特許第6306356号(P6306356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306356回転流発生装置、それを備える配管システム、半導体製造装置及び熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306356
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】回転流発生装置、それを備える配管システム、半導体製造装置及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F15D 1/02 20060101AFI20180326BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20180326BHJP
   C23C 16/44 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
   F15D1/02 C
   H01L21/205
   !C23C16/44 E
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-12461(P2014-12461)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-140816(P2015-140816A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501138046
【氏名又は名称】有限会社コンタミネーション・コントロール・サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】進藤 豊彦
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−024961(JP,U)
【文献】 特表2009−517606(JP,A)
【文献】 特開2001−174298(JP,A)
【文献】 特公昭47−37735(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15D 1/00− 1/14
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、
前記軸部に固定された案内羽根と、
前記案内羽根の外周側に配置され、前記案内羽根の少なくとも一部分から連続して外周側に延びるフランジ部と、を備え、
前記フランジ部の外周面は、湾曲したOリング受け面となっていること、
を特徴とする回転流発生装置。
【請求項2】
請求項に記載の回転流発生装置であって、
前記案内羽根の外周に、円筒部が設けられ、前記フランジ部は前記円筒部の一端から外周側に延びていること、
を特徴とする回転流発生装置。
【請求項3】
請求項に記載の回転流発生装置であって、
前記円筒部は、内部に前記案内羽根が設けられている第1部分と、該第1部分から延びる第2部分と、を備えること、
を特徴とする回転流発生装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置であって、
前記案内羽根は、複数枚設けられ、
案内羽根は、前記軸部と直交する面と前記案内羽根の外周を通る円筒部との交線に対する、前記案内羽根と前記円筒部との連結部の角度が異なるものを有すること、
を特徴とする回転流発生装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置であって、
前記軸部は、円柱部と、該円柱部の両端に設けられた円錐部と、を備え、
一方の前記円錐部の頂角は120度であること、
を特徴とする回転流発生装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置が、配管の内部に取り付けられていること、を特徴とする配管システム。
【請求項7】
請求項に記載の配管システムにおいて、
前記配管を流れる流体の状態を検出するセンサが取り付けられていること、
を特徴とする配管システム。
【請求項8】
請求項に記載の配管システムにおいて、
前記センサは前記配管を流れる流体の音を検出するものであること、を特徴とする配管システム。
【請求項9】
請求項からのいずれか1項に記載の配管システムを備える半導体製造装置。
【請求項10】
請求項からのいずれか1項に記載の配管システムを備える熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転流発生装置、それを備える配管システム、半導体製造装置及び熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、反応ガスを用いる処理を行う半導体製造装置の排気管は、反応副生成物等が排気ガスに含まれるため、詰まり易い。その詰まりを防止するため、排気管の外部に面状ヒータを巻きつけて加熱し、生成物を付着しにくくする方法がある(特許文献1参照)。
また、排気管の内部に高温希釈ガスを流し、生成物を分解して希釈ガスとともに流出す方法もある(特許文献2参照)。
