特許第6306685号(P6306685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306685
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】機器を断熱するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/065 20060101AFI20180326BHJP
   F17C 1/12 20060101ALI20180326BHJP
   F02K 9/60 20060101ALI20180326BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20180326BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   F16L59/065
   F17C1/12
   F02K9/60
   F02C7/24 A
   F02C7/00 E
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-504725(P2016-504725)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-522872(P2016-522872A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】FR2014050707
(87)【国際公開番号】WO2014155004
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月21日
(31)【優先権主張番号】1352704
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−マリー コンラルディ
(72)【発明者】
【氏名】ブリス ゴンサウベス
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−201458(JP,A)
【文献】 特開平07−195385(JP,A)
【文献】 特開2008−039282(JP,A)
【文献】 特開2002−001816(JP,A)
【文献】 特開平07−113493(JP,A)
【文献】 実開昭62−141188(JP,U)
【文献】 特表2010−501793(JP,A)
【文献】 特開昭56−117626(JP,A)
【文献】 米国特許第4486482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/065
F02C 7/00
F02C 7/24
F02K 9/60
F17C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器(10)、詳細には低温用機器(10)を断熱する方法において、
a)前記機器(10)の一部分の外面に相補的な形状を有する少なくとも1つの断熱ブロック(110)を供給するステップと、
b)前記機器(10)の外面に対面して開放している第1の端部と前記機器(10)の外面から離れる方向に開放している第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の穴(113)を前記断熱ブロック(110)内に作製するステップと、
c)前記断熱ブロック(110)を気密材料製の変形可能なカバー(120)内に設置し、こうして前記第1の穴(113)の壁が前記カバー(120)により被覆される一方で前記第1の穴(113)の第1の端部及び第2の端部は開放状態に残されるようにし、かつカバー(120)が第2の端部において、第1の穴(113)と連通する第1の開口部及び断熱ブロックとカバーの間に位置する空間と連通する第2の開口部(122)を画定するようにするステップと、
d)カバー(120)内に被覆された断熱ブロック(110)を気密で変形可能な連結手段(140)により機器(10)の前記部分の外面に対して締結し、こうして断熱ブロック(110)と機器(10)の前記部分の間に画定された空間が閉鎖された外周を有するようにするステップと、
e)第1の開口部(121)及び第2の開口部(122)を吸引手段に連結するステップと、
f)前記吸引手段を起動させて、カバー(120)内が部分的に排気され、カバー(120)が最初に断熱ブロック(110)に対して押圧され、次に機器(10)の前記部分に対して押圧されるようにするステップと、
g)カバー(120)の第1の開口部(121)及び第2の開口部(122)を気密な形で閉鎖するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップb)の間に、前記機器(10)の外面に対面して開放している第1の端部と前記機器(10)の外面から離れる方向に開放している第2の端部とを有する第2の穴(114)が前記断熱ブロック(110)内に形成されること、
