(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306503
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】閉鎖デバイス及び関連した展開方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20180326BHJP
A61F 2/06 20130101ALI20180326BHJP
【FI】
A61B17/00
A61F2/06
【請求項の数】31
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-515876(P2014-515876)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2014-524775(P2014-524775A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】US2012041203
(87)【国際公開番号】WO2013032551
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年2月9日
【審判番号】不服2016-13742(P2016-13742/J1)
【審判請求日】2016年9月13日
(31)【優先権主張番号】13/163,313
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506226692
【氏名又は名称】エイジーエイ メディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レン、ブルック
【合議体】
【審判長】
高木 彰
【審判官】
内藤 真徳
【審判官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/125689(WO,A1)
【文献】
特開2009−160402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディによって画定される空洞内に受け入れられると共にボディによって画定される空洞を閉鎖するように適合された閉鎖デバイスであって、前記ボディが、外周を形成する組織を含み、前記外周は、周囲を有すると共に前記空洞の中に延びる開口を画定する、閉鎖デバイスにおいて、
少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、対向した近位端及び遠位端を有する、横方向に拡張可能な第1の部分であって、前記第1の部分が、それが横方向に拡張すると、前記空洞内に実質的に配設されるように前記開口を通じて前記空洞に挿入可能であるように構成される、横方向に拡張可能な第1の部分と、
少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成された、横方向に拡張可能な第2の部分であって、前記第2の部分が、対向した近位端及び遠位端を有し、前記第1の部分の遠位方向に前記空洞に挿入可能であるように構成される、横方向に拡張可能な第2の部分と、
動作可能に係合されて、前記第1の部分の前記遠位端を前記第2の部分につなぎ、挿入軸線に沿って延びる折畳み可能な組立体を形成するようにそれらと協働可能である接続要素であって、前記接続要素が、2から30の間の横寸法に対する長さの比を有する、接続要素と、
前記第1の部分の前記近位端の近位方向に配設され、そこにフランジ接続要素によってつなげられるフランジであって、前記フランジは、楕円形部材として構成されており、前記楕円形部材は、前記外周の前記周囲に、全体で、前記外周の前記周囲の2分の1、前記外周の前記周囲の3分の1、及び前記外周の前記周囲の4分の1のうちの1つよりも少なく重なるように構成される、フランジと、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも1つに動作可能に係合され、その横方向に外側の表面の周りに離間した複数の保持部材であって、前記折畳み可能な組立体が折り畳まれた状態で、前記第2の部分が、前記挿入軸線に沿って前記空洞に前記第1の部分の遠位方向にまず挿入され、前記第1の部分及び前記第2の部分が、前記空洞内で前記組立体を実質的に保持するようにその後に横方向に拡張すると、前記保持部材が前記ボディに係合するように適合されている、保持部材と
を備える閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記第1の部分及び前記第2の部分の一方が、前記管状の織物に織り込まれた複数の金属ストランドで構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フランジが、前記第1の部分の前記近位端に動作可能に係合される、及び前記第1の部分の前記近位端に一体に形成されるうちの一方であるように構成されており、前記フランジが、前記第1の部分の前記空洞への挿入を制限するように、前記外周を形成する前記組織に最小限に係合するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記フランジが、前記外周によって画定される前記開口の横寸法より大きい少なくとも1つの横寸法を有するように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記フランジが、前記外周を形成する前記組織に対しての干渉関係を有するように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記フランジが、前記第1の部分の前記近位端から横方向に延び、その周囲で離間配置される複数のフランジ部材をさらに備え、前記フランジ部材のうちの少なくとも2つが、前記外周によって画定される前記開口の横寸法より大きい横寸法を有するように協働する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記フランジ部材が前記外周の周囲に、全体で、前記外周の前記周囲の2分の1、前記外周の前記周囲の3分の1、及び前記外周の前記周囲の4分の1のうちの1つよりも少なく重なるように協働するように構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記フランジが、前記第1の部分に対して関節連結可能である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の部分が横方向に拡張すると、その前記近位端が前記外周と並置されるように、前記第1の部分が、前記開口を通じて前記空洞に挿入可能であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記接続要素が、前記第1の部分及び前記第2の部分の横寸法より小さい横寸法を有するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記フランジ接続要素が、前記第1の部分及び前記第2の部分の横寸法より小さい横寸法を有するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、前記接続要素に対して関節連結可能であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスが、前記第1の部分の前記近位端に動作可能に係合される固定デバイスをさらに備え、前記固定デバイスが、前記管状の織物がほどけるのを防ぐこと、及び前記組立体を送達カテーテルを通じて前記空洞に挿入するように構成される送達デバイスに解除可能に係合することのうちの一方であるように、前記少なくとも1本の金属ストランドに係合するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも1つが、形状記憶特性及び超弾性特性のうちの一方を有する材料で構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1本の金属ストランドが、ステンレス鋼合金、ニッケル・チタン合金、及びコバルト・クロム・ニッケル合金からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
