように前記パネル搭載基板上に配置された筐体と、を有する反射型液晶表示装置において、前記筐体にフック部を設けると共に、前記パネル搭載基板に当該フック部が係合する係合部を設け、当該係合部に前記フック部を係合させることにより、前記筐体を前記パネル搭載基板に位置決め固定し、前記筐体と前記パネル搭載基板との接地領域に前記筐体と前記パネル搭載基板との隙間を塞ぐ充填部材を配置し、前記筐体と前記パネル搭載基板との接地領域の一部に前記充填部材の非配置領域を設け、当該非配置領域と前記反射型液晶表示パネルとの間に、前記充填部材から離間して壁部を設けた、反射型液晶表示装置とする。
【0012】
前記反射型液晶表示パネルにワイヤーを電気的に接続し、当該ワイヤーを覆うようにワイヤー保護材料を配置し、当該ワイヤー保護材料を囲むように前記パネル搭載基板上にダムを配置し、当該ダムの一部で前記壁部を形成した反射型液晶表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、部品点数を減らすことができると共に、筐体を回路基板等に簡単且つ確実に位置決め固定することができる。特に筐体と回路基板等との隙間に密閉部材を配置すれば、外部から筐体内部へ粉塵等の異物が進入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1(A)】本発明による反射型液晶表示装置の一実施形態の分解斜視図
図1(B)】図1(A)に示す反射型液晶表示装置の概略的なA−A断面図
図2】従来の反射型液晶表示装置の分解斜視図
図3】従来の反射型液晶表示装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(A)は、本発明による反射型液晶表示装置の一実施形態の分解斜視図、図1(B)は、図1(A)に示す反射型液晶表示装置の概略的なA−A断面図である。本発明による反射型液晶表示装置の一実施形態において、回路基板11の同一面上には、反射型液晶表示パネル2と発光素子3が配置されており、発光素子3の上方には、発光素子3から出射された光を反射型液晶表示パネル2の上方に配置された湾曲斜面状の偏光ビームスプリッター6側へ反射する反射板7が傾斜して配置されている。反射板7から偏光ビームスプリッター6へ進む光路上には、光を拡散させる拡散板8と、互いに偏光軸が直交する二つの直線偏光のうち一方の直線偏光(以下P波という)のみを通過させる偏光板9が配置されている。偏光ビームスプリッター6は、P波を反射し、それと偏光軸が直交する直線偏光(以下S波という)を透過させるものであり、偏光板9から偏光ビームスプリッター6に入射したP波を反射型液晶表示パネル2の画像表示面へ垂直に入射させるように傾斜角と曲率が決められている。偏光ビームスプリッター6、反射板7、拡散板8、偏光板9は、互いに所定の位置関係を保った状態で筐体5により保持されている。
【0016】
尚、発光素子3の光を偏光ビームスプリッター6側に照射する方法は、上述の反射板7を用いた方法に限らず、例えば、反射板7を導光板に置き換える方法や、反射板7を省略し、発光素子3の光が拡散板8に直接照射されるように発光素子3の光出射面を拡散板8の光入射面に対向させて配置する方法等を適宜選択することができる。また、反射板7、拡散板8、偏光板9は、任意の構成であり、設計上、特に必要とされない場合には省略することが可能である。
【0017】
ここで、本実施形態が従来技術と大きく異なる点としては、従来技術で用いられていた、筐体12を位置決め固定するための基台4が存在せず、筐体12が回路基板11に直接位置決め固定されている点である。具体的には、図1(A)に示すように、回路基板11の側端部には概ね半円状の切欠から成る四つの係合部11aが設けられ、一方、筐体12の下部には所定の曲げ弾性を有する鉤爪状の四つのフック部12aが設けられており、互いに対応する係合部11aとフック部12a同士がそれぞれ係合することにより、筐体12が反射型液晶表示パネル2と発光素子3を覆うように回路基板11に直接位置決め固定されている。
【0018】
フック部12aと係合部11aの形状は、図1(A)に示した形状に限らず、例えば、フック部12aについては、先端が碇状であっても良く、係合部11aについては、矩形状の切欠や回路基板11を貫通する任意の形状の穴部であっても良い。また、フック部12aと係合部11aの数は、筐体12を位置決め固定できる範囲で適宜選択が可能である。
【0019】
