特許第6306336号(P6306336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306336複数のハンドルアセンブリを含む外科的システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306336
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】複数のハンドルアセンブリを含む外科的システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】15
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-254873(P2013-254873)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-117604(P2014-117604A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】13/715,364
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト アラーニ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥワイト ブロンソン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ラセネット
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−090113(JP,A)
【文献】 特開2005−118606(JP,A)
【文献】 特表平10−510169(JP,A)
【文献】 特開2007−195982(JP,A)
【文献】 特開2010−000341(JP,A)
【文献】 特開2011−104379(JP,A)
【文献】 特開2006−075376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0253116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的システムであって、該外科的システムは:
長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ、該シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ、および該シャフトアセンブリ内に少なくとも部分的に配置された制御ロッドを含む外科的器具であって、該制御ロッドは、該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置され、該制御ロッドの作動は、該エンドエフェクタの機能を生じさせる、外科的器具;
該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第一のハンドルアセンブリであって、該第一のハンドルアセンブリは、該第一のハンドルアセンブリと連関する動力源を含む、第一のハンドルアセンブリ;ならびに
該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第二のハンドルアセンブリであって、該第二のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たない、第二のハンドルアセンブリ
を含み、
該第一のハンドルアセンブリは、該外科的システムとの係合から取り外し可能であり、かつ該第二のハンドルアセンブリにより置き換え可能であり、その結果、該第一のハンドルアセンブリおよび該第二のハンドルアセンブリのうちの1つのみが、ある時点で該外科的システムと係合している、外科的システム。
【請求項2】
前記外科的器具は、前記エンドエフェクタを前記長手方向軸に関する角度で動かすように構成された手動の関節動作制御をさらに含む、請求項1に記載の外科的システム。
【請求項3】
前記制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第三のハンドルアセンブリをさらに含む請求項1に記載の外科的システムであって、該第三のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たず、前記第一のハンドルアセンブリ、前記第二のハンドルアセンブリ、および該第三のハンドルアセンブリのうちの1つのみが、ある時点で該外科的システムと係合している、請求項1に記載の外科的システム。
【請求項4】
前記第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリおよびロッドを含み、該ロッドは、前記外科的器具の前記制御ロッドと機械的に係合可能であり、該スイッチアセンブリは、該ロッドの回転の方向を制御するように構成される、請求項1に記載の外科的システム。
【請求項5】
第一の方向への前記ロッドの回転は、前記エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向への該ロッドの回転は、該エンドエフェクタの第二の機能を生じさせる、請求項4に記載の外科的システム。
【請求項6】
前記第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含み、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、前記第一の方向への前記ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、前記第二の方向への該ロッドの回転をもたらし、前記スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、請求項5に記載の外科的システム。
【請求項7】
外科的システムであって、該外科的システムは:
外科的器具であって、該外科的器具は:
長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ;
該シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ;
該シャフトアセンブリを少なくとも部分的に通って延びる制御ロッドであって、該制御ロッドは、該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置され、該制御ロッドの長手方向の並進は、該エンドエフェクタの機能をもたらす、制御ロッド;および
該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置された制御アセンブリであって、該制御アセンブリは、手動回転可能要素を含む少なくとも一つの関節動作制御を含み、該要素の回転は、該エンドエフェクタを、該エンドエフェクタが該長手方向軸と実質的に平行である第一の位置から、該エンドエフェクタが該長手方向軸に関する角度で配置される第二の位置に動かす、制御アセンブリ
を含む、外科的器具
該外科的器具の該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第一のハンドルアセンブリであって、該第一のハンドルアセンブリは、動力源および駆動部材を含み、該動力源は、該駆動部材を該長手方向軸の周りで回転させるように作動可能である、第一のハンドルアセンブリ;ならびに
該外科的器具の該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第二のハンドルアセンブリであって、該第二のハンドルアセンブリは、ロッドおよびスイッチアセンブリを含み、該ロッドは、該外科的器具の該制御ロッドと選択的に係合可能であり、該スイッチアセンブリは、該第二のハンドルアセンブリの該ロッドの回転の方向を制御するように構成される、第二のハンドルアセンブリ
を含、外科的システム。
【請求項8】
前記第一のハンドルアセンブリは、前記駆動部材と機械的に協働するように配置されたロッドをさらに含み、該駆動部材の回転は、前記第一のハンドルアセンブリの該ロッドの対応する回転をもたらす、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一のハンドルアセンブリの前記ロッドの回転は、前記制御ロッドの長手方向の並進をもたらす、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御アセンブリは、第一の手動回転可能要素を含む第一の関節動作制御と、第二の手動回転可能要素を含む第二の関節動作制御とを含み、該第二の手動回転可能要素の回転は、前記エンドエフェクタを、該エンドエフェクタが前記長手方向軸と実質的に平行である前記第一の位置から、該エンドエフェクタが該長手方向軸に関する角度および前記第二の位置に関する角度で配置される第三の位置に動かし、該第二の手動回転可能要素は、該第一の関節動作制御の該第一の手動回転可能要素とは別個に稼働可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第二のハンドルアセンブリは、ハンドルハウジングに関して軸回転可能である可動ハンドルを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
記可動ハンドルの作動は、前記長手方向軸の周りでの前記第二のハンドルアセンブリのロッドの回転をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記長手方向軸の周りでの前記第二のハンドルアセンブリの前記ロッドの回転は、該第二のハンドルアセンブリが前記外科的器具と係合させられている場合、前記制御ロッドの長手方向の並進をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