各保持部材が、前記空洞を画定する前記ボディに対して突き刺さらないように構成され、前記第1の部分及び前記第2の部分のそれぞれの部分からその前記近位端に向かって鋭角に延びる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの少なくとも1つが、それと係合される閉鎖用繊維を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記閉鎖用繊維が、前記少なくとも1本の金属ストランドによって織られたもの、前記少なくとも一層の前記管状の織物に取り付けられた織物、前記少なくとも一層の前記管状の織物に対して同心円状に配設された個別の織られた管状の織物のうちの1つである、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の部分の前記遠位端及び前記第2の部分の前記近位端のうちの少なくとも1つが、前記接続要素の少なくとも一部を受け入れるように構成されるくぼみを画定し、前記第1の部分と前記第2の部分との間の可撓性、及び前記複数の保持部材を前記ボディとの係合に付勢することのうちの少なくとも1つを助けるようになっている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの少なくとも1つが、横方向に拡張したときに、ほぼ円筒形であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第2の部分が、横方向に拡張したときに、横方向に拡張したときの前記第1の部分の横寸法未満の横寸法を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記フランジ接続要素が、2から30の間の横寸法に対する長さの比を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
ボディによって画定される空洞内に受け入れられると共にボディによって画定される空洞を閉鎖するように適合された閉鎖デバイスであって、前記ボディが、外周を形成する組織を含み、前記外周は、周囲を有すると共に前記空洞の中に延びる開口を画定する、閉鎖デバイスにおいて、
少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、対向した近位端及び遠位端を有する、横方向に拡張可能な第1の部分であって、前記第1の部分が、それが横方向に拡張すると、前記空洞内に実質的に配設されるように前記開口を通じて前記空洞に挿入可能であるように構成される、横方向に拡張可能な第1の部分と、
少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成された、横方向に拡張可能な第2の部分であって、前記第2の部分が、対向した近位端及び遠位端を有し、前記第1の部分の遠位方向に前記空洞に挿入可能であるように構成される、横方向に拡張可能な第2の部分と、
動作可能に係合されて、前記第1の部分の前記遠位端を前記第2の部分につなぎ、挿入軸線に沿って延びる折畳み可能な組立体を形成するようにそれらと協働可能である接続要素であって、前記接続要素の横寸法に対する、横方向に拡張したときの前記第1の部分及び前記第2の部分の各々の最大横寸法の比が、5から30である、接続要素と、
前記第1の部分の前記近位端の近位方向に配設され、そこにフランジ接続要素によってつなげられるフランジであって、前記フランジは、楕円形部材として構成されており、前記楕円形部材は、前記外周の前記周囲に、全体で、前記外周の前記周囲の2分の1、前記外周の前記周囲の3分の1、及び前記外周の前記周囲の4分の1のうちの1つよりも少なく重なるように構成される、フランジと、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも1つに動作可能に係合され、その横方向に外側の表面の周りに離間した複数の保持部材であって、前記折畳み可能な組立体が折り畳まれた状態で、前記第2の部分が、前記挿入軸線に沿って前記空洞に前記第1の部分の遠位方向にまず挿入され、前記第1の部分及び前記第2の部分が、前記空洞内で前記組立体を実質的に保持するようにその後に横方向に拡張すると、前記保持部材が前記ボディに係合するように適合されている、保持部材と
を備える閉鎖デバイス。
【請求項24】
前記フランジ接続要素の横寸法に対する、横方向に拡張したときの前記第1の部分及び前記第2の部分の各々の最大横寸法の比が、5から30の間である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
横方向に拡張したときの前記第1の部分及び前記第2の部分の一方の最大横寸法が、その前記近位端及び前記遠位端の間の長さの1.5倍から15倍の間である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
前記接続要素の長さが、前記第1の部分及び前記第2の部分の一方の長さ未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
前記組立体が、心臓の左心耳に挿入可能であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの一方が、複数の層の前記管状の織物で構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第1の部分及び前記第2の部分並びに前記接続要素が、少なくとも1つの連続した層の前記管状の織物から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1の部分及び前記第2の部分、前記接続要素、前記フランジ、並びに前記フランジ接続要素が、少なくとも1つの連続した層の前記管状の織物から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項31】
前記少なくとも1本の金属ストランドが、0.0508mmから0.127mmの間(0.002インチから0.005インチの間)の直径を有し、前記管状の織物が、36本から144本の間のストランドを含む、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、植込み型医療器具に関し、より詳細には、身体内の血管、空洞、付属器などを閉鎖するように構成される植込み型医療器具、及びそれに関連した展開方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の器官(例えば、心臓)内の血管又は開口を閉鎖するために、種々のデバイス及び/又は技法が、そのようなデバイスを製造するための材料、及びそのようなデバイスを製造する方法と共に開発されてきた。
