(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るX線検査装置について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一の実施形態の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
(1)X線検査装置の概略説明
図1は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置10の外観を示す斜視図である。また、
図2に、X線検査装置10が組み込まれる検査ライン(X線検査システム)100の例を示す。検査ライン100では、食品等の製品Pの検査が行われる。検査ライン100において、製品Pは、前段コンベア60によってX線検査装置10まで運ばれてくる。
【0012】
X線検査装置10は、連続的に搬送されてくる製品Pに対してX線を照射することにより製品Pの良否判断を行う。具体的に、X線検査装置10は、検査対象となる製品(対象製品)Pに含まれる物品Gの個数判定(個数検査)を行う。個数検査の結果に基づき、製品Pを良品または不良品に分類する。X線検査装置10における個数検査の結果は、X線検査装置10の下流側に配置されている振り分け機構70(
図2ではアーム式を示している)に送られる。振り分け機構70は、X線検査装置10において良品と判断された製品Pを、良品(正常品)を排出するラインコンベアユニット80へと送り、X線検査装置10において不良品と判断された製品Pを、不良品排出方向90,91に振分ける。
【0013】
本実施形態において検査対象となる製品Pは、複数の物品Gと、包装材m1と、仕切り材m2とからなる(
図3参照)。物品Gは、所定の形状を有する。例えば、物品Gは、チョコレートやクッキー等の菓子である。包装材m1は、複数の物品Gを包装する。仕切り材m2は、包装材m1内で複数の物品Gを仕切る仕切トレーである。具体的に、仕切り材m2は、縦方向に延びて複数の物品Gを仕切る部分と、横方向に延びて複数の物品Gを仕切る部分とを有する。複数の物品Gは、仕切り材m2によって、包装材m1の内部で縦方向および横方向に並べられている。仕切り材m2は、横方向に延びる仕切り部分の高さが、縦方向に延びる仕切り部分の高さよりも低い。ものとする。
【0014】
(2)X線検査装置の詳細説明
図1、
図3、および
図5のいずれかに示すように、X線検査装置10は、主として、シールドボックス11と、コンベアユニット12と、X線照射器(X線照射部)13と、X線ラインセンサ(X線検出部)14と、タッチパネル機能付きのモニタ30と、制御装置(検査制御部)20とから構成されている。
【0015】
(2−1)シールドボックス
シールドボックス11は、X線検査装置10のケーシングである。シールドボックス11は、
図1に示すように、両側面に、製品Pを搬出入するための開口11aを有する。開口11aは、製品Pをシールドボックス11の内部に搬入させるため、および、シールドボックス11の外部に搬出させるために用いられる。開口11aは、遮蔽ノレン19により塞がれている。遮蔽ノレン19は、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を抑える。遮蔽ノレン19は、鉛を含むゴムから成形される。遮蔽ノレン19は、製品Pが搬出入されるときに製品Pによって押しのけられる。
【0016】
シールドボックス11の中に、コンベアユニット12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、および制御装置20などが収容される。また、シールドボックス11の正面上部には、モニタ30の他、キーの差し込み口や電源スイッチが配置されている。
【0017】
(2−2)コンベアユニット
コンベアユニット12は、シールドボックス11内で製品Pを搬送する。コンベアユニット12は、
図1に示すように、シールドボックス11の両側面に形成された開口11aを貫通するように配置されている。
【0018】
コンベアユニット12は、
図3または
図5に示すように、主として、無端状のベルト12dと、コンベアローラ12c、コンベアモータ12aとから構成されている。コンベアローラ12cは、コンベアモータ12aによって駆動される。コンベアローラ12cの駆動により、ベルト12dが回転され、ベルト12d上の製品Pが下流に搬送される。
【0019】
コンベアユニット12による製品Pの搬送速度は、オペレータによって入力された設定速度に応じて変動する。制御装置20は、設定速度に基づいてコンベアモータ12aをインバータ制御し、製品Pの搬送速度を細かく制御する。また、コンベアモータ12aには、コンベアユニット12による搬送速度を検出して制御装置20に送るエンコーダ12b(
図5参照)が装着されている。
【0020】
(2−3)X線照射器
X線照射器13は、
図3に示すように、コンベアユニット12の上方に配置されている。X線照射器13は、製品Pの下方に位置するX線ラインセンサ14に向けて扇状のX線(放射光)を照射する。具体的に、照射範囲Xは、
図3に示すように、コンベアユニット12の搬送面に対して垂直に延びる。また、照射範囲Xは、コンベアユニット12の搬送方向に対して交差する方向に広がる。すなわち、X線照射器13から照射されるX線は、ベルト12dの幅方向に広がる。
【0021】
(2−4)X線ラインセンサ
X線ラインセンサ14は、製品Pやコンベアユニット12を透過してくるX線を検出する。X線ラインセンサ14は、
図3に示すように、コンベアユニット12の下方に配置されている。X線ラインセンサ14は、主として、多数のX線検出素子14aから構成されている。X線検出素子14aは、コンベアユニット12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置されている。
