特許第6306385号(P6306385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306385
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】車載警戒装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/00 20060101AFI20180326BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20180326BHJP
   B60R 25/104 20130101ALI20180326BHJP
   B60R 25/102 20130101ALI20180326BHJP
【FI】
   G08B13/00 B
   G08G1/09 H
   B60R25/104
   B60R25/102
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-56171(P2014-56171)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-179374(P2015-179374A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】牧田 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】松本 宗範
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−122801(JP,A)
【文献】 特開2004−341653(JP,A)
【文献】 特開2007−126118(JP,A)
【文献】 特開2004−094696(JP,A)
【文献】 レスアンヒウ LE XUAN HIEU,高速道路における車々間通信システムへのIDベース暗号の適用とその評価 Applying ID based Encryption to Inter-Vehicle Communication on Highway and its Evaluation,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2013 No.2 [CD−ROM] IPSJ Symposium Series,日本,一般社団法人情報処理学会,2013年 7月10日,第2013巻, 第2号,第404-409頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00−99/00
G08B 13/00−15/02
G08B 19/00−31/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺に存在する周辺車両に搭載された車載警戒装置と双方向の無線通信をするための通信手段(12)と、
前記通信手段を介して、前記周辺車両との間で互いの識別情報を少なくとも含む認証情報を送受信することで、前記識別情報に基づく相互認証を確立する認証手段(10,S100〜S104)と、
前記認証手段により相互認証が確立した周辺車両の識別情報と、当該周辺車両との通信に基づいて特定した当該周辺車両の位置に関する位置情報とを含む周辺車両情報を記憶手段に保存する保存手段(10,S106,S108)と、
前記通信手段を介して、前記周辺車両から当該周辺車両の識別情報を伴う警戒情報を受信した場合、前記記憶手段に記憶されている周辺車両情報に基づき、受信した前記警戒情報で示される識別情報に該当する周辺車両の位置情報に応じた内容の警戒動作を実行する警戒制御手段(10,S204,S206,S210)と、
自車両に対する加害行為を感知したか否かを判断する感知手段(10,S300)と、
前記感知手段により加害行為を感知したと判断された場合、自車両の識別情報を伴う警戒情報を、前記通信手段を介して前記周辺車両に対して送信する警戒情報発信手段(10,S302)とを備え、
前記警戒制御手段は、自車両と当該周辺車両との距離の遠近の度合に応じて前記警戒動作の強度を設定し、自車両に対する加害行為を感知するためのセンサの感度を、設定された強度に応じて調節する警戒動作を実行すること、
を特徴とする車載警戒装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載警戒装置において、
前記警戒制御手段は、自車両と当該周辺車両との距離が所定の範囲内であるときに、自車両に搭載されたカメラによる撮影を行い、撮影された画像情報を前記通信手段を介して当該周辺車両に送信すること、
を特徴とする車載警戒装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車載警戒装置において、
前記警戒情報発信手段により発信された警戒情報を受信した周辺車両から、当該周辺車両において撮影された画像情報を、前記通信手段を介して取得する画像情報取得手段(10,S308)を備えること、
を特徴とする車載警戒装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車載警戒装置において、
所定のユーザ携帯端末と無線通信をするための第2の通信手段(11)と、