【0003】
しかし、そのようなデバイスは、患者が心房細動を起こしているとき、塞栓症のリスクを減らすために、例えば、左心耳(LAA:left atrial appendage)の閉塞などの特定の生理的状態に対処するのに特には適していない場合がある。心房細動中、左心耳は、血栓塞栓の望ましくない形成の重大な原因であり得る。また、外科的技法による左心耳の閉鎖は、常に可能及び/又は賢明とは限らないものであり得る。さらに、左心耳を閉鎖するのに適用されるいくつかのそのようなデバイスは、時として、例えば、心房細動によって生じる力により左心耳から望ましくなくもたらされるリスクがあり得る。加えて、いくつかのそのようなデバイスは、例えば、心房細動の切除療法などの状態のいくつかのその後の代替治療を望ましくなく妨げるように構成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、左心耳及び/又は身体内の他の血管、空洞、付属器などの心房細動のための療法に関わる上記及び他のファクタに対処できる閉鎖デバイス及び関連した展開方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記及び他の必要性は、本開示の各態様によって満たされ、その本開示は、一態様では、ボディによって画定される空洞内に受け入れられると共にボディによって画定される空洞を閉鎖するように適合された閉鎖デバイスであって、ボディが、外周を形成する組織を含み、外周は、空洞の中に延びる開口を画定する、閉鎖デバイスを提供する。そのような閉鎖デバイスは、少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、対向した近位端及び遠位端を有する横方向に拡張可能な第1の部分を備える。第1の部分は、それが横方向に拡張すると、空洞内に実質的に配設されるように開口を通じて空洞に挿入可能であるように構成される。横方向に拡張可能な第2の部分は、少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、第2の部分は、対向した近位端及び遠位端を有し、第1の部分の遠位方向に空洞に挿入可能であるように構成される。接続要素は、動作可能に係合されて、第1の部分の遠位端を第2の部分につなぎ、挿入軸線に沿って延びる折畳み可能な組立体を形成するようにそれらと協働可能である。複数の保持部材は、第1の部分及び第2の部分の少なくとも1つに動作可能に係合することができ、保持部材は、その横方向に外側の表面の周りに離間されてもよい。保持部材は、折畳み可能な組立体が、折り畳まれた状態で第2の部分が挿入軸線に沿って空洞に第1の部分の遠位方向にまず挿入され、第1の部分及び第2の部分が、空洞内で組立体を保持するようにその後に横方向に拡張すると、ボディに係合するように適合され得る。
【0006】
本開示の別な態様は、閉鎖デバイスを、ボディによって画定される空洞に中に展開し、ボディによって画定される空洞を閉鎖する方法を対象とするものであって、ボディが、空洞の中に延びる開口を画定する外周を形成する組織を含む方法に関する。そのような方法は、折り畳まれた閉鎖組立体をその挿入軸線に沿って開口を通じて空洞に挿入するステップであって、閉鎖組立体が、先端及び後端を有する、挿入するステップを含む。そのような組立体は、少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、対向した近位端及び遠位端を有する横方向に拡張可能な第1の部分を含み、第1の部分が後端に向かって配設される。横方向に拡張可能な第2の部分は、少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる少なくとも1本の金属ストランドで形成され、対向した近位端及び遠位端を有し、第2の部分が、先端に向かって配設される。接続要素は、動作可能に係合され、第1の部分の遠位端を第2の部分につなぐ。複数の保持部材は、第1の部分及び第2の部分の各々に動作可能に係合されることができ、保持部材は、その横方向に外側の表面の周りに離間されてもよい。次いで、組立体が作動され、その第1の部分及び第2の部分は、横方向に拡張して空洞を画定するボディを係合するように作動に応答し、その結果保持部材がボディに係合して空洞内で組立体をほぼ保持するようになっている。
【0007】
したがって、本開示の各態様は、上記の特定された必要に対処し、本明細書に別に詳述されるような他の利点をもたらす。
【0008】
このようにして、一般用語で本開示を説明したので、次に、添付図面の参照がなされる。この添付図面は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一態様による閉鎖デバイスの概略図である。
【
図2】例示的な身体の空洞に挿入され、その中で展開される本開示の一態様による閉鎖デバイスの概略図である。
【
図3】例示的な身体の空洞に挿入され、その中で展開される本開示の別の態様による閉鎖デバイスの概略側面図及び概略正面図である。
【
図4】例示的な身体の空洞に挿入され、その中で展開される本開示の別の態様による閉鎖デバイスの概略断面図及び概略正面図である。
【
図5】例示的な身体の空洞に挿入され、その中で展開される本開示の別の態様による閉鎖デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、以下、添付図面を参照して本開示をより十分に説明する。この添付図面には、本開示の一部が示されており、本開示の全ての態様が示されているわけではない。実際には、本開示は、多くの異なる形で具体化されてもよく、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が該当する法的要件を満足するように与えられる。全体を通じて同じ番号は同じ要素を指す。
【0011】
本開示の態様は、例えば、左心耳(LAA)の閉塞、動静脈奇形(AVM:Arterial Venous Malformation)、動脈管開存(PDA:Patent Ductus Arteriosus)などが含まれ得る様々な血管異常の閉鎖などの身体内の目標部位の治療に用いられる医療デバイスを提供する。用語「目標部位」の使用は、限定であることを意味するものではなく、したがってデバイスは、身体内のどこかに位置する異常部、血管、器官、開口、室、流路、孔、空洞などの任意の目標部位を治療するように構成することができることが理解される。例えば、異常部は、動脈瘤、先天的欠陥、血管解離、流れ異常、又は腫瘍などの自然の内腔の形状又は機能に悪影響を及ぼす任意の異常部であり得る。さらに、用語「内腔」も限定であることを意味するものではなく、したがって異常部は、血管、動脈、静脈、通路、器官、空洞、隔壁等などの血管系内の種々の位置に存在し得る。
【0012】
医療デバイスを形成するための本開示の一態様によれば、このデバイスは、編んだ織物の1つ又は複数の層を備え、各層は、互いに対して所定の相対的な向きを有する管状の織物に織り込まれた少なくとも1本のワイヤストランド、又は複数のフィラメントで形成され得る。さらに、デバイスは、デバイスの周りの血栓及び上皮化の形成を容易にするために、デバイスが、内部を通る血流を少なくとも一部阻止することができる種々の閉塞材料であり得るように閉塞材料の複数の層を含むことができる。
【0013】
