(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306757
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】双方向トランジスタを備えた超音波制御のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20180326BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20180326BHJP
H03K 17/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
A61B8/14
H03K17/687 G
H03K17/00 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-15750(P2017-15750)
(22)【出願日】2017年1月31日
(62)【分割の表示】特願2014-554811(P2014-554811)の分割
【原出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2017-113581(P2017-113581A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/357,593
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】マックス イー ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】リッキー ディー ジョーダンジャー
(72)【発明者】
【氏名】イスマル エイチ オグズマン
【審査官】
永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−193036(JP,A)
【文献】
特開平08−023098(JP,A)
【文献】
特開平08−037303(JP,A)
【文献】
特開2006−149720(JP,A)
【文献】
特開平05−268037(JP,A)
【文献】
米国特許第04595847(US,A)
【文献】
特開2012−095168(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0063011(US,A1)
【文献】
特開2004−274721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムであって、
超音波トランスデューサと、
前記超音波トランスデューサから分離されている超音波レシーバと、
双方向トランジスタであって、
第1の導電型を有するボディ領域と、
チャネル領域と、
前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有する第1及び第2の不純物領域であって、前記第1及び第2の不純物領域が前記チャネル領域により分離されており、前記第1の不純物領域が前記超音波トランスデューサに結合され、前記第2の不純物領域が前記超音波レシーバに結合される、前記第1及び第2の不純物領域と、
前記チャネル領域の上に位置されるゲートと、
を含む、前記双方向トランジスタと、
前記双方向トランジスタのゲートと第1の電圧源レールとの間に結合される第1の接地トランジスタと、
前記双方向トランジスタのボディ領域と前記第1の電圧源レールとの間に結合される第2の接地トランジスタと、
を含む、超音波システム。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波システムであって、
パルサー論理回路であって、
第2の電圧源レールと前記双方向トランジスタの第1の不純物領域との間に結合されるプルアップトランジスタと、
前記第1の電圧源レールと前記双方向トランジスタの第1の不純物領域との間に結合されるプルダウントランジスタと、
を含む、前記パルサー論理回路を更に含む、超音波システム。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波システムであって、
前記双方向トランジスタのゲートと前記第1の接地トランジスタのドレインとの間に結合される第1のアノードと、第1のカソードとを含む、第1のツェナーダイオードと、
前記双方向トランジスタのボディ領域と前記第2の接地トランジスタのドレインとの間に結合される第2のアノードと、前記第1のカソードに結合される第2のカソードとを含む、第2のツェナーダイオードと、
