(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ又はそれ以上の喘息増悪を治療するための、吸入コルチコステロイド(ICS)及び/又は長時間作用性ベータ−アゴニスト(LABA)への持続性喘息患者の依存を減少させるか又は排除する持続性喘息の治療において使用するための、インターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、
該使用は:
(a)ICS、LABA、又はそれらの組み合わせを含むバックグラウンド喘息治療で管理されない中程度から重度の喘息を有する持続性喘息の患者を選択すること;
(b)規定用量の抗体又はその抗原結合フラグメントを、初期処置について規定された頻度で、初期処置の期間の間患者のバックグラウンド喘息治療を維持しながら患者に投与すること;並びに
(c)初期処置期間の間に使用された規定された頻度及び用量で抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を続けながら、後続処置期間の間にわたって患者に投与されるICS及び/又はLABAの投薬量を徐々に減少させるか又は排除すること;
を含み、
ここで、該抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号162/164の重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対からの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、
上記医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本発明を記載する前に、当然のことながら、本発明は、記載される特定の方法及び実験条件に限定されず、従って方法及び条件は変化し得る。また当然のことながら、本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を記載する目的のみであり、限定することを意図されない。なぜなら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものだからである。
【0031】
別の規定がなければ、本明細書において使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0032】
特定の記載される数値に関して使用される本明細書で使用される用語「約」は、その数値が記載された値から1%以下だけ変化し得るということを意味する。例えば、本明細書で使用される表現「約100」は、99及び101及び間の全ての値(例えば99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0033】
本明細書で使用される用語「処置する」、「処置すること」などは、挙げられた障害又は状態の、症状を軽減するか、一次的もしくは永続的のいずれかで症状の原因を排除するか、又は症状の出現を防止するかもしくは遅延させることを意味する。
【0034】
本明細書に記載される方法及び材料と類似するか等価ないずれの方法及び材料も本発明の実施において使用され得るが、好ましい方法及び材料はここで記載される。本明細書において言及される全ての刊行物はそれら全体で参照により本明細書に加入される。
【0035】
喘息増悪の発生率を減少させるための方法
本発明は、それを必要とする被験体において喘息増悪の発生率を減少させるための方法を含み、該方法は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を被験体に投与することを含む。本明細書で使用される表現「喘息増悪」は、喘息の1つ又はそれ以上の症状又は兆候の重症度及び/又は頻度及び/又は持続期間の増加を意味する。「喘息増悪」はまた、喘息の治療介入(例えば、ステロイド処置、吸入コルチコステロイド処置、入院など)を必要とするか及び又は喘息の治療介入により処置可能な被験体の呼吸器の健康におけるいずれかの悪化も含む。本発明の特定の実施態様によれば、喘息増悪は、以下の1つ又はそれ以上と定義される:(a)連続した2日間、朝の最大呼気流量(「AM PEF」、本明細書の他所において定義されるとおり)におけるベースラインからの30%又はそれ以上の減少;(b)連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロール又はレブアルブテロールの6回又はそれ以上のさらなる発作治療薬パフ;及び(c)(i)全身(経口及び/又は非経口)ステロイド処置、もしくは(ii)ベースラインレベルの少なくとも4倍への吸入コルチコステロイドの増加、又は(iii)入院を必要とする喘息の悪化(例えば、医師又は他の開業医により決定されるとおり)。
【0036】
特定の例において、喘息増悪は「重度喘息増悪」として分類され得る。「重度喘息増悪」は、全身コルチコステロイド又はその出来事の前に摂取された用量の4倍もしくはそれ以上での吸入コルチコステロイドのいずれかでの処置の形態の即時介入を必要とする出来事を意味する。従って、一般的な表現「喘息増悪」は、「重度喘息増悪」のより具体的な下位範疇を含み、かつ包含する。従って、本発明は、それを必要とする患者における重度喘息増悪の発生率を減少させるための方法を含む。
【0037】
喘息増悪の「発生率の減少」は、本発明の医薬組成物を投与された被験体が、処置前よりも処置後により少ない喘息増悪(すなわち、少なくとも1つ少ない増悪)を経験するか、又は本発明の医薬組成物での処置の開始後少なくとも4週間(例えば4、6、8、12、14又はそれ以上の週)の間喘息増悪を経験しないことを意味する。あるいは、喘息増悪の「発生率の減少は、本発明の組成物の投与後に、被験体が喘息増悪を経験する可能性が、本発明の医薬組成物を投与されていない被験体と比較して、少なくとも10%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれ以上)減少することを意味する。
【0038】
喘息関連パラメーターを改善するための方法
本発明はまた、それを必要とする被験体において1つ又はそれ以上の喘息関連パラメーターを改善するための方法を含み、ここで該方法は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を被験体に投与することを含む。本発明の目的のために、喘息増悪(上記のとおり)の発生率の減少は、1つ又はそれ以上の喘息関連パラメーターの改善と相関し得るが;しかし、このような相関は必ずしも全ての症例において観察されるわけではない。
【0039】
「喘息関連パラメーター」の例としては:(a)1秒間努力呼気容量(FEV1);(b)朝のPEF(AM PEF)及び夜のPEF(PM PEF)を含む最大呼気流量(PEF);(c)アルブテロール又はレブアルブテロールのような吸入気管支拡張薬の使用;(d)5項目喘息コントロール質問票(ACQ5)スコア;(d)夜間覚醒;並びに(e)22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)スコアが挙げられる。「喘息関連パラメーターの改善」は、FEV1、AM PEFもしくはPM PEFの1つもしくはそれ以上のベースラインからの増加、及び/又は1回もしくはそれ以上の1日のアルブテロール/レブアルブテロール使用、ACQ5スコア、平均夜間覚醒もしくはSNOT−22スコアのベースラインからの減少を意味する。喘息関連パラメーターに関して本明細書で使用される用語「ベースライン」は、本発明の医薬組成物の投与の前、又は本発明の医薬組成物の投与時の患者についての喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0040】
喘息関連パラメーターが「改善された」か否かを決定するために、パラメーターはベースライン及び本発明の医薬組成物の投与後の時点で定量される。例えば、喘息関連パラメーターは、本発明の医薬組成物での初期処置の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、14日後、又は3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12週間後、13週間後、14週間後、15週間後、16週間後、17週間後、18週間後、19週間後、20週間後、21週間後、22週間後、23週間後、24週間後、又はそれ以上後に測定され得る。処置の開始後の特定の時点でのパラメーターの値と、ベースラインでのパラメーターの値との間の差異を使用して、喘息関連パラメーターの「改善」(例えば、測定される具体的なパラメーターに依存して、場合によって増加又は減少)があったか否かを確立する。
【0041】
本明細書で使用される用語「得る(acquire)」又「得ること(acquiring)」は、物理的実体又は喘息関連パラメーターのような値を「直接的に得る」又は「間接的に得る」ことにより、物理的実体の所有、又は数値のような値を入手することを指す。「直接的に得る」は、物理的実体又は値を入手するためのプロセスを行うこと(例えば、合成又は分析方法を行う)を意味する。「間接的に得る」は、別の団体又は供給源(例えば、物理的実体又は値を直接的に得た第三者研究所)から物理的実体又は値を受け取ることを指す。物理的実体を直接的に得ることは、物理的物質、例えば出発物質における物理的変化を含むプロセスを実行することを含む。例となる変化としては、2つ又はそれ以上の出発物質から物理的実体を作製すること、物質をせん断又は断片化すること、物質を分離又は精製すること、2つ又はそれ以上の別々の実体を合わせて混合物にすること、共有結合又は非共有結合を切断又は形成することを含む化学反応を行うことが挙げられる。値を直接的に得ることは、サンプル又は別の物質における物理的変化を含むプロセスを行うこと、例えば、物質、例えばサンプル、検体又は試薬における物理的変化を含む分析プロセス(本明細書では「物理的分析」と呼ばれることもある)を行うことを含む。
【0042】
間接的に得られる情報は、オンラインデータベース又はアプリケーション(「App」)からのような、例えば、紙又は電子形態で得られる報告の形態で提供され得る。この報告又は情報は、例えば、健康管理機関、例えば病院もしくは診療所;又はヘルスケア提供者、例えば医師もしくは看護師により提供され得る。
【0043】
1秒間努力呼気容量(FEV1).本発明の特定の実施態様によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、1秒間努力呼気容量(FEV1)のベースラインからの増加を生じる。FEV1を測定するための方法は当該分野で公知である。例えば、2005米国胸部学会(American Thoracic Society)(ATS)/欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)(ERS)推奨に適合する肺活量計は患者においてFEV1を測定するために使用され得る。ATS/ERS肺活量測定標準化(Standardization of Spirometry)がガイドラインとして使用され得る。肺活量測定は一般的には少なくとも6時間のアルブテロール保留後に6と10AMとの間に行われる。肺機能試験は、一般的には座位で行われ、そして最高測定値がFEV1として記録される(リットル)。
【0044】
本発明は、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物での処置の開始後12週目に少なくとも0.05LのベースラインからのFEV1の増加を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、IL−4Rアンタゴニストのそれを必要とする被験体への投与は、12週目に、約0.05L、0.10L、0.12L、0.14L、0.16L、0.18L、0.20L、0.22L、0.24L、0.26L、0.28L、0.30L、0.32L、0.34L、0.36L、0.38L、0.40L、0.42L、0.44L、0.46L、0.48L、0.50L、又はそれ以上のベースラインからのFEV1の増加を生じる。
【0045】
朝及び夜の最大呼気流量(AM PEF及びPM PEF).本発明の特定の実施態様によれば、IL−4Rアンタゴニストの患者への投与は、朝(AM)及び/又は夜(PM)の最大呼気流量(AM PEF及び/又はPM PEF)のベースラインからの増加を生じる。PEFを測定する方法は当該分野で公知である。例えば、PEFを測定するための1つの方法に従って、患者は朝(AM)及び夜(PM)のPEF(さらには1日のアルブテロール使用、朝及び夜の喘息症状スコア、並びに救急薬を必要とする喘息症状に起因する夜間覚醒の回数)を読み取るための電子PEF計測器を支給される。患者は機器の使用に関して指導され、電子PEF計測器の使用に関する書面による指示が患者に提供される。さらに、医療専門家は、電子PEF計測器における関連する変数を記録する方法を患者に指導し得る。AM PEFは、一般的にはいずれかのアルブテロールの摂取の前に、起床後15分以内(6amと10amとの間)に行われる。PM PEFは一般的には、いずれかのアルブテロールの摂取前、夜(6pmと10pmとの間)に行われる。被験体は、かれらのPEFを測定する前の少なくとも6時間はアルブテロールを保留しようとするべきである。3回のPEFの試みが患者により行われ、そして全ての3つの値が電子PEF計測器により記録される。通常は、最も高い値が評価に使用される。ベースラインAM PEFは、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の最初の用量の投与前7日間に記録された平均AM測定値として計算され得、そしてベースラインPM PEFは、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の最初の用量の投与前7日間に記録された平均PM測定値として計算され得る。
【0046】
本発明は、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を用いた処置の開始後12週目に少なくとも1.0L/分のベースラインからのAM PEF及び/又はPM PEFの増加を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、IL−4Rアンタゴニストのそれを必要とする被験体への投与は、12週目に、約0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、2.0L/分、2.5L/分、3.0L/分、3.5L/分、4.0L/分、4.5L/分、5.0L/分、5.5L/分、6.0L/分、6.5L/分、7.0L/分、7.5L/分、8.0L/分、8.5L/分、9.0L/分、9.5L/分、10.0L/分、10.5L/分、11.0L/分、12.0L/分、15L/分、20L/分、又はそれ以上のベースラインからのPEFの増加をもたらす。
【0047】
アルブテロール/レブアルブテロールの使用.本発明の特定の実施態様によれば、IL−4Rアンタゴニストの患者への投与は、1日のアルブテロール又はレブアルブテロールの使用のベースラインからの減少を生じる。アルブテロール/レブアルブテロール吸入の回数は、日記、PEF計測器、又は他の記録機器で患者により毎日記録され得る。本発明の医薬組成物での処置の間、アルブテロール/レブアルブテロールの使用は、規則的又は予防的でなく、典型的には症状に対して必要な場合であり得る。アルブテロール/レブアルブテロール吸入/日のベースライン回数は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の最初の用量の投与前7日間の平均に基づいて計算され得る。
【0048】
抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物での処置の開始後12週目に1日あたり少なくとも0.25パフのベースラインからのアルブテロール/レブアルブテロール使用の減少を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、それを必要とする被験体へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、12週目に、1日あたり約0.25パフ、1日あたり0.50パフ、1日あたり0.75パフ、1日あたり1.00、1.25パフ、1日あたり1.5パフ、1日あたり1.75パフ、1日あたり2.00パフ、1日あたり2.25パフ、1日あたり2.5パフ、1日あたり2.75パフ、1日あたり3.00パフ又はそれ以上のベースラインからのアルブテロール/レブアルブテロール使用の減少をもたらす。
【0049】
5項目喘息コントロール質問票(ACQ)スコア.本発明の特定の実施態様によれば、IL−4Rアンタゴニストの患者への投与は、5項目喘息コントロール質問票(ACQ5)スコアのベースラインからの減少を生じる。ACQ5は喘息管理を評価するための有効な質問票である。
【0050】
抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物での処置の開始後12週目の少なくとも0.10ポイントのベースラインからのACQ5スコアの減少を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、それを必要とする被験体へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、12週目に、約0.10ポイント、0.15ポイント、0.20ポイント、0.25ポイント、0.30ポイント、0.35ポイント、0.40ポイント、0.45ポイント、0.50ポイント、0.55ポイント、0.60ポイント、0.65ポイント、0.70ポイント、0.75ポイント、0.80ポイント、0.85ポイント又はそれ以上のベースラインからのACQスコアの減少をもたらす。