さらに、側面に吹出口が形成されるとともに頭部が閉塞された筒状ノズルを排気管内に取り付け、その筒状ノズルに流体を流すことによってサイクロン流を発生させ、このサイクロン流によって詰まりを防止するものもある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−250696号公報
【特許文献2】特開2004−165584号公報
【特許文献3】特開2011−141024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術によると、原理的には、高温にすれば管壁への付着はなくなる。しかし、実際には種々の部品があるために管壁への付着を防止できるほどの高温にはできず、詰まりが発生してしまう。
また、特許文献2に記載の従来技術によると、管壁での流速が非常に遅くなるため、管壁においては温度が下がり、詰まりが発生してしまう。
さらに、特許文献3に記載の従来技術によると、吹出口が狭いため、圧力損失が大きい。
【0005】
本発明の課題は、配管内の詰まりをより良好に防止可能な回転流発生装置、それを備える配管システム、半導体製造装置及び熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、軸部(22)と、前記軸部(22)に固定された案内羽根(23)と、前記案内羽根(23)の外周側に配置され、前記案内羽根(23)の少なくとも一部分から連続して外周側に延びるフランジ部と、を備え、前記フランジ部の外周面は、湾曲したOリング受け面となっていること、を特徴とする回転流発生装置(20,20’)である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回転流発生装置(20’)であって、前記案内羽根(23)の外周に、円筒部(21)が設けられ、前記フランジ部は前記円筒部(21)の一端から外周側に延びていること、を特徴とする回転流発生装置(20’)である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の回転流発生装置(20’)であって、前記円筒部(21)は、内部に前記案内羽根(23)が設けられている第1部分と、該第1部分から延びる第2部分と、を備えること、を特徴とする回転流発生装置(20’)である。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置(20,20’)であって、前記案内羽根(23)は、複数枚設けられ、案内羽根(23)は、前記軸部(22)と直交する面と前記案内羽根(23)の外周を通る円筒部(21)との交線に対する、前記案内羽根(23)と前記円筒部(21)との連結部の角度が異なるものを有すること、を特徴とする回転流発生装置(20,20’)である。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置(20,20’)であって、前記軸部(22)は、円柱部(22a)と、該円柱部(22a)の両端に設けられた円錐部(22F,22R)と、を備え、一方の前記円錐部(22F)の頂角は120度であること、を特徴とする回転流発生装置(20,20’)である。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の回転流発生装置(20,20’)が、配管(10)の内部に取り付けられていること、を特徴とする配管システムである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の配管システムにおいて、前記配管(10)を流れる流体の状態を検出するセンサ(51)が取り付けられていること、を特徴とする配管システムである。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の配管システムにおいて、前記センサ(51)は前記配管(10)を流れる流体の音を検出するものであること、を特徴とする配管システムである。
請求項に記載の発明は、請求項からのいずれか1項に記載の配管システムを備える半導体製造装置(1)である。
請求項1に記載の発明は、請求項からのいずれか1項に記載の配管システムを備える熱交換器である。
なお、上記構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配管内の詰まりを良好に防止可能な回転流発生装置、それを備える配管システム、半導体製造装置及び熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る回転流発生装置の一実施形態を適用した半導体製造装置の概念構成図である。
図2】回転流発生装置の外観斜視図である。
図3】(a)は回転流発生装置を上流側から見た正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
図4】回転流発生装置のガス排出管への装着構造および生成する回転流を説明する図である。
図5】第2実施形態に係る回転流発生装置のガス排出管への装着構造および生成される回転流を説明する図である。
図6】変形形態に係る回転流発生装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る回転流発生装置の一実施形態を適用した半導体製造装置1の概念構成図である。
【0010】