【0022】
X線ラインセンサ14は、製品Pやコンベアユニット12を透過したX線量(透過X線量)を検出し、透過X線量に基づくX線透過信号を出力する。言い換えると、X線透過信号は、透過したX線の強度に応じたX線透過信号を出力する。透過したX線の強度は、透過X線量の大小に依存する。X線透過信号により、X線画像(透過画像)の明るさ(濃淡)が決定される(
図4参照)。
【0023】
図4は、X線ラインセンサ14のX線検出素子14aによって検出される透過X線量(検出量)の例を示すグラフである。グラフの横軸は、各X線検出素子14aの位置に対応する。また、グラフの横軸は、コンベアユニット12の搬送方向に直交する方向の距離に対応する。また、グラフの縦軸は、X線検出素子14aで検出されたX線の透過量(検出量)を示す。すなわち、検出量の多いところが、透過画像において、明るく(淡く)表示され、検出量が少ないところが暗く(濃く)表示される。すなわち、透過画像の明暗(濃淡)は、X線の検出量に対応する。
【0024】
さらに、X線ラインセンサ14は、製品Pが扇状のX線の照射範囲X(
図3参照)を通過するタイミングを検知するためのセンサとしても機能する。すなわち、X線ラインセンサ14は、コンベアユニット12のベルト12d上で搬送される製品PがX線ラインセンサ14の上方位置(照射範囲X)に来たとき、所定の閾値以下の電圧を示すX線透過信号(第1信号)を出力する。一方、X線ラインセンサ14は、製品Pが照射範囲Xを通過すると所定の閾値を上回る電圧を示すX線透過信号(第2信号)を出力する。第1信号および第2信号が後述の制御装置20に入力されることにより、照射範囲Xにおける製品Pの有無が検出される。
【0025】
(2−5)モニタ
モニタ30は、表示部および入力部として機能する。具体的に、モニタ30は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。モニタ30には、製品Pの検査結果が表示される。また、モニタ30には、初期設定や不良判断に関するパラメータ入力などを促す画面が表示される。さらに、モニタ30は、タッチパネル機能を有する。したがって、モニタ30は、オペレータによる検査パラメータおよび動作設定情報等の入力を受け付ける。
【0026】
ここで、検査パラメータとは、製品Pの良否を判定するために必要なパラメータである。具体的に、検査パラメータには、製品Pに含まれる物品Gの個数や検査時に用いる閾値等が含まれる。また、動作設定情報とは、検査速度やコンベアユニット12の搬送方向等の情報である。モニタ30で受け付けた検査パラメータは、後述の記憶部21に記憶される。モニタ30は、制御装置20と電気的に接続されており、制御装置20と信号の授受を行う。
【0027】
(2−6)制御装置
制御装置20は、主として、CPU、ROM、RAM、およびHDD(ハードディスク)等によって構成されている。制御装置20は、図示しない表示制御回路、キー入力回路、通信ポートなども備えている。表示制御回路は、モニタ30でのデータ表示を制御する回路である。キー入力回路は、モニタ30のタッチパネルを介してオペレータにより入力されたキー入力データを取り込む回路である。通信ポートは、プリンタ等の外部機器やLAN等のネットワークとの接続を可能にする。
【0028】
また、制御装置20は、上述のコンベアモータ12a、エンコーダ12b、X線照射器13、X線ラインセンサ14、およびモニタ30等に電気的に接続されている。制御装置20は、エンコーダ12bからコンベアモータ12aの回転数に関するデータを取得し、当該データに基づき、製品Pの移動距離を把握する。また、制御装置20は、上述したように、X線ラインセンサ14から出力された信号を受信することにより、コンベアユニット12のベルト12d上の製品Pが照射範囲Xに来たタイミングを検出する。
【0029】
また、制御装置20は、
図5に示すように、主として、記憶部21および制御部22として機能する。制御装置20は、透過X線に基づき、製品Pに含まれる複数の物品Gの個数検査を実行する。個数検査とは、製品Pに、予め定められた数の物品Gが含まれるか否かを判定するための検査である。言い換えると、個数検査は、製品Pに含まれる物品Gの数が妥当か否かを判定するための検査である。
【0030】
(2−6−1)記憶部
記憶部21は、制御部22に実行させる各種プログラムや検査パラメータを記憶する。検査パラメータは、上述したように、モニタ30のタッチパネル機能を使ってオペレータによって入力される。
【0031】
記憶部21は、主として、透過画像記憶領域21a、二値化画像記憶領域21b、基準情報記憶領域(基準濃度記憶部、面積記憶部)21c、二値化フィルタ記憶領域21d、係数記憶領域(係数記憶部)21e、および、復元面積記憶領域21fを有する。
【0032】
(a)透過画像記憶領域
透過画像記憶領域21aには、後述する透過画像生成部22aによって生成された透過画像に関するデータ(透過画像データ)が記憶されている。透過画像には、製品Pに含まれる包装材m1、仕切り材m2、および複数の物品Gが含まれる(
図6参照)。透過画像は、複数の画素によって構成される。複数の画素は、それぞれ、複数レベルの濃度を有する。透過画像は、後述する二値化処理部22bによって二値化される元画像である。
【0033】
(b)二値化画像記憶領域
二値化画像記憶領域21bには、二値化画像に関するデータ(二値化データ)が記憶されている。二値化画像は、後述する二値化処理部22bによって生成される。二値化画像記憶領域21bには、複数の二値化フィルタによって生成された二値化画像に関するデータが記憶されている。