【0051】
夜間覚醒.本発明の特定の実施態様によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、夜間覚醒の平均回数のベースラインからの減少を生じる。
【0052】
本発明は、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物での処置の開始後12週目に一晩あたり少なくとも約0.10回のベースラインからの夜間覚醒の平均回数の減少を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、それを必要とする被験体へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、12週目に、およそ一晩に0.10回、一晩に0.15回、一晩に0.20回、一晩に0.25回、一晩に0.30回、一晩に0.35回、一晩に0.40回、一晩に0.45回、一晩に0.50回、一晩に0.55回、一晩に0.60回、一晩に0.65回、一晩に0.70回、一晩に0.75回、一晩に0.80回、一晩に0.85回、一晩に0.90回、一晩に0.95回、一晩に1.0回、一晩に2.0回又はそれ以上のベースラインからの夜間覚醒の平均回数の減少をもたらす。
【0053】
22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)スコア.本発明の特定の実施態様によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)のベースラインからの減少を生じる。SNOT−22は、生活の質への慢性副鼻腔炎の影響を評価するための有効な質問票である(Hopkins et al 2009、Clin.Otolaryngol.34:447−454)。
【0054】
本発明は、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物での処置の開始後12週目に少なくとも1ポイントのベースラインからのSNOT−22スコアの減少を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、それを必要とする被験体へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、12週目に、SNOT−22スコアのベースラインからの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13ポイント又はそれ以上の減少をもたらす。
【0055】
喘息を処置するための方法
特定の実施態様によれば、本発明は、それを必要とする被験体において、喘息(例えば好酸球性喘息を含む)を処置するための方法を提供し、ここで該方法は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、本発明の方法は、被験体において中程度から重度の好酸球性喘息(例えば、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息)を処置するために有用である。
【0056】
本発明によれば、被験体が1マイクロリットルあたり少なくとも300細胞の血中好酸球レベル、及び/又は少なくとも3%の痰中好酸球レベルを示す場合に、その被験体は中程度から重度の好酸球性喘息を有すると識別される。血中及び/又は痰中好酸球レベルを測定するための当該分野で公知かつ利用可能ないずれの方法も、本発明の状況において被験体が中程度から重度の好酸球性喘息喘息を有し、かつそれ故本発明の治療方法に適した被験体であると識別される。
【0057】
本発明の関連する局面によれば、1マイクロリットルあたり少なくとも300細胞の血中好酸球レベル及び/又は少なくとも3%の痰中好酸球レベルを示す患者を選択すること;並びに(b)IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を該患者に投与することを含む喘息を処置するための方法が提供される。
【0058】
別の局面において、中程度から重度の喘息の処置の間の吸入コルチコステロイド(ICS)及び/又は長時間作用性ベータアゴニスト(LABA)への喘息患者の依存を減少させる又は排除するための方法が提供される。特定の実施態様において、本方法は:バックグラウンド喘息治療で管理されないか又は部分的に管理される中程度から重度の喘息を有する患者を選択すること;規定用量のIL−4Rアンタゴニスト、好ましくは抗IL−4R抗体を、初期処置の期間の間患者のバックグラウンド喘息治療を維持しながら初期処置の間、患者に投与すること;並びにIL−4Rアンタゴニストの投与を続けながら、後続処置期間の間にわたってバックグラウンド治療の1つ又はそれ以上の成分の投薬量を徐々に減少させることを含む。「バックグラウンド治療」は、喘息を処置するために使用される当該分野で公知の標準的又は従来の治療剤を指す。特定の実施態様において、バックグラウンド治療はICS、LABA又は両方の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、ICS及び/又はLABAの投薬量は、初期処置期間に除かれるか又は完全に休薬される。例えば、サルメテロール又はホルモテロールのようなLABAは、初期処置期間に投与され、そして後続処置期間に完全に停止されるか又は休薬される。
【0059】
中程度から重度の喘息を有する患者の処置計画の例を
図24に示し、ここでIL−4Rアンタゴニストを中程度から重度の喘息を有する患者に投与する。初期処置期間(「安定期」とも呼ばれる)の間、LABA及びICSをバックグラウンド治療として患者に投与する。後続処置期間(「休薬期」とも呼ばれる)の間、LABAの投与は止められ、すなわちLABAは休薬されるか又は排除される。ICSは、それが排除されるまで後続処置期間にわたって徐々に減少される。
【0060】
関連する局面において、全身バックグラウンド治療を休薬しながら、バックグラウンド治療に対する付加型治療を含む喘息を処置するための方法が提供される。特定の実施態様において、IL−4Rアンタゴニストは、特定の期間の間バックグラウンド治療中である(例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、5ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月又はそれ以上)(「安定期」とも呼ばれる)喘息患者に対する付加型治療として投与される。いくつかの実施態様において、バックグラウンド治療はICS及び/又はLABAを含む。安定期の後にバックグラウンド治療休薬期が続き、ここでバックグラウンド治療を構成する1つ又はそれ以上の構成要素が休薬されるか、減少されるか、又は排除されるが、付加型治療は継続する。いくつかの実施態様において、バックグラウンド治療は、休薬期の間に約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%又はそれ以上減少され得る。休薬期は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約5%減少され得、そして休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約10%減少され得、そして休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約20%減少され得、そして休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約30%減少され得、そして休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約40%減少され得、そして休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。好ましい実施態様において、バックグラウンド治療は休薬期の間に約50%又はそれ以上減少され得、休薬期は1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間又はそれ以上続き得る。
【0061】
いくつかの他の実施態様において、本発明は、喘息に関連する状態又は合併症、例えば慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、統合気道疾患(unified airway disease)、チャーグ・ストラウス症候群、血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び運動誘発性気管支けいれんを処置又は緩和する方法を包含する。
【0062】
本発明はまた持続性喘息を処置する方法を含む。本明細書で使用される用語「持続性喘息」は、日中に及び/又は夜間に週に1少なくとも1回症状を有し、その症状が数時間から数日持続することを意味する。特定の代替の実施態様において、持続性喘息は、「軽度に持続性」(例えば、症状が日常活動もしくは睡眠を妨げるのに十分重篤であり週2回より多いが毎日よりは少ないか、かつ/又は肺機能が正常であるかもしくは気管支拡張薬の吸入で可逆性である場合)、「中程度に持続性」(例えば、睡眠が少なくとも毎週妨げられ、かつ/又は肺機能が中程度に異常でありながら、症状が毎日起こる)、又は「重度に持続性」(例えば、承認された薬物療法の正しい使用にも関わらず持続する症状及び/又は肺機能が重度に罹患している場合)である。
【0063】
インターロイキン−4受容体アンタゴニスト
本発明の方法は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む治療用組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む。本明細書において使用される「IL−4Rアンタゴニスト」は、IL−4Rに結合するか又はIL−4Rと相互作用し、そしてIL−4Rがインビトロ又はインビボで細胞上に発現された場合にIL−4Rの通常の生物学的シグナル伝達機能を阻害するいずれかの薬剤である。IL−4Rアンタゴニストの範疇の非限定的な例としては、小分子IL−4Rアンタゴニスト、抗IL−4Rアプタマー、ペプチドベースのIL−4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ(peptibody)」分子)、及びヒトIL−4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合フラグメントが挙げられる。
【0064】
用語「ヒトIL4R」(hIL−4R)は、IL−4Rα(配列番号274)のような、インターロイキン−4(IL−4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を指す。
【0065】
用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、さらにはその多量体(例えば、IgM)を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はV
Hと略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C
H1、C
H2、及びC
H3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はV
Lと略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(C
L1)を含む。V
H及びV
L領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域に組み入れられている、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。各V
H及びV
Lは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。異なる実施態様において、抗IL−4R抗体(又はその抗原結合フラグメント)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であり得、又は天然もしくは人工的に改変され得る。アミノ酸コンセンサス配列は2つ又はそれ以上のCDRの対照分析(side−by−side analysis)に基づいて規定され得る。
【0066】
用語「抗体」はまた、完全抗体分子の抗原結合フラグメントを含む。本明細書で使用される用語抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」などは、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、いずれかの天然に存在するか、酵素により入手可能か、合成又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、タンパク質分解消化、又は抗体の可変度面及び場合により定常ドメインをコードするDNAの操作及び発現を含む組換え遺伝子操作技術のようないずれかの適切な標準的技術を使用して、例えば完全抗体分子から誘導され得る。このようなDNAは公知であるか、かつ/又は例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ−抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、又は合成され得る。DNAは、例えば、1つもしくはそれ以上の可変及び/若しくは定常ドメインを適切な構成に配置するため、又はコドンを導入するか、システイン残基を作製するか、アミノ酸を改変、付加もしくは欠失するなどのために、化学的に、又は分子生物学的技術を使用することにより配列決定され得、そして操作され得る。
【0067】
抗原結合フラグメントの非限定的な例としては:(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;及び(vii)抗体の超可変領域を模倣したアミノ酸残基からなる最少認識単位(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)、又は拘束性(constrained)FR3−CDR3−FR4ペプチドが挙げられる。他の操作された分子、例えばドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体(triabodies)、四重特異性抗体(tetrabodies)、ミニボディ(minibodies)、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(small modular immunopharmaceuticals)(SMIP)、及びサメ可変IgNARドメインもまた表現「抗原結合フラグメント」内に包含される。
【0068】
抗体の抗原結合フラグメントは典型的には少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインはいずれのサイズ又はアミノ酸組成のものでもよく、一般的には1つ又はそれ以上のフレームワーク配列に隣接するか1つ又はそれ以上のフレームワーク配列とインフレームの少なくとも1つのCDRを含む。V
Lドメインに付随してV
Hドメインを有する抗原結合フラグメントにおいて、V
H及びV
Lドメインは、いずれかの適切な配置で互いに対して位置づけられ得る。例えば、可変領域は二量体で有り得、V
H−V
H、V
H−V
L又はV
L−V
L二量体を含み得る。あるいは、抗体の抗原結合フラグメントは、単量体V
H又はV
Lドメインを含み得る。
【0069】
特定の実施態様において、抗体の抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。本発明の抗体の抗原結合フラグメント内に見られ得る可変ドメイン及び定常ドメインの非限定的な例となる構成としては:(i) V
H−C
H1;(ii) V
H−C
H2;(iii) V
H−C
H3;(iv) V
H−C
H1−C
H2;(v) V
H−C
H1−C
H2−C
H3;(vi) V
H−C
H2−C
H3;(vii) V
H−C
L;(viii) V
L−C
H1;(ix) V
L−C
H2;(x) V
L−C
H3;(xi) V
L−C
H1−C
H2;(xii) V
L−C
H1−C
H2−C
H3;(xiii) V
L−C
H2−C
H3;及び(xiv)V
L−C
Lが挙げられる。上に列挙した例となる構成のいずれかを含めて可変ドメイン及び定常ドメインのいずれかの構成において、可変ドメイン及び定常ドメインは、互いに直接連結されるか、又は全長もしくは部分的ヒンジもしくはリンカー領域により連結され得る。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接する可変ドメイン及び/又は定常ドメイン間の可撓性又は半可撓性の連結を生じる少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60又はそれ以上)のアミノ酸からなり得、好ましくはヒンジ領域は、2〜60個の間のアミノ酸、好ましくは5〜50、又は好ましくは10〜40アミノ酸からなり得る。さらに、本発明の抗体の抗原結合フラグメントは、互いと、及び/又は1つもしくはそれ以上の単量体V
HもしくはV
Lドメインと(例えばジスルフィド結合により)非共有結合した、上で列挙した可変ドメイン及び定常ドメインの構成のいずれかのホモ二量体又はヘテロ二量体(又は他の多量体)を含み得る。
【0070】
完全抗体分子と同様に、抗原結合フラグメントは単一特異性でも多重特異性(例えば二重特異性)でもよい。抗体の多重特異性抗原結合フラグメントは、典型的には少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、ここで各可変ドメインは別々の抗原又は同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。いずれの多重特異性抗体形式も、当該分野で利用可能な通常の技術を使用して本発明の抗体の抗原結合フラグメントの状況における使用のために適合され得る。
