【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆うように装着されるとともに、接触する物体が滑動しやすい滑り性のあるカバー部と、前記カバー部から対向して延出され、前記商品陳列バーが径方向に挿入される挿入開口部を形成する脚部と、を有する滑り性カバーに関する。
【0010】
前記滑り性カバーの脚部に形成された挿入開口部に、商品陳列バーをその径方向に手を用いて挿入することにより、この滑り性カバーを商品陳列バーに簡単に装着できる。
【0011】
なお、前記挿入開口部を形成する対向するそれぞれの脚部の内部に突起部を設け、当該対抗する突起部の間隔は、商品陳列バーを挿入開口部から挿入する際に僅かに抵抗感を有する程度に商品陳列バーの直径よりやや狭くするように選び、滑り性カバーの材料の弾力性を利用して挿入開口部を押し開くようにして商品陳列バーを挿入することにより、滑り性カバーが商品陳列バーから意図せずして部分的に外れたり、脱落したりすることを防止することができる。また、当該突起部の形状および配置を適宜に選ぶことにより、その挿入抵抗を利用して回転防止の効果も持たせることができる。
【0012】
前記突起部の形状は、滑り性カバーの全長に亘る直線状の突起または適当な間隔の点線状の突起を含むが、それらには限られない。ただし、適度の挿入抵抗を有する突起形状および/または挿入後の商品陳列バーへの適度の押圧力を有する突起形状のものが好ましい。
【0013】
商品陳列バーにこの滑り性カバーを装着することにより、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品と商品陳列バーとの間の摩擦が減少する。したがって、商品陳列バーを先端に向かって若干下方に傾斜させることにより、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品が前方に向って自重によって滑って移動する故に、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間や、特許文献1に示されるような複雑な機構が不要になる。
【0014】
更に、滑り性カバーは挿入開口部から商品陳列バーを挿入したり抜き取ったりすることによって着脱可能とされているから、長期間の使用により滑り性カバーが摩耗した場合等には、新品に容易に交換できる。また、商品が食品などで衛生を保つ必要がある場合には、取り外して容易に洗浄することもできる。
【0015】
また、滑り性カバーの材料には着色可能な素材を用いることが可能である故に、滑り性カバーの色を適宜変えることにより、商品のディスプレイ性を向上させることが可能であり、或いは滑り性カバーを色分けすることにより、商品の種類を区分して商品補充の利便性や購買者の商品選択の利便性を向上させることも可能である。
【0016】
更に、滑り性カバーの材料には抗菌剤などの機能性物質を混入することが可能である故に、従来の金属製商品陳列バーだけによる商品陳列と比較して、衛生保持など各種要請に対応が容易である。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様の滑り性カバーにおいて、カバー部における脚部が延出される側と反対側の面は稜状に形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記滑り性カバーのカバー部における脚部が延出される側と反対側の面は稜状に形成されているから、滑り性カバーと商品とは点接触に近い状態で接触する。これにより、カバー部における脚部が延出される側と反対側の面を稜状に形成しない場合と比較して滑り性カバーと商品との摩擦を更に小さくすることができる。
【0019】
この稜状部の先端における稜角の大きさを含む形状は、商品との接触部での滑り性と磨耗性とを勘案して適宜定めることができる。
また、当該稜状部に接触する商品部分の材料やハンガーの材料として、滑り性の良好なものを採用することで、更に摩擦を小さくすることができる。
【0020】
滑り性のよい材料で製作した環状またはフック状の吊り下げ補助具を別途用意し、この吊り下げ補助具を、滑り性カバーを装着した送品陳列バーに通すか若しくは引っ掛け、その一端に商品を吊るすことで、滑り性の悪い材料の商品でも良好に滑らせることができ、また、商品の形状によっては滑り性カバーを装着した商品陳列バーに直接商品を吊るすのが困難な場合でも、当該商品の形状を勘案して当該環状若しくはフック状の吊り下げ補助具の形状を適宜定めることによって容易に商品を吊るすことができる。
【0021】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様の滑り性カバーにおいて、カバー部の一端に、商品陳列バーの一端が上方に屈曲された屈曲部と係合して、滑り性カバーの前記商品陳列バーに対する回転を防止する末端係合部が形成されていることを特徴とする。
【0022】
前記滑り性カバーにおいては、末端係合部を、商品陳列バーの屈曲部に係合させることにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。
【0023】
また、滑り性カバーの別の態様として、商品陳列バーの屈曲部と反対側の端部である他端が、通常商品陳列棚に装着される陳列バー取付部材の上面に固定されており、滑り性カバーにおけるこの陳列バー取付部材に近い側の端部において脚部を適宜の距離に亘って短くし、カバー部の前記端部をこの陳列バー取付部材の上面まで適宜延長して押し込むことができるように形成されているものがある。
【0024】
前記別の態様においては、陳列バー取付部材上面にまで到ったカバー部材における短くされた脚部の下端が、陳列バー取付部材の上面に係合することによって、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止することができる。なお、この態様は、前記第3の態様と併用できる。
【0025】
本発明の第4の態様は、第3の態様の滑り性カバーにおいて、末端係合部がカバー部の一端に形成された上方屈曲部であることを特徴とする。
【0026】
前記滑り性カバーにおいては、末端係合部は、カバー部の一端を上方に向かって屈曲させて形成されたものであるから、末端係合部の強度が高い。
【0027】
本発明の第5の態様は、第3の態様の滑り性カバーにおいて、末端係合部が、カバー部の一端に形成された切込部であることを特徴とする。
【0028】
前記滑り性カバーにおいては、カバー部の一端に形成された切込部が商品陳列バーの一端の屈曲部に係合することにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。また、カバー部の一端に切込部を形成することにより末端係合部を形成することができるから、末端係合部の形成が極めて容易である。
【0029】
本発明の第6の態様は、商品を吊り下げるための商品陳列バーと、商品陳列バーの他端に固定され、商品陳列棚に装着される陳列バー取付部材と、商品陳列バーの商品が吊り下げられる部分を全長に亘って覆う第1〜第5のいずれかの態様の滑り性カバーと、を備える商品陳列具に関する
【0030】
前記商品陳列具においては、滑り性カバーが商品陳列バーに装着されているから、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品と商品陳列バーとの間の摩擦が減少する。したがって、商品陳列バーを先端に向かって若干下方に傾斜させることにより、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品が前方に向って自重で滑って移動する故に、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間が不要になる。
【0031】
本発明の第7の態様は、第6の態様の商品陳列具において、商品陳列バーの一端に上方に屈曲された屈曲部が形成され、滑り性カバーの一端に末端係合部が形成されているとともに、滑り性カバーの末端係合部が商品陳列バーの前記屈曲部に係合していることを特徴とする。
【0032】
前記商品陳列具においては、末端係合部を、商品陳列バーの屈曲部に係合させることにより、滑り性カバーの商品陳列バーに対する回転を防止できる。
【0033】
本発明の第8の態様は、第1〜第4のいずれかの態様の商品陳列具と、この商品陳列具を装着するための水平に延在する商品陳列具装着バー、またはこの商品陳列具を装着するための商品陳列具装着ネットを有する商品陳列棚と、を備え、この商品陳列具が、陳列バー取付部材において商品陳列具装着バーまたは商品陳列具装着ネットに係合する商品陳列什器に関する。
【0034】
前記商品陳列什器においては、滑り性カバーを装着した商品陳列バーに商品を吊り下げるから、商品陳列バーに直接商品を吊り下げる場合と比較して、商品陳列バーに対する商品の滑りが改善される。したがって、商品陳列バーにおける後方に位置していた商品を前方に移動させる手間が不要になる。