(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306618
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】降下コンベヤー及びこれを有する順次送り冷間成型機
(51)【国際特許分類】
B65G 47/57 20060101AFI20180326BHJP
B65G 17/16 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
B65G47/57 B
B65G17/16 B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-12320(P2016-12320)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-138001(P2016-138001A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】14/605,168
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507011998
【氏名又は名称】ナショナル マシーナリー エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタンレイ ジェイ.ワッセルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス エム.へーリグ
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−021234(JP,U)
【文献】
実開平04−115807(JP,U)
【文献】
特開平08−168846(JP,A)
【文献】
米国特許第01736472(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/57
B65G 17/16
B21K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内に一定間隔で配置された複数の作業ステーションを支えるフレームと、1つの作業ステーションから他の作業ステーションへ部品を掴み移し、かつ最後の作業ステーションから解放ステーションへ前記部品を掴んで移送し、前記部品を移送解放点において落下させる移送指状部を有する移送装置と、前記解放ステーションから移送された前記部品を前記解放ステーションより十分に下の位置へ降下させるための、前記フレーム上に配置されたコンベヤーを有し、該コンベヤーは前記解放ステーションから落下する部品を受けるキャリヤを有し、また前記コンベヤーは、機械の動作サイクルの時間関係において、前記移送指状部が掴んだ部品を落下させる時、前記キャリヤが前記解放ステーションの真下に配置されることにより、前記解放ステーションから落下する部品を前記キャリヤが受けることができることを特徴とする順次送り冷間成型機。
【請求項2】
順次送り冷間成型機の作業ステーションにて成形された部品を降下させるためのコンベヤーであって、上下のスプロケットまたは車に掛けられ、かつ上へ下へのストレッチを形成するエンドレスのループと、該ループに沿って一定間隔で設けられた複数のキャリヤを有し、前記コンベヤーは、前記キャリヤを前記成型機の解放ステーションの真下に配置することにより、該解放ステーションの部品を掴み移す移送指状部から落下する部品を前記キャリヤが受けることができ、かつ前記コンベヤーは、前記ストレッチに複数のキャリヤを有し、機械の動作速度と関連する低速度で前記部品を降下させ、前記解放ステーションより十分に下の位置へ前記部品を運ぶことを特徴とする降下コンベヤー。
【請求項3】
前記キャリヤは、前記ループに枢動可能に取り付けられ、前記キャリヤの対応する枢動可能結合が上のスプロケットまたは車の近くに来た時、前記キャリヤを下方への解放位置から、上方への配送位置へ旋回させる機構が配置され、
前記上のスプロケットまたは車付近での前記キャリヤの動きは、該キャリヤが前記下方への解放位置から、前記上方への配送位置間を移動する時、前記キャリヤが前記作業ステーション面より上に上がることがないことを特徴とする請求項2記載の降下コンベヤー。
【請求項4】
前記キャリヤの位置は、該キャリヤと一定の関係を持つ、結合したキャリヤ・ローラーによって制御されることを特徴とする請求項3記載の降下コンベヤー。
【請求項5】