を更に含む、超音波システム。
【請求項4】
制御チップであって、
超音波トランスデューサピンと、
前記超音波トランスデューサピンから分離されている超音波レシーバピンと、
双方向トランジスタであって、
第1の導電型を有するボディ領域と、
チャネル領域と、
前記第1の導電型と反対の第2の導電型を有する第1及び第2の不純物領域であって、前記第1及び第2の不純物領域が前記チャネル領域により分離されており、前記第1の不純物領域が前記超音波トランスデューサに結合され、前記第2の不純物領域が前記超音波レシーバに結合される、前記第1及び第2の不純物領域と、
前記チャネル領域の上に位置されるゲートと、
を含む、前記双方向トランジスタと、
前記双方向トランジスタのゲートと第1の電圧源レールとの間に結合される第1の接地トランジスタと、
前記双方向トランジスタのボディ領域と前記第1の電圧源レールとの間に結合される第2の接地トランジスタと、
を含む、制御チップ。
【請求項5】
請求項4に記載の制御チップであって、
パルサー論理回路であって、
第2の電圧源レールと前記双方向トランジスタの第1の不純物領域との間に結合されるプルアップトランジスタと、
前記第1の電圧源レールと前記双方向トランジスタの第1の不純物領域との間に結合されるプルダウントランジスタと、
を含む、前記パルサー論理回路を更に含む、制御チップ。
【請求項6】
請求項4に記載の制御チップであって、
前記双方向トランジスタのゲートと前記第1の接地トランジスタのドレインとの間に結合される第1のアノードと、第1のカソードとを含む、第1のツェナーダイオードと、
前記双方向トランジスタのボディ領域と前記第2の接地トランジスタのドレインとの間に結合される第2のアノードと、前記第1のカソードに結合される第2のカソードとを含む、第2のツェナーダイオードと、
を更に含む、制御チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの電子デバイスは、機械的可動部品なしに電気の流れを制御するため半導体トランジスタを実装する。半導体トランジスタは、用いられる材料、アーキテクチャ、電圧及び電流に対する動作範囲、及びサイズに関連して変化し得る。半導体トランジスタの電気的デバイスへの実装が進展しており、半導体トランジスタ設計、信頼性、及び効率に対する改善が継続的に求められている。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの実施例において、超音波システムが、超音波トランスデューサ、超音波トランスデューサに結合される双方向トランジスタを含む、双方向トランジスタは、超音波トランスデューサを接地に選択的に接続するように及び超音波トランスデューサを超音波レシーバに選択的に接続するように動作する。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも幾つかの実施例に従って、超音波デバイスのための制御チップが、双方向トランジスタと、双方向トランジスタに結合される超音波トランスデューサ接続ピンとを含む。制御チップは更に、双方向トランジスタに結合される超音波レシーバ接続ピンを含む。双方向トランジスタは、超音波トランスデューサ接続ピンから超音波レシーバ接続ピンまで電流を選択的に流れさせる。
【0004】
少なくとも幾つかの実施例に従って、或る方法が、制御ロジックにより、パルスモードをアクティブにすることを含み、パルスモードの間、超音波レシーバに結合される双方向トランジスタがオフである一方で高電圧レベルがトランスデューサに供給される。この方法は更に、制御ロジックにより、ゼロ復帰(RTZ)モードをアクティブにすることを含み、RTZモードの間、双方向トランジスタがオンである一方で接地トランジスタスイッチがオンである。この方法は更に、制御ロジックにより、リッスンモードをアクティブにすることを含み、リッスンモードの間、双方向トランジスタがオンである一方で接地トランジスタスイッチがオフである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例に従った超音波デバイスを図示する。
【0006】
【
図2】
図2は、本開示の一実施例に従った超音波制御チップを図示する。
【0007】
【
図3】
図3は、本開示の一実施例に従った双方向トランジスタアーキテクチャを図示する。
【0008】
【
図4A】
図4Aは、本開示の一実施例に従った例示のNMOS双方向トランジスタを図示する。
