(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10について図面を参照して説明する。
【0015】
この発明の実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10は、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aに差し込まれた場合、板部30とストッパー23bとが当接することによって、差込口カバー20が所定の位置で係止するとともに、把持部22の端面とオスコネクタ2の端面とが当接することで、把持部22の端面がオスコネクタ2の端面を押止することにより、オスコネクタ2が差込口1aから容易に外れることを防止する。
【0016】
また、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから外された場合、メスコネクタ1の差込口1aを差込口カバー20がふさいで塵等の侵入を防止する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10が、メスコネクタ1をそなえた筐体(図示せず)に設けられた状態の例を示している。
【0018】
本実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10は、
図1に示すように、差込口カバー20(カバー収納部32からめくりあげられた状態)と、板部30と、から構成される。
【0019】
差込口カバー20は、
図1に示すようにオスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから外された場合には、筐体(図示せず)に備わるメスコネクタ1の差込口1aをふさぎ、
図2に示すようにオスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aに差し込まれた場合には、メスコネクタ1からオスコネクタ2の離脱を防止する部材であって、弾性を備える合成樹脂等から成形される。そのため、差込口カバー20は、
図1に示すようにめくりあげることができる。
【0020】
また、差込口カバー20は、
図3に示すように、カバー本体21と把持部22と柱状部23とから構成され、これらのカバー本体21と把持部22と柱状部23とは、一体成形されている。そのため、差込口カバー20は、生産が容易であって、強度や耐久性に優れ、コネクタ離脱防止装置の部品数を抑えることができる。
【0021】
カバー本体21は、差込口カバー20の一部分であって差込口1aをふさぐ機能を有している。この実施の形態におけるカバー本体21は、長方形である平板状の弾性体であって、
図4に示すように長方形面の一方(板部30に対向する面)に、把持部22と柱状部23とを備えている。
【0022】
把持部22は、
図2に示すように、オスコネクタ2がメスコネクタ1に差し込まれた場合に、オスコネクタ2から延設するコード3を把持するとともにオスコネクタ2の端面を押圧する部分であって、
図4に示すように、突出部22aとコード収容部22bとから構成される。
【0023】
突出部22aは、
図4に示すように、カバー本体21から突出する柱状の部分であって、カバー本体21とコード収容部22bとを継合する。
【0024】
また、コード収容部22bは、
図2に示すように、コード3が挿入されて把持する部分であって、
図4に示すように、挿入口22cと中空部22dとが形成されている。
【0025】
挿入口22cは、コード3を中空部22dに挿入するための開口であって、挿入口22cの向きが、
図4に示すように突出部22aの逆向きに形成され、挿入口22cの幅Wは、コード3の外径φa(
図2参照)より狭く形成されている。なお、挿入口22cの先端部22e(
図4参照)には丸み面取りがされているため、コード3を容易に挿入することができる。
【0026】
また、中空部22dは、挿入口22cから挿入したコード3が収容される部分であって、中空部22dの内径φb(
図4参照)は、コード3の外径φa(
図2参照)と同一に形成されている。そのため、コード3はコード収容部22bによって抱持され、容易に外れない。なお、本実施の形態におけるコード3の断面形状は丸形であるため、
図4に示すように、中空部22dの形状も丸形に形成されている。
【0027】
柱状部23は、
図5に示すように、板部30の貫通孔33に挿入されることにより、差込口カバー20と板部30とを組み付ける機能を有する部分であって、
図4に示すように、長軸柱23aとストッパー23bと小径柱23cとから構成される。なお、前述したように、差込口カバー20は一体成形されるため、これらについても一体成形される。
【0028】
長軸柱23aは、
