(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
塗布製品の静電噴霧の分野では、噴霧液滴形態における塗布製品の噴霧時に、堆積性能を向上させるのに静電場を用いることが知られている。
いわゆる「内部」帯電又は「接触」帯電の場合において、塗布製品は、非ゼロ電位になる電極に接し、噴霧される塗布製品のそれぞれの液滴は、回転ボウルの縁部から離れると、電荷qで帯電する。
このように帯電したかかる液滴が強度Eの静電場を受ける場合、この液滴は、塗布製品の膜から離れたときに強度q*Eの力Fを受ける。
液滴に加えられる静電気力及び空力(aeraulic force)がすべて同じ方向に、すなわち塗布される物体の方に配向されているので、かかる帯電方式によって噴霧装置が多少汚れる。
この帯電方式の欠点の一つは、塗布製品が導電性である場合、具体的には水溶性塗布製品の場合には、地電位で塗布製品を供給する供給システムから、高電圧になる噴霧装置を分離する必要があるということである。
これを行うために、例えば、特許文献1により、多軸ロボットに搭載された1つ以上の貯留部を用いることが知られており、この多軸ロボットは全体的に十分であるが、かかるシステムを組み込んだ、塗布製品を噴霧する設備をより複雑にさせる。
【0003】
いわゆる「外部」帯電又は「コロナ」帯電の場合には、回転ボウルから出た塗布製品の液滴は、非ゼロ電位になる電極付近を通過し、電極と衝突したイオンに接触し、最終的に静電的に帯電し、地電位にある塗布される物体に引き付けられる。
この帯電方式によって、発電機を短絡させる危険性がなく、塗布製品を地電位に維持して噴霧することが可能になる。
しかしながら、この帯電方式は、電極の汚染に非常に敏感であり、堆積性能は、湿度、外気温度、噴霧速度などの外部条件に左右される。
【0004】
特許文献2により、噴霧装置のボウルの外面に、半導体材料から製造され針状電極と接触せずに帯電する電極を備えることが知られている。
また、特許文献3により、回転噴霧装置の固定体に取り付けられた2組の電極を用い、これらの2組の電極が2つの電圧源によってそれぞれ供給されることも知られている。
【0005】
公知の材料では、塗布製品の液滴を輸送するのに用いられる静電場ラインは、帯電の有効性及び輸送現象を低減する塗布製品の帯電電極上で改良することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示されている設備1は、塗布される物体Oを、
図1の面に対して垂直な軸X2に沿って移動させることが可能なコンベア2を備えている。
この図の例では、コンベア2によって移動される物体Oは、自動車の車体である。
【0015】
設備1は、回転式の静電噴霧装置10も備え、この静電噴霧装置は、ボウル20であって、噴霧部材を形成し、本体30によって画定された軸X30の周囲にボウルを回転させるようにタービン40が内部に取り付けられた本体30に支持されたボウルを備えている。
タービン40は、固定子41とロータ42とを備えている。
符号X20はボウルの中心軸を表し、この中心軸は、タービン40に取り付けられたボウルを有する構成において、軸X30と結合する。
本体30は、噴霧装置10が作動する場合に軸X30の周囲を回転しないので、静止していると考えられる。
【0016】
本明細書では、実施形態に関係なく、噴霧装置10の前部は、塗布される物体Oの方に配向される。
したがって、例えば、噴霧装置の前部は、後部よりも物体Oに接近している。
【0017】
本体30は、高電圧ユニット50であって、高電圧ケーブル51によりロータ42に接続され、図示していないがそれ自体公知の高電圧発生器により供給される高電圧ユニットも含有している。
本体30には、液体塗布製品をボウルに供給する供給ライン60も備えている。
このラインは、地電位で塗布製品を供給するように供給源に接続されている。
【0018】
2方向の矢印F1によって示されているように、本体30は、場合により、垂直に移動可能であり、これによって、広範囲に移動することができる。
また、本体は、多軸ロボットのアーム端部に取り付けることもできる。
【0019】
噴霧装置は、塗布製品の液滴の霧Nを作製し、物体O上に塗布製品の層Cを堆積しながら、この物体を霧の方に向けるのに用いられ、その層の厚さは、理解しやすくするために
図1では誇張されている。
【0020】
ボウル20の構造は、
図2において理解することができる。
ボウルには、液体塗布製品を噴霧縁部214まで分散させる面212を画定する本体21が含まれている。
本体21は、電気絶縁材料、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造される。