【0034】
なお、二値化画像記憶領域21bに記憶された二値化画像は、二値化される前の透過画像に関するデータ(画像データ)と関連付けて記憶される。また、一の透過画像に対して生成された複数の二値化画像は、二値化画像記憶領域21bにおいて、関連付けて記憶される。
【0035】
(c)基準情報記憶領域
基準情報記憶領域21cは、物品Gの基準情報を記憶する。物品Gの基準情報は、後述する変換部22dによって復元面積が求められる際に参照される情報である。基準情報には、基準面積に関する情報(基準面積関連情報)と、基準濃度に関する情報(基準濃度関連情報)とが記憶されている。
【0036】
(c−1)基準面積関連情報
基準面積関連情報は、製品Pの基準面積に関連する情報である。基準面積には、物品基準面積および製品基準面積が含まれる。
【0037】
物品基準面積とは、包装材m1内で基本姿勢を有する一の物品Gについて、透過画像に占める面積である。ここで、基準姿勢とは、物品Gの設置面が、水平面に対して平行の姿勢である(
図8(a)参照)。
【0038】
製品基準面積とは、包装材m1に所定数の物品Gが基本姿勢で、かつ、重ならずに、包装されている場合に、透過画像に占める複数の物品Gについての画像の面積である。すなわち、製品基準面積は、包装材m1内に包装されるべき所定数の物品Gの全てが基本姿勢であり、かつ、全ての物品Gが適切に仕切り材m2によって仕切られている場合に、物品画像の面積(物品面積)の全てを足し合わせた面積(総面積)である。
【0039】
なお、ここで、透過画像に現れる物品Gの画像を、物品画像とよぶ。一の物品画像は、透過画像上で一まとまりになっている物品Gの画像を意味する。すなわち、一の物品画像を構成する物品Gの数は、一つには限られない。言い換えると、一の物品画像は、一の物品Gを表す画像に限られず、重なり合った状態にある複数の物品G、あるいは接触した状態にある複数の物品Gを表す画像も含む。
【0040】
(c−2)基準濃度関連情報
基準濃度関連情報には、物品Gの基準濃度に関連する情報が含まれる。具体的に、基準濃度関連情報には、物品Gの複数の載置状態と、各載置状態に対応して透過画像上に現れる物品画像に関し、各物品画像を構成する画素の濃度に関する情報とが含まれる(
図8参照)。
【0041】
図8は、物品Gの複数の載置状態と、載置状態に対応した物品画像を構成する画素の濃度の例を示す図である。本実施形態では、物品Gの5つの載置状態に関する情報が記憶されている。以下、
図8(a)〜(e)を参照しながら、5つの載置状態と載置状態に対応した物品画像を構成する画素の濃度とを説明する。
【0042】
物品Gの載置状態とは、包装材m1内部における物品Gの載置状態を意味する。具体的に、物品Gの載置状態は、物品Gの重なりの有無および物品Gの載置面(水平面)に対する傾き(姿勢)によって定義される。
図8(a)〜(e)では、物品Gの載置状態を、物品Gの側面図で示す。
【0043】
なお、
図8(a)〜(e)に示す物品画像のうち、水平面に対して傾きを有する物品Gの画像については、物品Gの中央部分に対応する部分と、物品Gの端部に対応する部分とを異なる濃度で示している。しかし、本実施形態では、説明を簡潔に行うため、物品Gの端部に対応する部分の面積が僅かであり無視できるものとして扱う。すなわち、本実施形態では、水平面に対して傾きを有する物品Gの画像について、物品Gの中央部分に対応する部分と、物品Gの端部に対応する部分とが、同一の濃度(濃度レベル)を有するものとして説明する。
【0044】
まず、
図8(a)は、第1の載置状態を示す。第1の載置状態では、水平面に対して物品Gの載置面が平行の姿勢(第1姿勢)を有する。また、物品Gは、他の物品Gと重ならず載置される。本実施形態では、
図8(a)に示す物品Gの第1姿勢を物品Gの基本姿勢とする。第1の載置状態にある物品Gの物品画像は、一の濃度レベルを有する画素(第1濃度部分I)のみによって構成される。
【0045】
図8(b)は、第2の載置状態を示す。第2の載置状態では、第1姿勢を有する二つの物品Gが重なっている。第2の設置状態にある物品Gの物品画像もまた、一の濃度レベルを有する画素(第2濃度部分II)のみによって構成される。
【0046】
図8(c)は、第3の載置状態を示す。第3の載置状態では、水平面に対して物品Gの載置面が傾いた姿勢(第2姿勢)を有する。
図8(c)に示す物品Gは、水平面に対して載置面が所定の角度傾いている。また、第3の載置状態において、物品Gは、他の物品Gと重ならず載置される。第3の載置状態にある物品Gの物品画像もまた、一の濃度レベルを有する画素(第3濃度部分III)のみによって構成される。
【0047】
図8(d)は、第4の載置状態を示す。第4の載置状態では、第1姿勢を有する物品Gと、第2姿勢を有する物品Gとが重なっている。具体的に、第4の載置状態では、第1姿勢の物品Gに対して第2姿勢の物品Gが寄りかかっている。第4の載置状態にある物品Gの物品画像は、三つの濃度レベルを有する画素(第1濃度部分I、第4濃度部分IV、および第3濃度部分III)によって構成される。
【0048】
図8(e)は、第5の載置状態を示す。第5の載置状態は、第2姿勢を有する二つの物品Gが重なっている。第5の載置状態にある物品Gの物品画像は、二つの濃度レベルを有する画素(第3濃度部分IIIおよび第5濃度部分V)によって構成される。
【0049】
物品画像を構成する画素の濃度(濃度レベル)は、物品Gの重なりの有無および傾きの有無に応じて変化する。具体例を、
図9を用いて説明する。
【0050】
