特許第6306329号(P6306329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306329滑り性カバー、商品陳列具、および商品陳列什器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306329
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】滑り性カバー、商品陳列具、および商品陳列什器
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   A47F5/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-245304(P2013-245304)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-100637(P2015-100637A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】503383608
【氏名又は名称】アステックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】種岡 一将
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−042154(JP,A)
【文献】 特開平10−295501(JP,A)
【文献】 実開昭62−107766(JP,U)
【文献】 特開昭59−032423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47F 7/00
A47B 96/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆うように装着されるとともに、接触する物体が滑動しやすい滑り性を有し、かつ、弾性変形可能な樹脂製のカバー部と、
前記カバー部から対向して延出され、前記商品陳列バーが径方向に挿入される挿入開口部を形成する脚部と、を備え、
前記カバー部の内面が稜状に形成され、前記商品陳列バーが装着された際に前記カバー部の内面と前記商品陳列バーとの間に隙間が形成される、
滑り性カバー。
【請求項2】
前記商品陳列バーは断面形状が略円形であり、かつ、棒状とされ、
前記カバー部における前記脚部が延出される側と反対側の面は稜状に形成され、かつ、前記カバー部の内面の断面形状が三角状に形成され、
前記カバー部に、吊り下げられた前記商品の荷重が作用すると、前記カバー部が前記隙間を埋めるように弾性変形する、
請求項1に記載の滑り性カバー。
【請求項3】
前記商品陳列バーの基端部は陳列バー取付部材に固定され、かつ、前記滑り性カバーの一端部が、前記陳列バー取付部材に係合されている、
請求項1又は請求項2に記載の滑り性カバー。
【請求項4】
前記商品陳列バーの一端が上方に屈曲された屈曲部と係合して、前記滑り性カバーの前記商品陳列バーに対する回転を防止する末端係合部が前記カバー部の一端に形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の滑り性カバー
【請求項5】
前記末端係合部は、前記カバー部の一端に形成された上方屈曲部である請求項に記載の滑り性カバー。
【請求項6】
前記末端係合部は、前記カバー部の一端に形成された切込部である請求項に記載の滑り性カバー。
【請求項7】
商品を吊り下げるための商品陳列バーと、
前記商品陳列バーの他端に固定され、商品陳列棚に装着される陳列バー取付部材と、
前記商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆う請求項1〜のいずれか1項に記載の滑り性カバーと、
を備える商品陳列具。
【請求項8】
前記商品陳列バーの一端には上方に屈曲された屈曲部が形成され、
滑り性カバーの一端には末端係合部が形成されているとともに、
前記滑り性カバーの末端係合部は、前記商品陳列バーの前記屈曲部に係合している
請求項に記載の商品陳列具。
【請求項9】
請求項またはに記載の商品陳列具と、
前記商品陳列具を装着するための装着バーまたは装着ネットを有する商品陳列棚と、
を備え、
前記商品陳列具は、前記陳列バー取付部材において前記装着バーまたは前記装着ネットに係合する