ボウル20は、金属製の外枠22も備えている。
リング24は、軸X20に沿って、ボウル20の前部とボウル20の前部の方に配向された枠22の端部225との間に挿入されている。
リング24は、塗布製品を噴霧するための
第2の噴霧縁部24
4を画定する。
【0021】
リング24の材料24は、半導体と称され、電荷を流すことが可能な抵抗率を有する。
この抵抗率は、この材料から製造された部分が電位差Uを受けると、静電表面帯電を遅くするのに十分な電流Iが移動するものである。
この電流Iは、発電機によって供給することが可能な最大電流よりも低い。
【0022】
本発明の定義の範囲内においては、半導体材料は、10
6〜10
14Ω・cmの抵抗率を有する。より限定的な定義によれば、半導体材料の抵抗率は、10
7〜10
13Ω・cm、又は、更に10
9〜10
11Ω・cmの抵抗率を有すると考えられ得る。
したがって、半導体材料の電気特性は、導体材料間で明らかに異なり、その抵抗率は、10
3Ω・cm未満であり、絶縁材料であると従来から考えられ、その抵抗率は、10
15Ω・cmを超えると従来から考えられている。
【0023】
例として、リング24は、炭素繊維が充填されたポリアミド、導電性粒子が充填されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は導電性粒子が充填されたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造されていてもよい。
【0024】
金属デフレクタ26は、ボウル20の中央部に取り付けられ、ライン60からインジェクタ32を通る塗布製品の流れをそらせることができ、面212の方へ軸X30の中心に位置している。
代替的には、デフレクタ26は、金属製でなくてもよい。
【0025】
符号Z2は、噴霧縁部244に接し、この
噴霧縁部から軸X20とX30の結合に沿って延び、10mmよりも小さく好ましくはおよそ5mmである軸方向距離にわたってデフレクタ26から離れた領域を表している。
この領域Z2は、以下に説明するように、塗布製品の液滴3000が形成される液体塗布製品の噴霧域を構成している。
【0026】
タービン40のロータ42は、金属製であり、ケーブル51に接続され、これによって、高電圧ユニット50が作動すると、高電圧になることが可能になる。
枠22が金属製であり、このため、導電性であり、ロータ42と接しているので、この場合も、高電圧になる。
例として、噴霧装置10の動作時に、枠22が−20kVの負の高電圧になることが考慮される。
そして、枠は、第1の負極を形成する。
【0027】
この例では水溶性である塗布製品は、ライン60から、接地されたインジェクタ32に流れ、その後、デフレクタ26に流れる。
そして、この製品は、噴霧縁部214まで面212上に分散された膜1000を形成し、特に領域Z2における遠心力の影響下で、液滴3000に分裂するフィラメント2000を形成する。
その後、これらの液滴は、軸X30に沿って、物体Oまで及ぶ霧Nを形成する。
【0028】
噴霧装置10の動作時に、液体塗布製品は、ライン60を通ってインジェクタ32の出口オリフィスの方に、及び接地し続けているインジェクタ32に、地電位で供給源から流れる。
そして、塗布製品は、面212に沿って流れ、本体21によって電極22から分離される。
面212を通過した後、塗布製品の膜1000は、リング24の内面242であって、円錐台部分2422及び環状部分2424によって形成され、軸X30に対して垂直な内面に触れる(lick)。
噴霧縁部214は、部分2422と2424との間の接合部に形成されている。
【0029】
半導体材料から製造されたリング24は、−20kVになる枠22から膜1000を十分に分離し、この枠と塗布製品供給回路との間の短絡を回避し、ライン60は接地されている。
したがって、比較的絶縁性のリング24は、枠22を高電圧にする手段と接地との間の短絡を回避する。
このように、液体形態の塗布製品は、高電圧電極が配置される付近において、地電位の供給源から噴霧縁に流れる。
【0030】
さらに、枠22には、その外周面226において、軸X20の周囲に規則的に配置された先端部227が設けられている。
動作時に、電極22は、ロータ42を介して、−20kVの負の高電圧になる。
この負の高電圧により、噴霧縁部214の方に、先端部227の付近で負イオンが発生する。
図3において「−」という記号で表されている、これらのイオンによって、塗布製品2000のフィラメントが負に帯電し、塗布製品3000の液滴が領域Z2に形成する。
