(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールの分子量が、ASTM D4274規格に準拠した測定値で、300〜1,000g/モルである、潤滑剤組成物。
請求項1または2に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールの100℃における動粘度が、ASTM D445規格に準拠した測定値で、1〜12cStである、潤滑剤組成物。
請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、3〜15%含有する、エンジン用潤滑剤組成物。
請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、粘度指数向上ポリマーが、オレフィンコポリマー、エチレン/αオレフィンコポリマー、スチレン/オレフィンコポリマーおよびポリアクリレートの各単体または2種以上の混合物から選択される、エ潤滑剤組成物。
請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、粘度指数向上ポリマーを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜15%含有する、潤滑剤組成物。
請求項1から6のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、該潤滑剤組成物が、さらに、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、潤滑剤組成物。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンのエネルギー効率や燃料消費低減に対する関心が高まっている。この点に関しては、車両に使用されるエンジン用潤滑剤が重要な役割を果たすことが知られている。
【0003】
「燃料エコ」な潤滑剤、すなわち、低燃費潤滑剤を処方するために、潤滑剤基油の粘度を工夫することが知られている。また、粘度指数(VI)向上ポリマーや摩擦調整剤(FM)を配合することも知られている。しかし、粘度指数向上ポリマーには、潤滑剤組成物のエンジン清浄化力を低下させるという短所がある。今日のエンジンは熱負荷が大きいので、大量のデポジット現象が起きる。デポジットは、燃焼室近傍に位置し、高温となる部品において、潤滑剤が化学的に変換することに起因して生じる。
【0004】
そのため、少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーを含み、ガソリン車両またはディーゼル車両の良好なエンジン清浄性をもたらすと共に燃料消費を抑えることも可能な潤滑剤が所望されている。
【0005】
本発明は、新規の添加剤化合物を潤滑剤組成物に配合することにより、エンジン清浄性に関して良好な特性を有する潤滑剤組成物の処方を可能とすることを目的とする。この目的は、少なくとも1種のブチレンオキシドを含む炭素数3〜8のアルキレンオキシド類を単独重合又は共重合させることによって得られる少なくとも1種のポリアルキレングリコールを、潤滑剤組成物中に配合することにより達成される。本出願人は、そのようなポリアルキレングリコールを添加剤として配合することにより、驚くべきことに、エンジン清浄性に関して良好な性質を備えた潤滑剤組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明はまた、良好なエンジン清浄性を備えると共に良好な「燃料エコ」特性も有する潤滑剤組成物を処方することを目的とする。
【0007】
この目的は、エンジン用、特に、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン用の潤滑剤組成物として、少なくとも1種のブチレンオキシドを含むアルキレンオキシド類を単独重合又は共重合させることによって得られるポリアルキレングリコールと、少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーとの特定の組合せを含む潤滑剤組成物を用いることにより達成される。
【0008】
プロピレンオキシドとブチレンオキシドとのコポリマーは、特許文献1から知られている。プロピレンオキシドとブチレンオキシドとのコポリマーは、潤滑剤の処方に用いられるグループ1〜4の基油に対して可溶性を示す。
【0009】
特許文献2には、デポジット形成傾向が低いエンジンオイル組成物が記載されており、この組成物は、少なくとも1種の基油と、下記の式(I)で表される少なくとも1種のアルキルアルコキシレートとを含むものである。
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、互いに独立して、水素原子または炭素数40以下の炭化水素基であり、R
4は、水素原子、メチル基またはエチル基であり、Lはリンカー基であり、nは4〜40の整数であり、Aは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドから誘導された2〜25個の繰返し単位を有し且つ該繰返し単位の単独重合部または該繰返し単位のうちの少なくとも2種類によるランダム共重合部を含むアルコキシ基であり、zは1または2である。)
【0012】