図4に示すように、突出部22aと同様に、カバー本体21の長方形面の一方(板部30に対向する面)から突出する円柱状の部分である。長軸柱23aの外径φcは、貫通孔33の内径φd(
図6参照)より小さく形成されている。したがって、
図5に示すように、貫通孔33に貫入した長軸柱23aは、貫通口33から抜き差しすることができ、長軸柱23aと一体に成形されたカバー本体21は板部30に対して遠近自在に移動する。
【0029】
また、ストッパー23bは、
図4に示すように、長軸柱23aの先端に長軸柱23aと一体に成形された円柱状の部分である。ストッパー23bの先端部分の周縁には面取りが施されており、ストッパー23bの形状がくさび形状となっている。そのため、ストッパー23bを貫通口33に押し込むことで容易に貫通させることができる。また、ストッパー23bの外径φeは、貫通孔33の内径φd(
図6参照)より大きく形成されている。そのため、一旦ストッパー23bを貫通させた後は、当該ストッパー23bは貫通孔33から容易に抜けず(ストッパー23bが板部30と当接するため)、差込口カバー20と板部30とが分離してしまうことを防止することができる。
【0030】
小径柱23cは、
図4に示すように、ストッパー23bの端面に、ストッパー23bと一体に成形された円柱状の部分である。小径柱23cの外径φfは、貫通孔33の外径φe(
図6参照)よりも小さく形成されている。そのため、ストッパー23bを貫通孔33に貫入する際に、小径柱23cが貫通孔33から外れることがなく案内となるため、ストッパー23bを貫通孔33に容易に貫入することができる。
【0031】
板部30は、樹脂や金属等の剛性部材によって形成された板状の部材であって、
図6に示すように、開口部31とカバー収納部32と貫通孔33と挿入溝34とを備え、メスコネクタ1を備える筐体(図示せず)に設けられる。
【0032】
開口部31は、筐体(図示せず)に備えられたメスコネクタ1の差込口1aにオスコネクタ2を自在に着脱可能とするために設けられており、
図6に示すように、板部30を貫通する開口である。開口部31の形状は、差込口1aの外形より大きく形成されている。
【0033】
また、カバー収納部32は、
図6に示すように、開口部31の周囲に、カバー本体21が収納できるように形成された凹部であって、メスコネクタ1の差込口1aからオスコネクタ2を外して差込口1aをふさぐ場合に、
図7のようにカバー本体21を収納する。なお、カバー収納部32の凹部の深さD(
図6参照)は、カバー本体21の厚さT(
図3参照)と同一に形成されている。したがって、
図7のようにカバー本体21がカバー収納部32に収納されると、カバー表面21aと板部表面30aは面一となる。
【0034】
また、貫通孔33は、
図6に示すように、カバー収納部32内(開口部31の近傍)に配置され、板部30を貫通する円孔である。
【0035】
前述のとおり、貫通孔33には柱状部23が挿入される。そして、貫通孔33の内径φd(
図6参照)は、長軸柱23aの外径φc(
図4参照)より大きく形成されている。そのため、長軸柱23aは貫通孔33を抜き差しすることができ、長軸柱23aと一体成形されたカバー本体21は板部30に対して遠近自在に移動する。
【0036】
また、前述のとおり、長軸柱23aの先に形成されたストッパー23bの外径φe(
図4参照)は、貫通孔33の内径φd(
図6参照)より大きく形成されているため、貫通孔33を突出したストッパー23bは、貫通孔33から抜けない。したがって、
図5のように、長軸柱23aを貫通孔33から引き出すと、図に表れないストッパー23bが板部30と当接し、柱状部23は所定の位置で係止する。
【0037】
挿入溝34は、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから外された場合に、把持部22を挿入して収納する溝であって、
図6に示すように、カバー収納部32内(開口部31の近傍)に配置される。挿入溝34の形状は、
図4に示すコード収容部22bをカバー本体21に投影した外形形状よりやや大きめに形成されている。また、挿入溝34の深さは、把持部22が収納された場合に把持部22の先端が挿入溝34に当接しないようにするため、カバー本体21からの把持部22の最大高さH(
図4参照)より深いことが必要である。なお、本実施例では、板部30の厚さが最大高さHより薄いため、挿入溝34は板部30を貫通している。
【0038】
このように、挿入溝34が板部30に形成されていることによって、把持部22を挿入溝34に挿入して収納でき、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから外された場合、
図7に示すように差込口1aがカバー本体21によってふさがれる。
【0039】
