(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回動することによって外周面に表記された複数種類の図柄を可変表示する複数のリールと、遊技状況に応じた演出を実行可能な演出手段と、所定の抽選確率に基づいて役の当否を抽選すると共に、当該抽選の結果に応じた態様で前記リールを停止制御し、停止した際の前記リールにおいて停止表示された図柄の組み合わせによる遊技結果に応じて、所定の処理を実行する制御部とを備えた遊技機において、
前記制御部は、
第1遊技状態における遊技回数を計数可能であって、所定の条件が達成されたことに基づいて、計数した値を維持するための処理を行う第1カウント手段と、計数した値が初期化される第2カウント手段とを含む複数のカウンタを有し、
前記条件が達成された後に、前記第1カウント手段により維持された値に基づいて前記第1遊技状態とは異なる第2遊技状態への移行の条件に係る処理を行うことを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の遊技機の一実施形態を、添付図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。なお、以下の説明において遊技機の各部の基準となる方向は、その遊技機の正面に対面する遊技者の視点(正面視)に合わせて説明する。
【0019】
[スロットマシンSの外部構成]
図1に示すように、本実施形態の遊技機であるスロットマシンSは、前面に開口部を有する箱型の筐体1と、筐体1の開口部を開閉可能に取り付けられた前扉2と、前扉2の前面上部に設けられ、左側の左リール3a、中央の中リール3b、右側の右リール3cから構成されるリール3を前方から視認可能とするための表示窓4と、表示窓4の上方に設けられ、複数種類の動画または静止画像を表示可能な演出表示部5(演出手段)と、前扉2の上部の両隅部などに設けられ、複数種類の効果音や楽曲が出力されるスピーカ6(演出手段)と、前扉2の上部周囲縁には複数種類の点滅パターンを有する演出ランプ7(演出手段)が設けられている。
【0020】
図1に示すように、スロットマシンSは、リール3の停止状態において、左リール3a、中リール3b、右リール3c(以下、リール3a〜3cともいう)のそれぞれの外周面に表記され、一定間隔で21の領域(以下、コマという)に配列された複数種類の図柄(
図7参照)のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が、スロットマシンSの正面から表示窓4を通じて視認可能となっている。したがって、縦3列、横3行に配列された9個の図柄が視認可能となっている。
【0021】
また、スロットマシンSは、各リール3a〜3cのコマの位置の組合せによって5本の入賞判定ラインL1〜L5が設定されている。また、後述する1回の遊技(1遊技)に必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数は3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると5本の入賞判定ラインL1〜L5の全てが有効化される。
【0022】
遊技結果は、表示窓4内の有効化された入賞判定ラインL1〜L5上に停止して表示された各リール3a〜3cの図柄の組合せによって判断され、入賞判定ラインL1〜L5上に表示された図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとして後述するホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0023】
また、前扉2の表示窓4の下方には、LED、7セグメント表示器等からなり、各種の遊技の状態を表示する遊技情報表示部8が設けられ、前扉2における遊技情報表示部8の下方には、メダルが投入されるメダル投入口9と、予めメダル投入口9に投入されて電子的に貯留(以下、クレジットという)されたメダルのうち遊技を行うためのメダルの枚数を押下操作によって設定(以下、ベットという)可能なベットボタン10とが設けられる。さらに、ベットボタン10の下方には、リール3の回転を始動させるためのスタートレバー11と、左リール3a、中リール3b、右リール3cのそれぞれに対応し、押下操作によって左リール3a、中リール3b、右リール3cの回転をそれぞれ停止させることが可能な左側の左ストップボタン12a、中央の中ストップボタン12b、右側の右ストップボタン12c(以下、ストップボタン12a〜12cともいう)とが設けられる。
【0024】
さらに、前扉2の前面におけるストップボタン12a〜12cの下方には、スロットマシンSの機種名等を表示するための表示パネル13が設けられ、前扉2の前面における表示パネル13の下方には、メダル払出口14から払い出されたメダルを溜めておくためのメダル受皿15が設けられる。
【0025】
[スロットマシンSの内部構成]
図2に示すように、筐体1の内部には空間を上下に分ける仕切り板1Aが設けられ、当該仕切板1Aの上側には、表示窓4から視認可能なリール3、駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによってリール3を回転駆動させるとともに所定の角度で停止制御可能なステッピングモータ313(
図3参照)、リール3a〜3cの基準位置を設定するためのフォトセンサからなるリールインデックス315(
図3参照)等を有するリールユニット310が着脱自在に設けられる。
【0026】
リールユニット310の上方には、後述するメイン基板100とサブ基板500とが設置される。
【0027】
筐体1の内部の下側には、メダルを貯留するメダル貯蔵タンク321と、ステッピングモータからなる払出モータ322(
図3参照)と、払出モータに回転可能に支持された回転ディスク(図示省略)と、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチ325(
図3参照)とを有し、貯留しているメダルを、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位で払い出し可能に構成されているホッパーユニット320が設けられる。ホッパーユニット320の上方には、スロットマシンSに対して外部からの電力を供給可能な電源ユニット50が設けられる。電源ユニット50には、スロットマシンSの電源をON/OFFするための電源スイッチ51や、メダルの払出率を調整可能な「設定値」を段階的に変更するための設定変更スイッチ52Sを内蔵した設定変更ボタン52や、設定変更ボタン52の操作を有効とするための解除スイッチ53Sを内蔵した解除キーシリンダ53等が設けられる。
【0028】
[スロットマシンSの遊技の概要]
スロットマシンSは、遊技者がメダルをメダル投入口9に3枚投入するか、または、メダルがクレジットされた状態でベットボタン10の押下操作を行ってベットすることによって、リール3a〜3cを回転制御可能な準備状態となる。そして、遊技者がスタートレバー11の押下操作を行うと、メイン基板100は、スタートレバー11の押下操作に基づいて、ステッピングモータ313を制御してリール3a〜3cを回転始動させるとともに、乱数値を用いた役等の内部抽選を実行して、リール3a〜3cの回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタン12a〜12cの押下操作を有効とする制御を行う。
【0029】
続いて、遊技者が任意のタイミングでストップボタン12a〜12cを押下操作すると、メイン基板100は、ステッピングモータ313等を制御して、内部抽選の結果に応じた停止位置でリール3a〜3cを停止させる。そして、リール3a〜3cに表示された図柄の組合せに応じた遊技の結果に基づく枚数のメダルがメダル払出口14からメダル受皿15へ払い出されるようになっている。
ここで、スタートレバー11の押下操作によりリール3a〜3cが回転してから、ストップボタン12a〜12cを押下操作によりリール3a〜3cが停止した結果、表示された図柄の組合せに基づく処理が完了するまでを1遊技(1ゲーム)という。
【0030】
次に、
図3を参照して本実施形態のスロットマシンSの機能を説明する。
本実施形態のスロットマシンSは、制御手段としてのメイン基板(メイン制御部)100とサブ基板(サブ制御部)500とにより構成され、メイン基板100によって遊技に係る統括的な制御が行われ、サブ基板500によって演出全般に係る制御が行われる。
【0031】
メイン基板(メイン制御部)100は、入力手段であるメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等からの入力信号を受信して、メイン基板100が遊技を実行するための各種の演算処理を行うとともに、演算処理の結果に基づいて、出力手段であるリールユニット310やホッパーユニット320等の出力動作の制御を行うものである。
【0032】
サブ基板500(サブ制御部)は、メイン基板100からの入力信号を受信して、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算処理を行い、演算処理の結果に基づいて、演出表示部5に係る表示演出やスピーカ6に係る音響演出、演出ランプ7に係る照明演出等の出力動作の制御を行うものである。なお、メイン基板100及びサブ基板500の機能は、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムからなるソフトウエアを実行することにより実現される。
【0033】
[メイン基板100]
メイン基板100は、設定変更手段105、投入受付手段110、乱数発生手段115、内部抽選手段120、リール制御手段125、入賞判定手段130、リプレイ処理手段135、払出制御手段140、遊技状態移行制御手段145、サブ制御状態判定手段150、信号出力手段155、メイン遊技回数カウント手段160、通信制御手段165、メインメモリ190等を含んで構成される。