第一の方向への前記第二のハンドルアセンブリの前記ロッドの回転は、前記エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向への該第二のハンドルアセンブリの該ロッドの回転は、該エンドエフェクタの第二の機能を生じさせる、請求項13に記載の外科的システム。
【請求項15】
前記第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含み、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、前記第一の方向への前記第二のハンドルアセンブリの前記ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、前記第二の方向への該第二のハンドルアセンブリの該ロッドの回転をもたらし、前記スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、請求項14に記載の外科的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科的処置を行うための外科的装置、デバイスおよび/またはシステム、ならびにそれらの使用の方法に関連する。より特定すると、本開示は、選択的に取り外し可能なハンドルアセンブリとの使用のために構成されたハンドヘルドの外科的装置、デバイスおよび/またはシステム、ならびにそれらとの使用のためのハンドルアセンブリに関連する。
【背景技術】
【0002】
多数の外科的デバイス製造者が、電気機械的な外科的デバイスを稼働および/または操作するための専用の駆動システムを備えた製品ラインを開発している。多くの例において、電気機械的な外科的デバイスは、再利用可能な動力化ハンドルアセンブリと、使い捨てまたは単回使用の装填ユニットとを含む。装填ユニットは、使用の前、ハンドルアセンブリへ選択的に接続され、次いで、使用後、使い捨てされるため、または場合により再利用のために殺菌されるため、ハンドルアセンブリから外される。
【0003】
これらの電気機械的な外科的デバイスのうちの多くは、製造、購入および/または稼働が相対的に高価である。製造者およびエンドユーザーにより、製造、購入および/または稼働が相対的に低廉である電気機械的な外科的デバイスを開発することが、常に所望されている。
【0004】
追加的に、電気機械的な外科的デバイスの動力化ハンドルアセンブリが、外科的処置中に稼働不能また非効果的になった場合、外科的工程を完了または逆転させることが手動で可能であることが、所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、外科的器具、第一のハンドルアセンブリおよび第二のハンドルアセンブリを含む外科的システムに関連する。外科的器具は、長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ、シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ、およびシャフトアセンブリ内に少なくとも部分的に配置されてエンドエフェクタと機械的に協働するように配置された制御ロッドを含む。制御ロッドの作動は、エンドエフェクタの機能を生じさせる。第一のハンドルアセンブリは、制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成される。第一のハンドルアセンブリは、第一のハンドルアセンブリと連関する動力源を含む。第二のハンドルアセンブリは、制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成される。第二のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たない。
【0006】
開示される実施形態において、外科的器具は、エンドエフェクタを長手方向軸に関する角度で動かすように構成された手動の関節動作制御をさらに含む。
【0007】
開示される実施形態において、外科的システムは、制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第三のハンドルアセンブリをさらに含む。第三のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たない。
【0008】
開示される実施形態において、第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリおよびロッドを含む。ロッドは、外科的器具の制御ロッドと機械的に係合可能である。スイッチアセンブリは、ロッドの回転の方向を制御するように構成される。ここで、第一の方向へのロッドの回転は、エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向へのロッドの回転は、エンドエフェクタの第二の機能を生じさせることが、開示される。
さらに、第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含むことが、開示される。第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第一の方向へのロッドの回転をもたらし、第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第二の方向へのロッドの回転をもたらす。スイッチアセンブリは、ユーザーによる第一の組のギヤと第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする。
【0009】
本開示はまた、外科的器具および第一のハンドルアセンブリを含む外科的システムに関連する。外科的器具は、長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ、シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ、制御ロッド、および制御アセンブリを含む。制御ロッドは、シャフトアセンブリを少なくとも部分的に通って延び、エンドエフェクタと機械的に協働するように配置される。制御ロッドの長手方向の並進は、エンドエフェクタの機能をもたらす。制御アセンブリは、エンドエフェクタと機械的に協働するように配置され、手動回転可能要素を含む少なくとも一つの関節動作制御を含む。要素の回転は、エンドエフェクタを、エンドエフェクタが長手方向軸と実質的に平行である第一の位置から、エンドエフェクタが長手方向軸に関する角度で配置される第二の位置に動かす。第一のハンドルアセンブリは、外科的器具の制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成される。第一のハンドルアセンブリは、動力源および駆動部材を含む。動力源は、駆動部材を長手方向軸の周りで回転させるように作動可能である。
【0010】
開示される実施形態において、第一のハンドルアセンブリは、駆動部材と機械的に協働するように配置されたロッドをさらに含む。駆動部材の回転は、ロッドの対応する回転をもたらす。ここで、ロッドの回転は、制御ロッドの長手方向の並進をもたらすことが、開示される。
【0011】
開示される実施形態において、制御アセンブリは、第二の手動回転可能要素を含む第二の関節動作制御を含む。第二の手動回転可能要素の回転は、エンドエフェクタを、エンドエフェクタが長手方向軸と実質的に平行である第一の位置から、エンドエフェクタが長手方向軸に関する角度および第二の位置に関する角度で配置される第三の位置に動かす。第二の手動回転可能要素は、第一の関節動作制御の手動回転可能要素とは別個に稼働可能である。
【0012】
開示される実施形態において、システムは、外科的器具の制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第二のハンドルアセンブリをさらに含む。第二のハンドルアセンブリは、ハンドルハウジングに関して軸回転可能である可動ハンドルを含む。ここで、第二のハンドルアセンブリは、ロッドを含み、そのロッドは、外科的器具の制御ロッドと選択的に係合可能であることが、開示される。可動ハンドルの作動は、長手方向軸の周りでのロッドの回転をもたらす。さらに、長手方向軸の周りでの第二のハンドルアセンブリのロッドの回転は、第二のハンドルアセンブリが外科的器具と係合させられている場合、制御ロッドの長手方向の並進をもたらすことが、開示される。
【0013】
第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリを含み、そのスイッチアセンブリは、ロッドの回転の方向を制御するように構成されることが、さらに開示される。第一の方向へのロッドの回転は、エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向へのロッドの回転は、エンドエフェクタの第二の機能を生じさせることもまた、開示される。さらに、第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含むことが、開示される。第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第一の方向へのロッドの回転をもたらし、第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第二の方向へのロッドの回転をもたらす。スイッチアセンブリは、ユーザーによる第一の組のギヤと第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする。
【0014】