前記通信手段を介して前記周辺車両から前記警戒情報を受信した場合、前記警戒動作を実行することを表す実行情報を、前記第2の通信手段を介して前記ユーザ携帯端末に送信する実行情報送信手段(10,S208,S214)と、
を備えることを特徴とする車載警戒装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の車載警戒装置において、
所定のユーザ携帯端末と無線通信をするための第2の通信手段(11)と、
前記感知手段により加害行為を感知したと判断された場合、自車両が被害を受けたことを表す被害情報を、前記第2の通信手段を介して前記ユーザ携帯端末に送信する被害情報送信手段(10,S310)と、
を備えることを特徴とする車載警戒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車盗や車上狙い(車上あらし)等の加害行為に対する警戒を行う車載警戒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車盗や車上狙い等の加害行為に対処するための手段として、自車両に対する加害行為を感知したときに、DCM(Data Communication Module)等の無線通信装置を用いて、ユーザや保安当局への通知を行う車両用装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“G−BOOK.com”、[online]、トヨタメディアサ―ビス株式会社、[平成26年1月28日検索]、インターネット<URL:http://g-book.com/pc/default.asp>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の技術によれば、車両への加害行為が発生した場合、当該車両からセンターを経由する経路でユーザに通知を行うことができるようになっている。しかしながら、加害行為が発生してからセンター経由でユーザに通知されるため、ユーザは事後に認知することしかできない。また、加害行為の発生がセンターから保安当局に通報されても、保安員が現場に到着するまでの間に被害が拡大するおそれがある。このように、現地において車両単体で行う防犯対策は、加害行為を未然に防ぐものとしては効果が限定的である。
【0005】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、複数の車両同士で協調して防犯機能を向上させるための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載警戒装置は、通信手段、認証手段、保存手段、警戒制御手段、感知手段、及び、警戒情報発信手段を備えることを特徴とする。通信手段は、自車両の周辺に存在する周辺車両に搭載された車載警戒装置と双方向の無線通信をするためのものである。認証手段は、周辺車両との間で互いの識別情報を少なくとも含む認証情報を送受信することで、識別情報に基づく相互認証を確立する。保存手段は、認証手段により相互認証が確立した周辺車両の識別情報と、当該周辺車両との通信に基づいて特定した当該周辺車両の位置に関する位置情報とを含む周辺車両情報を記憶手段に保存する。
【0007】
警戒制御手段は、周辺車両から当該周辺車両の識別情報を伴う警戒情報を受信した場合、記憶手段に記憶されている周辺車両情報に基づき、受信した警戒情報で示される識別情報に該当する周辺車両の位置情報に応じた内容の警戒動作を実行する。感知手段は、自車両に対する加害行為を感知したか否かを判断する。警戒情報発信手段は、感知手段により加害行為を感知したと判断された場合、自車両の識別情報を伴う警戒情報を、通信手段を介して周辺車両に対して送信する。
【0008】
本発明によれば、車載警戒装置が搭載された複数の車両が駐車している環境において、周辺車両間で互いに通信をして相互認証を確立することで、互いの位置関係を把握するこ
とができるようになっている。そして、相互認証が確立した何れかの車両に対する加害行為が感知されたときに、その加害行為に関する警戒情報を周辺車両に展開し、各周辺車両がそれぞれ警戒動作を行うことで、加害行為が各周辺車両に及ぶのを未然に防ぐことができる。このように、複数の車両同士で協調して情報共有することにより、防犯性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車載警戒システムの全体構成を表すブロック図。
図2】通信シーケンスを表す図。
図3】相互認証処理の手順を表すフローチャート。
図4】警戒情報受信処理の手順を表すフローチャート。
図5】警戒情報送信処理の手順を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[車載警戒システムの構成の説明]
実施形態の車載警戒システム1の構成について、図1を参照しながら説明する。図1に示す事例では、車載警戒システム1をそれぞれ搭載した複数の車両A,B,Cが駐車している環境を想定している。車載警戒システム1は、ユーザが持つ携帯機(鍵)と無線通信を行いドアの施解錠やエンジン始動を行う公知の電子キーシステム(いわゆるスマートエントリー)の機能に、周辺車両と連携して加害行為に対する警戒を行う機能が追加されたシステムである。車載警戒システム1は、セキュリティECU10、LF送信部11、RF通信部12、イモビライザ15、エンジンECU16、ボデーECU17、ドアロック18、センサ類19、及び車載カメラ20を備える。