【0034】
また、メインメモリ190は、本実施形態のスロットマシンSにおけるシステムプログラムが記憶された読み取り専用の記憶領域であるROMと、メイン基板100で生成される各種データ(システムプログラムで仕様するフラグや演算した値)が記憶されるとともに、メイン基板100の演算処理のワーク領域として使用される書き換え可能な記憶領域であるRAMとによって構成される。
【0035】
具体的には、以下に説明するように、メインメモリ190は、役の当否を決定するための抽選の際に参照される内部抽選テーブルを記憶している内部抽選テーブル記憶手段191、複数種類の抽選フラグが設定されるフラグ記憶手段192、停止制御テーブルを記憶している停止制御テーブル記憶手段193、入賞判定テーブルを記憶している入賞判定テーブル記憶手段194、クレジット(内部貯留)メダル情報を記憶するクレジット記憶手段196、遊技機の設定値を記憶する設定値記憶手段197、遊技回数を記憶するメイン遊技回数記憶手段198等を備えている。
【0036】
(設定変更手段105)
設定変更手段105は、メインメモリ190の設定値記憶手段197に記憶されている設定値の変更を制御する手段であって、電源ユニット50に設けられた解除キーシリンダ53に設定キー(図示省略)が挿入されて時計回りまたは反時計回りに回されると、解除スイッチ53Sが作動して設定変更ボタン52に内蔵されている設定変更スイッチ52Sの動作を有効とする設定変更有効状態に制御する。そして、設定変更有効状態において、設定変更手段105は、設定変更スイッチ52Sからの入力信号を受け付ける毎に、設定値記憶手段197に記憶されている「1〜6」の設定値を「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「1」→「2」→「3」・・・の順序で循環的に変動させる。設定変更有効状態においてスタートスイッチ230の作動が設定確定条件とされており、スタートレバー11の押下操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号(入力信号)に基づいてメインメモリ190の設定値記憶手段197に新たに記憶された設定値を確定させて設定変更動作(以下、設定変更ともいう)を終了する。
【0037】
本実施形態のスロットマシンSにおいて、設定変更動作が行われると、設定変更手段105は、メインメモリ190の遊技状態に関する設定情報が保持されるメインメモリ190の一時記憶領域(図示省略)を初期化するメインメモリ初期化処理を実行する。また、設定変更手段105は、サブ基板500に対して、サブメモリ550の後述する演出状態等に関する設定情報が保持される一時記憶領域(図示省略)の初期化を実行させるコマンドを送信する初期化コマンド処理を行う。サブ基板500は当該コマンドに基づいてサブメモリ550の一時記憶領域を初期化するサブメモリ初期化処理を実行する。これらの初期化に係る処理は、設定変更手段105による初期化コマンド処理、サブ基板500によるサブメモリ初期化処理、設定変更手段105によるメインメモリ初期化処理の順で実行される。
【0038】
(投入受付手段110)
投入受付手段110は、遊技毎にメダルの投入を受け付け、規定投入数に相当する3枚のメダルが投入されたことに基づいて、無効としていたスタートレバー11の押下操作を有効とする制御を行う手段である。有効となったスタートレバー11の押下操作を契機に、リール3a〜3cは回動し、内部抽選手段120によって内部抽選が行われる。
【0039】
投入受付手段110は、メダル投入口9にメダルが投入されて、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、規定投入数を限度として投入されたメダルを投入状態に設定する。なお、メダル投入口9から規定投入数を越えるメダルが投入されると、その越えた分のメダルについては、クレジット(内部貯留)されたクレジットメダルとしてメインメモリ190のクレジット記憶手段196に記憶される。このようにメダルがクレジットされた状態でベットボタン10が押下操作されて、ベットスイッチ220が作動することに基づいて、投入受付手段110が規定投入数を限度としてクレジットメダルを投入状態に設定する。
【0040】
(乱数発生手段115)
乱数発生手段115は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、所定の範囲を循環するように1ずつ数値を数えあげる機能を有するインクリメントカウンタのカウント値に基づいて発生させることができる。ここでいう乱数値には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得のタイミング等が不規則であるために遊技上実質的に乱数として機能する値も含まれる。
【0041】
(内部抽選手段120)
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバー11の押下操作により作動するスタートスイッチ230から発信されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、内部抽選テーブル選択処理、乱数判例処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0042】
〈内部抽選テーブル選択処理〉
内部抽選テーブル選択処理では、メインメモリ190の内部抽選テーブル記憶手段191に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて抽選(内部抽選ともいう)を行うかを決定する。
本実施形態のスロットマシンSでは、通常状態、ビッグボーナス内部状態(BB1内部状態、BB2内部状態)、およびビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)という複数種類の遊技状態が設けられており、メインメモリ190には、これらの各遊技状態における内部抽選のための内部抽選テーブルが記憶されている。これらの各遊技状態における内部抽選テーブルには、0〜65535の65536個の整数値からなる乱数値のそれぞれに対して、後述するリプレイ、小役、ビッグボーナス及びこれらの役に当選しない不当選(はずれともいう)のいずれかが対応するように設定されている。
【0043】
図4に示すように、内部抽選テーブル記憶手段191には、各遊技状態で使用される複数の内部抽選テーブルが、上述の6段階の設定値に対応づけられて記憶されている。すなわち、通常状態用の内部抽選テーブル、ビッグボーナス内部状態用の内部抽選テーブル、およびビッグボーナス状態用の内部抽選テーブルが、それぞれ6種類用意されている。そして内部抽選テーブル選択処理では、設定値記憶手段197に記憶されている設定値に基づいて、現在の遊技状態に応じた内部抽選テーブルを選択する処理を行う。
【0044】
本実施形態のスロットマシンSでは、設定値に応じて少なくとも1種類以上の役の当選確率が異なるように役と乱数値との対応関係が設定されている。例えば、
図4に示すように、通常状態用の内部抽選テーブルでは、設定値が高くなるほど、ボーナス(BB1、BB2)の当選確率や、ベル、スイカ、チェリーの当選確率が高くなるとともに、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。また、
図5に示すように、ビッグボーナス内部状態用の内部抽選テーブルでは、ボーナス(BB1、BB2)が内部抽選の対象から除外されており、設定値が高くなるほど、ベル、スイカ、チェリーの当選確率が高くなるとともに、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。また、
図6に示すように、ビッグボーナス状態用の内部抽選テーブルでは、ビッグボーナス(BB1、BB2)およびリプレイが内部抽選の対象から除外されており、設定値が高くなるほど、スイカ、チェリーの当選確率が高くなるとともに、特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の当選確率が低くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
【0045】
本実施形態のスロットマシンSでは、小役のうち相対的に当選確率が低いスイカ、チェリー等を、ビッグボーナスと同時に当選可能な小役とし、後述する演出状態におけるAT状態(第2遊技状態)への移行抽選の契機となる移行抽選契機役としているため、高設定ほどボーナス当選の期待度や、AT状態への移行の期待度が増加するような遊技の構成となっている。
【0046】
〈乱数判定処理〉
乱数判定処理では、スタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段115から抽選用の乱数値を取得し、取得した乱数値についてメインメモリ190の内部抽選テーブル記憶手段191に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0047】
〈抽選フラグ設定処理〉
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。抽選フラグの設定情報は、メインメモリ190のフラグ記憶手段192に記憶される。抽選フラグ設定処理において、フラグ記憶手段192が記憶するフラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが設けられている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナス(BB1、BB2)があり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応付けられている。
【0048】
(リール制御手段125)
リール制御手段125は、リール3a〜3cの回転及び停止を制御する手段である。