ステップc)の間に、前記気密カバー(120)が第2の穴(114)の壁を被覆する一方で、第1及び第2の端部を開放状態に残すこと、及び
ステップe)の前に、第1の圧力表示装置(130)も同様に具備され、これは第2の穴(114)の第2の端部の場所に気密な形で取り囲むことによって設置されること、
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)の間に、第2の圧力表示装置も同様に具備され、これは前記カバー(120)と前記断熱ブロックの間に設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記連結手段(140)が前記カバー120のパッド又は舌状部形成部分を含むか、又は前記カバー(120)に接着接合されたエラストマーガスケットにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各々断熱ブロックとカバーを含む複数のアセンブリが使用され、前記アセンブリは、請求項1に記載の方法のステップa)〜g)を実施することによって前記機器(10)の外面の隣接する部分を被覆するのに好適であること、及びさらに、
h)熱収縮性外側シートも同様に具備するステップと、
i)気密な形で閉鎖されたそのカバー(120)により被覆されたそれぞれの断熱ブロックによって各々形成されている前記アセンブリのうちの少なくとも2つを部分的に包囲する形で前記熱収縮性外側シートを設置するステップと、
j)前記熱収縮性外側シートを加熱して、それが収縮し前記アセンブリを挟持すようにするステップと、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
機器(10)を断熱するための装置において、
断熱すべき前記機器(10)の一部分の外面の形状に相補的な形状を有する断熱ブロック(110)であって、前記機器(10)の外面に対面して開放するのに好適な第1の端部と前記機器(10)の外面から離れる方向に開放するのに好適な第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の穴(113)を含む断熱ブロック(110)と、
気密材料製の変形可能なカバー(120)であって、断熱ブロック(110)を包囲し、こうして前記第1の穴(113)の壁が前記カバー(120)により被覆される一方で前記第1の穴の第1及び第2の端部は開放状態に残されるようにしており、第2の端部において、気密な形で閉鎖され、第1の穴(113)と連通するのに好適な第1の開口部(121)及び気密な形で閉鎖され断熱ブロックとカバーの間に位置する空間と連通するのに好適な第2の開口部(122)を画定し、かつカバー(120)の第1の開口部(121)及び第2の開口部(122)が気密な形で閉鎖されている一方で、カバー(120)の内部が部分真空下にある、カバーと、を含む装置。
【請求項7】
前記断熱ブロック(110)が、前記機器(10)の外面と対面して開放する第1の端部及び前記機器(10)の外面から離れる方向に開放している第2の端部を有する第2の穴(114)を有していること、前記気密カバー(120)が第2の穴(114)の壁を被覆する一方でその第1及び第2の端部を開放状態に残すこと、そして第2の穴の第2の端部を閉鎖して設置された第1の圧力表示装置(130)がさらに含まれること、を特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カバー(120)と前記断熱ブロックとの間に設置された第2の圧力表示装置がさらに含まれることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
第2の開口部(122)が第1の開口部(121)を包囲していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記断熱ブロック(110)が多孔質材料製であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記カバー(120)がエラストマ材料製であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記カバー(120)が、透明又は半透明の材料製であることを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
機器(10)を断熱するために使用するのに好適なアセンブリにおいて、請求項6〜12のいずれか一項に記載の装置と、機器(10)の前記部分の外面に対しカバー(120)内に被覆された断熱ブロック(110)を締結させる一方で断熱ブロック(110)と機器(10)の前記部分との間には閉鎖された外周を有する空間を画定するのに好適である変形可能な連結手段(140)、とを含むアセンブリ。
【請求項14】
前記連結手段(140)が前記カバー(120)のパッド又は舌状部形成部分を含むか、又は前記カバー(120)に接着接合されたエラストマーガスケットにより構成されていることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