本開示はまた、外科的処置を行う方法に関連する。方法は、外科的器具、第一のハンドルアセンブリ、および第二のハンドルアセンブリを含む外科的システムを提供する工程を含む。外科的器具は、エンドエフェクタおよびシャフトを含む。第一のハンドルアセンブリは、第一のハンドルアセンブリの中に動力源を含む。第二のハンドルアセンブリは、手動可動ハンドルを含む。方法はまた、第一のハンドルアセンブリを外科的器具と機械的に接続する工程、エンドエフェクタを標的組織に隣接するように位置付ける工程、第一のハンドルアセンブリを作動させることによって標的組織に対するエンドエフェクタによる外科的処置を開始する工程、第一のハンドルアセンブリを外科的器具との機械的係合から外す工程、第二のハンドルアセンブリを外科的器具と機械的に接続する工程、ならびに標的組織に対する外科的処置を完了する工程とエンドエフェクタの動作を逆転させる工程とのうちの少なくとも一つを含む。
【0015】
方法の開示される実施形態において、エンドエフェクタは、第一のハンドルアセンブリを外科的器具との機械的係合から外す間、標的組織に隣接したままである。ここで、エンドエフェクタは、第二のハンドルアセンブリを外科的器具と機械的に接続する間、標的組織に隣接したままであることが、開示される。
【0016】
第二のハンドルアセンブリが、スイッチアセンブリ、第一の組のギヤ、第二の組のギヤ、およびロッドを含むことは、方法のさらに開示される実施形態である。ロッドは、外科的器具の制御ロッドと機械的に係合可能である。スイッチアセンブリは、ロッドの回転の方向を制御するように構成される。第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第一の方向へのロッドの回転をもたらし、第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第二の方向へのロッドの回転をもたらす。スイッチアセンブリは、ユーザーによる第一の組のギヤと第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする。
【0017】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書において説明される。
本発明の一つの実施形態において、例えば、下記の項目が提供される。
(項目1)外科的システムであって、該外科的システムは:
長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ、該シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ、および該シャフトアセンブリ内に少なくとも部分的に配置された制御ロッドを含む外科的器具であって、該制御ロッドは、該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置され、該制御ロッドの作動は、該エンドエフェクタの機能を生じさせる、外科的器具;
該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第一のハンドルアセンブリであって、該第一のハンドルアセンブリは、該第一のハンドルアセンブリと連関する動力源を含む、第一のハンドルアセンブリ;ならびに
該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第二のハンドルアセンブリであって、該第二のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たない、第二のハンドルアセンブリ
を含む、外科的システム。
(項目2)上記外科的器具は、上記エンドエフェクタを上記長手方向軸に関する角度で動かすように構成された手動の関節動作制御をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目3)上記制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第三のハンドルアセンブリをさらに含む上記項目のいずれかに記載の外科的システムであって、該第三のハンドルアセンブリは、手動で稼働可能であり、動力源との連関を持たない、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目4)上記第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリおよびロッドを含み、該ロッドは、上記外科的器具の上記制御ロッドと機械的に係合可能であり、該スイッチアセンブリは、該ロッドの回転の方向を制御するように構成される、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目5)第一の方向への上記ロッドの回転は、上記エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向への該ロッドの回転は、該エンドエフェクタの第二の機能を生じさせる、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目6)上記第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含み、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、上記第一の方向への上記ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、上記第二の方向への該ロッドの回転をもたらし、上記スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目7)外科的システムであって、該外科的システムは:
外科的器具であって、該外科的器具は:
長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ;
該シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ;
該シャフトアセンブリを少なくとも部分的に通って延びる制御ロッドであって、該制御ロッドは、該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置され、該制御ロッドの長手方向の並進は、該エンドエフェクタの機能をもたらす、制御ロッド;および
該エンドエフェクタと機械的に協働するように配置された制御アセンブリであって、該制御アセンブリは、手動回転可能要素を含む少なくとも一つの関節動作制御を含み、該要素の回転は、該エンドエフェクタを、該エンドエフェクタが該長手方向軸と実質的に平行である第一の位置から、該エンドエフェクタが該長手方向軸に関する角度で配置される第二の位置に動かす、制御アセンブリ
を含む、外科的器具;ならびに
該外科的器具の該制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第一のハンドルアセンブリであって、該第一のハンドルアセンブリは、動力源および駆動部材を含み、該動力源は、該駆動部材を該長手方向軸の周りで回転させるように作動可能である、第一のハンドルアセンブリ
を含む、外科的システム。
(項目8)上記第一のハンドルアセンブリは、上記駆動部材と機械的に協働するように配置されたロッドをさらに含み、該駆動部材の回転は、該ロッドの対応する回転をもたらす、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)上記ロッドの回転は、上記制御ロッドの長手方向の並進をもたらす、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)上記制御アセンブリは、第二の手動回転可能要素を含む第二の関節動作制御を含み、該第二の手動回転可能要素の回転は、上記エンドエフェクタを、該エンドエフェクタが該長手方向軸と実質的に平行である上記第一の位置から、該エンドエフェクタが該長手方向軸に関する角度および上記第二の位置に関する角度で配置される第三の位置に動かし、該第二の手動回転可能要素は、上記第一の関節動作制御の上記手動回転可能要素とは別個に稼働可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目11)上記外科的器具の上記制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成された第二のハンドルアセンブリをさらに含む上記項目のいずれかに記載のシステムであって、該第二のハンドルアセンブリは、ハンドルハウジングに関して軸回転可能である可動ハンドルを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)上記第二のハンドルアセンブリは、ロッドを含み、該ロッドは、上記外科的器具の上記制御ロッドと選択的に係合可能であり、上記可動ハンドルの作動は、上記長手方向軸の周りでの該ロッドの回転をもたらす、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)上記長手方向軸の周りでの上記第二のハンドルアセンブリの上記ロッドの回転は、該第二のハンドルアセンブリが上記外科的器具と係合させられている場合、上記制御ロッドの長手方向の並進をもたらす、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)上記第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリを含み、該スイッチアセンブリは、上記ロッドの回転の方向を制御するように構成される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目15)第一の方向への上記ロッドの回転は、上記エンドエフェクタの第一の機能を生じさせ、第二の方向への該ロッドの回転は、該エンドエフェクタの第二の機能を生じさせる、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目16)上記第二のハンドルアセンブリは、第一の組のギヤおよび第二の組のギヤを含み、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、上記第一の方向への上記ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、上記第二の方向への該ロッドの回転をもたらし、上記スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目17)外科的処置を行う方法であって、該方法は:
外科的器具、第一のハンドルアセンブリ、および第二のハンドルアセンブリを含む外科的システムを提供する工程であって、該外科的器具は、エンドエフェクタおよびシャフトを含み、該第一のハンドルアセンブリは、該第一のハンドルアセンブリの中に動力源を含み、該第二のハンドルアセンブリは、手動可動ハンドルを含む、外科的システムを提供する工程;
該第一のハンドルアセンブリを該外科的器具と機械的に接続する工程;
該エンドエフェクタを標的組織に隣接するように位置付ける工程;
該第一のハンドルアセンブリを作動させることによって該標的組織に対する該エンドエフェクタによる外科的処置を開始する工程;
該第一のハンドルアセンブリを該外科的器具との機械的係合から外す工程;
該第二のハンドルアセンブリを該外科的器具と機械的に接続する工程;ならびに
該標的組織に対する該外科的処置を完了する工程と該エンドエフェクタの動作を逆転させる工程とのうちの少なくとも一つ
を含む、外科的処置を行う方法。
(項目18)上記エンドエフェクタは、上記第一のハンドルアセンブリを上記外科的器具との機械的係合から外す間、上記標的組織に隣接したままである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)上記エンドエフェクタは、上記第二のハンドルアセンブリを上記外科的器具と機械的に接続する間、上記標的組織に隣接したままである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)上記第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリ、第一の組のギヤ、第二の組のギヤ、およびロッドを含み、該ロッドは、上記外科的器具の制御ロッドと機械的に係合可能であり、該スイッチアセンブリは、該ロッドの回転の方向を制御するように構成され、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第一の方向への該ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第二の方向への該ロッドの回転をもたらし、該スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17A)外科的処置を行うための外科的システムであって、該外科的システムは外科的器具、第一のハンドルアセンブリ、および第二のハンドルアセンブリを含み、
該外科的器具は、エンドエフェクタおよびシャフトを含み、該第一のハンドルアセンブリは、該第一のハンドルアセンブリの中に動力源を含み、該第二のハンドルアセンブリは、手動可動ハンドルを含み;
該第一のハンドルアセンブリは、該外科的器具と機械的に接続されるように構成され;
該エンドエフェクタは、標的組織に隣接するように位置付けられるように構成され;
該第一のハンドルアセンブリは、作動させられることによって該標的組織に対する該エンドエフェクタによる外科的処置を開始するように構成され;
該第一のハンドルアセンブリは、該外科的器具との機械的係合から外されるように構成され;
該第二のハンドルアセンブリは、該外科的器具と機械的に接続されるように構成され、結果として、該標的組織に対する該外科的処置を完了する、および/または該エンドエフェクタの動作を逆転させる、外科的システム。
(項目18A)上記エンドエフェクタは、上記第一のハンドルアセンブリを上記外科的器具との機械的係合から外す間、上記標的組織に隣接したままである、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目19A)上記エンドエフェクタは、上記第二のハンドルアセンブリを上記外科的器具と機械的に接続する間、上記標的組織に隣接したままである、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(項目20A)上記第二のハンドルアセンブリは、スイッチアセンブリ、第一の組のギヤ、第二の組のギヤ、およびロッドを含み、該ロッドは、上記外科的器具の制御ロッドと機械的に係合可能であり、該スイッチアセンブリは、該ロッドの回転の方向を制御するように構成され、該第一の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第一の方向への該ロッドの回転をもたらし、該第二の組のギヤの回転は、係合させられている場合、第二の方向への該ロッドの回転をもたらし、該スイッチアセンブリは、ユーザーによる該第一の組のギヤと該第二の組のギヤとのうちの一方の選択的な係合を可能にする、上記項目のいずれかに記載の外科的システム。
(摘要)外科的器具、第一のハンドルアセンブリおよび第二のハンドルアセンブリを含む外科的システムが、開示される。外科的器具は、長手方向軸を画定するシャフトアセンブリ、シャフトアセンブリの遠位部分に隣接して配置されたエンドエフェクタ、およびシャフトアセンブリ内に少なくとも部分的に配置されてエンドエフェクタと機械的に協働するように配置されている制御ロッドを含む。制御ロッドの作動は、エンドエフェクタの機能を生じさせる。第一のハンドルアセンブリは、制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成される。第一のハンドルアセンブリは、それと連関する動力源を含む。第二のハンドルアセンブリは、制御ロッドとの選択的な機械的係合のために構成される。第二のハンドルアセンブリは、手動で稼働され、動力源との連関を持たない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の実施形態に従う外科的器具の斜視図である。
【0019】
図2図2および図3は、本開示の外科的器具とともに使用されるための第一のハンドルアセンブリの、パーツが省かれている側面図である。
【0020】
図3図2および図3は、本開示の外科的器具とともに使用されるための第一のハンドルアセンブリの、パーツが省かれている側面図である。
【0021】
図4図4は、図2および図3における第一のハンドルアセンブリの斜視図であり、パーツが、省かれ、部分的に外されて示されている。
【0022】
図5図5は、外科的器具の駆動アセンブリの一部分の斜視図である。
【0023】
図6図6は、ハンドルアセンブリが取り除かれた外科的器具の一部分の斜視図である。
【0024】
図7図7は、図6における線7−7に沿って取られた外科的器具の制御アセンブリの長手方向の断面図である。
【0025】
図8図8は、図7の制御アセンブリの斜視組み立て図であり、パーツが分離されている。
【0026】
図9図9は、制御アセンブリと係合させられた第二のハンドルアセンブリの斜視図である。
【0027】
図10図10は、制御アセンブリと係合させられた第二のハンドルアセンブリの長手方向の断面図である。
【0028】
図11図11は、図10において指し示された細部の領域を図示する。
【0029】
図12図12は、第二のハンドルアセンブリの内部を見た斜視図である。
【0030】
図13図13は、第二のハンドルアセンブリのスリーブの斜視図である。
【0031】
図14図14は、第二のハンドルアセンブリの安全アセンブリの斜視図である。
【0032】
図15図15図17は外科的器具とともに使用されるための第三のハンドルアセンブリの斜視図である。
【0033】
図16図15図17は外科的器具とともに使用されるための第三のハンドルアセンブリの斜視図である。
【0034】
図17図15図17は外科的器具とともに使用されるための第三のハンドルアセンブリの斜視図である。
【0035】
図18図18は、第三のハンドルアセンブリの側面図である。
【0036】
図19図19は、第三のハンドルアセンブリの上面図である。
【0037】
図20図20は、図19の線20−20に沿って取られた第三のハンドルアセンブリの長手方向の断面図である。
【0038】
図21図21は、図20の線21−21に沿って取られた第三のハンドルアセンブリの長手方向の断面図である。
【0039】
図22図22は、図20の線22−22に沿って取られた第三のハンドルアセンブリの一部分の切り取り斜視図である。
【0040】
図23図23は、図18の線23−23に沿って取られた第三のハンドルアセンブリの一部分の断面図である。
【0041】
図24図24は、第三のハンドルアセンブリの一部分の斜視組み立て図であり、パーツが分離されている。
【0042】
図25図25は、外科的器具およびハンドルハウジングと係合させられた第三のハンドルアセンブリの斜視図である。
【0043】
図26図26は、図25において指し示された細部の領域を図示する。
【0044】
図27図27および図28は、第三のハンドルアセンブリの、パーツが取り除かれている斜視図であり、制御アセンブリおよびハンドルハウジングとの係合が図示されている。
【0045】
図28図27および図28は、第三のハンドルアセンブリの、パーツが取り除かれている斜視図であり、制御アセンブリおよびハンドルハウジングとの係合が図示されている。
【0046】
図29図29は、上乗せハンドルを追加され、制御アセンブリおよびハンドルハウジングと係合させられた第三のハンドルアセンブリの、パーツが取り除かれている側面図である。
【0047】
図30図30は、本開示の外科的器具と接続されて使用されるための救済ツールの斜視図である。
【0048】
図31図31は、カートリッジアセンブリの下方部分の斜視図であり、二組のプッシャーを示す。
【0049】