用語「ストランド」が本明細書に論じられるが、「ストランド」は、限定であることを意味するものではなく、よって織物は、1本又は複数本のワイヤ、コード、繊維、糸、フィラメント、ケーブル、撚り糸などを含んでもよく、そのような用語は互いに交換可能に使用できるようになっていることが理解されよう。本明細書に用いられる場合、用語「近位」は、操作者の最も近く(より近く身体の中に)を意味するものであり、「遠位」は、操作者から最も遠く(より遠く身体の中に)を意味するものである。下流のアクセス点から医療デバイスを位置決めする際、遠位はより上流であり、近位はより下流である。
【0014】
一態様によれば、閉塞性材料は、複数のストランドを含む金属織物であってもよく、少なくとも1本のストランドが、金属ストランドあってもよく、例えば、2組の実質的に平行な概して螺旋状のストランドであって、一方の組のストランドが、「撚り(hand)」、すなわち、他方の組のものとは反対の回転方向を有する。ストランドは、編まれてもよく、織り交ぜられてもよく、又は他の方法で概して管状の織物を定めるように組み合されてもよい。ストランドのピッチ(すなわち、ストランドの巻きと編組の軸線の間に定められる角度)、及び織物のピック(すなわち、ストランドが単位長さ当たり交差する数)は、特定の用途に対して望まれるように調整することができる。本開示の態様に用いられる金属織物の少なくとも1本のワイヤストランドは、弾性があり、且つ所望の形状にほぼ硬化するように熱処理できる材料で形成できる。少なくとも1本のワイヤストランドに適した材料を選ぶ要因の1つは、(1本又は複数本の)ワイヤが、所定の熱処理にかけられるときに(本明細書に記載するような)成形表面によって引き起こされる変形の量を適切に保持し、実質的な変形後に上記成形形状に弾性的に戻ることである。
【0015】
図1及び
図2は、本開示の一態様による典型的な閉鎖デバイス100の概略図である。そのような態様では、閉鎖デバイス100は、ボディ225によって画定される空洞200内に受け入れられると共にボディ225によって画定される空洞200を閉鎖するようになされ得るものであり、ボディ225は、空洞200の中に延びる開口275を画定すると共に周囲を有する外周部250を形成する組織を含む。そのような空洞200には、例えば、心臓の左心耳(LAA)が含まれ得る。いくつかの例では、閉鎖デバイス100は、横方向に拡張可能な第1の部分300及び横方向に拡張可能な第2の部分400(各部分は、少なくとも一層の管状の織物に織り込まれた又は編み込まれた少なくとも1本の金属ストランドで形成され得る)と、それらの間に延び、第1の部分300と第2の部分400を共につなぐ接続要素500とを備えることができる。そのように形成されるとき、そのような横方向に拡張可能な第1の部分300及び横方向に拡張可能な第2の部分400は各々、対向した近位端300A、400A及び遠位端300B、400Bをそれぞれ含むことができる。しかし、本明細書中の本開示が、第1の部分及び第2の部分と、それらの間の接続要素とを備える閉鎖デバイスを参照するが、そのような構成は、例示の目的にすぎず、本開示の他の態様による閉鎖デバイスは、本明細書に開示された様々な原理に従って協働できるように構成される3つ以上の別個の離散した部分を備えてもよいことを当業者は理解されよう。
【0016】
第1の部分300と第2の部分400の両方は、空洞200に開口275を通じて挿入可能であるように構成することができる。さらに、いくつかの例では、例えば
図2に示されるように、少なくとも第1の部分300は、第1の部分300が横方向に拡張すると、横方向及び/又は長手方向に外周部250を通り越して空洞200から外側に最小限に延びるように構成される。すなわち、閉鎖デバイス100、又はその少なくとも第1の部分300は、それが横方向に拡張すると、空洞200内に実質的に配設されるように構成されてもよく、及び/又は第1の部分300が横方向に延ばされて空洞200の壁を画定する組織に係合するときに、第1の部分300の近位端300Aは、開口275を画定する外周部250とほぼ同じ高さであってもよく又は並置されてもよい。接続要素500は、動作可能に係合されてもよく、第1の部分300の遠位端300Bを第2の部分400へつなぐように構成されてもよい。いくつかの例では、接続要素500は、第1の部分300の遠位端300Bを第2の部分400の近位端400Aとつなぐように構成することができる。接続要素500と第1の部分300及び第2の部分400それぞれとの間の係合は、第1の部分300及び第2の部分400の各々が、接続要素500に対して関節連結可能、回転可能、可撓性、又は他の方法で可動であるように構成されてもよい。協働時、第1の部分300及び第2の部分400、並びに接続要素500は、挿入軸線600(さもなければ、第1の部分300及び第2の部分400並びに接続要素500を含む例示的な閉鎖デバイス100の組立体によって定められる長手方向のデバイス軸線と本明細書では呼ばれる)に沿って延びる軸線方向及び/又は径方向に折畳み可能な組立体(閉鎖デバイス100)を形成するように構成されてもよい。さらに、第1の部分300及び第2の部分400の各々は、それぞれの長手方向軸線300C、400Cを定めることができる。そのような例では、閉鎖デバイス100の組立体は、挿入軸線600に沿って空洞200に挿入可能であるようにさらに構成されてもよく、まず、第2の部分400が、空洞200に挿入され、続いて接続要素500が挿入され、次いで第1の部分300が挿入される。
【0017】
空洞200に挿入されると、閉鎖デバイス100は、第1の部分300及び第2の部分400の少なくとも1つに動作可能に係合される複数の保持部材700によって内部に展開及び保持できる。いくつかの例では、保持部材700は、第1の部分300及び第2の部分400の各々に動作可能に係合できる。そのような例では、当業者によって理解されるように、第1の部分300と係合される保持部材は、第2の部分400と係合される保持部材と必ずしも同じでなくてもよい(すなわち、保持部材の一方の組は、より滑らかな空洞表面に係合するようにより頑強であるように構成されてもよく、一方、他方の組すなわち他方の保持部材は、より粗い空洞表面に係合するように比較的頑強でないように構成されてもよい)。いくつかの態様によれば、折畳み可能な組立体100が、折り畳まれた状態で第2の部分が挿入軸線600に沿って空洞200にまず挿入された後、ボディ225と動作可能に係合する保持部材700を有する対応する第1の部分300及び/又は第2の部分400が、空洞200内で組立体100を保持するようにその後に横方向に拡張すると、保持部材700は、ボディ225に係合するように適合された。より詳細には、各保持部材700は、空洞200を画定するボディ225に対して突き刺さらず、第1の部分300及び第2の部分400のそれぞれのものの外周面からその近位端に向かう方向に鋭角に延びるように構成することができ、空洞200内で第1の部分300及び/又は第2の部分400の固定を実現するようになっている。いくつかの例では、保持部材700は、第1の部分300及び/又は第2の部分400の外周の周りに離間した形で配設され得る。いくつかの態様では、第2の部分400は、横方向に拡張したときに、横方向に拡張したときの第1の部分300の最大横寸法ほど大きくない横寸法を有する。
【0018】
