特許第6306502号(P6306502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306502制御可能な流体サンプル・ディスペンサおよびそれを用いた方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306502
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】制御可能な流体サンプル・ディスペンサおよびそれを用いた方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20180326BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   A61M11/00 F
   A61M15/08
【請求項の数】24
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-509610(P2014-509610)
(86)(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公表番号】特表2014-516659(P2014-516659A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2011057552
(87)【国際公開番号】WO2012152321
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2013年12月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】リヒター マルティーン
(72)【発明者】
【氏名】キブラー ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルコー ユールゲン
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−021353(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0089395(US,A1)
【文献】 特開平10−085315(JP,A)
【文献】 特開2003−260122(JP,A)
【文献】 特開2004−267888(JP,A)
【文献】 特開2007−136451(JP,A)
【文献】 特表平08−502689(JP,A)
【文献】 特開2006−198201(JP,A)
【文献】 特表2007−503971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプル・ディスペンサ(10)であって、
貯蔵部(60)および流体的に接続されたマイクロ・ポンプ(21)を通って流体サンプル出口(22)に延びる一方通行の流体通路を与えるために流体的に流体サンプル貯蔵部(60)および流体サンプル出口(22)に連結され、作動状態の間、流体サンプル貯蔵部(60)を通るキャリアガスの流れをつくってキャリアガス中に流体サンプル粒子を吸収し、流体サンプル出口(22)から環境に流体サンプル粒子を有するキャリアガスの形で流体サンプル(24)を出力するように構成され、流体サンプル貯蔵部を通って流体サンプル出口(22)へのキャリアガスの流れをつくるためのストローク量(ΔV)を提供するポンプチャンバを有する蠕動マイクロ・ポンプ(21)を含むマイクロドージング装置(20)、および
マイクロポンプのストローク量“ΔV”およびポンプストロークの数または流体サンプル出口(22)へ所定の方向のキャリアガスを搬送するための隔膜運動の回数“n”に基づきマイクロドージング装置(20)を選択的に作動させることによって流体サンプル出口(22)で出力される流体サンプル(24)の投与速度を調整するためのマイクロドージング駆動ユニット(30)を含む、流体サンプル・ディスペンサ。
【請求項2】
さらに、マイクロドージング装置(20)の流体出口(22)と人の鼻の鼻孔との間の間隔が所定の範囲内にあり、またはマイクロドージング装置(20)の流体出口(28)における導管エレメント(28)が人の鼻の鼻孔にまたは鼻孔の中に配置されるように、人の鼻の近くにマイクロドージング装置を固定して取り付けるための固定エレメント(40)を含む、請求項1に記載のディスペンサ(10)。
【請求項3】
マイクロドージング駆動ユニット(30)は、制御ユニットから受信した制御信号に応答してマイクロドージング装置(20)を作動させるように構成される、請求項1または請求項2に記載のディスペンサ(10)。
【請求項4】
マイクロドージング装置を選択的に作動させるためのマイクロドージング駆動ユニットは、オーディオおよび/またはビジュアル的なメディアを楽しむ機能を有するコンピュータ、ビデオゲーム・コンソール、双方向性娯楽コンピュータまたはプラットフォームから制御信号を受けるために実装される、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項5】
ストローク量および死容量の比率は、搬送圧力および大気圧の比率より大きく、マイクロポンプ(21)の死容積は、ポンプチャンバの出口およびマイクロ・ポンプ(21)の出口(22)の間に存在する、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項6】
固定エレメント(40)は、人の頭に取り付けられるヘッドセットの部分である、請求項2に記載のディスペンサ(10)。
【請求項7】
マイクロドージング駆動ユニット(30)は、離れてディスペンサに設置される制御ユニットから制御信号を受信するための信号受信素子(34)を含む、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項8】
信号受信素子(34)は、制御ユニットを通して無線または有線の接続を導入するように構成される、請求項7に記載のディスペンサ(10)。
【請求項9】
さらに、再充電可能なバッテリーの形の電力供給エレメント(70)を含む、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項10】
電力供給エレメント(70)は、マイクロドージング駆動ユニット(30)、マイクロドージング装置(20)または固定エレメント(40)に一体化された、請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
流体サンプル貯蔵部(60)は、環境から濾過された空気に溶け込んだ流体サンプルの分子または粒子の形で特定のサンプル濃度を有する流体サンプル(24)を供給するように構成された、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項12】
流体サンプル(24)は、香り、芳香、風味、および/または医薬品を含む、請求項11に記載のディスペンサ(10)。
【請求項13】
流体サンプル貯蔵部(60)は、流体サンプル(24)の流れの方向において、マイクロドージング装置(20)に対して下流側に配置され、マイクロドージング装置の入口(26)は流体サンプル貯蔵部(60)の出口に流体的に連結される、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項14】
流体サンプル貯蔵部(60)は、流体サンプル(24)の流れの方向において、マイクロドージング装置(20)に対して上流側に配置され、マイクロドージング装置(20)の出口(22)は流体サンプル貯蔵部(60)の入口に流体的に連結される、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項15】
流体サンプル貯蔵部(60)が取り外し可能にマイクロドージング装置(20)に接続される、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項16】
流体サンプル貯蔵部(60)は、恒久的にマイクロドージング装置(20)に取り付けられ、マイクロドージング装置(20)と流体サンプル貯蔵部(60)とが同じハウジング(50)内に配置された、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項17】
流体サンプル貯蔵部(60)は、異なる流体サンプルを格納するための複数の分離された容積部分を含む、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項18】
異なる流体サンプルは、マイクロドージング装置(20)に選択的に供給可能である、請求項17に記載のディスペンサ(10)。
【請求項19】
マイクロドージング装置(20)は複数のマイクロ・ポンプを含み、マイクロドージング駆動ユニットは複数のマイクロ・ポンプを選択的にあるいは二者択一的に作動させるように構成され、それぞれのマイクロ・ポンプは複数の分かれた容積部分の異なる容積部分に関連する、請求項17または請求項18に記載のディスペンサ(10)。
【請求項20】
さらに、流体サンプル貯蔵部(60)内の複数の流体サンプル容積部分の1つにそれぞれ流体的に連結される複数のマイクロドージング装置を含む、請求項17ないし請求項19のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項21】
流体サンプル貯蔵部(60)の入口、流体サンプル貯蔵部(60)の出口、マイクロドージング装置(20)の入口(26)およびマイクロドージング装置(20)の出口(22)のうちの少なくとも1つは、意図する流体サンプル流方向の反対方向の流体サンプル流を避けるための自由流保護エレメントを含む、請求項1ないし請求項20のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項22】
マイクロドージング装置(20)は、人の鼻または鼻孔のすぐ近くに流体サンプル(24)を供給するための流体サンプル出口(22)として導管エレメント(28)を含む、請求項1ないし請求項21のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項23】
マイクロドージング装置(20)の出口(22)と人の鼻の鼻孔との間の間隔が所定範囲内にあるように、マイクロドージング装置(20)は、人の鼻の近くに配置されるように構成された、請求項1ないし請求項22のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【請求項24】
