(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306404
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】クレーンのコラムポスト用旋回装置およびそのバックラッシ調整方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/84 20060101AFI20180326BHJP
F16H 19/04 20060101ALI20180326BHJP
F16H 55/28 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
B66C23/84 C
F16H19/04 E
F16H19/04 G
F16H55/28
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-80298(P2014-80298)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-199583(P2015-199583A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋憲
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−137802(JP,U)
【文献】
実開昭62−176185(JP,U)
【文献】
特開昭58−078995(JP,A)
【文献】
実開昭63−082037(JP,U)
【文献】
米国特許第03738500(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00 − 23/94
F16H 19/00 − 37/16
F16H 49/00
F16H 51/00 − 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのコラムポストを前記クレーンが架装される車両の基台に対して水平方向に旋回させる旋回装置において、
前記コラムポストの基端部と前記基台との間に装着されるハウジングと、上下方向を向く軸線まわりに回転自在に前記ハウジング内に収容されるとともに前記コラムポストの基端部と一体で回転するピニオンギヤと、前記ハウジングの両側面に対向配置されたフランジ装着部に自身端面の円環状のフランジ面が装着される中空円筒状の一対のシリンダチューブと、前記一対のシリンダチューブ相互に摺嵌されて前記ピニオンギヤに中心軸が直交して歯合されるラックギヤを有するとともに前記一対のシリンダチューブに給排される圧油によりスライド移動するように両端にピストンを有するスライドロッドとを備えるラック・アンド・ピニオン方式の旋回装置であって、
前記シリンダチューブは、自身端部にインロー部を有する円環状のフランジ部と、該フランジ部の内孔の内側に溶着された円筒部とから構成され、前記フランジ部は、前記円環状のフランジ面に周方向に沿って同一円周上に等配された複数のボルト装着孔を有し、
前記フランジ部の内孔の中心軸と前記円筒部の中心軸とが同軸を形成する第一の同軸配置とされるとともに、前記インロー部の中心軸と、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸とが同軸を形成する第二の同軸配置とされ、
前記第一の同軸配置と前記第二の同軸配置とは、相互の中心線同士が偏心して形成されていることを特徴とするクレーンのコラムポスト用旋回装置。
【請求項2】
前記一対のシリンダチューブは、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸が前記円筒部の中心軸に対して相互に同じだけ偏心して形成されており、前記ハウジングのフランジ装着部は、前記複数のボルト装着孔に対向する位置に、周方向に沿って同一円周上に等配された複数の雌ねじを有し、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を円周方向に回転させて相互に同じだけ変えることで、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の周方向での装着位置に対応して段階的に変えられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。
【請求項3】
前記一対のシリンダチューブが二組並設されるとともに、該並設された一対のシリンダチューブそれぞれに摺嵌された前記スライドロッドのラックギヤにより前記ピニオンギヤを径方向両側から挟持するように構成されており、
前記スライドロッドは、前記ラックギヤが形成された側とは反対側の面に、前記スライド移動する方向に沿って形成された平滑面を有し、前記ハウジングは、前記スライドロッドの平滑面に対向する位置に、前記平滑面に摺接する摺動板と、該摺動板を前記平滑面に向けて押圧する押圧手段とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。