図32図32は、図31のカートリッジアセンブリの下方部分の斜視図であり、プッシャーカバーを含む。
【0050】
図33図33は、図32のカートリッジアセンブリおよびアンビルアセンブリの断面図である。
【0051】
図34図34は、本開示のカートリッジアセンブリとともに使用されるための作動スレッドの斜視図である。
【0052】
図35図35は、本開示の実施形態に従う内方ステープルプッシャーの斜視図である。
【0053】
図36図36は、図31および図32のカートリッジアセンブリの上方部分の斜視図である。
【0054】
図37図37は、本開示の実施形態に従う把持部材、図34の作動スレッド、複数のステープルプッシャーおよびステープルの斜視図である。
【0055】
図38図38は、図31および図32のカートリッジアセンブリの一部分の断面図であり、それを通って長手方向に延びる親ネジを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本開示の外科的システム、装置および/またはデバイスの実施形態は、図を参照して詳細に説明され、類似の参照番号は、いくつかの図うちの各々の同一の要素もしくは対応する要素を指定する。本明細書において使用される場合、用語「遠位」は、ユーザーからより遠いシステム、装置および/またはデバイスの部分、ならびにユーザーからより遠いそれらの構成要素を指示する一方で、用語「近位」は、ユーザーにより近いシステム、装置および/またはデバイスの部分、ならびにユーザーにより近いそれらの構成要素を指示する。
【0057】
最初に図1を参照すると、ハンドヘルドの動力化外科的器具が、示され、概して、参照番号10として指定される。器具10は、第一のハンドルアセンブリ100、制御アセンブリ200、長手方向軸A−Aを画定するシャフトアセンブリ400、およびエンドエフェクタ500を含む。エンドエフェクタ500は、第一のハンドルアセンブリ100および制御アセンブリ200による作動および稼働のために構成される。
【0058】
ここで図1図8を参照すると、器具10のさらなる詳細が、示される。第一のハンドルアセンブリ100は、動力化ハンドルアセンブリであり、その動力化ハンドルアセンブリは、動力を供給するための少なくとも一つのバッテリー110を含む。第一のハンドルアセンブリ100はまた、トリガー120(例えば、ボタンまたはスイッチ)を含み、そのトリガーは、バッテリー110と電気的連絡するように配置される。第一のハンドルアセンブリ100はまた、駆動部材130(例えば、駆動モーター)を含む。本開示の器具10とともに使用され得る駆動モーターの例は、Faulhaber Group(ドイツ)から市販されているもののようなマイクロ遊星ギヤヘッドを備えたブラシレスDCマイクロモーターと、Maxon Motors(ドイツ)から市販されているもののようなDCモーターおよび遊星ギヤヘッドとを含む。
【0059】
駆動部材130は、トリガー120と電気的連絡するように配置され、ハンドルハウジング150内で回転可能である。器具10の制御ロッド140は、駆動部材130と機械的連絡するように配置され、制御アセンブリ200を通りシャフトアセンブリ400を通って長手方向に延び、制御ロッド140の遠位部分は、エンドエフェクタ500と機械的連絡するように配置される。概して、トリガー120の作動は、バッテリー110により供給されるエネルギーに、長手方向軸A−Aの周りの駆動部材130の回転をさせる。駆動部材130の回転は、制御ロッド140の長手方向の並進をもたらし、その並進は、エンドエフェクタ500の機能(例えば、組織を把持するためのその顎部の接近、そこからのファスナーの射出、および/またはその顎部材の間に配置された組織の切断)を生じさせる。エンドエフェクタ500の特徴および機能のさらなる詳細は、2012年4月12日に出願された米国特許出願第13/444,228号において開示され、その全ての開示は、本明細書により、本明細書における参照として援用される。
【0060】
図8を特に参照すると、制御アセンブリ200の分解図が、示される。制御アセンブリ200は、関節動作アセンブリ300および回転アセンブリ302を含む。関節動作アセンブリ300は、エンドエフェクタ500の選択的関節動作を可能にすることによって、組織の操作および把握を容易にする。より具体的に、二つの制御部310および320は、選択的に回転可能なホイール、ダイヤルまたはノブ、311および321をそれぞれ含み、それらは、制御アセンブリハウジング210に隣接して存在する。各ノブ(例えば、ノブ311)は、もう一つのノブ(例えば、321)に対し独立して回転可能であり、ユーザーが、長手方向軸A−Aに対する関節動作の所与の平面においてエンドエフェクタ500を選択的に関節動作させることを可能にする。例えば、ノブ311の回転は、ステアリングケーブル313および315における異なる張力および対応する動きを誘導することにより、エンドエフェクタ500を矢印「R」および「L」に沿って関節動作(図1;右左の関節動作)させる。同様に、ノブ321の回転は、ステアリングケーブル323および325における異なる張力および対応する動きを誘導することにより、エンドエフェクタ500を矢印「U」および「D」に沿って関節動作(図1;上下の関節動作)させる。関節動作アセンブリのさらなる詳細は、2012年7月9日に出願された米国特許出願第13/543,931号において開示され、その全ての詳細は、本明細書により、本明細書における参照として援用される。
【0061】
上記で言及されたように、制御アセンブリ200はまた、回転アセンブリ302を含む。回転アセンブリ302は、制御アセンブリハウジング210を含み、その制御アセンブリハウジングは、長手方向軸A−Aの周りで回転可能である。制御アセンブリハウジング210は、制御ロッド140の周りで回転可能であることが、さらに想定される。制御アセンブリハウジング210の遠位部分は、シャフトアセンブリ400の近位部分に機械的に連結され、その結果として、制御アセンブリハウジング210の回転は、長手方向軸A−Aの周りでのシャフトアセンブリ400の対応する量の回転をもたらす。さらに、エンドエフェクタ500が、シャフトアセンブリ400の遠位部分に機械的に連結されているので、シャフトアセンブリ400の回転は、長手方向軸A−Aの周りでのエンドエフェクタ500の回転をもたらす。追加的に、制御アセンブリハウジング210の近位部分に隣接する係合構造304は、第一のハンドルアセンブリ100の遠位部分に隣接する係合構造102(図2)に機械的に係合し、それが、それらの間の回転関係を促進することが、想定される。それゆえ、開示される実施形態において、器具10は、手動ステアリングを備えた動力化直接駆動システムを含む。
【0062】
図9図14を参照すると、第二のハンドルアセンブリ1000が、示される。第二のハンドルアセンブリ1000は、ユーザーが、第二のハンドルアセンブリ1000を外科的器具10(例えば、制御アセンブリ200)から分離することを迅速に可能にするように構成される。第二のハンドルアセンブリ1000は、動力化ハンドルアセンブリであり、動力を提供するための少なくとも一つのバッテリー(添付の図面において明確に示されていない;少なくとも一つのバッテリーは、第一のハンドルアセンブリ100の少なくとも一つのバッテリー110と同様であることが、想定される)を含む。第二のハンドルアセンブリ1000はまた、トリガー1120(例えば、ボタンまたはスイッチ)を含み、それは、バッテリーと電気的連絡するように配置される。第二のハンドルアセンブリ1000の駆動部材1130は、トリガー1120と電気的連絡するように配置され、ハンドルハウジング1150内で回転可能である。第二のハンドルアセンブリ1000が、制御アセンブリ200およびシャフトアセンブリ400と係合させられる場合、駆動部材1130は、外科的器具10の制御ロッド140と機械的に共働するように配置される。ここで、トリガー1120の作動は、バッテリーにより供給されたエネルギーに、長手方向軸A−Aの周りでの駆動部材1130の回転をもたらさせる。駆動部材1130の回転は、制御ロッド140の長手方向の並進をもたらし、エンドエフェクタ500の機能を生じさせる。
【0063】
図10図11、および図14を具体的に参照すると、第二のハンドルアセンブリ1000はまた、外科的器具10(例えば、制御アセンブリ200)への取り付けおよび取り外しを促進するためのバネ荷重ロック/リリースメカニズム1200を含む。図11および図14を特に参照すると、バネ荷重ロック/リリースメカニズム1200は、ユーザー作動可能スイッチ1210、複数の指部1220、プレート1230、付勢要素1240、およびハウジング1250を含む。指部1220は、スイッチ1210に従属し、プレート1230におけるアパーチャー1232を通って延びる。指部1220の間の間隔は、それらの間の接近/偏向を可能にし、スイッチ1210とプレート1230との間の組み立てを促進する。理解され得るように、指部1220上の唇部1222は、指部1220およびスイッチ1210をプレート1230に固定することを手助けする。ハウジング1250は、プレート1230に固定され、付勢要素1240の少なくとも一部分を収めるように構成される。
【0064】
第二のハンドルアセンブリ1000が、外科的器具10(特に制御アセンブリ200)と係合させられる場合、付勢要素1240は、ハウジング1250およびプレート1230を、制御アセンブリ200に向けて遠位方向に押す。この遠位方向の付勢は、プレート1230の遠位部分1234を、制御アセンブリ200のスリーブ1300の唇部1310内に伸ばす。制御アセンブリ200から近位方向に延びるスリーブ1300の斜視図が、図13において示される。さらに、第二のハンドルアセンブリ1000の遠位面1260は、(例えば、唇部1310の半径方向の内側で)スリーブ1300に機械的に係合することによって、第二のハンドルアセンブリ1000と制御アセンブリ200との間の係合をさらに固定するのを手助けするように構成される。プレート1230と制御アセンブリ200(例えば、制御アセンブリ200のスリーブ1300)との間の機械的係合、および遠位面1260との外科的器具10(例えば、スリーブ1300)との間の機械的係合は、外科的器具10の第二のハンドルアセンブリ1000と制御アセンブリ200との間の係合を維持することを手助けする。