商品陳列什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り性カバー、商品陳列具、および商品陳列什器にかかり、特に、商品を吊り下げて陳列する際の商品の滑りが改善される滑り性カバー、商品陳列具、および商品陳列什器に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を吊り下げるための商品陳列バーを有する商品陳列具と、この商品陳列具が装着される商品陳列棚と、からなる商品陳列什器は、ハンガーや商品パッケージに形成されたハンガー部などを利用して多数の商品を商品陳列バーにスペース効率よく吊り下げて陳列できることから、従来から広く使用されている。
【0003】
しかしながら、この形態の商品陳列什器においては、通常は商品陳列バーにおける前方に位置する商品、言い換えれば購買者から見て手前側に位置する商品から順次取り外されることが多いが、例えば商品サイズ毎に色分けされた商品を同じ商品陳列バーに混在させているような場合には、購買者は、商品陳列バー上の任意の位置の商品を抜き取ることもある。
【0004】
したがって、商品が抜き取られた位置には商品のない空隙が生じ、商品陳列バーにおける後方に位置する商品、換言すれば購買者から見て奥側に位置する商品が商品陳列バー上の概ね元の位置に残るが、商品陳列バーにおける後方に残った商品は購買者から見え難くなるとともに、購買者に乱雑な印象を与えて商品ディスプレイ効果を減じることとなる。そこで、生じた空間の後方にある商品をできるだけ頻繁に前方に移動させる必要があるが、このような作業は手間がかかるという問題がある。また、購買者が商品を取り出す際や商品を前方に引き出して整理する際に隣接する商品陳列バー上の商品の配列を乱すと見苦しい陳列状態となるので、このような場合にも商品の陳列状態を修正する必要がある。
【0005】
このような問題を解決するため、支持バーを商品陳列バーの後端部に一体に形成し、商品陳列バーから吊り下げられた商品を前方に押圧する押し付け体と、この押し付け体を前方にスライドさせるための操作バーと、をこの支持バーに設けた商品陳列具が検討された(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−135754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、商品陳列バーの後端部に支持バーを一体に形成し、この支持バーに押し付け体と操作バーとを設けると、商品陳列具の構成が複雑になる。
【0008】
本発明は、商品陳列バーに装着するだけで、商品陳列バーにおける後方に残った商品を前方に移動させるわずらわしさを解消できる滑り性カバー、前記滑り性カバーを備える商品陳列具、および商品陳列什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆うように装着されるとともに、接触する物体が滑動しやすい滑り性のあるカバー部と、前記カバー部から対向して延出され、前記商品陳列バーが径方向に挿入される挿入開口部を形成する脚部と、を有する滑り性カバーに関する。
【0010】
前記滑り性カバーの脚部に形成された挿入開口部に、商品陳列バーをその径方向に手を用いて挿入することにより、この滑り性カバーを商品陳列バーに簡単に装着できる。
【0011】
なお、前記挿入開口部を形成する対向するそれぞれの脚部の内部に突起部を設け、当該対抗する突起部の間隔は、商品陳列バーを挿入開口部から挿入する際に僅かに抵抗感を有する程度に商品陳列バーの直径よりやや狭くするように選び、滑り性カバーの材料の弾力性を利用して挿入開口部を押し開くようにして商品陳列バーを挿入することにより、滑り性カバーが商品陳列バーから意図せずして部分的に外れたり、脱落したりすることを防止することができる。また、当該突起部の形状および配置を適宜に選ぶことにより、その挿入抵抗を利用して回転防止の効果も持たせることができる。
【0012】
前記突起部の形状は、滑り性カバーの全長に亘る直線状の突起または適当な間隔の点線状の突起を含むが、それらには限られない。ただし、適度の挿入抵抗を有する突起形状および/または挿入後の商品陳列バーへの適度の押圧力を有する突起形状のものが好ましい。
【0013】
商品陳列バーにこの滑り性カバーを装着することにより、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品と商品陳列バーとの間の摩擦が減少する。したがって、商品陳列バーを先端に向かって若干下方に傾斜させることにより、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品が前方に向って自重によって滑って移動する故に、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間や、特許文献1に示されるような複雑な機構が不要になる。