【0009】
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施例に従った例示のPMOS双方向トランジスタを図示する。
【0010】
【
図4C】
図4Cは、本開示の一実施例に従ってオフにされた
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタを備えた上向きスリューシナリオを図示する。
【0011】
【
図4D】
図4Dは、本開示の一実施例に従ってオフにされた
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタを備えた下向きスリューシナリオを図示する。
【0012】
【
図4E】
図4Eは、本開示の一実施例に従った
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタのためのスイッチオンシナリオを図示する。
【0013】
【
図4F】
図4Fは、本開示の一実施例に従った
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタのためのボディ電位制御方式を図示する。
【0014】
【
図5】
図5は、本開示の一実施例に従った超音波デバイスのための制御ロジックを図示する。
【0015】
【
図6】
図6は、本開示の一実施例に従った方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例は、例えば超音波システムにおける、特殊化されたトランジスタアーキテクチャ及びその利用に向けられている。少なくとも幾つかの実施例において、トランジスタは、チャネルの両端において高電圧ドレインを備えた高電圧金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む。トランジスタのボディは、(高電圧MOSFETにおいて通常成されるように)ソースにつながっていない。これらの特徴により、デバイスがいずれの方向にも電流を導通させること及び高電圧をスタンドオフ(standoff)することが可能となる。開示されるMOSFETアーキテクチャのためのチャネル伝導度は、ボディに関連してゲート電位を変えることにより、及びボディ及びゲート電位両方を超音波トランスデューサ及びレシーバ(トランスミッタ/レシーバスイッチとして用いられるとき)又はトランスミッタ及び接地(ダイナミックダンピングスイッチとして用いられるとき)のものに関連して制御することにより、制御される。開示されるトランジスタアーキテクチャは、定常の高いコンダクタンス経路を維持するために電流を要さず、そのため、ダイオードブリッジを実装することに比して有利である。更に、開示されるトランジスタアーキテクチャは、2つの直列MOSFETスイッチを実装するよりも潜在的に用いるために要する面積が小さい。開示されるトランジスタアーキテクチャは、超音波トランスミッタのための低電力トランジスタ/レシーバ(T/R)スイッチとして実装され得、又は、T/Rスイッチ及び/又はダイナミックダンピングスイッチの恩恵を受ける集積回路(IC)において実装され得る。
【0017】
限定なしに、開示されるトランジスタアーキテクチャの開発は、超音波トランスデューサを接地に向かって放電するための(例えば、ダイナミックダンピングのため)又はトランスデューサを超音波レシーバに接続するための(例えば、パルシング後などのT/Rスイッチオペレーションのため)、容易に制御されるコンパクトなスイッチを提供することが意図された。従来の高電圧MOSFETは、そのチャネルの一端で高電圧ドレインを及び他方の端で低電源を有する。この従来のMOSFETアーキテクチャでは、そのソースに関連してゲート電位を変えることによりチャネル導通が制御される。比較すると、開示されるトランジスタアーキテクチャは、そのチャネルの各端部において高電圧ドレインを含む。開示されるトランジスタアーキテクチャでは、チャネル導通は、ボディに関連してゲート電位を変えることにより制御される。これにより、開示されるトランジスタアーキテクチャは双方向に動作し得る。更に具体的には、充分な正のゲート・ボディ電圧があれば、MOSFET(この場合、NMOSデバイスであると仮定する)はいずれの方向にも導通し得る。開示されるトランジスタアーキテクチャの双方向のオペレーションは、ドレイン構造が許容する程度に高い電位をサポートし得る。充分に低い又は負のゲート・ボディ電位では、MOSFETは定常電流を導通させない。
【0018】
