特許第6306324号(P6306324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306324
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】エレベータ式駐車装置の車両移載装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/24 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   E04H6/24 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-236431(P2013-236431)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96670(P2015-96670A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】吉野 直也
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−096866(JP,A)
【文献】 実開昭50−091289(JP,U)
【文献】 特開平06−229139(JP,A)
【文献】 特開平05−098824(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0031711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00− 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する空間を有する昇降路と、該昇降路に沿って上下多段に設けられた駐車室と、前記昇降路に沿ってケージを昇降駆動する昇降リフトと前記ケージと前記駐車室との間で車両を出し入れする車両移載装置と、を備えたエレベータ式駐車装置であって、
前記ケージと前記駐車室との間をスライドする横行台と、該横行台から前記車両の前後方向へ伸縮し、前記車両のタイヤを下方から支持するタイヤ支持部を有する前後一対のフォークと、を備え、
前記タイヤ支持部は、前記車両の側面視で車両前後方向の中央側に向けて高くなるように傾斜した傾斜面と、該傾斜面の中央側端部からほぼ水平となる上面とを有し、
前記傾斜面と前記上面には、前記車両のタイヤが転動するローラが設けられ、
前記上面に前記車両のタイヤの下部が嵌り込む凹みを設けたことを特徴とするエレベータ式駐車装置の車両移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を立体的に格納するエレベータ式駐車装置において、ケージと駐車室との間で車両を移送する車両移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として住宅密集地等において広く利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。この立体駐車装置の機種の一つとして、上下多段に配置された複数の駐車室に沿ってエレベータを昇降させ、各駐車室とエレベータとの間で車両を受け渡しするエレベータ式駐車装置がある。
【0003】
このエレベータ式駐車装置には、パレット上に車両を搭載してエレベータで搬送し、このパレットごと車両を駐車室との間で受け渡しするパレット方式と、このようなパレットを用いることなく車両のみを受け渡しするパレットレス方式とがある。パレット方式は、駐車室とエレベータの昇降機との間でパレットないし車両を横行駆動する駆動装置を昇降機に備えており、このために各駐車室の構造が簡素であって、装置全体の設備費を安価にできる。その一方、パレット方式は、入庫に際しては空のパレットを引き出すために昇降機を当該駐車室まで移動させる必要があり、また、出庫に際しては空となったパレットを当該駐車室まで移送する必要があるため、入出庫に際して時間を要するという短所がある。
【0004】
パレットを用いないパレットレス方式のエレベータ式駐車装置は、車両を搭載する部分を櫛歯とした装置が従来より多数採用されており、この装置は概略以下のように構成されている。まず、車両を搭載してエレベータの昇降路を上下に移動する昇降機は、車両を搭載する部分が櫛歯で形成されている。昇降路に沿って複数階に設けられた各駐車室には、昇降路内へ水平移動自在に格納トレイを備えており、この格納トレイは各駐車室に備えた横行駆動装置により駆動されて駐車室内と昇降路との間を移動する。格納トレイの車両を搭載する部分は、昇降機の櫛歯と互い違いに配置された櫛歯で形成されており、昇降路内で格納トレイと昇降機とが上下に交差して通り抜けることで車両が相互に受け渡される。
【0005】
この櫛歯方式のエレベータ式駐車装置は、入出庫に要する時間は比較的短いものの、上記したように各駐車室には格納トレイを駆動する横行駆動装置を設ける必要があり、車両の収容台数を多く設定する毎に製作コストや電気工事費等の生産コストが高くなるとともに、メンテナンスが繁雑であるという短所がある。