【0071】
抗体の定常領域は、補体を固定しそして細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力において重要である。従って、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいか否かに基づいて選択され得る。
【0072】
用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する抗体を含む。それでもなお、本発明において特徴とされるヒト抗体は、例えばCDR及び特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異により導入された変異を含み得る。しかし、用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種、例えばマウスの生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフト化されている抗体を含まない。
【0073】
用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段により製造、発現、作製又は単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞へトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(以下でさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(以下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックな動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えば、Taylor et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:6287−6295を参照のこと)、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含むいずれかの他の手段により製造、発現、作製もしくは単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する。しかし、特定の実施態様において、このような組換えヒト抗体はインビトロ変異誘発(又は、ヒトIg配列に関してトランスジェニックな動物が使用される場合、インビボ体細胞変異誘発)を受け、それ故、組換え抗体のV
H及びV
L領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V
H及びV
L配列から誘導されかつヒト生殖系列V
H及びV
L配列に関連するが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然に存在しないかもしれない。
【0074】
ヒト抗体は、ヒンジ異質性に関連する2つの形態で存在し得る。1つの形態において、免疫グロブリン分子は約150〜160kDaの安定な4つの鎖の構築物を含み、ここで二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合により結合される。第二の形態において、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されておらず、そして共有結合でカップリングされた軽鎖及び重鎖(半抗体)から構成される約75〜80kDaの分子が形成される。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ分離することが非常に困難であった。
【0075】
様々なインタクトなIgGアイソタイプにおける第二の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因するがこれに限定されない。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで、第二の形態の出現を有意に減少させ得る(Angal et al.(1993) Molecular Immunology 30:105)。本発明は、ヒンジ、C
H2、又はC
H3領域に1つ又はそれ上の変異を有する抗体を包含し、これは例えば、所望の抗体形態の収量を改善するために製造において望ましいかもしれない。
【0076】
「単離された抗体」は、同定され、そしてその天然環境の少なくとも1つの構成要素から分離されかつ/又は回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの構成要素から、又は抗体が天然に存在するかもしくは天然に産生される組織もしくは細胞から分離又は除去された抗体は、本発明の目的のための「単離された抗体」である。単離された抗体はまた、組換え細胞内のインサイチュの抗体を含む。単離された抗体は、少なくとも1つの精製又は単離工程を受けた抗体である。特定の実施態様によれば、単離された抗体は他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないものであり得る。
【0077】
用語「特異的に結合する」、又は同様のものは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、生理条件下で比較的安定な複合体を抗原と形成するということを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は、当該分野で周知であり、そして例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本発明の状況において使用されるIL−4Rに「特異的に結合する」抗体は、IL−4R又はその部分に、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、又は約0.5nM未満のK
Dで結合する抗体を含む。しかし、ヒトIL−4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL−4R分子のような他の抗原に対して交差反応性を有し得る。
【0078】
本発明の方法のために有用な抗IL−4R抗体は、その抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較して、重鎖及び軽鎖可変ドメインのフレームワーク及び/又はCDR領域中に、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10の置換、及び/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10の挿入、及び/又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10の欠失)を含み得る。このような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより容易に確認され得る。本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれか由来の抗体及びその抗原結合フラグメントの使用を含む方法を含み、ここで1つもしくはそれ以上のフレームワーク及び/又は1つもしくはそれ以上(例えば、四量体抗体に関しては1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12、又は抗体のHCVR及びLCVRに関しては1、2、3、4、5もしくは6)のCDR領域内の1つ又はそれ上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸)は、その抗体が由来した生殖系列配列の対応する残基、又は別のヒト生殖系列配列の対応する残基、又は対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換へと変異される(このような配列変化は本明細書で集合的に「生殖系列変異」と呼ばれる)。当業者は、本明細書に開示される重鎖及び軽鎖可変領域配列から始めて、1つ又はそれ以上の個々の生殖系列変異又はそれらの組み合わせを含む多数の抗体及び抗原結合フラグメントを容易に製造することができる。特定の実施態様において、V
H及び/又はV
Lドメイン内のフレームワーク及び/又はCDR残基は全て、その抗体が由来した元の生殖系列配列において見られる残基へと逆変異される。他の実施態様において、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8つのアミノ酸内もしくはFR4の最後の8つの残基内に見られる変異した残基のみ、又はCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見られる変異した残基のみが元の生殖系列配列へと逆変異される。他の実施態様において、フレームワーク及び/又はCDR残基の1つ又はそれ以上は、異なる生殖系列配列(すなわち、その抗体が元々由来する生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基へと変異される。さらに、本発明の抗体は、フレームワーク及び/又はCDR領域内の2つ又はそれ以上の生殖系列変異のいずれかの組み合わせを含有し得、例えばここで特定の個々の残基は特定の生殖系列配列の対応する残基へと変異されるが、元の生殖系列配列と異なる特定の他の残基は維持されるか、又は異なる生殖系列配列の対応する残基へと変異される。一旦得られれば、1つ又はそれ以上の生殖系列変異を含む抗体及び抗原結合フラグメントは、改善された結合特異性、増加した結合親和性、改善されたか又は増強されたアンタゴニスト又はアゴニスト生物学的特性(場合によって)、減少した免疫原性などのような1つ又はそれ上の所望の特性について容易に試験され得る。この一般的なやり方で得られる抗体及び抗原結合フラグメントの使用は、本発明内に包含される。
【0079】
本発明はまた、1つ又はそれ以上の保存的置換を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかの変異形を含む抗IL−4R抗体の使用を含む方法を含む。例えば、本発明は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10又はそれ以下、8又はそれ以下、6又はそれ以下、4又はそれ以下などの保存的アミノ酸置換を含むHCVR、LCVR、及び/又はCDRアミノ酸配列を有する抗IL−4R抗体の使用を含む。
【0080】
用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcore
TMシステム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによる実時間相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0081】
用語「K
D」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0082】
用語「エピトープ」は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域における特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有し得る。従って、異なる抗体は抗原の異なる領域に結合し得、そして異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは立体構造的(conformational)又は線状のいずれでもよい。立体構造的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に近接したアミノ酸により生じる。線状エピトープは、ポリペプチド鎖における隣接したアミノ酸残基により生じるものである。特定の状況において、エピトープは抗原上に糖類、ホスホリル基、又はスルホニル基の部分を含み得る。
【0083】
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスにおいてヒト抗体を生成する方法は当該分野で公知である。いずれかのこのような方法は、ヒトIL−4Rに特異的に結合するヒト抗体を作製するために本発明の状況において使用され得る。
【0084】
VELOCIMMUNE
TM技術(例えば、US6,596,541、Regeneron Pharmaceuticalsを参照のこと)又はモノクローナル抗体を生成するためのいずれかの他の公知の方法を使用して、ヒト可変領域及びマウス定常領域を有する、IL−4Rに対する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。VELOCIMMUNE
(R)技術は、マウスがヒト可変領域及びマウス定常領域を含む抗体を抗原刺激に応じて産生するように、内在性マウス定常領域遺伝子座位に作動可能に(operably)連結されたヒト重鎖及び軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの生成を含む。抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、そしてヒト重鎖及び軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する。次いで完全ヒト抗体を発現することができる細胞においてDNAを発現させる。
【0085】
一般に、VELOCIMMUNE
(R)マウスに目的の抗原を曝露し、そして抗体を発現するリンパ細胞(lymphatic cells)(例えばB細胞)をマウスから回収する。リンパ細胞を、不死ハイブリドーマ細胞株を製造するために骨髄腫細胞株と融合し得、そして目的の抗原に対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定するために、このようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、そして選択する。重鎖及び軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、そして重鎖及び軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結し得る。このような抗体タンパク質は、CHO細胞のような細胞において産生され得る。あるいは、抗原特異的キメラ抗体又は軽鎖及び重鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ球から直接単離し得る。
【0086】
最初に、ヒト可変領域及びマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を単離する。抗体を特徴付けし、そして当業者に公知の標準的な手順を使用して、親和性、選択性、エピトープなどを含む所望の特徴について選択する。マウス定常領域を、所望のヒト定常領域と置き換えて本発明において特徴とされる完全ヒト抗体、例えば野生型又は改変IgG1又はIgG4を生成する。選択された定常領域は具体的な用途に従って変わり得るが、高親和性抗原結合及び標的特異性の特徴は、可変領域にある。
【0087】
一般に、本発明の方法において使用され得る抗体は、固相に固定化されているか又は溶液相中のいずれかの抗原への結合により測定された場合に、上記のような高親和性を有する。マウス定常領域は、本発明において特徴とされる完全ヒト抗体を生成するために望ましいヒト定常領域と置き換えられる。選択される定常領域は特定の用途に従って変わり得るが、高親和性抗原結合及び標的特異性の特徴は、可変領域にある。
【0088】
本発明の方法の状況において使用され得るIL−4Rに特異的に結合する抗体又は抗体の抗原結合フラグメントの具体的な例としては、配列番号2、18、22、26、42、46、50、66、70、74、90、94、98、114、118、122、138、142、146、162、166、170、186、190、194、210、214、218、234、238、242、258、及び262からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2及びHCDR3)を含むいずれかの抗体又は抗原結合フラグメントが挙げられる。抗体又は抗原結合フラグメントは、配列番号10、20、24、34、44、48、58、68、72、82、92、96、106、116、120、130、140、144、154、164、168、178、188、192、202、212、216、226、236、240、250、260、及び264からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含み得る。HCVR及びLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するための方法及び技術は当該分野で周知であり、本明細書に開示される特定のHCVR及び/又はLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するために使用され得る。CDRの境界を同定するために使用される例となる定法としては、例えばKabat定義、Chothia定義、及びAbM定義が挙げられる。おおまかに言えば、Kabat定義は配列可変性に基づき、Chothia定義は構造的ループ領域の位置に基づき、そしてAbM定義はKabat及びChothiaアプローチの折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);Al−Lazikani et al.、J.Mol.Biol.273:927−948(1997);及びMartin et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9268−9272(1989)を参照のこと。公開データベースはまた、抗体内のCDR配列を同定するために利用可能である。