低温用機器(10)などの機器(10)及び前記機器(10)の外面を少なくとも部分的に被覆する請求項13又は14に記載のアセンブリを含む断熱されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器、詳細には低温用機器を断熱するための装置に関する。
【0002】
本発明の利用分野は、特に、ただし排他的にではなく、航空機、宇宙船又はロケット用のエンジンに関連する。
【背景技術】
【0003】
したがって、LH2と呼ばれる液体水素及びLOXと呼ばれる液体酸素などの低温液体推進剤を伴うスペースエンジンの開発に関連して、出願人である企業は、そのランチャーの性能を改善するよう努力してきた。
【0004】
このようなランチャーには、「低温用」と言われる、すなわちある時期に−150℃未満という極低温の推進剤を使用して動作するさまざまな機器が具備されている。
【0005】
このような機器には、地上にとどまる機器とランチャーの低温段又は他の段に搭載される機器の両方が含まれる。例えば、このような機器は、ランチャー用の低温推進剤注入装置、配管又はパイプ、ターボポンプ、バルブ、熱交換器などを含んでいてよい。
【0006】
エンジンを始動させる直前に、この機器は下部段についてはランチャーと地面の間のインターフェースに由来し、上部段についてはタンクに由来する推進剤の流れによって、冷却されなければならない。ランチャーの性能は、この冷却期間中のその推進剤消費量によって左右される。したがって目的は、高性能の断熱システムを使用することによって可能なかぎり推進剤消費量を少なくすることにある。
【0007】
1つの重大な問題点は、クライオポンピングすなわち機器の低温壁上の凝縮物及び/又は霜の形成を回避しながら、宇宙船エンジン内の複雑な形状の機器のための断熱を提供できるようにすることにある。この現象は、断熱が気密でなく、周囲空気の通過を許容する場合に発生する。このような状況下では、空気中に含まれる水蒸気は壁と接触した時点で霜となり、液体水素を格納する機器については、空気は壁の温度に応じて液体又は個体となる。
【0008】
この状況では、機器に対し大量の熱が送出され、こうして機器を冷却し低温に保つために消費される推進剤の量は増大することになる。さらに、このような機器の壁上の凝縮物及び/又は霜の存在は、機器の壁上に位置する計装又はエンジンの他の構成要素にとって好適でない環境を、考えられる温度低下の結果として提供することで、エンジンの動作に影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
使用されている第1の技術においては、ポリウレタンフォームのブロックが、機器の外側壁の周囲に成形される。フランジは発泡体シェルにより被覆され、これらのシェルは重複させられる。断熱装置の外面は、接着性アルミニウム片を用いて、保護され封止される。
【0010】
同様に、接着テープで被覆されたポリイミドフォーム製の断熱も時として使用されるが、これはクライオポンピングの形成を防止しない。
【0011】
同様に、接着剤無しで壁上に発泡体ブロックを取付けることも公知であり、これらのブロックは、クライオポンピングを回避するためヘリウムにより掃引される2重壁を有するカバーによって保持されている。
【0012】
部分真空下で気密カバー及びエンクロージャ内に置かれたニッケル被着物で被覆されたポリウレタンフォームをベースとした断熱も、同様に公知である。例えば、ある特許文献では、内部に部分真空が形成される可撓性かつ気密なダイヤフラム内に配置された複数の断熱要素の使用が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
しかしながら、最後のこれら2つの解決法は、さほど有効でなく、高価である上に、ランチャーの重量を著しく増大させる。
【0014】
さらに、これらの解決法は、機器の耐用期間中に機器に対する対策が求められた場合に、断熱装置の容易な交換可能にするものではなく、機器の外部に設置されている断熱装置が開放されるということも理解できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第2390549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、先行技術の欠点の克服を可能にしながら、かつ詳細には機器に気密な形での断熱を具備できるようにしながら、機器を断熱するための方法及び装置を提供することにある。
【0017】
同様に、機器の一部分に対するメンテナンス作業の場合及び/又は機器装置の欠陥部分を交換する目的で断熱の一部分を交換できるようにしながら、機器を断熱するための方法及び装置を提供することも所望される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的で、本発明によると、方法は、