具体的には、リール制御手段125は、遊技者がスタートレバー11の押下操作により作動するスタートスイッチからのスタート信号に基づいて、ステッピングモータ313を回転制御してリール3a〜3cを回転させる。また、リール制御手段125は、リール3a〜3cの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達して定常回転となってからリール3a〜3cに対応するストップボタン12a〜12cの押下操作を有効とする。この有効となった状態において、遊技者がストップボタン12a〜12cを押下操作することによりストップスイッチ240が作動すると、リール制御手段125は、ストップスイッチ240からのリール停止制御信号(入力信号)に基づいて、リールユニット310のステッピングモータ313への駆動パルスの供給を停止することによりリール3a〜3cを、停止制御テーブルを参照して抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させるリール停止制御処理を行う。
【0049】
停止制御テーブルは、抽選フラグの設定状態に応じて、ストップスイッチ240の作動時点、すなわち、ストップボタン12a〜12cの押下操作が検出された時点におけるリール3a〜3cの位置である押下検出位置と、実際の停止位置との対応関係が設定されている。なお、停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との関係が設定されていてもよい。
【0050】
また、停止制御テーブルでは、2種類以上の異なる役に対応づけられているフラグが当選状態に設定されている場合に、役毎に定められた優先順位に従って、ストップスイッチ240の作動時点における各リール3a〜3cの位置と、実際の各リール3a〜3cの停止位置との対応関係が設定されている。本実施形態のスロットマシンSでは、「リプレイ>ボーナス(BB1、BB2)>小役(ベル、スイカ、チェリー、特殊小役)」の順序で優先順位が定められており、リール制御手段125は、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合には、各役に対して設定された優先順位に従って、優先順位が低い役を構成する図柄に優先して優先順位の高い役を構成する図柄を入賞判定ラインL1〜L5上に表示させるようにリール3a〜3cを停止させる制御を行う。
【0051】
また、リール制御手段125は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリール3a〜3cを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が入賞判定ラインL1〜L5上に停止するように、換言すると、当選した役を入賞させることができるようにリール3a〜3cを停止させる制御処理である。一方、蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が入賞判定ラインL1〜L5上に停止しないように、換言すると、当選していない役を入賞させることができないようにリール3a〜3cを停止させる制御処理である。すなわち、本実施形態のスロットマシンSでは、このような引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン12a〜12cの押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(あるいは入賞判定ラインL1〜L5上に停止している図柄の種類)に応じて各リール3a〜3cの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このようにリール制御手段125は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能とするとともに、抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止不能とするようにリール3a〜3cを停止させる制御を行っている。
【0052】
また、リール制御手段125は、リール3a〜3cが1回転する毎にリールインデックス315で検出される基準位置信号(入力信号)に基づいて、リール3a〜3cの基準位置(リールインデックス315によって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータ313の回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリール3a〜3cの回転状態を監視することができるようになっている。
【0053】
また、回転している各リール3a〜3cの停止位置を決めるための停止制御テーブルにおいて、ストップボタン12a〜12cの押下時点から各リール3a〜3cが停止するまでに要するコマ数が5コマ(0コマ〜4コマ)を上限として設定されており、リール制御手段125は、リール3a〜3cに関する引き込み処理や蹴飛ばし処理において、ストップボタン12a〜12cの停止契機となる操作が行われた時点で表示窓4内に位置するコマから最大4コマ先の図柄を引き込むことができるようにリール3a〜3cを停止させる制御を行っている。
【0054】
図7に示すように、リール3a〜3cの外周面には、ボーナス図柄1「赤7」、ボーナス図柄2「白7」、スイカ図柄「WM」、ベル図柄「BL」、チェリー図柄「CH」、リプレイ図柄「RP」、ダミー図柄「DM」がそれぞれ配列表記されている。その中でもリプレイ図柄「RP」や、ベル図柄「BL」は、その間隔が5コマ以内となるように図柄が配列されており、それらの役が当選した場合には、ストップボタン12a〜12cの押下操作のタイミングや押下操作の順序等に関係なくリプレイ図柄「RP」や、ベル図柄「BL」を入賞判定ラインL1〜L5上に引き込むことができるようになっている。
【0055】
同じく、
図7に示す左リール3aにおける図柄の配列によれば、ボーナス図柄1「赤7」と、ボーナス図柄2「白7」とが、それぞれ5コマ以上離れて配列されている。このため、特殊小役1(
図8参照)が当選した遊技で、左リール3aにおいてボーナス図柄2「白7」を狙ってストップボタン12aを押下操作した場合、特殊小役1を入賞させることができず、特殊小役2(
図8参照)が当選した遊技で、左リール3aにおいてボーナス図柄1「赤7」を狙ってストップボタン12aを押下操作した場合、特殊小役2を入賞させることができないようになっている。すなわち、内部抽選で特殊小役に当選した場合に、リール制御手段125が、当選した特殊小役を構成する図柄(特殊小役1についてはボーナス図柄1「赤7」、特殊小役2についてはボーナス図柄2「白7」)を4コマ以内で入賞判定ラインL1〜L5上の停止位置に引き込むことができるタイミングでストップボタン12aに対して押下操作が行われた場合に限って、当選した特殊小役を入賞させることができるように左リール3aを停止させる引き込み処理を行っている。
【0056】
図8に示すように、本実施形態のスロットマシンSでは、各リール3a〜3cが停止した状態における入賞判定ラインL1〜L5上に表示された各図柄の組合せによって、第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、リプレイ、ベル、スイカ、チェリー、および特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)が設定されている。なお、
図8に示すチェリーの入賞形態を示す図柄組合せにおける「ANY」とは、リールの外周面に配列されたいずれの図柄でもよいこと示す。
【0057】
(入賞判定手段130)
入賞判定手段130は、リール3a〜3cの各図柄の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う手段である。
具体的には、入賞判定手段130は、メインメモリ190の入賞判定テーブル記憶手段194に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、リール3a〜3cの全てを停止した時点での入賞判定ラインL1〜L5上に表示されている図柄組合せが予め定められた役の入賞形態であるか否かを判定する。
【0058】
そして、入賞判定手段130の判定結果に基づいて、入賞時処理が実行される。入賞時処理は、例えば、リプレイが入賞した場合には後述するリプレイ処理手段135によってリプレイ処理が行われ、小役(ベル、スイカ、チェリー、特殊小役)が入賞した場合には払出制御手段140によってメダルの払出制御処理が行われ、ボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合には遊技状態移行制御手段145によって後述する遊技状態移行制御処理が行われる。
【0059】
(リプレイ処理手段135)
リプレイ処理手段135は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定する再遊技処理であるリプレイ処理を行う。すなわち、リプレイが入賞した場合には、前回の遊技と同じ枚数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を投入せずに自動的に投入状態となる自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ入賞判定ラインを設定した状態で次回の遊技の開始操作の待機状態となる。
【0060】
(払出制御手段140)
