特許第6306553号(P6306553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306553防水構造を有する機器およびその通気孔を塞ぐ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306553
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】防水構造を有する機器およびその通気孔を塞ぐ方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/06 20060101AFI20180326BHJP
   G01M 3/00 20060101ALI20180326BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   H05K5/06 A
   G01M3/00 Z
   H05K5/02 E
   H05K5/06 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-204606(P2015-204606)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-76742(P2017-76742A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】下林 時生
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−350280(JP,A)
【文献】 特開2001−201452(JP,A)
【文献】 特開平11−044789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
H05K 5/02
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外側面に設置される挟着部と、
前記挟着部と前記筐体とにより物を挟んだときに前記筐体において前記挟着部を受ける部分にある前記筐体の内外の空気の出入りを可能とする通気孔を、防水検査を実施する際に、前記筐体と前記挟着部とにより挟まれて塞ぐ、弾性体の蓋と
を備える防水構造を有する機器。
【請求項2】
前記挟着部は、クリップである
請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記通気孔は、前記筐体にて、前記クリップを受けるクリップ受け部に囲まれた位置にある請求項2記載の機器。
【請求項4】
前記通気孔から空気は出入りするが、水は入らないように取り付けられた防水性のシートである通気シートをさらに有する
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の機器。
【請求項5】
機器の防水検査を実施する際に、その機器の筐体の外側面に設置される挟着部と前記筐体とにより物を挟んだときに前記筐体において前記挟着部を受ける部分にある前記筐体の内外の空気の出入りを可能とする通気孔を、前記筐体と前記挟着部とで、弾性体の蓋を挟むことにより、
塞ぐ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造を有する機器およびその通気孔を塞ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、防水構造を有する機器は、浸水を防ぐためにその筐体を密閉構造にすると、周囲温度の変化により筺体内部の圧力が高くなったときに筺体の弱い部分が膨らんでしまう。そのため、防水構造を有する機器は、その筐体に孔を設け、孔に防水性の通気シートを取り付けて空気が出入りできるようにすることにより、筐体内部の圧力が急激に変化しないようにしている。以下において、この孔を通気孔という。
【0003】
防水構造を有する機器の出荷前に実施する防水検査の方法として、特許文献1に開示される方法が知られている。この方法は、機器に空気圧をかけてその筐体の密閉具合を確認する。そのために、防水検査は、機器の通気孔を塞いで実施される必要がある。また、防水検査の方法には、特許文献2に開示される方法もある。これは、内部へ外部から検出可能なトレーサガスを送り込み、外部からトレーサガスの漏れを検出する方法である。この方法を用いる場合においても、防水検査は、防水構造を有する機器の通気孔を塞いで実施される必要がある。
【0004】
ここで、関連技術としては、例えば以下の特許文献がある。
【0005】
特許文献3は、上蓋に設けたパッキンを押下することにより、機器内への水の浸入を防ぎつつ、機器内の終話釦を押下する緊急通報システム端末機器を開示している。
【0006】
特許文献4は、場所をとらずに簡単にふたの外側から装置内部へ任意の本数の複数のケーブルを通すことができ、しかも防水機能を確保できる防水ふたを有する情報処理装置を開示している。
【0007】
特許文献5は、携帯型電子機器等の筐体の角部に設けられる電池収納部の蓋に関し、簡易な操作で着脱できる完全な防水装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−072819号公報
【特許文献2】特開2012−132911号公報
【特許文献3】特開2001−093065号公報
【特許文献4】特開2002−023890号公報
【特許文献5】特開2002−353647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
防水構造を有する機器の防水検査を実施する際に、通気孔は、シールを使って塞がれることが多い。しかし、シールは、検査時に貼付および剥離する作業が必要になること、および一旦剥がすと接着力が弱くなり再利用できないということが問題になっている。
【0010】
また、通気孔が筐体の外観面に露出していると、ユーザが誤って通気シートを破る可能性が高くなってしまう。
【0011】
しかしながら、特許文献3乃至5に提案されている技術は、常時防水することを目的とする技術であるため、防水検査のときのみ防水することを前提とする上述の問題を解決するに至らない。
【0012】
そこで、本発明は、防水検査を実施する際に、通気孔を塞ぐシールが不要な防水構造を有する機器等の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成すべく、本発明の一態様に係る防水構造を有する機器は、以下の構成を備える。
【0014】
即ち、本発明の一態様に係る防水構造を有する機器は、
筐体と、
前記筐体の外側面に設置される挟着部と、
前記挟着部と前記筐体とにより物を挟んだときに前記筐体において前記挟着部を受ける部分にある前記筐体の内外の空気の出入りを可能とする通気孔を、防水検査を実施する際に、前記筐体と前記挟着部とにより挟まれて塞ぐ、弾性体の蓋と
を備える。
【0015】
同目的を達成する本発明の一態様に係る通気孔を塞ぐ方法は、
機器の防水検査を実施する際に、その機器の筐体の外側面に設置される挟着部と前記筐体とにより物を挟んだときに前記筐体において前記挟着部を受ける部分にある前記筐体の内外の空気の出入りを可能とする通気孔を、前記筐体と前記挟着部とで、弾性体の蓋を挟むことにより、塞ぐ。
【発明の効果】
【0016】