図2は、本開示の一実施例に従った超音波デバイス102を図示する。図示するように、超音波デバイス102は、超音波を生成するためにパルサーロジック106により選択的に動作される超音波トランスデューサ108を含む。更に具体的には、パルサーロジック106は、高い正の電圧を超音波トランスデューサ108に選択的に供給するプルアップトランジスタスイッチを含み得る。付加的に又は代替として、パルサーロジック106は、高い負の電圧を超音波トランスデューサ108に選択的に供給するプルダウントランジスタスイッチを含み得る。高い正の電圧又は高い負の電圧を供給するためのパルサーロジック106のオペレーションは、制御ロジック114により制御される。少なくとも幾つかの実施例に従って、制御ロジック114は、パルサーロジック106が、高い正の電圧、高い負の電圧、又は高い正の電圧及び/又は低い負の電圧のシーケンスを出力するように、指示する。パルサーロジック106の出力は、1つ又は複数の超音波を生成するため超音波トランスデューサ108を作動させる。パルサーロジック106による超音波トランスデューサ108の作動の間、双方向トランジスタ104がオフである。
【0019】
パルサーロジック106による超音波トランスデューサ108の作動の後、制御ロジック114は、パルサーロジック106をオフにし、双方向トランジスタ104をオンにし、接地トランジスタスイッチ110をオンにすることにより、超音波トランスデューサ108を接地させ得る。超音波トランスデューサ108が接地された後、制御ロジック114は、超音波デバイス102に対してリッスンモードを可能にし、このリッスンモードでは、パルサーロジック106はオフであり、双方向トランジスタ104はオンであり、接地トランジスタスイッチ110はオフである。リッスンモードにおいて、反射される超音波が、超音波トランスデューサ108に、分析及び/又はイメージングのため超音波レシーバ112に転送される対応する電気的信号を生成させる。
【0020】
要約すると、超音波デバイス102は異なる動作モードを有し、これらのモードの間、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110がオン又はオフとなる。例えば、アイドルモードの間、制御ロジック114がパルサーロジック106をオフにする一方で、双方向トランジスタ104及び接地トランジスタスイッチ110はオンである。プルアップモードの間、制御ロジック114がパルサーロジック106のプルアップトランジスタをオンにする(プルダウントラジスタはオフになる)一方で、双方向トランジスタ104及び接地トランジスタスイッチ110はオフである。プルダウンモードの間、制御ロジック114がパルサーロジック106のプルダウントラジスタをオンにする(プルアップトランジスタはオフになる)一方で、双方向トランジスタ104及び接地トランジスタスイッチ110はオフである。プルアップモード及びプルダウンモードは、超音波トランスデューサ108を作動して超音波を生成させる。ゼロ復帰(RTZ)モードの間、制御ロジック114がパルサーロジック106をオフにする一方で、双方向トランジスタ104及び接地トランジスタスイッチ110はオンである。リッスンモードの間、制御ロジック114がパルサーロジック106及び接地トランジスタスイッチ110をオフにする一方で、双方向トランジスタ104はオンである。RTZモードは、超音波トランスデューサ108をリッスンモードのために準備させ、リッスンモードの間、超音波トランスデューサ108は、反射される超音波から電気的信号を生成し、これらの電気的信号を双方向トランジスタ104を介して超音波レシーバ112に転送する。
【0021】
後に説明するように、双方向トランジスタ104は、チャネルの各端部において高電圧ドレインを備えたチャネルを含み得る。そのような実施例では、双方向トランジスタ104のための電流フローは、ゲート・ボディ電圧電位レベルを変えることにより制御される。従って、本明細書に記載される異なる制御モードでは、制御ロジック114は、ゲート・ボディ電圧電位を変えることにより双方向トランジスタ104を選択的にオン及びオフにし得る。
【0022】
少なくとも幾つかの実施例において、超音波デバイス102の種々の構成要素が、半導体チップ上に共に実装される。例えば、パルサーロジック及び双方向トランジスタは、単一半導体制御チップの構成要素として製造され得る。