以上の構成では、従来技術で用いられていた基台4が存在しないため、その分、部品点数を減らすことができ、また、筐体12はフック部12aと係合部11aとの係合により回路基板11に直接取り付けられるため、筐体12を回路基板11に簡単且つ確実に位置決め固定することができる。
【0020】
さらに、本実施形態においては、回路基板11と筐体12が互いに接地する領域に接着媒体10が配置され、接着媒体10を介して回路基板11と筐体12が互いに接着されており、これにより回路基板11と筐体12とで囲まれた空間が密閉されている。接着媒体10には、例えば、シリコーン系接着剤が用いられるが、接着媒体10はこれに限らず、感圧型接着剤や接着フィルム等であっても良く、また、筐体12と回路基板11との隙間を密閉することができるのであれば、接着性の無い弾性体等に置き換えることも可能である。
【0021】
また、本実施形態において、接着媒体10は、筐体12と回路基板11との接地領域の一部(非配置領域10a)を除く領域に配置されているが、筐体12内部の密閉性を高める意味では、接着媒体10は、筐体12と回路基板11との接地領域全体に亘って途切れることなく配置されているのが好ましい。一方、筐体12内部の熱を外部へ逃がす意味では、接着媒体10の非配置領域10aを少なくとも一箇所設け、筐体12内部と外部との通気性を高めるのが好ましい。
【0022】
接着媒体10は、例えば、筐体12を回路基板11に取り付ける前に予め回路基板11上に配置しておくが、特に図1(A)に示すように反射型液晶表示パネル2の周囲にワイヤー保護材料(反射型液晶表示パネル2と回路基板11とを電気的に接続するワイヤーを覆う絶縁性樹脂等)を塞き止めるためのダム13が配置されている場合には、ダム13と接着媒体10を同じ材料で構成し、それらを同じ製造プロセスで同時に形成すれば、工数を削減することができる。尚、接着媒体10は、筐体12を回路基板11に取り付ける前に予め筐体12側に配置しておく、あるいは、筐体12を回路基板11に取り付けた後に筐体12と回路基板11との隙間に配置するようにしても良い。
【0023】
本実施形態において、ダム13は、反射型液晶表示パネル2のワイヤーが接続される側の端部を囲むようにコ字状に形成され、さらに、その一部は、接着媒体10の非配置領域10aと反射型液晶表示パネル2との間を接着媒体10から離間した状態で横切るように配置されている。接着媒体10に非配置領域10aが設けられている場合には、そこから筐体12内部へ異物が進入する恐れがあるが、接着媒体10の非配置領域10aと反射型液晶表示パネル2との間にダム13が存在すれば、ダム13が障壁(壁部)となって異物の進入が防止され、その一方で、仮に接着媒体10の非配置領域10aが通気路として設けられている場合には、その機能が阻害されることはない。また、接着媒体10の非配置領域10aと反射型液晶表示パネル2との間の壁部は、ダム13の一部で構成されているため、壁部としての部材を新たに追加する必要は無い。但し、接着媒体10の非配置領域10aと反射型液晶表示パネル2との間の壁部は、壁部としての部材を新たに追加することにより形成されていても良い。
【0024】
筐体12と回路基板11との接地領域には、組立精度や部品公差により僅かながらの隙間が生じるため、筐体12外部に存在する粉塵等の異物が、この隙間を経由して筐体12内部へと進入し、反射型液晶表示パネル2や偏光ビームスプリッター6の表面に付着する場合がある。通常、観測者は、反射型液晶表示パネル2の画像を拡大レンズを使用して拡大して視認するが、反射型液晶表示パネル2や偏光ビームスプリッター6の表面に異物が付着していると、それが画像に写り込んで画像品質を低下させることとなる。しかし、本実施形態のように、筐体12と回路基板11との隙間に接着媒体10等の密閉部材を配置しておけば、筐体12内部への異物の進入を防止することができる。
【0025】
尚、本実施形態において、回路基板11は、回路機能の無い基板に置き換えることも可能である。その場合、筐体12は、回路基板11を用いた場合と同様に、回路機能の無い基板に直接位置決め固定されることとなる。
【符号の説明】
【0026】
1 回路基板
2 反射型液晶表示パネル
3 発光素子
4 基台
4a ガイドピン
4b フック部
5 筐体
5a 孔部
5b 係合部
6 偏光ビームスプリッター
7 反射板
8 拡散板
9 偏光板
10 接着媒体(密閉部材)
10a 非配置領域
11 回路基板(パネル搭載基板)
11a 係合部
12 筐体
12a フック部
13 ダム
図1(A)】
図1(B)】
図2
図3