しかし、特許文献2には、ブチレンオキシドとプロプレンオキシドとのコポリマーであり且つブチレンオキシドとプロピレンオキシドの質量比を本発明の数値範囲内とした少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含む潤滑剤組成物は開示されていない。さらに、特許文献2には、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を増やすことなくエンジン清浄性を向上させるために、特定のポリアルキレングリコールを使用することも記載されていない。
【0013】
特許文献3には、自動車エンジンのピストン清浄性を向上させるために、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーと、フェノール類又はビスフェノールA及び少なくとも1種のブチレンオキシド又はブチレン/プロピレンオキシドの少なくとも1種の反応生成物とを含む、エンジンオイルが開示されている。しかし、特許文献3には、本発明にかかる潤滑剤組成物は開示されていない。また、特許文献3には、エンジン清浄性を向上させると共に燃料消費を減少させるために、本発明において定義されるポリアルキレングリコールを潤滑剤組成物中において使用することも開示されていない。
【0014】
良好な「燃料エコ」特性と良好な清浄性とを同時に得るには、潤滑剤組成物中のポリアルキレングリコールの量を、その潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1%以上30%未満に設定する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、エンジン用潤滑剤組成物であって、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーと、少なくとも1種のブチレンオキシドを含む炭素数3〜8のアルキレンオキシド類を単独重合又は共重合させることによって得られる少なくとも1種のポリアルキレングリコールとを含み、前記ポリアルキレングリコールの含有量が、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜28%である、エンジン用潤滑剤組成物に関する。
【0017】
好ましくは、ポリアルキレングリコールは、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーである。
【0018】
好ましくは、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドの質量比は3:1〜1:3、より好ましくは3:1〜1:1である。
【0019】
好ましくは、ポリアルキレングリコールの分子量は、ASTM D4274規格に準拠した測定値で、300〜1000g/モル、より好ましくは500〜750g/モルである。
【0020】
好ましくは、ポリアルキレングリコールの100℃における動粘度は、ASTM D445規格に準拠した測定値で、1〜12cSt、より好ましくは3〜7cSt、さらに好ましくは3.5〜6.5cStである。
【0021】
好ましくは、前記潤滑剤組成物は、ポリアルキレングリコールを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、2〜20%、より好ましくは3〜15%、さらに好ましくは5〜12%、なおいっそう好ましくは6〜10%含有する。
【0022】
好ましくは、粘度指数向上ポリマーは、オレフィンコポリマー、エチレン/αオレフィンコポリマー、スチレン/オレフィンコポリマーおよびポリアクリレートから選択される各単体または2種以上の混合物である。
【0023】
好ましくは、前記潤滑剤組成物は、粘度指数向上ポリマーを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜15%、より好ましくは2〜10%、さらに好ましくは3〜8%含有する。
【0024】
好ましくは、前記潤滑剤組成物は、さらに、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む。
【0025】
一実施形態において、前記潤滑剤組成物は、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、
40〜80%の基油と、
少なくとも1種のブチレンオキシドを含む炭素数3〜8のアルキレンオキシド類を単独重合又は共重合させることによって得られるポリアルキレングリコールを1〜28%と、
1〜15%の粘度指数向上ポリマーと、
1〜15%の、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤の各単体または2種以上の混合物から選択される添加剤と、
から構成され、これら構成成分の合計が100%になる、組成物である。
【0026】
本発明は、さらに、前述のように定義された潤滑剤組成物の、軽量車両のエンジンまたは重量車両のエンジン、好ましくはガソリン軽量車両のエンジンまたはディーゼル軽量車両のエンジンを潤滑するための使用に関する。
【0027】
本発明は、さらに、潤滑剤組成物中における、少なくとも1種のブチレンオキシドを含む炭素数3〜8のアルキレンオキシド類を単独重合又は共重合させることによって得られる少なくとも1種のポリアルキレングリコールの、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を増やすことなくエンジン清浄性を向上させるための使用に関し、好ましくはガソリンまたはディーゼル燃料の消費を減少させることによってエンジン清浄性を向上させるための使用に関する。
【0028】
好ましくは、前記使用は、エンジン清浄性、特にピストン清浄性を向上させるための使用である。
【0029】