図9は、透過画像上の画素の基準濃度Aを100(基準濃度A=100)とし、物品Gの傾きθを45°とした場合の、濃度レベルの例を示す。本実施形態において、第1濃度部分Iの濃度が、基準濃度A(濃度:100)となる。第2濃度部分IIの濃度は、A/sinθである(濃度:約141)。すなわち、第2濃度部分IIの濃度は、第1濃度部分Iの画素の濃度よりも高い。第3濃度部分IIIの濃度は、2Aである(濃度:200)。すなわち、第3濃度部分IIIの濃度は、第1濃度部分Iおよび第2濃度部分IIの濃度よりも高い。第4濃度部分IVの濃度は、A+(A/sinθ)である(濃度:約241)。すなわち、第4濃度部分IVの濃度は、第1濃度部分Iから第3濃度部分IIIのいずれの濃度よりも高い。第5濃度部分Vの濃度は、2A/sinθである(濃度:約282)。すなわち、第5濃度部分Vの濃度は、第1濃度部分Iから第4濃度部分IVのいずれの濃度よりも高い。
【0051】
(d)二値化フィルタ記憶領域
二値化フィルタ記憶領域21dには、後述する二値化処理部22bによって二値化処理に用いられる複数の二値化フィルタが記憶されている(
図9参照)。
図9に示すように、二値化フィルタ記憶領域には、複数の濃度レベルのそれぞれに応じた複数の二値化フィルタが記憶されている。複数の二値化フィルタのそれぞれには、透過画像を構成する複数画素のうち、異なる濃度(濃度レベル)を有する画素について、それぞれ二値化処理するために、複数の所定の閾値が設定されている。
【0052】
具体的に、複数の所定の閾値には、製品Pから包装材m1を識別するための閾値(包装材閾値)と、製品Pから物品Gを識別するための閾値(物品閾値)とが含まれる。
図9には、物品閾値が設定された二値化フィルタの例が示されている。
【0053】
物品閾値は、包装材m1内において複数の態様(状態)で載置される物品Gを識別するために設定される。具体的に、物品閾値は、上述した複数の載置状態(第1の載置状態〜第5の載置状態)にある物品Gの物品画像に関し、それぞれの部分(第1濃度部分I〜第5濃度部分V)に対応して設けられる。
【0054】
より具体的に、物品閾値には、第1の所定の閾値〜第5の所定の閾値が含まれる。第1の所定の閾値は、第1濃度部分Iを識別するための閾値である。第2の所定の閾値は、第2濃度部分IIを識別するための閾値である。第3の所定の閾値は、第3濃度部分IIIを識別するための閾値である。第4の所定の閾値は、第4濃度部分IVを識別するための閾値である。第5の所定の閾値は、第5濃度部分Vを識別するための閾値である。
【0055】
(e)係数記憶領域
係数記憶領域21eは、復元面積が算出される際に用いられる係数を記憶する。係数は、複数レベルの濃度のそれぞれに対応して記憶されている。すなわち、係数記憶領域21eには、濃度レベルの数に応じた複数の係数が記憶されている(
図9参照)。具体的に、係数は、基準情報記憶領域21cに記憶された物品Gの基準情報に基づいて設定されている。基準情報には、上述したように、基準面積関連情報と基準濃度関連情報とが含まれる。すなわち、係数は、物品Gの載置状態に応じて設定される。
【0056】
(f)復元面積記憶領域
復元面積記憶領域21fには、製品Pの復元面積が記憶されている。復元面積には、部分復元面積および製品復元面積が含まれる。部分復元面積は、後述する変換部22dによって求められた各濃度部分I〜V(第1濃度部分Iから第5濃度部分Vのそれぞれ)の復元面積である。製品復元面積は、部分復元面積の合計である。具体的に、製品復元面積は、一の透過画像に対して求められた各濃度部分I〜Vの復元面積の合計面積である。言い換えると、製品復元面積は、第1濃度部分Iの復元面積、第2濃度部分IIの復元面積、第3濃度部分IIIの復元面積、第4濃度部分IVの復元面積、および第5濃度部分Vの復元面積を足し合わせた面積である。復元面積は、当該復元面積が求められた元の透過画像に関連付けて記憶される。
【0057】
(2−6−2)制御部
制御部22は、記憶部21に記憶された各種プログラムを実行することにより、透過画像生成部22a、二値化処理部22b、外形抽出部22c、変換部22d、個数判定部22e、および良否判定部22fとして機能する。
【0058】
(a)透過画像生成部
透過画像生成部22aは、X線ラインセンサ14によって検出された透過X線量に基づいてX線画像(透過画像)を生成する(
図6参照)。具体的に、透過画像生成部22aは、X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透過信号の強度(輝度)に基づいて透過画像を生成する。すなわち、透過画像生成部22aは、扇状のX線の照射範囲X(
図3参照)を製品Pが通過する際に各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号に基づいて、製品Pの透過画像を生成する。照射範囲Xにおける製品Pの有無は、X線ラインセンサ14が出力する信号により判断される。
【0059】
透過画像生成部22aは、各X線検出素子14aから得られるX線の強度(輝度)に関する細かい時間間隔毎のデータをマトリクス状に時系列につなぎ合わせて、製品Pについての透過画像を生成する。透過画像生成部22aによって生成された透過画像は、透過画像記憶領域21aに記憶される。
【0060】
(b)二値化処理部
二値化処理部22bは、透過画像に対して二値化処理を実行する。また、二値化処理部22bは、透過画像の二値化処理により、二値化画像を生成する(
図7参照)。
【0061】
本実施形態において、二値化処理部22bは、複数の二値化フィルタを使用して、透過画像の二値化処理を実行する。具体的に、二値化処理部22bは、各載置状態の物品Gの物品画像について各濃度部分I〜Vを識別可能なように、複数の二値化フィルタを使用して、一の透過画像に対して複数の二値化処理を実行する。複数の二値化フィルタは、上述の二値化フィルタ記憶領域21dに記憶されている(
図9参照)。
【0062】