【請求項4】
前記インロー部の外周面と前記ハウジングのチューブ取付け孔の嵌合面との間にはOリングが介装され、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとの噛み合い部分は、前記ハウジング内部に潤滑油が充填されることによって常に潤滑状態とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置におけるラック・アンド・ピニオン機構のバックラッシを調整する方法であって、
前記一対のシリンダチューブそれぞれの、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を周方向にて相互に同じだけ変えることにより、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の周方向での装着位置に対応して変えることを特徴とするクレーンのコラムポスト用旋回装置のバックラッシ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンが架装される車両の基台に対してクレーンのコラムポストを水平方向に旋回させるラック・アンド・ピニオン式の旋回装置に係り、特に、そのラック・アンド・ピニオンのバックラッシ調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の旋回装置の一例を
図7に示す。同図に示す旋回装置100はハウジング120を有し、クレーンのコラムポスト基端部2aが、このハウジング120を台にして、図示しない車両の基台上に装着されるようになっている。ハウジング120内には、軸受13により支持されたピニオンギヤ12が上下方向を向く軸線まわりに回転自在に設けられ、このピニオンギヤ12がコラムポスト基端部2a下方に延設された旋回軸部2bと一体回転するように連結される。ハウジング120の両側面120aには、左右で対向する位置に一対をなして水平方向に突出する中空円筒状のシリンダチューブ114が並設して二組(計4本)装着されている。
各シリンダチューブ114の端部には、ハウジング側面120aのフランジ装着部121に形成されたチューブ取付け孔125と隙間なく嵌合させるためのインロー部130を有する円環状のフランジ115が固着されている。
【0003】
フランジ115には、
図8に示すように、フランジ面115mの周方向に沿って同一円周上に等配された複数のフランジボルト装着孔116、及び後述するスライドロッド117を嵌通するための内孔115nが加工されており、フランジ115の内孔115nの中心線、複数のフランジボルト装着孔116の並びによる円の中心とも、インロー部130の中心軸と同軸である。また、シリンダチューブ114の円筒部の中心軸とフランジ115の内孔115nの中心軸とは、正確に同軸となるように形成されている。
図7に示す、ハウジング120への各シリンダチューブ114の取付けは、フランジ装着部121のチューブ取付け孔125にシリンダチューブ114のインロー部130を嵌合い、複数のフランジ取付けボルト11を用いて装着する。
【0004】
一方、ハウジング120の両側面120aにおいては、シリンダチューブ114を取付けるフランジ装着部121と、フランジ装着部121に形成されたチューブ取付け孔125が、左右互いに二組並列に同軸を成すように形成されている。ハウジング120のフランジ装着部121は、シリンダチューブ114の複数のフランジボルト装着孔116に対して、対向するよう、チューブ取付け孔125の周方向に沿って同一円周上に等配された複数の雌ねじ122を有している。なお、雌ねじ122は有底穴とされている。チューブ取付け孔125の中心と複数の雌ねじ122の並びによる円がなす中心は、同心となっている。
【0005】
ハウジング120に対する左右のシリンダチューブ114,114の中心軸同士は、インローによる適正なセンタリング効果によって、正確に左右一対の同軸に形成される。
左右一対のシリンダチューブ114,114内には、両端にピストン18を有する円筒状のスライドロッド117が摺嵌されている。左右のシリンダチューブ114、114中心軸と、シリンダチューブ内のピストン18中心軸は同軸を形成する。
【0006】
スライドロッド117の作動は、圧油の給排により行われる。一対のシリンダチューブ114,114の両端部には圧油配管が施されており、シリンダチューブ114,114の軸線に沿ってスライドロッド117が左右に摺動するようになっている。よってこれらの構造により、スライドロッド117の摺動時は、両端のピストン18とシリンダチューブ114の内壁との摺動面圧が左右でずれることなく円滑に作動する。
【0007】
各スライドロッド117の側面には、上記ピニオンギヤ12と歯合するようにラックギヤ19が形成されている。これにより、並設された二本のスライドロッド117のラックギヤ19によりピニオンギヤ12が挟持された状態で、コラムポスト基端部2aと連結されたピニオンギヤ12と、スライドロッド117のラックギヤ19とによってラック・アンド・ピニオン機構が構成されている。
