特許第6306566号(P6306566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6306566注入システムのポンプ内の空気を検出するための空気検出システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306566
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】注入システムのポンプ内の空気を検出するための空気検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/36 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   A61M5/36 500
【請求項の数】21
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-503508(P2015-503508)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-512303(P2015-512303A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013034041
(87)【国際公開番号】WO2013148798
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】61/618,129
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/851,207
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508004797
【氏名又は名称】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッティ,ティモシー・エル
(72)【発明者】
【氏名】マーキー,ブライアン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ベルキン,アナトリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】コトニク,ポール・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ハイル,モハマド・エム
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−231966(JP,A)
【文献】 特表2006−517423(JP,A)
【文献】 特表2010−536497(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0214110(US,A1)
【文献】 特表2010−509984(JP,A)
【文献】 特表2010−501286(JP,A)
【文献】 特表2007−520270(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0145009(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0120825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータデバイスを用いて、流体を含むチャンバに対してプランジャを動かすステップと、
センサを用いて、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力を検出するステップと、
力の測定値を、センサからプロセッサへと電子的に通信するステップと、
プロセッサを用いて、(1)力の変化が閾値を超えるトリガ事象が発生する場合、および(2)トリガ事象の後、現在の平均力が基線平均力よりも小さく、プランジャに作用する基線平均力と、プランジャに作用する現在の平均力との間の差分が、規定の遅延範囲内で予測力差分を超える場合に、チャンバが空気を含むと判定するステップであって、基線平均力が、トリガ事象まで発生している、規定の基線範囲にわたってプランジャに作用する平均力を含んでおり、現在の平均力が、プランジャの現在の点までのサイクルの一定数の点にわたってとられるプランジャに対する平均力を含んでいるステップ
を含む、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法。
【請求項2】
(1)トリガ事象が、チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する微分力が微分閾値を超えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(1)が、トリガ事象からのプランジャのサイクルの連続したいくつかの測定点について、チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する微分力が、チャンバに対するプランジャのサイクルの測定点の閾値数よりも多い場合、微分閾値を超え続けることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基線平均力が、トリガ事象まで発生している、規定の基線範囲にわたってプランジャに作用する平均力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基線平均力が、チャンバに流体が充填されていることを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アクチュエータデバイスを用いて、流体を含むチャンバに対してプランジャを動かすステップと、
センサを用いて、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力を検出するステップと、
力の測定値を、センサからプロセッサへと電子的に通信するステップと、
プロセッサを用いて、(1)基線力プロファイル、(2)チャンバに対してプランジャに作用する現在の力を表す現在の力プロファイル、(3)現在の力プロファイルと基線力プロファイルとの間の差、および(4)現在のが基線力よりも小さく、計算された差が閾値を超える場合にチャンバが空気を含むと判定するステップと
を含む、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法。
【請求項7】
基線力プロファイルが、チャンバに流体が充填されていることを表す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサが、チャンバに対するプランジャのサイクルにわたって複数のプランジャ位置において力測定値をとることによって、基線力プロファイルを求める、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサが、チャンバに対するプランジャのサイクルにわたって複数のプランジャ位置においてとられる力測定値を平均することによって、基線力プロファイルを求める、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサが、チャンバに対するプランジャの現在のサイクル中にプランジャに作用する現在の力プロファイルをさらに考慮に入れることによって、基線力を求める、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサがさらに、どのくらいの割合の基線力プロファイルが平均力測定値から構成されるか、および、どのくらいの割合の基線力プロファイルが現在の力プロファイルから構成されるかを制御する忘却率を適用する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサが、チャンバに対するプランジャの現在のサイクルにわたって複数のプランジャ位置において力測定値をとることによって、現在の力プロファイルを求める、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサが、基線力プロファイルのそれぞれの複数の点に対する現在の力プロファイルの複数の点の間のそれぞれの差を計算し、それぞれの差の最小差を求めることによって、現在の力プロファイルと基線力プロファイルとの間の差を計算する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサが、最小差が閾値よりも小さいときにチャンバが空気を含むと判定する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プロセッサが、計算された差が閾値を下回るときにチャンバが空気を含むと判定する、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
アクチュエータデバイスを用いて、流体を含むチャンバに対してプランジャを動かすステップと、
センサを用いて、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力を検出するステップと、
力の測定値を、センサからプロセッサへと電子的に通信するステップと、
プロセッサを用いて、(1)センサによって検出された、プランジャに作用する力プロファイルを前処理し、(2)センサによって検出された、プランジャに作用する力プロファイルから特徴を抽出し、(3)力プロファイルの抽出された特徴に基づいて、センサによって検出された、プランジャに作用する力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類するステップと
を含む、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法。
【請求項17】
プロセッサが、基線力プロファイルに正規化するための信号正規化を適用することなく、力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プロセッサが、力プロファイルを取得すること、角度のセットについて力プロファイルを再サンプリングすること、力プロファイルに対する角度のサブセットを選択すること、および、角度のサブセットにおける力プロファイルに基づいて力プロファイルの微分を計算することによって、センサによって検出された力プロファイルを前処理する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
プロセッサが、力プロファイルを取得すること、力プロファイルにローパスフィルタを適用すること、角度のセットについて力プロファイルを再サンプリングすること、力プロファイルに範囲限界を適用すること、および、力プロファイルの差を計算することによって、センサによって検出された力プロファイルを前処理する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサが、力プロファイルに線形判別分析を適用することによって、力プロファイルから特徴を抽出する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
プロセッサが、力プロファイルのスコアを計算することによって、力プロファイルから特徴を抽出する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注入システム内の空気を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注入デバイスのライン内の空気を検出するための既存のシステムおよび方法は、一般的に、空気が2つのセンサ対の間の容積をふさぐときに生じる開回路を検出する超音波センサを使用することを伴う。空気センサ信号が事前定義の空気/流体閾値を超えて変化すると、アラーム条件が発生して静脈注射が一時停止される。不都合なことに、空気の存在が隠れてしまい、これが偽陰性をもたらすか、または、誤ったアラームを生成してしまうかのいずれかの様々な状況が存在する。基本的に、この問題は、単変量信号を用いる単一のセンサが、複数の次元を有する相対的に複雑な問題に適用されるために発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7981082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注入デバイスのライン内の空気をより正確に検出するシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態において、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法が開示される。1つのステップにおいて、プランジャが、アクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされる。別のステップにおいて、プランジャがチャンバに対して動くと、プランジャに作用する力がセンサを用いて検出される。追加のステップにおいて、プランジャに作用する力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。また別のステップにおいて、プロセッサを用いて、(1)力の変化が閾値を超えるトリガ事象が発生する場合、および(2)トリガ事象の後、プランジャに作用する基線平均力と、プランジャに作用する現在の平均力との間の差分が、規定の遅延範囲内で予測力差分を超える場合に、チャンバが空気を含むという判定が為される。
【0006】