図2は、本開示の一実施例に従った超音波制御チップ200を図示する。図示するように、超音波制御チップ200は、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、接地トランジスタスイッチ110、及び制御ロジック114を含む。代替の実施例において、制御ロジック114及び/又は接地トランジスタスイッチ110は、超音波制御チップ202から省かれる。
【0023】
図2に示すように、超音波制御チップ202は、チップ202の内部構成要素を外部超音波構成要素と接続するために種々のピン(204〜212)を含む。例えば、高い正の電圧接続ピン204が、外部の高い正の電圧をパルサーロジック106に入力させ得る。また、高い負の電圧接続ピン206が、外部の高い正の電圧をパルサーロジック106に入力させ得る。図示するように、超音波制御チップ202は更に、超音波制御チップ208の内部構成要素(例えば、パルサーロジック106及び双方向トランジスタ104)を超音波トランスデューサ(例えば、超音波トランスデューサ108)に接続するために超音波トランスデューサ接続ピン208を含む。超音波制御チップ202は更に、超音波制御チップ208の内部構成要素(例えば、双方向トランジスタ104及び接地トランジスタスイッチ110)を超音波レシーバ(例えば、超音波レシーバ112)に接続するように超音波レシーバ接続ピン210を含む。図示するように、超音波制御チップ202は更に、接地トランジスタスイッチ110を接地に接続するために接地接続ピン212を含む。
【0024】
超音波制御チップ202の内部構成要素及び接続ピンは単なる例であり、他の実施例を制限することは意図していない。例えば、制御ロジック114がチップの外にある超音波制御チップ実施例において、制御ロジック114からの信号を、パルサーロジック106に、双方向トランジスタ104に、及び/又は接地トランジスタスイッチ110に接続するように、付加的な接続ピンが提供され得る。同様に、接地トランジスタスイッチ110がチップの外にある超音波制御チップ実施例において、双方向トランジスタ104及び超音波レシーバ接続ピン210間に外部接地トランジスタスイッチを接続するために、接地トランジスタスイッチ接続ピンが用いられ得る。
【0025】
オペレーションにおいて、超音波制御チップ202の双方向トランジスタ104は、超音波トランスデューサ接続ピン208から超音波レシーバ接続ピン210まで電流を選択的に流れさせる。プルアップ制御モードの間、パルサーロジック106は、双方向トランジスタ104がオフである一方で高い正の電圧レベルを超音波トランスデューサ接続ピン108に供給する。プルダウン制御モードの間、パルサーロジック106は、双方向トランジスタ104がオフである一方で高い負の電圧レベルを超音波トランスデューサ接続ピン208に供給する。ゼロ復帰(RTZ)制御モードの間、双方向トランジスタ104はオンであり、超音波レシーバ接続ピン210の出力は(内部又は外部接地トランジスタスイッチ110をオンにチューニングすることにより)接地される。リッスン制御モードの間、双方向トランジスタ104はオンであり、超音波レシーバ接続ピン210は接地されない(即ち、接地トランジスタスイッチ110がオフである)。
【0026】
上述のように、実施例に従って、双方向トランジスタ104は、各端部において高電圧ドレインを備えたチャネルを含み、ゲート・ボディ電圧電位レベルを変えることによりチャネル導通が制御される。
図3は、本開示の一実施例に従った双方向トランジスタアーキテクチャ300を図示する。
図3の双方向トランジスタアーキテクチャ300は、例えば、
図1及び
図2について説明した双方向トランジスタ104に対応する。
【0027】
図示するように、双方向トランジスタアーキテクチャ300は、チャネル312と、チャネル312の各端部におけるドレイン306及び308とを含む。チャネル312の上方にあるのはゲート310であり、ゲート310は、制御電圧(Vctrl)の値に応じてドレイン306及び308間で電流をいずれの方向にも流れさせ得る。Vctrlはまたドレイン306及び308間に電流が流れないようにも設定され得る。Vctrlは
図3において、ボディ304とゲート310との間の電圧電位として示す。少なくとも幾つかの実施例に従って、ボディ304は、ボディ304がその内/上に構築される基板302に対して「浮遊する」。隔離又は「浮遊」は、埋め込まれた酸化物により、酸化物トレンチにより、又は接合隔離により達成され得る。ボディ304の基板302からの隔離は、開示されるトランジスタアーキテクチャに対して適切に機能する必要がある。
【0028】