【0065】
上記で考察されたように、第二のハンドルアセンブリ1000が、外科的器具10の制御アセンブリ200と機械的に係合させられる場合、駆動部材1130は、外科的器具10の制御ロッド140と機械的に共働するように整列および配置される。ここで、トリガー1120の作動は、バッテリー110により供給されたエネルギーに、長手方向軸A−Aの周りでの駆動部材1130の回転をもたらさせ、その回転は、制御ロッド140の遠位方向の並進をもたらす。図12において示されるように、駆動部材1130の遠位端は、ピン1132を含む。ピン1132は、おおよそ円形の断面を含み、そのピンは、平面1134を含む。第二のハンドルアセンブリ1000が、外科的器具10の制御アセンブリ200と機械的に係合させられる場合、ピン1132は、制御ロッド140の空隙142に係合する(図10を参照のこと)。空隙142の断面は、ピン1132の断面と相補的な形状にされるか、または同様の形状にされ、その結果として、ピン1132の平面1134は、空隙142の対応する平面に係合することによって、それらの間の回転を制限または防止する。
【0066】
所望される場合、ユーザーは、第二のハンドルアセンブリ1000を、(例えば、外科的処置の前、外科的処置中、または外科的処置の後に)外科的器具10から取り除くこと、または外すことが可能である。第二のハンドルアセンブリ1000を、外科的器具10の制御アセンブリ200から取り除くために、ユーザーは、バネ荷重ロック/リリースメカニズム1200のスイッチ1210を、付勢要素1240の付勢に対して近位方向に動かす。スイッチ1210の事前に決定された量の近位方向の動作は、プレート1230の遠位部分1234を、スリーブ1300の唇部1310との係合から外して動かす。いったんプレート1230がスリーブ1300から脱係合すると、ユーザーは、例えば、第二のハンドルアセンブリ1000を傾け、第二のハンドルアセンブリ1000を外科的器具10の制御アセンブリ200に関して近位方向に動かすことにより、第二のハンドルアセンブリ1000を、外科的器具10の制御アセンブリ200から取り除くこと、または外すことが可能である。
【0067】
ここで図15図29を参照すると、第三のハンドルアセンブリ2000が、示される。第三のハンドルアセンブリ2000は、手動で稼働可能なハンドルアセンブリ(すなわち、動力源を含まない手動駆動システム)であり、かつ、外科的器具10の制御アセンブリ200と機械的に係合可能である。ユーザー(例えば、外科医)は、外科的処置中を含む任意の時(例えば、バッテリー故障、バッテリー途絶、電気的故障または機械的故障に起因して)、第二のハンドルアセンブリ1000を第三のハンドルアセンブリ2000で置き換え可能なことが、想定される。第三のハンドルアセンブリ2000は、そのままで、または追加的なハウジングアセンブリもしくは筐体2010(ハウジングアセンブリ2010の一部分は、図25図29において示される)を用いて、外科的器具10とともに使用可能であることが、想定される。
【0068】
概して、第三のハンドルアセンブリ2000は、作動アセンブリ2100、ハウジングアセンブリ2200、回転可能ロッド2300、スイッチアセンブリ2400、第一のギヤアセンブリ2500、および第二のギヤアセンブリ2600を含む。作動アセンブリ2100の可動ハンドルまたはレバー2110の作動は、第一のギヤアセンブリ2500または第二のギヤアセンブリ2600の回転をもたらし、それらの回転は、それぞれ第一の方向または第二の方向で、回転可能ロッド2300の回転をもたらす。外科的器具10の制御アセンブリ200と係合させられる場合、またはその制御アセンブリに係合させられる場合、回転可能ロッド2300の回転は、上記で考察したように、エンドエフェクタ500の機能を生じさせる。回転可能ロッド2300の第一の方向への回転は、エンドエフェクタ500の第一の機能(例えば、把持部材の遠位方向の並進による顎部の接近)を生じさせることと、回転可能ロッド2300の第二の方向への回転は、エンドエフェクタ500の第二の機能(例えば、把持部材の近位方向の並進による顎部の開放)を生じさせることとが、想定される。
【0069】
より特別に、図24を特定的に参照すると、作動アセンブリ2100は、可動ハンドルまたはレバー2110、波形バネ2120、スペーサー2130、第一のギヤ2140、および第二のギヤ2150を含む。ハウジングアセンブリ2200は、ハウジングブロック2210、心棒2220、および管材部材2230を含む。スイッチアセンブリ2400は、ハンドスイッチ2410およびスイッチバー2450を含む。第一のギヤアセンブリ2500は、第一の近位ギヤ2510および第一の遠位ギヤ2520を含む。第二のギヤアセンブリ2600は、第二の近位ギヤ2610および第二の遠位ギヤ2620を含む。
【0070】
図23および図24を参照すると、作動アセンブリ2100の第一のギヤ2140は、そこから横方向に延びる非円形突起2142を含み、その非円形突起は、スペーサー2130および波形バネ2120を支持する。示されるように、スペーサー2130は、そこを通って延びる非円形アパーチャー2132を含み、その非円形アパーチャーは、第一のギヤ2140の突起2142と同じ形状または相補的な形状(四角形として図示されるが、他の非円形形状も考えられる)をしている。理解され得るように、アパーチャー2132および突起2142の非円形形状は、スペーサー2130と第一のギヤ2140との間の回転を制限または防止する(例えば、スペーサー2130および第一のギヤ2140は、互いに鍵留めされる)。さらに、図23を特に参照すると、スペーサー2130は、その上に一組の歯部2134を含み、それらの歯部は、第一のギヤ2140の一組の歯部2146と噛み合うような構成および寸法にされる。スペーサー2130の歯部2134および第一のギヤ2140の歯部2146は、一方向クラッチを形成することによって、トリガーの繰り返しの動きを確実にする手助けをすることが、想定される。
【0071】
追加的に、可動ハンドルまたはレバー2110は、波形バネ2120およびスペーサー2130の少なくとも一部分を収めるように構成されるハウジングまたはヘッド部分2112を含み、そのハウジングまたはヘッド部分は、第一のギヤ2140とのスナップ嵌め係合のための寸法にされる。波形バネ2120は、スペーサー2130の一組の歯部2134と第一のギヤ2140の一組の歯部2146との間の適切かつ一貫した係合を確実にすることを手助けする。さらに、可動ハンドルまたはレバー2110のハウジングまたはヘッド部分2112は、第一のギヤ2140の突起2142により支持され、それに鍵留めされるような構成および寸法にされる非円形アパーチャー2114を含むので、それらの間の回転を限定または防止する。したがって、可動ハンドルまたはレバー2110の回転は、第一のギヤ2140の対応する回転をもたらし、下記でさらに詳細に考察されるように、第一のギヤ2140の回転は、第二のギヤ2150の対応する回転をもたらす。
【0072】
図23および図24を続けて参照すると、作動アセンブリ2100は、ハウジングブロック2210に軸回転可能に据え付けられる。特定すると、第一のギヤ2140のアパーチャー2142は、ハウジングブロック2210の心棒2220上に位置付けられ、第二のギヤ2150のアパーチャー2152はまた、心棒2220上に位置付けられる。さらに、第一のギヤ2140および第二のギヤ2150は、心棒2220により非回転的に支持される(例えば、心棒2220にピン留めされるか、または鍵留めされる)。すなわち、第一のギヤ2140および第二のギヤ2150は、心棒2220に関して回転し得ない。次に、心棒2220は、ハウジングブロック2210により回転可能に支持され、その支持は、心棒2220とハウジングブロック2210との間の回転を可能にするので、ハウジングブロック2210に関する第一のギヤ2140と第二のギヤ2150との間の回転を可能にする。さらに、第一のギヤ2140の回転は、心棒2220の回転をもたらし、その回転は、第二のギヤ2150の回転をもたらす。
【0073】
図21および図24を参照すると、第二のギヤ2150の回転は、遠位かさギヤ2430および近位かさギヤ2440の両方の回転をもたらす。さらに、第二のギヤ2150の回転は、第二のギヤ2150の歯部2154を遠位かさギヤ2430の歯部2432に係合させ、かつ、第二のギヤ2150の歯部2154を近位かさギヤ2440の歯部2442に係合させる。示されるように、第二のギヤ2150は、心棒2220により画定された軸B−Bの周りで回転可能であり(図21および図23)、その軸は、軸A−Aから90°ずらされ、軸A−Aの周りで、遠位かさギヤ2430および近位かさギヤ2440は、回転可能である。遠位かさギヤ2430は、第一のギヤアセンブリ2500の第一の近位ギヤ2510に回転するように固定され(例えば、ピン留めされる)、その結果として、遠位かさギヤ2430の回転は、第一の近位ギヤ2510の対応する回転をもたらす。同様に、近位かさギヤ2440は、第二のギヤアセンブリ2600の第二の遠位ギヤ2620に回転するように固定され(例えば、ピン留めされるか、または鍵留めされる)、その結果として、近位かさギヤ2440の回転は、第二の遠位ギヤ2620の対応する回転をもたらす。したがって、矢印「A」の実質的な方向への可動ハンドルまたはレバー2110の作動(図15)は、矢印「B」の実質的な方向への第一のギヤ2140の回転(図15)と、矢印「C」の実質的な方向への第二のギヤ2150の回転とをもたらす(図15および図24;示されるように、矢印「A」、矢印「B」、および矢印「C」は、おおよそ同じ反時計回りの方向である)。さらに、第二のギヤ2150の回転は、矢印「D」の実質的な方向への遠位かさギヤ2430の回転をもたらし(図24)、矢印「E」の実質的な方向への近位かさギヤ2440の回転をもたらす(図24)。示されるように、矢印「D」と矢印「E」とは、互いに対向する方向である。さらにその上、矢印「D」の実質的な方向への遠位かさギヤ2430の回転は、矢印「F」の実質的な方向(矢印「D」のおおよその方向と同じ方向)への第一の近位ギヤ2510の対応する回転をもたらす。同様に、矢印「E」の実質的な方向への近位かさギヤ2440の回転は、矢印「G」の実質的な方向(矢印「E」のおおよその方向と同じ方向)への第二の遠位ギヤ2620の対応する回転をもたらす。