図1に示す半導体製造装置1は、基板処理室2にガス供給管3とガス排出管10とが接続されて構成されている。
基板処理室2は、詳細な説明は省略するが、石英等によって形成され、下部にフランジによって開閉可能な開口部を備えている。基板処理室2には、開口部を介して処理される基板4が出し入れされる。
【0011】
ガス供給管3は、基板処理室2の一方側(図1中右側)の下部に接続されている。ガス供給管3は、基板処理室2に基板処理ガスを供給する。
ガス排出管10は、基板処理室2の他方側(図1中左側)の下部に接続されている。ガス排出管10は、その下流側において真空ポンプ5に接続されている。また、ガス排出管10には、排気トラップ11が設けられ、その上下流それぞれにバルブ12,13が配置されている。
【0012】
真空ポンプ5は、その駆動によって基板処理室2での反応によって生成された基板処理済みガス等を、ガス排出管10を介して排気する。
排気トラップ11は、基板処理室2から排出されてガス排出管10を流れる基板処理済みガスから、反応副生成物等を冷却・析出させて除去する。排気トラップ11は、その上下流に設けられたバルブ12,13を閉じて交換することができ、これによって捕集した反応副生成物等を回収できるようになっている。
【0013】
上記構成の半導体製造装置1は、下記のような作用によって基板に成膜処理を行う。
すなわち、基板処理室2内に基板4を載置して、基板処理室2内の温度、圧力が調節し、ガス供給管3を介して基板処理室2に基板処理ガスを供給する。
これにより、基板処理室2に供給された基板処理ガスが、加熱により反応して成膜成分を生成し、基板4の表面に堆積させる。たとえば、基板処理ガスとしてSiHCLとNHとの混合ガスを用い、反応生成した成膜成分であるSi(窒化珪素)を基板4の表面に堆積させる。
【0014】
基板処理室2で反応した後の基板処理済みガスは、真空ポンプ5の駆動によってガス排出管10を介して吸引し、排出する。その際、基板処理済みガスに含まれる反応副生成物等は、途中で排気トラップ11によって捕集して回収する。
前述の反応ではHCLが発生し、発生したHCLは、二次反応によって、NH(アンモニウム)と結合してNHCL(塩化アンモニウム)となり、これが他の反応成分と共に反応副生成物等となる。
【0015】
なお、ガス排出管10の外部には、当該ガス排出管10を流れる基板処理済みガスの詰まり状況を検知するセンサ51が設けられており、その検出情報は当該半導体製造装置1を統括制御する制御部50に入力されるようになっている。
【0016】
本実施形態でセンサ51はガス排出管10から発生する音を検知する音センサである。センサ51は、経時的に音を測定しており、音の変化に応じて、詰まりを検出する。
ただし、これに限定されず、センサ51をガス排出管10の上流側と下流側とに設け、両者の音に差が生じてきた場合に、詰まりを検出するものであってもよい。
このように、音を検出するセンサ51は、ガス排出管10の外側に取り付け詰まりを検出することができるので、設置が容易で、またガス排出管10の流れを妨げることがない。
さらに、音センサに限定されず振動を検出するものでもよく、ガス排出管10内の圧力、温度を検出するものであってもよい。
制御部50は、センサ51からの入力情報に基づいて、反応副生成物等によるガス排出管10の閉塞(または排気トラップ11の交換時期)を予測し、半導体製造装置1を制御する。
【0017】
(第1実施形態)
ここで、ガス排出管10の基板処理室2との接続部、すなわちガス排出管10の入口部位には、本発明の一実施形態である回転流発生装置20が設けられている。
【0018】
つぎに、この回転流発生装置20について、前述した図1に加えて図2図4を参照して説明する。
図2は、回転流発生装置20の外観斜視図である。図3(a)は回転流発生装置20を上流側から見た正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。図4は、回転流発生装置20のガス排出管10への装着構造および生成する回転流を説明する図である。
【0019】
回転流発生装置20は、図2および図3に示すように、円筒部21と、その一端に形成されたフランジ部24と、円筒部21の中心部に位置する軸部22と、円筒部21と軸部22との間に設けられた4枚の案内羽根23と、を備えている。なお、回転流発生装置20は、図2および図3(b)中右側を上流側(基板処理室2側)として配置される。
【0020】
円筒部21は、肉薄の短筒状であり、その外径は後述するガス排出管10の内側に隙間なく挿入可能な大きさに形成されている。
軸部22は、所定径の円柱状であって、後述する案内羽根23が一体に接合する円柱部22aの前後両端に、それぞれ円錐部(先端円錐部22F,後端円錐部22R)を備えている。
なお、本実施形態の回転流発生装置20は、このように円筒部21を有しているが、これに限定されず、羽根23の外周部に円筒部21を有さないものであってもよい。
【0021】
上流側に向かう先端円錐部22Fの頂角は120°、下流側に向かう後端円錐部22Rの頂角は90°に設定されている。
上流側に向かう先端円錐部22Fの頂角を120°とすることで、乱流等形成することなく、流体の流れを滑らかに案内羽根23に導入することができる。
また、下流側に向かう後端円錐部22Rの頂角を90°とすることで、案内羽根23によって形成された回転流を、乱流等形成することなく、滑らかに管の内壁に案内することができる。