本発明の他の主題は、エンジンの少なくとも1つの機械部品を潤滑する方法であって、少なくとも1種の前記潤滑剤組成物を該機械部品と接触させる過程を少なくとも含む、エンジンの機械部品の潤滑方法である。
【0030】
本発明において、エンジン清浄性を向上させるとは、デポジット形成を減少させること、特に、エンジン部品(例えば、ピストンリング溝の底やターボチャージャーのシャフト等)の高温表面上に形成される、光沢模様(vernis)、ラッカリング(laques)、カーボン堆積物、コーク堆積物等の、高温でのデポジット形成を減少させることを意味する。潤滑剤組成物の分子は、エンジンの高温表面に接触すると酸化され、不溶物を生じてデポジットを形成する。このようなデポジットがエンジンの動きを妨げることにより、例えば、摩耗や焼付きの問題、ピストンリングの動作不良(gommage)の問題、ターボチャージャーの回転における問題などが発生する。一般的には、エンジン清浄性を向上させるために清浄剤系の添加剤を利用する。本出願人は、エンジン清浄性を向上させるために他の種類の添加剤を利用することを提案する。本発明にかかる潤滑剤組成物は、エンジン清浄性の問題、特に、前述したようなデポジット形成の問題を解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(ポリアルキレングリコール)
本発明にかかる組成物中において使用されるポリアルキレングリコールは、エンジンオイル中で使用するのに適した特性を備えている。このようなポリアルキレングリコールは、アルキレンオキシド類によるポリマーおよび/または(ランダムおよび/またはブロック)コポリマーであり、例えば国際公報第2009/134716号の第2頁第26行〜第4頁第12行に記載される既知の方法のように、アルキレンオキシドのエポキシ結合をアルコール系開始剤で攻撃して生長反応を進行させることにより調製することができる。
【0032】
本発明にかかる組成物のポリアルキレングリコール(PAG)は、以下の一般式(A)で表される:
【0034】
式中、Y
1およびY
2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30の炭化水素基(例えば炭素数1〜30のアルキル基、アルキルフェニル基など)であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、1〜nの、少なくとも1個の整数であり、R
2x−1基およびR
2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)である。
【0035】
好ましくは、R
2x−1基およびR
2x基は、直鎖状基である。
【0036】
好ましくは、R
2x−1基およびR
2x基の少なくとも一方は、水素原子である。
【0037】
好ましくは、R
2x基が、水素原子である。
【0038】
R
2x−1基の炭素数とR
2x基の炭素数との合計は1〜6であってもよい。
【0039】
少なくとも1個のxにつき、R
2x−1基の炭素数とR
2x基の炭素数との合計は2であってもよい。これに対応するアルキレンオキシドモノマーはブチレンオキシドである。
【0040】
本発明にかかる組成物中のPAGの調製に用いられるアルキレンオキシドの炭素数は3〜8である。このPAGの構造内に組み込まれるアルキレンオキシドの少なくとも一個はブチレンオキシドであり、該ブチレンオキシドは1,2−ブチレンオキシドおよび/または2,3−ブチレンオキシドであり、好ましくは1,2−ブチレンオキシドである。
【0041】
実際、エチレンオキシドを一部に又は全体に用いて調製されたPAGでは、エンジンオイル処方物中で用いる上で十分な親油性を備えていない。具体的に述べると、そのようなPAGは、鉱物基油や合成基油や天然基油と組み合わせて使用することができない。
【0042】
また、炭素数9以上のアルキレンオキシドは、エンジン用途を目的とした分子量および粘度グレードを有する基剤の調製に用いるには望ましくない。これを用いると、モノマーの数が減り(前述した式(A)中のnが減り)、さらに、R
2x−1側鎖およびR
2x側鎖が長くなる。このような場合、PAG分子全体の線形的性質が損なわれてしまい、エンジンオイル用途としては粘度指数(VI)が低くなり過ぎてしまう。
【0043】
好ましくは、ポリアルキレングリコールは、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーであり、かつ、ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(より好ましくは3:1〜1:1)であり、さらに、下記の一般式(A)で表されるポリアルキレングリコールである。
【0045】
式中、Y
1およびY
2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、1〜nの、少なくとも1個の整数であり、R
2x−1基およびR
2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R
2x−1基の炭素数とR
2x基の炭素数との合計は2である。
【0046】
好ましくは、本発明にかかるPAGの粘度指数VIは、(NFT 60136規格に準拠した測定値で)100以上、より好ましくは120以上である。
【0047】
本発明にかかるPAGは、該PAGに十分な親油性、したがって、合成基油や鉱物基油や天然基油に対する良好な溶解性、さらに、エンジンオイルに必要不可欠な特定の添加剤との良好な相溶性を付与するために、少なくとも1種のブチレンオキシドを含むアルキレンオキシド類から得られたものとされる。