払出制御手段140は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに係る払出制御処理を行う手段である。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルをホッパーユニット320に対して払い出させる制御を行う。なお、複数種類の小役が同時に入賞した場合には、入賞した各役の配当に基づくメダルの払出数の合計をメダルの払出数として決定する。ただし、本実施形態のスロットマシンSでは、1遊技におけるメダルの払出数に上限が設けられており、具体的には14枚がメダルの払出数の上限とされている。また、払出制御手段140は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいてホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0061】
また、クレジットの設定状態がクレジット許可状態の場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、メインメモリ190のクレジット記憶領域に記憶されているクレジットされたメダル数に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。また、遊技の結果、ビッグボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合には、ビッグボーナスに対して配当が設定されていないため、ホッパーユニット320からの実際のメダルの払い出しは行われないが、形式的に0枚のメダルを払い出ししたとする処理(0枚処理)が行われる。リプレイが入賞した場合には、上述のようにリプレイ処理手段135により自動投入処理が行われるため、前回の遊技と同じ枚数分のメダルが自動的に投入状態となる。換言すると、前回の遊技で3枚のメダルを投入して遊技を行って、リプレイが入賞した場合は、形式的に3枚のメダルを払い出したとする処理が行われる。
【0062】
(遊技状態移行制御手段145)
遊技状態移行制御手段145は、所定の移行条件の成立に基づいて、内部抽選の態様が互いに異なる複数の遊技状態である、通常状態、ビッグボーナス内部状態(BB1内部状態、BB2内部状態)、及びビッグボーナス状態(BB1状態、BB2状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う手段である。遊技状態の移行条件は、単一の条件が定められてもよいし、複数の条件が定められてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0063】
(通常状態)
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当し、通常状態からはボーナス内部状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においては、ビッグボーナス(BB1、BB2)が当選した場合にはビッグボーナス内部状態へ移行可能であり、
図4に示すように、リプレイの当選確率が1/7.2に設定され、かつビッグボーナス(BB1、BB2)が抽選対象として設定されている上述の通常状態用の内部抽選テーブルを参照した内部抽選が行われる。
【0064】
(ビッグボーナス内部状態)
ビッグボーナス内部状態は、内部抽選でビッグボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態であって、
図5に示すようにリプレイの当選確率が1/4.2に設定されたビッグボーナス内部状態用の内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われ、内部抽選で当選したビッグボーナスが入賞するまで、内部抽選で当選したビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。内部抽選で当選したビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せ「赤7・赤7・赤7」または「白7・白7・白7」が入賞判定ラインL1〜L5上に表示されると、遊技状態移行制御手段145は、遊技状態をビッグボーナス内部状態からビッグボーナス状態へ移行させる制御を行う。
【0065】
(ビッグボーナス状態)
ビッグボーナス状態は、ビッグボーナス内部状態においてビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せ「赤7・赤7・赤7」または「白7・白7・白7」が入賞判定ラインL1〜L5上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。
図6に示すように、ビッグボーナス状態では、リプレイが内部抽選の対象から除外されたリプレイ無抽選状態に設定され、ビッグボーナスが内部抽選の対象から除外されるとともに、ベルの当選確率が通常状態も高く設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。すなわち、ビッグボーナス状態では、他の遊技状態よりも小役が頻繁に当選するようになっている点で、リプレイ無抽選状態であっても、通常状態やビッグボーナス内部状態よりも遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0066】
また、ビッグボーナス状態では、ビッグボーナス状態に係る遊技によって払い出されたメダルの合計数によりビッグボーナス状態の終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスに応じて予め定められた払出上限数を越えるメダルが払い出されると、遊技状態移行制御手段145は、ビッグボーナス状態を終了させて、遊技状態を有利遊技状態から通常状態へ移行させる制御を行う。払出上限数は、例えば、ビッグボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合には350枚というように設定される。
【0067】
(サブ制御状態判定手段150)
サブ制御状態判定手段150は、後述する演出状態がAT状態か否かを判断して、後述する信号出力手段155が出力する有利遊技信号の一つであるAT作動信号の出力開始契機、出力停止契機を判断する手段である。
具体的には、サブ制御状態判定手段150は、特殊小役の連続入賞回数が所定回数(例えば4回)に達したことを条件(AT状態への開始判定条件)として、AT状態が開始されたものと判断してAT作動信号の出力を決定するとともに、特殊小役の当選時における特殊小役の連続非入賞回数が所定回数(例えば2回)に達したことを条件(AT状態の終了判定条件)としてATが終了したものと判断してAT作動信号の出力停止を決定する。
【0068】
サブ制御状態判定手段150は、特殊小役の入賞回数をカウント(計数)するON条件カウンタと非入賞回数をカウント(計数)するOFF条件カウンタとからなるカウント手段(図示略)を設けている。ON条件カウンタは、AT作動信号をONにするためのカウンタであり、OFF条件カウンタは、AT作動信号をOFFにするためのカウンタであり、どちらも初期値は「0」である。そして、サブ制御状態判定手段150は、特殊小役が入賞した場合には、OFF条件カウンタをクリアし、AT作動信号が出力されていないことを条件にON条件カウンタをインクリメントする。また、特殊小役の当選時に特殊小役が入賞しなかった場合には、ON条件カウンタをクリアし、AT作動信号が出力されていることを条件にOFF条件カウンタをインクリメントする。すなわち、ON条件カウンタは、特殊小役が連続して入賞した回数をカウントするものであり、OFF条件カウンタは、特殊小役が連続して入賞しなかった回数をカウントするものである。
【0069】
さらに、サブ制御状態判定手段150は、ON条件カウンタのカウント値が「4」となった場合には、AT作動信号の出力を決定する。AT作動信号の出力が決定すると、後述する信号出力手段155がAT作動信号の出力状態をONにして信号の出力を開始する。また、OFF条件カウンタのカウント値が「2」となった場合には、AT作動信号の出力の停止を決定する。AT作動信号の出力停止が決定されると、信号出力手段155がAT作動信号の出力状態をOFFにしてAT作動信号の出力を停止する。
【0070】
ここで、サブ制御状態判定手段150は、特殊小役が入賞したか否かの判断を、入賞判定手段130の判定結果に基づいて行う。本実施形態のスロットマシンSでは、入賞判定手段130は、特殊小役1の図柄組合せである「赤7・BL・BL」が入賞判定ラインL1〜L5上に揃った場合に特殊小役1の入賞を判定し、また、特殊小役2の図柄組合せである「白7・BL・BL」が入賞判定ラインL1〜L5上に揃った場合に特殊小役2の入賞を判定する。
【0071】
(信号出力手段155)
信号出力手段155は、遊技状態移行制御手段145及びサブ制御状態判定手段150における所定の決定に基づいて、ビッグボーナスに係る情報を含むボーナス作動信号と、後述する演出状態おけるAT状態に係る情報を含むAT作動信号から構成される有利遊技作動信号をホールコンピュータへ向けて出力するため手段である。
具体的には、信号出力手段155は、ビッグボーナス(BB1、BB2)が入賞した場合(遊技状態移行制御手段145がビッグボーナス状態への移行を決定した場合)には、ボーナス作動信号(BB1、BB2作動信号)を出力し、ボーナスが終了した場合(遊技状態移行制御手段145がビッグボーナス状態の終了を決定した場合)には、ボーナス作動信号の出力を停止する。なお、信号出力手段155は、サブ制御状態判定手段150と同様、ビッグボーナス(BB1、BB2)に入賞したか否かの判断を、入賞判定手段130の判定結果に基づいて行う。
【0072】
また、信号出力手段155は、サブ制御状態判定手段150がAT作動信号の出力を決定した場合に、この出力を決定した遊技の終了後にAT作動信号を出力し、一方、サブ制御状態判定手段150がAT作動信号の出力の停止を決定した場合には、この出力の停止を決定した遊技の終了後にAT作動信号の出力を停止する。
【0073】