例えば、左ドレイン306が正の電圧(例えば、30V)であり、右ドレイン308が負の電圧(例えば、−50V)であるとき、双方向トランジスタアーキテクチャ300は「オフ」である。この状況において、ボディ電位は、ドレイン308電圧を上回って1つのダイオードドロップより高く上がることができない(即ち、右ドレイン308は従来通り構成されるMOSFETのソースとして機能する)。Vctrlは、例えば、ボディ304より−5V下で、ゲート310をバイアスするために用いられる。このシナリオにおいて、ゲート310は「ソース」を−43Vのみ上回ってバイアスされ、チャネル312はオフである。ドレイン端子306及び308上の電圧が逆転される場合、ボディ304は最低電位でドレインをわずかにのみ(ダイオードドロップ分だけ)上回ったままとなりがちである。そのため、チャネル312は、少なくとも準静的な意味でオフのままであり得る。双方向トランジスタアーキテクチャ300、ドレイン306及び308は「n+」であり、ボディ304は「p−」であるため、バイポーラトランジスタ挙動となる。バイポーラトランジスタ電流フローをシャットオフするため、ボディ304における電位は最低電位でドレインまで下に駆動される。
【0029】
双方向トランジスタアーキテクチャ300は、例えば、最低電位におけるドレインに対してゲート310が正にバイアスされるとき、「オン」である。最高電位を有するドレイン306、308は、従来の意味でドレインとして機能する。ドレイン306、308における電位を逆転することによっても、導通となる。バイポーラトランジスタ挙動も存在する。最低電位におけるドレインに対して高いボディ304で、従来のバイポーラ電流が流れる。MOSFETアクションは、一層低いドレインに対してボディ304の電位により影響されるため、ボディ304電位の制御が有効である。
【0030】
少なくとも幾つかの実施例において、双方向トランジスタアーキテクチャ300は、トランスミッタ/レシーバ(T/R)スイッチとして用いられる。このような場合、パルサーロジックからの高電圧が、左ドレイン306辺りに空乏領域を形成させる。チャネル312は、ゲート310が右ドレイン308を、Vthより小さく上回ることを確実にするために充分に大きなVctrlを印加することによりオフになる。図示しないが必要とされるのは、バイポーラ電流フローを避けるためその電位を(右ドレイン308に対して)充分に低く保つボディ304のためのドライバである。
【0031】
Vctrlはまた、ゲート310が左ドレイン306を、Vthより小さく上回るようにも制御され得る。パルサーロジックにより印加される高い負の電圧で、右ドレイン308辺りに空乏領域が形成される。図示しないが要求されるのは、バイポーラ電流フローを避けるためその電位を(左ドレイン306に対して)充分に低く保つボディ304のためのドライバである。
【0032】
図4Aは、本開示の一実施例に従った例示のNMOS双方向トランジスタ400Aを図示する。例示のNMOS双方向トランジスタ400Aは、MOSFET410A及び寄生NMOSバイポーラデバイス412Aを示し、ここで、ボディ電位408A(Vctrlに対応する)は、バイポーラデバイス412Aのアクションが所望となることを確実にするように制御される。更に示されているのは、ドレイン402A及び404A(ドレイン306及び308に対応する)及びゲート406A(ゲート310に対応する)である。
【0033】
図4Bは、本発明の一実施例に従った例示のPMOS双方向トランジスタ400Bを図示する。例示のPMOS双方向トランジスタ400Bは、MOSFET410B及び寄生PMOSバイポーラデバイス412Bを示し、ここで、ボディ電位408B(Vctrlに対応する)は、バイポーラデバイス412Bのアクションが所望となることを確実にするように制御される。更に示されているのは、ドレイン402B及び404B(ドレイン306及び308に対応する)及びゲート406B(ゲート310に対応する)である。
【0034】
図4Cは、オフにされた
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタ400Aを備えた上向きスリューシナリオ420を図示する。上向きスリューシナリオ420では、M2及びM3がオンにされ得、そのため、ボディ/ベース電位が上昇し、それよってMOS及びバイポーラデバイスをオンにすることを避ける。一方、
図4CにおけるツェナーダイオードD1及びD2は、如何なる過剰なゲート/ボディ電位をも防ぐ。ドレイン/ボディ接合(コレクタ/ベース接合)が高電圧供給間の差に等しい電圧に耐える限り、M2及びM3は、いずれの方向でもアクティブパルシングの間オンにされ得る。このようにして、ゲート及びボディ電位は、パルシングの間制御され得る。