a)前記機器の一部分の外面に相補的な形状を有する少なくとも1つの断熱ブロックを供給するステップと、
b)前記機器の外面に対面して開放している第1の端部と前記機器の外面から離れる方向に開放している第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の穴を前記断熱ブロック内に作製するステップと、
c)前記断熱ブロックを気密材料製の変形可能なカバー内に設置し、こうして前記第1の穴の壁が前記気密カバーにより被覆される一方で前記穴の第1の端部及び第2の端部は開放状態に残されるようにし、かつカバーが第2の端部において、第1の穴と連通する第1の開口部及び断熱ブロックとカバーの間に位置する空間と連通する第2の開口部を画定するようにするステップと、
d)カバー内に被覆された断熱ブロックを気密で変形可能な連結手段により機器の前記部分の外面に対して締結し、こうして断熱ブロックと機器の前記部分の間に画定された空間が閉鎖された外周を有するようにするステップと、
e)第1の開口部及び第2の開口部を吸引手段に連結するステップと、
f)前記吸引手段を起動させて、カバー内が部分的に排気され、カバーが最初に断熱ブロックに対して押圧され、次に機器の前記部分に対して押圧されるようにするステップと、
g)カバーの第1の開口部及び第2の開口部を気密な形で閉鎖するステップと、
を含む。
【0019】
さらに、本発明において、断熱装置は、
断熱すべき前記機器の一部分の外面の形状に相補的な形状を有する断熱ブロックであって、前記機器の外面に対面して開放するのに好適な第1の端部と前記機器の外面から離れる方向に開放するのに好適な第2の端部とを有する少なくとも1つの第1の穴を含む断熱ブロックと、
気密材料製の変形可能なカバーであって、断熱ブロックを包囲し、こうして前記第1の穴の壁が前記気密カバーにより被覆される一方で前記第1の穴の第1及び第2の端部は開放状態に残されるようにしており、第2の端部において、第1の穴と連通する第1の開口部及び断熱ブロックとカバーの間に位置する空間と連通する第2の開口部を画定するカバーと、を含み、カバーの第1の開口部及び第2の開口部が気密な形で閉鎖されている一方で、カバー内が部分真空下にある装置。
【0020】
このようにして、このような可撓性かつ気密な連結手段を援用することよって、断熱ブロックと前記機器部分の間に作り出される空間は閉鎖され追加の断熱層を提供することが理解できる。
【0021】
このような気密性は、カバーと、断熱されるべき機器に対面する場所(カバーの内壁)及び機器から離れる方向に対面する断熱ブロックの面(カバーの外壁)上の両方でそれが格納している断熱ブロックとの間の空間内で、吸引すなわち部分真空(大気圧より低い圧力又はより一般的に外圧よりも低い圧力)を適用することによって得られる。
【0022】
このことは、機器の外面と機器に向かって対面するカバーの面(カバーの内壁)との間と同様、断熱ブロックと機器から離れる方向に対面する断熱ブロックの面(カバーの外壁)との間にも不透過性障壁を作り上げるのに役立つ。
【0023】
カバーの内部及びカバーと機器の壁との間に位置する空間の内部で吸引を行うことにより、カバーは第1に発泡体ブロックに対して、そして第2に機器に対して押圧され、このときカバーは、これらの表面に対して密に押圧されることでこれらの表面に対し密に嵌合している状態にある。
【0024】
この解決法は同様に、さらに断熱装置の各部分又は前記機器の一部分を断熱する断熱装置全体を交換可能にすることができるという追加の利点をも提示する。
【0025】
本発明の断熱装置及び方法は、接着力及び真空付加を使用するため断熱部分の交換が可能でありながら、複雑な形状の機器に断熱及び気密封止を具備することができる。
【0026】
断熱装置のこのモジュール性のため、可動部分、詳細には回転可能な形で組付けられている部分、振動する部分、及び/又は計器を担持する部分すなわち測定装置、センサーなどの計器を備えた部分を有する機器を断熱することが可能になる。
【0027】
提案された解決法は、断熱及びメンテナンスのための交換に関して、この環境を考慮に入れたものである。
【0028】
さらに、カバーの使用により、数多くの種類の断熱材料を使用する場合に起こり得るような損傷及び粒子の生成に対する保護を提供することが可能である。
【0029】
全体として、本発明の解決法を用いると、外壁と周囲環境との間に気密な封止を提供する一方で、複雑な形状の低温用機器を断熱することが可能である。
【0030】
本発明は同様に、機器を断熱するために使用するのに好適なアセンブリにおいて、上述のものなどの装置と、機器の前記部分の外面に対しカバー内に被覆された断熱ブロックを締結させる一方で断熱ブロックと機器の前記部分との間には閉鎖された外周を有する空間を画定するのに好適である変形可能な連結手段、とを含むアセンブリにも関する。
【0031】