いくつかの態様では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500が、その外部からそれぞれの概して中空の内部に延びる開口又は細孔を画定するように、閉鎖デバイス100の第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、網のような構成又は他の多孔性の構成(例えば、1つ又は複数のストランドから少なくとも一層の織物に、いくつかの例では、1つ又は複数の金属ストランドから少なくとも一層の管状の織物に織り込まれる、編み込まれる、又は螺旋状に巻かれる若しくは編み込まれるなど)で形成され得る。第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、形状記憶特性及び/又は超弾性特性を有する材料で構成することができる。より詳細には、望ましくは、そのような材料は、弾性があり、且つ所望の形状に形成できるべきである。したがって、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500が金属材料の少なくとも1つのストランドで構成される例では、少なくとも1本の金属ストランドは、例えば、ステンレス鋼合金、ニッケル・チタン合金、又はコバルト・クロム・ニッケル合金などの適切な金属材料を含むことができる。より詳細には、いくつかの例示的な適切な材料には、Elgeloy(商標)などのコバルト・ベースの低熱膨張合金、Hastelloy(商標)の商標名でHaynes Internationalから市販のニッケル・ベースの高温高強度の「超合金」、International NickelによりIncoloy(商標)の名で販売されるニッケル・ベースの熱処理可能な合金、及びいくつかの異なるグレードのステンレス鋼が含まれる。
【0019】
これらの条件も満たし得るある特定のタイプの適切な材料には、Nitinol(商標)などの形状記憶合金、ニッケル及びチタンのほぼ化学量論的な合金が含まれる。そのような合金は、材料に好ましい構成を持たせることになる温度により引き起こされる相転移を示す傾向があってもよく、そのような好ましい構成は、相転移を材料に引き起こすためにある転移温度より上で材料を加熱することによって硬化することができる。すなわち、この材料は、熱処理プロセス中に(すなわち、最終的な製品の所望の弛緩/拡張した形状を示す適切な型に織物を配置することによって)好ましい形状に保持/維持できる。材料が転移温度未満まで冷却され、この型から取り除かれるとき、合金は、熱処理中に保たれた好ましい構成を「記憶する」ことになり、そうなることが他の制約を受けない限り、その構成に戻る傾向となる。そのような形状記憶合金は、高弾性も示し得るものであり、「超弾性」又は「擬弾性」と呼ばれる場合もあり得る。しかし、これらの典型的な金属合金/材料は、本明細書に開示した閉鎖デバイス100の第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500の構成に対して何らかの形で限定するものではないことが当業者には理解されよう。
【0020】
一実例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、約0.0254mmから約0.381mmの間(約0.001インチから約0.015インチの間)、好ましくは約0.0762mmから約0.1143mmの間(約0.003インチから約0.0045インチの間)の直径を有する少なくとも1本の金属ストランドから形成することができ、結果として得られる管状の織物は、約72本から約144本のそのようなストランドを含み得る。別の実例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、約0.051mmから約0.154mmの間(約0.002インチから約0.006インチの間)の範囲の直径、特にいくつかの例では、約0.077mmから約0.128mmの間(約0.003インチから約0.005インチの間)の範囲の直径を有する72本の編んだNitinol(商標)のワイヤ又はストランドから形成することができる。いくつかの例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、2層以上の織物を含んでもよく、そのような例では、金属ストランドの直径は、これらの層の少なくとも1つにおいて約0.0381mmから約0.0889mmの間(約0.0015インチから約0.0035インチの間)の範囲であり得る。いくつかの態様では、ストランドは、同じ織物内で複数の直径を有してもよく、より大きい直径のストランドは、構造的支持を与えることができる一方、より小さい直径のストランドは、より小さい開口又は細孔に備えることができる。編まれるワイヤ/ストランドの本数は、所望される特定のデバイスの特徴に応じて、約4本のストランドから約288本以上のストランドの間の範囲であり得るが、詳細には、いくつかの例では、約32本のストランドから約144本のストランドの間、より詳細には、約72本のストランドから約144本のストランドの間の範囲であり得る。いくつかの例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、2層以上の織物を含むことができ、そのような例では、所与の層を形成するストランドの本数は、別の層を形成するために使用されるストランドの本数に対して同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの態様では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、単一の長さ又はストランドの編んだ金属織物から形成されてもよく、長さ/ストランドは、閉鎖デバイス100の端から端まで連続的である。編まれたような織り構造の中の少なくとも1つのストランドのピッチ角度は、(横方向に拡張した状態のそれぞれに部分に関して、及び特定の場合には、熱処理又は加熱硬化の前に)第1の部分300及び/又は第2の部分400それぞれの長手方向軸線300C、400Cに対して約30度から約70度の間の程度とすることができる。しかし、例えば、少なくとも1つのストランドのピッチ角度、ピック・カウント(ストランド/ワイヤが長さ25.4mm(1インチ)当たり又は他の線尺度当たり交差する数)、及び/又はストランド/ワイヤの直径などの様々なファクタは、適切なデバイスの特徴及び/又は加熱硬化形状を得るために、必要又は要望に応じて変更されてもよいことが当業者には理解されよう。
【0021】
図1及び
図2に示される閉鎖デバイス100の態様は、それらのそれぞれの横方向又は径方向に拡張した(すなわち、弛緩した)状態で第1の部分300及び第2の部分400を示す。すなわち、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500は、特に径方向に自己拡張式であるように構成されてもよい。より詳細には、いくつかの例では、管状の織物に織り込まれた少なくとも1つのストランドは、(すなわち、その端部を中心にして)管状の織物に加えられる軸線方向張力が、管状の織物の断面寸法(すなわち、直径)を減少させるように構成されてもよい。そのような断面寸法の減少は、いくつかの例では、管状の織物の軸線方向の延長と共に、その軸線に垂直な管状の織物を径方向に圧縮することによって実現することもできる。いくつかの例では、織られた管状の織物は、2つ以上の層を含んでもよい(すなわち、管状の織物は、それ自体の上に折り重ねられてもよく、又は複数の別個の層が、同心円状に配置され、共に固定されてもよい。
【0022】