流体サンプル出口(22)は、流体サンプル出口(22)で環境に出力される流体サンプル(24)の流速を増加させるためのノズルまたはノズル構造を含む、請求項1ないし請求項23のいずれかに記載のディスペンサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御可能な流体サンプル・ディスペンサおよび人の鼻に所定のおよび正確な投与速度で流体サンプルを供給するための制御可能な流体サンプル・ディスペンサの使用法に関する。特に、本発明は、発明の制御可能な流体サンプル・ディスペンサを利用している人に、制御可能に香り、芳香、風味サンプルまたは医薬品を分配または適用するための流体サンプル・ディスペンサに関する。このように、本発明は、一般に、何らかの流体サンプル、標本または試料の正確な分配または適用または人/ユーザの呼吸器系に対する分析の分野に関する。さらに、本発明は、人が検出することができる流体サンプルの最小濃度を決定する方法、および、流体検出手段の流体サンプル検出限界を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の香りデリバリーシステムは、特定の香りを全ての部屋に提供するように構成される。したがって、周知の香りデリバリーシステムは、部屋、ショッピングモール、健康エリア、自動車内部などに十分に強い香りの印象を提供するために比較的大きい。しかしながら、これらの周知のシステムには、香りが提供されている部屋にいる全ての人が呼吸によって香りを受けるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の基本的な目的は、正確に流体サンプル(香り、芳香または風味サンプルおよび/または医薬品)の比較的少ない量を人の呼吸器系に提供する効率を上昇させるための概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1または34に記載の制御可能な流体サンプル・ディスペンサ、請求項25に記載の制御可能な流体サンプル・ディスペンサの使用法、請求項26に記載の人が検出することができる香りサンプルの最小濃度を決定する方法、請求項28に記載の人の香りサンプル検出限界を決定する方法、請求項30に記載の流体検出手段が検出することができる流体サンプルの最小濃度を決定する方法、および、請求項32に記載の流体検出手段の流体サンプル検出限界を決定する方法によって達成される。
【0005】
発明の流体サンプルを分配する概念の更なる態様および実施例は、下位請求項において定められる。
【0006】
本発明は、流体サンプル・ディスペンサが、流体サンプルが与えられる人の鼻または鼻孔のすぐ近くに特定の流体サンプルを時間単位に所定の量をもたらすことにより、例えば香りサンプル、芳香サンプル、風味サンプルおよび/または医薬品などの流体サンプルを、非常に高い信頼性をもって1人の人に非常に高い精度で非常に少ない量を適用あるいは分配することができるという発見に基づくものである。
【0007】
発明の概念によれば、流体サンプル・ディスペンサは、流体サンプル貯蔵部および流体サンプル出口に流体的に連結されるマイクロドージング装置を含み、マイクロドージング装置は作動状態の間に流体サンプルの粒子(例えば、分子、液滴および/または固体微粒子の形で)をキャリアガスに吸い上げるために流体サンプル貯蔵部を通してキャリアガスの流れ(すなわち、キャリアガス流)をつくるように構成され、流体サンプル粒子を含むキャリアガスの形で流体サンプル出口から環境に流体サンプルが放出されるように構成される。マイクロドージング駆動ユニットは、選択的にマイクロドージング装置を駆動することにより、流体サンプル出口における流体サンプルの投与速度を調整するように構成される。あるいは、流体サンプル・ディスペンサは、さらに、流体サンプル出口に流体的に連結されるマイクロドージング装置を含み、マイクロドージング装置は作動状態の間にキャリアサンプル出口にキャリアガスの流れ(すなわち、キャリアガス流)をつくるように構成される。さらに、流体サンプル・ディスペンサは、流体的に流体サンプル貯蔵部に連結される流体サンプル供給手段を含む。流体サンプル供給手段は、流体サンプル出口へと流れているキャリアガスに流体サンプル貯蔵部から選択的に流体サンプルの粒子または分子または液滴を提供するように構成される。マイクロドージング駆動ユニットは、(キャリアガス中の流体サンプル粒子の形の)流体サンプルの投与速度を調整するように構成される。流体サンプル供給手段は、例えば、所定のストローク量を与えるポンプチャンバを有する更なるマイクロ・ポンプのような能動的流体供給エレメント、または受動的流体供給エレメントを含む。
【0008】
このように、発明の流体サンプル・ディスペンサの両方の選択肢によれば、流体サンプル貯蔵部に格納される流体サンプル粒子または分子または液滴はキャリアガスに供給され、例えば、キャリアガスは、環境から吸い込まれて、十分なフィルタエレメントによって濾過される。第1の選択肢によれば、キャリアガスが貯蔵部に保存される流体サンプルの粒子を吸収することができるように、キャリアガスの流れは貯蔵部を通って導かれる。あるいは、流体サンプルの粒子は、さらなる(能動的または受動的な)流体サンプル供給手段によって、キャリアガスの流れに、流体サンプル貯蔵部から選択的に注入されることができる。
【0009】
人の鼻に非常に正確な投与速度で流体サンプルを供給するために、例えばマイクロ・ポンプ、マイクロ膜ポンプまたはマイクロ・ファンによって実施されるマイクロドージング装置の出口は、マイクロドージング装置と人の鼻の鼻孔との間の間隔が0〜5cmの可能な拡張を有する所定の範囲内にあるように、人の頭に固定される。あるいは、例えばマイクロドージング装置の出口を導管エレメントを介して取り付けることにより、すなわち、導管エレメントの出口を人の鼻の鼻孔に挿入することにより、流体サンプルは人の鼻の鼻孔に直接供給される。
【0010】
現在利用可能なマイクロ膜ポンプの非常に高い投与精度により、例えば、1nl〜10nlというような分時拍出量で流体サンプルの投与精度がポンプ・ストロークにつき達成可能である。
【0011】
非常に高い投与精度で、そして、非常に正確に限定できる間隔または時間で人に流体サンプルを供給することによって、非常に効果的な流体サンプル・ディスペンサ装置を実現することができる。さらに、選択的にマイクロドージング装置を駆動するマイクロドージング駆動ユニットは、遠隔システム・コントローラ、例えば、コンピュータ、(例えば、双方向性の娯楽コンピュータの形で)ビデオゲーム機、または音声および/または視覚的なメディアを再生する機能性を有する何らかのプラットフォームから制御信号を受信するために実装される。発明の流体サンプル・ディスペンサは、ヘッドセットの中に実装されるか取り付けられることができる。さらに、配線接続が、例えば遠隔システム・コントローラに接続される信号ラインに実装されることができ、あるいは、マイクロドージング駆動ユニットの信号受信素子が遠隔システム・コントローラへの無線接続を組み込むように構成されることができる。このように、発明の流体サンプル・ディスペンサは、1人のユーザの鼻に決まった量の香りを供給する香り投与システムを実施することができる。これらの香りの分子を吸い込むことによって、ユーザは、特定の香りの印象をもつことができる。あるいは、医薬品は、正確な投与速度で医学的に取り扱われる人の呼吸システムに非常に正確に供給/適用されることができる。さらに、香り、芳香、アロマなどを嗅ぐか味わう被験者の感受性は、発明の流体サンプル・ディスペンサを使用して、(例えば監察医によって)非常に正確にチェックされることができる。
【0012】
例えば全室香りディスペンサのような形の周知の香りディスペンサ配置と比較したとき、個人香り送出のための発明の解決は多くの利点および効果を達成する。個人香りディスペンサを用いて、各人は、香り、芳香その他によってもてなされるかまたはもてなされないかを決めることができる。部屋の中の他の人はいかなる香りも感じず、その結果、発明の流体サンプル・ディスペンサのユーザに結果として生じる支持は非常に高い。
【0013】
非常に高い精度で、そして、非常に正確に限定できるタイミング間隔または期間以内に非常に少ない量の(例えば、香りなどの)流体サンプルを分配する発明の個人流体サンプル・ディスペンサを用いて、香りの印象が拡散によって数秒以内にすぐ消えるため、香りの印象は短い間隔だけ現れるように制御されることができる。このように、数秒後に、ユーザは、古い(前に供給された)香りを感じることができない。そして、新しい(例えば異なる)香りをユーザに分配することができる。さらに、供給された流体サンプルの強度は、容易に調整または適応されることができる。音声およびビデオへの応用と関連して、発明の流体サンプル・ディスペンサは、ゲーム、学習および訓練への応用、携帯電話、医学診断および応用(例えば呼吸器系で)、自動車内の警告臭などへの新規な応用を可能にする。
【0014】
発明の流体サンプル・ディスペンサによれば、マイクロ流体アクチュエータの流速が、直接貯蔵部の外に、マイクロドージング装置の外およびユーザの鼻の鼻孔に流体分子を届けるためには十分強いため、十分に強力なマイクロ流体アクチュエータが、香り分子から成っているかまたは与えられる香り源を有する貯蔵部から、ガス状の媒体(空気および香り)をユーザの鼻の近くにポンプ圧送することができる。
【0015】
すでに示されているように、発明の個人香り送出によれば、香りの非常に少ないおよび正確に定められた量が人の鼻に分配されることができる。十分に強力なマイクロ流体アクチュエータの発明の利用に基づいて、発明の流体サンプル・ディスペンサは、確実に不調なにおいを回避して、そして、それは泡に対する耐性があり、流体貯蔵部から供給されるいかなる泡による投与システムの失敗もない、非常にしっかりと閉ざされたハウジングを備える投与システムを実現することができる。
【0016】
強力なマイクロ流体アクチュエータの非常に少ない達成可能範囲のため、本発明の前後関係において利用されるように、発明の流体サンプル・ディスペンサはヘッドセットに容易に取り付けられるかまたは一体化されることができる。このように、本発明は、例えばヘッドセットのマウスピースにおいて、ユーザの鼻の近くに配置されるのに十分小さく、定められた少量の流体サンプルを直接ユーザの鼻に分配することができる、信頼性が高いマイクロドージングシステムを提供する。このように、発明の流体サンプル・ディスペンサまたは香り投与システムは、空気でポンプ流量を350ml/分まで上げ、25kPaの背圧能力を達成する高性能マイクロ・ポンプを使用することができる。例えば7×7×1mm3のチップ・サイズを有する小型シリコン・マイクロ・ポンプさえ、40ml/分に至るまでガス・ポンプ流量を上げることができる。次に、蠕動的に駆動されるプラスチック・マイクロ・ポンプにおいて、30ml/分までポンプ流量を上げることは達成可能である。そして、新規なおよび強力なマイクロ・ポンプを使用して、空気に溶け込んだ流体サンプル分子をマイクロドージング装置の出口から直接空中に分散させ、空気を介して約10cm以上離れたユーザの鼻に送ることが可能になるであろう。
【0017】
次に、ディスペンサの出口で、流体サンプル出口およびユーザの鼻の間のギャップを埋めるために香り/空気サンプル・フローの流速を上げるために、例えば、約5μmと100μmの間の直径を有するノズルを配置することができる。