【0008】
上述した旋回装置100による旋回動作は、一対のシリンダチューブ114,114に対して一方のシリンダチューブ114の端部から圧油が流入するとともに他方から圧油が流出するように圧油が給排されるとともに、並設する二組のシリンダチューブ114,114への圧油給排方向が互いに逆方向に制御される。これにより、圧油給排方向に応じて二本のスライドロッド117,117が互いに逆方向に摺動され、各スライドロッド117のラックギヤ19がピニオンギヤ12を同時に回すことによりコラムポスト基端部2a(つまり、コラムポスト)が水平方向に旋回する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭63−82037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、ラックギヤ19とピニオンギヤ12との噛み合い部分では、ラック・アンド・ピニオン機構の作動を円滑にするためにバックラッシの調整が重要である。つまり、バックラッシ量が小さいと、歯の干渉によりアンダカットが生じるし、バックラッシ量が大きいと、クレーンのブームの回転遊びに伴いコラムポストの左右方向にガタが生じるからである。コラムポストの左右方向にガタが生じると、クレーンが旋回作動中から急停止したときに、ブームが左右に搖動して激しい荷ぶれが発生してしまう。
【0011】
また、噛み合い部分で歯面同士がぶつかり合うことで歯面同士が摩耗して歯幅が狭くなり、歯が破損する原因ともなる。通常、ラック・アンド・ピニオン機構のバックラッシ量は、いずれか一方の歯車が、歯と歯の中心間距離を適宜変更できる調整機構により調整可能とされる。例えば、ラックギヤをその後面から押圧してピニオンギヤとの対向方向に平行移動させることで中心間距離を変更することができる。
【0012】
ここで、例えば特許文献1には、ラック・アンド・ピニオンのバックラッシ調整機構が開示されている。同文献に記載の技術は、ディーゼル機関の燃料噴射装置においてラック・アンド・ピニオンのバックラッシを調整するに際し、ラックギヤを内部に嵌挿する偏心穴を有する一体構造の円筒スリーブを円筒中心軸まわりに回転させることにより、ラックギヤをピニオンギヤ側に平行移動させ、ラックギヤとピニオンギヤの中心間距離を調整するものである。
【0013】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、一体構造の円筒スリーブを位置決めした後に如何にして円筒スリーブを固定するかが不明であり、また、ラックギヤを円筒スリーブの軸方向に摺動作動させる手段も不明である。そのため、上述した構造の旋回装置100のような、クレーンのコラムポスト用旋回装置のラック・アンド・ピニオンのバックラッシ調整機構としてこれを採用することが困難である。
【0014】
すなわち、上述したような構造の旋回装置100においては、両端にピストン18を有する円筒状のスライドロッド117は、そのピストン18がシリンダチューブ114の内壁を摺動するため、左右一対のシリンダチューブ114,114をピニオンギヤ12側に水平方向に動かさない限り、ラックギヤとピニオンギヤとの中心間距離を調整することができない。しかし、シリンダチューブ114の取付位置は、ハウジング120のフランジ装着部21の嵌合面とのインロー構造により、フランジ装着部21の位置で決定してしまうため、動かすことができない。
【0015】
また、コラムポスト基端部2aも、クレーンの吊荷重によって破壊されないように堅牢に軸支されており、ピニオンギヤ12側の移動により中心間距離を変更することも難しい。つまり、クレーンのコラムポスト用旋回装置にあっては、ラックギヤとピニオンギヤとの中心間距離を平行移動による手段でバックラッシの調整をすることは困難である。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、クレーンのコラムポストをラック・アンド・ピニオン方式により水平方向に旋回させる旋回装置において、ピニオンギヤとラックギヤとのバックラッシを容易に調整し得るクレーンのコラムポスト用旋回装置およびそのバックラッシ調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置は、クレーンのコラムポストを前記クレーンが架装される車両の基台に対して水平方向に旋回させる旋回装置において、前記コラムポストの基端部と前記基台との間に装着されるハウジングと、上下方向を向く軸線まわりに回転自在に前記ハウジング内に収容されるとともに前記コラムポストの基端部と一体で回転するピニオンギヤと、前記ハウジングの両側面に対向配置されたフランジ装着部に自身端面の円環状のフランジ面が装着される中空円筒状の一対のシリンダチューブと、前記一対のシリンダチューブ相互に摺嵌されて前記ピニオンギヤに中心軸が直交して歯合されるラックギヤを有するとともに前記一対のシリンダチューブに給排される圧油によりスライド移動するように両端にピストンを有するスライドロッドとを備えるラック・アンド・ピニオン方式の旋回装置であって、前記シリンダチューブは、自身端部にインロー部を有する円環状のフランジ部と、該フランジ部の内孔の内側に溶着された円筒部とから構成され、前記フランジ部は、前記円環状のフランジ面に周方向に沿って同一円周上に等配された複数のボルト装着孔を有し、前記フランジ部の内孔の中心軸と前記円筒部の中心軸とが同軸を形成する第一の同軸配置とされるとともに、前記インロー部の中心軸と、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸とが同軸を形成する第二の同軸配置とされ、前記第一の同軸配置と前記第二の同軸配置とは、相互の中心線同士が偏心して形成されていることを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置において、前記一対のシリンダチューブは、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸が前記円筒部の中心軸に対して相互に同じだけ偏心して形成されており、前記ハウジングのフランジ装着部は、前記複数のボルト装着孔に対向する位置に、周方向に沿って同一円周上に等配された複数の雌ねじを有し、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を円周方向に回転させて相互に同じだけ変えることで、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の円周方向での装着位置に対応して段階的に変えられるようになっていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置において、前記一対のシリンダチューブが二組並設されるとともに、該並設された一対のシリンダチューブそれぞれに摺嵌された前記スライドロッドのラックギヤにより前記ピニオンギヤを径方向両側から挟持するように構成されており、前記スライドロッドは、前記ラックギヤが形成された側とは反対側の面に、前記スライド移動する方向に沿って形成された平滑面を有し、前記ハウジングは、前記スライドロッドの平滑面に対向する位置に、前記平滑面に摺接する摺動板と、該摺動板を前記平滑面に向けて押圧する押圧手段とを備えることは好ましい。
【0019】
また、前記各シリンダチューブには、前記ハウジングのフランジ装着部に形成されたチューブ取付け孔と隙間なく嵌合するとともに前記複数のボルト装着孔の偏心位置と同心に形成されたインロー部が形成され、該インロー部の外周面と前記ハウジングのチューブ取付け孔の嵌合面との間にはOリングが介装され、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとの噛み合い部分は、前記ハウジング内部に潤滑油が充填されることによって常に潤滑状態とされていることは好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置のバックラッシ調整方法は、本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置におけるラック・アンド・ピニオン機構のバックラッシを調整する方法であって、前記一対のシリンダチューブそれぞれの、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を円周方向に相互を同じだけ回転させて取り付けることにより、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の周方向での装着位置に対応して変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シリンダチューブは、自身端部にインロー部を有する円環状のフランジ部と、フランジ部の内孔の内側に溶着された円筒部とから構成され、フランジ部は、その円環状のフランジ面に周方向に沿って同一円周上に等配された複数のボルト装着孔を有し、フランジ部の内孔の中心軸と円筒部の中心軸とが同軸を形成する第一の同軸配置とされるとともに、インロー部の中心軸と、複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸とが同軸を形成する第二の同軸配置とされ、第一の同軸配置と第二の同軸配置とは、相互の中心線同士が偏心して形成されているので、ハウジングのフランジ装着部に対して、一対のシリンダチューブのフランジ部の装着位置を周方向にて相互に変えることで、ピニオンギヤとラックギヤ間のバックラッシを複数のボルト装着孔の周方向の装着位置に対応させて変えることができる。よって、ピニオンギヤとラックギヤとのバックラッシを容易に調整可能であり、特に、クレーンのコラムポスト用旋回装置のラック・アンド・ピニオンのバックラッシを調整する上で好適である。
【0022】