特定の一実例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500の各層は、螺旋状に巻かれると共にそれ自体の上に又は互いに交差するNitinol(商標)のワイヤの1つ又は複数の個々のストランドで構成される管状の「編組」として形成されてもよい。編組の織られた性質は、各層のワイヤを共に保持する。閉鎖デバイス100の第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500の形成時、管状の織物の適切なサイズの(縦方向の)部分が、そのより長い部分から切断されてもよい。いくつかの態様では、第1の部分300及び/又は第2の部分400は、横方向に拡張したときの第1の及び/又は 第2の部分300、400の最大横寸法が、その近位端と遠位端との間のそれぞれの軸線に沿って約1.5倍から約5倍の間の長さであるように構成されてもよい。管状の織物が切断されるとき、典型的には、それぞれの軸線方向端部は、織られた/編んだ材料が解けるのを防ぐために対処されなければならない。したがって、いくつかの例では、管状の織物を切断して第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500を形成する際又はその前に、各切断部分の対向する軸線方向端部は、そのように解けることを防ぐために、例えば、はんだ付け、ろう付け、溶接、又は切断された(1本又は複数本の)ストランドを共に固定することができる他のプロセスによって封止又は他のやり方で固定されてもよい。一実例では、管状の織物を切断して第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500を形成する前に、生体適合性のセメント質の有機材料が管状の織物のより長い長さの適切な位置に施されてもよい。しかし、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500のそれぞれの端部を中心にしたストランドは、当業界で知られている又は後に開発される多くの他の機構によって解けるのを防ぐように共に保持されてもよいことが当業者には理解されてよう。例えば、編んだ管状の織物の端部を固定するために溶接又は接着剤の使用に加えて、締め付け具又はコネクタなどの機械的又は他の固定デバイスを適用することもでき、それぞれの構成要素がほどけるのを防ぐようになっており、並びに/或いは、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500のうちのそれぞれ1つが、例えば、展開ツール(すなわち、血管カテーテル・デバイス)及び/又は接続要素500などの隣接した構成要素に、ねじ込み式の係合によって接続されることを可能にするようになっている。例えば、第1の部分300の近位端300Aなどの管状の織物の端部は、管状の織物がほどけるのを防ぐように、固定デバイスと係合されてもよく、一方、ねじ式構成は、例えば固定デバイスが、閉鎖デバイス100の組立体を空洞200に挿入するように構成される送達デバイスに解除可能に係合することを可能にする。しかし、例えば、溝、スロット、つなぐもの等など、補完的な構成要素の多数の他の構成が、解除可能な係合、及び、閉鎖デバイス100の展開を助けるようにねじ山の代わりに使用されてもよいことが当業者には理解されよう。
【0023】
いくつかの例では、編んだ Nitinol(商標)のワイヤ(織物)の管状の層は、形成用型上で互いに対して同心円状に配置されてもよく、次いで組立体は、管状の構成を保持するように加熱硬化することができる。そのような例では、このようにして形成される織られた管状の織物の1つの関連の特性は、それによって及ぼされ得る径方向拡張力であり得る。例えば、織られた管状の織物は、第1の部分300及び第2の部分400が意図される空洞内の長手方向の位置に関しての直径よりも約10%から約30%の間のそれぞれ横方向に拡張した大きい直径で、第1の部分300及び第2の部分400の各々を形成するように加熱硬化されてもよい。すなわち、その径方向に拡張すると織物によって及ぼされる径方向拡張力は、空洞200を画定する組織に付勢力を及ぼすことによってそれが挿入される空洞内でその展開した構成においてデバイス又はデバイス部分の保持を助ける。空洞内の管状の織物のそのような保持は、デバイス又はデバイス部分と係合され、空洞を画定する身体の壁と相互作用する保持部材によって助けることもできる。接続要素500は、その形成に関して、閉鎖デバイス100のそれぞれの部分300、400並びに接続要素500の間の可撓性を促進するように、第1の部分300及び/又は第2の部分400に比べて比較的小さい拡張した直径を有するように加熱硬化されてもよい。
【0024】
一態様では、織られた織物/織物の層のうちの少なくとも1つが、約0.968mm
2から0.194mm
2の間(約0.0015平方インチから約0.0003平方インチの間)の開口を織り構造の中に画定することができ、これは、内部を通る流れを実質的に排除する又は邪魔するのに十分/比較的に小さいものであり得る。本明細書に用いられる場合、語句「流れを実質的に排除する又は邪魔する」は、短時間、好ましくは約15分から約45分の間、血流が生じ得ることを機能的に示すものであるが、身体の凝固機構、又は、編んだ織物の上のたんぱく質若しくは他の付着物の存在は、初期期間の後、織物を通る閉塞又は流れの停止を生じさせ得ることを理解されたい。これは、例えば、造影剤注入後に蛍光透視の手法によって見られるように、15〜45分の期間後に織物を通じて造影剤の流れがないことによって臨床的に表すことができる。
【0025】
いくつかの例では、展開した織物は、空洞内で内皮化し空洞を画定する身体の壁に組み込まれてもよい。閉鎖及び血栓形成、その後の内皮化をさらに促進するために、織られた管状の織物は、少なくとも1つのそれに関連した閉鎖用繊維を有することができる。少なくとも1つの閉鎖用繊維は、例えば、第1の部分300及び/又は第2の部分400に関して1つの同心円状の層を形成するよう管状の織物に織り込まれてもよい。別の実例では、少なくとも1つの閉鎖用繊維は、第1の部分300及び/又は第2の部分400に織り込まれてもよい。さらに別の実例では、ポリマー織物が、例えば、縫い合わされることによって編んだ金属織物に固着されてもよい。様々な態様では、少なくとも1つの閉鎖用繊維は、少なくとも1本の金属ストランドを用いて織られてもよく、少なくとも一層の管状の織物に取り付けられる織物であってもよく、及び/又は少なくとも一層の管状の織物に対して同心円状に配設された別々に織られた管状の織物であってもよい。
【0026】
閉鎖デバイス100の空洞200への挿入を容易にするために、閉鎖デバイス100は、横方向に拡張した予め設定された構成から軸線方向に細長い、横寸法が減少した構成に変更することができる。例えば、閉鎖デバイス100の第1の部分300及び第2の部分400は、治療部位への血管送達のために、軸線方向に細長い、横寸法が減少した構成で、血管カテーテルに挿入されることができ、次いで、閉鎖デバイス100が、カテーテルから展開され、その第1の部分300及び/又は第2の部分400の拡張した予め設定された構成(いくつかの例では、以下に開示されるように、フランジ325)に戻ることが可能であり、LAA又は他の血管などの身体の器官によって画定される空洞200の中に閉鎖、流れの制限又は分流を形成させる。流れの絞り機構又は分流を形成するために、織物及び/又はデバイス若しくはデバイス部分を通る軸線方向の流路は、例えば、先に開示したような第1の部分300、第2の部分400、及び/又は接続要素500の形成に使用されるプロセスに類似する又はそれと同時の加熱硬化成形プロセスによって、サイズ及び形状が決定され得る。一態様では、閉鎖デバイス100は、開口275を通じて空洞200に挿入可能であるように構成することができ、少なくとも第1の部分300が横方向に拡張し、空洞200内でそれが固定されると、その外周部250を通り越して空洞200から横方向又は長手方向に延びないようになっている。すなわち、閉鎖デバイス100は、展開すると、閉鎖デバイス100、又は少なくともその第1の部分300が、空洞200内に実質的に配設できるように、及び/又は第1の部分300の近位端300Aが、空洞200の外周部250と並置されるように構成することができる。