したがって、液滴3000が領域Z2に形成されると、イオン化又はコロナ効果によって、電極22は液滴の帯電電極を構成する。
【0031】
換言すると、半導体材料から製造されたリング24の使用は、その比較的絶縁性により、領域Z2におけるイオン化によって塗料液滴3000を帯電させることを可能にする。
代替的には、リング24は、電気絶縁性材料から製造することができる。
【0032】
枠22によって形成される電極は、ボウルの外側に位置し、半径方向に本体21を包囲することに留意する必要がある。
【0033】
噴霧装置10は、ライン33であって、物体Oの方に液滴3000の霧Nを形成する空気スカートを生じるように本体30に配置されたラインを備えている。
矢印F2によって示されているように、この空気スカートは、本体30から噴霧装置10の前部の方に流れる。
ライン33は、規則的に軸X30の周囲に配置され、環状分注室35から供給され、この環状分注室は、空気源(図示せず。)に接続されたホース37によって供給される。
特に、スカート空気F2は、リング24の外側半径方向面245に触れる。
これによって、外側半径方向面が連続的に乾燥し、この面に静電的に帯電した液滴3000の発生が防止され、短絡の危険性が制限される。
また、スカート空気F2は、枠22の外側半径方向面226にも触れ、これによっても、外側半径方向面が乾燥する。
さらに、スカート空気は、先端部227から前方に、すなわち領域Z2の方に負イオンを誘導し、負イオンは液滴3000に接触し、その後、負に帯電する。
【0034】
噴霧装置10は、設備1の利用構成において、第2の環状電極70であって、
噴霧縁部214の後方で、すなわち、
噴霧縁部に対して物体Oの反対側で本体30に取り付けられた第2の環状電極も備えている。
電極70は、ケーブル81によって接続された高電圧ユニット80から高電圧が供給される。
【0035】
噴霧装置10の動作時に、電極70は高電圧になり、枠22の電位と同じ
符号(極性)を有する。
例において、電極70は−80kVの電位になり、静電場Eは、物体Oと電極との間に生じ、具体的には、静電場は、液滴3000がボウル20の噴霧縁部214から出る領域Z2に印加される。
そして、帯電した液滴3000は、スカート空気及び静電気力により、空力を受け、この液滴の強度は、静電場Eの強度を乗じた液滴の電荷qと等しく、空力は、物体Oの方に液滴3000を誘導する傾向がある。
その意味で、電極70は、物体Oの方に液滴3000を押し戻し、反発電極と称することができ、静電場Eは、輸送場と称することができる。
【0036】
噴霧装置は、第3の電極90であって、軸X30に沿って、電極22と70との間に挿入され、これらの電極の電位間の中間電位になる第3の電極も備えている。
この第3の電極の機能は、第3の実施形態を参照して以下に説明される。
【0037】
図3及び以下に示す本発明の第2及び第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の要素には、同一の符号が付されている。
以下に、これらの実施形態のそれぞれと第1の実施形態の相違が何であるかについて、本質的に説明する。
【0038】
図4に示されている本発明の第2の実施形態において、ボウル20は、液体塗布製品の膜1000を分散させる面212とともに、上述したように領域Z2に接する噴霧縁部214を画定する絶縁体21を備えるものが用いられており、塗布製品の液滴3000は、膜1000から張られたウェブ2000より形成される。
【0039】
電極122は、ライン33であって、矢印F2によって示されている空気スカートを発生させ、塗布製品3000の液滴の霧Nの形状を構成するライン、に配置されている。
電極122は、金属製であり、指の形状をしており、電極はそれぞれ細い前方先端部122Aを有し、これらの電極付近において空気のイオン化現象を容易にする。
電極122は、互いに、そしてケーブル51によって高電圧ユニットに電気的に接続されている。
したがって、これらの電極122は、イオン化によって、形成し領域Z2を通過する液滴を帯電させることができる。
【0040】
第1の実施形態と同様に、噴霧装置の本体30には反発電極70が設けられ、これによって、負に帯電した塗布製品の液滴3000を物体Oの方に輸送する静電界Eを発生させることができる。
この実施形態において、電極122は−20kVの電位になり得るが、反発電極70は、噴霧装置10の動作時に−80kVの電位になる。
代替的に、電極122は、塗布される物体の方に配向されている、噴霧装置10の本体30の前面35に対して突出していなくてもよい。
【0041】