【0014】
更に、滑り性カバーは挿入開口部から商品陳列バーを挿入したり抜き取ったりすることによって着脱可能とされているから、長期間の使用により滑り性カバーが摩耗した場合等には、新品に容易に交換できる。また、商品が食品などで衛生を保つ必要がある場合には、取り外して容易に洗浄することもできる。
【0015】
また、滑り性カバーの材料には着色可能な素材を用いることが可能である故に、滑り性カバーの色を適宜変えることにより、商品のディスプレイ性を向上させることが可能であり、或いは滑り性カバーを色分けすることにより、商品の種類を区分して商品補充の利便性や購買者の商品選択の利便性を向上させることも可能である。
【0016】
更に、滑り性カバーの材料には抗菌剤などの機能性物質を混入することが可能である故に、従来の金属製商品陳列バーだけによる商品陳列と比較して、衛生保持など各種要請に対応が容易である。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様の滑り性カバーにおいて、カバー部における脚部が延出される側と反対側の面は稜状に形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記滑り性カバーのカバー部における脚部が延出される側と反対側の面は稜状に形成されているから、滑り性カバーと商品とは点接触に近い状態で接触する。これにより、カバー部における脚部が延出される側と反対側の面を稜状に形成しない場合と比較して滑り性カバーと商品との摩擦を更に小さくすることができる。
【0019】
この稜状部の先端における稜角の大きさを含む形状は、商品との接触部での滑り性と磨耗性とを勘案して適宜定めることができる。
また、当該稜状部に接触する商品部分の材料やハンガーの材料として、滑り性の良好なものを採用することで、更に摩擦を小さくすることができる。
【0020】
滑り性のよい材料で製作した環状またはフック状の吊り下げ補助具を別途用意し、この吊り下げ補助具を、滑り性カバーを装着した送品陳列バーに通すか若しくは引っ掛け、その一端に商品を吊るすことで、滑り性の悪い材料の商品でも良好に滑らせることができ、また、商品の形状によっては滑り性カバーを装着した商品陳列バーに直接商品を吊るすのが困難な場合でも、当該商品の形状を勘案して当該環状若しくはフック状の吊り下げ補助具の形状を適宜定めることによって容易に商品を吊るすことができる。
【0021】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様の滑り性カバーにおいて、カバー部の一端に、商品陳列バーの一端が上方に屈曲された屈曲部と係合して、滑り性カバーの前記商品陳列バーに対する回転を防止する末端係合部が形成されていることを特徴とする。
【0022】
前記滑り性カバーにおいては、末端係合部を、商品陳列バーの屈曲部に係合させることにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。
【0023】
また、滑り性カバーの別の態様として、商品陳列バーの屈曲部と反対側の端部である他端が、通常商品陳列棚に装着される陳列バー取付部材の上面に固定されており、滑り性カバーにおけるこの陳列バー取付部材に近い側の端部において脚部を適宜の距離に亘って短くし、カバー部の前記端部をこの陳列バー取付部材の上面まで適宜延長して押し込むことができるように形成されているものがある。
【0024】
前記別の態様においては、陳列バー取付部材上面にまで到ったカバー部材における短くされた脚部の下端が、陳列バー取付部材の上面に係合することによって、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止することができる。なお、この態様は、前記第3の態様と併用できる。
【0025】
本発明の第4の態様は、第3の態様の滑り性カバーにおいて、末端係合部がカバー部の一端に形成された上方屈曲部であることを特徴とする。
【0026】
前記滑り性カバーにおいては、末端係合部は、カバー部の一端を上方に向かって屈曲させて形成されたものであるから、末端係合部の強度が高い。
【0027】
本発明の第5の態様は、第3の態様の滑り性カバーにおいて、末端係合部が、カバー部の一端に形成された切込部であることを特徴とする。
【0028】
前記滑り性カバーにおいては、カバー部の一端に形成された切込部が商品陳列バーの一端の屈曲部に係合することにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。また、カバー部の一端に切込部を形成することにより末端係合部を形成することができるから、末端係合部の形成が極めて容易である。