【0089】
本発明の特定の実施態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260、及び262/264からなる群より選択される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)を含む。
【0090】
本発明の特定の実施態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号4/6/8/12/14/16;28/30/32/36/38/40;52/54/56/60/62/64;76/78/80/84/86/88;100/102/104/108/110/112;124/126/128/132/134/136;148/150/152/156/158/160;172/174/176/180/182/184;196/198/200/204/206/208;220/222/224/228/230/232;及び244/246/248/252/254/256からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する6つのCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。
【0091】
本発明の特定の実施態様において、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260、及び262/264からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。
【0092】
医薬組成物
本発明は、IL−4Rアンタゴニストを患者に投与することを含む方法を含み、ここでIL−4Rアンタゴニストは医薬組成物内に含有される。本発明において特徴とされる医薬組成物は、適切な担体、添加剤、及び適切な移送、送達、耐性などをもたらす他の薬剤と共に製剤化される。多数の適切な処方は、全ての薬剤師に公知の処方集に見出され得る:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA。これらの製剤としては、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(例えばLIPOFECTIN
TM)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油及び油中水乳剤、カーボワックス乳剤(emulsions carbowax)(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲル、及びカーボワックスを含有する半固形混合物が挙げられる。Powell et al.「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998) J Pharm Sci Technol 52:238−311も参照のこと。
【0093】
本発明の方法に従って患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢及びサイズ、症状、状態、投与経路などによって変わり得る。好ましい用量は、典型的には体重又は体表面積に従って計算される。状態の重症度に依存して、処置の頻度及び期間は調整され得る。有効な投薬量及び抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与スケジュールは、経験的に決定され得;例えば、患者の進行は定期的評価によりモニタリングされ得、そしてそれに従って用量が調整され得る。さらに、投薬量の種間スケーリングは当該分野で周知の方法を使用して行われ得る(例えば、Mordenti et al.、1991、Pharmaceut.Res.8:1351)。
【0094】
様々な送達系が公知であり、そして本発明において特徴とされる医薬組成物を投与するために使用され得る。例えば、リポソーム封入、マイクロパーティクル、マイクロカプセル、変異体ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu et al.、1987、J.Biol.Chem.262:4429−4432を参照のこと)。投与方法としては、限定されないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、気管内、硬膜外、及び経口経路が挙げられる。組成物はいずれかの従来の経路でにより、例えば注入又はボーラス注射により、上皮又は粘膜皮膚内層(linings)(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸管粘膜など)を通した吸収により投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。
【0095】
本発明の医薬組成物は、標準的な針及び注射器を用いて皮下又は静脈内に送達され得る。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスは、本発明の医薬組成物の送達において容易に有用性を有する。このようなペン型送達デバイスは再利用可能であるか又は使い捨てであり得る。再利用可能なペン型送達デバイスは、一般的には、医薬組成物を含む交換式カートリッジを利用する。カートリッジ内の医薬組成物が全て投与されてカートリッジが空になると、この空のカートリッジは容易に廃棄され得、そして医薬組成物を含む新しいカートリジに置き換えられ得る。次いでペン型送達デバイスは再使用され得る。使い捨てペン型送達デバイスでは交換式カートリッジはない。むしろ、使い捨てペン型デバイスはデバイス内のリザーバー中に保持される医薬組成物で予め充填されている状態である。リザーバから医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0096】
多数の再利用可能なペン型自動注入送達デバイスが本発明の医薬組成物の皮下送達において有用性を有する。例としては、限定されないが、少数を挙げると、AUTOPEN
TM(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC
TMペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25
TMペン、HUMALOG
TMペン、HUMALIN 70/30
TMペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN
TM I、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR
TM(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD
TMペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN
TM、OPTIPEN PRO
TM、OPTIPEN STARLET
TM、並びにOPTICLIK
TM(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられる。本発明の医薬組成物の皮下送達において有用性を有する使い捨てペン型送達デバイスの例としては、限定されないが、少数を挙げると、SOLOSTAR
TMペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN
TM(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN
TM(Eli Lilly)、SURECLICK
TM自動注入器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET
TM(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、及びHUMIRA
TMペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられる。
【0097】
副鼻腔への直接投与については、本発明の医薬組成物は、例えば、マイクロカテーテル(例えば、内視鏡及びマイクロカテーテル)、エアロゾライザー(aerosolizer)、粉末ディスペンサー(dispenser)、ネブライザー又は吸入器を使用して投与され得る。その方法は、エアロゾル化した製剤でIL−4Rアンタゴニストをそれを必要とする被験体へ投与することを含む。例えば、IL−4Rに対するエアロゾル化抗体は、患者において喘息を処置するために投与され得る。エアロゾル化抗体は例えばUS8178098(その全体が本明細書に加入される)に記載されるように製造され得る。
【0098】
特定の状況において、医薬組成物は徐放(controlled release)系で送達され得る。一実施態様において、ポンプが使用され得る(Langer、supra;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照のこと)。別の実施態様において、ポリマー材料が使用され得る;例えば、Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise (eds.)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照のこと。さらに別の実施態様において、徐放系が組成物の標的に近接して配置され得、それ故全身用量の一部しか必要としない(例えば、、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、vol.2、pp.115−138を参照のこと)。他の徐放系はLanger、1990、Science 249:1527−1533による概説において考察される。
【0099】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内及び筋内注射、点滴などのための投薬形態を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法により製造され得る。例えば、注射用製剤は、例えば、上記の抗体又はその塩を、注射のために従来使用される滅菌水性媒体又は油性媒体中に溶解、懸濁又は乳化させることにより製造され得る。注射のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコース及び他の補助剤含有する等張液などがあり、これらはアルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HC
O−50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などのような適切な可溶化剤と組み合わせて使用され得る。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが使用され、これらは安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用され得る。従って注射剤は、好ましくは適切なアンプル中に充填される。
【0100】
有利には、上記の経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適している単位用量で投薬形態へと製造される。このような単位用量での投薬形態としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などでが挙げられる。
【0101】
本発明の状況において使用され得る抗IL−4R抗体を含む例となる医薬組成物は、例えば米国特許出願公開第2012/0097565号に開示される。
【0102】
投薬量
本発明の方法に従って被験体に投与されるIL−4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL−4R抗体)の量は、一般的には治療有効量である。本明細書で使用される句「治療有効量」は:(a)喘息増悪の発生率の減少;(b)1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーターの改善(本明細書の他所で定義されるとおり);及び/又は(c)上気道炎症状態の1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候の検出可能な改善のうちの1つ又はそれ以上を生じるIL−4Rアンタゴニストの量を意味する。「治療有効量」はまた、被験体において喘息の進行を阻害、予防、低下、又は遅延させるIL−4Rアンタゴニストの量を含む。
【0103】
抗IL−4R抗体の場合、治療有効量は、抗IL−4R抗体、約0.05mg〜約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約3.0mg、約5.0mg、約7.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、又は約600mgであり得る。特定の実施態様において、抗IL−4R抗体300mgが投与される。
【0104】
個々の用量内に含まれるIL−4Rアンタゴニストの量は、患者の体重1kgあたりの抗体のミリグラムで表され得る(すなわち、mg/kg)。例えば、IL−4Rアンタゴニストは約0.0001〜約10mg/患者の体重kgの用量で患者に投与され得る。
【0105】
組み合わせ治療
特定の実施態様によれば、本発明の方法は、被験体に1つ又はそれ以上のさらなる治療剤をIL−4Rアンタゴニストと組み合わせて投与することを含む。本明細書で使用される表現「組み合わせて」は、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前、後、又はIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と同時に投与することを意味する。いくつかの実施態様において、用語「組み合わせて」は、IL−4Rアンタゴニスト及び第二の治療剤の逐次的又は同時の投与を含む。本発明は、喘息もしくは関連状態もしくは合併症を処置するため、又は少なくとも1つの増悪を減少させるための方法を含み、該方法は、付加的又は相乗的活性のために第二の治療剤と組み合わせてIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む。
【0106】
例えば、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約72時間前、約60時間前、約48時間前、約36時間前、約24時間前、約12時間前、約10時間前、約8時間前、約6時間前、約4時間前、約2時間前、約1時間前、約30分前、約15分前、又は約10分前に投与され得る。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投薬の10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後、又は約72時間後に投与され得る。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時」の投与は、さらなる治療剤が、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満以内(前、後、又は同時に)別々の投薬形態で被験体に投与されるか、又はさらなる治療剤及びIL−4Rアンタゴニストを両方含む単一の合わせた投薬製剤として被験体に投与されることを意味する。
【0107】
さらなる治療剤は、例えば、別のIL−4Rアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号に記載されるIL−1アンタゴニストが挙げられる)、IL−6アンタゴニスト、IL−6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号に記載される抗IL−6R抗体が挙げられる)、TNFアンタゴニスト、IL−8アンタゴニスト、IL−9アンタゴニスト、IL−17アンタゴニスト、IL−5アンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、CD48アンタゴニスト、ロイコトリエン阻害剤、抗真菌薬、NSAID、長時間作用性ベータ
2アゴニスト(例えば、サルメテロール又はホルモテロール)、吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾン又はブデソニド)、全身性コルチコステロイド(例えば、経口又は静脈内)、メチルキサンチン、ネドクロミルナトリウム、クロモリンナトリウム(cromolyn sodium)、又はそれらの組み合わせであり得る。例えば、特定の実施態様において、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物は、長時間作用性ベータ
2アゴニスト及び吸入コルチコステロイドを含む組み合わせ(例えば、フルチカゾン+サルメテロール[例えば、Advair
(R)(GlaxoSmithKline)];又はブデソニド+ホルモテロール[例えば、Symbicort
(R)(Astra Zeneca)])と組み合わせて投与される。
【0108】
投与計画