別の代替例によれば、電極122は、軸X30に中心を有する幾何学的円の内側又は外側に対して半径方向に、ライン33の外側に配置することができ、この電極に沿って、これらのラインは配置されている。
すべての場合において、電極122は、軸X30に沿って、電極70と噴霧縁部214との間に配置されている。
【0042】
また、この実施形態では、噴霧装置は、第3の電極90であって、軸X30に沿って、電極122と70との間に挿入され、これらの電極の電位間の中間電位になる第3の電極も備えている。
この第3の電極の機能も、以下に説明される。
【0043】
第1及び第2の実施形態において、本体30は、電気絶縁材料から製造されたキャップ31を備え、このキャップは、反発電極70の通路開口部を備えている。
特に、キャップ31は、軸X30に沿って、電極70とスカート空気F2が出る本体30の前部との間に延びている。
したがって、キャップは、軸X30に沿って、イオン化帯電電極22又は122と反発電極70との間に挿入されている。
【0044】
図5の第3の実施形態において、ボウル20は、電気絶縁材料、具体的には金属から製造された枠22とともに、金属製のディストリビュータ23と、内側半径方向面232であって、ディストリビュータ23の外側半径方向端部を画定する噴霧縁部234までの塗布製品の膜1000の分散面を構成している内側半径方向面を備えている。
電気絶縁材料又は半導体材料から製造されたリング24は、ボウル20の外側において、枠22とディストリビュータ23の外側半径方向部分との間に挿入されている。
環状容積部分(annular volume)V20は、ディストリビュータ23の外側半径方向面235と枠22の内側半径方向面225との間において画定される。
【0045】
第1の実施形態と同様に、タービン40のロータ42は、高電圧になる。
このロータは、枠22に接しており、このため、この枠も高電圧になり、電極を形成する。
さらに、ボウル20は、ハブ29であって、電気絶縁材料から製造され、ロータ42とのインタフェースとして機能するハブを備え、このハブは、枠22とディストリビュータ23との間に半径方向に挿入されたカラー292によって、ロータ42の方に配向された容積部分V20の側面に延びている。
したがって、リング24、容積部分V20及びカラー292は、電極22とディストリビュータ23との間のガルバニックイオン化(galvanic ionization)を保証し、これによって、種々の電位がもたらされ得る。
【0046】
リング24及び/又はハブ29は、代替的に、半導体材料から製造されていてもよい。
電極22には、その外周面226において、軸X30に対して半径方向に外側へ延びる一連の先端部227が設けられている。
一連の先端部227は、代替的に、鋭い円形縁部に置き換えられていてもよい。
ボウル20は、第1の実施形態と同等の金属デフレクタ26も備えている。
【0047】
動作時に、電極22は、ロータ42を介して、−20kVの負の高電圧になる。
この負の高電圧により、そして、第1の実施形態と同様に、負イオンは、周囲空気のイオン化によって、先端部227付近で発生する。
したがって、液滴3000が領域Z2に形成されると、イオン化又はコロナ効果によって、電極22は液滴の帯電電極を構成する。
【0048】
ディストリビュータ23及びデフレクタ26の電位は、ディストリビュータ23及びデフレクタが電極22から電気的に絶縁されるので、変動し得ることに留意する必要がある。
要素23及び26は、塗布製品に対して良好な摩滅抵抗を有するように、金属から製造される。
【0049】
リング24が電気的に絶縁されている場合には、リング24の両側において、ディストリビュータ23と電極22との電位差は維持され得る。
さらに、反発電極と称する第2の電極70は、本体30に取り付けられ、噴霧装置の動作時に−80Vになる。
第2の電極は、塗布される物体Oの方に液滴3000を輸送するように、静電場Eを発生させる。
負に帯電する液滴3000は、電極70によって「反発され」ながら、静電場を上方へ移動させる。
【0050】
前述したように、矢印F2によって示されているスカート空気の流れは、領域Z2において生じる液滴の霧Nを形成するのに用いられる。
スカート空気ジェットは、外側半径方向面226及び電極22の先端部227並びにリング24の外側半径方向面245を連続的に乾燥することができ、液滴の蓄積を防止し、短絡の危険性を制限する。
第1の実施形態の33、35及び37などの手段は、スカート空気流れを発生させるのに用いられる。
【0051】
第1の実施形態と同様に、本体30は、第3の安定化電極90であって、軸X30に沿って、電極70とボウル20の縁部234との間に配置された第3の安定化電極を備えている。