【0035】
図4Dは、オフにされた
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタ400Aを備えた下向きスリューシナリオ430を図示する。下向きスリューシナリオ430では、例えば、例示のNMOS双方向トランジスタ400Aは、ダイナミックダンピングスイッチとして用いられる。下向きスリューシナリオ430において、M2が、M1又はM3前にプルダウンする場合、(M1、M2、及びM3は同時にプルダウンされ得ることが意図される)、M2は、ゲート及びボディを例示のNMOS双方向トランジスタ400Aのドレイン/ソース及びコレクタ/エミッタ端子を下回ってプルダウンし得る。ドレイン接合は高電圧に耐えるため、これらはブレークダウンしない。更に、ゲートは、高電圧(及び高いVsg)に耐えることができ、そのため、ドレインにおけるゲートブレークダウンはなくなる。下向きスリューシナリオ430におけるツェナーダイオードD1及びD2は、ゲート・ボディにおけるブレークダウンを避ける。
【0036】
M1が、M2又はM3前にプルダウンする場合、MOSのボディ/ドレイン接合(バイポーラ構造のベースエミッタ)は順方向バイアスされる。ツェナーダイオードD1及びD2は、ゲートを下げさせる一方、過剰なVgb又はVgsを避ける。例示のNMOS双方向トランジスタ400Aが下向きスリューの間導通することを避けるため、M3は時間の或る地点においてアクティブにされる。たとえM3がオンにされる際にM1に対して遅延されても、接合又はゲートブレークダウンに起因する損傷はなくなり得る。
【0037】
図4Eは、
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタ400Aのためのシナリオ440でのスイッチを図示する。例示のNMOS双方向トランジスタ400Aをオンにするため、M4及びM5(前の図には示していない)がオンにされる。M4は、ゲート電位を5V−Vbeまで、又は最大実用Vgsまで上げる。一方、M5は、MOSデバイス上のボディ効果を低減するため、ボディ(エミッタ)を0V−Vbeまで上げる。ボディ(エミッタ)が接地を充分に上回って上昇される場合、バイポーラ構造は、オンになり得、トランスデューサ442と接地との間の電流経路を提供し得るが、これは必須ではない。バイポーラ構造は、そのエミッタが高度にドープされ得、そのベースが厚くなり得るため、低いβを有し得る。そのため、バイポーラ構造は、接地への強い導通経路を提供し得ないか又は提供しない可能性が高い。しかし、MOS構造は、如何なる定常状態電流なしに接地への強い導通経路を提供し得る。MOS構造をオンに保つために要求されるバイポーラ構造ベース電流は、望ましくない電力の損失である。
【0038】
要約すると、開示されるトランジスタアーキテクチャは、MOSトランジスタ構造及びバイポーラトランジスタ構造を含む。MOSトランジスタ構造は下記の特性を有する。1)Vdg及びVsgに対するブレークダウン閾値が大きい(NMOSでは正、PMOSでは負)、2)Vgsは、強い導通に必要とされるだけ「オン」にされる、3)Vgsは、チャネルをオフにするために必要とされるだけ「オフ」にされる、4)Vgbに対するブレークダウン閾値は、可能な限り高い一方で、良好なチャネル導通を維持する。バイポーラトランジスタ構造は下記の特性を有する。1)βは高くなく、2)Vcb及びVebに対するブレークダウン閾値が大きい。
【0039】
図4Fは、
図4Aの例示のNMOS双方向トランジスタ400Aのためのボディ電位制御方式450を図示する。ボディ電位制御方式450において、開示されるトランジスタアーキテクチャにおけるVbeを制御するためにショットキーダイオードが用いられる。更に具体的には、ボディ電位制御方式450のダイオードD1及びD2は、ベース・エミッタ接合のいずれかがオンにされることを避ける。そのため標準的なバイポーラトランジスタモードにおける電流の導通が避けられる。これは、
図4C〜
図4EのM3を不要とすることによって、ボディ(ベース)電位の制御を簡略化する。同じ手法が、
図4Bに示す相補型PMOSトランジスタアーキテクチャに適用され得る。少なくとも幾つかの実施例において、ショットキーダイオードは、低い順方向電圧を有し、M1のドレイン/ボディダイオード(Q1におけるコレクタ/ベース接合)が耐えることができるものと一致する逆電圧に耐える。
【0040】