上記の本発明によれば、防水検査を実施する際に、通気孔を塞ぐシールが不要になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る防水構造を有する機器の断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る防水構造を有する機器の断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る防水構造を有する機器の通常時の断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る機器におけるクリップを開いた状態の断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る機器における通気孔周囲の形状を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る機器における通気孔に対して突起物を挿入しようとした状態を説明する図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る機器における別形状の蓋を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施する形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る防水構造を有する機器の断面図である。
【0020】
本実施形態に係る機器100は、筐体1と、挟着部3と、通気孔4と、蓋7とを有する。機器100は、例えば、携帯音楽プレーヤーのリモコンや温度湿度センサなどである。
【0021】
挟着部3は、筐体1の外側面に設置される。挟着部3と筐体1は、ある物を挟むことにより、機器100をその物に取り付ける。
【0022】
通気孔4は、物を挟んだとき筐体1において挟着部3を受ける部分にあり、機器100の内部の圧力が急激に変化しないように筐体1の内外の空気の出入りを可能とする。
【0023】
蓋7は、弾性体であり、防水検査を実施する際に、筐体1と挟着部3とにより挟まれて、通気孔4を塞ぐ。
【0024】
以上、説明したように、第1の実施形態には、防水検査を実施する際に、通気孔を塞ぐシールが不要になるという効果がある。
【0025】
その理由は、本実施形態に係る機器100は、筐体1と挟着部3とにより挟まれた蓋7により、通気孔4が塞がれるからである。
【0026】
<第2の実施形態>
次に上述した第1の実施形態に係る機器100を基本とする第2の実施形態について説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係る防水構造を有する機器の断面図である。ただし、図2に示す構成は、一例であって、本発明の実施形態は、図2に示す防水構造を有する機器200に限定されない。図2に示す機器200は、防水検査を行うときの状態、すなわち、通気孔を塞いだ状態である。
【0027】
本実施形態に係る機器200は、カバー10と、ケース20と、クリップ30と、通気孔40と、通気シート50と、バネ60と、蓋70とを有する。
【0028】
カバー10とケース20は、第1の実施形態の筐体1の他の一例である。
【0029】
クリップ30は、ケース20に設置される。そして、機器200を取り付けるために使用される。例えば、機器200を使用するユーザは、自身の洋服などをクリップ30で挟むことにより、機器200を洋服に取り付ける。クリップ30は、第1の実施形態の挟着部3の他の一例である。
【0030】
通気孔40は、物を挟んだときケース20において挟着部3を受ける部分にあり、機器200の内部の圧力が急激に変化しないようにカバー10とケース20の内外の空気の出入りを可能とする。
【0031】
通気シート50は、通気孔40から空気が出入りするように保ちつつ、水が入らないように取り付けられた防水性のシートである。
【0032】
バネ60は、クリップ30の開閉動作を支持する。
【0033】
蓋70は、弾性体であり、ケース20とクリップ30とにより挟まれて、通気孔40を塞ぐ。蓋70は、例えば、ゴムや、合成樹脂などから成る。その材質は、弾性を有すれば、これに限らない。
【0034】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る防水構造を有する機器の通常時の断面図である。図3に示すように通気孔40は、ケース20のクリップ受け部20aの内部に設けられる。図4は、本発明の第2の実施形態に係る機器におけるクリップを開いた状態の断面図である。図3に示す機器200は、通常ユーザが使用するときの状態を示している。防水検査に備えて、機器200は、図4に示すようにクリップ30を開き、バネ60が発生する力により、図2に示すように蓋70が変形し、通気孔40を塞ぎ空気を封止する。
【0035】
クリップ30は、機器200から取り外されることはないが、ここでは説明のために、クリップを取り外した状態を表す図5〜7を用いて説明する。
【0036】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る機器における通気孔周囲の形状を示す斜視図である。図5に示すように、通気孔40は、クリップ受け用の凹凸部20bで周囲を囲まれている。
【0037】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る機器における通気孔に対して突起物90を挿入しようとした状態を説明する図である。図5に示された凹凸部20bは、図6に示す突起物90を通気孔40に突き刺すことを防止する。
【0038】
ケース20、カバー10、クリップ30の材質は、樹脂に限らず、例えば金属でも良い。
【0039】
本実施形態の構成要素の形状は、図2図6を参照した上述の説明に限らない。例えば、図7の蓋71に示すように、蓋の形状は、板状であってもよい。図7は、本発明の第2の実施形態に係る機器における別形状の蓋を説明する図である。
【0040】
本実施形態では、クリップは、バネによって動作するものとして説明したが、これに限らず、例えば樹脂の弾性力を用いたものでも良い。
【0041】
弾性体の蓋を押さえつける要素は、クリップに限らず、例えば、筺体に嵌合構造により取り付けられる部品でも良い。
【0042】
また、蓋は、着脱式でなくてもよい。機器をクリップで挟むときに通気孔が閉じないよう考慮すれば、蓋は、例えば、クリップが閉じることにより、蓋の一部が変形し、通気孔を塞ぐ構成でも良い。
【0043】
以上、説明したように、第2の実施形態には、防水検査を実施する際に、通気孔を塞ぐシールが不要になるという効果がある。
【0044】
その理由は、本実施形態に係る機器200は、通気孔をクリップ受け部に囲まれた位置に配置し、防水検査時にその通気孔を塞ぐ蓋をクリップで押さえて、通気孔を塞ぐからである。これにより、本実施形態によれば、防水検査時に、通気孔に貼るシールを用いることなく、機器200は、その通気孔を塞がれることができる。すなわち、シールの貼付および剥離の作業工程は、不要となる。
【0045】
また、蓋は、着脱式にすれば、再利用が可能になる。
【0046】
さらに、通気孔がクリップ受け用の凹凸部20bにより囲まれているため、ユーザが通気孔に取り付けた通気シートを誤って破る可能性を低くすることが可能になる。
【0047】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 筐体
3 挟着部
4 通気孔
7 蓋
10 カバー
20 ケース
20a クリップ受け部
20b 凹凸部
30 クリップ
40 通気孔
50 通気シート
60 バネ
70 蓋
71 蓋
90 突起物
100 機器
200 機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7