【0018】
香り分子の形の流体サンプルの利用に対応して、例えば医薬品の形で、他のサンプル、標本または分析がユーザの鼻、つまり呼吸器系に適用または分配される。
本発明の好ましい実施例は、添付の図面を参照して以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a図1aは、本発明の実施例による流体サンプル・ディスペンサの機能グループの動作の図解図を示す。
図1b図1bは、本発明の実施例による流体サンプル・ディスペンサの機能グループの動作の図解図を示す。
図1c図1cは、本発明の実施例による流体サンプル・ディスペンサの機能グループの動作の図解図を示す。
図2a図2aは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2b図2bは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2c図2cは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2d図2dは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2e図2eは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2f図2fは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2g図2gは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2h図2hは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図2i図2iは、本発明の他の実施例による流体サンプル・ディスペンサの異なる実現の機能グループを示す。
図3図3は、本発明の他の実施例による蠕動ポンプの形のマイクロ流体投与システムの典型的な実施の概略図を示す。
図4a図4aは、人が本発明の他の実施例により認めることができる流体サンプルの最小限の流体サンプル濃度を決定することのための方法のフローチャートを示す。
図4b図4bは、人が本発明の他の実施例により認めることができる流体サンプルの最小限の流体サンプル濃度を決定することのための方法のフローチャートを示す。
図5a図5aは、本発明の他の実施例により検出することができる流体サンプルの最小限の流体サンプル濃度を決定する方法のフローチャートを示す。
図5b図5bは、本発明の他の実施例により検出することができる流体サンプルの最小限の流体サンプル濃度を決定する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照してさらに詳細に本発明について述べる前に、図において、同一の要素および同じ機能および/または同じ効果を有する要素には同じ参照番号が与えられ、異なる実施例に示されるこれらの要素およびこれらの機能は相互に交換可能であり、または異なる実施例において互いに適用されることを指摘しておく。
【0021】
次に、選択された時間間隔の間に、ユーザの鼻または鼻孔のすぐ近くに正確に調整された投与速度で流体サンプルを供給するための流体サンプル・ディスペンサ10の第1の一般的な実施例は、それらの機能的な背景に関する一般的な考察のために図1a−cを用いて説明される。
【0022】
図1aに図示されているように、「遠隔」制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、流体サンプル出口22を有するマイクロドージング装置20、少なくとも電気的に、そして任意に機械的にマイクロドージング装置20に結合されるマイクロドージング駆動ユニット30、および、固定エレメント40を含む。任意の方策として、図1aは、マイクロドージング装置20およびマイクロドージング駆動ユニット30のための共通ハウジング50を示し、共通ハウジング50がある場合、固定エレメントは、共通ハウジング50に取り付けられる。マイクロドージング装置20およびマイクロドージング駆動ユニット30は、異なる機能グループとして実施され、異なるハウジング(図1aに図示せず)に収納されることができることも明らかにされるべきである。この場合、少なくとも固定エレメント40はマイクロドージング装置20に取り付けられる。マイクロドージング装置20は、マイクロドージング装置20の作動中に、環境に流体サンプル24を出力するための流体サンプル出口22を含む。マイクロドージング駆動ユニット30は、選択的にマイクロドージング装置を作動させることによって、流体サンプル出口22で出力される流体サンプル24の投与速度を調整するために構成される。このように、マイクロドージング駆動ユニット30は、電気的な制御信号をマイクロドージング装置20に与えるために、制御ライン32によってマイクロドージング装置20に接続される。
【0023】
任意に、マイクロドージング駆動ユニット30は、例えば、流体サンプル24を連続的または断続的(散発的)に、または定められた時間間隔でサンプル出口22において出力するように、遠隔システム・コントローラのない独立した構成とするために構成またはプログラムされてもよい。
【0024】
さらに、流体サンプル貯蔵部60が流体的にマイクロドージング装置20の吸入口26に連結される。任意の貯蔵部60は、マイクロドージング装置20に、外部的または内部的に配置されてもよい。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、空になっている間負の圧力が起こらず、任意に、流体サンプルまたは流体サンプル作製材料64を満たすあるいは補充するための隔壁および/または入口(図1aに図示せず)を有するように、例えば、収縮する/弾力性がある側壁を有していてもよい。さらに、貯蔵部60はフィルタエレメント62によって環境から隔てられた流体導管として実現されてもよく、流体サンプル分子が環境からフィルタエレメント62を通して与えられるガス、例えば空気に溶かされるように、流体導管は、例えば、流体サンプル作製材料の一部を含む。
【0025】
貯蔵部60の貯留容積部分60aは、流体サンプルキャリア64として固体材料を含むことができる。流体サンプルキャリア64の活性表面、流体サンプル貯蔵部60内の温度Tに基づいて、ガスに溶け込んだ流体サンプル分子の形で流体サンプル24の平衡濃度cが流体サンプル貯蔵部60の容積部分に存在するまで、流体サンプルキャリア64は流体サンプル分子を流体サンプルリザーバ60の容積部分60aに分配する。このように、流体サンプル24の定められた濃度c(c=N/Vで、Nは分子の量であり、Vは内的空間60aの値)は、流体サンプル貯蔵部60の容積部分60aの範囲内で調節可能である。濃度cは、流体サンプルキャリアまたは流体サンプル(それぞれ固体サンプル材料)の温度を発熱体(例えば、温度を上昇させるための)または冷却素子(例えば、温度を下降させるための)で変える(例えば、増減する)ことによって、調整されることができる(例えば、増減される)。さらに別の方法として、流体サンプル24の所定の濃度は、液相および所定の質量を有する流体サンプルキャリア64を配置することによって、流体サンプル貯蔵部60の容積部分の範囲内で達成されることができる。流体サンプルキャリア64を加熱した後に、流体サンプルのすべての分子は、流体サンプル貯蔵部60の容積部分60aの範囲内で流体サンプルの特定の、所定の濃度cを達成するために気相状態にある。貯蔵部の壁での流体サンプルの再凝結を回避するために、貯蔵部60の壁は、流体サンプルの再凝結温度を上回る壁温度まで加熱されなければならない。このように、流体サンプルの分子の所定の量は、流体サンプル貯蔵部60の容積部分の範囲内である。要約すると、流体サンプルキャリア64の量(またはボリューム)およびその結果として生じる表面に基づいて、流体サンプル粒子を貯蔵部60の内部容積部分60aに発するかまたは分配するために効果的な、内部容積部分60a内の流体サンプル粒子の濃度cは、正確に、所望の所定の濃度値cに調節可能である。
【0026】
それについては、香り粒子、分子または液滴の濃度cは、知られているかまたは検出されることができ、および/または主として調整される。流体サンプル貯蔵部から定められた量を運搬することができる正確なマイクロドージング素子(例えば、ストローク量ΔVを有するマイクロ・ポンプ)に基づいて、人の鼻への流体サンプル、例えば香りの正確な投与が実現されることができる。
【0027】
発明の流体サンプル・ディスペンサ10のために使用されるマイクロドージング装置20のわずかな死容積のため、流体サンプルは、受信した起動信号の後、直ちに(すなわち、基本的にいかなる遅延もなく)環境(例えばユーザの鼻)に、非常に正確な投与速度で供給することができる。たとえば、環境に供給される流体サンプル粒子の(概算の)数N1は計算されることができ、次のように調整されることができる、N1=c*n*ΔV、ここで,「c」は、貯蔵部における(そして、それぞれ、流体サンプル出口のキャリアガスにおける)流体サンプル粒子の濃度であり、「ΔV」はマイクロドージング装置20のマイクロ・ポンプのストローク量であり、「n」はポンプ・ストロークの数または所定の方向のキャリアガスを搬送するための隔膜運動である。
【0028】
流体サンプル貯蔵部60の容積部分に存在する流体サンプルは、香りサンプル、芳香サンプル、風味サンプルおよび/または医薬品のサンプルを含む。このように、流体サンプル作製物は、流体サンプル分子を流体サンプル貯蔵部60の容積部分に提供するための固体(固体材料)または液体材料であってもよい。流体作製材料が固体または固体状態材料である場合、流体貯蔵部60の容積部分における流体サンプル分子の供給は、固体の表面または(例えば、脱離現象による)物質を含んでいる固体または固体状態材料の表面からの、または、表面を通した物質の開放粒子、または分子または液滴によって達成されることができる。流体サンプル作製材料64が液体材料の形で与えられる場合、液体材料は流体サンプル貯蔵部60の内部容積部分の流体サンプル分子の定められた濃度を提供するために加熱によって気化させることができる。さらに、更なる変形例として、流体サンプル分子は、流体サンプル貯蔵部60の内部容積部分の範囲内で、すでに定められた濃度cを有するガスの形で存在してもよい。このように、流体サンプル貯蔵部60は、(固定するか入れ替え可能な)流体サンプル容器またはカートリッジであってもよい。
【0029】
本発明の前後関係において、流体サンプルの粒子または分子が流体サンプル出口で環境に出力される流体サンプルを形成するためにキャリアガスに供給されることが記載されている。用語「粒子」が通常、原子から分子または分子のグループ/クラスタにわたっているサイズの(例えば顕微鏡的な)小片に関連することは明らかになるであろう。たとえば、流体サンプル粒子を吸収した、または、溶融したキャリアガスは、ガスまたは搬送ガス中の純粋な固体粒子の懸濁液または液滴である「エアロゾル」と呼ばれ、キャリアガスは、例えば、環境から供給される濾過空気である。このように、用語粒子は、この明細書においては、流体サンプルの液滴、分子および/または純粋な固体粒子と同義的に用いられる。