このように、信号出力手段155が有利状態作動信号を出力すると、その信号は集中端子板(図示略)を介して、遊技ホールに設置されたスロットマシンSの上方に備えられているデータ表示装置(図示省略)に入力される。そして、データ表示装置の表示器には、有利状態作動信号に基づく所定の表示が行われる。さらに、有利状態作動信号は、データ表示装置を介してホールコンピュータに出力される。
【0074】
(メイン遊技回数カウント手段160)
メイン遊技回数カウント手段160は、遊技状態が通常状態において後述する演出状態が通常演出状態(非AT状態)、換言すると、通常状態と通常演出状態とが重複して進行する遊技状態(第1遊技状態)における遊技回数(第1遊技回数、通常遊技回数)をカウント(計数)するための手段である。
具体的には、メイン遊技回数カウント手段160は、1遊技終了毎に、信号出力手段155がボーナス作動信号またはAT作動信号の出力の開始が決定したか否かを判定し、また出力しているか否かを判定する信号出力判定処理を行い、信号出力判定処理の結果、ボーナス作動信号またはAT作動信号の出力の開始が決定したと判定した場合は、メイン遊技回数記憶手段198に記憶されているメイン遊技回数カウント値(初期値「0」)をリセットする。
【0075】
また、メイン遊技回数カウント手段160は、信号出力判定処理の結果、ボーナス作動信号またはAT作動信号が出力していないと判定した場合は、メイン遊技回数記憶手段198に記憶するメイン遊技回数カウント値(メイン基板100で管理する遊技回数のカウント値)に「1」を加算するインクリメント処理を実行する。一方、ボーナス作動信号またはAT作動信号が出力していると判定した場合は、上述の何れの処理も実行しない。
このような処理を行うことにより、演出状態が通常演出状態における通常状態の遊技回数(通常遊技回数)をカウントすることができる。
【0076】
さらに、メイン遊技回数カウント手段160は、設定変更手段105により設定変更動作が実行されたことを契機に、その時点でメイン遊技回数記憶手段198に記憶されているメイン遊技回数カウント値を取得して当該メイン遊技回数カウント値に係るコマンド(カウンタコマンド)を生成し、後述する通信制御手段165により、生成されたカウンタコマンドをサブ基板500へ送信し 、続いて、設定変更手段105による設定変更後に実行されるメインメモリ初期化処理においてメイン遊技回数カウント値(初期値「0」)をリセットする。
【0077】
(通信制御手段165)
通信制御手段165は、複数種類の信号をサブ基板500へ送信する制御を行う手段である。
具体的には、通信制御手段165は、サブ基板500に対して、内部抽選手段120による内部抽選の結果に係る情報が含まれる内部抽選結果通知信号を送信することによって、内部抽選の結果をサブ基板500に対して通知する通信制御を行う。さらに、通信制御手段165は、サブ基板500に遊技状態移行制御手段145が管理する遊技状態等に係る情報が含まれる遊技状態通知信号を送信することによって、サブ基板500に対して現在の遊技状態を通知する通信制御をも行う。
【0078】
また、通信制御手段165は、設定変更手段105による設定変更が実行された場合には、サブ基板500により実行されるサブメモリ初期化処理後に、メイン遊技回数カウント手段160が生成したメイン遊技回数カウント値に係るコマンド信号(カウンタコマンド)をサブ基板500へ送信する。
【0079】
このように、本実施形態のスロットマシンSは、メイン基板100が送信する内部抽選結果通知信号や遊技状態通知信号等に基づいて、サブ基板500が内部抽選の結果や遊技状態等に応じた演出を演出表示部5やスピーカ6や演出ランプ7に実行させるようになっている。
本実施形態のスロットマシンSにおいては、メイン基板100とサブ基板500との間では、メイン基板100からサブ基板500への単方向通信のみが可能となっており、サブ基板500からメイン基板100への信号を送信できないように通信接続されている。
【0080】
[サブ基板500]
サブ基板500は、演出表示部5、スピーカ6、及び演出ランプ7の各演出を互いに関連付けて、あるいは単独で実行させることによって遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための制御を行う演出制御手段510と、演出に係るデータが格納されているサブメモリ550とを含んで構成されている。
【0081】
演出制御手段510は、演出状態フラグ設定手段512(演出状態移行手段)と、AT管理手段513、演出実行制御手段514と、サブ遊技回数カウント手段516と、天井遊技数決定手段(規定値決定手段)518とを含んで構成される。
また、サブメモリ550は、演出状態に係るフラグが設定される演出状態フラグ記憶手段552と、演出テーブルや天井抽選テーブル等を記憶している演出テーブル記憶手段554と、AT状態の遊技を管理するためのAT終了判定カウンタ553と、遊技回数を記憶するサブ遊技回数記憶手段556と、後述する天井値(規定値)を記憶する天井値記憶手段558とを含んで構成される。
【0082】
(演出状態フラグ設定手段512)
演出状態フラグ設定手段512(演出状態移行手段)は、遊技進行中における現状の演出状態が複数種類の演出状態のいずれであるかを示すための演出状態フラグを設定する処理を行い、演出状態を管理する手段である。
本実施形態のスロットマシンSでは、演出状態フラグの設定状態(演出状態)として、通常演出フラグが設定される通常演出状態、BB当選演出フラグが設定されるビッグボーナス当選演出状態(BB当選演出状態)、BB演出フラグが設定されるビッグボーナス演出状態(BB演出状態)、及びATフラグが設定されるアシストタイム(AT)状態が設けられており、これらの演出状態フラグの設定情報は、演出状態フラグ記憶手段552に格納される。また、演出テーブル記憶手段554には、演出状態に応じた演出を実行するための演出データから構築されている複数種類の演出テーブルが格納されている。
【0083】
演出状態フラグ設定手段512は、遊技情報通知信号や後述するAT管理手段513によるAT抽選の結果等に基づいて、上述の複数のフラグから1のフラグを設定し、当該フラグの設定に基づいて演出状態の移行を管理する。本実施形態のスロットマシンSにおいては、遊技状態が通常状態である場合、初期フラグである通常演出フラグまたはATフラグのいずれかに設定可能となっており、設定したフラグに基づいて、演出状態を通常演出状態またはAT状態のいずれかに移行する。また、BB1内部状態あるいはBB2内部状態である場合には、BB当選演出フラグを設定してBB当選演出状態へ移行し、同じくBB1状態あるいはBB2状態である場合には、BB演出フラグを設定してBB演出状態へ移行するようになっている。
【0084】
具体的には、通常演出状態は、複数の演出状態の中で初期演出状態に設定されており、BB演出状態またはAT状態のいずれかの演出状態から移行可能であって、BB演出状態に対応するBB状態の終了、または後述するAT管理手段513によるAT終了判定を契機として移行可能となっている。その際、演出状態フラグ設定手段512は直前の演出状態に対応する演出フラグをクリアして、通常演出フラグをセット(設定)する。
【0085】
BB当選演出状態は、通常演出状態、またはAT状態から移行可能であって、通常状態等からBB内部状態へ移行したことを契機として移行可能となっている。その際、演出状態フラグ設定手段512は直前の演出状態に対応する演出フラグをクリアして、BB当選演出フラグをセットする。
【0086】
BB演出状態は、BB当選演出状態から移行可能であって、BB内部状態からBB状態へ移行したことを契機として移行可能となっている。その際、演出状態フラグ設定手段512はBB当選演出フラグをクリアして、BB演出フラグをセットする。
【0087】
AT状態は、通常演出状態から移行可能であって、後述するAT管理手段513によるAT抽選の当選を契機として移行可能となっている。その際、演出状態フラグ設定手段512は直前の演出状態に対応する演出フラグをクリアして、ATフラグをセットする。
【0088】
また、演出状態フラグ設定手段512は、設定変更手段105による設定変更が実行された場合には、サブ基板500によるサブメモリ初期化処理に伴って、演出状態フラグ記憶手段552に記憶されている演出状態フラグをクリアして初期フラグとして通常演出フラグをセットする(通常演出状態に変更するともいう)。すなわち、演出状態フラグ設定手段512は、設定変更動作時において演出状態が、BB当選演出状態、BB演出状態、AT状態であっても、それらに係るフラグを一旦クリアして通常演出フラグをリセットする。
【0089】
(AT管理手段513)
AT状態(第2遊技状態)への移行は抽選に基づいて行われ、当該抽選の契機は、所定の小役の当選によるものと、所定状態における遊技回数が後述する天井値(規定値)に相当する遊技回数に達したことによる場合とが設定され、AT管理手段513は、それぞれの移行契機に係る管理等を行う。
【0090】
(AT抽選)
AT管理手段513は、スイカまたはチェリーの当選を契機として、AT状態への移行に係る抽選(第1AT抽選)を行う。具体的には、第1AT抽選では、スイカまたはチェリーの当選を契機として、例えば、0〜32767までの32768の整数値からなるAT抽選用乱数値のいずれかを取得して、取得した乱数値を演出テーブル記憶手段554に記憶されている第1AT抽選テーブルと比較して、比較結果に応じてAT抽選に当選したか否かを判定する。第1AT抽選テーブルでは、例えば、AT抽選用乱数値のそれぞれに対して、「通常当選」、「特別当選」、または「はずれ」のいずれかが対応付けられており、AT抽選の結果、当選(通常当選、または特別当選)した場合は、演出状態フラグ記憶手段552にATフラグを設定し、次の遊技から演出状態においてAT状態を開始させる制御を行う。
本実施形態のスロットマシンSは、第1AT抽選において、「通常当選」の確率は25%、「特別当選」の確率は5%、「はずれ」の確率は70%となるように設定されている。
【0091】