【0029】
本発明の第6の態様は、商品を吊り下げるための商品陳列バーと、商品陳列バーの他端に固定され、商品陳列棚に装着される陳列バー取付部材と、商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆う第1〜第5のいずれかの態様の滑り性カバーと、を備える商品陳列具に関する
【0030】
前記商品陳列具においては、滑り性カバーが商品陳列バーに装着されているから、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品と商品陳列バーとの間の摩擦が減少する。したがって、商品陳列バーを先端に向かって若干下方に傾斜させることにより、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品が前方に向って自重で滑って移動する故に、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間が不要になる。
【0031】
本発明の第7の態様は、第6の態様の商品陳列具において、商品陳列バーの一端に上方に屈曲された屈曲部が形成され、滑り性カバーの一端に末端係合部が形成されているとともに、滑り性カバーの末端係合部が商品陳列バーの前記屈曲部に係合していることを特徴とする。
【0032】
前記商品陳列具においては、末端係合部を、商品陳列バーの屈曲部に係合させることにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。
【0033】
本発明の第8の態様は、第1〜第4のいずれかの態様の商品陳列具と、この商品陳列具を装着するための水平に延在する商品陳列具装着バー、またはこの商品陳列具を装着するための商品陳列具装着ネットを有する商品陳列棚と、を備え、この商品陳列具が、陳列バー取付部材において商品陳列具装着バーまたは商品陳列具装着ネットに係合する商品陳列什器に関する。
【0034】
前記商品陳列什器においては、滑り性カバーを装着した商品陳列バーに商品を吊り下げるから、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品陳列バーに対する商品の滑りが改善される。したがって、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間が不要になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、商品陳列バーに装着するだけで商品陳列バーにおける後方に残った商品を前方に移動させるわずらわしさを解消できる滑り性カバー、この滑り性カバーを備える商品陳列具、および商品陳列什器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、実施形態1の商品陳列具の全体的な構成を示す斜視図である。
図2図2(A)は、実施形態1の商品陳列具の構成を示す側面図であり、図2(B)は、実施形態1の商品陳列具を図2(A)における面A−Aに沿って切断した断面を示す断面図であり、図2(C)は、実施形態1の商品陳列具を図2(A)における面B−Bに沿って切断した断面を示す断面図である。
図3図3は、実施形態1の商品陳列具において、商品陳列バーから滑り性カバーを分離した状態を示す側面図である。
図4図4は、実施形態1の商品陳列具の別の例を示す断面図である。
図5図5は、実施形態1の商品陳列具において、陳列バー取付部材を、商品陳列棚の商品陳列具装着ネットに係合する形態とした例を示す側面図である。
図6図6は、実施形態1の商品陳列具に商品を吊るしたところを示す側面図である。
図7図7は、実施形態2の商品陳列具の全体的な構成を示す斜視図である。
図8図8(A)は、実施形態1の商品陳列具の構成を示す側面図であり、図8(B)は、実施形態2の商品陳列具を図8(A)における面A−Aに沿って切断した断面を示す断面図であり、図8(C)は、実施形態2の商品陳列具を図8(A)における面B−Bに沿って切断した断面を示す断面図である。
図9図9(A)は、実施形態3の商品陳列具の構成を示す側面図であり、図9(B)は、実施形態3の商品陳列具を図9(A)における面A−Aに沿って切断した断面を示す断面図であり、図9(C)は、実施形態3の商品陳列具を図9(A)における面B−Bに沿って切断した断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1.実施形態1
以下、本発明の一例に係る商品陳列具について図面を参照して詳細に説明する。