【0030】
さらに、図1aは、流体サンプル24で充填される貯蔵部60の内部容積部分60aのいくつかの典型的な具体例を示す。
【0031】
フィルタエレメント62は、機能している炭素フィルタであってもよい。フィルタエレメント62は、環境から潜在的汚染物または他の望まれていない物質を濾過することができて、流体サンプル24の分子が貯蔵部60の内部容積部分から環境に漏れるのを防止することもできる。マイクロドージング装置20を通して貯蔵部60から出口22への香りサンプルの制御されていない流れを防止するために、いわゆるフリーフロー保護エレメント(図1a−cには図示せず)が、流体サンプル貯蔵部60への流体導管下流に配置されることができる。フリーフロー保護エレメントは、例えば、予め張力がかけられた隔膜の形の逆止弁として実施することができる。要約すると、流体サンプル貯蔵部60は、マイクロドージング装置20に、濾過された空気に溶解した流体サンプルの形で特定の流体サンプル濃度を有する流体サンプル24を提供するように構成される。
【0032】
さらに、流体サンプル貯蔵部は、異なる流体サンプルを格納するための複数の分離された容積部分(図1a−cに図示せず)を含む。異なる流体サンプルは、複数の分離した容積部分とマイクロドージング装置20とを接続するためのスイッチング素子(図示せず)を作動させることにより、マイクロドージング装置に選択的に供給可能である。別法として、マイクロドージング装置は、マイクロ・ファン(図示せず)から成る複数のマイクロ・ポンプを含むことができ、複数のマイクロ・ポンプまたはマイクロ・ファンの各々は、流体サンプル貯蔵部の複数の分離した容積部分のうちの異なる容積部分に関連する。さらに、マイクロドージング駆動ユニット30は、選択的に形成されることができるおよび/または、あるいは、流体サンプル貯蔵部60の複数の分離された容積部分の異なる容積部分に各々関連している複数のマイクロ・ポンプまたはマイクロ・ファンの各々を選択的におよび/または二者択一的に作動させることができる。
【0033】
図1aに示すように、流体サンプル貯蔵部は、流体の(所望の)流れ方向において、マイクロドージング装置20の上流側に配置され、マイクロドージング装置20の入口は流体サンプル貯蔵部60の出口に流体的に連結される。流体サンプル貯蔵部60は、着脱自在にマイクロドージング装置20に接続される。あるいは、流体サンプル貯蔵部60は恒久的にマイクロドージング装置20に取り付けられてもよく、それにより、マイクロドージング装置20および流体サンプル貯蔵部60は同じハウジング(または基板)50に配置されることができる。
【0034】
さらに、流体サンプル24の意図する流れ方向に逆行する流体サンプルの好ましくない流れ方向を防止するために、流体サンプル貯蔵部60の入口、流体サンプル貯蔵部60の出口、マイクロドージング装置20の入口およびマイクロドージング装置20の出口の少なくとも1つは、例えば逆止弁の形で、自由流防止エレメントを含んでいてもよい。すでに上で概説されるように、マイクロドージング装置20は、ストローク量ΔVを提供するポンプチャンバを有するマイクロ・ポンプ21を含む。マイクロ膜またはマイクロ・ダイアフラムポンプにおいて、膜またはダイアフラム(マイクロ膜またはマイクロ・ダイアフラム)は、所定の方向に流体サンプルを輸送するために所定のあるいは調整可能なポンプ・ストロークまたは隔膜偏移によって動かされる。たとえば、見本として、電気的に有効にすることができる圧電素子が、マイクロドージング装置20のマイクロ・ポンプまたはマイクロ膜ポンプとして使用される。電気的励振に応じて、マイクロ膜またはマイクロ・ダイアフラムポンプのストローク量は、ポンプのストロークに対して、1nlから10nl(または、それ以上)の範囲で発生させることができる。
【0035】
ユーザの鼻のすぐ近くに流体サンプル24を供給するときに、流体サンプル24の高いドージング精度を達成するために、いわゆるマイクロ・ポンプの死容積は、できるだけ小さくしなければならない。マイクロ・ポンプの死容積は、ポンプチャンバ21の出口とマイクロ・ポンプ20の出口22との間に伸びる。このように、高い精度を達成するために、マイクロドージング装置20のマイクロ・ポンプの死容積は、例えば、ストローク量の20−または10−倍より小さくなければならない。ストローク量と死容積との比率は、マイクロ・ポンプの圧縮比と呼ばれる。
【0036】
ユーザの鼻のすぐ近くに流体サンプル24を供給するための流体サンプル出口22として、マイクロドージング装置20がチューブ・エレメント28を含む場合、チューブ・エレメント28の容積がストローク量の5−または3−倍より小さくなるように、チューブ・エレメント28は短くなければならない。
【0037】
以下の評価は、マイクロドージング装置20のいわゆる死容積に関連する。本発明によれば、マイクロ・ポンプ21の出口およびユーザの鼻の間の死容積は、できるだけ小さくなければならない。マイクロ・ポンプ21が非常に正確に少量、例えば0.25μlのストローク量で分配することができることを考慮すると、流体サンプル分子(例えば香りサンプル)を含む空気量が鼻にすぐ輸送されなければならない。以下の評価は、マイクロドージング装置の可能な死容積を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
死容積の上述の範囲および約7.6μlの総死容積の結果として、マイクロドージング装置は、最初の香りがユーザの鼻の鼻孔に現れるまで、ほとんど30ポンプ・ストロークを送り込まなければならない。したがって、調剤行為を実行するときに、ドージング精度はストローク量またはマイクロ・ポンプ21の精度によって制限されないが、マイクロドージング装置20のマイクロ・ポンプ21とユーザの鼻孔との間の死容積によって制限される。
【0040】
このように、以下の処置は、総死容積を減らすためにとられることができる。
厚みを(例えば、450μlから100μlまで)減らすために、底のウェーハをすりへらすこと、
ガスケットの厚みを(例えば50μlに)減らすこと、
孔の長さを(例えば1mmに)減らすこと、
チューブ・エレメントの長さを(例えば20mmに)減らすこと。
【0041】
上記の処置に基づいて、総死容積は、大幅に減らされることができる。以下の表2は、見本としての変更寸法を示す。
【0042】
【表2】
【0043】
このように、7つのポンプ・ストロークだけが、香りサンプルをユーザの鼻孔に送るために必要なだけである。さらに代わりの装置は、ユーザの鼻孔の前に直接シリコンチップの出口を配置することである。しかしながら、固定エレメントまたは固定エレメントの一部としてのヘッドセットは、したがって、再設計されなければならない。さらに、シリコンチップ、すなわちマイクロ・ポンプ21の出口をシリコンチップに直接固定されるノズルとともに鼻孔の前に直接配置することは、いかなる死容積もなく全てのポンプ・ストロークを投与することを可能にする。
【0044】
マイクロドージング駆動ユニット30は、コンピュータ、ビデオゲームコンソール(例えば、双方向的な娯楽コンピュータ)、または本、定期刊行物、映画、音楽、ゲームおよびウェブコンテンツを含むオーディオ−ビジュアル・メディアを再生するためのいかなるプラットフォームまたは装置(例えば、スマートフォン、DVDプレーヤ、ブルーレイプレーヤ等)から受信する制御としての制御信号に応じて、マイクロドージング装置20を駆動するように構成される。マイクロドージング駆動ユニット30は、遠隔システム・コントローラ(図1aに図示せず)に無線接続を導入するための無線受信機34を含む。あるいは、サンプル・ディスペンサ10のマイクロドージング駆動ユニット30は、ヘッドセットに電気的に、そして、機械的に連結される接続ケーブルに組み込まれる信号回線によって、遠隔システム制御に接続されてもよい。さらに、遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、例えば、交換可能な電池または再充電可能電池の形の電力供給部材70を含むことができる。電池の形の電力供給部材70は、マイクロドージング駆動ユニット30、マイクロドージング装置20または固定エレメント40に導入することができ、マイクロドージング装置20および/またはマイクロドージング駆動ユニット30に電気的に結合される。
【0045】
あるいは、マイクロドージング装置20およびマイクロドージング駆動ユニット30にエネルギーを与えるのに必要な電力は、香りサンプル・ディスペンサ10が組み込まれるヘッドセットへの接続ケーブルに導入される電力供給ラインによって供給される。
【0046】
流体サンプル・ディスペンサ10がヘッドセット装置に組み込まれることができるため、流体ディスペンサ10は、例えば、電話ヘッドセット、コンピュータ・ヘッドセット、携帯電話ヘッドセット、ワイヤレス・ヘッドセット、DECTワイヤレス・ヘッドセット、2.4GHzワイヤレス・ヘッドセットまたはブルートゥース・ワイヤレス・ヘッドセットなどにおいて使われるために適用されることができる。
【0047】
図1aに示すように、流体サンプル貯蔵部60は、(流体サンプルの意図された流れ方向に関して)マイクロ・ポンプ21を有するマイクロドージング装置20の上流に配置され、それにより、マイクロドージング装置20は流体サンプル貯蔵部60から流体サンプル24を吸い込み、接続チューブ・エレメントを通して、正確に投与される流体サンプル24を流体サンプル出口22で環境に供給する。
【0048】
あるいは、流体サンプル貯蔵部60は、見本として図1bに示されるように、(流体サンプル24の意図された流れ方向に関して)マイクロドージング装置20の下流側に配置されてもよく、それにより、マイクロドージング装置20は、流体サンプル貯蔵部60を通して空気またはガスを押し出すことにより環境に流体サンプル24を供給することができ、流体サンプル出口22を通して環境に流体サンプル24を供給することができる。
【0049】
図1bに典型的に示されているように、マイクロ・ポンプ21の入口26は、例えば任意の流体導管27およびフィルタエレメント62aを介して、流体的に環境に連結されることができる。任意のフィルタエレメント62aは、能動的炭素フィルタであってもよい。フィルタエレメント62aは、環境からの汚染可能性または他の望まれていない物質を濾過することができ、流体サンプル24の分子がマイクロ・ポンプ21から環境に漏れるのを防止することもできる。貯蔵部60の(任意の)フィルタエレメント62は、流体サンプル24の分子がマイクロ・ポンプ21に漏れるのを防止することができる。
【0050】
図1bの流体サンプル・ディスペンサ10の残りの機能素子は、図1aの流体サンプル・ディスペンサ10について述べたように行うことができる。
【0051】