【0048】
特に好ましいPAGは、ブチレンオキシド(BO)とプロピレンオキシド(PO)とのコポリマーである。なぜなら、そのようなコポリマーは、エチレンオキシド単位を含むPAGやポリプロピレンが示す優れたトライボロジー特性及びレオロジー特性の両方を備えているだけでなく、一般的な鉱物基油や合成基油や天然基油やその他の油性化合物に対する良好な溶解性も具備しているからである。
【0049】
特許文献1の段落[0011]〜[0014]には、そのようなブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのPAGコポリマーの調製方法、性質および特性(特に、基油に対する溶解性及び混和性)が記載されている。
【0050】
そのようなPAGは、少なくとも1種のアルコールをブチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物と反応させることによって調製することができる。
【0051】
本発明にかかる組成物中において使用されるPAGにおいては、好ましくは、鉱物基油や合成基油や天然基油に対する優れた可溶性及び優れた混和性を該PAGに付与するために、ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比を3:1〜1:3としたブチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物を用いてPAGを調整することが好ましい。なかでも、ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比を3:1〜1:1とした混合物を用いて調製されたPAGが、グループ4の合成基油(ポリαオレフィン)も含め、基油に対して極めて優れた混和性及び溶解性を示す。
【0052】
好ましい一実施形態において、本発明にかかる組成物中のPAGは、炭素数8〜12のアルコールを用いて調製されたものである。2−エチルヘキサノールおよびドデカノールの各単体または混合物の使用がさらに好ましく、なかでも、ドデカノール単体の使用が特に好ましい。なぜなら、そのようなアルコールを用いて調製されたPAGは、トラクション係数が極めて低いからである。
【0053】
好ましい一実施形態において、本発明にかかるPAGは、炭素:酸素のモル比が3:1以上、より好ましくは3:1〜6:1である。このようなPAGは、エンジンオイル用途に特に適した極性及び粘度指数特性を備えている。
【0054】
好ましくは、本発明にかかるPAGのASTM D2502規格に基づく分子量は、300〜1000g/モル、より好ましくは350〜600g/モルである(これが、前述した式(A)中のアルキレンオキシド単位nの数に制限を設ける理由である)。
【0055】
好ましくは、本発明にかかるPAGのASTM D4274規格に基づく分子量は、300〜1000g/モル、より好ましくは500〜750g/モルである。
【0056】
このようなPAGは、100℃における動粘度(KV100)が、一般的に1〜12cStとなり、好ましくは3〜7cStとなり、より好ましくは3.5〜6.5cSt、4〜6cStまたは3.5〜4.5cStとなる。前記組成物のKV100は、ASTM D445規格に準拠した測定値で表す。
【0057】
好ましくは、SAEJ300分類で低温グレードが5Wまたは0Wとなるマルチグレードオイルを容易に処方できるように、軽質PAG(KV100が約2〜約6.5cStであるPAG)が使用される。なぜなら、重質PAGでは、その低温特性(高いCCS)により、そのようなグレードを容易に達成することができないからである。
【0058】
(潤滑剤組成物)
本発明の他の主題は、エンジン用の潤滑剤組成物、特に、ガソリンエンジン用またはディーゼルエンジン用の潤滑剤組成物であって、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーと、少なくとも1種の前述のように定義されるポリアルキレングリコールとを含み、該ポリアルキレングリコールの含有量が、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜28%となる、エンジン用潤滑剤組成物である。ポリアルキレングリコールの含有量が1質量%未満の場合には、燃料節約およびエンジン清浄性に関して有意な効果を得ることができない。同様に、ポリアルキレングリコールの含有量が30質量%以上の場合にも、燃料節約およびエンジン清浄性に関して有意な効果を得ることができない。ポリアルキレングリコールの含有量が30質量%以上になると、「燃料エコ」効果が顕著でなくなるか、あるいは、その効果が低下する。
【0059】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、前記ポリアルキレングリコールを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、2〜20%含有し、より好ましくは3〜15%、さらに好ましくは5〜12%、なおいっそう好ましくは6〜10%含有する。燃料エコ特性およびエンジン清浄性の面で、最適な含有量は約8質量%である。
【0060】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、
40〜80%の基油と、
ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(好ましくは3:1〜1:1)となる、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーからなり、下記の一般式(A)で表されるポリアルキレングリコールを1〜28%と、