本開示の別の実施形態において、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法が開示される。1つのステップにおいて、プランジャが、アクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされる。別のステップにおいて、プランジャがチャンバに対して動くと、プランジャに作用する力がセンサを用いて検出される。追加のステップにおいて、プランジャに作用する力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。また別のステップにおいて、(1)基線力プロファイル、(2)チャンバに対してプランジャに作用する現在の力を表す現在の力プロファイル、(3)現在の力プロファイルと基線力プロファイルとの間の差、および(4)計算された差が閾値を超える場合にチャンバが空気を含むと判定するためにプロセッサが使用される。
【0007】
本開示のまた別の実施形態において、注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法が開示される。1つのステップにおいて、プランジャが、アクチュエータデバイスを使用して流体を含むチャンバに対して動かされる。別のステップにおいて、プランジャがチャンバに対して動くと、プランジャに作用する力がセンサを用いて検出される。また別のステップにおいて、プランジャに作用する力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。また別のステップにおいて、(1)センサによって検出された力プロファイルを前処理し、(2)力プロファイルから特徴を抽出し、(3)力プロファイルの抽出された特徴に基づいて、力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類するために、プロセッサが使用される。
【0008】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、添付の図面、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してよりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に基づく薬剤送達注入システムのブロック図である。
図2】送達される流体の体積あたりのプランジャセンサ力曲線をプロットしたグラフを示す図である。
図3】送達される流体の体積あたりのプランジャセンサ力負微分曲線をプロットした図2に対応するグラフを示す図である。
図4】送達される流体の体積あたりのインラインセンサADC曲線をプロットした図2および図3に対応するグラフを示す図である。
図5】空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、本開示に基づく、連続した流れ図を含む、方法の一実施形態を示す図である。
図6】代表的な例について、平均プランジャセンサ力曲線、プランジャセンサ力微分曲線、基線、微分閾値、規定の基線範囲、予測される力差分Δ、およびΔ遅延点閾値をプロットしたグラフを示す図。
図7】本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法の一実施形態の流れ図である。
図8】液体曲線および空気曲線の力センサプロファイルをプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図9】プランジャ力プロファイルに対して行われた、主成分分析(PCA)の一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図10】プランジャ力プロファイルをプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図11】液体プランジャ力曲線および空気プランジャ力曲線をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図12】20ml/時の注入流量における、基準プランジャ力プロファイルと、空気曲線および液体曲線を含む後続のプロファイルとの間の最大絶対差の分布をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図13】550ml/時の注入流量における、基準プランジャ力プロファイルと、空気曲線および液体曲線を含む後続のプロファイルとの間の最大絶対差の分布をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図14】20ml/hrの注入流量における、空気プロットおよび液体プロットをプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図15】空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、本開示に基づく、連続した流れ図を含む、方法の一実施形態を示す図である。
図16図15の流れ図の続きを示す図である。
図17】力センサプロファイルをプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す図である。
図18図17のプランジャの各サイクルについてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点が、チャンバ内に液体があることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す図である。
図19図17の力センサプロファイルの最初の6つの完全なサイクルをプロットしたグラフを示す図である。
図20図18のプランジャの最初の6つの完全なサイクルの各々についてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点が、液体がチャンバ内にあることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す図である。
図21図17の力センサプロファイルの第42のサイクル〜第45のサイクルをプロットしたグラフを示す図である。
図22図18のプランジャの第42のサイクル〜第45のサイクルについてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点が、液体がチャンバ内にあることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す図である。
図23】本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法の一実施形態の流れ図である。
図24】プランジャ力プロファイルの形状に基づいて空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、連続した流れ図を含む、方法の一実施形態を示す図である。
図25】流体、空気、および遷移の各々の代表的な点を含む空気センサデータをプロットしたグラフを示す図である。
図26】流体、空気、および遷移の各々の、図28の実施形態に対応するプランジャに対する平均力プロファイルをプロットしたグラフを示す図である。
図27】流体、空気、および遷移の各々の、図26および図28の実施形態に対応するプランジャに対する力プロファイルの微分をプロットしたグラフを示す図である。
図28】2ミリリットル毎時の注入流量における代表的な点をプロットした、主成分分析を適用しているグラフを示す図である。
図29】流体、空気、および遷移の各々の代表的な点を含む空気センサデータをプロットしたグラフを示す図である。
図30】流体、空気、および遷移の各々の、図32の実施形態に対応するプランジャに対する平均力プロファイルをプロットしたグラフを示す図である。
図31】流体、空気、および遷移の各々の、図30および図32の実施形態に対応するプランジャに対する力プロファイルの微分をプロットしたグラフを示す図である。
図32】1,000ミリリットル毎時の注入流量における代表的な点をプロットした、主成分分析を適用しているグラフを示す図である。
図33】本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法の一実施形態の流れ図である。
図34】アルゴリズムセンサと、ライン内空気またはチャンバ内の空気の指示を生成するのに使用され得る先見的情報との組合せを示すベイズネットワークの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、本開示を実行する現在企図されている最良の形態のものである。この説明は限定的な意味にとられるべきではなく、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって最良に画定されているため、本開示の一般原理を例示することのみを目的に成されている。図面は純粋に例示を目的としたものであり、縮尺通りではないことに留意されたい。
【0011】
本開示は、注入システム内に空気が存在するか否かを判定するための方法および装置を提供する。Hospira, Inc.によって販売されているSymbiq(TM)、Plum(TM)、およびGemstar(TM)ポンプのようないくつかのタイプのポンプは、薬剤容器から患者へと制御された流量で流体を圧送するために作動されるプランジャによって圧縮されるチャンバを有するカセットを使用することを伴う。チャンバは、一方向の流れを保証するために補完的に開閉する弁に囲まれている。ポンピングサイクル中に測定される力は、チャンバ内の流体のタイプの直接関係付けられる。流体は、相対的に圧縮不可能であり、空気より高い異なる力プロファイルを生成する。同様に、チャンバ内で流体と空気が組み合わさる結果として、流体と空気の両方の混合した割合を示すハイブリッド形状プロファイルがもたらされる。本開示は、空気が患者内に注入される前に空気塞栓を検出するためにチャンバ内の空気の存在を検出するためにプランジャ力を利用するためのアルゴリズムを開示する。
【0012】
本開示の一実施形態において、プランジャに対して加えられる平均力の変化に基づいて、ポンピングチャンバ内の流体から空気への変化を判定する事象検出アルゴリズムが開示される。アルゴリズムは、変化の性質を確認するために、事象検出に関する微分スパイク、および平均力の系統的な低減を利用する。
【0013】
本開示の別の実施形態において、ポンピングチャンバ内の流体、空気、またはそれらの混合物を認識するためのパターン認識システム/方法が提供される。システムは、チャンバに対してプランジャに作用する力信号/プロファイルを基線に対して正規化する。その後、システムは、プランジャ位置に関してx軸を平滑化して標準サンプリング間隔に再サンプリングするために、力信号/プロファイルを前処理する。その後、システムは、基線と各後続の力プロファイルとの間の最大絶対差、または他のタイプの特徴のような特徴を抽出する。その後、システムは、線形判別分析または別のタイプの分析システム/方法を使用して、力プロファイルを空気、流体、またはそれらの組合せであると分類する。
【0014】
本開示のまた別の実施形態において、ポンピングチャンバ内の流体、空気、またはそれらの混合物を認識するための様々なパターン認識システム/方法が提供される。システムは、基線に対して正規化することなく、ローパスフィルタを適用することによって、または、別のタイプの前処理システム/方法を適用することによって、チャンバに対してプランジャに作用する力信号/プロファイルを前処理する。その後、システムは、力プロファイル全体、または、信号周波数成分、信号位相、標準偏差または分散、最大値、範囲、重要な点のプランジャ位置、主成分分析に基づくスコアのようなそのサブセットから特徴を抽出するか、または他のタイプの特徴を抽出する。その後、システムは、線形判別分析、k近傍法、サポートベクターマシン、または別のタイプの分析システム/方法を使用して、力プロファイルを空気、流体、またはそれらの組合せであると分類する。
【0015】
本開示の1つまたは複数のシステム/方法は、ポンピングチャンバ内の流体の送達流量に従って最適化/カスタマイズされる構成要素を含む。既存のアルゴリズムのいくつかでは、観測されるプランジャセンサ力プロファイルおよび検出電子機器に対する送達流量の深い影響を計上することができない。本開示の1つまたは複数のシステム/方法は、この影響を低減し、それゆえ、感度を改善する正規化またはクラスタリング状態を提供する。
【0016】