また、AT管理手段513は、後述するサブ遊技回数カウント手段516がカウントしサブ遊技回数記憶手段556に記憶されたカウント値が天井値に相当する値(例えば「1000」)に達したか否かを判定して、当該カウント値が天井値に相当する値に達したと判断したことを契機として、AT抽選用乱数値のいずれかを取得し、取得した乱数値を演出テーブル記憶手段554に記憶されている第2AT抽選テーブルと比較し、比較結果に応じて1つの当選態様を判定する第2AT抽選を行う。第2AT抽選テーブルでは、例えば、AT抽選用乱数値のそれぞれに対して、はずれが除外され、「通常当選」、「特別当選」のいずれかが対応付けられている。
ここで、「天井値(規定値)」とは、サブメモリ550に設けられる天井値記憶手段558に記憶される値(閾値)であって、遊技回数に相当するサブ遊技回数記憶手段556に記憶されたカウント値が所定の天井値に達することによって、AT状態へ移行する契機となる値である。また、「天井値」には、初期値であって、予め定められた「最大天井値(予め定められた規定値)」と、後述する天井遊技数決定手段518による抽選結果に基づいて決定される「抽選天井値」が設定される。
本実施形態のスロットマシンSは、第2AT抽選において、「通常当選」の確率は20%、「特別当選」の確率は80%となるように設定されている。すなわち、第2AT抽選は必ず当選するようになっている。
【0092】
AT抽選(第1AT抽選、第2AT抽選)の結果いずれかの当選態様で当選した場合は、演出状態フラグ設定手段512は、演出状態フラグ記憶手段552にATフラグを設定し、次の遊技からAT状態(第1AT状態、第2AT状態)を開始させる制御を行う。
【0093】
(加算値設定処理)
AT管理手段513は、AT抽選に当選したことに基づいて、AT終了判定カウンタ553のカウント値に所定の加算値を設定する処理を行う。本実施形態のスロットマシンSでは、AT抽選の結果が「通常当選」、あるいは「特別当選」である場合において設定される加算値が異なるように設定されている。AT抽選の結果が「はずれ」の場合は加算値を設定する処理は行わない。
【0094】
具体的には、AT抽選の結果が「通常当選」である場合には、AT終了判定カウンタ553に、50回分の遊技に相当するカウント値として「50」が設定され、同じく「特別当選」である場合には、AT終了判定カウンタ553に、300回分の遊技に相当するカウント値として「300」が設定される。なお、加算値は、上記の例に限らず任意に設定することができ、また、AT状態の遊技において小役等(チェリー、スイカ等)が当選した場合等に、AT終了判定カウンタ553のカウント値に加算値(例えば、「10」、「20」、「30」、「50」、「100」)を加算するための加算抽選を行い、当選した加算値をカウント値に上乗せするようにしてもよい。
【0095】
(AT終了判定)
AT管理手段513は、AT状態において1遊技毎にAT終了判定カウンタ553のカウント値から1回分の遊技回数に相当する値(例えば、「1」)を減算するデクリメント処理を行う。この、AT終了判定カウンタ553のカウント値のデクリメント処理は、AT抽選に当選した遊技の次回の遊技から開始される。そしてAT終了判定カウンタ553のカウント値が例えば、「0」に達したことに基づいて、AT管理手段513は、AT状態の終了条件が成立したものと判断するAT終了判定を行う。
【0096】
(演出実行制御手段514)
演出実行制御手段514は、サブメモリ550の演出テーブル記憶手段554の演出テーブルに記憶されている演出データに基づいて、演出表示部5により行う表示演出、スピーカ6を介して行う音響演出、または演出ランプ7を介して行う照明演出に係る制御を行う手段である。
具体的には、演出実行制御手段514は、メダル投入口9へのメダル投入、ベットボタン10、スタートレバー11、ストップボタン12a〜12cの操作、役の当選時の予告、役の入賞時の払い出しに合わせて、遊技状態に応じて、各種演出を行う制御を実行することによって遊技を演出して、遊技を盛り上げたりする。
【0097】
(BB当選演出状態、BB演出状態における演出制御)
演出実行制御手段514は、演出状態がBB当選演出状態の場合、通常演出状態とは異なる特別な演出態様で継続的にボーナスの当選を告知し、BB演出状態の場合、通常演出状態とは異なる特別な演出態様で小役の当選を告知する演出を実行する制御を行う。
【0098】
(AT状態における演出制御)
演出実行制御手段514は、演出状態がAT状態の場合、内部抽選で特殊小役が当選したときの遊技において、特殊小役の入賞を報知(補助)する特殊演出制御を実行する。具体的には、演出実行制御手段514は、演出状態フラグの設定状態がAT状態であるか否かを判定し、演出状態フラグの設定状態がAT状態であることを条件に、内部抽選で当選した特殊小役の種類を報知する演出画像を演出表示部5に表示させる制御を行う。
【0099】
例えば、内部抽選で特殊小役1が当選した遊技では、
図9に示すように、特殊演出として、特殊小役1の入賞態様を示す図柄組合せ「赤7・BL・BL」を遊技者に報知する演出画像や、リール3aに赤7を狙う旨を報知する演出画像が演出表示部5の表示領域に表示される。一方、内部抽選で特殊小役2が当選した遊技では、
図10に示すように、特殊小役2の入賞態様を示す図柄組合せ「白7・BL・BL」を遊技者に報知する演出画像や、リール3aに白7を狙う旨を報知する演出画像が演出表示部5の表示領域に表示される。なお、特殊演出としては、演出ランプ7を作動させて当選した特殊小役の種類に対応するランプやLED(例えば、赤色または白色)を点灯させたり、スピーカ6から当選した特殊小役の種類に対応する音声を出力させたりするようにしてもよい。
【0100】
このように、本実施形態のスロットマシンSは、演出状態がAT状態である遊技において、特殊小役が当選した場合には当選した特殊小役の種類を遊技者に報知する特殊演出を行うことによって、演出状態フラグの設定状態が通常演出状態である場合よりもAT状態である場合の方がメダルを獲得しやすい遊技状態となる。なお、演出状態(演出状態フラグの設定状態)がAT状態である遊技区間は、遊技者に有利な遊技状態(演出状態)として設定される。このように、AT管理手段513が管理する演出状態の1つであるAT状態(第2遊技状態)を、サブ基板500が管理する1つの遊技状態として扱ってもよい。
【0101】
(サブ遊技回数カウント手段516)
サブ遊技回数カウント手段516は、所定条件の下で遊技回数をカウント(計数)する手段である。
具体的には、サブ遊技回数カウント手段516は、ビッグボーナス(BB1、BB2)の終了に係る遊技状態通知信号の受信をした場合やAT状態が終了してATフラグがクリアされたことに基づいて、サブ遊技回数カウント値(初期値「0」)をリセットするとともに、天井値記憶手段558に記憶された天井値を初期化して、最大天井値、例えば「1000」(遊技回数に換算すると1000遊技回数分に相当)をリセットする。また、サブ遊技回数カウント手段516は、設定変更手段105による設定変更動作が実行された場合には、サブ基板500によるサブメモリ初期化処理に応じて、サブ遊技回数カウント値をリセットするとともに、天井値記憶手段558に記憶された天井値を一旦クリアして、抽選天井値をセットする。
【0102】
また、サブ遊技回数カウント手段516は、演出状態が通常演出状態であることを条件として、遊技状態が通常状態であるという情報が含まれる遊技情報通知信号を受信したことに基づいて、サブ遊技回数カウント値に対して「1」を加算するインクリメント処理を行う。換言すると、遊技状態が通常状態でかつ、演出状態が通常演出状態(第1遊技状態)における遊技回数(第1遊技回数)を計数する。
すなわち、サブ遊技回数カウント手段516によるインクリメント処理とメイン遊技回数カウント手段160によるインクリメント処理とは、同期してカウントするようになっている。
【0103】
そして、サブ遊技回数カウント値が天井値に達したことに基づいて、演出状態フラグ設定手段512は、演出状態フラグにATフラグを変更して演出状態をAT状態とする制御を行う。
例えば、天井値が「1000」にセットされた場合、1遊技毎にサブ遊技回数カウント手段516のインクリメント処理が行われ、サブ遊技回数カウント値が「1」、「2」、「3」・・・と増加して、サブ遊技回数カウント値が「1000」に達して天井値に応じた遊技回数を消化したことに基づいて、AT管理手段513は第2AT抽選を実行する。
換言すると、天井値は、AT管理手段513が第2AT抽選を実行するタイミングの基準となる値である。
【0104】
上述のように、演出状態が通常演出状態において、他の遊技状態(ビッグボーナス等の有利遊技状態)に移行することなく遊技が天井値(最大天井値、抽選天井値)に達することによって、AT管理手段513により第2AT抽選が実行され演出状態フラグの設定状態がAT状態(天井AT状態という)にセットされる。これによって、ビッグボーナス(BB1あるいはBB2)状態やAT状態へ移行しない遊技状態が長期間にわたることによる遊技者の遊技意欲の減退を防ぐ効果が期待でき、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
【0105】
(天井遊技数決定手段518)
天井遊技数決定手段(規定値決定手段)518は、設定変更後の遊技において設定される天井値である抽選天井値を抽選(以下、天井遊技数抽選という)によって決定する手段である。
具体的には、天井遊技数決定手段518は、設定変更後、メイン基板100の通信制御手段165から送信されるメイン遊技回数カウント値に係るコマンド信号に基づいて、演出テーブル記憶手段554に格納された天井抽選テーブルA〜Gの中からメイン遊技回数カウント値に対応する1の天井抽選テーブルを選択する。そして、天井遊技数決定手段518は、選択された天井抽選テーブルを参照して抽選天井値(抽選値)を決定する天井遊技数抽選を行う。
サブ遊技回数カウント手段516は、天井遊技数抽選の結果に基づいて後述のように決定される抽選天井値を天井値としてセット(設定)する。