1〜15%の粘度指数向上ポリマーと、
1〜15%の耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤の各単体または2種以上の混合物から選択される添加剤、
とから構成され、これら構成成分の合計が100%になる、潤滑油組成物である。
【0062】
式中、Y
1およびY
2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、少なくとも1個の1〜nの整数であり、R
2x−1基およびR
2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R
2x−1基の炭素数とR
2x基の炭素数との合計が2である。
【0063】
(粘度指数向上ポリマー)
本発明にかかる組成物中において使用されるポリマー剤は、粘度指数向上ポリマーである。粘度指数向上ポリマーは、当業者にとって周知のポリマーであり、エチレンとαオレフィンとのコポリマー、ポリメタクリレートなどのポリアクリレート、オレフィンコポリマー(OCP)、エチレンとプロピレンとジエンとのコポリマー[エチレンプロピレンジエンモノマーの重合体(EPDM)]、ポリブテン、スチレンとオレフィンとのコポリマー(水添コポリマー及び/又は非水添コポリマー)、ならびにスチレンとアクリレートとのコポリマーからなる群から選択される。
【0064】
好ましくは、前記オレフィンコポリマーは、エチレンとプロピレンとのコポリマーである。この場合のコポリマーは、エチレンを、該コポリマーの総質量に対し、質量%で、20〜80%有していてもよく、好ましくは30〜70%、より好ましくは約50%有している。
【0065】
好ましくは、前記ポリアクリレートは、線形又はくし形で、官能性又は非官能性の、ポリメタクリレートである。官能性のポリメタクリレートは、分散型ポリメタクリレート(PAMAd)とも称される。分散型ポリメタクリレートとは、例えばビニルピロリドン系単位などがグラフト結合しているか又はそのような単位を官能基として有するポリメタクリレートのことを言う。
【0066】
好ましくは、スチレンとオレフィンとの前記コポリマーは、スチレンとブタジエンとのコポリマー(水添コポリマー及び/又は非水添コポリマー)またはスチレンとイソプレンとのコポリマー(水添コポリマー及び/又は非水添コポリマー)である。より好ましくは、そのようなコポリマーは、線形又は星形の、水添コポリマーである。
【0067】
好ましくは、スチレンとイソプレンとの水添コポリマーが使用される。
【0068】
好ましくは、スチレンとイソプレンとの水添コポリマーと、ポリメタクリレート(PMA)との混合物が使用される。
【0069】
好ましくは、スチレンとイソプレンとの水添コポリマー:ポリメタクリレートの質量比は3:1〜1:3であり、より好ましくは1:1である。
【0070】
本発明にかかる潤滑剤組成物は、単体または2種以上の混合物の形態の粘度指数向上ポリマーを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜15%含有していてもよく、好ましくは2〜10%、より好ましくは3〜8%含有する。
【0071】
(基油)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、前記PAGに加えて、少なくとも1種の基油を含み得る。そのような基油は、以下にまとめたAPI分類のグループ1〜5の鉱物由来および合成由来の基油(あるいは、ATIEL分類の等価物)の、各単体または2種以上の混合物とされ得る。また、本発明にかかる潤滑剤組成物中において使用される基油は、ATIEL分類のグループ6の合成由来の基油を少なくとも1種含んでいてもよい。
【0073】
前記基油は、植物由来の基油であっても動物由来の基油であっても鉱物由来の基油(鉱物基油)であってもよい。本発明にかかる組成物中において使用され得る鉱物基油には、原油を常圧蒸留や減圧蒸留した後、溶剤抽出、脱アスファルト、溶剤脱ろう、水添処理、水素化分解・水素化異性化、水素化仕上げ等の精製工程に通すことによって得られるあらゆるタイプの基油が含まれ得る。
【0074】
本発明にかかる組成物中において使用され得る基油は、合成由来の基油(合成基油)であってもよい。そのような合成基油の例としては、カルボン酸とアルコールとの特定のエステル、フィッシャートロプシュワックスの水素化異性化によって得られるGTL基油、ポリαオレフィン、などが挙げられる。ポリαオレフィンを基油として使用する場合、該ポリαオレフィンは、例えば、炭素数4〜32のモノマー(例えば、オクテン、デセン等)に由来するものであり、かつ、100℃における粘度が1.5〜15cStとなるものである。前記ポリαオレフィンは、その重量平均分子量が、典型的に250〜3000である。
【0075】
好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物の100℃における動粘度は、ASTM D445規格に準拠した測定値で、5.6〜16.3cSt(SAEグレード20、30および40)であり、より好ましくは9.3〜12.5cSt(SAEグレード30)である。特に好ましい一実施形態において、本発明にかかる組成物は、SAEJ3000分類でのマルチグレードオイル(グレード5Wまたは0W)である。
【0076】
好ましくは、本発明にかかる組成物の粘度指数(VI)は、(ASTM D2270規格に準拠した測定値で)、130を超えており、より好ましくは150を超えており、さらに好ましくは160を超えている。