好ましくは、前記連結手段は、両方の面で接着性のある舌状部又は条片などの接着性要素を含む。代替的には、前記連結手段は、前記カバー120のパッド又は舌状部形成部分などの接着性要素を含むか、又は実際これらの手段は、前記カバー120に接着接合されたエラストマーガスケットにより構成されている。
【0032】
本発明は同様に、低温用などの機器及び前記機器の外面を少なくとも部分的に被覆する前述のものなどのアセンブリを含む断熱されたシステムを提供している。
【0033】
本発明の他の利点及び特徴は、添付図面を参考にして、一例として示されている以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の方法を完全に実施する前の、第1の構成における断熱装置の概略図である。
図2】本発明の方法が実施された後の、図1に対応する。
図3】本発明の方法を完全に実施する前の、第2の構成における断熱装置の概略図である。
図4】本発明の方法が実施された後の、図3に対応する。
図5】本発明の一変形実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を見ればわかるように、機器10は、その外面11の一部分12上が断熱装置100で被覆されている。
【0036】
断熱装置100は、第1に、好ましくは実質的に恒常である厚み、前記機器10の外面11に対面しこの外面と相補的な形状を有する面111、及び前記機器10の外面11から離れる方向に対面する面112を有する断熱材料の単体ブロック110を含む。
【0037】
前記断熱ブロック110は好ましくは、以下のものなどの多孔質材料製である。
連続気泡ポリウレタンフォーム、
連続気泡ポリスチレンフォーム、
圧密粉体(シリカ、パーライトなど)、
エアロゲル、及び
圧密繊維。
【0038】
材料は、真空気密カバー内に置かれた場合に圧縮力に耐えることができなければならない。
【0039】
成形、機械加工、ウォータージェット加工、レーザーなどに基づく方法を使用することによって、単純な形状用の断熱ブロック110のみならず複雑な形状用の断熱ブロック110を作製することが可能である。
【0040】
断熱ブロック110は、前記機器の外面に対面して開放している第1の端部113aと前記機器の外面から離れる方向に開放している第2の端部113bとを有する第1の穴113を、好ましくは図1〜4に示されている通り、前記機器10の外面11から離れる方向に対面している面112の中に有している。
【0041】
さらに、好ましいものの必須ではない形で、断熱ブロック110は、前記機器の外面に対面して開放している第1の端部114aと前記機器の外面から離れる方向に開放している第2の端部114bとを有する第2の穴114を、好ましくは図1〜4に示されている通り、前記機器10の外面11から離れる方向に対面している面112の中に有している。
【0042】
断熱装置100は同様に、詳細には前記機器10の外面11に対面する面111及び前記機器10の外面11から離れる方向に対面する面112を含む、断熱ブロック110の全ての面を被覆する可撓性ダイヤフラムによって構成された気密カバー120も有している。
【0043】
当初カバー120は、第1の開口部121を介して第1の穴113の第2の端部113bで開放し、前記機器10の外面11に対面する面111のカバリングと連続的に、第1の穴113の壁の全ても同様に被覆する。カバー120は、第1の穴113の第1の端部113aを閉鎖せず、これは開放状態にとどまる。
【0044】
同様にして、カバー120は、断熱ブロック110とカバー120との間に位置する空間と連通する第2の開口部122を有し、この第2の開口部122は前記機器10の外面から離れる方向に開放している。
【0045】
図1〜3では、カバーのこの第2の開口部122は、第1の開口部121と同心であり、第1の開口部121を包囲している。
【0046】
さらに、好ましいものの必須ではない形で、図1及び3を見ればわかるように、カバー120は他の開口部を有する。
【0047】
特に、そして好ましくは、
前記断熱ブロック110は、前記機器10の外面に対面して開放している第1の端部114aと、前記機器10の外面から離れる方向に開放している第2の端部114bとを有する第2の穴114を有している、
前記気密カバー120は、第2の穴114の壁を被覆して、第2の穴114の第1の端部114a及び第2の端部114bは開放状態に残す、
装置100は同様に、好ましくは気密な形で第2の穴114の第2の端部114bを閉鎖するように置かれた第1の圧力表示装置(130)130も有している。
【0048】
好ましくは、前記カバー120は、以下のものなどのエラストマ材料製である。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン)、
ポリエチレン、
ポリプロピレン。
【0049】
任意には、アルミニウムの金属被着によって、カバー120をより気密なものにしてもよい。
【0050】
最後に、装置100を機器10に連結するためには、部分12と断熱ブロック110を被覆するカバー120との間の空間を完全にかつ気密に閉鎖するような形で、機器10の外面11の部分12の間に設置された連結要素140が使用される。