図1cに典型的に示されるように、貯蔵部60は、マイクロドージング装置20によって形成されるキャリアガスの流体経路に別に配置される。さらに具体的には、流体サンプル・ディスペンサ11は、流体サンプル出口22に流体的に連結されるマイクロドージング装置20を含み、マイクロドージング装置20は、作動時に、流体サンプル出口22にキャリアガスの流れをつくるように構成される。マイクロドージング装置20は、例えば、環境に対して任意にフィルタエレメント62を有する流体サンプル貯蔵部60に流体的に連結される流体サンプル供給手段55を含む。図1cに図示するように、流体サンプル手段55および貯蔵部60は、マイクロドージング装置20に関して上流部分で接続されることができる。しかしながら、流体サンプル供給手段55および貯蔵部60は、マイクロドージング装置20に関して下流部分に配置されてもよいことは明らかである。流体サンプル供給手段55は、流体サンプル出口22へ流れているキャリアガスに流体サンプル貯蔵部60から選択的に流体サンプルの粒子を供給するように構成される。流体サンプル・ディスペンサ11は、流体サンプル供給手段55が能動的供給装置である場合、さらに、マイクロドージング装置20および流体サンプル供給手段55を選択的に駆動することにより、流体サンプル出口22で出力される流体サンプル24の投与速度を調整するためのマイクロドージング駆動ユニット30を含むことができる。さらに、遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10の電力供給手段70は、流体サンプル供給手段55にエネルギーを供給するために流体サンプル供給手段55に電気的に結合される。あるいは、流体サンプル供給手段55にエネルギーを与えるために必要な電力は、流体サンプル・ディスペンサ11が組み込まれるヘッドセットへの接続ケーブルに組み込まれる電力供給ラインを通じて供給されることができる。流体サンプル供給手段55は、例えば、定められたストローク量ΔV1を提供するポンプチャンバを有する更なるマイクロ・ポンプを含んでいてもよい。
【0052】
図1cの流体サンプル・ディスペンサ11の残りの機能素子は、図1aまたは1bの流体サンプル・ディスペンサ10について述べたように実施されることができる。
【0053】
図1cを用いて示されるように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ11の別の実施例は、第2のマイクロ・ポンプを省略することが可能であり、流体サンプル供給手段55は、出力される流体サンプル24を形成するために、貯蔵部60からキャリアガスの流れに流体サンプル24の分子を吸入または注入するミキサー構造(図示せず)を実装する。このように、小さい開口部または小孔(図示せず)は、例えば流体導管の狭くなっている区画で、例えばマイクロドージング装置20への上流側または下流側においてキャリアガスが流れる流体導管に形成されることができ、開口部は、マイクロドージング装置20のマイクロ・ポンプによる吸入工程で、すなわち、キャリアガスの流体導管27と貯蔵部60との間の接続を形成する流体導管56に負の圧力があるとき、貯蔵部60に保存される流体サンプル24の少量(例えば、所定の数の粒子)がキャリアガスの流れ(または、ガス流)に注入されるような大きさに構成される。開口部55(すなわち、流体サンプル供給手段)は、流体サンプルの粒子がそれから逃げることができないように小さくなるように選択されるか、または、例えば、開口部をカバーするフィルムの形をなすような弁体が用いられるかのどちらかである。さらに別の方法として、流体サンプル供給手段55は、キャリアガスの流体導管27の狭くなった形の部分(図示せず)の開口部として実施することができる。
【0054】
図1a−c、2a−iおよび3について言及した上述の実施例に関して、流体サンプル出口22は、流体サンプル出口22から環境に出力される流体サンプル24の流速を上げるためのノズルまたはノズル構造(図示せず)を含む。ノズルまたはノズル構造は、流体サンプル出口22に一体化されてもよいし、流体サンプル出口22に安全に固定する別々のエレメントであってもよい。
【0055】
流体サンプル出口22に関連するノズルまたはノズル構造は、流体サンプル出口22の流体経路の断面積を小さくするいかなるエレメントであってもよい。このように、ノズルまたはノズル構造は、流体サンプル出口22の流体導管の狭くなった形の部分によって実施されることができる。ノズルまたはノズル構造は開口部(例えば、エッチングされ、またはレーザーで穿設された)を有する薄い金属プレート、KOHエッチングまたはドライエッチングされた開口部を有する小型シリコンチップ、様々な断面積のパイプまたはチューブでもよく、それは流体サンプル出口22で環境に出力される流体サンプル24の流れを導くかまたは修正するために用いることができる。このように、このようなノズルまたはノズル構造は、そこから現れる流体サンプル流の流速、速度、方向、質量、形状および/または圧力を制御するために用いることができる。発明の流体サンプル・ディスペンサ10/11の死容積の不必要な増加を回避するため、ノズルまたはノズル構造は、流体サンプル出口22または(もし、あれば)チューブ・エレメント28に一体的に組み込まれることができる。実際的には、流体サンプル出口のノズルまたはノズル構造は、ほぼ20〜95%(または40〜60%)による流体導管の断面積の減少でもよい。しかしながら、キャリアガスの流れをつくるときに、ノズルの利用またはノズル構造が機能または効率に影響を及ぼさないことが確実にされなければならない。このように、選ばれたノズル・タイプは、それぞれ使用されるマイクロ・ポンプの設計に依存する。
【0056】
シリコンまたは金属マイクロ・ポンプのようなマイクロドージング装置にノズルを適応させる他の実施例は、シリコンチップの出口に直接ノズルチップを適用するものであり、それは、ノズルが(シリコン溶融接着により、接着剤により、またはレーザー溶接により)マイクロ・ポンプチップの底面側に適用されることを意味し、ポンプチップはノズルがユーザの鼻に向かうように配置される。それについては、ポンプの出口バルブとノズルとの間の死容積は、0,2μlより小さくなるように減少させることができる(例えばドライエッチングバルブ、出口バルブ穴の大きさ、例えば0,5×1,0×0,4m3=0,2mm3=0,2μl)。この実施例の他の効果は、死容積だけでなく、出口22の流体容量も硬い材料(シリコン、金属)のために非常に小さく、非常に少ない量の流体サンプルが供給されることができ、非常に急速に変えることができるということである。
【0057】
流体サンプル出口22の流速の増加に基づいて、流体サンプル出口22およびユーザの鼻の間の約10cm(例えば、5〜15cmまたは8〜12cm)より大きな距離は埋められることができる。このように、発明の流体サンプル・ディスペンサ10/11はユーザの鼻からより大きな距離において配置されることができ、それにより、ユーザによるディスペンサのより大きな支持が好ましい/調整された投与速度を悪化させることなく成し遂げられることができる。
【0058】
さらに、図1a−cに示されるような流体サンプル・ディスペンサ10の全ての部分および機能素子、および、そのために用いられる材料は、環境への流体サンプル24の成分の好ましくない漏れや拡散を(できるだけ)避けて抑えられるように設計されるべきであるという点に留意する必要がある。
【0059】
図1a−cに示される遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10/11および前述の機能素子と協働したその機能に任意に付け加えられる更に設計され付加された機能素子は、図2a−iに示されるような可能な実施に関して次に説明する。
【0060】
さらに具体的には、更なる実施例に従う発明の(制御可能な遠隔制御装置)流体サンプル・ディスペンサ10/11の次の代わりの実施態様は、図2a−iにおいて言及する。図2a−iに基づく更なる説明に関して、図1a−cに示される流体サンプル・ディスペンサ10/11のエレメントと、その機能において同一であり、および/または同じ機能または同じ効果を有する流体サンプル・ディスペンサ10/11のエレメントは、同じ参照符号が与えられることを指摘しておく。このように、異なる実施例において示されるこれらの要素およびその機能の説明は、相互に交換可能で、異なる実施例において互いに適用されることができる。
【0061】
図2aに図示されているように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態の間、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロポンプの形のマイクロドージング装置20を含む。マイクロドージング装置20とともに同じハウジング50内に任意に組み込まれるマイクロドージング駆動ユニット30は、マイクロ・ポンプ駆動ユニット36、バッテリー70および(例えば無線の)制御信号受信エレメント34を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20に、流体的に連結される。貯蔵部60は、香り、芳香、風味および/または医薬品の形で例えば流体サンプル作製材料の片64を含む。さらに、貯蔵部60は、環境雰囲気のガスに通過させるが、貯蔵部60の内部容積部分から環境への流体サンプル24の漏れを(できるだけ)回避するフィルタエレメント62を含む。
【0062】
図2aで概説されるように、遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10のハウジング50の典型的な外側の寸法は、例えば、長さ30mmおよび直径12mmである。
【0063】
図2aで概説されるように、貯蔵部は香り作製材料64としての香り片(例えば、0.1g未満)を含み、香り材料の香り分子が空気中に溶け込み、マイクロ・ポンプ21の形でマイクロドージング装置が作動している間、香りサンプル出口22に供給される。この文脈において、貯蔵部60の内部容積部分に配置される流体サンプル作製材料64は、香り、芳香、風味または医薬品の分野におけるいかなる材料であってもよく、それは、人/ユーザが感知し、匂いを嗅ぎ、または医学、健康または娯楽の応用に適用できるものであることに留意すべきである。
【0064】
図2aに示すように、香りサンプル貯蔵部60はマイクロ・ポンプ21を有するマイクロドージング装置20の上流に配置され,それにより、マイクロドージング装置20は流体サンプル貯蔵部60から接続チューブ・エレメントを通して流体サンプルを吸入し、香り出口22で環境に正確に流体サンプルを投与する。
【0065】