本開示の1つまたは複数のシステム/方法は、空気検出システムの信頼性を向上させるために、注入システム内の空気を検出するための任意の既存のシステム/方法と組み合わされてもよい。たとえば、多くの現行のシステム/方法は、チューブ部内の空気の存在を検出するために音響または超音波センサを使用する。しかしながら、これらのシステム/方法は、音響短絡、または、気泡がセンサの正面にとどまるか、センサの正面を繰り返し通過する可能性を考慮していないことが多い。多くのシステム/方法は、空気センサ信号を空気および流体を表す2つの領域に分離する固定閾値を有する単一の空気超音波センサに依拠する。空気信号領域内にある電圧が測定されると、信号によって表される空気の体積が、アラーム条件が満たされるまで累積される。本開示は、既存の空気検出システム/方法の信頼性を向上させるために、力センサ信号の出力を1つまたは複数の空気センサと組み合わせることを可能にする。そうすることにおいて、開示されるシステム/方法は、追加のハードウェア変更を必要とせず、代わりに、取得される力信号を活用する。加えて、本開示は、空気検出のための既存のソフトウェアモジュールを置き換えることを必ずしも必要とせず、既存の空気検出システムおよび方法のロバスト性を向上させるために、追加の安全性および/または信頼性層を追加する。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に基づく薬剤送達注入システム100のブロック図を示す。薬剤送達注入システム100は、流体供給容器102と、流体送達ライン104と、流体送達ライン104に接続されている空気センサ105と、チャンバ108に対して可動に配置されているプランジャ107を備えるポンプ106と、アクチュエータデバイス109と、センサ110と、位置センサ112と、処理デバイス114と、プログラミングコード118を記憶する持続性メモリ116と、クロック120と、アラーム122と、入出力デバイス124と、送達/抽出デバイス126とを備える。薬剤送達注入システム100は、Plum A+(TM)、Gemstar(TM)、Symbiq(TM)、または他のタイプの薬剤送達注入システムのような薬剤送達注入システムを含んでもよい。流体供給容器102は、チャンバ108に対するプランジャ107の運動に起因して静脈注射流体または薬剤のような流体を、チャンバ108を通じて患者128に送達するための容器を含む。流体送達ライン104は、流体供給容器102から、ポンプ106を通り、送達/抽出デバイス126を通じて患者128に液体を輸送するための、流体供給容器102、ポンプ106、および送達/抽出デバイス126の間に接続されている1つまたは複数のチューブを含む。流体送達ライン104は、ポンプ106のポンプ作用の結果として送達/抽出デバイス126を使用して患者128から抽出される血液を輸送するのにも使用されてもよい。ポンプ106は、供給容器102から流体を圧送するための、または、患者128から血液を圧送するためのポンプを含む。
【0018】
ポンプ106は、プランジャベースのポンプ、蠕動ポンプ、または別のタイプのポンプを含んでもよい。チャンバ108は、アクチュエータデバイス109の結果として可動配置されているプランジャ107がチャンバ108に対して動くのに起因して流体供給容器102からの流体がその中に、およびそれを通じて圧送されるポンプ106の内部空洞を備える。アクチュエータデバイス109は、プランジャ107をチャンバ108に対して動かすためのモータまたは別のタイプの作動デバイスを含んでもよい。センサ110は、チャンバ108内に含まれ、プランジャ107がチャンバに対して動くときにチャンバに作用する力を検出する。センサ110は、圧力センサ、弾性柱、歪みゲージ、または圧電性結晶力変換器を含む力センサ信号を含んでもよい。位置センサ112は、チャンバ108に対するプランジャ107の位置を求めるのに使用される。位置センサ112はエンコーダを備えてもよく、または、アクチュエータに送信されるコマンドに基づいて予測される位置を利用してもよい。
【0019】
処理デバイス114は、ポンプ106、アクチュエータデバイス109、センサ110、位置センサ112、プログラミングコード118を記憶する持続性メモリ116、クロック120、アラーム122、および入出力デバイス124と電子的に通信している。処理デバイス114は、ポンプ106、センサ110、位置センサ112、およびクロック120から受信される情報を処理し、空気、液体(流体)、またはそれらの組合せがポンプ106のチャンバ108内に位置するか否かを判定するために、持続性メモリ116内に記憶されているプログラミングコード118内に含まれるソフトウェアアルゴリズムを実行するためのプロセッサを含む。持続性メモリ116は、処理デバイス114内、またはその外部に位置してもよい。
【0020】
クロック120は、プランジャ107、センサ110、位置センサ112、およびその他の構成要素を含む薬剤送達注入システム100の作動のタイミングをとる。アラーム122は、処理デバイス114によってトリガされると、臨床医に、チャンバ108内の空気の存在について通知し、空気塞栓が流体送達ライン104および送達/抽出デバイス126を通じて患者128に送達されてしまう前に、ポンプ106を停止するように構成されている。入出力デバイス124は、ユーザによって入力される医薬注入プログラムのような情報を臨床医が処理デバイス114に入力することを可能にし、また臨床医に対して情報を出力するデバイスを含む。送達/抽出デバイス126は、流体供給容器102から患者128へと流体を送達するための、または、患者128から血液を抽出するための患者血管アクセス点デバイスを含む。送達/抽出デバイス126は、針、カテーテル、または別のタイプの送達/抽出デバイスを含んでもよい。
【0021】
本開示の一実施形態において、図1の薬剤送達注入システム100は、プランジャ107に対する力、および、チャンバ108を出る流体または空気の送達される体積あたりの、プランジャ107に作用する力の微分を分析することによって、チャンバ108内に空気が存在する場合を判定してもよい。これは、空気がチャンバ108に達すると、チャンバ108を出る流体の送達される体積あたりのプランジャ107に作用する微分力が、下向き方向においてスパイクを生じ、その後、基線値に戻ること、および、その後、チャンバ108が空気でふさがるために、プランジャ107に対する平均力がわずかに下降するようになることが判明している。この情報を処理するために、プランジャ107のサイクルあたり6つのデータ点が収集され得る。他の実施形態において、プランジャ107のサイクルあたりの様々な数のデータ点が収集されてもよい。
【0022】
対応する図2図4は、一回の反復の一実施形態、および、図1のチャンバ内で空気が発見される詰まり(end−of−bag)事象の一般的なデータを示す。図2は、送達される流体の体積あたりのプランジャセンサ力曲線125をプロットしたグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、チャンバから送達される流体のミリリットル単位の体積を表す。図3は、送達される流体の体積あたりのプランジャセンサ力負微分曲線127をプロットした図2に対応するグラフを示す。Y軸は、単位体積あたりのポンド単位の図2のプランジャに対する平均力の微分を表し、X軸は、チャンバから送達される流体のミリリットル単位の体積を表す。図4は、送達される流体の体積あたりのライン内空気センサADC曲線129をプロットした図2および図3に対応するグラフを示す。Y軸は、空気センサによって検出されるライン内流体のADCカウント(アナログ−デジタルカウントとも称される)を表し、X軸は、チャンバから送達される流体のミリリットル単位の体積を表す。図3によって示されるように、流体から空気への遷移は、位置130における、プランジャに対する力の微分がスパイクを生じる体積の点において発生する。図2によって示されるように、プランジャに対する力はこの同じ位置130において下降する。図4によって示されるように、ADCカウントはこの同じ位置130において劇的に増大する。
【0023】
図5は、空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、本開示に基づく、連続した流れ図を含む、方法132の一実施形態を示す。方法132は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法132に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってポンプの停止をトリガし得る。その上、方法132は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよい。他の実施形態において、方法132は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0024】
ステップ134において、方法が開始する。ステップ134の後、ステップ136において、詰まり(EOB)、または、チャンバが空気を含む等価な状況が検出されたか否かについて判定が行われる。ステップ136における判定への回答が「はい」であり、詰まりが検出された場合、方法は138に進み、チャンバ内に空気があることを示すためにエンドオブバッグアラームがオンにされる。この詰まり(EOB)事象は、ポンプ注入を中断するか、または、ライン内空気アラームを適用するための別のアルゴリズムによって使用されてもよい。ステップ136における判定への回答が「いいえ」であり、エンドオブバッグが検出されなかった場合、方法は140に進み、以前に確認されたピークがあるか否かについて判定が行われる。ステップ140における判定への回答が「はい」であり、確認されたピークがある場合、方法は、下記により完全に説明されるステップ142に進む。ステップ140における判定への回答が「いいえ」であり、以前に確認されたピークがなかった場合、方法はステップ144に進み、チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャの力の現在の負微分(平均力の)D(i)が、空気がチャンバ内に入った可能性があることを表す可能性のあるエンドオブバッグ(EOB)事象の開始を示す微分閾値Dthを超えるトリガ事象が発生したか否かについて判定が行われる。変数iは最初は1に設定されることに留意されたい。微分閾値Dthは流量依存性である。微分閾値Dthは、200ミリリットル毎時を下回る流体の流速については1.5に設定され、200ミリリットル毎時を上回る流体の流速については3.0に設定されてもよい。他の実施形態において、微分閾値Dthは、流速の1次関数として変更されてもよい。
【0025】
ステップ144における判定への回答が「いいえ」である場合、方法はステップ146に進み、式i=i+1を使用して変数iを増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。ステップ144における判定への回答が「はい」である場合、方法はステップ148に進み、式P=P+1を適用して変数Pを増分する。変数Pは最初は0に設定されることに留意されたい。ステップ148の後、方法はステップ150に進み、変数Pが連続点閾値Pthよりも大きいか否かについて判定が行われる。一実施形態において、連続点閾値Pthは1に設定される。他の実施形態において、連続点閾値Pthは変更されてもよい。連続点閾値Pthは、空気がチャンバ内にある可能性があることを表す可能性のあるエンドオブバッグ(EOB)事象を示すために、送達される流体の体積に対するプランジャの力の現在の負微分(平均)D(i)が微分閾値Dthを超えなければならない連続点Pの数よりも小さいものを表す。ステップ150における判定への回答が「いいえ」である場合、方法はステップ146に進み、式i=i+1を適用して変数iを増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。ステップ150における判定への回答が「はい」である場合、方法はステップ152に進み、ピークが確認され、基線Bがとられる。
【0026】
基線Bは、チャンバに流体が充填される注入中の平均力を表す。一実施形態において、基線Bは、トリガ事象まで発生している、規定の基線範囲にわたってプランジャに作用する平均力を含む。一実施形態において、規定の基線範囲は、トリガ事象の直前およびトリガ事象までにとられる、プランジャに関する平均力データの直前100マイクロリットルを含む。一実施形態において、基線範囲は、複数サイクルの平均力データを含んでもよい。他の実施形態において、基線範囲は変化してもよい。トリガ事象は、最初にチャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する負微分力D(i)が、その後、チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する負微分力D(i)が微分閾値Dthを超え続けるトリガ事象からのプランジャのサイクルの連続測定点Pの数が、連続測定点閾値Pthを超える限り、微分閾値Dthを超える点を含む。他の実施形態において、トリガ事象は変化してもよい。ステップ152の後、方法はステップ146に進み、式i=i+1を使用して変数iを増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。
【0027】
前に参照されたように、ステップ140における判定への回答が「はい」である場合、確認されたピークがあり、方法はステップ142に進み、式(遅延点)=(遅延点)+1を適用して遅延点DPを増分する。遅延点は最初はゼロに設定される。遅延点は、確認されたピーク以降のプランジャのサイクルからとられるデータ点数を表す。ステップ142の後、方法はステップ154に進み、基線Bと現在の平均力σ(i)との間の差分が予測力差分Δよりも大きいか否かについて判定が行われる。現在の平均力σ(i)は、プランジャの現在の点までのサイクルの一定数の点にわたってとられるプランジャに対する現在の平均力を含む。一実施形態において、プランジャに対する現在の平均力は、プランジャの現在の点の直前およびそこまでのプランジャの2サイクルに基づいて計算されてもよい。他の実施形態において、プランジャに対する現在の平均力は、変更された範囲にわたってとられてもよい。一実施形態において、予測力差分Δは0.15ポンドの力を含む。他の実施形態において、予測力差分Δは変更してもよい。
【0028】