次に、本実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10を用いて、オスコネクタ2がメスコネクタ1から外れることを防止する動作について、図面を用いて以下に説明する。
【0040】
まず、本実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10を、
図1に示すように、メスコネクタ1をそなえた筐体(図示せず)に設ける。
【0041】
そして、長軸柱23aを、
図5に示すように貫通孔33から引き出し、長軸柱23aの先端に形成されたストッパー23b(図示せず)を板部30と当接させ、ストッパー23bと一体に成形された長軸柱23aを所定の位置で係止する。長軸柱23aはカバー本体21と一体に成形されているため、カバー本体21は長軸柱23aと連結する部分が係止する。
【0042】
そして、
図2に示すように、板部30の開口部31を通してオスコネクタ2をメスコネクタ1に差し込み、オスコネクタ2から延設するコード3を、めくりあげたカバー本体21に備わる把持部22のコード収容部22bに形成された挿入口22cに挿入して中空部22dに収容するとともに、オスコネクタ2の端面に把持部22の端面を当接させる。
【0043】
メスコネクタ1とオスコネクタ2とは、お互いを掛止する機構を備えず、抜き差しが容易であり、コード3が引っ張られると、メスコネクタ1からオスコネクタ2が外れてしまう。
【0044】
しかし、上記のように、ストッパー23bが板部30と当接することによって長軸柱23aが係止し、係止する長軸柱23aと一体に成形されたカバー本体21に備わる把持部22の端面によりオスコネクタ2の端面が押圧されるため、コード3が引っ張られてもオスコネクタ2がメスコネクタ1から外れることを防止することができる。
【0045】
次に、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから外された場合に、本実施の形態に係るコネクタ離脱防止装置10を用いてメスコネクタ1の差込口1aをふさぐ動作について、図面を用いて説明する。
【0046】
メスコネクタ1にオスコネクタ2を差し込んだ状態(
図2参照)から、メスコネクタ1からオスコネクタ2を取り外した状態(
図5参照)にする。そして、
図1に示すように、長軸柱23aを貫通孔33に没入させて、カバー本体21の貫通孔33と連結する部分をカバー収納部32に挿入し、
図7に示すように、めくりあがったカバー本体21を倒し、把持部22を挿入溝34に挿入し、カバー本体21の全体をカバー収納部32に収納する。このことにより、差込口1aはカバー本体21によってふさがれる。したがって、塵等が差込口1aに侵入することを防止することができる。
【0047】
また、前述のとおり、カバー収納部32の凹部の深さD(
図6参照)とカバー本体21の厚さT(
図3参照)とは同一に形成されている。そのため、
図7のように、カバー表面21aと板部表面30aは面一となる。したがって、外観を損なうことなく差込口1aをふさぐことができる。
【0048】
上記では、本発明に係る実施の形態を具体的に説明したが、本発明のコネクタ離脱防止装置10は、以下に示す、板部30と弾性を有する差込口カバー20とを備えていればよい。
【0049】
具体的に、板部30は、開口部31と、開口部31の近傍に貫通孔33を備えていればよい。また、差込口カバー20は、差込口カバー20の一方の面に、端部にストッパー23bを有する柱状部23と、オスコネクタ2から延設するコード3を把持する把持部22と、を備えていればよい。
【0050】
また、板部30と差込口カバー20とは、貫通孔33に柱状部23が貫通することにより組み付いており、差込口カバー20は、柱状部23を貫通孔33から抜き差しすることで板部30に対して遠近自在に移動可能である。また、板部30から離隔した場合には、貫通孔33から突出したストッパー23bが板部30と当接するため、板部30からの分離が防止される。
【0051】
そして、オスコネクタ2が、筐体(図示せず)に設けられたメスコネクタ1の差込口1aに、開口部31を通して差し込まれた場合に、板部30とストッパー23bとが当接することによって差込口カバー20が所定の位置で係止し、把持部22がコード3を把持するとともに、把持部22の端面とオスコネクタ2の端面とが当接することによって把持部22の端面がオスコネクタ2の端面を押止する。したがって、オスコネクタ2がメスコネクタ1の差込口1aから容易に外れることを防止することができる。
【0052】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0053】