【0011】
セキュリティECU10は、運転者が持つユーザ携帯機3と無線通信をして、ドアの施解錠やエンジン始動を行う機能や、無線通信を利用して相互認証した周辺車両と連携して加害行為を警戒する機能を実行する電子制御装置である。このセキュリティECU10は、図示しないCPU、ROM、RAM等を中心に構成された情報処理装置である。セキュリティECU10には、LF送信部11、RF通信部12、イモビライザ15、ボデーECU17が通信可能に接続されている。
【0012】
LF送信部11は、運転者が持つユーザ携帯機3に通信電波を送信する無線送信機である。このLF送信部11は、所定の長波帯の周波数(LF:Low Frequency)の電波を用いて、ユーザ携帯機3に情報を送信する。RF通信部12は、所定の無線周波数(RF:Radio Frequency)の電波を用いて双方向の無線通信を行う通信装置である。このRF通信部12は、RF受信部13とRF送信部14とを備える。RF受信部13は、通信可能範囲に存在するユーザ携帯機3及び周辺車両に搭載された車載警戒システム1から送信される通信電波を受信する。RF送信部14は、周辺車両に搭載された車載警戒システム1に通信電波を送信する。
【0013】
イモビライザ15は、固有のIDコードに基づいてエンジン始動の許否を制御する盗難防止機能を備えた電子制御装置である。イモビライザ15は、セキュリティECU10がユーザ携帯機3から受信したIDコードと、予め登録されている固有のIDコードとを照合する。照合の結果、IDコードが一致すれば、イモビライザ15は、エンジンECU16に対してエンジンの始動を許可し、一致しなければエンジンの始動を許可しない。
【0014】
ボデーECU17は、車両に搭載された各種の電装品を制御する電子制御装置である。ボデーECU17には、制御対象の電装品としてドアロック18、センサ類19、車載カ
メラ20が接続されている。セキュリティECU10は、ボデーECU17と通信することで、ドアロック18、センサ類19、車載カメラ20を制御できるようになっている。
【0015】
ドアロック18は、車両のドアの施錠及び解錠を電気的に行う装置である。センサ類19は、自車両に対する加害行為を感知するための各種センサである。具体的には、人体検出用の赤外線センサや、車両のドアやトランクの開閉を感知するカーシテスイッチ、車窓や車体に加えられた衝撃を感知する衝撃センサ、電波の照射により動体を感知するドップラセンサ等が挙げられる。車載カメラ20は、例えば、車両のルームミラー、バックミラー等に設置され、自車両周辺の様子を撮影するための撮影装置である。
【0016】
ユーザ携帯機3は、車両のドアの施解錠やエンジンの始動を行うための電子キーとして用いられる通信機器である。このユーザ携帯機3は、車載警戒システム1からLF帯の通信電波を受信して情報を取得し、RF帯の通信電波を用いて車載警戒システム1に情報を送信する。ユーザ携帯機3は、通信接続した車載警戒システム1に対して、登録されているIDコードを送信する機能を有する。また、ユーザ携帯機3は、車載警戒システム1から受信した実行情報及び被害情報(詳細は後述する)の内容をユーザに対して報知する機能を有する。
【0017】
[車車間通信シーケンスの説明]
図1に例示される車両A,B,Cそれぞれに搭載された車載警戒システム1のセキュリティECU10による通信シーケンスについて、図2を参照しながら説明する。なお、図2では、車両Aの車載警戒システム1と車両Aの電子キーとして用いられるユーザ携帯機3との通信シーケンスについても例示している。また、図2の事例では、車両間で相互認証行う局面(a)、車両Bにおいて加害行為が感知された局面(b)、及び、車両Aにおいて加害行為が感知された局面(c)の3つの局面を想定している。
【0018】
図2の(a)の局面では、各車両A〜CのセキュリティECU10は、駐車中において、RF通信部12を用いて認証要求を周辺車両に対して定期的に送信すると共に、周辺車両から送信された認証要求を受信する。各車両A〜CのセキュリティECU10は、周辺車両から発信された認証要求を受信した場合、発信元の周辺車両に対して応答信号を返信する。また、各車両A〜CのセキュリティECU10は、周辺車両から応答信号の返信を受信した場合、返信元の周辺車両に対して相互認証通知を返信することで、前記周辺車両との相互認証を成立させる。
【0019】
図2の(b)の局面では、車両BのセキュリティECU10が、車両Bに対する加害行為を感知すると、前述の(a)の局面において相互認証をした車両A,Cに対して、警戒情報を送信する。これに対して、車両A,CのセキュリティECU10は、車両Bから警戒情報を受信すると、車両Bに対して応答信号を送信する。車両A,CのセキュリティECU10は、車両Bから受信した警戒情報に基づいて自車両の警戒モードを実行する。また、車両Bから警戒情報を受信した場合、車両AのセキュリティECU10は、車両Aの電子キーとして登録されているユーザ携帯機3に対して、警戒モードに設定された旨の実行情報を送信する。
【0020】