【0077】
本発明にかかる潤滑剤組成物は、基油を、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、40〜80%含有していてもよく、好ましくは50〜75%、より好ましくは60〜70%含有する。
【0078】
(さらなる添加剤)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、さらに、その用途に適した、特にエンジンオイルとしての用途、好ましくは自動車エンジン用のエンジンオイルとしての用途に適した、あらゆる種類の添加剤を含んでいてもよい。
【0079】
そのような添加剤は、個別に添加されてもよいし、あるいは、例えばACEA(欧州自動車工業会)などが求める潤滑剤組成物の特定の性能レベルを確保するためのパッケージ添加剤の形態で添加されてもよい。なお、そのような添加剤の例を以下に述べるが、必ずしもこれらに限定されない。
例えば、コハク酸イミド類、PIB(ポリイソブテン)コハク酸イミド類などのコハク酸イミド誘導体、マンニッヒ塩基などの分散剤は、エンジンオイルの使用時に発生する酸化副生成物で構成される不溶性の固体不純物を、懸濁状態に維持し、その除去を確実にする。
酸化防止剤は、使用中のオイルの劣化を遅らせて、オイルの劣化に起因するデポジットやスラッジの形成やオイルの粘度上昇を抑制する。酸化防止剤は、ラジカル抑制剤またはヒドロペルオキシ分解剤として作用する。よく使用される酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤やヒンダードアミノ系酸化防止剤が挙げられる。他の種類の酸化防止剤として、油溶性の銅化合物、例えば、銅チオホスフェート類、銅ジチオホスフェート類、カルボン酸の銅塩、銅ジチオカルバメート類、銅スルホネート類、銅フェネート類、銅アセチルアセトネート類などが挙げられる。コハク酸またはコハク酸無水物の銅(I)塩および銅(II)塩も使用され得る。
耐摩耗剤は、保護対象の摩擦面に吸着されることで保護膜を形成しその表面を保護する添加剤であり、含リン系、含硫黄系、含窒素系、含塩素系、含ホウ素系の化合物などといった様々な種類のものがある。
摩擦調整剤としては、例えば、MoDTC、脂肪アミン、脂肪酸エステル、ポリオールなどの摩擦調整剤。挙げられ、一例として脂肪酸とグリセロールとのエステル、特に、グリセロールモノオレエートが挙げられる。
清浄剤としては、典型的に、スルホネート類、サリチレート類、ナフテネート類、フェネート類、過塩基性カルボキシレート類、中性カルボキシレート類などがある。
その他にも消泡剤、曇り点降下剤、腐食抑制剤などが挙げられる。
【0080】
本発明のさらなる他の主題は、エンジンの少なくとも1つの機械部品を潤滑する方法であって、少なくとも1種の前記潤滑剤組成物を該機械部品と接触させる過程を少なくとも含む、エンジンの機械部品の潤滑方法である。前記機械部品は、特に、ピストンである。
【0081】
本発明にかかる方法により、前記車両の十分なエンジン清浄性と燃料消費の減少とを同時に実現することが可能である。
【0082】
前記潤滑剤組成物について説明した全ての特徴及び好適な構成は、本発明にかかる潤滑方法にも適用できる。
【0083】
本発明のさらなる他の主題は、ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(好ましくは3:1〜1:1)となる、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーからなり、下記の一般式(A)で表される少なくとも1種のポリアルキレングリコールの、潤滑剤組成物中において、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を増やすことなくエンジン清浄性を有利に向上させるための使用、好ましくは、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を減少させることによってエンジン清浄性を有利に向上させるための使用に関する。
【0085】
式中、Y
1およびY
2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、1〜nの、少なくとも1個の整数であり、R
2x−1基およびR
2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R
2x−1基の炭素数とR
2x基の炭素数との合計が2である。
【0086】
前記潤滑剤組成物について説明した全ての特徴及び好適構成は、本発明にかかる少なくとも1種のPAGの使用にも同様に適用できる。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
以下の材料を用いて、対照用の組成物T
1、さらに、組成物L
1と組成物L
2とを調製した:
・基油(グループ3)の混合物;
・パッケージ添加剤(ZnDTP系耐摩耗剤、アミノ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、コハク酸イミド系分散剤およびサリチレート系清浄剤を含む);
・モリブデンジチオカルバメート(MoDTC);
・星形の水添型スチレン/イソプレン(HIS)粘度指数向上ポリマー[(ASTM D5296規格に準拠した測定値で)Mwが498700で、(ASTM D5296規格に準拠した測定値で)Mnが325900で、多分散度が1.5である];