図2bにおいて図示するように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態において、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20を含む。マイクロドージング装置20とともに同じハウジング50に組み込まれるマイクロドージング駆動ユニット30は、マイクロ・ポンプ駆動ユニット36、バッテリー70および(例えば、無線の)制御信号受信素子(図示せず)を含む。さらに、香りサンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20の入口に流体的に連結される。貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20の入口26に接続され、環境からフィルタエレメント62によって切り離される流体導管として実行され、環境からフィルタエレメント62を通して供給されるガス(例えば、空気)に流体サンプル分子が溶け込むように、流体導管は、例えば、流体サンプル作製材料64を含む。ガスに溶け込んだ流体サンプル分子は流体サンプル24を形成して、駆動される圧電マイクロ・ポンプ21によって、流体サンプル出口22に供給される。マイクロドージング装置20の入口26および出口22を形成する流体導管は、毛細管またはマイクロ毛細管として形成されることができる。
【0066】
貯蔵部60は、環境空気のガスに通過させるが、貯蔵部60から環境への流体サンプル24の漏れを(できるだけ)回避するフィルタエレメント62を含む。図2bで概説されるように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10のハウジング50の典型的な外側の寸法は、例えば、直径15mmおよび長さ30mmである。
【0067】
図2c−iにて図示したように、実施例の以下の説明に関して、流体的にマイクロ・ポンプ21に連結される流体サンプル貯蔵部60の異なる構成だけが例示されるという事実に指し示され、例えばマイクロドージング駆動ユニット30、マイクロ・ポンプ駆動ユニット36、バッテリー70、制御信号受信素子34、ハウジング50、固定エレメント40等の(任意に)追加の機能素子の上述の記載は、以下の例示的実施形態に等しく適用することができる。
【0068】
図2cにおいて図示するように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態において、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21またはマイクロ・ファンの形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプルリザーバ60は、圧電マイクロ・ポンプ20に流体的に連結される。さらに具体的には、貯蔵部60は、流体的に圧電マイクロ・ポンプ21の入口26に連結され、フィルタエレメント62によって環境から切り離される流体導管として実施され、流体サンプル分子が環境からフィルタエレメント62を通して与えられるガス、例えば空気に溶け込むように、流体導管は、例えば、流体サンプル作製材料64の片を含む。フィルタエレメント62は、環境の雰囲気のガスに通過させて、貯蔵部60の内部容積部分から環境への流体サンプル24の漏れを(できるだけ)回避する。
【0069】
図2cに示すように、流体サンプル作製材料64の片は、貯蔵部60を流体サンプル作製材料64の新しい片で満たされた新しい袋で補充されるのを促進する袋66(例えば、フィルタバッグ)の中に配置される。
【0070】
流体サンプル作製材料64の片を有する袋を交換するために、フィルタエレメント62は、流体サンプル貯蔵部60の内部容積部分60aへの接近を得るために取り除かれることができる。袋66を流体サンプル作製材料64の新しい片を有する新しい袋と置き換えた後に、フィルタエレメント62は、貯蔵部60に再び取り付けられる。フィルタエレメント62のカーボン材が香りサンプル分子によってすでに飽和している場合、任意に、新規なフィルタエレメント62を取り付けることができる。
【0071】
図2dにおいて示されるように、流体サンプル・ディスペンサ10は、図2cの遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10に加えて、流体導管キャップまたはカバー68、およびマイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態において圧電マイクロ・ポンプ21の出口22への流体サンプル24の所望の流れ方向に反する流れ方向における流体サンプル24の好ましくない流れを防止するための、例えば(閾値)逆止弁の形の自由流保護エレメント70を含む。流体導管キャップまたはカバー68は、流体導管を封止するためのフィルタエレメント62に対して上流の位置に交換可能に置かれることができる。マイクロ・ポンプ21の作動状態において、環境の空気は、貯蔵部60の内部容積部分60aに供給されるために、自由流保護エレメント70およびフィルタエレメント62を通過することができる。流体導管キャップまたはカバー68およびフィルタエレメント62は、貯蔵部60内の流体サンプル作製材料64を新しい流体サンプル作製材料に取り替えるため、流体サンプル貯蔵部60の内部容積部分60aへの接続を得るために取り除くことができる。
【0072】
図2eにおいて示されるように、流体サンプル・ディスペンサ10は、図2dの遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10に加えて、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態において、ポンプチャンバから圧電マイクロ・ポンプ21の出口22への流体サンプル24の所望の流れ方向に反する流れ方向における流体サンプルの好ましくない流れを防止するための、圧電マイクロ・ポンプ21の出口22における例えば逆止弁の形の自由流保護エレメント72を含む。
【0073】
図2fにおいて示されているように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動時に、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための、圧電マイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ21に対して下流の位置で流体的に連結される。さらに具体的には、貯蔵部60は、流体的に圧電マイクロ・ポンプ21の出口22aに連結される流体導管として実施され、環境から自由流保護エレメント78によって切り離されて、流体サンプル分子が環境から圧電マイクロ・ポンプ21を通して供給されるガス、例えば空気に溶け込むように、流体導管は、例えば、流体サンプル作製材料の片64を含む。
【0074】
例えば逆止弁の形の自由流保護エレメント78は、流体導管キャップまたはカバー76において形成され、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態の間、流体サンプル24の好ましくない流れを防止する。流体導管キャップまたはカバー76は、圧電マイクロ・ポンプ21に対して、下流の位置に取り替え可能に置かれることができる。流体導管キャップまたはカバー76およびフィルタエレメント62は、貯蔵部60内の流体サンプル作製材料64を有する袋66を新しい流体サンプル作製材料と取り替えるために、流体サンプル貯蔵部60の内部容積部分との接続を得ることができるように取り除くことができる。
【0075】
図2c−fの前記実施例に関して、マイクロドージング装置20および貯蔵部60は共通基板において形成されることができることを指摘しておく。このように、流体サンプル・ディスペンサ10は、非常にしっかりとした閉ハウジング50を備える香り投与システムを実現することができる。
【0076】
図2gにおいて示されているように、流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態の間、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20に流体的に連結される。
【0077】
さらに具体的には、貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ21の出口22aに連結する流体導管として構成される、すなわち圧電マイクロ・ポンプ21に対して下流側に配置され、(例えば、ガラスまたはプラスチック管エレメントの形の)流体導管60は、例えば、流体サンプル粒子が環境から圧電マイクロ・ポンプ21を通して供給されるガス、例えば空気に溶け込むように、流体サンプル作製材料の片64を含む。環境空気のガスに透過し、圧電マイクロ・ポンプ21から環境への流体サンプル24の漏れを(できるだけ)防止するフィルタエレメント(図示せず)は、圧電マイクロ・ポンプ21の流体入口26の上流側に配置される。
【0078】
マイクロ・ポンプ21に対して下流側の流体導管によって形成される貯蔵部60は、第1の自由流保護エレメント82を有する第1の流体導管キャップまたはカバー80および第2の自由流保護エレメント86を有する第2の流体導管キャップまたはカバー84を含む。第1および第2の自由流保護エレメント82,86を有する第1および第2の流体導管キャップ80,84は、貯蔵部60の2つの対向する開口部(接続または連結ポート)に位置している。このように、貯蔵部60は、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態の間、確実に密閉されることができる。このように、貯蔵部60は、漏れのリスクがなく、マイクロドージング装置20に容易に着脱することができる。貯蔵部60は、使い捨ての流体サンプル容器またはカートリッジとして実施することができる。
【0079】
図2hにおいて示されるように、流体サンプル・ディスペンサ10は、再び見本として、作動状態において、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20に流体的に連結しており、すなわち、圧電マイクロ・ポンプ21に対して上流側に配置される。さらに具体的には、貯蔵部60は、流体的に圧電マイクロ・ポンプ21の入口に連結する流体導管として実施され、環境空気(ガスまたは空気)から第1の自由流保護エレメント82を有する第1の流体導管キャップまたはカバー80により切り離され、流体導管は、例えば、流体サンプル分子が環境から第1の自由流保護エレメント82を通して供給されるガスに溶け込むように袋66の中に入った流体サンプル作製材料の片64を含む。
【0080】