【0022】
案内羽根23は、薄板状で、円筒部21の内壁と軸部22の外周面との間に、周方向に等間隔で(すなわち90°間隔で)4枚設けられている。そして、案内羽根23は、軸部22の外周面と円筒部21の内周面とを連結するように設けられ、換言すると、4枚の案内羽根23で、円筒部21の中央に軸部22を支持している。
【0023】
円筒部21の軸線CLと直交する面と円筒部21との交線L1に対する、案内羽根23と円筒部21との連結部L2の角度は図2に示すように、角度θ(たとえば、θ=20°)で傾斜している。本実施形態では、角度θは、4枚全ての案内羽根23において同一に設定されている。
【0024】
円筒部21の一端側から外径側に向かって延びるフランジ部24は、該フランジ部24の外周面24a(外方を向く面)が、図3に示すように湾曲している。この外周面24aにOリング14が配置されて保持される。すなわち、フランジ部24は、Oリング14の位置決めを行うインナーリングの機能を有している。
フランジ部24の厚みtは、図3に示すように、Oリング14の厚みRより小さい。なお、Oリング14の厚みとは、図3に示すように、Oリング14を構成する部材の断面の直径である。
【0025】
また、Oリング14の外周側には、図4に示すようにアウターリング25が配置される。アウターリング25は、断面T字形状の円環部材で、外環部25aと、その外環部25aの内側中央部より内径側に延びる内環部25bとを有する。内環部25bの厚みは、フランジ部24の厚みと同じ、Oリング14の厚みRより小さい厚みtである。
また、内環部25bの端面25cは、フランジ部24の外周面24aと同様に湾曲し、フランジ部24の外周面24aとアウターリング25の端面25cとで、Oリング14を挟み込む。
【0026】
回転流発生装置20は、図1および図4に示すように、ガス排出管10の入口(ガス排出管10の基板処理室2との接続部:基板処理室2から基板処理済みガスが流入する部位)配置される。
このとき、回転流発生装置20の円筒部21は、ガス排出管10の内側に挿入されるが、フランジ部24はガス排出管10の内径よりも大きいので、内部に挿入されない。したがって、回転流発生装置20全体がガス排出管10内へ深く進入して取り外しが困難になることが防止される。
【0027】
そして、図4に示すように、ガス排出管10の先端部の外周に設けられた連結フランジ10Fと、基板処理室2の排出口に設けられた固定フランジ2Fとは、間にフランジ部24と、Oリング14と、アウターリング25の内環部25bとを介して対向して配置され、外周側からクランプ15で締め付けられる。
【0028】
連結フランジ10Fと、固定フランジ2Fとは外周側に向かって厚みが薄くなるように、互いが対向する側と反対側の斜面にテーパが設けられている。
一方、クランプ15は、外周側から内周側に向かって厚みが薄くなるように内面側にテーパが設けられている。
したがって、クランプ15を内径側に向かって締め付けると連結フランジ10Fと、固定フランジ2Fとが互いに近づくように押圧される。
【0029】
このとき、Oリング14の厚みRは、アウターリング25の内環部25bの厚みt及びフランジ部24の厚みtよりも大きい。このため、クランプ15を内径側に向かって締め付けて連結フランジ10Fと、固定フランジ2Fとが互いに近づくように押圧されることによってOリング14が変形する。
この際、Oリング14はフランジ部24によって位置が固定されているので締め付けの際にずれることなく、Oリング14の側面は連結フランジ10Fと固定フランジ2Fとに押し付けられて、ガス排出管10と基板処理室2とが気密的に接続される。
【0030】
このようにガス排出管10の入口に取り付けられた回転流発生装置20は、以下のように作用する。
回転流発生装置20は、上流側から流入する基板処理済みガスの気流を、軸部22の先端円錐部22Fが周囲に向かって(ガス排出管10の内壁面に衝突する方向に)放射状に偏向させ、さらに、案内羽根23がその形成形状に沿って周方向斜めに偏向させる。
【0031】
すなわち、案内羽根23は、基板処理済みガスの気流を、軸線CLと直交する面内においては軸線CLを中心とする円の接線方向に、且つ、軸線CLと平行する方向においては案内羽根23の角度に偏向させる。軸部22の後端円錐部22Rは、偏向した気流を軸部22の下流側において円滑に合流させる。
【0032】
これにより、回転流発生装置20の下流側においてガス排出管10を流れる基板処理済みガスは、ガス排出管10の内壁面に衝突して方向を規制され、図4に示すように内壁面に沿って所定のピッチで旋回する回転流Sを形成する。案内羽根23は周方向に90°間隔で4枚設けられているため、回転流は、同一ピッチで90°位相が異なる4条ネジのように4本形成され、これらが合流して流れる。
【0033】
ガス排出管10を回転流となって流れる基板処理済みガスは、ガス排出管10の内壁面に衝突してその表面に形成される境界層を破壊する(または境界層の形成を防ぐ)。このため、境界層による流速および温度の低下に起因して生ずる、基板処理済みガスに含まれる塩化アンモニウム等の反応副生成物の析出を抑制することができる。また、内壁面に付着した反応副生成物等を気流で除去することができる。