図2の(c)の局面では、車両AのセキュリティECU10が、車両Aに対する加害行為を感知すると、前述の(a)の局面において相互認証をした車両B,Cに対して、警戒情報を送信する。これに対して、車両B,CのセキュリティECU10は、車両Aから警戒情報を受信すると、車両Aに対して応答信号を送信する。車両B,CのセキュリティECU10は、車両Aから受信した警戒情報に基づいて自車両の警戒モードを実行する。また、車両AのセキュリティECU10は、車両Aの電子キーとして登録されているユーザ携帯機3に対して、加害行為を受けた旨の被害情報を送信する。
【0021】
[相互認証処理の説明]
車載警戒システム1のセキュリティECU10が実行する相互認証処理の手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、自車両が駐車中の状態において所定の制御間隔で実行される。ここでいう駐車中の状態とは、例えば、エンジンが停止され、ドアが閉められた後の状態を想定している。
【0022】
S100では、セキュリティECU10は、RF通信部12を介して認証要求情報を外部に定期的に送信する。この認証要求には、自車両を識別可能な車両識別情報が含まれる。S102では、セキュリティECU10は、S100で送信した認証要求に対する周辺車両からの応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信していない場合(S102:NO)、セキュリティECU10はS100に戻り、定期的に認証要求情報を送信する。一方、応答信号を受信した場合(S102:YES)、セキュリティECU10はS104に進む。なお、認証要求情報に対して周辺車両から返信される応答信号には、当該周辺車両の車両識別情報が含まれる。
【0023】
S104では、セキュリティECU10は、受信した応答信号の返信元である周辺車両に対して、相互認証通知を返信する。この相互認証通知には、自車両の車両識別情報が含まれる。S106では、セキュリティECU10は、S102において受信した応答信号に基づいて、この応答信号の返信元である周辺車両と自車両との位置関係を特定する。
【0024】
具体的には、受信した応答信号の受信電波強度を計測して、周辺車両と自車両との距離を特定する方法(例えば、RSSI:Received Signal Strength Indication)が挙げられる。また、RSSIに限らず、TOA(Time Of Arrival)、TDOA(Time Difference Of Arrival)、及びAOA(Angle Of Arrival)等の周知技術を用いてもよい。あるいは、自車両及び周辺車両にGPS受信機(図示なし)が搭載されていることを前提に、応答信号にGPSにより測位された現在地を表す情報を含ませる構成としてもよい。そして、自車両と周辺車両とにおけるGPSの測位結果に基づいて両者の位置関係(距離や方向)を特定してもよい。
【0025】
S108では、セキュリティECU10は、受信した応答信号の発信元である周辺車両について、相互認証が成立した周辺車両に関する周辺車両情報をメモリに登録する。この周辺車両情報には、当該周辺車両の車両識別情報、及びS106で特定した位置関係(例えば、距離)を表す情報が含まれる。S108の後、セキュリティECU10は本処理を終了する。
【0026】
[警戒情報受信処理の説明]
車載警戒システム1のセキュリティECU10が実行する警戒情報受信処理の手順について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、自車両が駐車中の状態において所定の制御間隔で実行される。
【0027】
S200では、セキュリティECU10は、上述の相互認証処理により相互認証が成立した周辺車両から、警戒情報を受信したか否かを判定する。なお、周辺車両から発信される警戒情報には、当該周辺車両の車両識別情報や、加害行為を感知したセンサ類19に関する感知情報が含まれる。警戒情報を受信した場合(S200:YES)、セキュリティECU10はS202に進む。一方、警戒情報を受信していない場合(S200:NO)、セキュリティECU10はS200に戻り、判定を繰返す。
【0028】
警戒情報を受信した場合に進むS202では、セキュリティECU10は、受信した警戒情報の発信元である周辺車両に応答信号を返信する。この応答信号には、自車両の車両
識別情報が含まれる。S204では、セキュリティECU10は、上述の相互認証処理により登録された周辺車両情報に含まれる位置情報に基づき、警戒情報の発信元である周辺車両と自車両との距離が、所定の近距離範囲であるか遠距離範囲であるかを判定する。
【0029】
警戒情報の発信元である周辺車両と自車両との距離が所定の遠距離範囲に該当する場合(S204:遠い)、セキュリティECU10はS206に進む。S206では、セキュリティECU10は、イモビライザ15及びボデーECU17を制御して第1警戒モードを開始する。第1警戒モードは、例えば、通常の駐車状態のときよりも、ドアロックやエンジン等の車載機器に対して多くの動作制限をかけたり、防犯のためのセンサ類の感度を上げる動作モードである。S208では、セキュリティECU10は、自車両が第1警戒モードに設定されたことを表す実行情報を、自車両の電子キーとして登録されているユーザ携帯機3に通知する。S208の後、セキュリティECU10は本処理を終了する。
【0030】