マイクロ・ポンプ21に対して上流側の流体導管によって形成される貯蔵部60は、第1の自由流保護エレメント82を有する第1の流体導管キャップまたはカバー80と第2の自由流保護エレメント86を有する第2の流体導管キャップまたはカバー84とを含む。第2の自由流保護エレメント86を有する第2の流体導管キャップまたはカバー84は、マイクロ・ポンプ21の入口26に流体的に連結される。第1および第2の自由流保護エレメント82、86を有する第1および第2の流体導管キャップ80、84は、貯蔵部60の2つの対向する開口部(接続または連結ポート)に位置している。このように、貯蔵部60は、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態の間、確実に密閉されることができる。貯蔵部60は、いかなる漏れのリスクもなく、マイクロドージング装置20に容易に着脱することができる。貯蔵部60は、使い捨ての流体サンプル容器またはカートリッジとして実施することができる。流体導管の形の流体サンプル貯蔵部60は、ガラスまたはプラスチック導管エレメントを含むことができる。
【0081】
図2iに示されているように、流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態において、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20に流体的に連結される。さらに具体的には、貯蔵部60は、流体的に圧電マイクロ・ポンプ21の入口26に連結される流体導管として実施され、環境空気(ガスまたは空気)から第1の自由流保護エレメント82を有する第1の流体導管キャップまたはカバー80により切り離され、流体導管は、例えば、流体サンプル分子が環境から第1の自由流保護エレメント82を通して供給されるガス、例えば空気に溶け込むように袋66の中に入った流体サンプル作製材料を含む。
【0082】
図2hの配置に対する違いとして、図2iのマイクロ・ポンプ21は、貯蔵部60の出口における第2の自由流保護エレメント86を有する第2の流体導管キャップまたはカバー84の代わりに、出口22において第2の自由流保護エレメント86を含む。このように、接続構成において、マイクロ・ポンプ21および貯蔵部60は、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態の間、確実に密閉されることができる。さらに、貯蔵部60は、マイクロ・ポンプ21を流体サンプル貯蔵部60に流体的に接続したときに、マイクロ・ポンプ21の入口26によって貫通する隔膜(図示せず)を含む。このように、貯蔵部60は、いかなる漏れのリスクもなく、マイクロドージング装置20に容易に着脱することができる。貯蔵部60は、使い捨ての流体サンプル容器またはカートリッジとして実施することができる。流体導管の形の流体サンプル貯蔵部60は、ガラスまたはプラスチック導管エレメントを含むことができる。
【0083】
図2a−iの前記実施例に関して、それは、それぞれの自由流保護エレメントが、マイクロ・ポンプ21の非作動(非動作)状態の間、圧電マイクロ・ポンプ21からの流体サンプル24の好ましくない漏れおよび/または環境ガスのマイクロ・ポンプ21または流体サンプル貯蔵部の内部への接続(すなわち、流体導通)をできるだけ防止するための閾値逆止弁を含むという事実に対して指摘される。さらに、マイクロ・ポンプ21が作動するか動作した状態の間、それぞれの自由流保護エレメントがマイクロドージング装置20の出口22で環境に与えられる流体サンプル24のための一方通行の流体通路を与えるように、それぞれの自由流保護エレメントの閾値(流体流動抵抗)が調整される。一方通行の流体通路は、貯蔵部60および流体的に接続されたマイクロ・ポンプ21を通って延び、作動するマイクロ・ポンプ21によって発生する流体圧力によって可能にされる。
【0084】
図3はベース本体102上の蠕動運動マイクロ・ポンプ10を示し、各々が第1の膜領域104を作動させるための第1の圧電アクチュエータ106を有する第1の幕領域104、第2の膜領域114を作動させるための第2の圧電アクチュエータ116を有する第2の膜領域114、第3の膜領域124を作動させるための第3の圧電アクチュエータ126を有する第3の膜領域124を有する。
【0085】
図3において図示されるように、遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、見本として、作動状態の間、流体サンプル出口22で環境に流体サンプル24を出力するための圧電マイクロ・ポンプ21またはマイクロ・ファンの形のマイクロドージング装置20を含む。さらに、流体サンプル貯蔵部60は、圧電マイクロ・ポンプ20に流体的に連結される。さらに具体的には、貯蔵部60は、流体的に圧電マイクロ・ポンプ21の入口26に連結する流体導管として実施され、環境からフィルタエレメント62によって切り離され、流体サンプル分子が環境からフィルタエレメント62を通して与えられるガス、例えば空気に溶け込むように、流体導管は、例えば流体サンプル作製材料の片を含む。フィルタエレメント62は、環境空気のガスに通過させて、貯蔵部60の内部容積部分60aから環境への流体サンプル24の漏れを(できるだけ)回避する。
【0086】
蠕動運動マイクロ・ポンプ10のために、ポンプボディ102は、第1の膜領域104と共に、通過開口部が第1の膜領域104の非作動状態において開き、通過開口部が第1の膜領域104が作動することによって閉じる第1のバルブ(チャンバ1)を形成する。ポンプボディ102は、第2の膜領域114と共に、体積が第2の膜領域114が作動することによって減少するポンピングチャンバ(チャンバ2)を形成する。ポンプボディ102は、第3の膜領域124と共に、通過開口部が第3の膜領域の非作動状態において開き、通過開口部が第3の膜領域124が作動することによって閉じる第2のバルブ(チャンバ3)を形成し、第1および第2のバルブは、ポンピングチャンバに流体的に接続している。
【0087】
蠕動運動マイクロ・ポンプ10において、第1および第2のバルブは、非作動状態において開き、第1および第2のバルブは膜をポンプ/ベース本体の方へ動かすことによって閉じるが、それぞれのポンピングチャンバの量は、ポンプボディ102の方へそれぞれの第2の膜領域を動かすことによって減少する。このように、蠕動運動マイクロ・ポンプ10は常開であり、その結果、(任意に)安全弁または異なる自由流停止(図3に図示せず)が一体化されることができる。
【0088】
この構造で、膜に配置される圧電エレメントが圧電アクチュエータとして用いられる場合であっても、蠕動運動マイクロ・ポンプは泡に対して耐性のある、自給式ポンプの実現を可能にする。
【0089】
蠕動運動マイクロ・ポンプ10が泡に対して耐性があり自給式の態様で動くことができることを確実にするために、ストローク量および死容積の比率が搬送圧力(フィード圧)および気圧の比率より大きくなるように、それは好ましくは必要な大きさにされ、ストローク量はポンピング膜によって置き換え可能な容積であり、死容積は、ポンピング膜が作動してバルブの一方が閉じ、他方が開いているときのマイクロ・ポンプの入口開口部および出口開口部の間に残っている容積であり、気圧は最高約1050hPa(最悪の場合を考慮)であり、搬送圧力は、微小蠕動ポンプにおける流れの狭窄部(狭くなっている箇所)を示す場所を通過する第1/第2の流体(液体/気体)界面を動かすための、すなわちこの通過開口部を含むポンピングチャンバと第1または第2のバルブの通過開口部との間の、圧力チャンバにおいて、マイクロ・ポンプの流体チャンバ領域、すなわち圧力チャンバにおいて必要な圧力である。
【0090】
圧縮比と呼ばれるストローク量と死容積との比率が上記の状態を満たす場合、蠕動運動マイクロ・ポンプは泡に対して耐性がある自給式の態様で動くことが確実にされる。
【0091】
蠕動マイクロ・ポンプ10の圧縮比の更なる増加は、ポンピング膜の屈曲線、すなわち作動状態におけるその屈曲輪郭にポンプボディにおいて構成されるポンピングチャンバの輪郭を適応させることによって達成され、その結果、ポンピング膜は作動状態のポンピングチャンバの全容量を実質的に動かすことができる。さらに、ポンプボディに形成されるバルブチャンバの輪郭は、それぞれの対向する膜部の屈曲線に対応して適合し、その結果、最適の場合、作動する膜領域は実質的に閉鎖状態の全てのバルブチャンバ容積を動かす。
【0092】
図3に示されるように、その一方側面に実現された蠕動ポンプを有する射出成形部分または射出エンボス加工部分または粉末射出金属部分が使用されることができる。膜エレメントは、レーザー溶接またはその他の結合技術で接続されることができる。図3の香り投与システムの全体設計は、非常に費用効率がよく、大量生産のために用いられることができる。
【0093】
以下に、発明の流体サンプル・ディスペンサ10に基づく発明の(医学的または臨床的な)テスト手順と同様に遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10の原理機能および記載されている流体サンプル・ディスペンサ10の発明の利用が詳述される。
【0094】
さらに具体的には、発明の遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、選択的に人の鼻に所定の投与速度を有する流体サンプル24を供給するために利用されることができる。人の鼻へのこの正確な流体サンプルの供給は、監察医が非常に効率的な方法で人の香り検出感度を試験することを可能にする。このように、マイクロドージング装置とテスト人の鼻との間の確定した距離および非常に正確な投与速度に基づいて、表現でき比較可能なテスト条件は、例えば臨床(医学的)応用のための、テストされる人の最小検出濃度をテストし比較するために達成されることができる。
【0095】
このように、発明の遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10は、主として、例えばマイクロ・ポンプ21の形のマイクロドージング装置20による流体貯蔵部60から人の鼻への流体サンプル24の非常に正確な投与速度を実現することにより、におい、風味、芳香または香りを嗅ぐまたは味わうテスト人の最も低い可能な感度を測定するために用いることができる。マイクロドージング装置20はマイクロドージング駆動ユニット30によって遠隔制御され、マイクロドージング装置20、および、例えば、マイクロドージング駆動ユニット30は、人の鼻の近くに固定され、それにより、マイクロドージング装置の出口と人の鼻の鼻孔との間の間隔が所定の範囲、例えば2cm以内にすることができる。別法として、マイクロドージング装置20のみが、人の鼻に隣接して配置される。
【0096】
少なくともマイクロドージング装置20、および任意にマイクロドージング駆動ユニット30を人の鼻の近くに固定するための固定エレメント40は、人の頭に固定したヘッドセットの部品として実施される。このようにして、マイクロドージング装置20の作動の間、例えば空気中に溶け込んだ香り分子の形の流体サンプル24は、選択的に、人の鼻に非常に正確に所定の投与速度で供給することができる。遠隔制御可能な流体サンプル・ディスペンサ10を作動させるために、監察医は、例えばボタンを押すことによって、遠隔システム・コントローラを作動させることができ、制御信号Scontrolは、無線信号によって、または信号線による線結合した信号によってマイクロドージング駆動ユニットに送信される。作動信号により、マイクロドージング装置は、人の鼻に続いて環境に香りサンプルを正確な投与速度で出力する。