図1図3に示すように、実施形態1の商品陳列具1は、一端が上方に屈曲した屈曲部11とされている商品陳列バー10と、商品陳列バー10の他端に固定された陳列バー取付部材12と、商品陳列バー10に着脱自在に装着される滑り性カバー13と、を有する。
【0038】
図1および図2に示すように、滑り性カバー13は、商品陳列バー10の商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆うカバー部14と、カバー部14から対向して延出される1対の脚部15と、を有する。脚部15の間には、商品陳列バー10が挿入される挿入部16が形成されている。挿入部16は、下端において開口し、挿入開口部16Aを形成する。商品陳列バー10は挿入開口部16Aから径方向に沿って押し込まれて挿入部16に挿入される。
【0039】
カバー部14における脚部15が延出される側と反対側の面、言い換えれば商品と接触する側とは反対側の面は、稜状に形成された稜状部17とされている。ただし、稜状部17の頂部は、図2(B)および図2(C)に示すように丸みが付されていることが好ましい。
【0040】
滑り性カバー13の一端において、カバー部14が上方に屈曲されて末端係合部の一例である上方屈曲部18とされている。滑り性カバー13を商品陳列バー10に装着した状態においては、図2(C)に示すように、商品陳列バー10の屈曲部11が、上方屈曲部18から延出する一対の脚部15によって挟持されることにより、滑り性カバー13の商品陳列バー10の軸線周りの回転が抑止される。
【0041】
一方、滑り性カバー13の他端部においては、脚部15の下端部がステップ状に切り欠かれ、陳列バー取付部材12が係合する取付部材係合部21とされている。滑り性カバー13に取付部材係合部21を形成して陳列バー取付部材12と係合させることにより、滑り性カバー13の商品陳列バー10の軸線周りの回転は、滑り性カバー13の一端だけでなく、他端においても抑止される。
【0042】
滑り性カバー13においては、図4(A)に示すように、脚部15の下端部、言い換えれば挿入部16の内壁の下端部に、内側に向かって突出する突起部19を設けることができる。上述したように、対抗する突起部19の間隔を、商品陳列バーを挿入開口部から挿入する際に僅かに抵抗感を有する程度に商品陳列バー10の直径よりやや狭くするように設定することにより、滑り性カバー13の材料の弾力性を利用して挿入開口部16Aを押し開くようにして商品陳列バー13が挿入される。これにより、滑り性カバー13が商品陳列バー10から意図せずして部分的に外れたり、脱落したりすることを防止することができる。また、突起部19の形状および配置を適宜に選ぶことにより、その挿入抵抗を利用して回転防止の効果も持たせることができる。
【0043】
突起部19は、滑り性カバー13の全長に亘って設けた連続直線状のものであってもよく、また、所定の間隔を置いて設けた断続破線状のものであってもよい。
【0044】
滑り性カバー13は、低摩擦材料、具体的にはポリアセタール樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびフッ素樹脂から選択される材料から形成される。なお、これらの樹脂以外の樹脂、例えばASB樹脂、AS樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂であっても、潤滑剤を配合した低摩擦グレードのものであれば、滑り性カバー13の成形に使用できる。
【0045】
陳列バー取付部材12は、商品陳列バー10を商品陳列棚(図示せず)に着脱自在に取り付けるための部材であって、図1図3に示す例では下方に向かって開口したコの字型断面(ハット型断面)を有する部材である。図1図3に示す商品陳列具1は、水平に延在する商品陳列具装着バーに商品陳列具を装着する形態の商品陳列棚に取り付けるためのものであって、図6に示すように、陳列バー取付部材12を上方から商品陳列具装着バー100に引っ掛けることにより、商品陳列具1が商品陳列棚に取り付けられる。
【0046】
一方、図5に示す例においては、陳列バー取付部材12は全体として枠体状であって、上端は、フック状とされたフック12Aである。商品陳列バー10は、他端において下方に折り曲げられ、この折り曲げられた他端部に陳列バー取付部材12が固定されている。図5に示す商品陳列具は、商品陳列具装着ネットを有する商品陳列棚に取り付けるためのものであって、陳列バー取付部材12のフック12Aを商品陳列棚の商品陳列具装着ネットに上方から引っ掛けることにより、商品陳列棚に装着される。
【0047】