本発明の特定の実施態様によれば、IL−4Rアンタゴニストの複数回用量は規定された時間経過にわたって被験体に投与され得る。このような方法は、IL−4Rアンタゴニストの複数回用量を被験体に逐次的に投与することを含む。本明細書で使用される「逐次的に投与すること」は、IL−4Rアンタゴニストの各用量が、例えば所定の間隔(例えば、時間、日、週、又は月)だけ間隔を空けた異なる時点で、例えば異なる日に被験体に投与されることを意味する。本発明は、IL−4Rアンタゴニストの単回初期用量、続いてIL−4Rアンタゴニスト1つ又はそれ以上の二次用量、そして場合により続いてIL−4Rアンタゴニストの1つ又はそれ以上の三次用量を患者に逐次的に投与することを含む方法を含む。
【0109】
本発明は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を被験体に、治療反応が達成される限り、およそ週に4回、週に2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、8週間に1回、12週間に1回、又はそれ以下の投薬頻度で投与することを含む方法を含む。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む特定の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の週に1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の2週間に1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の3週間に1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの4週間の1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の5週間に1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の6週間に1回の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の8週間に1度の投薬が使用され得る。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含む他の実施態様において、約75mg、150mg、又は300mgの量の12週に1回の投薬が使用され得る。好ましい投与経路は皮下である。
【0110】
用語「週(week)」又は「週(weeks)」は、(n x 7日)±2日、好ましくは(n x 7日)±1日、より好ましくは(n x 7日)の期間を指し、ここで「n」は、週の数を指定し、例えば1、2、3、4、5、6、8、12又はそれ以上である。
【0111】
用語「初期用量」、「二次用量」、及び「三次用量」は、IL−4Rアンタゴニストの投与の時系列を指す。従って、「初期用量」は処置計画の初めに投与される用量であり(「ベースライン用量」とも呼ばれる);「二次用量」は初期用量の後に投与される用量であり;そして「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初期、二次、及び三次用量は全て、同じ量のIL−4Rアンタゴニストを含有していてもよいが、一般的には投与頻度の点から互いに異なり得る。しかし、特定の実施態様において、初期、二次及び/又は三次用量に含有されるIL−4Rアンタゴニストの量は、処置の過程で互いに変わる(例えば、適宜上方又は下方に調整される)。特定の実施態様において、2つ又はそれ以上(例えば、2、3、4、又は5)の用量が、処置計画の初めに「負荷投与量」として投与され、続いてより低い頻度で投与される後続用量(例えば、維持量)が投与される。一実施態様において、維持量は負荷投与量よりも低いものであり得る。例えば、IL−4Rアンタゴニスト600mgの1つ又はそれ以上の負荷投与量が投与され得、続いて約75mg〜約300mgの維持量が投与され得る。
【0112】
本発明の1つの例となる実施態様において、二次用量及び/又は三次用量はそれぞれ、直前の投薬の1〜14週間後(例えば、1、1
1/
2、2、2
1/
2、3、3
1/
2、4、4
1/
2、5、5
1/
2、6、6
1/
2、7、7
1/
2、8、8
1/
2、9、9
1/
2、10、10
1/
2、11、11
1/
2、12、12
1/
2、13、13
1/
2、14、14
1/
2週間又はそれ以上後)に投与される。句「直前の投薬」は、一連の複数回投与で、投薬を介在させずに、その順番で次の用量の投与の前に患者に投与されるIL−4Rアンタゴニストの投薬を意味する。
【0113】
これらの方法は、IL−4Rアンタゴニストの任意の数の二次用量及び/又は三次用量を患者に投与することを含み得る。例えば、特定の実施態様において、単回二次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2つ又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施態様において、単回の三次用量のみが患者に投与される。他の実施態様において、2つ又はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0114】
複数回二次用量を含む実施態様において、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各二次用量は、直前の投薬の1〜2週間後に患者に投与され得る。同様に、複数回三次用量を含む実施態様において、各三次用量は他の三次用量と同じ頻度で投与され得る。例えば、各三次用量は、直前の投薬の2〜4週後に患者に投与され得る。あるいは、二次用量及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、処置計画のの間に変化し得る。投与頻度はまた、臨床検査後に個々の患者の必要性に依存して医師による処置の過程の間に調整され得る。
【0115】
本発明は、喘息又は関連状態を処置するための、患者へのIL−4Rアンタゴニスト及び第二の治療剤の逐次投与を含む方法を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの1つ又はそれ以上の用量、続いて第二の治療剤の1つ又はそれ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)を投与することを含む。例えば、喘息の1つ又はそれ以上の症状を処置、軽減、減少又は寛解するために、IL−4Rアンタゴニスト約75mg〜約300mgの1つ又はそれ以上の用量が投与され得、その後、第二の治療剤(例えば、吸入コルチコステロイド又はベータ2−アゴニスト又は本明細書の他所に記載されるいずれかの他の治療剤)の1つ又はそれ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)が、投与され得る。いくつかの実施態様において、IL−4Rアンタゴニストは、1つ又はそれ以上の喘息関連パラメーターの改善を生じる1つ又はそれ上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)で投与され、続いて少なくとも1つの喘息症状の再発を予防するために第二の治療剤が投与される。代替の実施態様は、IL−4Rアンタゴニスト及び第二の治療剤の同時投与に関する。例えば、1つ又はそれ以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上)のIL−4Rアンタゴニストが投与され、そして第二の治療剤が、IL−4Rアンタゴニストと比較して類似又は異なる頻度で別々の投薬量で投与される。いくつかの実施態様において、第二の治療剤は、IL−4Rアンタゴニストの前、後、又はIL−4Rアンタゴニストと同時に投与される。
【0116】
処置集団
本発明の方法は、IL−4Rアンタゴニストを含む治療用組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む。表現「それを必要とする被験体」は、喘息(例えば、中程度から重度の好酸球性喘息を含む好酸球性喘息)の1つもしくはそれ上の症状もしくは兆候を示すか、又は喘息と診断されたヒト又は非ヒト動物を意味する。例えば、「それを必要とする被験体」は、例えば、処置前に、不良FEV1(例えば、2.0L未満)、不良AM PEF(例えば、400L/分未満)、不良PM PEF(例えば、400L/分未満)、少なくとも2.5のACQ5スコア、一晩あたり少なくとも1回の夜間覚醒、及び/又は少なくとも20のSNOT−22スコアのような1つ又はそれ以上の喘息関連パラメーターを示す(又は示していた)被験体を含み得る。様々な実施態様において、これらの方法は、それを必要とする患者において軽度、中程度から重度及び重度の喘息を処置するために使用され得る。
【0117】
関連する実施態様において、「それを必要とする被験体」は、IL−4Rアンタゴニストを投与される前に、吸入コルチコステロイド(ICS)/長時間作用性ベータ
2−アドレナリン作動性アンタゴニスト(LABA)の組み合わせを処方されたことがあるか、又は現在摂取している被験体であり得る。ICS/LABA治療の例としては、フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療及びブデソニド/ホルモトロール(formotorol)組み合わせ治療が挙げられる。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与の直前2週間又はそれ以上の間ICS/LABAの通常の過程(このような事前の処置は本明細書において「バックグラウンド処置」と呼ばれる)を受けていた患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。本発明は、IL−4Rアンタゴニストの最初の投与の時点で、又は最初の投与の直前(例えば1日〜2週間前)にバックグラウンド処置が中断される治療方法を含む。あるいは、バックグラウンド処置はIL−4Rアンタゴニストの投与と組み合わせて継続され得る。さらに他の実施態様において、ICS成分の量、LABA成分の量、又は両方がIL−4Rアンタゴニスト投与の開始前又は後に徐々に減少される。いくつかの実施態様において、本発明は、少なくとも12ヶ月以上の間、持続性喘息を有する患者を処置するための方法を含む。一実施態様において、持続性喘息を有する患者は、コルチコステロイドのような治療剤による処置に抵抗性であり得、そして本発明に従うIL−4Rアンタゴニストを投与され得る。
【0118】
いくつかの実施態様において、「それを必要とする被験体」は、喘息関連バイオマーカーの上昇したレベルを有する被験体であり得る。喘息関連バイオマーカーの例としては、限定されないが、IgE、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)、エオタキシン−3、CEA、YKL−40、及びペリオスチンが挙げられる。いくつかの実施態様において、「それを必要とする被験体」は、血中好酸球300/μl以上又は痰中好酸球レベル3%以上を有する被験体であり得る。一実施態様において、「それを必要とする被験体」は、呼気一酸化窒素(fraction of exhalated nitric oxide)(FeNO)により測定して、上昇したレベルの気管支又は気道炎症を有する被験体であり得る。
【0119】
本発明の目的のために、健常被験体における正常IgEレベルは約100kU/L未満(例えば、ImmunoCAP
(R)アッセイ[Phadia、Inc.Portage、MI]を使用して測定して)である。従って、本発明は、上昇した血清IgEレベル(約100kU/Lより高い、約150kU/Lより高い、約500kU/Lより高い、約1000kU/Lより高い、約1500kU/Lより高い、約2000kU/Lより高い、約2500kU/Lより高い、約3000kU/Lより高い、約3500kU/Lより高い、約4000kU/Lより高い、約4500kU/L、又は約5000kU/Lより高い血清IgEレベル)を示す被験体を選択すること、及び該被験体に治療有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法を含む。
【0120】
健常被験体におけるTARCレベルは、106ng/L〜431ng/Lの範囲であり、平均は約239ng/Lである。(TARCレベルを測定するための例となるアッセイ系は、R&D Systems、Minneapolis、MN.によりカタログ番号DDN00で提供されるTARC定量的ELISAキットである。)従って、本発明は、約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/L、又は約5000ng/Lより高い血清TARCレベルである上昇したTARCレベルを示す被験体を選択すること、及び治療有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を含む。
【0121】
エオタキシン−3は、気道上皮細胞に放出されるケモカインのグループに属し、これはTh2サイトカインIL−4及びIL−13により上方調節される(Lilly et al 1999、J.Allergy Clin.Immunol.104:786−790)。本発明は、約100pg/mlより高い、約150pg/mlより高い、約200pg/mlより高い、約300pg/mlより高い、又は約350pg/mlより高いような上昇したエオタキシン−3レベルを有する患者を処置するためにIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。血清エオタキシン−3レベルは例えばELISAにより測定される。
【0122】
ペリオスチンは、Th2媒介炎症プロセスに関与する細胞外マトリックスタンパク質である。ペリオスチンレベルは、喘息を有する患者において上方調節されることが見いだされる(Jia et al 2012 J Allergy Clin Immunol.130:647−654.e10.doi:10.1016/j.jaci.2012.06.025.Epub 2012 Aug 1)。本発明は、ペリオスチンの上昇したレベルを有する患者を処置するためにIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。
【0123】
呼気一酸化窒素(Fractional exhaled NO)(FeNO)は、気管支又は気道炎症のバイオマーカーである。FeNOはIL−4及びIL−13を含む炎症性サイトカインに応答して気道上皮細胞により産生される(Alwing et al 1993、Eur.Respir.J.6:1368−1370)。FeNOレベルは、健常成人において2〜30パーツ・パー・ビリオン(ppb)である。FeNOを測定するための例となるアッセイは、Aerocrine AB、Solna、SwedenによるNIOX機器を使用することによるものである。評価は、肺活量測定の前でかつ少なくとも1時間の絶食後に行われ得る。本発明は、約30ppbより高い、約31ppbより高い、約32ppbより高い、約33ppbより高い、約34ppbより高い、又は約35ppbより高いような上昇したレベルの呼気NO(FeNO)を有する患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。
【0124】
癌胎児抗原(CEA)は、肺の非腫瘍性疾患に対する相関が見られる腫瘍マーカーである(Marechal et al 1988、Anticancer Res.8:677−680)。血清中のCEAレベルはELISAにより測定され得る。本発明は、約1.0ng/mlより高い、約1.5ng/mlより高い、約2.0ng/mlより高い、約2.5ng/mlより高い、約3.0ng/mlより高い、約4.0ng/mlより高い、又は約5.0ng/mlより高いような上昇したレベルのCEAを有する患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。
【0125】
YKL−40[そのN末端アミノ酸チロシン(Y)、リジン(K)及びロイシン(L)並びに40kDのその分子量に由来する]は、喘息増悪、IgE、及び好酸球に対して上方調節されかつ相関が見られるキチナーゼ様タンパク質である(Tang et al 2010 Eur.Respir.J.35:757−760)。血清YKL−40レベルは、例えばELISAにより測定される。本発明は、約40ng/mlより高い、約50ng/mlより高い、約100ng/mlより高い、約150ng/mlより高い、約200ng/mlより高い、又は約250ng/mlより高いようなYKL−40の上昇したレベルを有する患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。
【0126】
誘発痰中好酸球及び好中球は気道炎症の十分に確立された直接的なマーカーである(Djukanovic et al 2002、Eur.Respire.J.37:1S−2S)。痰は高張食塩水の吸入で誘発され、そして当該分野で公知の方法、例えば欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)のガイドラインに従って細胞計数のために処理される。本発明は、約2.5%より高い、又は約3%より高いような上昇したレベルの痰中好酸球を有する患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。
【0127】
薬力学的喘息関連パラメーターを評価するための方法
本発明はまた、それを必要とする被験体において、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物の投与により引き起こされる、1つ又はそれ以上の薬力学的喘息関連パラメーターを評価するための方法を含む。喘息増悪の発生率の減少(上記のとおり)又は1つもしくはそれ以上の喘息関連パラメーターの改善(上記のとおり)は、1つ又はそれ以上の薬力学的喘息関連パラメーターの改善と相関し得るが;このような相関関係は必ずしも全ての症例において観察されるわけではない。
【0128】