ステップ154における判定への回答が「はい」である場合、方法はステップ156に進み、詰まり(EOB)または等価の事象が発生したことを確認し、チャンバ内に空気があることを示すためにエンドオブバッグアラームをオンにするためにステップ146、136、および138を通じて進む。この詰まり(EOB)事象は、ポンプをオフにし得る。ステップ154における判定への回答が「いいえ」である場合、方法はステップ158に進み、遅延点DPがΔ遅延点閾値よりも大きいか否かについて判定が行われる。Δ遅延点閾値は、トリガ事象の点から開始する規定の遅延範囲を含み、その範囲にわたって、基線Bと現在の平均力σ(i)との間の差分は、詰まり(EOB)事象が発生したことを決定するために予測力差分Δを超えなければならない。一実施形態において、Δ遅延点閾値は、200マイクロリットルの送達される流体を含む。他の実施形態において、Δ遅延点閾値は変更してもよい。
【0029】
ステップ158における判定への回答が「いいえ」である場合、方法はステップ146に進み、式i=i+1を使用して変数iを増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。ステップ158における判定への回答が「はい」である場合、方法はステップ160に進み、確認されたピークがないと判定し、詰まり(EOB)事象がないと判定し、遅延点DPをゼロにリセットし、ステップ146に進み、式i=i+1を使用して変数iを増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。他の実施形態において、方法132の1つまたは複数のステップは変更されてもよく、続けられなくてもよく、または1つもしくは複数の追加のステップが追加されてもよい。その上、方法132の変数のいずれかは入力デバイスを使用してユーザに設定されるか、またはプロセッサにプリセットされるかのいずれかであってもよい。
【0030】
図6は、代表的な例について、平均プランジャセンサ力曲線162、プランジャセンサ力(負)微分曲線164、基線166、微分閾値168、規定の基線範囲170、予測力差分Δ172、およびΔ遅延点閾値174をプロットしたグラフを示す。右端のY軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の平均力を表し、左端のY軸は、ミリリットル当たりのポンド単位の、図2のプランジャに対する力の微分(平均)を表し、X軸は、チャンバから送達される流体のミリリットル単位の体積を表す。平均プランジャセンサ力曲線162は、プランジャのサイクルの測定点を表す各円によって伝達される平均力を含み、測定データ点1がグラフ内に示されている第1の円である。プランジャセンサ力微分曲線164は、プランジャのサイクルの測定点を表す各三角形によって伝達される体積あたりの微分力を含み、測定微分データ点1がグラフ内に示されている第1の微分三角形である。基線166は、水平線166を含む。微分閾値168は、水平線を含む。規定の基線範囲170は、この例では100マイクロリットルである水平距離を含む。予測力差分Δ172は、垂直距離を含む。Δ遅延点閾値174は、この例では200マイクロリットルである水平距離を含む。
【0031】
チャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために以下のように図5の方法が図6の例に適用されてもよい。ステップ134において、方法が開始する。その後、方法はステップ136に進み、測定点i=1について詰まり(EOB)が検出されなかったという判定が為される。その後、方法はステップ140に進み、測定点i=1について確認されたピークがないという判定が為される。その後、方法はステップ144に進み、測定点i=1についての微分が微分閾値を超えていないという判定が為される。その後、方法はステップ146に進み、変数iを増分し、その後、方法はステップ136を反復する。方法は、ステップ144において測定点i=17についての微分が微分閾値を超えるという判定が為されるまで、同じようにループし続ける。その後、方法はステップ148に進み、変数Pを0から1に増分する。その後、方法はステップ150に進み、現在1に等しい変数Pが1の連続点閾値Pthよりも大きくないと判定する。その後、方法はステップ146に進み、iを18に増分し、ステップ136、140、および144を反復する。ステップ144において、測定点i=18の微分が微分閾値を超えるという判定が為される。その後、方法はステップ148に進み、変数Pを1から2に増分する。その後、方法はステップ150に進み、現在2に等しい変数Pが1の連続点閾値Pthより大きいと判定する。その後、方法はステップ152に進み、ピークを確認し、トリガ事象である測定点i=17の直前および測定点i=17のまでの平均力データの100マイクロリットルの基線範囲の基線Bをとる。その後、方法はステップ146に進み、変数iを19に増分し、その後、ステップ136に戻り、反復する。
【0032】
ステップ136において、測定点19について詰まり(EOB)が検出されなかったという判定が為される。その後、方法はステップ140に進み、測定点i=19について確認されたピークがあるという判定が為される。その後、方法はステップ142に進み、遅延点DPを1に増分する。その後、方法はステップ154に進み、基線Bと測定点i=19についての現在の平均力σ(i)との間の差分が予測力差分Δよりも大きくないと判定する。その後、方法は、ステップ158に進み、1の遅延点DPが、チャンバから送達される200マイクロリットルの流体内の、トリガ事象から開始するプランジャのサイクル内の測定点の数を含むΔ遅延点閾値よりも大きくないと判定する。その後、方法はステップ146に進み、変数iを増分し、ステップ136に戻り、反復する。方法は、基線Bと測定点i=23についての現在の平均力σ(i)との間の差分が予測力差分Δよりも大きいとステップ154において判定されるまで、ステップ136、140、142、および154を通じてループし続ける。その後、方法はステップ156に進み、詰まり(EOB)事象が発生したことを確認し、チャンバ内に空気があることを示すために詰まりアラームをオンにするためにステップ146、136、および138を通じて進む。詰まりアラームがオンにされていることは、注入を中断することをさらに含んでもよい。
【0033】
図5の方法は、様々な流速についての472個のデータセットを分析するために実施された。試験の結果、空気がチャンバ内にあるという偽陽性判定はなく、偽陰性が1度だけ発生し、これはセットのうち0.2%のみが不正確な結果をもたらすことに等しかった。
【0034】
図7は、本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法180の一実施形態の流れ図を示す。方法180は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法180に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってポンプの停止がトリガされ得る。その上、方法180は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよく、これらの各々はプロセッサと電子的に通信している。他の実施形態において、方法180は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0035】
ステップ182において、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされる。ステップ184において、プランジャがチャンバに対して動くと、プランジャに作用する力がセンサで検出される。ステップ186において、力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。ステップ187において、プロセッサを用いて、(1)チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する力の変化が閾値を超えるトリガ事象が発生する場合、および(2)トリガ事象の後、プランジャに作用する基線平均力と、プランジャに作用する現在の平均力との間の差分が、規定の遅延範囲内で予測力差分を超える場合、チャンバが空気を含むという判定が為される。ステップ188において、チャンバが空気を含むとプロセッサが判定すると、プロセッサがアラームをオンにする。ステップ188は、アラームがオンにされたときにポンプを停止することをさらに含んでもよい。
【0036】
ステップ187の一実施形態において、チャンバが空気を含むことをプロセッサが判定するために行われなければならないステップ(1)は、トリガ事象からのプランジャのサイクルの連続した数の測定点について、チャンバを出る流体の送達される体積あたりのプランジャに作用する微分力が、チャンバに対するプランジャのサイクルの測定点の閾値数よりも多い場合、微分閾値を超え続けることをさらに含んでもよい。ステップ187の一実施形態において、ステップ(2)の基線平均力は、トリガ事象まで発生している、規定の基線範囲にわたってプランジャに作用する平均力を含んでもよい。基線平均力は、チャンバに流体が充填されていることをさらに表し得る。他の実施形態において、方法180のステップのいずれかは変更されてもよく、続けられなくてもよく、または追加のステップが追加されてもよい。
【0037】
本開示の別の実施形態において、図1の薬剤送達注入システム100は、プランジャ107に対する力プロファイルの形状を分析すること、および、プランジャ107に対する力プロファイルの形状がチャンバ108内にある液体を表す力プロファイルの基線形状から大幅に変化するときにチャンバ108内に空気が含まれていると判定することによって、チャンバ108内に空気が存在する場合を判定してもよい。これは、空気がチャンバ108に達すると、プランジャ107のストロークまたはサイクル中にプランジャ107に対する力プロファイルの形状が、チャンバ108内にある流体からチャンバ108内にある空気への遷移が行われるとき、およびその後に、一貫して変化することが判明しているためである。プランジャ107に対する力プロファイルの形状は、空気および流体に関連付けられる力プロファイル形状を判別することによって、ライン内空気を検出するためのものとして使用され得る。力プロファイルの形状の特性は、メカニズム、セット、流体タイプ、ならびに遠位および近位圧力に関連付けられるいくらかの変動性をもって、チャンバ108から送達されている流体の送達流量に依存する。
【0038】
図8は、液体曲線190および空気曲線192の力センサプロファイルをプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、250Hzのレートで収集されるサンプルの数を表す。液体曲線190は、チャンバ内に液体が配置されていることを表す。空気曲線192は、チャンバ内に空気が配置されていることを表す。図示されているように、液体曲線190は、プランジャの各サイクルcの拡張部分eの間、プランジャに対する力が空気曲線192よりも著しく大きい力である、一方、後退段階rの間の曲線190と192との間の差は著しく小さい。
【0039】
図9は、プランジャ力プロファイルに対して行われた主成分分析(PCA)の一実施形態の代表的なグラフを示し、点194はチャンバ内に液体が配置されていることを表し、点196はチャンバ内に空気が配置されていることを表す。X軸は第1のスコアを表し、Y軸は第2のスコアを表す。図示されている用に、チャンバ内に液体が配置されていることを表す点194は、チャンバ内に空気が配置されていることを表す点196よりも高い第1のスコアを有する。
【0040】
図10は、プランジャ力プロファイル198をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、プランジャの各サイクルcのサンプル数を表す。図示されているように、6点ベクトルパターンを含む6つの点p1〜p6が、プランジャの各サイクル(またはストローク)cの拡張部分eの間に特定のプランジャ位置においてサンプリングされている。プランジャの各サイクルcの後退部分rの間は点はサンプリングされていない。各サイクルのこの力サンプリングは、測定された力プロファイルの形状に基づいてチャンバ内に空気または液体が含まれているかを判定するのに使用され得る。流体のパターン分散対チャンバ内にある空気の間の相関を判定するために、主成分分析(PCA)を使用して判定が行われ得る。セット/針高さおよび様々なメカニズムにわたるパターンを正規化するために前処理が適用され得る。各別個の流体注入流量または注入流量の範囲について別個の分析が実行される。他の実施形態において、プランジャのサイクルあたり様々な数の点が利用されてもよく、様々なタイプの分析を使用して判定が行われてもよい。
【0041】
図11は、液体プランジャ力曲線200および空気プランジャ力曲線202をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、プランジャのサイクルのサンプル数を表す。液体プランジャ力曲線200は、チャンバ内に液体が配置されていることを表す。空気プランジャ力曲線202は、チャンバ内に空気が配置されていることを表す。図示されているように、液体プランジャ力曲線200は、プランジャに対する力が空気プランジャ力曲線202よりも著しく大きい力がある。
【0042】