・ビニルピロリドン単位がグラフト結合したポリアルキルメタクリレート(PAMAd)[(ASTM D5296規格に準拠した測定値で)Mwが206900で、(ASTM D5296規格に準拠した測定値で)Mnが75320で、多分散度が2.7である];および
・BO/PO(ブチレンオキシド/プロピレンオキシド)PAG[BO/POの質量比が50/50で、(ASTM D445規格に準拠した測定値で)KV100が6cStで、(ASTM D4274規格に準拠した測定値で)分子量が750g/モルである]。
【0088】
以下の表1に、各成分の割合を質量百分率(%)で表す。基油混合物と、粘度指数向上ポリマーの割合は、潤滑剤組成物T
1、L
1、L
2がいずれも、グレード5W−30に相当する粘度を示すように調整した。
【0089】
【表2】
【0090】
次に、試験用エンジンDW10Cを稼働させて、潤滑剤組成物T
1,L
1,L
2の「燃料エコ」ゲインを測定した。以下に、試験条件を説明する:
【0091】
エンジン速度及び負荷条件を掃引しながら、燃料消費率(specific fuel consumption)を計測する。稼働速度は1000〜2400rpmの範囲で変化させる。エンジン負荷は16〜190Nmの範囲で変化させる。優れた計測再現性を確保するために、エンジンオイルおよび冷却液を、特定の温度(45℃、60℃および75℃)で安定化させる。そして、各温度(point)で、試験対象の潤滑剤の燃料消費率を、5W−30の参照オイルの燃料消費率と比較する。重み付け平均を用いることにより、参照オイルに対する試験対象の潤滑剤の総合ゲインを百分率で表すことができる。後述の表2に、グレード5W−30の参照オイルに対する潤滑剤組成物T
1、L
1、L
2のゲイン(燃料消費に関するゲイン)を百分率でまとめた。
【0092】
エンジン清浄性についても、パネルコーキング試験(PCT)を用いたラボ試験により測定した。以下に、試験条件を説明する。
【0093】
試験対象の潤滑剤を、1mL/分の流量で、傾けて配置され、288℃に加熱された金属製プレート上に流す。具体的には、100mLの潤滑剤を、24時間の試験期間にわたって、このプレートに対して閉回路構成で圧送し続ける。試験期間が終わると、そのプレートを溶剤で洗浄し、流動表面上に生じたワニス堆積物及びカーボン堆積物をCRC(研究調整評議会)評価法により評価する。この評価の結果を、そのプレートの清浄性状態に応じて0〜10のスコアで表現する。
【0094】
エンジン清浄性について、さらに、ピストン清浄性を計測するCEC L−78−99方法に準拠したTDIエンジン試験により測定した。
【0095】
以下の表2には、潤滑剤組成物T
1、L
1、L
2の清浄性試験結果も表す。
【0096】
【表3】
【0097】
以上の結果から、潤滑剤組成物にBO/PO(PAG)を8%添加することにより、同じ粘度のままで且つ粘度指数向上ポリマーの含有量を減らしても、燃料消費に関するゲインおよび清浄性に関するゲインの両方を向上できることが分かる。潤滑剤組成物にBO/PO(PAG)を30%添加した場合、エンジン清浄性を向上させることはできるが、燃料消費に関するゲインに変化はない。
【0098】
(実施例2)
実施例1と同じ成分で、ただし、ポリアルキレングリコールについては別のものを用いて、対照用の組成物T
2、さらに、組成物C
1〜C
4を調製した。本実施例で用いるポリアルキレングリコールは、BO/POの質量比が50/50で、(ASTM D445規格に準拠した測定値で)KV100が4cStで、(ASTM D4274規格に準拠した測定値で)分子量が505g/モルのBO/PO(PAG)である。
【0099】
後述の表3に、各成分の割合を質量百分率(%)で表す。基油混合物と粘度指数向上ポリマーの割合は、潤滑剤組成物T
2、C
1〜C
4がいずれもグレード5W−30に相当する粘度を示すように調節した。
【0100】
試験用エンジンDW10Cを稼働させて、潤滑剤組成物T
2、C
1〜C
4の「燃料エコ(FE)」ゲインを測定した。以下に、試験条件を説明する:
【0101】
ジェネレータによりこのエンジンを750〜3,000rpmの回転速度で駆動させながら、エンジン部品の運動によって生じる摩擦トルクをトルクセンサにより計測する。優れた計測再現性を確保するために、エンジンオイルおよび冷却液を、特定の温度(35℃、50℃、80℃および115℃)で安定化させる。そして、各速度及び各温度について、試験対象の潤滑剤を用いた場合の摩擦トルクを、グレード5W−30の参照潤滑剤を用いた場合のトルクと比較する。このように各稼働温度で参照潤滑剤に対する試験対象の潤滑剤のゲインを算出し、これらの算出値を平均することにより、該潤滑剤の最終結果を得る。正のゲインは、エンジンでの摩擦が低下することを意味し、さらに、使用した潤滑剤により燃料消費を減少できることを意味する。
【0102】
【表4】
【0103】
以上の結果から、潤滑剤組成物にBO/PO(PAG)を4%または8%添加することにより、燃料消費に関するその潤滑剤組成物のゲインを向上できることが分かる。潤滑剤組成物にBO/PO(PAG)をより多く、15%または30%添加した場合のゲインは、対照用の組成物のゲインとあまり変わらない。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
少なくとも1種の基油と、
少なくとも1種の粘度指数向上ポリマーと、
ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(好ましくは3:1〜1:1)となる、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーからなり、下記の一般式(A)で表される少なくとも1種のポリアルキレングリコールと、