図6に示すように、商品陳列具1においては、滑り性カバー13が商品陳列バー10に装着された状態で、滑り性カバー13の上から商品が吊り下げられる。そして、滑り性カバー13は低摩擦材料から形成されているとともに、滑り性カバー13の上面は稜状部17とされ、吊り下げられた商品は滑り性カバー13と点接触する。
【0048】
したがって、吊り下げられた商品と滑り性カバー13との間の摩擦は極めて小さくなるから、商品陳列バー10に商品を直接吊り下げる場合と比較して商品と商品陳列具1との間の滑りが大幅に改善され、商品陳列バー10を先端に向かって若干下方に傾斜させるだけで、前方の商品を取り外して後方に残った商品が速やかに前方に移動する。
【0049】
また、滑り性カバー13の先端部は上方屈曲部18とされているから、滑り性カバー13上を前方に向って移動した商品が、滑り性カバー13上を滑った勢いで滑り性カバー13の先端部から前方に飛び出すことが防止される。
【0050】
2.実施形態2
以下、本発明に係る商品陳列具の別の例について説明する。図7以下の図面において図1図6と同一の符号は、これらの符号が図1図6において示す構成要素と同一の要素を示す。
【0051】
図7および図8に示すように、実施形態2の商品陳列具2は、商品陳列バー10と陳列バー取付部材12と、商品陳列バー10に着脱自在に装着される滑り性カバー23と、を有する。これらの部材のうち、商品陳列バー10および陳列バー取付部材12については実施形態1で述べたとおりである。
【0052】
一方、滑り性カバー23は、カバー部14の一端に、上方屈曲部18に代えて、商品陳列バー10の屈曲部11の一部を上方に突出させるための切欠き部20が形成されている点で、実施形態1の滑り性カバー13と異なる。なお、切欠き部20も本発明の末端係合部の別の一例である。滑り性カバー23は、それ以外の点では実施形態1における滑り性カバー13と同様である。
【0053】
図7及び図8に示すように、滑り性カバー23を商品陳列バー10に装着した状態においては、商品陳列バー10の屈曲部11の先端部が切欠き部20から上方に向かって突出する。しかしながら、図8(C)に示すように、屈曲部11の根元部は、滑り性カバー23の一対の脚部15によって挟持されるから、滑り性カバー23の商品陳列バー10の軸線周りの回転が抑止される。
【0054】
実施形態2の商品陳列具2は、実施形態1の商品陳列具1の特長に加え、滑り性カバー23におけるカバー部14の一端に切欠き部20を形成することにより、末端係合部が形成されるから、末端係合部の形成がより容易であるという特長を有する。
【0055】
3.実施形態3
以下、本発明に係る商品陳列具の更に別の例について説明する。図9において図1図6と同一の符号は、これらの符号が図1図6において示す構成要素と同一の要素を示す。
【0056】
図9に示すように、実施形態3の商品陳列具3は、商品陳列バー10と陳列バー取付部材12と、商品陳列バー10に着脱自在に装着される滑り性カバー33と、を有する。これらの部材のうち、商品陳列バー10および陳列バー取付部材12については実施形態1で述べたとおりである。
【0057】
一方、滑り性カバー33の一端、言い換えれば脚部15に取付部材係合部21が形成された側とは反対側の端部が上方から下方に向かって斜め前方に切断され、切断部22とされている。なお、切断部22も本発明の末端係合部の別の一例である。滑り性カバー33は、それ以外の点では実施形態1における滑り性カバー13と同様である。
【0058】
図9(C)に示すように、滑り性カバー33を商品陳列バー10に装着した状態においては、商品陳列バー10の屈曲部11の先端部が切断部22から上方に向かって突出する。しかしながら、図9(C)に示すように、屈曲部11の根元部が滑り性カバー33の一対の脚部15によって挟持されるから、滑り性カバー33の商品陳列バー10の軸線周りの回転が抑止される。
【0059】
実施形態3の商品陳列具3は、実施形態1の商品陳列具1の特長に加え、滑り性カバー33の一端を条項から下方に向かって斜め前方に切断して切断部22を形成することにより、末端係合部が形成されるから、末端係合部の形成が更に容易であるという特長を有する。
【符号の説明】
【0060】
1 商品陳列具
2 商品陳列具
3 商品陳列具
10 商品陳列バー
11 屈曲部
12A フック
12 陳列バー取付部材
13 滑り性カバー
14 カバー部
15 脚部
16 挿入部
16A 挿入開口部
17 稜状部
18 上方屈曲部
19 突起部
20 切欠き部
21 取付部材係合部
22 切断部
23 滑り性カバー
33 滑り性カバー
100 商品陳列具装着バー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9