図12は、20ml/hrの注入流量における、基準プランジャ力プロファイルと、空気曲線204および液体曲線206を含む後続のプロファイルとの間の最大絶対差の分布をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸はプロファイルの数を表し、X軸は、測定力プロファイルと基線プロファイルとの間の最大絶対差の点に関連付けられる差を表す。空気曲線204はチャンバ内に空気が配置されていることを表し、液体曲線206はチャンバ内に液体が配置されていることを表す。図示されているように、液体曲線206の(液体)基線からの差は、空気曲線204よりも著しく小さい。図13は、550ml/hrの注入流量における、基準プランジャ力プロファイルと、空気曲線208および液体曲線210を含む後続のプロファイルとの間の最大絶対差の分布をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸はプロファイルの数を表し、X軸は、測定力プロファイルと基線プロファイルとの間の最大絶対差の点に関連付けられる差を表す。空気曲線208はチャンバ内に空気が配置されていることを表し、液体曲線210はチャンバ内に液体が配置されていることを表す。図示されているように、液体曲線210の(液体)からの差は、空気曲線208よりも著しく小さい。図12および図13は、最大差計算が特徴抽出のために計算された後、様々な注入流量にわたって空気と流体との間に著しい差があることを実証している。
【0043】
図14は、20ml/hrの注入流量における、空気の描写212および液体の描写214をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸は観測される力と( )との間の差を表し、X軸は、(1)プランジャチャンバ内の液体に関連付けられる差のグループ、および(2)プランジャチャンバ内の空気との差の2つのグループを表す。空気の描写212はチャンバ内に空気が配置されていることを表し、液体の描写214はチャンバ内に液体が配置されていることを表す。図示されているように、空気の描写212は液体基線からの差が著しく低く(より負であり)、一方で流体212の差は、液体基線からゼロに近い。2つのグループの間が離れていることが、空気に関連付けられる力測定値を流体に関連付けられる力測定値から区別するための方法の原理をもたらす。
【0044】
チャンバ内に空気が含まれているか否かを評価するために、各注入プログラムに特有の基線力プロファイルを求めることによって、および、注入プログラム/流量とは無関係に1つの一般的な特徴を使用することによって、プランジャの力形状プロファイルを正規化するアルゴリズムが発見されている。アルゴリズムを実行するために、プランジャの各力形状プロファイルが基線力プロファイルと比較され、力形状プロファイルと基線力プロファイルとの間の点毎の差が求められ、力形状プロファイルと基線力プロファイルとの間の最小(最も負の)差が閾値を下回って下降するとき、チャンバが空気を含むという判定が為される。基線力プロファイルは、チャンバ内に液体が配置されていることを表し得る。他の実施形態において、プランジャの力形状プロファイルに基づいてチャンバ内に空気が含まれている場合を判定するのに様々なアルゴリズムが実行されてもよい。
【0045】
図15および図16は、空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、本開示に基づく、連続した流れ図を含む、方法220の一実施形態を示す。方法220は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法220に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってさらにポンプが停止され得る。その上、方法220は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよい。他の実施形態において、方法220は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0046】
ステップ222において、方法が開始する。ステップ222の後、方法はロケーションステップ224〜ステップ226を通じて進む。ステップ226において、プランジャの力プロファイルX(k)がプランジャの第1のサイクルについて取得され、K=1がプランジャの第1のサイクルを表す。力プロファイルX(k)は、プランジャのk番目のサイクルの間のプランジャの6つの位置/点の各々における、プランジャに対する6つの力を含むベクトルを表す。他の実施形態において、力プロファイルはプランジャの様々な数の位置によって取得されてもよい。その後、方法はステップ228に進み、式PC=PC+1を使用してプロファイルカウントPCを増分し、PCは最初は0であり、それによって、PCは1に増分されることになる。その後、方法はステップ230に進み、プロファイルカウントPCがNi=2に設定されているNiを無視するためのプランジャの初期サイクルの数以下であるか否かを判定する。他の実施形態において、Niは他の値に設定されてもよい。
【0047】
プロファイルカウントPCがNiを無視するためのプランジャの初期サイクルの数以下であるとステップ230が判定する場合、方法は、ステップ224、226、228、および230に戻り、プロファイルカウントPCがNiを無視するためのプランジャの初期サイクルの数を超えるまで反復し、大きくなると、方法はステップ232に進む。ステップ232において、基線カウントBS_LN_CNTが基線準備変数BS_LN_RDYよりも小さいか否かについて判定が為される。基線カウントBS_LN_CNTは最初、BS_LN_CNT=0に設定される。基線準備変数BS_LN_RDYはBS_LN_RDY=5に設定される。他の実施形態においてBS_LN_CNTおよびBS_LN_RDYは他の値に設定されてもよい。BS_LN_CNTがBS_LN_RDY以上であるとステップ232が判定する場合、方法は、図15のロケーションステップ234を通り、図16のロケーションステップ236を通じて、後述される図16のステップ238へと進む。
【0048】
ステップ232において、基線カウントBS_LN_CNTがBS_LN_RDY未満であるという判定が為される場合、方法はステップ240に進む。ステップ240において、その瞬間におけるアナログ−デジタルカウント(ADC)が流体TPRIの一次閾値未満であるか否かについて、および、PCがNi+2よりも大きいことによって表される、プロファイルカウントPCが無視するためのプランジャの初期サイクルの数に2を加えた数よりも大きいか否かについて判定が為される。流体TPRIの一次閾値は3,000に設定される。他の実施形態において、流体TPRIの一次閾値は他の値に設定されてもよい。ステップ240において、チャンバの下流にある空気センサによって読み取られるアナログ−デジタルカウント(ADC)が流体TPRIの一次閾値以上であること(チャンバ内に空気があることを意味する)、または、PCがNi+2よりも大きいことによって表される、プロファイルカウントPCが無視するためのプランジャの初期サイクルの数に2を加えた数以下である(空気センサがチャンバの下流に位置することに起因して2サイクルの遅延がある)ことのいずれかの判定が為された場合、方法はステップ242に進み、基線カウントBS_LN_CNTが0よりも大きいか否かを判定する。他の実施形態において、使用されるサイクルの遅延数は変化してもよい。基線カウントBS_LN_CNTが0以下であるとステップ242が判定した場合、方法はロケーションステップ224〜ステップ226に戻り、ループを継続する。基線カウントBS_LN_CNTが0よりも大きいとステップ242が判定する場合、方法は、図15のロケーションステップ234を通り、図16のロケーションステップ236を通じて、後述される図16のステップ238へと進む。
【0049】
ステップ240において、チャンバの下流にある空気センサによって読み取られるアナログ−デジタルカウント(ADC)が流体TPRIの一次閾値未満(チャンバ内に液体があることを意味する)であること、または、PCがNi+2よりも大きいことによって表される、プロファイルカウントPCが無視するためのプランジャの初期サイクルの数に2を加えた数よりも大きい(空気センサがチャンバの下流に位置することに起因する2サイクルの遅延が満了していることを示す)ことのいずれかの判定が為された場合、方法はステップ244に進む。ステップ244において、式Xt=Xt+X(k−2)を使用して累積基線プロファイルXtが求められ(X(k−2)は、空気センサがチャンバの下流に位置することに起因する2サイクル前の、6点ベクトルとして表現される力プロファイルを表す)、Xtは最初は0に設定され、kはプランジャの現在のサイクルの数を表す。他の実施形態において、Xtの式は変化してもよい。ステップ244の後、方法はステップ246に進み、式BS_LN_CNT=BS_LN_CNT+1を使用して基線カウントBS_LN_CNTを増分する。ステップ246の後、方法はステップ248に進み、プランジャの基線カウントBS_LN_CNTサイクルの数にわたって液体がチャンバ内にあるときにとられるプランジャに対する力測定値を平均する式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmを求める。基線力プロファイルXmは、空気センサがチャンバの下流に位置することに起因する現在のサイクルの2サイクル前に、液体(流体)がチャンバ2内に含まれている状況についての基線力ベクトルを表す。他の実施形態において、基線力プロファイルXmは、様々な式を使用して計算されてもよい。ステップ248の後、方法は、図15のロケーションステップ234を通り、図16のロケーションステップ236を通じて、図16のステップ238へと進む。
【0050】
図16のステップ238において、プランジャの現在のベクトル力プロファイルと基線力ベクトルとの間の最小距離Dが、式D=min(X(k)−Xm)を使用して求められ、kはプランジャの現在のサイクルを表し、Xmは基線力ベクトルを表し、Dは、2つのベクトルの対応する6点の間の単一の最小距離である。ステップ238の後、方法はステップ250に進み、Dは−3に設定される所与の注入流量の閾値Trateよりも大きいか否かを判定する。他の実施形態において、Trateは、注入流量、または信号分散のような他の要因に応じて様々な数に設定されてもよい。加えて、高確率対低確率の領域を提供するために、Trateに対して2つ以上の値が使用されてもよい。ステップ250において、プランジャの現在のベクトル力プロファイルと基線力ベクトルとの間の最小距離Dが所与の注入流量の閾値Trate以下であるという判定が為された場合、これはチャンバ内に空気があることを意味し、方法はステップ252に進む。
【0051】
ステップ252において、式Nw count=Nw count+1を使用してNwカウントが増分され、Nwカウントは最初は0に設定される。Nwカウントは、観測されている空気サイクルの現在の数を表す。ステップ252の後、方法はステップ254に進み、NwカウントがNw以上であるか否かを判定し、Nwはプランジャの連続して観測される空気サイクルの閾値数を表し、その後、空気アラームがオンにされることになり、これはチャンバ内に空気が含まれていることを示す。ステップ254においてNwカウントがNw未満であるまたは同じであると判定される場合、方法は、ロケーションステップ256を通じて図15のロケーションステップ224に戻って図15のステップ226へと進み、ループを反復する。ステップ254においてNwカウントがNw以上または同じであると判定される場合、方法はステップ258に進み、Flag Deltaをチャンバ内に空気が存在することを示す1に設定し、チャンバ内に空気が存在することを示すためにアラームをオンにし、ロケーションステップ256を通じて図15のロケーションステップ224に戻って図15のステップ226へと進み、ループを反復する。ステップ258は、ポンプを停止することをさらに含んでもよい。
【0052】
ステップ250において、プランジャの現在のベクトル力プロファイルと基線力ベクトルとの間の最小距離Dが所与の注入流量の閾値Trateよりも大きいという判定が為された場合、これはチャンバ内に液体が含まれていることを意味し、方法はステップ260に進む。ステップ260において、Nwカウントが0にリセットされ、Nwカウントは観測されている空気サイクルの現在の数を表し、Flag Deltaも0にリセットされ、Flag Deltaはチャンバ内に空気が存在することを表す。ステップ260の後、方法はステップ262に進み、基線カウントBS_LN_CNTがBS_LN_RDY=5に設定されている基線準備変数BS_LN_RDY以上または同じであるか否かを判定する。他の実施形態において、基線準備変数BS_LN_RDYは他の値に設定されてもよい。
【0053】
ステップ262において基線カウントBS_LN_CNTが基線準備変数BS_LN_RDY未満または同じであると判定される場合、方法は、ロケーションステップ256を通じて図15のロケーションステップ224に戻って図15のステップ226へと進み、ループを反復する。ステップ262において、基線カウントBS_LN_CNTが基線準備変数BS_LN_RDY以上または同じであると判定された場合、方法はステップ264に進む。ステップ264において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmが適応的基線力プロファイル式Xm=Xm(1−α)+αX(k)を使用して計算され、αはどのくらいの割合の計算された基線力プロファイルXmが先行して計算された基線力プロファイルXmを含むか、またどのくらいの割合の基線力プロファイルXmが現在の力プロファイルX(k)を含むかを判定する忘却率を含み、X(k)はプランジャのk番目のサイクルのプランジャの現在の力プロファイルである。一実施形態において、忘却率αは1に設定されてもよい。他の実施形態において、忘却率αは様々な値に設定されてもよい。適応的基線は、移動平均またはカルマンフィルタのような代替方式で求められてもよい。
【0054】