【0027】
他の態様では、
図3A及び
図3Bに示されるように、閉鎖デバイス100の少なくとも第1の部分300は、それと動作可能に係合又はそれと一体に形成されるフランジ325を含み得る。いくつかの例では、フランジ325は、第1の部分300に対して関節連結可能であるように構成されてもよい。いくつかの特定の例では、そのようなフランジ325は、第1の部分300の近位端300Aに係合又は一体に形成することができる。第1の部分300は、その長手方向軸線300Cに対して横切って及びそれを通じて測定された横寸法(すなわち、幅)を有する。第1の部分300の所望の拡張した予め設定された構成が、円形の断面を有する管状である場合、その近位端300Aと遠位端300Bとの間の横寸法 は、ほぼ一定であり得る。いくつかの態様では、第1の部分300及び/又は第2の部分400は、ほぼ円形の横方向に拡張した断面を有し得る。他の例では、第1の部分300及び/又は第2の部分400の横寸法は、必要又は要望に応じて、断面形状又は外形形状において、それぞれの近位端と遠位端との間で変わり得る。例えば、管状の第1の部分300及び/又は第2の部分400は、正方形、長円形、楕円形、六角形、又は任意の他の適切な多角形の形状の断面で構成できる。一例では、
図3A及び
図3Bに示されるように、フランジ325は、楕円形の構成を有してもよい。いくつかの例では、フランジ接続要素350は、例えば、接続要素500が第1の部分300を第2の部分400につなぐやり方に類似して、フランジ325を第1の部分300につなぐように構成することができる。フランジ325及び/又はフランジ接続要素350は、少なくとも一層の織られた織物に形成される少なくとも1本の金属ストランドで形成されてもよい。フランジ325は、全体で、外周部250の周囲の2分の1、外周部250の周囲の3分の1、及び外周部250の周囲の4分の1のうちの1つ未満で外周部250の周囲に重なるような態様で、外周部250を通り越して外側に横方向に延びる弛緩した拡張した予め設定された形状を有し得る。フランジ325は、外周部250を形成する組織に最小限に係合するように構成されてもよく、したがって、空洞200の開口275に対して長手方向/軸線方向に閉鎖デバイス100の適切な位置決めを容易にするための止め部又は位置決め装置として機能する。接続要素500と同様のやり方で、フランジ接続要素350は、第1の部分300の直径との関連で比較的小さい直径に同様に加熱硬化することもでき、例えば、フランジ325と第1の部分300との間の可撓性を促進するようになっている。フランジ325及びフランジ接続要素350は、第1の部分300及び/又は第2の部分400並びに/或いは接続要素500と同じ織物で形成されてもよく、そのような単一の織物は、いくつかの例では、閉鎖デバイス100の近位端から閉鎖デバイス100の遠位端へ延びることができる。すなわち、いくつかの態様では、第1の部分300及び第2の部分400並びに接続要素500は、少なくとも1つの連続した層の管状の織物から形成することができる。 他の態様では、第1の部分300及び第2の部分400、接続要素500、フランジ325、並びにフランジ接続要素350は、少なくとも1つの連続した層の管状の織物から形成されてもよい。
【0028】
図5に示されるように、いくつかの態様ではフランジ接続要素350を介して第1の部分300の近位端300Aと係合されるフランジ325は、第1の部分300が、必要又は要望があれば空洞200にさらに挿入されることを促進又はさもなければ可能にすることができる。いくつかの例では、第1の部分300と空洞200を画定するボディ225のと間の係合が開口275を横方向に拡張させる場合でも、フランジ325は、外周部250によって画定される開口275の横寸法より大きい少なくとも1つの横寸法を有するように構成されてもよい。そのような例では、本開示のいくつかの態様によれば、フランジ325は、外周部250を形成する組織に最小限に係合するように開口275を完全には覆わないように構成することもでき、又はさもなければ外周部250を形成する組織に対しての干渉関係を有するように構成されてもよい。すなわち、フランジ325は、径方向に拡張したときにその最大横寸法を通り越して第1の部分300の長手方向軸線300Cに垂直に延びることができ、それによってその少なくとも一部が、開口275の横寸法を画定する外周部250より大きい寸法まで横方向に延びる。したがって、フランジ325は、外周部250に係合するように構成することができるが、好ましくは、開口275に完全に重なることなくそれを行う(すなわち、全体で、外周部250の周囲の2分の1、外周部250の周囲の3分の1、及び外周部250の周囲の4分の1のうちの1つ未満で、外周部250の周囲に重なる又は他の方法で干渉する)。例えば、いくつかの態様では、フランジ325は、楕円形として構成又はさもなければ成形されてもよく、それによって楕円形の長径は、開口275の横寸法より大きい寸法まで延び、楕円形の短径は、開口275の横寸法未満である。したがって、挿入軸線600に沿って視るとき、フランジ325は、その周囲の比較的小さい部分によってその外周部250の周囲に重なり、したがって、外周部250を形成する組織と最小の係合を形成する。
【0029】
しかし、フランジ325は、閉鎖デバイス100が展開されるときに、横方向に延びる又は開口275を画定する外周部250を形成する組織の比較的小さい部分だけに重なるように、多くの異なるやり方で構成されてもよいことが当業者には理解されよう。例えば、フランジ325は、2つの交差する細長い部材の「十文字形」として成形されるように構成されてもよい。 いくつかの例では、第1の部分300に関連したフランジ325は、閉鎖デバイス100が空洞200にあまりに深く挿入/展開されるのを防ぐことができ、又はさもなければ、第1の部分300のフランジ325及び/又は近位端300Aを、開口275を画定する外周部250を形成する組織とほぼ同じ高さである又は並置されるようにさせることができる。他の例では、フランジ325は、開口275を完全には覆わないよう構成されてもよい。任意の例では、本明細書に開示した閉鎖デバイス100の態様は、展開した閉鎖デバイスがまず除去されることを必要とせずに、その後に、他の治療/療法が、影響を受けたボディ225に又はその辺りに適用されることを可能にし得る(さもなければ、開口全体を覆う又はさもなければ外周部250の大部分に重なるフランジを有する展開した閉鎖デバイス100によって、そのようなその後の治療/療法が排除され得る)。そのようなその後の治療/療法は、例えば、切除療法であり得、外周部250の少なくとも一部が、心房細動の状態を治療するために切除され得る。したがって、閉鎖デバイス100の「フランジのない」の態様、又は先に開示された「最小限に係合する」フランジの態様が、そのようなその後の治療/療法を容易にすることもできることが当業者にも理解されよう。
【0030】
いくつかの態様では、フランジは、複数のフランジ部材330(例えば、
図4A及び