を含むエンジン用の潤滑剤組成物であって、
前記ポリアルキレングリコールを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、2〜20%含有する、エンジン用潤滑剤組成物。
【化6】
[式中、Y1およびY2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、少なくとも1個の、1〜nの整数であり、R2x−1基およびR2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R2x−1基の炭素数とR2x基の炭素数との合計が2である。]
〔態様2〕
態様1に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールの分子量が、ASTM D4274規格に準拠した測定値で、300〜1,000g/モル(好ましくは500〜750g/モル)である、潤滑剤組成物。
〔態様3〕
態様1または2に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールの100℃における動粘度が、ASTM D445規格に準拠した測定値で、1〜12cSt(好ましくは3〜7cSt、より好ましくは3.5〜6.5cSt)である、潤滑剤組成物。
〔態様4〕
態様1から3のいずれか一態様に記載の潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、3〜15%(好ましくは5〜12%、より好ましくは6〜10%)含有する、エンジン用潤滑剤組成物。
〔態様5〕
態様1から4のいずれか一態様に記載の潤滑剤組成物において、粘度指数向上ポリマーが、オレフィンコポリマー、エチレン/αオレフィンコポリマー、スチレン/オレフィンコポリマーおよびポリアクリレートの各単体または2種以上の混合物から選択される、エ潤滑剤組成物。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の潤滑剤組成物において、粘度指数向上ポリマーを、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、1〜15%(好ましくは2〜10%、より好ましくは3〜8%)含有する、潤滑剤組成物。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一態様に記載の潤滑剤組成物において、該潤滑剤組成物が、さらに、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、潤滑剤組成物。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の潤滑剤組成物において、該潤滑剤組成物が、該潤滑剤組成物の総質量に対し、質量%で、
40〜80%の基油と、
ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(好ましくは3:1〜1:1)となる、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーからなり、下記の一般式(A)で表されるポリアルキレングリコールを2〜20%と、
【化7】
[式中、Y1およびY2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、少なくとも1個の、1〜nの整数であり、R2x−1基およびR2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R2x−1基の炭素数とR2x基の炭素数との合計が2である。]、
1〜15%の粘度指数向上ポリマーと、
1〜15%の、耐摩耗剤、清浄剤、分散剤、酸化防止剤および摩擦調整剤の各単体または2種以上の混合物から選択される添加剤と、
から構成され、これら構成成分の合計が100%になる、潤滑剤組成物。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載のエンジン用潤滑剤組成物の使用であって、軽量車両のエンジンまたは重量車両のエンジン(好ましくはガソリン軽量車両のエンジンまたはディーゼル軽量車両のエンジン)を潤滑するための使用。
〔態様10〕
ブチレンオキシド:プロピレンオキシドの質量比が3:1〜1:3(好ましくは3:1〜1:1)となる、ブチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーからなり、下記の一般式(A)で表される少なくとも1種のポリアルキレングリコールの、潤滑剤組成物中において、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を増やすことなくエンジン清浄性を向上させる(好ましくは、ガソリンまたはディーゼル燃料の消費を減少させることによってエンジン清浄性を向上させる)ための使用。
【化8】
[式中、Y1およびY2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、nは、2以上の整数(好ましくは60未満の整数、より好ましくは5〜30の整数、さらに好ましくは7〜15の整数)であり、xは、少なくとも1個の1〜nの整数であり、R2x−1基およびR2x基は、互いに独立して、水素原子または炭素数1もしくは2の炭化水素基であり、少なくとも1個のxにつき、R2x−1基の炭素数とR2x基の炭素数との合計が2である。]
〔態様11〕
態様10に記載の使用であって、エンジン清浄性(特に、ピストン清浄性)を向上させるための使用。