【0106】
天井遊技数決定手段518による天井抽選テーブルの選択についての具体的な態様は以下の通りである。
図11に示すように、設定変更前(時)におけるメイン遊技数カウント値が「0〜100」の場合には、サブ遊技回数カウント値に係る抽選対象(抽選値)として「1〜900」が設定された天井抽選テーブルAが選択され、メイン遊技数カウント値が「101〜300」の場合には、抽選値として「1〜700」が設定された天井抽選テーブルBが選択され、メイン遊技数カウント値が「301〜500」の場合には、抽選値として「1〜500」が設定された天井抽選テーブルCが選択され、メイン遊技数カウント値が「501〜700」の場合には、抽選値として「1〜300」が設定された天井抽選テーブルDが選択され、メイン遊技数カウント値が「701〜900」の場合には、抽選値として「1〜100」が設定された天井抽選テーブルEが選択され、メイン遊技数カウント値が「901〜950」の場合には、抽選値として「1〜50」に設定された天井抽選テーブルFが選択され、メイン遊技数カウント値が「951〜999」の場合には、抽選値として「1」が設定された天井抽選テーブルGが選択される。なお、天井抽選テーブルA〜Gの抽選値のそれぞれの上限値は、当該上限値にメイン遊技カウント値の上限値を加算した値が最大天井値(例えば「1000」)を超過しない値に設定される。
【0107】
例えば、設定変更前(時)の通常状態における遊技回数が60回、すなわちメイン遊技数カウント値が「60」の場合には、天井遊技数決定手段518により天井抽選テーブルAが選択され、1〜900の範囲内で抽選が行われ抽選天井値が決定される。
また、設定変更前(時)の通常状態における遊技回数が900回、すなわちメイン遊技数カウント値が「900」の場合には、天井遊技数決定手段518により天井抽選テーブルEが選択され、1〜100の範囲内で抽選が行われ抽選天井値が決定される。
【0108】
これにより、サブ基板500によるサブメモリ初期化処理に応じて、サブ遊技回数カウント値が初期化され、天井値が初期化されたとしても、設定変更前の通常遊技回数を参照して設定変更後の天井値を抽選天井値として再設定することによって、設定変更後の天井値を最適な値とすることができる。
【0109】
具体的には、天井遊技数決定手段518により選択される天井抽選テーブルは、抽選天井値が最大天井値を超過することはないように、メイン遊技数カウント値である設定変更前の通常遊技回数に基づいて選択され、設定変更後の天井値は、最大天井値(例えば「1000」)より小さく設定されるため、設定変更後に遊技を行う遊技者に対して不利となる天井値を付与することはない。
【0110】
また、最大天井値(例えば「1000」)に達するよりも少ない遊技回数で天井値に達して、AT状態へ移行するため、遊技者は、第1AT抽選の当選によりAT状態へ移行したのか、第2AT抽選の当選によりAT状態へ移行したのかを判断することができず、その結果、設定変更の判別をすることができない。
【0111】
一方、設定変更が実行されていないスロットマシンSにあっては、設定維持前のサブ遊技回数カウント値を維持するため、例えば維持されたサブ遊技回数カウント値が「900」であれば、ボーナス状態や第1AT状態に移行することなく通常演出状態かつ通常状態で100回遊技を消化することにより第2AT状態(天井AT状態)へ移行する。
【0112】
図12に示すように、各天井抽選テーブルA〜Gにおいて、抽選対象となる天井AT状態への移行契機となる遊技回数は、「1」、「2〜50」、「51〜100」、「101〜300」、「301〜500」、「501〜700」、「701〜900」というような所定の遊技区間(ゾーン)で管理されており、各遊技区間に対して抽選確率が付与されている。
【0113】
すなわち、天井抽選テーブルAでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は0.25%、同じく「2〜50」が選択される確率は0.75%、同じく「51〜100」が選択される確率は1%、同じく「101〜300」が選択される確率は3%、同じく「301〜500」が選択される確率は10%、同じく「501〜700」が選択される確率は15%、同じく「701〜900」が選択される確率は70%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルBでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は0.3%、同じく「2〜50」が選択される確率は1.7%、同じく「51〜100」が選択される確率は3%、同じく「101〜300」が選択される確率は10%、同じく「301〜500」が選択される確率は15%、同じく「501〜700」が選択される確率は70%、同じく「701〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルCでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は0.5%、同じく「2〜50」が選択される確率は2.5%、同じく「51〜100」が選択される確率は7%、同じく「101〜300」が選択される確率は10%、同じく「301〜500」が選択される確率は80%、同じく「501〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルDでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は0.55%、同じく「2〜50」が選択される確率は4.45%、同じく「51〜100」が選択される確率は15%、同じく「101〜300」が選択される確率は80%、同じく「301〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルEでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は0.6%、同じく「2〜50」が選択される確率は9.4%、同じく「51〜100」が選択される確率は90%、同じく「101〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルFでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は2%、同じく「2〜50」が選択される確率は98%、同じく「51〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。天井抽選テーブルGでは、抽選天井値として「1」が選択される確率は100%、同じく「2〜900」が選択される確率は0%にそれぞれ設定されている。
このように、各天井抽選テーブルA〜Fは、所定の遊技区間(ゾーン)を細分化させて、各区間が選択される確率についても管理されている。また、各天井抽選テーブルA〜Dにおいて選択されうる上限値を含む範囲(例えば、天井抽選テーブルAでは「701〜900」)が相対的に選択されやすくなっている。
【0114】
なお、本実施形態のスロットマシンSの機能は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)によって仮想的に実現することが可能である。これらのシステムでは、メイン基板100やサブ基板500としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体またはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等に相当する入力手段は、キーボードやボインティングデバイス(マウス等)、またはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニット320などは必須の構成要件ではなく、これらに代わって、演出表示装置に表示出力される画像の制御によってこれらの機能を仮想的に実現できる。
【0115】
[スロットマシンSの処理フロー]
図13に示すように、設定変更時にサブ基板500に送信する情報として、以下のようなフローで通常状態における遊技期間の通常遊技回数に係る情報を記憶する。
メイン基板100のメイン遊技回数カウント手段160は、1遊技の終了後に(S100でYES)、信号出力判定処理を行い(S110)、有利遊技に当選(移行が決定)して、有利遊技作動信号であるAT作動信号又はボーナス作動信号の出力の開始が決定したと判断した場合は(S120でYES)、メイン遊技回数カウント値をクリアする処理を行う(S130)。一方、有利遊技作動信号の出力の開始が未決定であると判断し(S120でNO)、さらに、有利遊技作動信号が出力中でないと判断した場合は(S140でNO)、メイン遊技回数カウント値に対してインクリメント処理を行う(S150)。一方、有利遊技作動信号が出力中であると判断した場合は(S140でYES)、何れの処理も行わず、処理を終了する。
なお、信号出力手段155は、メイン遊技回数カウント手段160によるステップS130におけるメイン遊技回数カウント値をクリアする処理後に有利遊技作動信号を出力する。
【0116】
次に、本実施形態のスロットマシンSにおける設定変更の際のフローについて説明する。
図14に示すように、遊技ホールの営業時間終了後、メイン基板100の設定変更手段105は、操作者(例えば、設定キーを所持している遊技ホールの関係者)により電源ユニット50の解除キーシリンダ53に設定キーが挿入されて所定の方向へ回されると、設定変更有効状態に制御する(S200でYES)。そして、設定変更スイッチ52Sの操作によって設定値が選択され、スタートレバー11の押下操作によりスタートスイッチ230が作動すると設定値(設定変更)が確定する(S210でYES)。メイン遊技回数カウント手段160は、設定値の確定に基づいて、その時点においてメイン遊技回数記憶手段198に記憶されているメイン遊技回数カウント値を取得して当該メイン遊技回数カウント値に係るコマンド(カウンタコマンド)を生成する(S220)。設定変更手段105による初期化コマンド処理により、サブ基板500は、サブメモリの一時記憶領域の初期化(サブメモリ初期化処理)を実行し(S230)、その後、通信制御手段165は生成されたカウンタコマンド信号をサブ基板500へ送信し(S240)、設定変更手段105は、メインメモリの一時記憶領域の初期化(メインメモリ初期化処理)を実行する(S250)。これにより、メインメモリ初期化処理によって、メイン遊技回数カウント値やカウンタコマンド等が削除されることなく、確実にカウンタコマンドをサブ基板へ送信することができる。