【0051】
例えば、それは、カバー120と同じ材料で作製されているカバー120のパッド又は舌状部形成部分であってもよいし、あるいはまた低温に好適であるエポキシ樹脂によりカバー120に貼付されたエラストマーガスケットであってもよい。接触した時点での封止を改善するため、真空グリースを使用することが可能である。
【0052】
カバー120は、機器に封止と断熱を具備するのに役立ち、断熱材料が粒子源となるのを防ぐ。
【0053】
図2及び4を見ればわかるように、断熱装置110を構成する要素の全てが設置された後、後続する断熱ステップには、第1の開口部121内及び第2の開口部122内を減圧することそして次に、大気圧よりも低い圧力を維持するために例えば圧着などにより、カバー120の第1の開口部121及び第2の開口部122を気密に閉鎖することが含まれる。こうして、第1の開口部121と第2の開口部122の間に、第1の穴113の第2の端部113bを閉鎖する付属物123が形成される。
【0054】
図示していない一変形実施形態においては、第1の開口部121と第2の開口部122は一方が他方の周りに設置されておらず(第2の開口部122は第1の開口部121を包囲せず、部分12に対面しない別の場所に位置づけされる)、これらの開口部は独立して閉鎖されて、2つの別個の把持作業により得られる2つの別個の付属物を形成する、という点に注目すべきである。
【0055】
こうして、第1の視覚的圧力表示装置130を用いかつ第2の穴114を介して、図2及び4を見ればわかるように、カバー120と機器10の間に位置する空間内に減圧が存在するか否かを評価することが可能である。
【0056】
こうして、カバー120と機器10の間に位置するゾーンが確実に気密であるようにすることが可能であり、これは、断熱ブロック110内の第2の穴114の第2の端部114bを閉鎖する第1の圧力表示装置130を用いて行なわれる。第1の圧力表示装置130は、このゾーンと周囲環境の間の圧力差に付される。
【0057】
この第1の圧力表示装置130の外周は、カバーの表面で、第2の穴114の第2の端部114bの場所に位置設定されている。
【0058】
図1〜4を見ればわかるように、断熱装置100は好ましくは、カバー120内部で真空が確実に維持されるようにするため、前記カバー120と前記断熱ブロック110の間に設置された第2の圧力表示装置132も含んでいる。図1〜4において、この第2の圧力表示装置132は、前記機器10の外面11から離れる方向に対面する面112の上に位置づけされているが、これを断熱ブロック110の表面上の他の場所に位置づけすることも可能であると思われる。
【0059】
第1の圧力表示装置130及び/又は第2の圧力表示装置132は、好ましくは、圧縮下での材料の特性(すなわち光弾性、ゴム、可撓性ウェーハ)を使用する1つ又は複数の視覚的圧力表示装置である。
【0060】
このような状況下で、前記カバー120は、透明又は半透明の材料製であり、こうして、第1の圧力表示装置130及び/又は第2の圧力表示装置132の外観の変化をカバーを通して読取ることを可能にすることが好ましい。
【0061】
こうして、第1の圧力表示装置130及び/又は第2の圧力表示装置132は、圧縮下にある場合、外観を変える。
【0062】
断熱ブロック110のカバー120の内部に位置づけされた第1の圧力表示装置130により、部分真空が実際にカバー120の内部に存在するか否かを知ることが可能であり、複数の断熱ブロック110が存在する場合には、実際に各カバー120内に部分真空が存在するか否かを知ることが可能である。
【0063】
図3及び4に示された第2の構成は、第1の構成(図1及び2)の断熱ブロック110が、恒常な半径を有する環又は平面である面11により構成された部分12上に設置されているのに対して、第2の構成(図3及び4)の断熱ブロック110は、入隅コーナーを有するか又は入隅肩部を形成するように変動する半径を有する環状コーナーである面11’によって形成された部分12’の上に設置されているという点において、図1及び2で示された第1の構成と異なっている。
【0064】
このような状況下で、連結要素140は、部分12’の外周をたどる。
【0065】
図1〜4で、断熱装置100は、機器10の外表面の1ゾーンについて考えられるあらゆる形状及びサイズによって画定される機器の一部分、そして同様に特に機器10が回転体の形をしている場合には機器のあらゆる環状部分を被覆することができるという点に注目すべきである。
【0066】
このことは、図5に示されており、ここで機器10は、図5に一部断面図で示されているターボポンプのケーシングアセンブリによって構成されており、このケーシングアセンブリは、軸X−X’を中心にした回転体であり、図5中の上から下へ、スリーブ10a、前方ケーシング10b、中央ケーシング10cそしてタービンケーシング10cを含んでいる。
【0067】