ステップ264は、忘却率αを制御することによってユーザが基線力プロファイルXmに対する制御を評価することを可能にする適応的基線ステップを含む。他の実施形態において、忘却率αは事前にプログラムされてもよい。また他の実施形態において、基線力プロファイルXmを計算するのに様々な方法が使用されてもよい。ステップ264の後、方法は、図15のロケーションステップ256を通じて図15のロケーションステップ224に戻り、図15のステップ226へ進んでループを反復する。他の実施形態において、方法220の1つまたは複数のステップは変更されてもよく、続けられなくてもよく、または1つもしくは複数の追加のステップが追加されてもよい。その上、方法220の変数のいずれかは入力デバイスを使用してユーザに設定されるか、またはプロセッサにプリセットされるかのいずれかであってもよい。
【0055】
図17は、力センサプロファイル266をプロットした、一実施形態の代表的なグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、秒単位の時間を表す。プランジャの各サイクルcの拡張部分eの間に6つの点p1〜p6が計算される。プランジャの各サイクルcの後退部分rの間は点はサンプリングされていない。ライン268はプランジャの第45のサイクルの間の点を表し、この点において、図15および図16の方法220が適用されると空気がチャンバ内にあることに起因して空気アラームがオンにされ、これは下記により完全に説明される。
【0056】
図18は、図17のプランジャの各サイクルcについてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点dpが、チャンバ内に液体があることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す。Y軸は差を表し、X軸は時間を表す。円で囲まれた点cpは、プランジャの各サイクルの6つのそれぞれの差点dpと基線との間の、プランジャの各サイクルについての最小差を表す。ライン270は、−0.3に設定されている所与の注入流量の閾値Trateを表す。下記により完全に説明されるように、図15および図16の方法が適用されると、方法は、プランジャの最初の43サイクル中にチャンバ内に液体が含まれていると判定し、プランジャの第44のサイクル中にチャンバ内に空気があると判定し、ライン268の後、図17においてそうであるように、プランジャの第45のサイクル中に空気アラームをオンにし、チャンバ内に空気があることを表す。
【0057】
図19は、図17の力センサプロファイル266の最初の6つの完全なサイクルC1〜C6をプロットしたグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、秒単位の時間を表す。プランジャの各サイクルcの拡張部分eの間に6つの点p1〜p6が計算される。プランジャの各サイクルcの後退部分rの間は点はサンプリングされていない。
【0058】
図20は、図18のプランジャの最初の6つの完全なサイクルC1〜C6の各々についてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点dpが、液体がチャンバ内にあることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す。Y軸は差を表し、X軸は時間を表す。円で囲まれた点cpは、プランジャの各サイクルの6つのそれぞれの差点dpと基線との間の、プランジャの各サイクルについての最小差を表す。ライン270は、図18においてそうであるように、−0.3に設定されている所与の注入流量の閾値Trateを表す。下記により完全に説明されるように、図15および図16の方法が適用されると、方法は、プランジャの最初の6つの完全なサイクルC1〜C6の各々の間にチャンバ内に液体が含まれていると判定する。
【0059】
図21は、図17の力センサプロファイル266の第42のサイクルC42〜第45のサイクルC45をプロットしたグラフを示す。Y軸は、プランジャ力センサによって検出される、プランジャに対するポンド単位の力を表し、X軸は、秒単位の時間を表す。プランジャの各サイクルcの拡張部分eの間に6つの点p1〜p6が計算される。プランジャの各サイクルcの後退部分rの間は点はサンプリングされていない。
【0060】
図22は、図18のプランジャの第42のサイクルC42〜第45のサイクルC45についてプロットしたグラフを示し、6つのそれぞれの差点dpが、液体がチャンバ内にあることを含む基線と、プランジャの各それぞれのサイクルの対応する点との間の測定差を表す図である。Y軸は差を表し、X軸は時間を表す。円で囲まれた点cpは、プランジャの各サイクルの6つのそれぞれの差点dpと基線との間の、プランジャの各サイクルについての最小差を表す。ライン270は、図18および図20においてそうであるように、−0.3に設定されている所与の注入流量の閾値Trateを表す。下記により完全に説明されるように、図15および図16の方法が適用されると、方法は、プランジャの最初の43サイクル中にチャンバ内に液体が含まれていると判定し、プランジャの第44のサイクル中にチャンバ内に空気があると判定し、ライン268の後、図17においてそうであるように、プランジャの第45のサイクル中に空気アラームをオンにし、チャンバ内に空気があることを表す。
【0061】
ここで、図15および図16の方法200がどのように機能するかを実証するために、図17図22の例に当該方法が適用される。効率的にするために、方法220のステップのいくつかのみが下記に説明される。図15および図16の方法220が図17図22の例に適用されると、1および2のプロファイルカウントPCはそれぞれNi=2以下または同じであるため、最初の2つのサイクルC1およびC2がスキップされる。PCが4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいことによって表されるように、3および4のプロファイルカウントPCはそれぞれ無視するためのプランジャの初期サイクルの数(Ni=2)に2を加えた数よりも大きくないため、第3のサイクルC3および第4のサイクルC4のための力プロファイルX(k)は取得されるが、使用されない。第5のサイクルC5においてプロファイルカウントPCが5に達すると、1,673の測定ADCは3,000の流体TPRIの一次閾値よりも小さく、プロファイルカウントPC=5は4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいため、累積基線プロファイルXtが求められる。この時点において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmは、式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して計算され、ここでXt=Xt[最初は0に設定される]+X(k−2)=0+X(5−2)=0+X(3)=X(3)[第3のサイクルの力プロファイルを表す]であり、BS_LN_CNT=BS_LN_CNT[最初は0に設定される]+1=0+1=1である。この式を適用すると、結果として、6点力ベクトルとして表現される基線力プロファイルは、Xm=(0.574252,1.192627,1.990768,2.551261,3.144921,3.823651)になる。その後、方法220は、プランジャの現在のベクトル力プロファイルX(k)、ここでk=5、と、基線力ベクトルとの間の最小距離Dを、式D=min(X(k)−Xm)=min(X(5)−Xm)=min((0.574252,1.192627,1.990768,2.551261,3.144921,3.823651)−(0.601876,1.226866,1.968040,2.542253,3.058266,3.787412))=min((0.574252−0.601876),(1.92627−1.226866),(1.990768−1.968040),(2.551261−2.542253),(3.144921−3.058266),(3.823651−3.787412))=min(0.027624,0.034239,−0.022727,−0.009008,−0.086655,−0.036239)=−0.086655を使用して求める。D=−0.086655はTrate=−0.3よりも大きいため、方法は、現在のサイクル/プロファイルが液体がチャンバ内にあることに関するものであると判定し、基線カウントBS_LN_CNT=1は基線準備変数BS_LN_RDY=5未満または同じであるため、忘却率αを使用した適応的基線は適用されない。
【0062】
第6のサイクルC6について、プロファイルカウントPCは6に増大し、1,740の測定ADCは3,000の流体の一次閾値TPRIよりも小さく、プロファイルカウントPC=6は4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいため、累積基線プロファイルXtが求められる。この時点において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmは、式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して計算され、ここでXt=Xt+X(k−2)であり、BS_LN_CNT=2である。この式を適用すると、結果として、6点力ベクトルとして表現される基線力プロファイルは、Xm=(0.584984,1.234167,1.947920,2.556566,3.103720,3.818871)になる。その後、方法220は、プランジャの現在のベクトル力プロファイルX(k)、ここでk=6、と、基線力ベクトルとの間の最小距離Dを、式D=min(X(k)−Xm)=min(X(6)−Xm)=min((0.600387,1.266444,1.916179,2.547273,3.031686,3.805076)−(0.584984,1.234167,1.947920,2.556566,3.103720,3.818871))=min((0.600387−0.584984),(1.266444−1.234167),(1.916179−1.947920),(2.547273−2.556566),(3.031686−3.103720),(3.805076−3.818871))=min(0.015402,0.032277,−0.031741,−0.009293,−0.072035,−0.013795)=−0.072035を使用して求める。D=0.072035はTrate=−0.3よりも大きいため、方法は、現在のサイクル/プロファイルが液体がチャンバ内にあることに関するものであると判定し、基線カウントBS_LN_CNT=2は基線準備変数BS_LN_RDY=5未満または同じであるため、忘却率αを使用した適応的基線は適用されない。
【0063】
方法が第43のサイクルC43(中間のサイクル計算は、効率的にするためにここでは説明されない)に達すると、プロファイルカウントPCは43に増大し、測定ADCは3,000の流体の一次閾値TPRIよりも小さく、プロファイルカウントPC=43は4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいため、累積基線プロファイルXtが求められる。この時点において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmは、式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して計算され、ここでXt=Xt+X(k−2)であり、BS_LN_CNT=39である。この式を適用すると、結果として、6点力ベクトルとして表現される基線力プロファイルは、Xm=(0.507904,0.882215,1.642329,2.326609,2.893227,3.623199)になる。その後、方法220は、プランジャの現在のベクトル力プロファイルX(k)、ここでk=43、と、基線力ベクトルとの間の最小距離Dを、式D=min(X(k)−Xm)=min(X(43)−Xm)=min((0.521021,0.729376,1.515777,2.249448,2.828867,3.582641)−(0.507904,0.882215,1.642329,2.326609,2.893227,3.623199))=min((0.521021−0.507904),(0.729376−0.882215),(1.515777−1.642329),(2.249448−2.326609),(2.828867−2.893227),(3.582641−3.623199))=min(0.013117,−0.152839,−0.126552,−0.077161,−0.064360,−0.040558)=−0.152839を使用して求める。D=−0.152839はTrate=−0.3よりも大きいため、方法は、現在のサイクル/プロファイルが、液体がチャンバ内にあることに関するものであると判定し、基線カウントBS_LN_CNT=39は基線準備変数BS_LN_RDY=5以上または同じであるため、忘却率αを使用した適応的基線が求められる。適応的基線を計算するために忘却率α=0.100000を適用する結果として、適応的基線Xm=Xm(1−α)+αX(k)=(0.509216,0.866931,1.629673,2.318893,2.886791,3.619144)となる。
【0064】