特に、一対のシリンダチューブは、各シリンダチューブのフランジの周方向に沿って同一円周上に等配された複数のボルト装着孔が、当該複数のボルト装着孔の形成される前記円周の中心を、各シリンダチューブの軸線に対して相互に同じだけ偏心して形成されていれば、ハウジングのフランジ装着部に対して、一対のシリンダチューブのフランジ部の装着位置を周方向にて相互に同じだけ変えることで、ピニオンギヤとラックギヤ間のバックラッシを複数のボルト装着孔の周方向の装着位置に対応させて段階的に変えることができる。よって、ピニオンギヤとラックギヤとのバックラッシを容易に調整可能であり、特に、クレーンのコラムポスト用旋回装置のラック・アンド・ピニオンのバックラッシを調整する上でより好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一態様に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置を採用したクレーンの一実施形態である折り曲げ式クレーンの側面図である。
【
図3】
図1の旋回装置を説明する図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図、(c)は側面図(
図1に対応する図)であり、各図では一部を破断して示している。
【
図4】
図3に示す旋回装置の要部を拡大して示す説明図であり、同図は
図3(c)の拡大図である。
【
図5】
図3に示す旋回装置の要部を拡大して示す説明図であり、同図は
図3(a)の要部拡大図である。
【
図6】本発明の旋回装置のシリンダチューブの一実施形態を説明する図であり、同図(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【
図7】従来の旋回装置の一例を説明する分解斜視図である。
【
図8】従来の旋回装置のシリンダチューブの一例を説明する図であり、同図(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照しつつ説明する。なお、
図6を参照して説明した旋回装置と同様の構成部分については同一の符号を付してある。
図1に示すように、この折り曲げ式クレーン1は、林業用等に用いられるクレーンであり、同図の例は、クローラ7により走行する車両8に架装された例である。同図に示すように、この折り曲げ式クレーン1は、架装する車両8に対し、車両8の基台9上に旋回装置10を介することによりコラムポスト2が旋回自在に立設されている。旋回装置10は、略箱型をなすハウジング20を有し、コラムポスト基端部2aは、このハウジング20を台にして上記車両8の基台9上に装着されている。コラムポスト2の上端には折り曲げ式のブーム3が起伏自在に枢支されている。なお、コラムポスト2の後方側の上部には、作業状態を俯瞰できるようにクレーン操作部4が設けられている。クレーン操作部4には、オペレータのシート5やコントロールレバー6が設けられている。
【0025】
次に、上記旋回装置10について詳しく説明する。
図2および
図3に示すように、上記旋回装置10のハウジング20内には、上端および下端が軸受13によりそれぞれ支持されたピニオンギヤ12が上下方向を向く軸線まわりに回転自在に設けられている。このピニオンギヤ12が、上記コラムポスト基端部2aの下方に延設された旋回軸部2bに、コラムポスト基端部2aと一体回転するようにキー43により連結されている。
【0026】
なお、ハウジング20上面の開口部には、開口部を囲繞して円環状にカバー装着部40が形成されている。そして、このカバー装着部40に円環状のカバー41が多数のカバー固定ボルト42によって固定されることにより、コラムポスト基端部2aの下面とハウジング20上面の開口部との隙間が塞がれている。また、ハウジング20の両側面20aには、左右の対向する位置に一対をなして水平方向に突出する中空円筒状のシリンダチューブ14が並設して二組(計4本)装着されている。
【0027】
左右のシリンダチューブ14,14内では、両端にピストン18を有するスライドロッド17が、左右一対のシリンダチューブ14,14内への圧油の給排により作動する。一対のシリンダチューブ14,14の両端部には圧油配管口51が施されており、シリンダチューブ14,14の軸線に沿ってスライドロッド17が左右に摺動するようになっている。
【0028】
スライドロッド17の側面には、ピニオンギヤ12と中心軸同士が直交して歯合するラックギヤ19が形成されている。これにより旋回装置10は、並設された二本のスライドロッド17のラックギヤ19によりピニオンギヤ12が挟持された状態で、コラムポスト基端部2aと連結されたピニオンギヤ12と、スライドロッド17のラックギヤ19とによってラック・アンド・ピニオン機構が構成されている。
【0029】
さらに、
図5に示すように、各スライドロッド17は、ラックギヤ19が形成された側とは反対側の面に、長手方向に沿って平滑面31が形成されている。そして、ハウジング20には、スライドロッド17の平滑面31に対向する位置に、平滑面31に摺接する摺動板23と、この摺動板23を平滑面31に向けて押圧する摺動板押圧手段として二組の押しねじ24を備え、スライドロッド17のたわみによるラック・アンド・ピニオン機構の中心間距離の遊びを押さえている。平滑面31は、二組の押しねじ24によって、ピニオンギヤ軸線方向へ自在に平行移動させることで調整可能となっている。