その結果、反応副生成物等の内壁面への付着に起因するガス排出管10の詰まりを抑制することができ、メンテナンスの頻度およびそのための休止時間を少なくでき、半導体製造装置1の稼働効率を向上させることが可能となる。
【0034】
さらに、回転流発生装置20は、フランジ部24を備え、フランジ部24がインナーリングの機能を有しているので、別部材としてインナーリングを用いることなく、Oリング14を保持することができる。
そして、フランジ部24の厚みtはOリング14の厚みRより小さいので、クランプで締め付けたときにOリング14が圧縮変形することができ、ガス排出管10と基板処理室2とを、気密的に接続することができる。
【0035】
(第2実施形態)
つぎに、本発明にかかる回転流発生装置の第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態に係る回転流発生装置20’の外観斜視図である。
なお、本第2実施形態における回転流発生装置20’の基本構成および装着構造は前述した第1実施形態と同様であり、同機能の構成要素については同符号を付して説明を省略する。
【0036】
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、羽根23が設けられている部分よりも円筒部21’が長い点である。
第1実施形態によると、ガスに含まれる反応副生成物等の、ガス排気管10内での析出および内壁面への付着を抑制することが可能であるが、ガス排気管10の内壁面にわずかに反応副生成物が付着する可能性もある。
【0037】
しかし、本実施形態によると、回転流発生装置20’の円筒部21’が長い。
メンテナンス時においては、クランプ15を取り外し、ガス排出管10の先端部の外周に設けられた連結フランジ10Fと、基板処理室2の排出口に設けられた固定フランジ2Fとガス排気管10と接続部を離間させる。
この際に、回転流発生装置20’を筒から抜き出し、回転流発生装置20’のみ洗浄することで、延びた円筒部21に付着した反応副生成物を除去することができる。
これにより、ガス排気管10の内壁に付着する反応性生物の除去が容易となる。
【0038】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
【0039】
(1)上述の実施形態では、円筒部21の内壁と軸部22の外周面との間に設けられた4枚の案内羽根23A,23B,23C,23Dの、軸線CLと直交する面と円筒部21との交線L1に対する、案内羽根23と円筒部21との連結部L2の角度θは全て同じであったが、これに限定されない。図6に示すように、例えば、案内羽根23と円筒部21との連結部L2の角度θa,θb,θc,θdを、全て異ならせてもよく(図6においてはθa<θb<θc<θdとして示す)。また、角度θa,θb,θc,θdのうちのいずれか1つ又は2つを異ならせてもよい。
【0040】
これによると、各案内羽根23A,23B,23C,23Dは、それぞれピッチの異なる基板処理済みガスの回転流Sa,Sb,Sc,Sdを生成する。この基板処理済みガスの回転流Sa,Sb,Sc,Sdのピッチを適宜設定することで、回転流をガス排出管10の内壁面に効率よく衝突させることもできる。
なお、各羽根の間には、隙間が設けられないようにするの好ましいが、この場合、羽根の角度は、円筒部の内径や長さによって定まる。
【0041】
(2)本実施形態では、回転流発生装置20は4枚の案内羽根を備えている。しかし、案内羽根の数はこれに限らず、それ以下またはそれ以上であっても良い。たとえば、1〜16枚(好ましくは2〜8枚)の案内羽根を備える構成としても良い。
【0042】
(3)本実施形態では、回転流発生装置20をガス排出管10の入口部位に1カ所設けた。しかし、回転流発生装置20の配置位置および数はこれに限らず、たとえば、管路の入口と中間の2カ所に配置する等、適宜設定可能である。
(4)本実施形態は、回転流発生装置20をガス排出管10に設けた例であるが、回転流発生装置20を、反応ガスを供給するガス供給管3に設けても良い。
【0043】
(5)本実施形態は、回転流発生装置20によって生成する回転流によって、管路(ガス排出管10)の内壁への、輸送ガス(基板処理済みガス)の成分(反応副生成物等)の付着を抑制するものである。しかし、本発明の回転流発生装置は、熱交換器における熱媒体の管路に適用しても良い。これによれば、回転流によって管路内壁面の境界層を破壊することで、熱交換効率を向上させることができる。
(6)さらに、上述の実施形態では、流体としてガスを流す場合について説明したがこれに限定されない。例えば、液体、粉体等の流動性の固体であってもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0044】
1:半導体製造装置、2:基板処理室、2F:固定フランジ、3:ガス供給管、4:基板、10:排気管、10F:連結フランジ、14:Oリング、15:クランプ、20:回転流発生装置、21:円筒部、21:円筒部、22:軸部、22a:円柱部、22F:先端円錐部、22R:後端円錐部、23:案内羽根、23:羽根、24:フランジ部、24a:外周面、25:アウターリング、25a:外環部、25b:内環部、25c:端面、51:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6