具体的に、二値化処理部22bは、各二値化フィルタに設定された所定の閾値と、透過画像を構成する各画素の濃度とを比較し、透過画像を構成する各画素の濃度が所定の閾値以下かどうかを判断する。また、二値化処理部22bは、透過画像を構成する全画素のうち、所定の閾値を上回る濃度を有する画素を特定する。さらに、二値化処理部22bは、所定の閾値を上回る濃度を有する画素を、白に対応する諧調(255)で表し、第1の所定の閾値以下の濃度を有する画素については黒に対応する諧調(0)で表すように、透過画像のデータを処理する。このようにして、二値化処理部22bは、二値化画像を生成する(
図7参照)。
【0063】
図7は、複数の所定の閾値のうち、一の所定の閾値を用いて透過画像を二値化処理した例を示す。すなわち、
図7は、複数の濃度部分I〜Vのうち、一の濃度部分(例えば、第4濃度部分IV)を識別するための二値化画像である。二値化処理部22bは、一の透過画像に対して、上述の全ての物品閾値を用いて二値化処理を実行する。言い換えると、二値化処理部22bは、一の透過画像に対して、物品に関する全ての二値化フィルタを使用して、二値化画像を生成する。
【0064】
なお、二値化処理部22bによって生成された複数の二値化画像に関するデータ(二値化データ)は、二値化処理が行われる前の透過画像と関連付けて上述した二値化画像記憶領域21bに記憶される。
【0065】
(c)外形抽出部
外形抽出部22cは、二値化画像記憶領域21bに記憶されている二値化画像に基づいて、物品画像の各濃度部分I〜V(第1濃度部分Iから第5濃度部分Vのそれぞれ)の外形を抽出する。すなわち、外形抽出部22cは、透過画像において、複数レベルの濃度のうち同一レベルの濃度を有する画素の部分(濃度部分I〜V)の外形を抽出する。また、外形抽出部22cは、抽出した濃度部分I〜Vの外形に基づいて、各濃度部分I〜Vの面積(部分面積)を求める。具体的に、外形抽出部22cは、各濃度部分I〜Vの周長に基づいて、部分面積を求める。すなわち、部分面積は、各濃度部分I〜Vの外形(周長)に基づいて得られた各濃度部分I〜Vの面積の推定値である。外形抽出部22cによって求められた部分面積に関する情報は、記憶部21に一時的に記憶される。
【0066】
(d)変換部
変換部22dは、基準濃度に基づいて、透過画像に現れる物品Gの面積を、複数の物品Gのそれぞれが基準姿勢であった場合の面積へと変換する。言い換えると、変換部22dは、外形抽出部22cによって抽出された濃度部分I〜Vの外形(部分面積)に基づいて、透過画像を構成する複数画素のうち、各濃度レベルの画素の面積を、復元面積へと変換する。
【0067】
具体的に、変換部22dは、まず、外形抽出部22cによって求められた部分面積を、係数記憶領域21eに記憶されている係数に基づいて、復元面積(部分復元面積)へと変換する。係数は、上述したように、基準情報記憶領域21cに記憶された、物品Gの基準情報に基づいて設定されている。
【0068】
詳細に、変換部22dは、第1濃度部分Iから第5濃度部分Vの部分面積のそれぞれに対して係数を掛け合わせる。言い換えると、変換部22dは、物品画像を構成する複数画素のうち、同一の濃度のレベルを有する画素の面積に、係数を乗じて、復元面積を求める。
【0069】
図9を例にして説明すると、変換部22dは、第1濃度部分Iの部分面積に対して、係数:1.0を掛け合わせる。これにより、第1濃度部分Iの部分面積を、部分復元面積へと変換する。また、変換部22dは、第2濃度部分IIの部分面積に対して、係数:2.0を掛け合わせる。これにより、第2濃度部分IIの部分面積を、部分復元面積へと変換する。同様に、変換部22dは、第3濃度部分IIIの部分面積に対して、係数:1.4を掛け合わせる。これにより、第3濃度部分IIIの部分面積を、部分復元面積へと変換する。さらに、変換部22dは、第4濃度部分IVの部分面積に対して、係数:2.4を掛け合わせる。これにより、第4濃度部分IVの部分面積を、部分復元面積へと変換する。さらに、変換部22dは、第5濃度部分Vの部分面積に対して、係数:2.8を掛け合わせる。これにより、第5濃度部分Vの部分面積を、部分復元面積へと変換する。
【0070】
このようにして、変換部22dは、第1濃度部分Iから第5濃度部分Vのそれぞれの部分面積を復元面積へと変換し、変換後の面積に関する値(復元面積の値)を復元面積記憶領域21fに記憶する。部分復元面積は、元の透過画像に関連付けて、復元面積記憶領域21fに記憶される。
【0071】
その後さらに、変換部22dは、復元面積記憶領域21fに記憶させた部分復元面積のうち、一の透過画像に基づいて求められた部分復元面積の全てを足し合わせて、部分復元面積の合計(製品復元面積)を求める。すなわち、変換部22dは、一の透過画像から得られた全ての部分復元面積の合計を算出して、製品Pに含まれる全ての物品Gが、包装材m1内で基本姿勢である場合の物品画像の面積の合計を求める。製品復元面積は、元の透過画像に関連付けて、復元面積記憶領域21fに記憶される。
【0072】
(e)個数判定部
個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの個数検査を行う。具体的に、個数判定部22eは、復元面積記憶領域21fに記憶された製品復元面積に基づいて、製品Pに含まれる物品Gの数の是非を判定する。
【0073】