「薬力学的喘息関連パラメーター」の例としては、例えば、以下が挙げられる:(a)バイオマーカー発現レベル;(b)血清タンパク質及びRNA分析;(c)誘発痰中好酸球及び好中球レベル;(d)呼気一酸化窒素(FeNO);並びに(e)血中好酸球数。「薬力学的喘息関連パラメーターの改善」は、例えば、TARC、エオタキシン−3もしくはIgEのような1つもしくはそれ以上のバイオマーカーのベースラインからの減少、痰中好酸球もしくは好中球、FeNO、又は血中好酸球数の減少。薬力学的喘息関連パラメーターに関して本明細書中で使用される用語「ベースライン」は、本発明において特徴とされる医薬組成物の投与の前、又は投与時の患者についての薬力学的喘息関連パラメーターの数値を意味する。
【0129】
薬力学的喘息関連パラメーターを評価するために、パラメーターをベースライン及び本発明の医薬組成物の投与後の時点で定量する。例えば、薬力学的喘息関連パラメーターは、本発明の医薬組成物での初期処置の、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、14日後、又は3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12週間後、13週間後、14週間後、15週間後、16週間後、17週間後、18週間後、19週間後、20週間後、21週間後、22週間後、23週間後、24週間後、又はそれ以上後に測定され得る。処置の開始後の特定の時点でのパラメーターの値と、ベースラインでのパラメーターの値との差異を、薬力学的喘息関連パラメーターの「改善」のような変化(例えば、測定される特定のパラメーターに依存して、場合によって増加又は減少)があったか否かを確立するために使用する。
【0130】
特定の実施態様において、IL−4Rアンタゴニストの患者への投与は、特定のバイオマーカーの発現において、減少又は増加のような変化を引き起こす。喘息関連バイオマーカーとしては以下が挙げられる:血清中の、(a)総IgE;(b)胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC);(c)YKL−40;並びに(d)癌胎児抗原(CEA、CEA細胞接着分子5[CEACAM5]としても知られる)、並びに血漿中の(e)エオタキシン−3。例えば、IL−4Rアンタゴニストの喘息患者への投与は、TARCもしくはエオタキシン−3レベルの減少、又は総血清IgEレベルの減少の1つ又はそれ以上を引き起こし得る。減少は、IL−4Rアンタゴニストの投与の1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、又はそれ以上後に検出され得る。バイオマーカー発現は当該分野で公知の方法にアッセイされ得る。例えば、タンパク質レベルはELISA (酵素結合免疫吸着測定法)により測定され得、又はRNAレベルはポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)と連結された逆転写により測定され得る。
【0131】
上で考察されたように、バイオマーカー発現は、血清中のタンパク質又はRNAの検出によりアッセイされ得る。血清サンプルはまた、IL−4Rアンタゴニストでの処置、IL−4/IL−13シグナル伝達、喘息、アトピー又は好酸球性疾患に対する応答に関連するさらなるタンパク質又はRNAバイオマーカーをモニタリングする(例えば、可溶性IL−4Rα、IL−4、IL−13、ペリオスチンを測定することによる)ために使用され得る。いくつかの実施態様において、RNAサンプルを使用してRNAレベル、例えば、バイオマーカーのRNAレベルを決定し(非遺伝子分析);そして他の実施態様では、RNAサンプルをトランスクリプトーム配列決定(例えば、遺伝子解析)のために使用する。
【実施例】
【0132】
以下の実施例は、本発明において特徴とされる方法及び組成物を製造及び使用する方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明者らが彼らの発明とみなすものの範囲を制限することは意図されない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするために努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差及び偏差が占めるはずである。そうではないと示されていなければ、部数は質量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0133】
実施例1.ヒトIL−4Rに対するヒト抗体の生成
ヒト抗hIL−4R抗体を、米国特許第7,608,693号に記載されるように生成した。表1は、選択された抗IL−4R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列対、及びCDRアミノ酸配列についての配列識別子、並びにそれらの対応する抗体記号表示を示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
以下の実施例において使用される例となるIL−4Rアンタゴニストは、表1においてH1H098−bと表示されるヒト抗IL−4R抗体である(本明細書で「mAb1」とも呼ばれる)。
【0137】
実施例2:慢性肥厚性好酸球性副鼻腔炎を有する喘息患者を含む、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の臨床試験
A.研究目的及び概要
無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群研究を、吸入コルチコステロイド(ICS)及び長時間作用性ベータ2アゴニスト(LABA)治療により部分的に管理された/管理されなかった持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者に、300mg mAb1又はプラセボのいずれかを12週間、週に1回皮下投与して行った。研究の主目的は、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において、喘息増悪の発生率の減少に対する、プラセボと比較した12週間の週に1回皮下投与されたmAb1の効果を調べることであった。この研究の二次目的は、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において12週間週に1回皮下投与されたmAb1の安全性及び許容性を評価すること、並びに持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において12週間の間週に1回の皮下投薬後のmAb1血清濃度を評価することであった。
【0138】
スクリーニングの前に、患者は少なくとも1ヶ月間、ICS/LABA組み合わせ治療(「バックグラウンド治療」とも呼ばれる)の以下の用量及び処方のいずれかの安定用量を継続中である必要があった:
フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療
− Advair
(R) Diskus−ドライパウダー吸入器(DPI):250/50ugを1日に2回(BID)もしくは500/50ug BID;又は
− Advair
(R) HFA−定量吸入器(MDI):230/42ug BIDもしくは460/42ug BID;又は
ブデソニド/ホルモテロール組み合わせ治療(Symbicort
(R) 160/9ug
BID又は320/9ug BID);又は
モメタゾン/ホルモテロール組み合わせ治療(Dulera
(R) 200/10ug BID又は400/10ug BID)。
【0139】
ブデソニド/ホルモテロール又はモメタゾン/ホルモテロールを継続中であった患者を、無作為化時(1日目)に等価用量のフルチカゾン/サルメテロールに切り替えて、フルチカゾン/サルメテロールを継続中であった患者はバックグラウンド治療と同じままであった。
【0140】
組み入れ基準及び除外基準(以下を参照のこと)を満たした患者を、以下の処置の1つに無作為に選んだ:mAb1 300mgを12週間、週に1回皮下投与;又はプラセボを12週間、週に1回皮下投与した。
【0141】
この研究は2週間のスクリーニング期間、無作為化後の4週間のバックグラウンド治療安定期及び8週間のバックグラウンド治療休薬期を含む12週間の処置期間、続いて8週間の処置後経過観察期間を含んでいた。
【0142】
バックグラウンド治療(ICS/LABA)休薬のためのアルゴリズム:
患者は、300mg mAb1(又はプラセボ)の付加型治療又は処置を開始した後4週間、1日に2回の(BID)フルチカゾン/サルメテロールバックグラウンド治療を継続したままであった。無作為化の4週後に、患者を、BID フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療から等価ICS用量のフルチカゾン単独療法(250ugもしくは500ugのFlovent
(R) Diskus−BIDDPI製剤;又は220ugもしくは440ug BIDのFlovent
(R)HFA−MDI製剤のいずれかを含む)に切り替えた。LABA成分(すなわち、サルメテロール)を中断した。その後の来診時に、患者が喘息増悪(以下に定義されるとおり)についての基準をいずれも満たしていなかった場合には、6週目に開始して、フルチカゾン用量を約50%減少させた。喘息増悪が発生したかった場合には、ICS休薬を以下のスケジュールに従って進めた:
【0143】
【表3】
【0144】
治験薬での12週間の処置が完了すると(又は早期中断の後)、患者を、最終安全性評価の前にさらに8週間の試験外薬物療法のために症状を管理するために、フルチカゾン/サルメテロール、ブデソニド/ホルモテロール、又はモメタゾン/ホルモテロール(研究登録時の用量)及び必要に応じてアルブテロール又はレブアルブテロールの彼らの元の用量に設定した。
【0145】
成人患者は、以下の基準に基づいて研究に含められた:(1)喘息管理の国際指針(Global Initiative for Asthma)(GINA)2009ガイドラインに基づいて少なくとも12ヶ月以上の持続性喘息の医師の診断、その気道炎症は好酸球性である可能性がある;並びに(2)その喘息が、以下の基準に従って吸入コルチコステロイド/長時間作用性ベータ−アゴニスト組み合わせ治療で部分的に管理されるか又は管理されない:(i)スクリーニング前の少なくとも1ヶ月間、フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療(DPI製剤:250/50μg BIDもしくは500/50μg BID又はMDI:230/42μg BIDもしくは460/42μg BID)、又はブデソニド/ホルモテロール組み合わせ治療(160/9μg BID又は320/9μg BID)、又はモメタゾン/ホルモテロール組み合わせ治療(200/10μg BID又は400/10μg BID)のいずれかの安定用量;(ii)スクリーニング期の間、血中好酸球≧300細胞/μl又は痰中好酸球≧3%;(iii)スクリーニング時に1.5以上かつ3.0以下ののJuniper喘息コントロール質問票(5質問版、ACQ)スコア;(iv)スクリーニング期の間(最大3回の試行)及び最初の用量の前の無作為化時に(最大3回の試行)FEV1 50%以上で正常と予測される;(v)スクリーニングの前2年以内に、喘息悪化のために1回もしくはそれ以上の全身(経口及び/又は非経口)ステロイドバースト(bursts)での処置、又は喘息悪化のために入院もしくは救急治療受診のいずれか;並びに(vi)スクリーニングの12ヶ月以内に、基準 − スクリーニング期の間のアルブテロール200μg〜400μg(2〜4回の吸入)の後FEV1において少なくとも12%及び200mL(最大3回の試行)を満たす可逆性の文書化された履歴、又はスクリーニングの前12ヶ月以内にポジティブメタコリン負荷(PD20 メタコリン 8mg以下)の文書化された履歴。吸入コルチコステロイド及び長時間作用性ベータアゴニスト(ADVAIR
(R)、SYMBICORT
(R)又はDULERA
(R))での中程度から高用量の組み合わせ治療で部分的に管理されるか又は管理されず、かつスクリーニング期の間に1マイクロリットルあたり300個に等しいかもしくはそれ以上の細胞の血中好酸球、又は3%に等しいかもしくはそれ以上の痰中好酸球を有する患者は、研究に含められた。
【0146】
全ての組み入れ基準を満たす患者は、以下の除外基準についてスクリーニングされた:(1)18歳未満又は65歳より上の患者;(2)未知の疾患を示唆し、かつさらなる評価を必要とする臨床的に関連のある異常な臨床検査値;(3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び/又は肺機能試験を害する他の肺疾患;(4)何らかの理由のためにベータアドレナリン受容体遮断薬を必要とする患者;(5)現喫煙者又はスクリーニング前6ヶ月以内に禁煙;(6)年に10箱より多い過去の喫煙歴;(7)スクリーニング前2ヶ月間に喘息増悪に起因する入院又は緊急処置来診;(8)研究期間内にアレルゲン免疫療法を開始する予定;(9)抗体の5半減期未満であるが30日以上の、スクリーニング前の期間、又は抗体の半減期が知られていない場合は、少なくとも6ヶ月間である、スクリーニング前の期間内に、別の試験抗体への曝露;(10)現在の試験への以前の登録;(11)患者が治験責任医師、彼/彼女の家族、又は試験所での従業員であった;(12)既知又は疑われる非遵守、アルコール又は薬物乱用;(13)試験の手順に従うことができない(例えば、言語の問題又は心理学的障害に起因する);(14)睡眠パターンの逆転(例えば、夜間労働者);(15)QTc間隔を延長させることが知られている薬物での処置;(16)ICS(例えば、活動性又は非活動性肺結核)又はLABA(例えば、糖尿病、心血管疾患、高血圧、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症など)の使用が禁忌となっている付随する重症疾患;(17)スクリーニング前2ヶ月以内、又はスクリーニング前6ヶ月以内の3過程(courses)より多い注射用糖質コルチコイド又は経口全身糖質コルチコイドの使用;(18)単独、又は非ステロイド系コントローラーと組み合わせた(フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療、ブデソニド/ホルモテロール組み合わせ治療、又はモメタゾン/ホルモテロール組み合わせ治療以外)、可変用量のICSでの前処置;(19)禁止された併用薬物(以下に列挙される)を投与されている患者;(20)ドキシサイクリン又は関連化合物に対する既知のアレルギー;(21)妊娠又は試験の過程で妊娠する意向、母乳栄養、又は避妊の有効方法を使用しようとしないこと;並びに(22)寄生虫感染の最近の病歴又はスクリーニング前6ヶ月以内の寄生虫流行地への旅行。
【0147】
試験の最初の4週間は患者はバックグラウンド喘息治療の一定用量を維持し、その後、バックグラウンド治療の用量を徐々に減少させる。最初に、バックグラウンド治療の長時間作用性ベータアゴニスト成分を4週目に休薬し、次いで吸入コルチコステロイド用量を12週まで2週間ごとに半分に減らした。患者は、試験の終わりまで、又は喘息増悪もしくはいずれかの他の理由に起因して休薬するまで、試験処置を継続した。
【0148】
B.試験処置
治験薬:皮下(SC)注射用の滅菌mAb1 150mg/mL溶液を5mLガラスバイアルで提供した。各バイアルは2mLの引きぬき可能(withdrawable)体積を含んでいた。300mg用量を、12週間、朝に週に1回試験部位で皮下投与した。
プラセボ:SC注射用の滅菌プラセボを、完全に同じように合致する5mLガラスバイアルで提供した。各バイアルは2mLの引きぬき可能体積を含んでいた。プラセボを、12週間、朝に週に1回試験部位で皮下投与した。
【0149】
以下の併用薬物療法は、試験期間の間は許可されなかった:治験実施計画書に従って(per the protocol)投与されるフルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療又はフルチカゾン(又はスクリーニング期間の間のブデソニド/ホルモテロールもしくはモメタゾン/ホルモテロール)以外のいずれの他の吸入ステロイド;全身又は眼ステロイド;治験実施計画書に従って投与されるフルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療のサルメテロール成分以外のLABA;上に示されるもの以外のいずれかの他のICS/LABA組み合わせ薬;いずれかの吸入抗コリン剤(例えば、イプラトロピウム臭化物又はチオトロピウム);メチルキサンチン(テオフィリン、アミノフィリン);クロモン(cromones);抗IgE治療;リポキシゲナーゼ阻害剤;及びロイコトリエン受容体アンタゴニスト又はロイコトリエン合成阻害剤。
【0150】
C.処置の有効性
この試験の主要評価項目は、以下のいずれかにより定義される喘息の増悪の発生であった:(1)連続した2日間、朝の最大呼気流量(PEF)におけるベースラインからの30%もしくはそれ以上の減少;又は(2)連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロールもしくはレブアルブテロールの6回又はそれ以上のさらなる発作治療薬パフ;又は(3)(a)全身(経口及び/又は非経口)ステロイド処置、もしくは(b)試験からの中断前に受けていた最後の用量のICSの4倍以上の増加、もしくは(c)入院を必要とする、治験責任医師により決定された喘息の悪化。
【0151】