【0030】
ハウジング20の内部には、適量の潤滑油が充填されており、ラックギヤ19とピニオンギヤ12との噛み合い部分の激しい磨耗から、二つの固体表面を常に保護している。それに伴い、ハウジング20内部からの潤滑油の漏洩を防止するために、各シリンダチューブ14には、
図5に示すように、インロー部30の外周面とハウジング20のチューブ取付け孔25の嵌合面との間にOリング32が介装されている。
ハウジング20の両側面20aの構造は、シリンダチューブ14を取付けるフランジ装着部21と、フランジ装着部21に形成されて、シリンダチューブ14のインロー部30と隙間なく嵌合するチューブ取付け孔25とが、左右一組に2列、同軸を成すように形成されている。
【0031】
ハウジング20のフランジ装着部21は、シリンダチューブ14の複数のフランジボルト装着孔16に対向するよう、チューブ取付け孔25の周方向に沿って同一円周上に等配された複数の雌ねじ22を有している。複数のチューブ取付け孔25の並びによる円の中心と複数の雌ねじ22の並びによる円がなす中心は同心となっている。なお、雌ねじ22は有底穴とされている。後述するハウジング20内潤滑油の漏洩防止のためである。
【0032】
図6に示すように、各シリンダチューブ14の端部には、ハウジング側面20aのフランジ装着部21と隙間なく嵌合させるためのインロー部30を有する円環状のフランジ部15が固着されている。フランジ部15の構造は、同図に示すように、フランジ面15mの周方向に沿って同一円周C上に等配された複数のフランジボルト装着孔16、及び後述するスライドロッド17を嵌通するための内孔15nが加工されている。
【0033】
ここで、フランジ部15の内孔15nおよび後述の15tのみ、同軸円周状に形成されておらず、その中心線CL1が偏心量ΔEだけ偏心して形成されている。フランジ部15の中心線CL2において、フランジ部15とシリンダチューブ14の円筒部14eとの固着構造は、円筒部先端14sをフランジ部15の内孔内側15tに嵌合後、溶着させるインロー構造となっている。そのため、フランジ部15の内孔15nとシリンダチューブ14の円筒部の中心軸(中心G(
図4参照)つまりCL1)は同軸を形成する。
【0034】
即ち、シリンダチューブ14の軸は、インロー部30の中心軸及び複数のフランジボルト装着孔16の並び円の中心(円周C(
図4参照)の中心)がともに同軸CL2を形成し、それとは別に、フランジ部15の内孔15n及びシリンダチューブ14の円筒部の中心Gが同軸に形成する軸CL1があり、2つの軸は偏心量ΔEだけ偏心した構造となっている。
各シリンダチューブ14をハウジング20へ取付ける際は、フランジ装着部21のチューブ取付け孔25にシリンダチューブ14のインロー部30を嵌合い、複数のフランジ取付けボルト11を用いて装着する。
【0035】
ここで、シリンダチューブ14は、取付部位であるインロー部30の中心軸CL2と、主であるシリンダチューブ14円筒部中心G(CL1)が偏心した構造であるため、ハウジング20への取付けには、左右一対のシリンダチューブ14,14相互の中心Gが軸ずれを発生させないように取付けなければならない。相互の中心軸のずれは、スライドロッド17の両端のピストン18とシリンダチューブ14の内壁との摺動面圧において左右差を生じさせ、円滑な動作に支障が生じるとともに、ラック・アンド・ピニオン機構の中心間距離も正しく調整できない。
【0036】
係る不具合を発生させないために、シリンダチューブ14のフランジ15表面には、
図4に示すように、シリンダチューブ14の円筒部の中心Gとの偏心が分かる様に、目印Mが付けられている。
一方、ハウジング20側のフランジ装着部21の外側には、シリンダチューブ14の目印Mに相対する目盛りN(調整用の目安として丸囲いの数字1〜4が付してある)が付けられている。目印Mと目盛りNは、シリンダチューブ14取付け時において、ハウジング20に対する左右のシリンダチューブ14,14の中心軸同士が、正確な左右一対の同軸に形成されるための基準位置になる。
【0037】
即ち、左右のシリンダチューブ14の目印Mが、ハウジング20側の目盛りNに対し、互いに同目盛を指すことにより、インローによる適正なセンタリング効果と相まって、左右のシリンダチューブ14,14の中心軸同士が、正確な左右一対の同軸を形成していることの証となる。また、ラックギヤとピニオンギヤの中心間距離を平行移動させて調整する際にも、目印Mが左右同じ目盛りNを指すことで、左右のシリンダチューブ14,14の同軸が形成されている証となる。
【0038】
これにより、この旋回装置10は、対向配置された一対のシリンダチューブ14,14を相互に同じ目盛数だけ円周方向に回転させることで、ピニオンギヤ12とラックギヤ19相互の中心間距離を複数のフランジボルト装着孔16に対応して段階的に平行移動させられるようになっている。つまり、フランジ取付けボルト11の周方向の等配ピッチ毎にピニオンギヤ12とラックギヤ19間のバックラッシを段階的に調整することができる。