方法が第44のサイクルC44に達すると、プロファイルカウントPCは44に増大し、測定ADCは3,000の流体の一次閾値TPRIよりも小さく、プロファイルカウントPC=44は4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいため、累積基線プロファイルXtが求められる。この時点において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmは、式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して計算され、ここでXt=Xt+X(k−2)であり、BS_LN_CNT=40である。この式を適用すると、結果として、6点力ベクトルとして表現される基線力プロファイルは、Xm=(0.509216,0.866931,1.629673,2.318893,2.886791,3.619144)になる。その後、方法220は、プランジャの現在のベクトル力プロファイルX(k)、ここでk=44、と、基線力ベクトルとの間の最小距離Dを、式D=min(X(k)−Xm)=min(X(44)−Xm)=min((0.616675,0.690732,0.974907,1.446447,2.064309,3.097704)−(0.509216,0.866931,1.629673,2.318893,2.886791,3.619144))=min((0.616675−0.509216),(0.690732−0.866931),(0.974907−1.629673),(1.446447−2.318893),(2.064309−2.886791),(3.097704−3.619144))=min(0.107459,−0.176199,−0.654767,−0.872446,−0.822482,−0.521439)=−0.872446を使用して求める。D=−0.872446はTrate=−0.3よりも大きくないため、方法は、現在のサイクル/プロファイルが、空気がチャンバ内にあることに関するものであると判定し、NwカウントをNw count+1=0+1=1に増分する。
【0065】
方法が第45のサイクルC45に達すると、プロファイルカウントPCは45に増大し、測定ADCは3,000の流体の一次閾値TPRIよりも小さく、プロファイルカウントPC=45は4(Ni+2=2+2=4)よりも大きいため、累積基線プロファイルXtが求められる。この時点において、6点ベクトルとして表現される基線力プロファイルXmは、式Xm=Xt/BS_LN_CNTを使用して計算され、ここでXt=Xt+X(k−2)であり、BS_LN_CNT=41である。この式を適用すると、結果として、6点力ベクトルとして表現される基線力プロファイルは、Xm=(0.509216,0.866931,1.629673,2.318893,2.886791,3.619144)になる。その後、方法220は、プランジャの現在のベクトル力プロファイルX(k)、ここでk=45、と、基線力ベクトルとの間の最小距離Dを、式D=min(X(k)−Xm)=min(X(44)−Xm)=min((0.613084,0.674059,0.891756,1.421075,1.990083,2.859728)−(0.509216,0.866931,1.629673,2.318893,2.886791,3.619144))=min((0.613084−0.509216),(0.674059−0.866931),(0.891756−1.629673),(1.421075−2.318893),(1.990083−2.886791),(2.859728−3.619144))=min(0.103868,−0.192872,−0.737917,−0.897818,−0.896708,−0.759415)=−0.897818を使用して求める。D=−0.897818はTrate=−0.3よりも大きくないため、方法は、現在のサイクル/プロファイルが、空気がチャンバ内にあることに関するものであると判定し、NwカウントをNw count+1=1+1=2に増分し、FlagDelta=1に設定し、空気がチャンバ内にあることを示す空気アラームをシグナリングする。
【0066】
図15および図16の方法は、様々な流速についての多数のデータセットを分析するために実施された。試験の結果、偽陰性は発生しなかった。
【0067】
図23は、本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法280の一実施形態の流れ図を示す。方法280は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法280に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってポンプの停止がトリガされ得る。その上、方法280は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよく、これらの各々はプロセッサと電子的に通信している。他の実施形態において、方法280は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0068】
ステップ282において、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて、流体を含むチャンバに対して動かされる。ステップ284において、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力を検出するためにセンサが使用される。ステップ286において、力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。ステップ288において、プロセッサは、(1)基線力プロファイル、(2)チャンバに対してプランジャに作用する現在の力を表す現在の力プロファイル、(3)現在の力プロファイルと基線力プロファイルとの間の差、および(4)計算された差が閾値を超える場合にチャンバが空気を含むと判定する。ステップ290において、チャンバが空気を含むとプロセッサが判定すると、プロセッサがアラームをオンにする。ステップ290は、アラームがオンにされたときにポンプを停止することをさらに含んでもよい。
【0069】
一実施形態において、基線力プロファイルは、チャンバに流体が充填されていることを表す。別の実施形態において、プロセッサは、チャンバに対するプランジャのサイクルにわたって複数のプランジャ位置において力測定値をとることによって、基線力プロファイルを求める。追加の実施形態において、プロセッサは、チャンバに対するサイクルにわたって複数のプランジャをとられる力測定値を平均することによって、基線力プロファイルを求める。また別の実施形態において、プロセッサは、チャンバに対するプランジャの現在のサイクル中にプランジャに作用する現在の力プロファイルをさらに考慮に入れることによって、基線力を求める。
【0070】
また別の実施形態において、プロセッサはさらに、更新された基線力プロファイルのいずれの部分が平均または推定基線力測定値から構成されるか、および、更新された基線力プロファイルのいずれの部分が現在の力プロファイルから構成されるかを制御する忘却率、移動平均またはカルマンフィルタを適用する。追加の実施形態において、プロセッサは、チャンバに対するプランジャの現在のサイクルにわたって複数のプランジャ位置において力測定値をとることによって、現在の力プロファイルを求める。別の実施形態において、プロセッサは、基線力プロファイルのそれぞれの複数の点に対する現在の力プロファイルの複数の点の間のそれぞれの差を計算し、それぞれの差の最小差またはそれぞれの差の絶対最大差を求めることによって、現在の力プロファイルと基線力プロファイルとの間の差を計算する。追加の実施形態において、プロセッサは、最小差が閾値よりも小さいときにチャンバが空気を含むと判定する。また別の実施形態において、プロセッサは、計算された差が閾値を下回るときにチャンバが空気を含むと判定する。他の実施形態において、方法280のステップのいずれかは変更されてもよく、続けられなくてもよく、または1つもしくは複数の追加のステップが追加されてもよい。
【0071】
図24は、プランジャ力プロファイルの形状に基づいて空気がポンプのチャンバ内に含まれるか否かを判定するための、本開示に基づく連続した流れ図を含む、方法300の一実施形態を示す。方法300は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法300に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってポンプの停止がトリガされ得る。その上、方法300は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよい。他の実施形態において、方法300は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0072】
ステップ302において、方法300が開始する。ステップ302の後、方法はロケーションステップ304を通りステップ306に進む。ステップ306において、チャンバのプランジャの1サイクルにわたる力プロファイルがセンサを使用して取得される。一実施形態において、ボックス308に示されているように、サンプリング周波数は62.5Hzであってもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ306の後、方法はステップ310に進み、位置に関して均一に増分しながら、または特定の位置においてプランジャのサイクルの力プロファイルを再サンプリングする。一実施形態において、ボックス312に示されているように、再サンプリングは、角度のセットにわたって行われてもよく、一次、二次または三次補間を使用して実行されてもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ310の後、方法はステップ314に進み、角度のサブセット(すなわち、1つまたは複数の範囲)を選択する。一実施形態において、ボックス316に示されているように、角度のサブセットは、注入流量に基づく角度の範囲を含んでもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ314の後、方法はステップ318に進み、微分を計算する。一実施形態において、ボックス320に示されているように、このステップは平滑化演算を同時に適用することを含んでもよい。他の実施形態において、このステップは、様々なパラメータを適用することを含んでもよい。ステップ306〜318は、取得および前処理ステップを含む。
【0073】
ステップ318の後、方法はステップ322に進み、式S=DMを使用してスコアを計算し、Dは微分を含み、Mは、ボックス324に示されているように、主成分分析を使用して計算される、注入流量によるN個の固有ベクトルのセットを含む。一実施形態において、N=8である。他の実施形態において、スコアは、様々なパラメータを使用して計算されてもよい。ステップ322の後、方法はステップ326に進み、L=SWを計算するために線形確定分析を適用し、ここでLは線形確定結果を表し、Sはスコアを表し、Wは、ボックス328に示されているように、線形確定分析の重みを表す。一実施形態において、ボックス328に示されているように、このステップは注入流量によるクラス平均も含んでもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ326の後、方法はステップ330に進み、線形確定分析の結果に基づいて分類を確定する。このステップは、ボックス328に示されているように、注入流量によるクラス平均も考慮に入れてもよい。ステップ330の後、方法はステップ332に進み、分類に基づいて空気がチャンバ内にあるか否かを判定する。チャンバ内に空気が含まれているとステップ332が判定する場合、方法はステップ334に進み、空気アラームを発し、その間、ポンプは停止されてもよい。分類に基づいてチャンバ内に空気がないとステップ332が判定する場合、方法はロケーションステップ304に戻る。
【0074】
代替的な実施形態において、ステップ322およびステップ326の代わりに、ボックス336に示すように、式L=D(MW)−DPを使用して線形確定分析が実行されてもよく、ここでP=MWであり、変数は上記で説明されたものと同一である。別の代替的な実施形態において、ステップ306〜ステップ318の代わりに、前処理ステップ338、340、342、344、および346が続けられてもよい。ステップ338において、チャンバのプランジャの1サイクルにわたるプランジャの力プロファイルがセンサを使用して取得される。一実施形態において、ボックス308に示されているように、サンプリング周波数は62.5Hzであってもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ340において、ローパスフィルタが適用される。ステップ342において、再サンプリングが行われる。一実施形態において、ボックス312に示されているように、再サンプリングは角度のセットにわたって行われてもよい。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ344において、範囲限界が適用される。一実施形態において、ボックス316に示されているように、角度のサブセットは、注入流量に基づく角度の範囲を含む。他の実施形態において、様々なパラメータが使用されてもよい。ステップ346において、差が計算される。一実施形態において、この差は、力プロファイルの点における差を求めることを含んでもよい。他の実施形態において、この差は、様々なパラメータを使用してもよい。
【0075】