【0006】
このような短所を改善することを目的として、パレットを使用することなく、また、各駐車室に機器類を備えなくても良い駐車装置として、次のようなエレベータ式駐車装置が従来提案されている。この駐車装置は、エレベータ装置のケージに車両移載装置を備え、この移載装置には車両支持装置と水平横行台車を備えている。車両支持装置は、水平横行台車によってケージと格納棚との間を移動することができる。また、車両支持装置には、車両の前後方向へ伸縮自在に楔状部材を備えている。このような構成において、車両支持装置は、水平横行台車によって車両の前後輪の間に挿入された後、楔状部材を前後方向へ伸ばして前後輪の下部へ差し込んで車両を持ち上げて支持し、この状態で車両支持装置を水平横行台車によって幅方向へ移動させることにより、車両をケージと格納棚との間で移載するようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−96866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された駐車装置においては、楔状部材の傾斜部を前後輪下部へ内側から当接させて車両を支持するようにしており、また、この楔状部材の前後輪との接触面には、差し込み易くするためにフリーローラが備えられている。したがって、楔状部材と前後輪間の摩擦力が低いため、例えば、前輪と後輪とに作用する荷重の差が大きく異なる場合には、荷重の大きい方へ車両がずれてしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車両をケージと駐車棚との間で安定した状態を保って移送することのできるエレベータ式駐車装置の車両移載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、上下方向に貫通する空間を有する昇降路と、該昇降路に沿って上下多段に設けられた駐車室と、前記昇降路に沿ってケージを昇降駆動する昇降リフトと前記ケージと前記駐車室との間で車両を出し入れする車両移載装置と、を備えたエレベータ式駐車装置であって、前記ケージと前記駐車室との間をスライドする横行台と、該横行台から前記車両の前後方向へ伸縮し、前記車両のタイヤを下方から支持するタイヤ支持部を有する前後一対のフォークと、を備え、前記タイヤ支持部は、前記車両の側面視で車両前後方向の中央側に向けて高くなるように傾斜した傾斜面と、該傾斜面の中央側端部からほぼ水平となる上面とを有し、前記傾斜面と前記上面には、前記車両のタイヤが転動するローラが設けられ、前記上面に前記車両のタイヤの下部が嵌り込む凹みを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両を搭載するフォークのタイヤ支持部には、上面に凹みが設けられており、車両のタイヤがこの凹みに嵌って移載されるので、車両を安定した状態で移載できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】エレベータ式駐車装置の概略を示す正面図
図2】ケージの平面図
図3】ケージの正面図
図4】ケージの側面図
図5】スライド機構の一例を示す説明図
図6】フォークの一例を示す動作説明図
図7】タイヤ支持部の詳細図
図8】一部の駐車階層を示す正面図
図9】一部の駐車階層を示す側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、エレベータ式駐車装置の概略を示す正面図である。エレベータ式駐車装置10の内部には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、車両15を搭載するケージ13の四隅にワイヤロープ14を連結し、このワイヤロープ14をエレベータ式駐車装置10の上部に設けた巻き上げ装置16により、巻き上げ又は巻き戻しすることによりケージ13を昇降駆動するようにしたものである。昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、ケージ13によって搬送された車両15が格納される。
【0014】
昇降リフト12のケージ13には、図2図4に示すように駐車室17とケージ13との間で車両15を出し入れする車両移載装置20を備えている。図2はケージ13の平面図、図3はケージ13の正面図、図4はケージ13の側面図である。車両移載装置20は、ケージフレーム18の中央部において駐車室17側へスライド可能な横行台21と、この横行台21から車両15に対して前後方向へ伸縮するフォーク22とを備えている。
【0015】
図5は、横行台21のスライド機構の一例を示す説明図であり、図5(a)は横行台21がケージフレーム18上に位置した状態を、図5(b)は横行台21が駐車室17に位置した状態を示している。図において、ケージフレーム18には、スライドフレーム23を両側方へスライド可能に支持し、さらにこのスライドフレーム23は、横行台21を両側方へスライド可能に支持している。スライドフレーム23の下面にはラック27が形成されており、一方、ケージフレーム18には、これと係合するピニオンギヤ24を備えている。そしてピニオンギヤ24を回転駆動することにより、スライドフレーム23は左右いずれかの方向へスライドする。