【0039】
本実施形態の例では、複数のフランジ取付けボルト11として10本のボルトによってフランジ15を締結しているので、同一円周Cの周方向の一ピッチあたりシリンダチューブ14を36°回動させることができる。偏心量ΔEの値を例えば1.5mmとすると、ピニオンギヤ12とラックギヤ19相互の中心間距離を0mm〜3mmの範囲にて180°の回動範囲で6段階の調整が可能である。なお、対向配置された一対のシリンダチューブ14,14は同じ位置になるように同時に調整を行う。
【0040】
次に、上述した旋回装置10による旋回動作、および旋回装置10の作用効果について説明する。
上述した旋回装置10による旋回動作は、一対をなすシリンダチューブ14,14に対し、一方のシリンダチューブ14の端部から圧油を流入するとともに他方から圧油を流出するように圧油を給排するとともに、並設する二組のシリンダチューブ14,14への圧油給排方向を互いに逆方向に制御する。これにより、圧油給排方向に応じて並設された二本のスライドロッド17,17が互いに逆方向に摺動され、各スライドロッド17のラックギヤ19がピニオンギヤ12を同時に回すことによりコラムポスト基端部2a(つまり、コラムポスト2)が水平方向に所定範囲(例えば400°の範囲)で旋回する。なお、ラックギヤ19を駆動するシリンダチューブ14が本実施形態のような油圧式であると、電動モータ駆動に比べて、ラック・アンド・ピニオン機構部に無理な力が作用したときに、その力によって圧縮されて高圧となった圧油の一部を逃がすことにより、構造自体に余分な負荷が掛からないという利点がある。
【0041】
また、本実施形態の旋回装置10によれば、一対のシリンダチューブ14,14が二組並設された構成なので、旋回装置10の高さを低くしてコンパクトな構成としつつも、所要のトルクにてピニオンギヤ12を回動させることができる。
ところで、上述の折り曲げ式クレーン1は、オペレータのシート5やコントロールレバー6を有するクレーン操作部4がコラムポスト2の後方側の上部に設けられているので、作業状態を容易に俯瞰でき、作業性が良い一方、コラムポスト2の水平旋回とともにクレーン操作部4も旋回する。そのため、旋回装置10のラック・アンド・ピニオンのバックラッシが大きい場合には、旋回時のガタが大きくなることから、オペレータが不安を感じ、また、転落のおそれもある。
【0042】
これに対し、本実施形態の旋回装置10によれば、対向配置された一対のシリンダチューブ14,14は、各シリンダチューブ14のフランジ部15の周方向に沿って同一円周C上に等配された複数のフランジボルト装着孔16が、当該複数のフランジボルト装着孔16の形成される円周Cの中心を、各シリンダチューブ14の軸線(中心G)に対して相互に同じ偏心量ΔEだけ偏心しているので、ハウジング20のフランジ装着部21に対して、対向配置された一対のシリンダチューブ14,14のフランジ部15の装着位置を円周方向にて相互に同じだけ回転させて変えることで、ピニオンギヤ12とラックギヤ19相互の中心間距離を複数のフランジボルト装着孔16に対応して段階的に平行移動させることができる。
【0043】
したがって、ピニオンギヤ12とラックギヤ19とのバックラッシを容易に段階的に調整可能であり、バックラッシを小さくして旋回時のガタを抑えることで、本実施形態のような、クレーン操作部4がコラムポスト2の後方側上部に設けられたクレーンにおいても、オペレータが安心して作業に集中できる。よって、本実施形態の旋回装置10は、特に、折り曲げ式クレーン1のコラムポスト用旋回装置のラック・アンド・ピニオン機構のバックラッシを調整する上で好適である。
【0044】
また、本実施形態の旋回装置10によれば、シリンダチューブ14の円環状のフランジ15に目印Mを付け、ハウジング20側にはバックラッシ量に対応する目盛りNを付けているので、ピニオンギヤ12とラックギヤ19とのバックラッシを容易に調整可能とする上でより好適である。
つまり、本実施形態の旋回装置10によれば、バックラッシ量の調整に際し、シリンダチューブ14の取付け用の複数のフランジ取付けボルト11を外し、目印Mを所望する目盛りNに合せてシリンダチューブ14を周方向に回動させ、所望の位置で、複数のフランジ取付けボルト11にてシリンダチューブ14を改めて固定する。なお、シリンダチューブ14を回動させる際は、シリンダチューブ14を保持可能とされるとともに、フランジ取付けボルト11の雌ねじ22を利用する治具を用意すれば調整を一層容易に行うことができる。
【0045】
例えば、この治具に複数の爪を突設形成し、この爪を上記雌ねじ22に挿入しつつ、フランジ部15の目印Mを所望するバックラッシ量に対応する目盛りNに合せるように治具を手で回動させるとシリンダチューブ14を容易に回動させることができ、シリンダチューブ14のフランジボルト装着孔16とハウジング20の雌ねじ22との位置決めも容易に行うことができる。
【0046】