図5は、本開示の一実施例に従った超音波デバイスのための制御ロジック114を図示する。図示するように、制御ロジック114は、アイドルモードロジック502、プルアップモードロジック504、プルダウンモードロジック506、RTZロジック508、及びリッスンモードロジック510を含む。アイドルモードロジック502は、本明細書に記載するように、アイドルモード制御信号が、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110に供給されるようにする。プルアップモードロジック504は、本明細書に記載するように、プルアップモード制御信号が、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110に供給されるようにする。プルダウンモードロジック506は、本明細書に記載するように、プルダウンモード制御信号が、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110に供給されるようにする。RTZモードロジック508は、本明細書に記載するように、RTZモード制御信号が、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110に提供されるようにする。リッスンモードロジック510は、本明細書に記載するように、リッスンモード制御信号が、パルサーロジック106、双方向トランジスタ104、及び接地トランジスタスイッチ110に提供されるようにする。
【0041】
制御ロジック114は、
図2の超音波制御チップ202に対して内に又は外に実装され得る。何れの場合でも、制御ロジック114は、プロセッサにアクセス可能なコンピュータ可読メモリによりストアされるプロセッサ実行命令に対応し得る。代替として、制御ロジック114は、プログラム可能なコントローラ又は特定用途向け集積回路を含み得る。制御ロジック114のオペレーションは、特定の順序で、アイドルモード、プルアップモード、プルダウンモード、RTZモード、及びリッスンモードを介して進む状態機械に対応し得る。少なくとも幾つかの実施例において、アイドルモードはデフォルトモードに対応し、他方のモードは、超音波シーケンスの一部として生じる。更に、プルアップモード及びプルダウンモードはパルスモードの一部であり得、このパルスモードでは、単一のプルアップオペレーションが生じるか、単一プルダウンオペレーションが生じるか、又は少なくとも1つのプルアップオペレーション及び少なくとも1つのプルダウンオペレーションの組み合わせが生じる。制御ロジック114のための異なるモードのタイミング及び期間は、種々の超音波オプションを可能にするため変化し得る。
【0042】
図6は、本開示の一実施例に従った方法600を図示する。図示するように、方法600は、パルスモードをアクティブにすることを含み、パルスモードの間、超音波レシーバに結合される双方向トランジスタがオフである一方で高電圧レベルがトランスデューサに供給される(ブロック602)。少なくとも幾つかの実施例において、パルスモードをアクティブにすることは、双方向トランジスタがオフである一方で高い正の電圧レベルをトランスデューサに供給すること、及び双方向トランジスタがオフである一方で高い負の電圧レベルをトランスデューサに供給することを含む。パルスモードの後、RTZモードがアクティブにされ、RTZモードの間、双方向トランジスタがオンである一方で接地トランジスタスイッチがオンである(ブロック604)。最終的に、リッスンモードがアクティブにされ、リッスンモードの間、双方向トランジスタがオンである一方で接地トランジスタスイッチがオフである(ブロック606)。
【0043】
少なくとも幾つかの実施例において、方法600は付加的に又は代替的に少なくとも一つの他の工程を含んでいてもよい。例えば、方法600は、ゲート・ボディ電圧電位レベルを所定の値又は範囲に設定することにより、パルスモードの間、双方向トランジスタのためのチャネル導通を制御することを更に含み得る。方法600は、ゲート・ボディ電圧電位レベルを所定の値又は範囲に設定することにより、RTZモードの間、双方向トランジスタのためのチャネル導通を制御することを更に含み得る。方法600は、ゲート・ボディ電圧電位レベルを所定の値又は範囲に設定することにより、リッスンモードの間、双方向トランジスタのためのチャネル導通を制御することを更に含み得る。
【0044】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。