推進剤が漏洩する可能性のあるさまざまなゾーンが、スリーブ10aと前方ケーシング10bの間(ゾーン13)及び中央ケーシング10cとタービンケーシング10dの間(ゾーン14)に存在し、そこでは封止の維持が極めて重大な意味をもつ。
【0068】
この目的で、使用されるさまざまな断熱ブロックは、以下の通りである。
スリーブ及び第1の推進剤漏洩ゾーン13を包囲しかつスリーブ10aに隣接する前方ケーシング10bのセグメント(図5中で上方にある軸方向端部部分)まで軸方向に延在する第1の断熱ブロック110a、
第1の断熱ブロック110aに隣接し、その軸方向端部部分を除いて前方ケーシング110bを包囲する第2の断熱ブロック110b、
第2の断熱ブロック110bに隣接し、中央ケーシング10cに隣接する前方ケーシング10bのセグメント(図5中で下方にある軸方向端部部分)を包囲しかつ、前方ケーシング10bに隣接する中央ケーシング10cのセグメント(図5中で上方にある軸方向端部部分)を包囲する第3の断熱ブロック110c、
第3の断熱ブロック110cに隣接し、その軸方向端部部分以外の中央ケーシング10cを包囲する第4の断熱ブロック110d、及び、
第4の断熱ブロック110dに隣接し、タービンケーシング10dに隣接する中央ケーシングのセグメント(図5内の下方にある軸方向端部部分)を包囲しかつ、中央ケーシング10c)に隣接するタービンケーシング10dのセグメント(図5中で上方にある軸方向端部部分)を包囲する第5の断熱ブロック110e。
【0069】
図5において、上述の配置では、これらの断熱ブロック110a、110b、110c、110d及び110eの各々は、そのそれぞれのカバー120a、102b、120c、120d及び120eにより包囲されている。
【0070】
連結要素140も同様に、各カバー120a、120b、120c、120d及び120eと機器10の壁の対面する部分との間の空間を気密な形で閉鎖するように配置されている。
【0071】
最後に、このような状況下では、カバー120a、120b、120c、120d及び120eのうちの複数の(少なくとも2つの)隣接するカバーを合わせて保持するために1つ以上の熱収縮フィルム又はシート150を使用することが想定される。
【0072】
このようにして、機器10、例えば低温用機器、及び前記機器を断熱するためのアセンブリを含む断熱されたシステムが形成され、このアセンブリは前記機器10の外面の少なくとも一部を被覆し、断熱装置100及び、機器10の前記部分のこの外面に対してカバー120内に被覆された断熱ブロック110を締結するのに好適である変形可能な連結手段140を含んでいる。
【0073】
この断熱アセンブリを設置するためには、カバー120a、120b、120c、120d及び120eの各々の中で第1の開口部121及び第2の開口部122に連結するのに好適である、吸引を行うための手段(図示せず)も使用される。
【0074】
方法については、前記断熱ブロック110内に少なくとも1つの第1の穴113を作製するステップb)の間に、前記機器10の外面に対面して開放している第1の端部114aと前記機器の外面から離れる方向に開放している第2の端部114bとを有する第2の穴114も同様に、前記断熱ブロック110内に作製される。
【0075】
さらに、ステップc)の間、前記気密カバー120は第2の穴114の壁を被覆する一方で、その第1及び第2の端部114a及び114bを開放状態に残す。
【0076】
同様にして、ステップe)の前に、第1の圧力表示装置130も同様に供給され、第2の穴114の第2の端部114aの場所に気密な形で封入することによって設置される。
【0077】
有利には、好ましいものの必須ではない形で、カバー120を設置するステップc)の間に、前記カバー120と前記断熱ブロック110の間に設置される第2の圧力表示装置132も同様に供給されるということが理解できる。
【0078】
各々1つの断熱ブロック110と1つのカバーを含む複数のアセンブリが使用される場合、前記アセンブリは、単一の断熱ブロックを参考にして上述された方法のステップa)〜g)を実施することによって前記機器10の外面の隣接する部分を被覆するのに好適であり、前記機器を断熱する前記方法は、同様に以下のステップも含んでおり、
h)熱収縮性外側シート150をさらに供給するするステップ、
i)そのカバー120a、120b、120c、120d及び120eにより被覆され気密な形で閉鎖されたその断熱ブロック110a、110b、110c、110d及び110eによって各々構成されている前記アセンブリのうちの少なくとも2つを部分的に包囲する形で前記シート150を設置するステップ、そして
j)前記シート150を加熱して、それが収縮し前記アセンブリ上に挟持されるようにするステップ。
【0079】
本発明の解決法は、1つの部品(機器10)に断熱及び周囲環境に対する気密な封止を具備して、凝縮、霜発生及びクライオポンピングに対する保護を提供することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5