具体的に、個数判定部22eは、製品復元面積と、製品基準面積とを比較して、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲内にあるか否かを判定する。より具体的に、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲内にある場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しいと判定する。一方、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲から外れる場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しくないと判定する。個数判定部22eによる判定結果は、上述の記憶部21に記憶される。
【0074】
(f)良否判定部
良否判定部22fは、個数判定部22eによる判定結果に基づいて、製品Pに関する良品/不良品の判定を行う。すなわち、良否判定部22fは、個数判定部22eによって、製品Pに含まれる物品Gの数が正しいと判定された場合には、製品Pを良品と判定する。一方、良否判定部22fは、個数判定部22eによって、製品Pに含まれる物品Gの数が正しくないと判定された場合には、製品Pを不良品と判定する。
【0075】
良否判定部22fは、製品Pの良品/不良品の別を判断すると、製品Pが良品/不良品のいずれかである旨を示す信号を出力する。良否判定部22fによって出力された信号は、振り分け機構70に送られる。振り分け機構70は、良否判定部22fによる判定結果に基づき、製品Pをラインコンベアユニット80または不良品排出方向90,91に振り分ける。
【0076】
(3)処理の流れ
次に、
図10および
図11を参照しながら、X線検査装置10による処理の流れを説明する。
【0077】
X線検査装置10に製品Pが投入されると、ステップS1において、透過画像生成部22aによって製品Pの透過画像が生成される(
図6参照)。透過画像が生成されると、透過画像に関するデータ(画像データ)が透過画像記憶領域21aに記憶される。画像データが透過画像記憶領域21aに記憶されると、ステップS2に進む。
【0078】
ステップS2では、二値化処理に使用するための二値化フィルタが設定される。本実施形態では、まず、第5の所定の閾値に関する二値化フィルタが設定される。具体的に、二値化フィルタ(x=5)が設定される。その後、ステップS3に進む。
【0079】
ステップS3では、第5の所定の閾値が設定された二値化フィルタを用いて、透過画像に対する二値化処理が実行される。すなわち、透過画像上で、物品画像の第5濃度部分Vを識別するための二値化画像が生成される。具体的には、二値化処理部22bが、第5の所定の閾値と、透過画像を構成する各画素の濃度とを比較し、各画素の濃度が第5の所定の閾値以下かどうかを判断し、判断結果に基づいて透過画像を二値化する。ステップS3で生成された二値化データは、二値化画像記憶領域21bに記憶される。その後、ステップS4に進む。
【0080】
ステップS4では、ステップS3で生成された二値化画像に基づいて、第5濃度部分Vの部分面積が算出される。具体的に、外形抽出部22cは、二値化画像に現れる黒色部分(第5濃度部分V)の外形を抽出する。さらに、外形抽出部22cは、抽出した外形(周長)に基づいて、黒色部分の面積を求める。すなわち、外形抽出部22cは、二値化画像に基づいて、透過画像上の第5濃度部分の面積(部分面積)を求める。外形抽出部22cによって求められた部分面積に関する情報は、記憶部21に一時的に記憶される。その後、ステップS5に進む。
【0081】
ステップS5では、変換部22dによって、部分面積が部分復元面積に変換される。具体的に、変換部22dは、基準濃度に基づいて第5濃度部分Vに設定された係数を、第5濃度部分Vについての部分面積に掛け合わせて、第5濃度部分Vの部分復元面積を算出する。第5濃度部分Vの部分復元面積は、復元面積記憶領域21fに記憶される。その後、ステップS6に進む。
【0082】
ステップS6では、x=1かどうかが判定される。すなわち、第1の所定の閾値に関する二値化フィルタを用いて、二値化処理が行われたか否かが判定される。ステップS6において、x=1である場合には、ステップS8に進み、x=1でない場合には、ステップS7に進む。
【0083】
ステップS7では、x=x−1を設定してステップS3に戻る。すなわち、その後、ステップS3では、第4の所定の閾値に関する二値化フィルタを用いて二値化画像が生成される。このように、X線検査装置10では、第5の所定の閾値から第1の所定の閾値の各閾値に関する全ての二値化フィルタを順番に用いて二値化画像を生成し、第1濃度部分Iから第5濃度部分Vの全てに対応する部分復元面積が算出されるまで、ステップS3〜S7のステップを繰り返す。その後、ステップS8に進む。
【0084】
ステップS8では、変換部22dによって製品復元面積が算出される。具体的に、変換部22dは、復元面積記憶領域21fに記憶されている部分復元面積のうち、一の透過画像に基づいて生成された全ての部分復元面積を足し合わせる。製品復元面積は、復元面積記憶領域21fに記憶される。その後、ステップS9に進む。
【0085】
ステップS9では、個数判定部22eによって、製品Pに含まれる物品Gの数の是非が判定される。具体的に、個数判定部22eは、製品復元面積と、製品基準面積とを比較して、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲内にあるか否かを判定する。ステップS9において、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲内にある場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しいと判定する。その後、ステップS10に進む。
【0086】
ステップS10では、良否判定部22fによって、製品Pが良品であるものと判定される。その後、良否判定部22fから振り分け機構70に対して信号が送られ、製品Pがラインコンベアユニット80に送られる。
【0087】