ここで、実際にピニオンギヤ12が回転するときには、圧力角やスライドロッド17のたわみの関係もあってラックギヤ19とピニオンギヤ12との対向方向の隙間が常には一定とはならないところ、本実施形態の旋回装置10によれば、並設された一対のシリンダチューブ14,14それぞれに摺嵌されたスライドロッド17のラックギヤ19によりピニオンギヤ12を径方向両側から挟持するように構成されているので、バックラッシの変動を抑制する構成として好適である。
【0047】
さらに、本実施形態の旋回装置10によれば、スライドロッド17は、ラックギヤ19が形成された側とは反対側の面に、長手方向に沿って形成された平滑面31を有し、ハウジングは、スライドロッド17の平滑面31に対向する位置に、平滑面31に摺接する摺動板23と、この摺動板23を平滑面31に向けて押圧する押圧手段として押しねじ24を備えるので、ラックギヤ19の平行移動に合わせてピニオンギヤ軸線方向に自在に平行移動させることで調整可能であり、ピニオンギヤ12を径方向両側から挟持してスライドロッド17のたわみを抑え、バックラッシ量の変動を抑える上でより一層好適である。
【0048】
また、本実施形態の旋回装置10によれば、シリンダチューブ14の端部とハウジング20のチューブ取付け孔25との嵌合面にOリング32を介装しているので、バックラッシ量を調整時に、ハウジング20内に充填されている潤滑油を抜く手間が不要であり、また、バックラッシ量の調整時に潤滑油が漏出することもない。
なお、本発明に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
【0049】
例えば、上記実施形態の旋回装置10では、対向配置された一対のシリンダチューブ14,14が二組並設された構成例を説明したが、これに限らず、一対のシリンダチューブ14,14が一組であっても旋回装置を構成し得て、本発明を適用することができる。しかし、旋回装置10の高さを低くしてコンパクトな構成としつつも、バックラッシの変動を抑制するとともに、所要のトルクにてピニオンギヤ12を回動させる上では、一対のシリンダチューブ14,14を二組並設することが好ましい。
また、上記実施形態の旋回装置10では、平滑面31とこれに摺接する摺動板23、および押圧手段として押しねじ24を備える例を説明したが、これらを有しない構成とすることもできる。しかし、スライドロッド17のたわみを抑え、バックラッシ量の変動をより確実に抑える上ではこれら平滑面31摺動板23および押圧手段を備えることが好ましい。
【0050】
また、例えば上記実施形態の旋回装置10は、シリンダチューブ14の円環状のフランジ部15に目印Mを付け、ハウジング20側にバックラッシ量に対応する目盛りNを付けた例で説明したが、これに限らず、このような目印Mやバックラッシ量に対応する目盛りNを設けない構成とすることもできる。しかし、バックラッシを容易に調整可能とする上では、このような目印や目盛りを設けることが好ましく、特に、上記実施形態のように、一対のシリンダチューブを二組並設して計4つのシリンダチューブを調整するような構成であれば、このような目印や目盛りを設けることが望ましい。
また、例えば上記実施形態では、シリンダチューブ14とハウジング20との嵌合面にOリングを介装して潤滑油の漏出を防止している例で説明したが、これに限らず、ハウジング内のピニオンギヤ周囲がドライ構造であれば、当然に潤滑油が漏出することもないので、この種の潤滑油漏出防止手段を省略することができる。
【0051】
また、例えば上記実施形態では、各シリンダチューブ14に、ハウジング20のフランジ装着部21に形成されたチューブ取付け孔25と隙間なく嵌合するとともに複数のフランジボルト装着孔16の偏心位置と同心に形成されたインロー部30が形成されている例で説明したが、このようなインロー部30を設けない構成とした場合であっても、複数のボルト装着孔を上記実施形態のようにシリンダチューブの軸線に対して偏心して形成すれば、バックラッシを調整可能である。しかし、左右一対のシリンダチューブ14,14相互の中心軸の軸ずれをより確実に防止する上では、上記実施形態のように、シリンダチューブ14のインロー部30とチューブ取付け孔21の嵌合面とによるインロー構造を複数のボルト装着孔の偏心と同じ偏心位置に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 折り曲げ式クレーン(クレーン)
2 コラムポスト
2a コラムポスト基端部(コラムポストの基端部)
2b (基端部の)旋回軸部
3 ブーム
4 クレーン操作部
5 シート
6 コントロールレバー
7 クローラ
8 車両
9 基台
10 旋回装置
11 (シリンダチューブを固定する)フランジ取付けボルト
12 ピニオンギヤ
13 軸受
14 シリンダチューブ
15 フランジ部
16 フランジボルト装着孔
17 スライドロッド
18 ピストン
19 ラックギヤ
20 ハウジング
21 フランジ装着部
22 (フランジ装着部の)雌ねじ
23 摺動板
24 押しねじ(摺動板押圧手段)
25 チューブ取付け孔
30 インロー部
31 (スライドロッドの)平滑面
32 Oリング
40 カバー装着部
41 カバー
42 カバー固定ボルト
43 キー