図25は、流体348、空気350、および遷移352の各々の代表的な点を含む空気センサデータをプロットしたグラフを示す。Y軸はセンサによって測定されるチャンバの流体のADCカウントを表し、X軸はサンプル数を表す。グラフは、合計10回の実行にわたるサンプル数に対する、観測される空気センサADC読み値を提供する。各実行は、流体から空気への遷移によって終了する。流体読み値(ハッチング印)348は、空気に関連付けられる読み値(中白印)350から明瞭に区別される。空気から流体への遷移領域に近いか、またはその上にある点は、中黒印352によってマークされる。
【0076】
図26は、流体348、空気350、および遷移352の各々の、図25の実施形態に対応するプランジャに対する力平均プロファイルをプロットしたグラフを示す。グラフは、図25の3つの状態(流体348、空気350、および遷移352)に関連付けられる平均力の系統的な差を実証している。Y軸は力を表し、X軸はプランジャを駆動するモータの角度位置を表す。
【0077】
図27は、流体348、空気350、および遷移352の各々の、図26および図28の実施形態に対応するプランジャに関する力プロファイルの微分をプロットしたグラフを示す。Y軸は力の微分を表し、X軸はプランジャを駆動するモータの角度位置を表す。グラフは、図28の3つの状態の間の系統的な差が、一次微分を適用することによって増強され、メカニズム特有の変動から区別され得ることを実証している。
【0078】
図28は、2ミリリットル毎時の注入流量において代表的な点をプロットするために主成分分析を適用しているグラフを示し、ハッチング印は流体点348を表し、中白印は空気350に関連付けられる点を表し、中黒印は遷移(不確定)点352を表す。Y軸はスコア4を表し、X軸はスコア2を表す。グラフに提供されている二次元ビューは、複数のアクチュエータ、流体、およびセットにわたる良好な分離を実証している。
【0079】
図29は、流体348、空気350、および遷移352の各々の代表的な点を含む空気センサデータをプロットしたグラフを示す。Y軸はセンサによって測定されるチャンバの流体のADCカウントを表し、X軸はサンプル数を表す。グラフは、合計10回の実行にわたるサンプル数に対する、観測される空気センサADC読み値を提供する。各実行は、流体から空気への遷移によって終了する。流体読み値(ハッチング印)348は、空気に関連付けられる読み値(中白印)350から明瞭に区別される。空気から流体への遷移領域に近いか、またはその上にある点は、中黒印352によってマークされる。
【0080】
図30は、流体348、空気350、および遷移352の各々の、図32の実施形態に対応するプランジャに対する力平均プロファイルをプロットしたグラフを示す。グラフは、図29の3つの状態(流体348、空気350、および遷移352)に関連付けられる平均力の系統的な差を実証している。Y軸は力を表し、X軸はプランジャを駆動するモータの角度位置を表す。
【0081】
図31は、流体348、空気350、および遷移352の各々の、図30および図32の実施形態に対応するプランジャに関する力プロファイルの微分をプロットしたグラフを示す。Y軸は力の微分を表し、X軸はプランジャを駆動するモータの角度位置を表す。グラフは、図32の3つの状態の間の系統的な差が、一次微分を適用することによって増強され、メカニズム特有の変動から区別され得ることを実証している。
【0082】
図32は、1,000ミリリットル毎時の注入流量において代表的な点をプロットするために主成分分析を適用しているグラフを示し、ハッチング印は流体点348を表し、中白印は空気350に関連付けられる点を表し、中黒印は遷移(不確定)点352を表す。Y軸はスコア4を表し、X軸はスコア2を表す。グラフに提供されている二次元ビューは、複数のアクチュエータ、流体、およびセットにわたる良好な分離を実証している。
【0083】
図33は、本注入システムのチャンバ内の空気を検出するための方法360の一実施形態の流れ図を示す。方法360は、図1の薬剤送達注入システム100を使用して実施されてもよく、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされ、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力をセンサが検出し、プロセッサが、センサによってとられる力測定値を処理し、方法360に示されているアルゴリズムを使用してチャンバ内に空気が含まれているか否かを判定するために持続性メモリ内に記憶されているプログラミングコードを実行し、チャンバ内に空気が含まれているとプロセッサが判定した場合にアラームがオンになり、これによってポンプの停止がトリガされ得る。その上、方法360は、プランジャまたはセンサの作動のタイミングをとるために図1の薬剤送達注入システム100のクロックを利用してもよく、プランジャの位置を求めるために位置センサを使用してもよく、これらの各々はプロセッサと電子的に通信している。他の実施形態において、方法360は、方法を実施するために様々な構成要素を利用してもよい。
【0084】
ステップ362において、プランジャがアクチュエータデバイスを用いて流体を含むチャンバに対して動かされる。ステップ364において、プランジャがチャンバに対して動くときにプランジャに作用する力を検出するためにセンサが使用される。ステップ366において、力の測定値が、センサからプロセッサへと電子的に通信される。ステップ368において、プロセッサは、(1)センサによって検出された力プロファイルを前処理し、(2)力プロファイルから特徴を抽出し、(3)力プロファイルの抽出された特徴に基づいて、力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類する。ステップ370において、チャンバが空気を含むとプロセッサが判定すると、プロセッサがアラームをオンにする。ステップ370は、アラームがオンにされたときにポンプを停止することをさらに含んでもよい。
【0085】
一実施形態において、プロセッサは、基線力プロファイルに正規化するための信号正規化を適用することなく、力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類する。別の実施形態において、プロセッサはさらに、力プロファイルを基線力プロファイルに対して正規化するために信号正規化を適用する。追加の実施形態において、プロセッサは、力プロファイルを取得すること、角度のセットについて力プロファイルを再サンプリングすること、力プロファイルに対する角度のサブセットを選択すること、および、角度のサブセットにおける力プロファイルに基づいて力プロファイルの微分を計算することによって、センサによって検出された力プロファイルを前処理する。また別の実施形態において、プロセッサは、力プロファイルを取得すること、力プロファイルにローパスフィルタを適用すること、角度のセットについて力プロファイルを再サンプリングすること、力プロファイルに範囲限界を適用すること、および、力プロファイルの差を計算することによって、センサによって検出された力プロファイルを前処理する。
【0086】
別の実施形態において、プロセッサは、力プロファイルのスコアを計算すること、または、力プロファイルに線形判別分析を適用することのうちの少なくとも一方によって、力プロファイルから特徴を抽出する。また別の実施形態において、プロセッサは、力プロファイルの微分に固有ベクトルのセットを乗算することによって力プロファイルのスコアを計算し、スコアに重みを乗算することによって線形判別分析を適用する。追加の実施形態において、プロセッサは、式L=D(MW)−DWを使用して力プロファイルから特徴を抽出し、ここでLは線形判別分析であり、Dは微分であり、Mは固有ベクトルのセットであり、Wは重みである。別の実施形態において、プロセッサは、力プロファイルに適用される線形判別分析の平均に基づいて、力プロファイルを空気力プロファイルまたは液体力プロファイルとして分類する。他の実施形態において、方法360のステップのいずれかは変更されてもよく、続けられなくてもよく、または追加のステップが追加されてもよい。
【0087】
別の実施形態において、力プロファイルの特徴は、好ましくは変位または位置に対する力の変化に基づいて求められるが、時間にも基づいて計算されてもよい。特徴は、空気の存在、または分かっていることが所望される他の条件に関連付けられるプロファイルの特性である。たとえば、特徴は、主成分分析(PCA)のような抽出因子分析からのスコア、力プロファイルのピーク振幅、力プロファイルの時間または位置に関する位相シフト、位置に関する一次微分の最大または最小値、空気および流体を表す例示的なプロファイルとの力プロファイルの相関係数、観測されているプロファイルとテンプレートプロファイルのセットとの間の距離(たとえば、ユークリッドまたはマハラノビス距離)、力プロファイル内の1つまたは複数の点または平均化領域の間の比および/または差、力プロファイルと追加のセンサ読み値(たとえば、近位および遠位圧力)間の相関、力プロファイルの平均からの分散、ならびに、力プロファイルの平均からの差を含んでもよい。
【0088】
加えて、特徴は、力プロファイルまたは力プロファイルの微分と予測値との間の差を表す残差のセットとして見られてもよい。予測値は、カルマンフィルタリングのような適応的フィルタリングを使用して、または、移動もしくは指数的に重み付けされた移動平均として求められてもよい。この方式において、経時的に特定の位置において観測される力プロファイルを表すチャネルのセットが規定される。1つまたは複数のチャネルは、モデル、平均プロファイル、および/または問題のあるネットワークに基づくそれらの予測レベルの変化を検出するために、経時的な分析を受ける。残差レベルが所定の閾値を超えるか、または、空気/流体遷移の確率が設定レベルを超えて増大するかのいずれかの場合、ポンピングチャンバでの空気が示される。
【0089】
微分ベースのアルゴリズムの場合、代替的な実施形態は、上述されたような一連のチャネルを含む。各チャネルは、移動平均、スパイク除去フィルタおよび/またはローパスフィルタを使用して経時的に別個にフィルタリングされる。これは、経時的に変化する複数の信号を提供する。このとき、信号のセットは、前述されたような事象検出および変化確認方法を使用して変化検出が行われる微分ベースのアルゴリズムを受ける。各チャネルが流体チャンバステータスの指示を提供するため、インジケータを組み合わせるための方法が採用され、1つの最終的なインジケータを提供する。好ましい方法は、空気に最も関連付けられる読み値を提供するチャネルを常に利用することである。たとえば、これは、高い微分および経時的な最も大きい変化を経験したチャネルを含んでもよい。代替的に、投票アルゴリズム、ファジー理論、決定木、サポートベクターマシンまたはベイズネットワークを使用して、信号の集約を行うことができる。
【0090】
別の実施形態において、上述した複数のチャネルは、N次カルマンフィルタを受け、予測値からの残差を生成するのに使用されてもよい。残差がプリセット閾値を超えるとき、変化が検出される。他の実施形態において、他の方法が利用されてもよい。
【0091】
図34は、アルゴリズムセンサと、ライン内空気またはチャンバ内の空気の指示を生成するのに使用され得る先見的情報との組合せを示すベイズネットワークの流れ図を示す。たとえば、以下の空気デバイス、試験、またはアルゴリズム、すなわち、最近の近位圧力の変化386、最近の力事象インジケータ388、形状インジケータ390、フロスインジケータ(たとえば、分散)392、揺動バブルインジケータ394、空気センサインジケータ396、最近の空気センサインジケータ398、固着液滴インジケータ400、遠位圧力の変化402、流速404、または流体タイプ406のいずれかが、空気アラーム384を発するためにライン内空気380またはチャンバ382内の空気を特定するために種々の数または重みにおいて個々にまたはまとめて利用されてもよい。これらの異なる試験とともに、以下の特許および特許出願、すなわち、米国特許第7,981,082号明細書、米国特許出願第61/460,766号明細書、および米国特許出願第61/525,587号明細書が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。参照特許によって組み込まれる、リストされているもののいずれかのシステム、方法、およびアルゴリズム/試験は、本開示のシステム、方法、およびアルゴリズム/試験とともに利用されてもよい。たとえば、本明細書に説明されているような空気インジケータまたは空気アラームは、他のセンサからのアラームを制限し、それによって不快なアラームの確率を低減するのに使用されてもよい。
【0092】
本開示の1つまたは複数のシステム/方法は、注入デバイスのライン内の空気を、多くの現行のシステムおよび方法よりも正確に検出する。本開示の1つまたは複数のシステム/方法は、空気検出システムの信頼性を向上させるために、注入システム内の空気を検出するための既存のシステム/方法と組み合わされてもよい。本開示は、既存の空気検出システム/方法の信頼性を向上させるために、力センサ信号の出力を1つまたは複数の空気センサと組み合わせることを可能にする。そうすることにおいて、開示されるシステム/方法は、追加のハードウェア変更を必要とせず、代わりに、取得される力信号を活用する。加えて、本開示は、空気検出のための既存のソフトウェアモジュールを置き換えることを必ずしも必要とせず、既存の空気検出システムおよび方法のロバスト性を向上させるために、追加の安全性層を追加する。
【0093】
無論、上記は本開示の例示的な実施形態に関係すること、および、添付の特許請求の範囲に記載されているような本開示の範囲から逸脱することなく変更を行うことができることは理解されたい。
図1
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