【0016】
スライドフレーム23の左右側端部近傍には、スプロケット26a、26bを回転自在に備えており、このスプロケット26a、26bにはそれぞれチェーン25a、25bが巻き掛けられている。各チェーン25a、25bの一端部は、左右方向に離隔した対称位置でそれぞれケージフレーム18に固着されており、それぞれの他端部は同様に横行台21に固着されている。この構成により、スライドフレーム23がピニオンギヤ24に駆動されて側方へスライドすると、チェーン25a、25bがスライドフレーム23及び横行台21に対して相対的に伸縮し、横行台21はスライドフレーム23から側方へスライドして、横行台21が駐車室17に移動する。また、横行台21が駐車室17からケージフレーム18へ移動する場合には、ピニオンギヤ24を逆回転させることにより、上記の動作と逆の動作により横行台21が移動する。
【0017】
次に、横行台21には、それぞれ車両15の前方及び後方へスライドするフォーク22を備えている。図6はフォーク22の一例を示す動作説明図であり、図6(a)は側面を、図6(b)は平面を示している。図においてフォーク22は、入れ子構造により伸縮自在にアーム部28を形成し、これを油圧シリンダやチェーン機構等により駆動して伸縮するようにしている。このフォーク22の両側部は、車両15のタイヤTを搭載するタイヤ支持部29となっている。
【0018】
図7は、タイヤ支持部29の詳細図であり、図7(a)は上部平面を、図7(b)は側面を、図7(c)は下部平面をそれぞれ示している。タイヤ支持部29の上面は、側面視において先端部が内側方向へ向けて高くなるように傾斜した楔形状に形成されており、この内側で一旦水平となった後に下方へ向けて凹み30を形成している。この上面には、前記した形状に沿って複数の円筒状のローラ31が回転自在に配置されている。一方、タイヤ支持部29の下面には、例えばボールキャスタのように、鋼球を介して移動方向自在に荷重を支持する複数の転動体32を備えている。
【0019】
以上の構成により、エレベータ式駐車装置10の車両移載装置20は以下のように動作する。図8は、一部の駐車階層を示す正面図であり、図9はこれの側面図である。駐車室17には、車両15のタイヤTが接地する平坦な床面17aが前後に形成されており、この床面17a上に車両15が載置されている。床面17a間には、床面17aよりも高さを低くして凹部17bが設けられている。駐車室17内の車両15を出庫するように操作が行われると、昇降リフト12が動作して空のケージ13が昇降路11を昇降し、当該駐車室17で停止した後にケージ13に備えた位置固定装置(図示せず)が動作してケージ13の位置が固定される。
【0020】
次に、ケージ13の横行台21に備えたスライド機構が動作して、横行台21は駐車室17の床に形成された凹部17bへスライドし、駐車室17内の車両15の下部位置で停止する。続いて、横行台21に備えたフォーク22がそれぞれ前後方向へ伸長して前後のタイヤTに接近した後、図7(b)に示すように、タイヤ支持部29がタイヤTの下部に差し込まれてタイヤTが持ち上げられ、さらにフォーク22が伸長してタイヤTはタイヤ支持部29の凹み30上に載置される。この際に、タイヤ支持部29には、タイヤTに接するローラ31と床面17aに接する転動体32を備えているので、容易にタイヤT下部へ差し込むことができる。
【0021】
続いて、横行台21をケージ13方向へスライドさせ、車両15をケージ13上へ引き込む。この時、車両15のタイヤTは、タイヤ支持部29の凹み30上に支持されているので、車両15が安定した状態でケージ13上へ引き込むことができる。この後、ケージ13に備えた位置固定装置が動作してケージ13の固定状態が解除され、昇降リフト12を駆動してケージ13ないし車両15を入出庫階層まで移送する。以上の説明においては、車両15を駐車室17から入出庫階層まで移送する動作を説明したが、車両15を駐車室17へ格納する場合には、上記と逆の動作により車両15の格納が行われる。
【符号の説明】
【0022】
10 エレベータ式駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 ケージ
14 ワイヤロープ
15 車両
16 巻き上げ装置
17 駐車室
17a 床面
17b 凹部
18 ケージフレーム
20 車両移載装置
21 横行台
22 フォーク
23 スライドフレーム
24 ピニオンギヤ
25a チェーン
25b チェーン
26a スプロケット
26b スプロケット
27 ラック
28 アーム部
29 タイヤ支持部
30 凹み
31 ローラ
32 転動体
T タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9