試験の副次的評価項目は、以下のパラメーターのベースラインからの平均変化を含んでいた:上気道症状を評価するために、ベースライン及び処置終点(12週目)に評価された、(1)来診時ごとに測定されたリットルでの1秒間努力呼気容量(FEV1);(2)毎日測定されたリットル/分での朝及び夜の最大呼気流量(AM PEF及びPM PEF);(3)吸入/日での毎日のアルブテロール/レブアルブテロール(Levalbuteral)使用;(4)来診時ごとの5項目喘息コントロール質問票(ACQ5)スコア;並びに(5)毎日測定された夜間覚醒(一晩あたりの回数)、及び(6)22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)。副次的評価項目はまた、連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロール又はレブアルブテロールの6回以上のさらなる発作治療薬パフと共に、連続した2日間、朝のPEFにおけるベースラインからの30%又はそれ以上の減少により定義される複合喘息事象を有する患者の比率を含んでいた。PEF、ACQ5、喘息症状スコア、夜間覚醒、及び発作治療薬治療使用を電子日記で得た。0〜10の範囲に及ぶ平均の毎日の夜間覚醒を前の7日間から平均した。朝及び夜の喘息症状スコアは、5段階のリッカート尺度(5−point Likert−type scale)で評価された非検証の患者が報告した結果からなり、より高いスコアはより悪い結果を示す(表2)。患者はPEFを測定する前に1日2回、全体症状スコアを記録した。データは特定された時点の前7日間の平均として記載される(例えば、
図26A及び26Bを参照のこと)。
【0152】
【表4】
【0153】
D.有害事象モニタリング
有害事象及び重篤な有害事象をモニタリングすることにより、安全性を試験全体を通じて評価した。
【0154】
有害事象(Adverse Event)(AE)は、医薬品を投与された被験体又は臨床検討被験体におけるいずれかの有害な医療上の出来事である。従ってAEは、その医療上の(治験)医薬品と関連するとみなされてもみなされなくても、その医薬品の使用と時間的に関連があるいずれかの好ましくない意図せぬ徴候(異常な検査所見を含む)、症状、又は疾患であり得る。AEはまた:試験薬の使用と時間的に関連がある、既存の状態のいずれかの悪化(すなわち、頻度及び/又は強度のいずれかの臨床的に有意な変化);試験責任者により臨床的に有意とみなされた異常な検査所見;及びいずれかの有害な医療上の出来事を含む。
【0155】
重篤な有害事象(Serious Adverse Event)(SAE)は、いずれかの用量で死亡を生じるか;生命を脅かすか;入院もしくは現在の入院の延長を必要とするか;持続性もしくは重要な能力障害/無能力を生じ;先天性の異常/先天性欠損であるか;又は重大な医療事象である、いずれかの有害な医療上の出来事である。
【0156】
E.統計的方法
喘息増悪を経験した患者の比率の一次解析のために、ロジスティック回帰モデルを使用して、SAR群をプラセボと比較した。このモデルは、処置及び層別因子の項(先行するICS/LABA組み合わせ治療用量)を含んでいた。一次解析を修正包括解析(modified intent−to−treat)(mITT)集団に基づいて行い、これは少なくとも1回の用量の治験薬(IMP)を投与された全ての無作為化された患者を含んでいた。層別カイ二乗検定もまた、一次解析を裏付けるために使用した。
【0157】
二次有効性評価項目について、SNOT−22を除いて、ベースラインからの変化を、反復測定(MMRM)アプローチを用いて混合効果モデルを使用して解析した。このモデルは、応答変数として12週までのベースライン値からの変化、及び処置についての因子(母数効果)、層別因子、来診、来診による処置(treatment−by−visit)の相互作用、ベースライン値、及び来診によるベースライン(baseline−by−visit)の相互作用を含んでいた。12週目のベースラインからの変化についての処置比較に対する統計的推定は、混合効果モデルから誘導された。SNOT−22のベースラインからの変化を、共分散分析を使用した分析(ANCOVA)を使用して、欠測データを補完する(impute)ために処置の終わりの測定値を用いて解析した。薬力学的効果を、事後の方法でMMRMモデルを使用して評価した。1つの主要評価項目及び解析しかなかったので、多重度について調整は行わなかった。AE、検査パラメーター、バイタルサイン、ECG、臨床検査所見、及び身体検査を含む安全性変数を、記述統計学を使用してまとめた。
【0158】
人口統計及び臨床特徴を、記述的特徴を使用してまとめた。二次変数及び薬力学的変数のプロットを、標準誤差と共に経時的にベースラインからの平均変化として示す。MMRM解析からの処置効果の比較は、12週目のベースラインからの最小二乗平均変化(95%信頼区間[CI])に基づく。
【0159】
F.結果
試験の処置期間を完了したか中断した全104人の無作為化患者(491人からスクリーニングされた)で観察された結果を以下にまとめる。全ての無作為化した患者を、試験処置に曝露し、そしてmITT集団に含めた。ベースライン特徴は群間で同様であった。人口統計及び臨床特徴も2つの群間で同様であった(表3)。上に示したように、患者を週に1回の300mg皮下mAb1、又はプラセボのいずれかで処置した。試験処置期間を、それぞれmAb1及びプラセボ患者の86.5%及び67.3%が完了した(
図25)。中止の最も一般的な原因は有効性の欠如であり、これはmAb1(1.9%)よりもプラセボ(21.2%)でより頻繁であった。
【0160】
【表5】
【0161】
(i)主要有効性評価項目
プラセボ及びmAb1処置群における喘息増悪の発生率を表4に示す。
【0162】
【表6】
【0163】
処置期間の間に合計26人の喘息増悪があり、そして喘息増悪のために入院した患者はいなかった。プラセボ群では23人の患者(44.2%)が喘息増悪を経験したが、一方でmAb1処置群では3人の患者(5.8%)しか喘息増悪を経験しなかった。オッズ比は0.077(p<0.0001)であり、そして相対的危険性減少は約87%であった。
【0164】
全身コルチコステロイド、又は事象の前に摂取された用量の4倍もしくはそれ以上の吸入コルチコステロイドのいずれかでの処置の形態での即時介入の必要性により実証されるように、本試験の間に経験された26の喘息増悪のうち、9人は重度とみなされた。重度喘息増悪の発生率の概要を表5に示す。
【0165】
【表7】
【0166】
表5に示されるように、8人の重度喘息増悪がプラセボ群において見られ、1人の重度喘息増悪のみがmAb1処置群において見られた。プラセボ群における残りの15人及びmAb1群における2人の喘息増悪は、減少した朝のPEF及び/又は増加したアルブテロール/レブアルブテロール使用に基づいて増悪の治験実施計画書定義を満たす。表6に示されるように、活性処置群内で、ベースラインに対する持続した改善が、ステロイド休薬にもかかわらず、全てのパラメーターについて試験の過程の間に観察された。
【0167】
【表8】
【0168】
mAb1では、プラセボと比較して増悪までの時間はより長く(
図1)、そして増悪の危険性は減少した(ハザード比0,10;95%CI 0.03、0.34;P<0.001)。カプラン・マイヤープロットによる喘息増悪までの時間の解析は、mAb1での処置の効果が、患者がステロイド休薬に起因する増悪を生じるより高い危険性にある8週間後を含めて、長い期間持続するということを明らかにした(
図1)。
【0169】
プラセボ群から1人の患者のみが複合喘息事象を有していた。複合喘息事象は、連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロール又はレブアルブテロールの6回以上のさらなる発作治療薬パフと共に、連続した2日間、朝のPEFにおけるベースラインからの30%又はそれ以上の減少として定義される。
【0170】
(ii) 他の有効性評価項目
肺機能パラメーター(FEV1、AM PEF及びPM PEF)、喘息症状ベースの評価項目(ACQスコア、夜間覚醒)、及びアルブテロール使用を、各患者について各来診時に評価した。これらのパラメーターについて観察された結果(ベースラインからの毎週変化)を
図2〜7にそれぞれ示す。さらに、SNOT−22スコアをベースライン及び処置の終わりに評価した。全てのパラメーターについて、ベースライン及び12週(LOCF)の平均値を、処置群間の平均差異と共に(SNOT−22についてのANOVAモデル)表7にまとめる。表7において、「プラセボに対する差異」と標示される列は、プラセボ処置群におけるそのパラメーターについて観察された変化と比較して、パラメーターの値において観察された変化を考慮した、ベースラインからのプラセボ補正値を示す。
【0171】
【表9】
【0172】
mAb1での処置は、1週目にFEV1におけるベースラインからの有意な変化を生じ、これはLABA及びICS休薬にもかかわらず12週目まで維持され(
図2)、LABA休薬と同時に5週目にFEV1がわずかに減少した。同様の改善が朝のPEFにおいて観察されたが、夜のPEFではより小さいものであった(
図3及び4)。FEV1における12週目までのベースラインからの最小二乗(LS)平均変化はプラセボについて−0.22Lであり、そしてmAb1群について0.05Lであった(p=0.0009)。
【0173】
ACQ5スコアは1週目に両方の処置群で改善された(
図6)。しかし、ACQ5は1週目と4週目との間にmAb1でさらに改善したが、プラセボ効果は安定化し、12週まで差異を維持した。
【0174】
朝の症状スコアは、ベースラインから12週までプラセボで増加した。mAb1では、12週までベースラインより低いままである初期減少があった(
図26A)。同様のパターン(より大きな変動)が夜の喘息スコアで観察された(
図26B)。
【0175】
夜間覚醒は、プラセボ群から6週目まで安定しており、その後6週から12週まで増加した。対照的に、夜間覚醒はmAb1群において1週目までに減少し、そして12週までベースラインに対して改善したままであった(
図7)。
【0176】
アルブテロール/レブアルブテロール使用の変化(
図5)は、他の二次評価項目と同様であった:プラセボで初期減少の後、ベースラインに戻った。mAb1では、初期減少は時間とともに維持されていた。
【0177】
SNOT−22値の間にベースラインにおいて有意でない差異があり、平均プラセボスコアは26.24であり、そして平均mAb1スコアは39.02であった。12週目に、LS平均変化はプラセボ群について0.23ポイントのわずかな増加であり、そしてmAb1群について8.26ポイントの平均減少(改善)であった。これは、mAb1群についての8.49ポイントの改善の大きさに相当する(p=0.0027)。
【0178】
【表10】
【0179】
【表11】
【0180】
全ての二次評価項目について、夜のPEF及び夜間覚醒を除いて、12週の測定値はmAb1処置で有利であり、かつ有意であった(表7及び8)。mAb1での有意な改善は、上気道疾患に関連する3つのSNOT−22項目についても観察された(表9)。
【0181】
(iii) 安全性
mAb1は一般的に安全であり、かつ十分に認容性である。治療下で発現した有害事象(TEAE)が、40人(76.9%)のプラセボ処置患者及び42人(80.8%)のmAb1処置患者により同様に報告された(表10)。TEAEは非特異的であり、一般的には軽度から中程度の強度であり、そして大部分は試験の終わりまでに回復した。以下のTEAEの増加した報告がプラセボと比較してmAb1について見られた:注射部位反応が15人(28.8%)のmAb1患者及び5人(9.6%)のプラセボ患者により報告された;鼻咽頭炎が7人(13.5%)のmAb1患者及び2人(3.8%)のプラセボ患者により報告された;頭痛が6人(11.5%)のmAb1患者及び3人(5.85)のプラセボ患者により報告され、そして悪心が4人(7.7%)のmAb1患者及び1人(1.9%)のプラセボ患者により報告された。
【0182】
【表12】
【0183】
試験期間の間に死亡は報告されなかった。報告された4つの治療下で発現した重篤な有害事象(SAE):1人のmAb1患者が双極性障害を経験し、そして3人のプラセボ患者が肺炎を伴う喘息、左気胸症を伴う銃創、及び右足首骨折のSAEを経験した。これらのSAEのいずれもIMPに関連するとはみなされず、そして新しい足首骨折以外は全て試験の終わりまでに回復した。死亡はなかった。
【0184】
合計で6人の患者がTEAEのために試験を中止した:mAb1群の3人の患者(双極性障害、喘鳴を伴う喘息、及び血管浮腫)及びプラセボ群の3人の患者(上気道感染、乾癬及び喘息)。血管浮腫のTEAEは42歳のアフリカ系アメリカ人女性において、9回めの試験処置投薬後に、注射部位及び注射部位から離れて観察されたそう痒性の一般的な発疹として発生した。これは1週間持続し、試験処置中止、並びにプレドニゾン及びジフェンヒドラミン処置後に解消した。これは処置に関連するとみなされた。このAEは初回及び6回目の試験処置投薬後の注射部位におけるより軽度な発疹の後であった。
【0185】
いずれかの処置群において3人以上の患者で発生した最も一般的なAEの中で(表10)、注射部位反応、鼻咽頭炎、悪心及び頭痛がプラセボよりもmAb1でより頻繁に発生した。バイタルサイン、身体検査、臨床検査又はECG所見における臨床的に重大な変化をいずれかの群で報告する。
【0186】
G.結論
肺機能及び他の喘息管理パラメーターについて有意な改善が観察された。バックグラウンド治療休薬にもかかわらず、有効性が早い時期に、かつ持続して観察された。好酸球増加症を有する持続性の中程度から重度の喘息患者における喘息増悪の発生率の主要評価項目における約87%の相対的減少(p<0.0001)が、プラセボ(44.2%)と比較して、週に1回のmAb1 300mgでの12週間の処置後に観察された(5.8%)。表7に示されるように、プラセボと比較して処置での臨床上意味のある統計的に有意な(多重度調整無し)改善が、肺機能パラメーター(FEV1、PEF AM)、喘息症状スコア(ACQ)及びアルブテロール使用において観察された。有益な傾向がPEF PM(p=0.0567)及び夜間覚醒(p=0.0518)について観察された。統計的に有意な(多重度調整なし)改善がSNOT−22スコアについても観察された。活性処置群内で、ベースラインに対する持続した改善が、LABA及びICSの休薬にもかかわらず、全てのパラメーターについての試験の過程の間に観察された。mAb1は一般的に安全であり、十分に忍容性である。
【0187】
実施例3:バイオマーカー研究
バイオマーカー分析を、mAb1の臨床試験に参加した被験体(上の実施例2を参照のこと)から採取したサンプルで行った。具体的には、胸腺および活性化ケモカイン(thymus and activation chemokine)(TARC;CCL17)、免疫グロブリンE(IgE)、エオタキシン−3、ペリオスチン、癌胎児抗原(CEA)、YKL−40及び血中好酸球のようなTH2炎症に関連する血清/血漿バイオマーカーを、ベースライン及び試験処置の開始後の様々な時点での患者由来のサンプルにおいて測定した。これらのバイオマーカーのベースラインレベルを、処置応答についての潜在的な予測値について評価した。さらに、呼気NO(FeNO)並びに誘発痰中好酸球及び好中球を、気管支炎症のバイオマーカーとして測定した。呼気一酸化窒素評価を肺活量測定の前、かつ少なくとも1時間の絶食後にNIOX機器(Aerocrine AB、Solna、Sweden)を使用して行った。バイオマーカーを 混合モデルを使用して分析し、そしてそのモデルから誘導された最小二乗平均を以下に報告する。
【0188】
喘息被験体(N=104)に、mAb1(300mg)又はプラセボのいずれかを、試験の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、及び78日目(すなわち、12回の週ごとの投薬)に皮下投与した(本明細書の実施例2を参照のこと)。バイオマーカー分析のためのサンプルを抗体処置被験体及びプラセボ処置被験体から0、1、4、8及び12週目に集めた。抗原特異的IgEをPhadiatop
(R)試験を使用して検出した。
【0189】
TARC、エオタキシン−3、及びIgEはプラセボに応答して変化しないままであった(
図8、9及び10)。対照的に、TARC(平均%変化 +0.3%に対して−22.7%;p=0.0003)(
図8)及びエオタキシン−3(平均%変化 12.69%に対して−39.62%;p<0.0001)の急速な減少(
図9)が、mAb1で処置された患者において1週間以内に観察され、そして12週まで持続した:TARC:+7.6%プラセボに対して−26.0%(p=0.0005);エオタキシン−3:+5.13%プラセボに対して−45.67%(p<0.0001)。
【0190】
TARCレベルは、300mgで皮下投与されたmAb1への曝露後1週間以内に応答した。TARCレベルは、ICS休薬にかかわらず、mAb1処置被験体におけるベースラインレベルの約50%で一定になった。このデータは、TARC発現が、FEV1変化(これはICS休薬と並行して低下した[4週後])よりも直接的にIL−4Rシグナル伝達と関係していること、及びIL−4R遮断が、例えば、IFNガンマ投与で観察されたように、TH1特徴へのシフトを誘発する。特に、長期の処置を必要とし、TH1型免疫疾患の危険性がある患者において、TARC(及び例えばCXCL10)を使用してmAb1用量を滴定することが可能であるかもしれない。
【0191】
総血清IgEもまたmAb1処置後に減少した。総血清IgE応答はより不均一であり、TARC応答と比較して遅れた。平均(SD)ベースラインIgEレベルは、プラセボ群(n=52)について694.68IU/L(1837.82)、そしてmAb1群(n=52)について657.66(1482.25)であったが、一方中央値はプラセボ群について169.95であり、そしてmAb1群について206.15であった。この不均一性にもかかわらず、プラセボと比較してmAb1曝露患者におけるIgE減少の傾向が観察されたが4週目にしか始まらなかった。血清IgEは、プラセボと比較してmAb1群において有意に減少し(平均%変化、+13.5%に対して10.1%;p=0.0325)、これは4週目に始まって12週まで減少し続けた(平均%変化、REGN668/SAR231893について−36.8% 対 プラセボについて−5.5%;p<0.0001)(