前記機構は、前記キャリヤを下方への解放位置から前記配送位置へ位置させる軌道を介して、次に続くキャリヤ・ローラーをガイドするチャンネルを含むことを特徴とする請求項3記載の降下コンベヤー。
【請求項6】
前記キャリヤは、浅い受皿様の形状であり、
2つのループが提供され、前記キャリヤは、前記ループ間に配置され、該ループに枢動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の降下コンベヤー。
【請求項7】
前記チャンネルは、前記2つの車のうちの1つの回転に時間関係を持ちつつ、水平枢軸に枢動可能に軸支されていることを特徴とする請求項5記載の降下コンベヤー。
【請求項8】
前記降下コンベヤーは、請求項2で規定した降下コンベヤーであることを特徴とする請求項1記載の順次送り冷間成型機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は降下コンベヤーに係り、より詳しくは、順次送り冷間成型機で作られた部品を、成型機から取り去るために作業ステーションの高さから低い位置にまで搬送するための降下コンベヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な順次送り冷間成型機は、水平面に沿って配置された数個の作業ステーションと、作業ステーションから落下する、加工対象物の削り屑、穴あけ屑を重力落とし樋へ集めるための、水平面の下に位置する溝を有する。通例、成形され出来上がった加工対象物または部品も、部品移送装置の解放位置から、溝の場所へ落下する。成形された部品が、移送解放から自由落下し、先行していた部品や硬い重力落とし樋にぶつかると、損傷することがある。成形された部品の損傷可能性は、部品の形、重量、硬さを含む、多くの要因が関与する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
部品が他の部品上に落ちて損傷するリスクを避ける、1つの試みは、部品を作業ステーション面の直ぐ下の水平の通路に沿って個別に搬送することである。この配置は、この配置がなければ操作者が立つことのできた、便利な踏み台の高さを無くしてしまうことにより、工具場所を塞ぐという欠点を持つ。さらにこの試みは、機械のフレームまたは台の側壁に穴が必要となることがあり、側壁の強度を弱める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−213427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、成形され出来上がった部品が他の部品上に落ちて損傷するリスクを避けることのできる部品を搬送するための降下コンベヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の順次送り冷間成型機は、水平面内に一定間隔で配置された複数の作業ステーションを支えるフレームと、1つのステーションから他のステーションへ、かつ最後のステーションから排出ステーションへ部品を移送する移送装置と、排出ステーションから移送された部品を降下させるための、フレーム上に配置されたコンベヤーを有し、コンベヤーは個別部品キャリヤを有し、またコンベヤーは、機械の動作サイクルの時間関係においてキャリヤが排出ステーションの近くにあるよう配置されたことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の降下コンベヤーは、順次送り冷間成型機にて成形された部品を降下させるためのコンベヤーであって、上下の車に掛けられ、かつ上へ下へのストレッチを形成するエンドレスのループと、ループに沿って一定間隔で設けられたキャリヤを有し、コンベヤーは、キャリヤを成型機の部品解放ステーションの真下に配置することにより、解放ステーションから落下する部品をキャリヤが受けることができ、かつコンベヤーは、各ストレッチに複数のキャリヤを有し、それにより解放ステーションより十分に下の高さへ、機械の動作速度と関連する低速度で部品を運ぶことができることを特徴とする。
キャリヤは、ループに枢動可能に取り付けられ、キャリヤの対応する枢動可能結合が上の車の近くに来た時、キャリヤを下方への解放位置から、上方への配送位置へ旋回させる機構が配置されたことを特徴とする。
【0008】
キャリヤの位置は、キャリヤと一定の関係を持つ、結合したキャリヤ・ローラーによって制御されることを特徴とする。
上記機構は、キャリヤを下方への位置から部品配送位置へ位置させる軌道を介して、次に続くキャリヤ・ローラーをガイドするチャンネルを含むことを特徴とする。
【0009】
2つのループが提供され、キャリヤは、両ループ間に配置され、両ループに枢動可能に取り付けられていることを特徴とする。
チャンネルは、2つの車のうちの1つの回転に時間関係を持ちつつ、水平枢軸に枢動可能に軸支されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、この発明は、成型機の中に置く、通常垂直配置のコンベヤーを提供することができる。このコンベヤーは、個別に成形され出来上がった部品を移送解放点において受け取り、制御された落下点で部品を落とすことにより、機械からの解放通路における部品間の衝突損傷を防ぐことができる。
開示されたコンベヤーは、図示された例では、受皿のような形をしたキャリヤを、垂直に移送する、一対のエンドレスチェーンを有する。チェーンは、その一つのストレッチ(直線部)または側において、キャリヤを、移送領域から、部品が低自由落下速度で解放されることによって、硬い重力落とし樋や他の成形され出来上がった部品との衝突による損傷のリスクを低減して機械内の低い位置へ移動させることができる。
この発明は、機械内で部品を機械的に降下させることを可能にすることにより、操作者が機械の補修時に使う作業ステーション面に近い領域を塞ぐこと避けることができる。さらに、この発明のコンベヤーは、機械の剛性や強度を落とすことがある機械フレームの改変を必要としない効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の降下コンベヤーを内部に備え付けた、作業ステーション順次送り冷間成型機の横断面図である。
【
図2】降下側から見た降下コンベヤーの斜視図である。
【
図3】本発明の降下コンベヤーの作動を示す図であって、(a)から(f)ヘ、移送装置の指状部の外方向への解放位置において、キャリヤが横に、次いで下へ移動するときの、キャリヤの連続した図である。
【
図4】上方から見た降下コンベヤー上端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の降下コンベヤーを内部に備え付けた、作業ステーション順次送り冷間成型機10の横断面図であり、
図2は、降下側から見た降下コンベヤーの斜視図である。
普通、金属部品または加工対象物は、先行する作業ステーション11における対向した工具により作業された後、連続した作業ステーション11に順次移送される。通常、この加工対象物の移動は、依存する指状部12を有する移送装置により達成される。移送指状部12は、作業ステーション11において加工対象物を掴み、機械の動作サイクルの時間関係において、次に続く作業ステーション11に加工対象物を移す。
コンベヤー16は、2つのエンドレスローラーチェーン17、18のループを有する。1つのチェーン17は、移送指状部12とボルスター19の近くの垂直面にあり、他方のチェーン18は、ボルスターからずれている。チェーン17、18は、対応する上下のスプロケットまたは車21、22に掛けられている。外側上スプロケット21は、コンベヤーフレーム24に備え付けられたベアリングに回転自在に支えられた駆動軸23に固定されている。下スプロケット22は、フレーム24の下部に回転自在に支えられた共通軸25に固定されている。外側上スプロケット21は、チェーン18、軸25、チェーン17を介して、同軸上の内側上スプロケット21を駆動する。ガイド板28、29は、チェーン17、18のローラーと係合し、チェーン17、18の対応するストレッチ31、32をほぼ垂直で直線状にする。チェーン17、18の降下するストレッチ31のガイド板28は、チェーン17、18に枢動可能に固定されたキャリヤ36の移動のために、適切なクリアランスを提供すべく、わずかに垂直でない。
【0013】
キャリヤ36は、浅い受皿のような形をしており、例えばV字形の断面を持つことができる。キャリヤまたはバケツ36は、チェーン17、18の間の間隔より狭く、後述するように、キャリヤは、両チェーンの間で、軸の周りを回動可能となっている。キャリヤ36は、両端を、T字形断面を持つ硬いブラケット37を介してチェーンに枢動可能に固定される。ブラケット37は、38において、チェーン17、18のピンに枢動可能に固定される。ブラケット37の末端部は、一対のローラー39により挟まれている。下で議論されるように、ローラー39は、キャリヤ36の望ましい配置を保つためのカム従動子のように働く。各図において、スプロケット21、22は時計回りに回転し、降下するチェーンストレッチ31上のキャリヤ36は上方に凹んでおり、上昇するストレッチ32上のキャリヤは下を向いて吊るされている。