【0097】
マイクロ・ポンプのストローク量ΔVは電気刺激に基づいて調整されることができるので、監察医の遠隔システム・コントローラは、テスト人の鼻に供給される香り/流体サンプル投与速度(時間ごとの量)を調整するための異なる平準化手段を備えていることができる。さらに、マイクロドージング装置20を作動させるための時間間隔は、遠隔システム・コントローラまたはその中で実行されるソフトウェア・ルーチンを通じて調整されることができる。さらに具体的には、遠隔システム・コントローラは、異なるグループまたはカテゴリーのテスト人、例えば、検査されるテスト人の年齢、性別、症状、その他に適応する異なるテスト概念に適することができる異なるテスト・ルーチンを実行するためのコンピュータ・ソフトウェアを備えていることができる。
【0098】
作動の間、マイクロドージング装置21のマイクロ・ポンプは、貯蔵部から人の鼻に香りサンプル24を出力し、香りサンプルは、空気に溶け込んだ香り分子を含む。図2a−iに示されるように、例えばマイクロ・ポンプ、担体基板、貯蔵部チャンバ、炭素フィルタを含む遠隔操作可能な香りサンプル・ディスペンサ10の全体の寸法は、非常に小さい寸法で実施することができ、好ましくは2立方センチメートルより小さい体積で実施することができる。香りサンプル・ディスペンサ10の寸法を小さく保つために、空気貯蔵部60は、マイクロドージング装置20の次に配置されるか、またはマイクロドージング装置20に一体化される。さらに、漏れおよび不必要な死容積を防止するために、マイクロドージング装置20の香りサンプル出口22における導管エレメント28(例えば図1a−cを参照)は、低い導管容量を提供するために短く保たれなければならない。
【0099】
本発明による例えば臨床検査との関連で、人が認めることができる香りサンプルの最小限の香り濃度を決定するための方法200は、図4aを参照して、以下に記載されている。さらに具体的には、発明の遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、例えば百万分の1(ppm)または千分の1(ppt)のスケールで、テスト人が検出できる香りサンプルの最も低い検出濃度を測定するために用いることができる。この関係において、それは、1ppmの検出濃度は人が百万の空気分子の中の1つの香り分子を認めることができることを意味するという事実が指摘される。
【0100】
たとえば、人は、監察医の遠隔システム・コントローラを用いることにより人の鼻孔に香りサンプルを放出/供給することによって、発明の香りサンプル・ディスペンサでテストされることができる。第1に、香り貯蔵部の香りサンプルの香り濃度は、調節または調整202される。それから、香りサンプルは、開始投与速度、例えば1ppmまたは1pptで人の鼻孔に供給204される。開始投与速度は、例えば、テストされる人が通常検出することができる最小限の投与速度(最小限の香りサンプル投与)より低い。人の鼻孔に(例えば、連続的に、または、段階を追って)供給される投与速度は、人が感知するか香りサンプルに反応するまで増加206させられる。このように、人が供給される香りサンプルを感知し始めるとき、人によって検出可能な最小限の香り濃度は現在供給されている投与速度に対応する。このように、最も低い投与速度は、人が検出することができる香りの最小限の検出濃度である。
【0101】
人(香り検出手段)がすでに、開始投与速度で供給される香りサンプルに反応している場合、最初の投与速度は少なくとも50%(または90%)減らされて新しい開始投与速度にされ、新しい投与速度で始めることにより供給および増加のステップが実行される。
【0102】
本発明の人の香りサンプル検出限界(の香り濃度)を決定する方法210は、図4bを参照して以下に説明する。さらに具体的には、発明の遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、たとえば百万分の1(ppm)または千分の1(ppt)のスケールにおいて、人が検出することができる香りサンプルの最も低い検出濃度を測定するために用いることができる。
【0103】
たとえば、人は、監察医の遠隔システム・コントローラを用いて香りサンプルを人の鼻孔に放出/供給することによって、発明の香りサンプル・ディスペンサでテストされることができる。第1に、香り貯蔵部の香りサンプルの香り濃度は、調節または調整212される。それから、香りサンプルは、開始投与速度、例えば1ppmまたは1pptで人の鼻孔に供給214される。開始投与速度は、例えば、テストされる人が通常感知することができる最小限の投与速度(最小限の香りサンプル投与)より高い。人の鼻孔に供給される投与速度は、人が香りサンプルを検出するかまたは反応することが止まるまで、すなわち人がもはや香りサンプルを感知しなくなるまで、(例えば、連続的に、または、段階を追って)減少させられる。このように、人が供給されるカリサンプルを感知しなくなるとき、人の香りサンプル検出限界または人によって検出可能な最小限の香りサンプル濃度は現在供給されている投与速度に対応する。
【0104】
人が開始投与速度で供給される香りサンプルを感知しない場合、開始投与速度は少なくとも50%(または100%)増加されて新しい開始投与速度とされ、新しい投与速度で始めて、供給および減少のステップが実行される。
【0105】
この点について、発明の遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、例えば十億分の1(ppb)、百万分の1(ppm)または千分の1(ppt)のスケールで、香り検出手段が検出することができる香りサンプルの最小限の検出濃度を測定するのに使用することができるという事実について指摘される。
【0106】
本発明によれば、香り検出手段が検出することができる香りサンプルの最小限の香り濃度を決定するための方法300は、図5aを参照して以下に説明する。
【0107】
一般に、発明の遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、香りサンプルの最小限の香り濃度を決定する300ために有利に用いられることができ、香り検出手段は図5aに示されるように検出することができる。このように、香りサンプルの詳細な濃度は、香り検出手段の香り検知素子(センサ)のすぐ近くで非常に高い信頼性をもって供給されることができる。さらに具体的には、香り貯蔵部によって供給される香りサンプルの香り濃度は、調整または調節302される。開始投与速度は、テストされる香り検出手段が通常検出することができる最小限の投与速度(香りサンプル投与)より低い。香りサンプルは、香り検出手段の検知素子に開始投与速度で供給304され、感知素子に供給される投与速度は、香り検出手段が香りサンプルに反応するまで、(例えば、連続的に、または、段階を追って)増加306される。香り検出手段が供給された香りサンプルに反応するとき、香り検出手段によって検出可能な最小限の香り濃度は現在供給されている投与速度に対応する。
【0108】
香り検出手段がすでに開始投与速度で供給される香りサンプルに反応している場合、最初の投与速度は少なくとも50%(または100%)減らされて新しい開始投与速度とされ、供給および増加のステップが新しい開始投与速度で開始されることにより実行される。
【0109】
本発明の香り検出手段の香りサンプル検出限界(の香り濃度)を決定する方法310は、図5bを参照して以下に説明する。
【0110】
一般に、発明の遠隔制御可能な香りサンプル・ディスペンサ10は、図5bに示すように、香り検出手段の香りサンプル検出限界を決定する310ために、有利に用いられることができる。このように、正確に投与された香りサンプルの濃度は、香り検出手段の香り検知素子(センサ)のすぐ近くで非常に高い信頼性をもって供給されることができる。さらに具体的には、香り貯蔵部によって供給される香りサンプルの香り濃度は、調整または調節312される。開始投与速度は、例えば、テストされる香り検出手段が通常検出することができる最小限の投与速度(最小限の香りサンプル投与)より高い。香りサンプルは、香り検出手段の検知素子に開始投与速度で供給314され、検知素子に供給される投与速度は、香り検出手段が香りサンプルに反応または検出しなくなるまで、すなわち、香り検出手段がもはや香りサンプルに反応しなくなるまで、(例えば、連続的に、または、段階を追って)減少316させられる。このように、香り検出手段が供給された香りサンプルに反応または検出しなくなったとき、香り検出手段の香りサンプル検出限界または香り検出手段によって検出可能な最低限の香りサンプル濃度は、現在供給されている投与速度に対応する。
【0111】
香り検出手段が開始投与速度で供給される香りサンプルに反応しない場合、開始投与速度は少なくとも50%(または100%)増加して新しい開始投与速度とされ、供給および減少のステップは新しい開始投与速度で実行される。
【0112】
いくつかの態様が装置との関連で記載されたが、これらの態様も対応する方法の説明を表すことは明らかであり、ブロックまたは装置は、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップに関連して記載されている態様は、対応する装置の対応するブロックまたは部材または特徴の説明を示す。
【0113】
特定の実施要件に応じて、本発明の実施例は、ハードウェアにおいて、または、ソフトウェアで実施されることができる。実施はその上に格納される電子的に読み込み可能な制御信号を有するデジタル記憶媒体、例えばフレキシブルディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリ等を使用して実行されることができ、それは、それぞれの方法が実行されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)。したがって、デジタル記憶媒体は、計算機可読でもよい。
【0114】
通常、本発明の実施例はプログラムコードを有するコンピュータ・プログラム製品として実施されることができ、コンピュータ・プログラム製品がコンピュータで動くときに、プログラムコードが方法のうちの1つを実行するために実施されている。プログラムコードは、機械読み取り可読キャリアに例えば格納されることができる。
【0115】
上記した実施例は、本発明の原理のために、単に図示されるだけである。配置の修正変更および本願明細書において記載されている詳細は他の当業者にとって明らかであるものと理解される。したがって、間近に迫った特許クレームの範囲だけによって制限され、本願明細書において実施例の説明および説明として示される具体的な詳細によって制限されないことが意図するところである。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図3
図4a
図4b
図5a
図5b