【0074】
第一の近位ギヤ2510が、第一の遠位ギヤ2520と機械的に係合させられる場合(下記で考察されるように)、矢印「F」の実質的な方向への第一の近位ギヤ2510の回転は、矢印「H」の実質的な方向への第一の遠位ギヤ2520の回転をもたらす(図24;示されるように、矢印「D」と矢印「F」とは、互いにおおよそ同じ方向であり;第三のハンドルアセンブリ2000の近位端から遠位方向を見る場合、矢印「D」および矢印「F」の方向は、おおよそ時計回りである)。第二の遠位ギヤ2620が、第二の近位ギヤ2610と機械的に係合させられる場合(下記で考察されるように)、矢印「G」の実質的な方向への第二の遠位ギヤ2620の回転は、矢印「I」の実質的な方向への第二の近位ギヤ2610の回転をもたらす(図24)。
【0075】
第一の遠位ギヤ2520および第二の近位ギヤ2610は、回転するように、回転可能ロッド2300に関して長手方向に固定される。図22および図23において示されるように、回転可能ロッド2300は、平面2302を含む放射状の断面を有し、その平面は、管材部材2230の平面2232に係合することによって、それらの間の回転を制限または防止する。それゆえ、矢印「H」の実質的な方向への第一の遠位ギヤ2520の回転は、矢印「J」の実質的な方向(図23において時計回りで示される)への回転可能ロッド2300の対応する回転をもたらす。矢印「I」の実質的な方向への第二の近位ギヤ2610の回転は、矢印「K」の実質的な方向(図23において反時計回りで示される)への回転可能ロッド2300の対応する回転をもたらす。遠位かさギヤ2430、近位かさギヤ2440、第一の近位ギヤ2510、第一の遠位ギヤ2520、第二の近位ギヤ2610および第二の遠位ギヤ2620の各々はまた、対応する平面を含むことによって、回転可能ロッド2300に関する回転を制限または防止することもまた、想定される。
【0076】
追加的に、回転可能ロッド2300の遠位部分2334は、外科的器具の制御ロッド140の空隙142との機械的係合のために構成される。理解され得るように、回転可能ロッド2300の回転は、制御ロッド140の対応する回転をもたらす。それゆえ、回転可能ロッド2300が第一の方向に回転する場合、制御ロッド140は、第一の方向に回転し、回転可能ロッド2300が第二の方向に回転する場合、制御ロッド140は、第二の方向に回転する。さらに、上記で考察されたように、第一の方向への制御ロッド140の回転は、エンドエフェクタ500の第一の機能(例えば、顎部材を接近させること)を生じさせることと、第二の方向への制御ロッド140の回転は、エンドエフェクタ500の第二の機能(例えば、顎部材を開放すること)を生じさせることとが、想定される。
【0077】
ここで図15図16および図24を参照すると、スイッチアセンブリ2400が、示され、そのスイッチアセンブリは、ハンドスイッチ2410とスイッチバーまたはフレーム2450とを含む。スイッチアセンブリ2400は、ユーザーが、第一の遠位ギヤ2520を第一の近位ギヤ2510と選択的に係合すること、または第二の近位ギヤ2610を第二の遠位ギヤ2620と選択的に係合することを可能にする。上記の本明細書における開示から理解され得るように、第一の遠位ギヤ2520と第一の近位ギヤ2510との間で係合中の可動ハンドルまたはレバー2110の作動は、回転可能ロッド2300を矢印「J」の実質的な方向(すなわち、時計回り)に回転させる一方で、第二の近位ギヤ2610と第二の遠位ギヤ2620との間で係合中の可動ハンドルまたはレバー2110の作動は、回転可能ロッド2300を矢印「K」の実質的な方向(すなわち、反時計回り)に回転させる。
【0078】
スイッチアセンブリ2400のハンドスイッチ2410は、円柱状部分2412(少なくとも部分的にその円柱状部分を通って延びるアパーチャー2414を含む)、円柱状部分2412から延びるレバー2420、および円柱状部分2412から延びる一対の突出部2430を含む。スイッチバー2450は、第一の遠位ギヤ2520の遠位部分2522に機械的に係合するように構成された遠位円柱状部分2460、第二の近位ギヤ2610の近位部分2612に機械的に係合するように構成された近位円柱状部分2470、遠位円柱状部分2460と近位円柱状部分2470とを相互接続する細長い部材2480、および遠位円柱状部分2460から延びる一対のピン2490を含む。
【0079】
ハウジングアセンブリ2010内に位置付けられた場合(図25図29を参照のこと)、ハンドスイッチ2410の円柱状部分2412は、ハウジングアセンブリ2010と軸回転可能な関係で位置付けられ(例えば、ハウジングアセンブリ2010のピンは、少なくとも部分的に円柱状部分2412を通って延びる)、各突出部2430は、各ピン2490と機械的に係合させられる。示される実施形態において、ハンドスイッチ2410のレバー2420は、第一かつ遠位の位置にあり、その位置は、第一の近位ギヤ2510と機械的に係合されている第一の遠位ギヤ2520に対応する。ハンドスイッチ2410のレバー2420は、ユーザーにより、矢印「L]の実質的な方向(図27)に作動され得、その作動は、突出部2430を遠位方向に軸回転させる。突出部2430の遠位方向の動作は、ピン2490、遠位円柱状部分2460、細長い部材2480、および近位円柱状部分2470を遠位方向に動かす。遠位円柱状部分2460の遠位方向の動作は、第一の遠位ギヤ2520の遠位方向の動作をもたらし、その動作は、第一の遠位ギヤ2520を第一の近位ギヤ2510から脱係合させる。追加的に、近位円柱状部分2470の遠位方向の動作は、第二の近位ギヤ2610の遠位方向の動作をもたらすことによって、第二の遠位ギヤ2620との機械的係合状態にする。それゆえ、理解され得るように、ユーザーは、ハンドスイッチ2410のレバー2420をトグル操作することによって、可動ハンドルまたはレバー2110の作動が可動ロッド2300の時計回り回転または反時計回り回転のいずれをもたらすかを選択することことが可能であるので、制御ロッド140の回転の方向を選択することが可能である。レバー2420は、一方向ラチェット上に含まれ、その結果として、レバー2420が第一の方向に作動される場合(例えば、回転可能ロッド2300の時計回りの回転を生じさせるために)、レバー2420は、第一の方向への最初のストロークの終了まで、逆方向に動くことが防がれること(回転可能ロッド2300の反時計回り回転を防ぐ)が、さらに想定される。
【0080】
図25図28を具体的に参照すると、第三のハンドルアセンブリ2000と係合させられた外科的器具10の制御アセンブリ200が、示されるが、それらの図は、代替的な可動ハンドルまたはレバー2910とハンドルギヤ2920とを含む代替的な作動アセンブリ2900を図示する。第三のハンドルアセンブリ2000が、作動アセンブリ2100または代替的な作動アセンブリ2900のいずれを含んでいようとも、第三のハンドルアセンブリ2000は、同様に機能し得ることが、想定される。追加的に、図29は、作動アセンブリ2100および代替的な作動アセンブリ2900の両方を含む第三のハンドルアセンブリ2000を図示する。ここで、可動ハンドルもしくはレバー2110または代替的な可動ハンドルもしくはレバー2910のうちの一つは、上乗せハンドルとして作用し得ることが、想定される。
【0081】
追加的に、ハウジングアセンブリ2010は、上記で説明された第二のハンドルアセンブリ1000のハウジングアセンブリと同様であり、ハウジングアセンブリ2010は、ユーザーにより外科的器具10の制御アセンブリ200から第三のハンドルアセンブリ2000が分離されることまたは外されることを可能にするように構成され得ることが、想定される。例えば、第二のハンドルアセンブリ1000のバネ荷重ロック/リリースメカニズム1200はまた、第三のハンドルアセンブリ2000にも存在することが、想定される。
【0082】
ここで図30を参照すると、本開示の第四のハンドルアセンブリまたは救済ツール3000が、示される。救済ツール3000は、(例えば、第二のハンドルアセンブリ1000または第三のハンドルアセンブリ2000を取り除くか、または外した後で)制御ロッド140に回転を提供するためのさらなる選択肢をユーザーに与えるように構成される。
【0083】
救済ツール3000は、ノブ3100、ノブ3100から延びる第一の円柱状部分3200、および第一の円柱状部分3200から延びる第二の円柱状部分3300を含む。第二の円柱状部分3300は、外科的器具10の制御ロッド140の空隙142に機械的に係合するよう構成される。空隙142の断面は、第二の円柱状部分3300の断面と同様の形状または相補的な形状であり、その結果として、第二の円柱状部分3300の平面3310は、空隙142の対応する平面に係合することによって、それらの間の回転を制限または防止する。それゆえ、ユーザーは、第二の円柱状部分3300を制御ロッド140の空隙142の中に整列および挿入し、ノブ3100を時計回り方向または反時計回り方向のいずれかに回転させることにより対応する回転動作を制御ロッド140に与えることによって、エンドエフェクタ500の所望される機能を生じさせ得る。
【0084】