なお、設定変更が実行されなければ(S200でNO)、いずれの処理も行われず、サブメモリ等の一時記憶領域の初期化もないため、サブ遊技回数カウント値が維持される。
【0117】
次に、
図15に示すように、サブ基板500の天井遊技数決定手段518は、メイン基板100から送信されたカウンタコマンド信号を受信すると(S300)、当該カウンタコマンドに基づいて天井遊技数抽選を行う(S310)。サブ遊技回数カウント手段516は、天井遊技数抽選の結果決定した抽選天井値を天井値記憶手段558にセットする(記憶する)(S320)。これらの処理は、サブメモリ初期化処理後に行われるため、セットされた抽選天井値が初期化されることはない。
【0118】
そして遊技ホールの開店後、設定変更されたスロットマシンSが遊技者により遊技が行われ、サブ遊技回数記憶手段556に記憶された抽選天井値に相当する遊技回数がボーナスやAT遊技等の当選がなく消化された場合には、演出状態フラグの設定状態が天井AT状態にセットされる。
【0119】
上記のような遊技に係る設定フローとすると、カウンタコマンドに基づいて、抽選天井値を決定する抽選が行われ、設定変更前の通常遊技回数に基づいて抽選天井値が決定される。
【0120】
また、設定変更が実行された場合には、天井遊技数決定手段518は、メイン遊技回数カウント値が、例えば900であれば、天井抽選テーブルE(
図11参照)を選択して、天井抽選テーブルEに記憶された抽選値の範囲(1〜100)から抽選を行う。その結果、天井抽選テーブルEに基づいた抽選結果が、例えば抽選値「90」であれば、設定変更後の遊技において、通常遊技回数が90回連続して行われると、その時点で天井AT状態に移行することとなる。このようになると、通常遊技回数が最大天井値に達する前に、内部抽選による抽選によって抽選AT状態へ移行したのか、それとも通常遊技回数が抽選天井値に達して天井AT状態へ移行したのか判断できない。よって、遊技者は、スロットマシンSの設定変更の有無を判断することは実質的に不可能である。
【0121】
また、遊技者は、設定変更後であっても、設定変更前の遊技回数(カウンタコマンド)を参照して、比較的少ない遊技回数で天井値に達する遊技機を選択することができるため、遊技を行う動機付けとなり遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
【0122】
また、設定変更が実行されていなければ、メインメモリ及びサブメモリの一時記憶領域の初期化はされず、サブ遊技数カウント値に係る情報は維持されるため、最大天井値として「1000」が設定されたスロットマシンSにおいては、例えば、設定維持前の通常遊技期間の遊技が900回消化した場合には、設定維持後には設定維持前の「サブ遊技回数カウント値(100)」に相当する100回の通常遊技回数を消化することにより天井ATに達する。
【0123】
以上、本実施形態のスロットマシンSについて説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態のスロットマシンSに対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。また、下記変形例におけるそれぞれの構成要件及び遊技上の条件等と本実施形態のスロットマシンSにおける構成要件等とを組み合わせることは適宜可能である。
また、変形例で説明する構成要件以外は、上記の実施例の構成要件と同様のものを採用する。
【0124】
(変形例1)
メイン基板100及びサブ基板500を単一の制御手段として設けるようにする。その場合、当該制御手段は、メイン基板100及びサブ基板500の一部または全ての構成を備えるようにしてもよく、またメイン基板100及びサブ基板500の機能の一部または全てを実装するようにしてもよい。
【0125】
(変形例2)
特殊小役(特殊小役1、特殊小役2)の代わりに、内部抽選テーブルに、押し順役として、複数のベル役と当該ベル役よりも払出数の少ない所定役が設定されている「押し順役」の当選領域を設ける。
この押し順役の当選領域に当選した際、予め正解の押し順として設定された順序でストップボタン12a〜12cの停止操作が行われた(押し順が正解した)場合にはベル役が入賞し、予め正解の押し順として設定された順序でストップボタン12a〜12cの停止操作が行われなかった(押し順が不正解だった)場合には所定役が入賞するように設定する。
したがって、押し順役の当選領域に当選した際、正解した場合と不正解の場合には、払出し枚数に差が生じる。
【0126】
この場合、演出実行制御手段514は、演出状態がAT状態の遊技において、内部抽選で押し順役の当選領域に当選した場合、特殊演出として、押し順役(例えば押し順ベル)を成立(入賞)させるために、予め正解の押し順として設定されたストップボタン12a〜12cの停止操作の順序を遊技者に報知する演出画像を演出表示部5の表示領域に表示させる制御を行う。また、特殊演出としては、前扉2の表示窓4の下方にリール3a〜3cに対応して設けられた補助ランプ(図示略)を、リール3a〜3cを停止すべき順に、遊技者のストップボタン12a〜12cの押下操作に合わせて点灯させたり、スピーカ6からストップボタン12a〜12cの押し順を告知する音声(「右を押せ」、「中を押せ」、「左を押せ」等)を出力させたりするようにしてもよい。
【0127】
このAT状態における特殊演出(押し順告知)により、遊技者は図柄を意識せず(図柄の目押しをせず)に演出に従ってストップボタン12a〜12cを押下操作するだけで、通常演出状態と比較して多くのメダルを獲得することができる。
【0128】
また、サブ制御状態判定手段150は、押し順役の当選領域に当選した遊技間において押し順が連続して正解し、入賞判定ラインに押し順役に対応する図柄組み合わせが表示される回数(例えば4回)に基づいて、AT状態への開始判定条件が成立したと判断し、一方、押し順役の当選領域に当選した遊技間において押し順が連続して不正解となって所定の入賞判定ラインに所定役が表示される回数(例えば2回)に基づいてAT状態の終了判定条件が成立したと判断する。
【0129】
(変形例3)
サブ遊技回数記憶手段556は、インクリメント処理の代わりにデクリメント処理を行うことによって通常演出状態に係る連続遊技回数をカウント(計数)するようにしてもよい。具体的には、サブ遊技回数記憶手段556が、サブ遊技回数記憶手段556に記憶されているサブ遊技回数カウント値(サブ基板500で管理する遊技回数のカウント情報)から「1」を減算するデクリメント処理を行う。これにより、サブ遊技回数カウント手段516は、天井値(抽選天井値または最大天井値)に達するまでの残り遊技数をカウント(計数)する。
【0130】
例えば、天井値として「n」にセットされた場合には、サブ遊技回数カウント値がデクリメント処理により「n−1」、「n−2」、「n−3」・・・と減少して、カウント値が「n−n=0」達したことに基づいて、演出状態フラグの設定状態をAT状態に変更する。換言すると、天井値(抽選天井値または最大天井値)が設定された時点から、天井値(抽選天井値または最大天井値)に相当する遊技回数に達した時点で演出状態フラグはAT状態がセットされる。
【0131】
(変形例4)
天井遊技数決定手段518は、天井遊技数抽選を行わず、設定変更後、メイン基板100の通信制御手段165から送信されるメイン遊技回数カウント値に係るコマンド信号に基づいて、メイン遊技回数カウント値に対応した選択値に係る情報を格納した図示略の選択天井値テーブルを参照して選択天井値(規定値)を決定する。
具体的には、選択天井値テーブルには、「最大天井値−設定変更前のメイン遊技数カウント値」として設定された選択値が格納されており、例えば、最大天井値が、例えば「1000」に設定され、設定変更前(時)の通常状態における遊技回数が600回、すなわちメイン遊技数カウント値が「600」の場合には、天井遊技数決定手段518は、選択天井値テーブルに格納された選択値(最大天井値「1000」−メイン遊技数カウント値「600」)である「400」を選択天井値として決定する。
【0132】
(変形例5)
サブ遊技回数カウント手段516によるサブ遊技回数カウント値を初期値にリセットする契機は、演出状態フラグ設定手段512が、演出状態フラグ記憶手段552に記憶されているBB演出状態、またはAT状態フラグをクリアするタイミングとする。
【0133】
(変形例6)
第1AT抽選の結果、当選したAT状態よりも、第2AT抽選の結果、当選した第2AT状態(天井AT状態)を遊技者にとって有利な遊技状態(演出状態)とする。例えば、「特別当選」の当選確率や、加算抽選の当選確率や、AT状態の継続率等のいずれか、またはそれらの組み合わせを優遇してもよい。
【0134】
(変形例7)
通常遊技期間における通常遊技回数が抽選天井値に達した場合、第2遊技状態としてAT状態へ移行する代わりに、いわゆるボーナスゲーム、RT(リプレイタイム)、ART(アシストリプレイタイム)、CZ(チャンスゾーン:チャンスゾーンに係る遊技期間は、特別な遊技状態として、1遊技毎にAT状態への移行抽選を実行する)のうち、いずれか1つの遊技状態へ移行する。すなわち、抽選天井値に達した際の遊技状態(演出状態)はAT状態に限定されるものではなく、例えば、通常状態(第1遊技状態)よりも遊技者にとって有利な状態であればよい。