図4B参照)を備えもよく、それぞれは、第1の部分300の近位端300Aから横方向に延び、その周囲で離間配置される。そのような例では、複数のフランジ部材330は、第1の部分300に一体に形成されてもよく、又はさもなければ、そこに取り付けられてもよい。さらに、複数のフランジ部材330は、フランジ部材330のうちの少なくとも2つが、外周部250によって画定される開口275の横寸法より大きい横寸法を有するように協働するように構成することもできる。フランジ部材330は、全体で、外周部250の周囲の2分の1、外周部250の周囲の3分の1、及び外周部250の周囲の4分の1のうちの1つ未満で、外周部250の周囲に重なるように協働するように構成することもできる。単一のフランジ325と同様に、複数のフランジ部材330は、第1の部分300の近位端300Aが、外周部250とほぼ同じ高さである及び/又はそれと並置されように、空洞200内の閉鎖デバイス100の長手方向/軸線方向の配置を容易するように構成することもでき、閉鎖デバイス100は、空洞200内に実質的に配設される。この点については、フランジ部材330のサイズ、形状及び個数が、必要又は要望に応じて変わり得ることを当業者は理解されよう。
【0031】
本開示の別の態様によれば、閉鎖デバイス100は、空洞200へのその挿入及び/又はその後の展開を容易にするように、横方向及び/又は軸線方向に折畳み可能であるように構成することもできる。そのような例では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は(1つ又は複数の)接続要素350、500は、そのような横方向の折畳み性を促進するように構成することができる。例えば、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は(1つ又は複数の)接続要素350、500は、そこに適用される軸線方向張力が、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は(1つ又は複数の)接続要素350、500を径方向又は横方向に収縮させるように編まれてもよい。他の態様では、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は(1つ又は複数の)接続要素350、500は、強化した固定力(すなわち、(1つ又は複数の)保持要素700と空洞200を画定するボディ225との間の係合を助けるための横方向外側の付勢力)、及び/又はフランジ325、第1の部分300、第2の部分400、及び/又は(1つ又は複数の)接続要素350、500の間の可撓性若しくは関節連結性を促進するように構成されてもよい。例えば、第1の部分300の少なくとも遠位端300B及び/又は第2の部分400の少なくとも近位端400Aは、くぼみであるように構成されてもよく(例えば、
図5参照)、そのようなくぼみは、接続要素500の少なくとも一部を受け入れるように構成することができ、それによって(すなわち、横(径)方向及び/又は長手(軸線)方向の)閉鎖デバイス100の組立体の様々な構成要素の間の可撓性及び/又は関節連結性を促進する。この点については、接続要素500は、第1の部分300及び第2の部分400の横寸法より小さい横寸法を有するように構成することができる。接続要素500は、第1の部分300及び/又は第2の部分400の長さより短い長さを有することもでき、約2から約30の間の長さと横寸法の比を有するように構成することもできる。さらに、接続要素500は、横方向に拡張したときの第1の部分300及び第2の部分400の各々の最大横寸法と接続要素500の横寸法の比が、約5から約30であるように構成されてもよい。加えて、第1の部分300及び第2の部分400の各々は、接続要素500に対して関節連結可能、回転可能、又は他の方法で可動であってもよく、接続要素500は、可撓性であるように構成することもできる。第1の部分300の近位端300A及び/又は第2の部分400の遠位端400Bは、くぼみとなるように構成することもでき、例えば、第1の部分300及び第2の部分400の端部を固定する及び/又はフランジ325を第1の部分300に固定するそれぞれの(1つ又は複数の)固定デバイスを受け入れるようになっているということも当業者は理解されよう。加えて、フランジ325及び/又は第1の部分300の近位端300Aは、閉鎖デバイス100が展開されるときに外周部とほぼ同じ高さである及び/又は外周部と並置されるように適切に構成されてもよい。加えて、第1の部分300及び第2の部分400の近位端及び/又は遠位端は、例えば、ほぼ平坦、凸状、凹状等などの多くの異なるやり方で構成することができる。
【0032】
本開示の方法の態様は、特に人間の心臓における、心臓の左心耳における閉鎖デバイス100の展開を伴うことが有利であり得る。展開時、閉鎖デバイス100の第2の部分400の遠位端400Bは、左心耳の内部又は端部に面すること、及び近位端400Aが、第1の部分300の遠位端300B並びに左心耳の中に開口275に面すること、一方、第1の部分300の近位端300Aが第2の部分400から離れて開口275に向かうように面することが好ましいものであり得る。第1の部分300が、フランジ325を備えない場合、閉鎖デバイス100は、LAA内で保持デバイス700によって閉鎖デバイス100が展開及び固定されると、第1の部分300の近位端300Aが、空洞200内に実質的に配設され、外周部250とほぼ同じ高さである及び/又は外周部250と並置されるように、或いはさもなければ第1の部分300が、そこから外周部250を通り越して横方向及び/又は長手方向に最小限に延びるように左心耳に挿入されることが好ましい。
【0033】
いくつかの例では、閉鎖デバイス100は、例えばそれらの間のねじ込み式の接続によって送達デバイス(図示せず)に接続される又は他の方法で係合されてもよい。送達デバイスは、送達カテーテルの内腔内に折り畳まれた状態で維持される閉鎖デバイス100の軸線方向位置制御のための閉鎖デバイス100から身体の外側の位置まで延びる細長い部材であり得る。したがって、くつかの例では、展開中に閉鎖デバイス100の置き間違いが生じ得る場合、閉鎖デバイス100が、送達デバイスによって送達カテーテルの内腔に回収され、再展開前に必要に応じて再配置されることが可能であり得る。閉鎖デバイス100が、第1の部分300に関連したフランジ325又はフランジ部材330を含む場合、閉鎖デバイス100は、LAA内の保持デバイスによって閉鎖デバイス100が拡張及び固定するとき、フランジ325又はフランジ部材330が、その周囲を完全に覆うことなく外周部250に最小限に重なるように左心耳に挿入されることが好ましい。閉鎖デバイス100が展開、適切に配置及び固定されてしまうと、送達デバイスは、例えばそれらの間のねじ込み式の接続を元に戻すことによって取り除くことができる。いずれの例でも、開示した左心耳内の閉鎖デバイスの展開は、実際には典型的にすぎず、本開示の閉鎖デバイスの態様は、閉鎖が望まれる身体の任意の開口、血管、空洞などに使用することができることを当業者は理解されよう。
【0034】
本明細書に記載の本開示の多数の修正形態及び他の態様が、前述の説明及び関連した図面に提示した教示の利益を有するこれらの開示に関係する当業者に想到されよう。したがって、本開示は、開示された特定の態様に限定されるものではなく、修正形態及び他の態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。本明細書では特有の用語を用いたが、これらの用語は、一般的且つ説明的な意味で使用されるものにすぎず、限定する目的のものではない。