【0014】
図3は、本発明の降下コンベヤーの作動を示す図であって、(a)から(f)ヘ、移送装置の指状部の外方向への解放位置において、キャリヤが横に、次いで下へ移動するときの、キャリヤの連続した図である。キャリヤ36の吊り下げられた位置から、以降、搬送位置と言われる、上方に凹みを向ける位置までの推移を表わしている。また、
図4は、上方から見た降下コンベヤー上端部の斜視図である。
これらの図の事前の精査で、キャリヤ36は、チェーン17、18の間の空間を通じて、吊り下げ位置から枢動可能に軸支されている。これらの動きは、駆動軸23に固定され、カム従動子42を介してレバー41を駆動する、カム40(第4図)により引き起こされる。レバー41は、軸43を、スプロケット駆動軸23と平行に揺らす。軸43は、チェーン17、18の各々の近くの一対のチャンネル44を枢動可能に揺動させ、または揺らす。チャンネル44の内側は、キャリヤ36と結合したローラー39を受け入れる大きさである。ブラケット37は、キャリヤ36とチェーン17、18間の枢動可能結合38をもたらす。
【0015】
キャリヤ36は、左のチェーン・ストレッチ32上で起き上がり、キャリヤ36と結合したローラー39により導かれる(
図3(a))。ローラーは、関連するチャンネル44に受けられるまで、垂直軌道板46(
図4)に接触して進む。上スプロケット21のピッチ円直径は、キャリヤの旋回軸38の間隔に等しい。カム40は、ローラーが板46の上部へ近づいたとき、チャンネル44をローラー39の進路内へ揺らすような形状に調節されている。スプロケット21が回転を続けると、カム40は、チャンネル44にローラー39のチェーン17、18に対する上昇を遅くさせ、キャリヤを搬送位置まで枢動可能とする(
図3(b)〜(d))。
【0016】
チェーン17、18上の旋回軸中心が降下を始めると(
図3(e))、依然カム40の近くに位置していたチャンネル44は、キャリヤ36を搬送位置に置く。チャンネル44の末端は、キャリヤ36がチェーン・ストレッチ31上を降下するとき、ローラー39が軌道48に乗るよう、通常垂直である軌道48と一直線になる。ローラーの軌道48と、チェーン軌道またはガイド板29は平行で、ローラー39が軌道48の底部まで走り、それによってキャリヤが下向きに加工対象物解放位置へ旋回するよう解放されるまで、キャリヤ36が降下する間、凹面が上を向いた搬送位置が維持される。
【0017】
スプロケット駆動軸23と、従ってコンベヤー16は、好ましくは、成型機10と速度とタイミングが同期したサーボモータ51(
図4)により動作される。
【0018】
モータ51は、移送指状部12が開いた時にキャリヤ36が移送指状部の直下に位置するよう、駆動軸23を回転させる。移送指状部12により保持された部品または加工対象物は、例えば近くのフレームの深さ(この構成でなければ部品を機械から取り去るために必要な落下距離である)に比べて、比較的短い距離を落下する。上スプロケット21付近でのキャリヤ36の動きは、キャリヤが加工対象物解放位置と搬送位置間を移動する時、キャリヤが作業ステーション11面より上に上がることを要求しない。軌道の底部において、ローラー39、従ってキャリヤ36は、キャリヤが下方への吊り下げ位置へ揺れて、加工対象物52を落とし樋53(
図1参照)または他の配送装置へそっと置くように解き放す。
【0019】
この開示は例示であって、細部を加入、改変、削除することによって、この開示が含む適正な範囲の教示を逸脱することなく、様々な変更が可能である。従って、この発明は、次の特許請求範囲が必然的に限定している範囲を除き、この開示の特定の詳細に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0020】
10:(順次送り冷間)成型機
11:作業ステーション
12:(移送)指状部
16:コンベヤー
17、18:(エンドレスローラー)チェーン
19:ボルスター
21:上スプロケット(または車)
22:下スプロケット(または車)
23:駆動軸
24:コンベヤーフレーム
25:(共通)軸
28、29:ガイド板
31、32:(チェーン)ストレッチ
36:キャリヤ(またはバケツ)
37:ブラケット
38:枢動可能結合、旋回軸
39:ローラー
40:カム
41:レバー
42:カム従動子
43:軸
44:チャンネル
46:垂直軌道板
48:軌道
51:(サーボ)モータ
52:加工対象物
53:落とし樋