一方、ステップS9において、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲から外れる場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しくないと判定する。その後、ステップS11に進む。
【0088】
ステップS11では、良否判定部22fによって、製品Pが不良品であるものと判定される。その後、良否判定部22fから振り分け機構70に対して信号が送られ、製品Pが不良品排出方向に振り分けられる。
【0089】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態に係るX線検査装置10は、対象製品Pの個数検査を行う。対象製品Pは、包装材m1と、仕切り材m2と、複数の物品Gとを含む。複数の物品Gは、包装材m1の内部で仕切り材m2に並べられている。X線検査装置10は、X線照射器(X線照射部)13と、X線ラインセンサ(X線検出部)14と、制御装置(検査制御部)20とを備える。X線照射器13は、対象製品Pに対してX線を照射する。X線ラインセンサ14は、対象製品Pを透過したX線である透過X線を検出する。制御装置20は、透過X線に基づき、複数の物品Gの数を検査する。
【0090】
具体的に、制御装置20は、基準情報記憶領域(基準濃度記憶部)21cと、透過画像生成部22aと、変換部22dと、個数判定部(判定部)22eと、を有する。基準情報記憶領域21cは、基準濃度を記憶する。基準濃度は、包装材m1内で基準姿勢を有する物品Gについての透過画像(X線画像)の濃度である。透過画像生成部22aは、透過X線に基づき、透過画像を生成する。変換部22dは、基準濃度に基づいて、透過画像に現れる物品Gの面積を、複数の物品Gのそれぞれが基準姿勢であった場合の復元面積へと変換する。個数判定部22eは、変換部22dによって変換された復元面積に基づいて、対象製品Pに含まれる物品Gの数の是非を判定する。
【0091】
上記実施形態で検査対象となった製品Pは、仕切り材m2によって、包装材m1の内部空間を仕切り、複数の物品Gを並べる。仕切り材m2は、所定の形状を有することが期待される物品(例えば、クッキーやチョコレート等)Gを包装する場合に用いられる。仕切り材m2は、各物品Gが包装材m1の内部で互いにぶつかって所定の形状が損なわれないようにするために使用される。このように仕切り材m2を用いると、仕切り材m2が包装材m1内部における各物品Gの移動を規制するため、物品Gの所定の形状が損なわれることを防ぐ。また、X線検査装置によって個数検査をする場合にも、製品Pに含まれる物品Gの数を数えやすい。
【0092】
ところで、製品Pは、製造された後、X線検査装置に送られる。すなわち、包装材m1の内部に入れられた物品Gは、X線検査装置に搬送される過程で、包装材m1の内部で移動して、隣接する物品と重なり合う場合がある。特に、本実施形態において用いる仕切り材m2は、横方向に延びる仕切り部分の高さが、縦方向に延びる仕切り部分の高さよりも低い。したがって、縦方向に隣接して配置される物品Gが、横方向に延びる仕切り部分を乗り越えて他の物品Gに重なったり、横方向に延びる仕切り部分に一部分が載ったりする場合がある。複数の物品Gが重なっている場合、重なり合った物品Gについての透過画像の濃度は、正しい姿勢(基本姿勢)で載置されている一の物品Gについての透過画像の濃度と異なる。また、仕切り部分に物品Gの一部分が載っている場合、物品Gが水平面に対して傾きを有する。このような状態の物品Gについての透過画像の濃度もまた、基本姿勢で載置されている物品Gについての透過画像の濃度と異なる。このような場合に、従来のX線検査装置では、個数検査についての正確な結果を得ることができなかった。
【0093】
しかし、上記実施形態に係るX線検査装置10では、透過画像に現れる物品の面積が、基準情報に基づいて、複数の物品Gのそれぞれが基準姿勢であった場合の復元面積へと変換される。これにより、包装材m1の内部で物品G同士が重なりあったり、水平面に対して傾いたりしている場合であっても、製品Pに含まれる物品Gの数を正確に判定することができる。
【0094】
(4−2)
また、上記実施形態に係るX線検査装置10では、制御装置20が、基準情報記憶領域(基準面積記憶部)21cをさらに有する。基準情報記憶領域21cは、基準面積(基準面積関連情報)を記憶する。基準面積関連情報は、基準姿勢を有する物品Gについての面積である。具体的に、基準面積関連情報には、物品基準面積と製品基準面積とが含まれる。物品基準面積とは、包装材m1内で基本姿勢を有する一の物品Gの面積である(
図8(a)参照)。製品基準面積とは、包装材m1内に包装されるべき所定数の物品G全てが基本姿勢である場合に、全ての物品Gの面積を足し合わせた面積(総面積)である。個数判定部(判定部)22eは、基準面積(製品基準面積)と復元面積(製品復元面積)とを用いて、対象製品Pに含まれる物品Gの数の是非を判定する。対象製品Pに含まれる物品の数の是非が、基準姿勢を有する物品Gについての製品基準面積と製品復元面積とを用いて判定される。これにより、包装材m1に含まれる物品Gの数が、適当か否かを把握することができる。
【0095】
(4−3)