したがって、本開示は、外科的器具10、制御アセンブリ200、ならびに外科的器具10とともに使用されるための複数のハンドルアセンブリ(例えば、第一のハンドルアセンブリ100、第二のハンドルアセンブリ1000、第三のハンドルアセンブリ2000、および第四のハンドルアセンブリ3000)を含む外科的システムを含む。上記で考察されたように、第一のハンドルアセンブリ100および第二のハンドルアセンブリ1000は、動力化され(例えば、バッテリーを介して)、第三のハンドルアセンブリ2000および第四のハンドルアセンブリ3000は、手動である(すなわち、動力化されていない)。したがって、開示されるシステムは、ユーザーに外科的処置を実行するための様々な選択肢を提供する。追加的に、開示されるシステムは、ユーザーが、ハンドルアセンブリ(例えば、第二のハンドルアセンブリ1000)を外科的器具10から取り除くこと(例えば、外科的器具10の一部分が患者内にまだある間において)と、別のハンドルアセンブリ(例えば、第三のハンドルアセンブリ2000または第四のハンドルアセンブリ3000)を外科的器具10と係合することとを可能にすることによって、例えば、外科的処置を完了する。
【0085】
さらなる参照が、2008年9月22日に出願された国際出願PCT/US2008/077249(国際公開第2009/039506号)および2009年11月20日に出願された米国特許出願第12/622,827号(米国特許出願公開第2011−021049号)になされ得、それらの各々の全ての内容は、例示的な電気機械的ハンドヘルド動力化外科的器具の構築および操作の詳細な説明のために、本明細書において参考として援用される。
【0086】
本開示はまた、上記で説明されたシステムを使用する方法に関連する。さらにそのうえ、本開示は、本明細書において開示される外科的システム、またはそれらの構成要素を提供すること、外科的器具10からハンドルアセンブリ(例えば、第二のハンドルアセンブリ1000のような動力化ハンドルアセンブリ)を取り除くこと、ならびに別のハンドルアセンブリ(例えば、第三のハンドルアセンブリ2000および/または第四のハンドルアセンブリ3000のような手動ハンドルアセンブリ)を外科的器具と機械的に係合することから成る方法を含む。方法はまた、動力化ハンドルアセンブリで第一の外科的処置を行うこと(または少なくとも外科的処置を試みること)と、手動ハンドルアセンブリで第二の外科的処置を行うこととを含む。
【0087】
図31図38を参照すると、カートリッジアセンブリ5000およびその構成要素が、図示されている。カートリッジアセンブリ5000は、外科的器具(例えば、本明細書において開示される外科的器具のうちの少なくとも一つ)とともに使用されるために構成される。特定すると、カートリッジアセンブリ5000は、外科的器具の細長い部分の遠位端に係合するように構成され、その結果として、外科的器具の制御ロッド(例えば、制御ロッド140)の遠位端は、カートリッジアセンブリ5000の親ネジ5100に機械的に係合する(図38を参照のこと)。概して、制御ロッドの回転は、親ネジ5100の対応する回転をもたらし、その回転は、把持部材5200の長手方向の並進、作動スレッド5300の長手方向の並進、プッシャー5400の動作、およびファスナー5500の射出をもたらす。下記でさらに説明されるように、カートリッジアセンブリ5000およびその様々な構成要素は、制御ロッドの遠位端および親ネジ5100が長手方向に整列させられることを可能にするように構成されるので、二つの構成要素の間での回転の直接的転移を(例えば、アングルドライブの使用なしに)提供する。伝統的なカートリッジアセンブリへのいくつかの改変が、この配向を受け入れるために必要とされる。
【0088】
本明細書において使用される場合、用語「伝統的」は、本開示の特徴を、本開示の部分でない特徴から区別するためにある。「伝統的」の使用は、それらの特徴が先行技術であることを認めていない。追加的に、いくつかの図が、「伝統的」な特徴と併せて本開示の特徴を含む一方で、「伝統的」な特徴は、説明的目的のために示される;本開示の実際の実施形態は、「伝統的」な特徴を含まず、適切な場合、開示される特徴のうちの二つの組を含む。
【0089】
図31および図33を最初に参照すると、改変されたプッシャー5400が、同じカートリッジアセンブリ5000上にある伝統的なプッシャー5400xに加えて、示される。図33はまた、カートリッジアセンブリ5000に非常に近接したアンビルアセンブリ5001を示す。特定すると、プッシャー5400が、ダブルプッシャー5410の組およびシングルプッシャー5420の組を含む一方で、伝統的なプッシャー5400xは、トリプルプッシャーの組を含む。各ダブルプッシャー5410は、外方プッシャー5412(外方ファスナー5500oと整列する)および中央プッシャー5414(中央ファスナー5500cと整列する)を含む。各シングルプッシャー5420は、内方ファスナー5500iと整列する。図31および図33において示されるように、ダブルプッシャー5410の外方プッシャー5412および中央プッシャー5414は、繋ぎ合わされているので、互いに関して自由に動かない;シングルプッシャー5420は、ダブルプッシャー5410に接続されていないので、隣接するダブルプッシャー5410に関して自由に動くので、ダブルプッシャー5410に関して独立して可動である。追加的に、図33において示されるように、シングルプッシャー5420の基部5425(すなわち、内方ファスナー5500iから最も遠い部分)は、ダブルプッシャー5410の基部5415に関してより高い平面上にある。図33に関連して理解され得るように、シングルプッシャー5420の基部5425の持ち上げられた高さは、位置決めネジ5100の全外周が、カートリッジアセンブリ5000を長手方向に通過することを可能にする(図33の右側において図示される伝統的なプッシャー5400xと比較される場合)。ファスナー5500iの高さは、ファスナー5500oおよびファスナー5500cの高さよりも小さいことが、さらに想定される。
【0090】
ここで図32を参照すると、プッシャーカバー5600が、示される。図32において、本開示のプッシャーカバー5600が、カートリッジアセンブリ5000の頂部分に示される一方で、伝統的なプッシャーカバー5600xが、下方部分に示される。プッシャーカバー5600は、カートリッジアセンブリ5000の基部5010(図31を参照のこと)に機械的に係合し、ダブルプッシャー5410がカートリッジアセンブリ5000の底部5002を通って落ちることを防ぐように構成される。示されるように、シングルプッシャー5420の基部5425が持ち上げられているため、親ネジ5100がプッシャーカバー5600の内向き伸長と干渉しないように(図33を参照のこと)、およびシングルプッシャー5420が作動スレッド5300の長手方向の並進と干渉しないように、シングルプッシャー5420は、プッシャーカバー5600により保護されない。それゆえ、シングルプッシャー5420は、別の態様で、カートリッジアセンブリ5000内で維持されなければならない。
【0091】
図35および図36は、どのようにしてシングルプッシャー5420がカートリッジアセンブリ5000内に維持されるかを、説明することを手助けする。図35はシングルプッシャーから延びる隆起またはリブ5426を有するシングルプッシャー5420を図示する。図36は、ファスナー5500を受け入れるためのスロット5510を含むカートリッジアセンブリ5000を図示する。示されるように、各内方スロット5510iは、カットアウトまたはチャネル5526を含み、そのカットアウトまたはチャネルは、シングルプッシャー5420の隆起またはリブ5426を受け取るように構成される。リブ5426とチャネル5526との組み合わせで、プッシャー5400の備え付けは、シングルプッシャー5420をカートリッジアセンブリ5000内に維持することを手助けする。シングルプッシャー5420は、最初、カートリッジアセンブリ5000の中に挿入され、その結果として、カートリッジ脚部は、リブ5426の道から曲がり出ることが可能である。次に、ダブルプッシャー5410は、挿入され、カートリッジ脚部の後ろのスペースを少なくとも部分的に埋め、これは、カートリッジ脚部の屈曲を抑止する。シングルプッシャー5420は、ここで、カートリッジアセンブリ5000の底部5002の落下から効果的に防がれる。
【0092】
図34図37および図38を参照すると、作動スレッド5300が、図示されている。示されるように、カートリッジアセンブリ5000を少なくとも部分的に通って長手方向に並進する作動スレッド5300は、プッシャー5400に接触するためのカム表面5310を含み、アーチ形部分5320を含むことによって、それを通過するように親ネジ5100を受け入れる。図37において示されるように、矢印「D」の向きでの把持部材5200の遠位方向の並進は、プッシャー5410および5420の中への作動スレッド5300の遠位方向の並進をもたらし、カートリッジアセンブリ5000からファスナー5500を射出させる。
【0093】
様々な改変が、本明細書において開示される実施形態になされ得ることが、理解される。それゆえに、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、開示される実施形態の例証として単に解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の趣旨および範囲内の他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0094】
10 外科的器具
100 第一のハンドルアセンブリ
140 制御ロッド
400 シャフトアセンブリ
500 エンドエフェクタ
1000 第二のハンドルアセンブリ
図1
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