一方、警戒情報の発信元である周辺車両と自車両との距離が所定の近距離範囲に該当する場合(S204:近い)、セキュリティECU10はS210に進む。S210では、セキュリティECU10は、イモビライザ15及びボデーECU17を制御して第2警戒モードを開始する。第2警戒モードは、前述の第1警戒モードより強度の高い警戒動作を行うモードである。例えば、第1警戒モードよりも更にドアロックやエンジン等の車載機器に対して多くの動作制限をかけたり、防犯のためのセンサ類の感度を上げる。S212では、セキュリティECU10は、ボデーECU17を通じて車載カメラ20を作動させ、自車両周辺の様子を撮影させる。
【0031】
S214では、セキュリティECU10は、自車両が第2警戒モードに設定されたことを表す実行情報を、自車両の電子キーとして登録されているユーザ携帯機3に通知する。S216では、セキュリティECU10は、車載カメラ20により撮像されたカメラ画像を、警戒情報の発信元である周辺車両に送信する。S216の後、セキュリティECU10は本処理を終了する。
【0032】
[警戒情報送信処理の説明]
車載警戒システム1のセキュリティECU10が実行する警戒情報送信処理の手順について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、自車両が駐車中の状態において所定の制御間隔で実行される。
【0033】
S300では、セキュリティECU10は、ボデーECU17を通じて入力されるセンサ類19からの情報に基づいて、自車両に対する加害行為を感知したか否かを判定する。自車両に対する加害行為を感知した場合(S300:YES)、セキュリティECU10はS302に進む。一方、自車両に対する加害行為を感知していない場合(S300:NO)、セキュリティECU10はS300に戻り、判定を繰返す。
【0034】
S302では、セキュリティECU10は、自車両において加害行為が感知されたことを周辺車両に通知するための警戒情報を、上述の相互認証処理により相互認証が成立した周辺車両に送信する。この警戒情報には、自車両の車両識別情報や、加害行為を感知したセンサ類19に関する感知情報が含まれる。
【0035】
S304では、セキュリティECU10は、周辺車両から警戒情報に対する応答信号を受信したか否かを判定する。応答信号を受信した場合(S304:YES)、セキュリティECU10はS306に進む。一方、応答信号を受信していない場合(S304:NO)、セキュリティECU10はS302に戻り、警戒情報の送信を繰返す。S306では、セキュリティECU10は、上述の相互認証処理により登録された周辺車両情報に含まれる位置情報に基づき、受信した応答信号の発信元である周辺車両と自車両との距離が、
所定の近距離範囲であるか遠距離範囲であるかを判定する。
【0036】
応答信号の発信元である周辺車両と自車両との距離が所定の近距離範囲に該当する場合(S306:近い)、セキュリティECU10はS308に進む。一方、応答信号の発信元である周辺車両と自車両との距離が所定の近距離範囲に該当する場合(S306:遠い)、セキュリティECU10はS310に進む。
【0037】
S308では、セキュリティECU10は、近距離範囲に該当する周辺車両から、その周辺車両の車載カメラ20によって撮像されたカメラ画像のデータを取得し、取得したカメラ画像のデータをメモリに保存する。次のS310では、自車両において加害行為が感知されたことを表す被害情報を、自車両の電子キーとして登録されているユーザ携帯機3に通知する。S310の後、セキュリティECU10は本処理を終了する。
【0038】
[効果]
実施形態の車載警戒システム1によれば、以下の効果を奏する。
車載警戒システム1が搭載された複数の車両が駐車している環境において、周辺車両間で互いに通信をして相互認証を確立することで、互いの位置関係を把握することができるようになっている。そして、相互認証が確立した何れかの車両に対する加害行為が感知されたときに、被害を受けた車両から周辺車両に対して警戒情報を展開することができる。警戒情報を受信した各周辺車両がそれぞれ警戒モードを実行することで、加害行為が各周辺車両に及ぶのを未然に防ぐことができる。このように、複数の車両同士で協調して情報共有することにより、防犯性を向上できる。
【0039】
また、相互認証した車両間において互いの位置関係を把握することで、被害を受けた車両と周辺車両との距離に応じて、周辺車両が実行する警戒モードの強度を選択できる。また、被害を受けた車両が、近くに存在する周辺車両から車載カメラ20によって撮像されたカメラ画像を取得できるので、加害行為に関する重要な証拠を確保できる。
【0040】
また、周辺車両から被害情報を受信したときに、自車両が警戒モードに移行したことを表す実行情報をユーザ携帯機3に送信できる。これにより、自車両の近隣で車両に対する加害行為が発生していることをいち早くユーザに通知できる。また、自車両において加害行為が感知されたときに、被害情報をユーザ携帯機3に送信できる。これにより、自車両に対する加害行為が発生していることをいち早くユーザに通知できる。
【符号の説明】
【0041】
1…車載警戒システム、10…セキュリティECU、11…LF送信部、12…RF通信部、13…RF受信部、14…RF送信部、15…イモビライザ、16…エンジンECU、17…ボデーECU、18…ドアロック、19…センサ類、20…車載カメラ。
図1
図2
図3
図4
図5