換言すると、安定化電極90は、軸X30に沿って、電極22と70との間に、このため、反発電極70よりも電極22に近くに挿入されている。
絶縁材料又は半導体材料から製造されたリング92は、軸X30に沿って、電極70と90との間に挿入されている。
【0052】
電極70及び90はそれぞれ、ケーブル81及び83によって高電圧源に接続されている。
かかる高電圧源の一つは、ケーブル81に接続された発電機の形態で、
図1に見ることができる。
そして、ケーブル83は、分圧器ブリッジによって発電機に接続されているか、又は、ケーブルに対して特異的な発電機に接続されている。
電極90に動力を供給する他の方法を考慮することができる。
【0053】
噴霧装置10の動作時に、電極90は、イオン化帯電電極22の電位と反発電極70の電位との間の中間電位になる。
例として、この中間電位は、第2の電極の電位のほぼ半分、すなわち一例では−40kVに設定されていてもよい。
安定化電極90は、反発電極70から生じる場ラインに対してスクリーンを形成することができ、このため、帯電電極22上に接近する傾向がない。
これによって、反発電極70により生じる静電場が領域Z2の液滴3000のイオン化現象を妨害するのが防止される。
実際に、第2及び第3の電極の電位が同じ
符号(極性)を有しており、第3の電極90の電位は、第2の電極70の0%〜90%になるように選択することができる。
【0054】
先の知見は、第1及び第2の実施形態にも有効である。
【0055】
この実施形態のキャップ31は、電極90と本体30の前部との間に延びている。
したがって、キャップは、電極22と70との間に、特に電極22と90との間に軸方向に挿入される。
そして、このキャップは、絶縁材料から製造される。
【0056】
図5の実施形態には、ボウル後方に空気スカートF2を供給する手段が示されていない。
これらの手段は、第1及び第2の実施形態のものと同一であっても又は異なっていてもよい。
【0057】
実施形態に関係なく、イオン化帯電電極、すなわち第1の実施形態の枠22、第2の実施形態の電極122、及び第3の実施形態の電極22は、軸X30に沿って、噴霧縁部214とタービン40のロータ42との間に少なくとも部分的に延びている。
したがって、このイオン化電極は、噴霧域Z2を通過する塗布製品の液滴3000を有効に帯電させるように正確に配置されている。
【0058】
実施形態に関係なく、一方では第1の帯電電極、他方では輸送及び安定化のための場Eを発生させる第2及び第3の電極は、種々の時間に電圧を供給することができる。換言すると、これらは、別々に活性化させることができる。
例えば、ファラデーケージ、例えば光ビーコンハウジング(optical beacon housing)を形成する部分に入るように、第1の電極により帯電を容易にする第2及び第3の電極の供給電圧の絶対値を減少させるか又はゼロにすることによって、輸送場を低減することが可能であり、その結果、液滴3000はファラデーケージに入る。
この原理は、塗布される物体Oの幾何形状に基づいて、第1、第2及び第3の電極を互いに別々に活性化させることからなる。
塗布される物体に対する噴霧装置の移動速度と通常互換性がある、帯電手段の応答時間がおよそ200msであるので、第2の電極を活性化させるか、又は、噴霧時に、その場でその電位を変更することも可能である。
【0059】
この目的において、第1の実施形態の発電機50及び80とこれらの制御手段、又は他の実施形態に用いられる同様の手段は、制御手段及び電源供給手段を構成しており、これらは、輸送場Eを発生させるように、帯電電極22又は122及び電極70から区別され独立している。
同様に、第1の実施形態の発電機80及び84とこれらの制御手段も、他の実施形態に用いられる同様の手段であり、制御手段及び電源供給手段を構成しており、これらは、第2の電極70及び第3の電極90から区別され独立している。
ただし、代替的に、第1、第2及び第3の電極は、種々のレベルの同じ静電発電機を用いて出口付近に供給されてもよい。
【0060】
本発明は、噴霧装置がスプレーガン型である場合、すなわち、操作者の手に保持されるように構成されている場合に、特に適用可能である。
また、本発明は、自動噴霧装置にも適用可能である。
【0061】
本発明は、電極の電位が負である場合の実施形態を参照にして説明してきた。
ただし、本発明は、電位が正である場合に実施することができる。
【0062】
上で考慮された実施形態及び変形例の技術的特徴を互いに組み合わせて、新たな実施形態を創作することができる。