また、上記実施形態に係るX線検査装置10では、制御装置(検査制御部)20は、外形抽出部22cをさらに有する。外形抽出部22cは、複数レベルの濃度を有する複数の画素によって構成されている透過画像において、同一レベルの濃度を有する画素で構成される物品画像の外形を抽出する。変換部22dは、外形抽出部22cによって抽出された物品画像の外形に基づいて、透過画像を構成する複数レベルの濃度のそれぞれを有する画素の面積を、復元面積へと変換する。具体的に、変換部22dは、抽出した物品画像の外形(周長)に基づいて、複数レベルの濃度を有する画素(濃度部分I〜V)の面積(部分面積)を求める。その後、変換部22dは、部分面積を変換して部分復元面積を求める。さらに、変換部22dは、一の製品Pの全ての濃度部分I〜Vについての部分面積についてそれぞれ部分復元面積を求めた後、全ての部分復元面積を足し合わせて製品復元面積を求める。すなわち、透過画像に含まれる物品画像の濃度毎に、復元面積が得られる。これにより、製品Pについての製品復元面積の精度を上げることができる。
【0096】
(4−4)
また、上記実施形態に係るX線検査装置10では、制御装置(検査制御部)20は、さらに、係数記憶領域(係数記憶部)21eを有する。係数記憶領域21eは、複数の濃度レベルのそれぞれに対応する係数を記憶する。変換部22dは、複数の物品画像を構成する画素のうち、各濃度レベルを有する画素(濃度部分I〜V)の面積に、係数を乗じて、復元面積を求める。これにより、復元面積を容易に求めることができる。
【0097】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態において、仕切り材m2は、複数の物品Gを縦方向および横方向に仕切り、横方向に延びる仕切り部分の高さが、縦方向に延びる仕切り部分の高さよりも低い。
【0098】
ここで、仕切り材m2は、複数の物品Gを縦方向にのみ仕切るものであってもよい。また、横方向の仕切り部分の高さと縦方向の仕切り部分の高さとは同程度であっても、横方向の仕切り部分の高さが縦方向の仕切り部分の高さよりも高いものであってもよい。
【0099】
すなわち、本実施形態に係るX線検査装置10は、包装材m1の内部で、ある程度仕切られた状態で並べられる複数の物品Gについての個数検査に適している。
【0100】
また、仕切り材m2は、複数の物品Gを横方向にのみ仕切るものであってもよい。この場合には、横方向に隣接する物品Gが重なり合う可能性が高くなる。したがって、横方向に隣接する物品Gが重なった場合の態様の種類と、態様の種類に応じた濃度とを記憶させておくものとする。
【0101】
(5−2)変形例B
上記実施形態に係るX線検査装置10では、
図8(c)〜(e)に示すように、水平面に対して傾きを有する物品Gは、いずれも同じ傾きθを有する。
【0102】
ここで、基準情報記憶領域21cには、水平面に対して複数の傾きを有する物品Gについての情報を記憶させておいてもよい。また、傾きの違いに応じた複数の係数を記憶させておいてもよい。これにより、個数検査の精度を高くすることができる。
【0103】
(5−3)変形例C
上記実施形態に係るX線検査装置10では、個数判定部22eは、復元面積記憶領域21fに記憶された製品復元面積に基づいて、製品Pに含まれる物品Gの個数が正しいか否かの判定を行う。具体的に、個数判定部22eは、製品復元面積と、製品基準面積とを比較して、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲内にある場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しいと判定する。一方、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲から外れる場合には、個数判定部22eは、製品Pに含まれる物品Gの数が正しくないと判定する。
【0104】
ここで、個数判定部22eは、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲に対して、プラス方向に外れているのか、マイナス方向に外れているのかによって、物品の数が過剰であるか、物品の数が不足しているかを区別するように構成されていてもよい。
【0105】
具体的に、製品復元面積が製品基準面積と一致する場合、言い換えると、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲に含まれる場合、上記実施形態と同様、個数判定部22eは、包装材m1に包装されている物品Gの数が正しいと判定する。また、製品復元面積が製品基準面積より大きいとき、言い換えると、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲に対してプラス方向に外れている場合、個数判定部22eは、包装材m1に包装されている物品Gの数が過剰であると判定する。さらに、製品復元面積が製品基準面積より小さい場合、言い換えると、製品復元面積が、製品基準面積を基準とした所定の範囲に対してマイナス方向に外れている場合、個数判定部22eは、包装材m1に包装されている物品Gの数が不足していると判定する。
【0106】
このような構成により、製品Pに含まれる物品Gの数が正しいか否かだけではなく、物品Gの数が不足しているのか、過剰であるのかについても判定することができる。
【0107】
(5−4)変形例D
上記実施形態に係るX線検査装置10は、さらに、異物混入検査を行う構成を有していてもよい。この場合、X線検査装置10は、個数検査およぶ異物混入検査の結果に基づき、製品Pを良品または不良品に分類する。
【0108】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、水平面に対して傾きを有する物品Gの画像について、物品Gの端部に対応する部分の面積が僅かであり無視できるものとして扱い、物品Gの中央部分に対応する部分と、物品Gの端部に対応する部分とが、同一の濃度(濃度レベル)を有するものとして説明した。
【0109】
しかし、物品Gの端部に対応する部分の濃度変化に応じて細かく濃度部分を設定し、或いは、物品Gの中央部分に対応する部分の面積に応じて、復元面積が求められるように構成されていてもよい。