図10)。
【0192】
FeNO、TARC、エオタキシン−3、及びIgEについての12週目のベースライン及びプラセボからの変化は、全てmAb1に有利であった(全てP<0.001)(表11)。ベースラインからの差異も処置間の差異もYKL−40又はCEAで観察されなかった。
【0193】
【表13】
【0194】
ペリオスチンレベルの一次的な減少があり、続いてLABA/ICS休薬に伴う増加があった(
図11)。mAb1の投与は増加を遅らせたが、ベースラインを上回る増加を防止しなかった。CEA(
図12)及びYKL−40(
図13)で一貫した処置効果は観察されなかった。血中好酸球の数は6週目まで変化しないままであったが、その後8週及び12週目に増加した(
図14)。末梢血好酸球数は、処置全体を通してプラセボでは変化しなかった。処置間の差異は有意ではなく、mAb1で処置された数名の患者においてのみ、より大きな血中好酸球上昇により境界増加が促進された。患者の大部分ではほとんど増加が観察されないか、又は全く観察されなかった(表12)。
【0195】
【表14】
【0196】
3人のmAb1患者しか試験の間に喘息増悪を経験しなかったので、ベースラインバイオマーカーレベルと喘息増悪との間の関連性に関して結論は出されなかった。
【0197】
mAb1処置はまた、4週目のFeNOのベースラインからの有意な減少とも関連付けられ、そしてICS休薬にもかかわらず、FeNoは12週までベースラインを下回ったままであった(12週目の平均%変化:プラセボについての35.0に対してmAb1について−28.7;p<0.0001)(
図15)。対照的に、プラセボFeNo値は8週目まで安定したままであり、その後ICS休薬と一致して増加した。
【0198】
1秒間努力呼気容量(FEV
1)の改善は、12週目にFeNO減少(r=−0.408、p=0.009)と有意に相関していた(
図16)。同様に、AM−PEF及びPM−PEFの改善はFeNO減少と相関していた(
図17及び18)。FeNOとの他の相関は有意ではなかった。表13を参照のこと。
【0199】
【表15】
【0200】
12週目のベースライン好酸球 対 FEV1におけるベースラインからの変化の散布図解析は、試験集団におけるFEV1の12週目のベースラインからの変化により測定して、ベースライン好酸球と処置効果との関連性を示していないようであった(ベースライン好酸球≧0.3ギガ/L)(
図19)。ベースライン好酸球は減少したACQ(
図20)及び減少したアルブテロール/レブアルブテロール使用(
図21)と相関していた。ベースラインでのペリオスチン及びYKL−40は減少したACQと相関があった(
図22及び23)。
【0201】
12週目のベースラインからのFEV1変化は、ICSの休薬(4週目に開始)により悪化した。同様の解析は、試験集団において(ベースライン好酸球≧0.3ギガ/L)、ベースラインTARC又はIgEと12週目のFEV1のベースラインからの変化との間の関連性を示さなかった。
【0202】
要約
これらの結果は、mAb1成人喘息患者において、Th2炎症(TARC、エオタキシン−3及びIgE)及び気管支炎症(FeNO)に関連する血清バイオマーカーを有意に減少させたということを示す。FeNO減少とFEV
1改善との間の相関は、IL−4/IL−13媒介抗炎症活性と中程度から重度の管理されていない喘息における肺機能の改善との間の関係を示唆する。
【0203】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施態様による範囲に限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載されるものに加えて様々な改変が、前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。このような改変は添付の特許請求の範囲内であることを意図される。
【0204】
実施例4:IL−4/IL−13シグナル伝達経路の遮断は、チリダニ誘発好酸球性喘息のマウスモデルにおいてIgE産生及び気道リモデリングを阻害する
導入
イエダニアレルゲン(HDM)は、Th2細胞の肺への流入、及び好酸球の肺へのIL−4誘導経内皮遊走を含むTh2免疫応答を誘導することが示されている。好酸球は、アレルギー反応における主なエフェクター細胞であり、そして好酸球からの顆粒成分(IL−4を含む)の放出は、炎症に寄与する。喘息患者において、IL−4のTh2駆動産生は、エオタキシン(強力な好酸球走化性因子)を介する血液から肺への好酸球遊走を促進する(Mochizuki et al.、J.Immunol.,1998、160(1):60−68)。さらに、炎症部位に局在化される場合、好酸球はIL−4を産生及び分泌し、それ故進行中のTh2駆動炎症に寄与する(Bjerke et al.、Respir.Med.、1996、90(5):271−277)。アレルギー性喘息の患者において、HDM負荷は、アレルゲン曝露の5週間後までに血清中のIgE及びTh2サイトカインのレベルを増加させた(van de Pol et al.、Allergy、2012、67(1):67−73)。
【0205】
この実施例において、慢性喘息のHDM誘発モデルを使用して、マウスにおける気道炎症のマーカーに対する抗IL−4R抗体の薬力学的効果を評価した。さらに、コラーゲン沈着は気道リモデリングの程度と相関性があるので、抗IL−4R抗体の気道におけるコラーゲン沈着に対する効果をこのモデルで評価した。
【0206】
材料及び方法
2つの異なる抗IL−4Rα抗体を、この実施例の実験において使用した:「mAb1」、ヒトIL−4Rαに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体(すなわち、本明細書に示される他の実施例において使用される抗IL−4R抗体);及び「抗mIL−4Rα」、マウスIL−4Rαタンパク質に特異的なマウスモノクローナル抗体。mAb1はマウスIL−4Rαと交差反応しない;従って、mAb1を、ヒトIL−4及びIL−4Rαの外部ドメインの両方がそのマウスにおける対応するマウス配列と置き換わるように操作されたヒト化マウス(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/hu)において評価した。他方で、マウス抗マウスIL−4Rα抗体「抗mIL−4Rα」は、野生型(Balb/c)マウスにおいて試験された。IL−13サイトカインのゼクエストレーション(sequestration)によるIL−13シグナル伝達を遮断する、デコイ受容体として作用するマウスIL−13Rα2−mFc融合タンパク質もこれらの実験において試験した。
【0207】
HDM誘発喘息モデルのために、マウスを10日間毎日HDMの鼻腔内適用(マウスあたりPBS 20μL中50μg)で感作し、続いて休息させた(2週間の回復期間)。アレルゲン曝露を、HDMの鼻腔内適用(マウスあたりPBS 20μL中50μg)により8週間、週に3回投与した。HDMの各投与について、感作又は曝露期間のいずれかの間に、マウスをイソフルランで軽度麻酔した。
【0208】
マウスを実験施設にて実験手順の開始前最少5日間馴化させた。実験の期間全体の間、動物を、標準的な条件下にて12時間昼夜サイクルで食餌及び水へ自由にアクセスさせながら実験施設に収容したままにした。ケージごとのマウスの数を最大5匹のマウスに限定した。
【0209】
ヒトIL−4リガンド及びIL−4Rαのヒト外部ドメインがそれらの対応するマウス配列と置き換わるように操作された総数48のヒト化マウス(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/hu)を2つの実験に使用した。IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウスは混合バックグラウンドC57Bl/6NTac (75%)/129S6SvEvTac(25%)である。さらに、同一の混合バックグラウンドの20匹の野生型同腹仔マウスを、3つ実験のうちの1つで使用した。各実験において、マウスを10日間毎日HDM(又は対照群においてPBS)で感作し、続いて11日目から29日目まで休息させた。30日目から、動物を週に3回8週間、81日目までHDMに曝露し、次いで85日目に分析のために安楽死させた。マウスを以下のように6つの実験群に分けた:
(1)
非感作、未処置:PBSを感作及び曝露期間の間、鼻腔内に適用した。マウスは抗体で処置されなかった(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウス、n=9;野生型同腹仔n=5);
(2)
HDM感作、未処置:HDMを感作及び曝露期間の間、鼻腔内に適用した。マウスは抗体で処置されなかった(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウス、n=7;野生型同腹仔、n=5);
(3)
HDM感作、抗mIL−4Rαで処置:HDMを感作及び曝露期間の間鼻腔内に適用した。マウスに抗mIL−4Rαを用量50mg/kgで週に2回、7週〜12週まで、6週間の期間の間合計12用量で腹腔内(i.p.)注射した(野生型同腹仔、n=5);
(4)
HDM感作、抗ヒトmAb1で処置:HDMを感作及び曝露期間の間鼻腔内に適用した。マウスに用量50mg/kgで週に2回、7週から12週まで、6週間の期間の間に合計12用量のmAb1を腹腔内注射した(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウス、n=12);
(5)
HDM感作、マウスIL−13Rα2−mFc融合タンパク質で処置:HDMを感作及び曝露期間の間鼻腔内に適用した。マウスに用量25mg/kgで週に2回、7週から12週まで6週間の期間の間に、合計12用量のIL−13Rα2−mFcを腹腔内注射した(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウス、n=7;野生型同腹仔、n=5);
(6)
HDM感作、アイソタイプコントロール抗体で処置:HDMを、感作及び曝露期間の間鼻腔内に適用した。マウスに、用量50mg/kgで週に2回、7週から12週まで6週間の期間の間に合計12用量のアイソタイプコントロールAbを腹腔内注射した(IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウス、n=7)。
【0210】
マウスを85日目に安楽死させ、血清免疫グロブリンレベルアッセイのために血液を集め、そして肺(1つの葉)を、i)気管支肺胞(BAL)洗浄液、ii)フローサイトメトリー分析のための消化単細胞懸濁液サンプル、iii)染色及び組織学的分析のための固定ホルマリン標本、又はiv)肺葉あたりのコラーゲン含有量を定量するためのSircol
TMコラーゲンアッセイを使用する分析のためのサンプルのいずれかを生成するために使用した。
【0211】
BAL洗浄液を、最初に気管を露出させ、そして23G洗浄管を気管壁の小さな切開を通して導入することにより、安楽死させた動物から得た。次いで滅菌PBS(1mL)を肺に注入し、そしてBAL洗浄液をシリンジを使用して洗浄管を通して回収する。BAL 100μLをCytospinにロードし、これを5分間500rpmで回転させて細胞を顕微鏡スライド上に抽出した。スライドを乾燥し、そしてH & E染色して好酸球を可視化した。
【0212】
IgEの血清レベルを、市販のELISAキットを使用して定量した。手短には、段階希釈した血清サンプルを抗IgE捕捉抗体と共に96ウェルプレートでインキュベートし、そしてIgEをビオチン化抗マウスIgE二次抗体により検出した。HRP標識された精製マウスIgEを標準として使用した。
【0213】
HDM特異的IgG1血清レベルをELISAにより定量した。手短には、HDM被覆プレートを、段階希釈した血清と共にインキュベートし、続いて抗マウスIgG1HRP結合体化抗体とともにインキュベートした。IgG1血清レベルの相対レベルを、力価単位として表す(OD450≦0.5を達成するために必要とされる希釈計数をOD450に掛けた)。集めた肺葉を液体窒素で急速冷凍し、そして抽出工程まで−80℃で保存した。コラーゲンを抽出するために、肺を氷冷NaCl/NaHCO
3溶液中でホモジナイズし、そして9000xgで10分間遠心分離した。この工程を3回繰り返し、そして得られたペレットを酢酸中で18時間4℃にて消化した。サンプルを遠心分離し、そして上清を集め、そしてSircol色素試薬と混合してコラーゲン含有量について染色した。サンプルを酸−塩洗浄試薬(Acid−Salt Wash Reagent)で洗浄して未結合のSircol色素を除去し、次いでアルカリ試薬(Alkali Reagent)と混合した。各サンプル200μLを96ウェルプレートに移し、そして555nmでのODを測定した。コラーゲン標準を各サンプル中のコラーゲン含有量の最終定量化のために使用した。
【0214】
肺を安楽死させたマウスから集め、そしてHBSS緩衝液中20分間37℃でコラゲナーゼ及びDNAseの混合物を用いて消化するまで完全DMEM培地中に氷上で維持した。コラゲナーゼ活性を0.5M EDTAを加えてクエンチし、サンプルを遠心分離し、そして赤血球をACK緩衝液を用いて溶解した。各サンプルについて得られた細胞懸濁液を3つの別々のプールに分けて、抗体混合物1(抗CD11c−APC Ab、抗SiglecF−PE Ab、抗F4/80−FITC Ab、抗CD45−PerCp−Cy5.5 Ab)、又は混合物2(抗CD11c−APC Ab、抗CD11b−PerCp−Cy5.5 Ab、抗CD103−FITC Ab、抗MHCII−PE Ab)、又は混合物3(抗CD19−PE Ab、抗Ly6G−APC Ab、抗CD3−FITC、抗CD11b−PerCp−Cy5.5 Ab)を用いて25分間4℃で染色した。染色された細胞をCytofix/Cytoperm液で30分間4℃にて固定し、そしてFACSCanto(BD Biosciences)によるフローサイトメトリー分析までPBS中で保存した。
【0215】
好酸球性喘息(EA)のHDM誘発慢性モデルから、GeneChip(R)技術を使用した遺伝子発現のマイクロアレイ分析のために、左肺葉を一群あたり4匹のマウスから採取した。HDMで感作及び曝露され、次いでアイソタイプコントロールAbで処置されたマウスにおける遺伝子発現レベルを、偽物(mock)(PBS)で感作及び曝露されて抗体処置を受けていないマウスにおける遺伝子発現レベルと比較した。遺伝子発現の変化についての閾値を>1.5倍に設定した。次いで、HDMで感作及び曝露されたマウスにおいて異なって発現されたと確認された遺伝子の集団を、抗IL−4Rα処置群でアイソタイプコントロール処置群と比較してさらに分析した。アイソタイプコントロール処置群と比較したIL−4Rα−Ab処置群における遺伝子発現の変化についての閾値を>2倍と設定した。
【0216】
結果
HDM感作及び曝露は、増加したレベルのIgE及びHDM特異的IgG1を生じた。IgE増加は、両方の抗IL−4Rα Abにより完全に遮断されたが、IL−13Rα2−Fc処置では遮断されなかった(
図27A及び27B);HDM特異的IgG1レベルはいずれの処置にも影響を受けなかった(データは示していない)。
【0217】
HDM感作及び曝露はまた、マウスの肺におけるコラーゲン含有量の増加を引き起こした。IL−4Rα Ab及びIL−13Rα2−Fcタンパク質の両方で処置されたマウスの肺におけるコラーゲン含有量は、偽物で感作及び曝露されたマウスにおいて観察されたレベルまで減少された(
図28A及び28B)。
【0218】
さらに、mAb1処置は好酸球、好中球、及び炎症性樹状細胞の肺への流入を防止した(
図29、パネルA及びB)。
【0219】
アイソタイプコントロール抗体で処置されたHDM誘発IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウスの肺組織から単離されたmRNAのマイクロアレイ分析は、偽物感作及び偽物曝露マウスと比較して、1468の遺伝子の発現差異(826は上方調節され、そして642は下方調節された遺伝子)を明らかにした。HDM誘発IL−4
hu/hu IL−4Rα
hu/huマウスのmAb1処置は、521の遺伝子においてのみ発現変化を生じ(偽物感作/曝露マウス)、HDM感作/曝露により影響を受けた約65%の遺伝子を効果的に遮断した(>1.5倍の変化、p<0.05)。mAb1が、IL−1サイトカインファミリーのいくつかのメンバー、具体的にはIL1α(2.9倍)、IL−33(2.6倍)及びIL−18結合タンパク質(1.5倍)の遺伝子発現の下方調節を媒介したという発見が特に興味深い。IL−1β遺伝子発現は、HDM誘発アイソタイプコントロール処置群では増加しなかったが(偽物感作マウスと比較して)、mAb1処置群において減少した(1.5倍)。Th1炎症性サイトカインIL−12β及びIFN−γの遺伝子発現もまた、アイソタイプコントロール処置群と比較してmAb1により下方調節された。特に、細胞ホーミング及び輸送に関与するケモカインリガンドをコードする8つの遺伝子は、アイソタイプコントロール処置群と比較した場合、mAb1処置群において下方調節された:Ccl11(約9倍減少)、Ccl8及びCxcl2(両方とも約5倍減少)、Cxcl1、Ccl7、Ccl6(全て約3倍減少)、Ccl2及びCcl9(約2倍減少)。
【0220】
結論
この実施例は、抗IL−4Rα抗体によるI型及びII型受容体を介するIL−4シグナル伝達の遮断がHDM曝露マウスの肺における炎症性及び線維性変化、さらにはHDMにより駆動された遺伝子特徴変化を抑制するということを示す。
【0221】
他の実施態様は特許請求の範囲にある。