上記実施の形態では、長軸柱23aの形状を円柱とする例を示したが、長軸柱23aの形状は、例えば角柱や帯のように他の形状により形成してもよい。この場合、貫通孔33は、長軸柱23aの断面形状と相似形状であって、長軸柱23aの断面積より大きな穴に形成することが好ましい。また、ストッパー23bは、貫通孔33に押し込むことができるとともに貫通孔33から突出した後は貫通孔33から抜けない形状であれば、いずれの形状であってもよい。
【0054】
また、コード収容部22bの挿入口22cの向きが、突出部22aの逆向きに形成されている例を示したが、コード3を把持することができれば、いずれの向きであってもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、コード収容部22bに収容されるコード3の断面形状が丸形である例を示したが、これは一例である。コード3の断面形状は、例えば、電源コードのように平形であっても、またその他の形状であってもよい。この場合、コード3が挿入され収容されるコード収容部22bの中空部22dの形状は、コード3の断面形状と同一の形状とすることが好ましい。この場合においても、挿入口22cの幅Wは、上記実施の形態と同様に、コード3の最小厚より狭くすることが好ましい。
【0056】
また、上記実施の形態では、掛止機構を備えないコネクタ(差込プラグやUSBコネクタ、IEEE1394コネクタ、HDMI(登録商標)コネクタ、フォーンコネクタ等)にコネクタ離脱防止装置10を用いる場合を例に説明したが、これに限られず掛止機構を備えるコネクタ、例えば、LAN端子(RJ−45)やRS−232C(D−Sub25pin,9pin)に用いても良い。
【0057】
また、上記実施の形態では、メスコネクタ1がコネクタ離脱防止装置10ではなく筐体に備わっている例を示したが、メスコネクタ1はコネクタ離脱防止装置10の板部30に設けられていてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、板部30が筐体とは別体である例を示したが、板部30は筐体と一体に形成されていても良い。
【0059】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0060】
(付記1)
開口と、前記開口の近傍に前記開口とは異なる貫通孔と、を備える板部と、
弾性を有する差込口カバーと、
を備えるコネクタ離脱防止装置であって、
前記差込口カバーは、前記差込口カバーの一方の面に、端部にストッパーを有する柱状部と、コネクタから延設するコードを把持する把持部と、を備え、
前記板部と前記差込口カバーとは、前記貫通孔に前記柱状部が貫通することにより組み付いており、
前記差込口カバーは、前記柱状部を前記貫通孔から抜き差しすることで前記板部に対して遠近自在に移動可能であって、前記板部から離隔した場合に前記貫通孔から突出した前記ストッパーが前記板部と当接することにより前記板部からの分離が防止され、
前記開口から前記コネクタが差込口に差し込まれた場合に、
前記ストッパーが前記板部と当接し、
前記把持部が前記コードを把持するとともに、前記把持部の端面が前記コネクタの端面と当接する、
ことを特徴とするコネクタ離脱防止装置。
【0061】
(付記2)
前記板部は、前記開口の近傍に、前記貫通孔と異なる挿入溝をさらに備え、
前記コネクタが前記差込口から外された場合に、
前記柱状部を前記貫通孔に没入する方向に移動させ、前記把持部を前記挿入溝に挿入することによって、前記差込口カバーにより前記開口を覆う、
ことを特徴とする付記1に記載のコネクタ離脱防止装置。
【0062】
(付記3)
前記板部は、前記差込口カバーを収納可能な凹部を前記開口の周囲に備え、
前記差込口カバーにより前記開口を覆った場合に、
前記差込口カバーは前記凹部に収納され、
前記差込口カバーの外側面と前記板部の外側面とは面一となる、
ことを特徴とする付記2に記載のコネクタ離脱防止装置。
【0063】
(付記4)
前記把持部は、前記コードを挿入する部分の幅が前記コードのいずれの方向の幅より狭く、前記コードを収容する部分の中空形状が前記コードの断面形状と同一である、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載のコネクタ離脱防止装置。
【0064】
(付記5)
前記ストッパーは、くさび形状である、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載のコネクタ離脱防止装置。
【0065】
(付記6)
前記柱状部と前記把持部とは、前記差込口カバーと一体成形されている、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れかに記載のコネクタ離脱防止装置。
【0066】
(付記7)
前記コネクタが、掛止機構を備えていない、
ことを特徴とする付記1乃至6の何れかに記載のコネクタ離脱防止装置。