特許第6306761号(P6306761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6306761-内燃機関用吸気マニホールド 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306761
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】内燃機関用吸気マニホールド
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20180326BHJP
   F02M 35/104 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   F02M35/10 301P
   F02M35/10 311E
   F02M35/104 N
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-21777(P2017-21777)
(22)【出願日】2017年2月9日
(62)【分割の表示】特願2013-35270(P2013-35270)の分割
【原出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2017-82800(P2017-82800A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健二
(72)【発明者】
【氏名】夏目 尭尚
(72)【発明者】
【氏名】平 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】高村 謙一
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏二
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−371929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/00−35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージタンクと、内燃機関の各シリンダと前記サージタンクとを接続する分岐管と、前記サージタンクに吸入ガスを取り入れるための導入口を有し該導入口から前記サージタンクへ前記吸入ガスを導く流路を形成する導入部と、前記分岐管と連通して前記各シリンダに前記吸入ガスを送出する導出口を有し前記サージタンクから前記導出口の間に流路を形成する導出部とを備え、前記導入部は、第1の導入部と、該第1の導入部近傍に設けられた第2の導入部とを有し、樹脂製材料を成形することで形成される内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記第1の導入部と前記第2の導入部とを接続するリブが一体的に設けられ、
前記リブは、接続される前記第1及び第2の導入部よりも先行して硬化するように形成され、さらには、弾性変形自在で前記導入部を移動可能に保持することを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記リブは、接続される前記第1の導入部及び前記導出部より薄く形成されることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記リブは、前記導入部及び前記導出部に対して体積が小さく形成されることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記導入部及び前記導出部の少なくともいずれか一方において、その流路の途中に前記吸入ガスの流通方向を変化させるように形成された湾曲部を有することを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項5】
請求項4記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記リブは、前記導入部に対して前記湾曲部の上流側に接続され、前記導出部への前記リブの接続部に対して前記湾曲部の下流側に接続されることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項6】
請求項4又は5記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記リブの接続部は、前記導出部におけるフランジ部に対して前記湾曲部側にオフセットして配置されることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に対して空気を供給するための複数の分岐管を有した内燃機関用吸気マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の多気筒エンジンでは、シリンダヘッドの吸気ポートと吸入空気量を調整する絞り弁との間に内燃機関用吸気マニホールドが設けられ、前記内燃機関用吸気マニホールドに吸入された吸入空気を分流させて各吸気ポートへと配分している。
【0003】
この内燃機関用吸気マニホールドは、例えば、特許文献1に開示されるように、樹脂製材料を成形することで形成され、空気を各気筒毎に分流するための分岐管と、該分岐管の上流側に形成され空気量を調整するスロットル装置に接続されるスロットル側取付フランジと、前記分岐管の下流側に形成され内燃機関における各ポートに接続される気筒側取付フランジとを備える。また、スロットル側取付フランジと気筒側取付フランジとが、一体成形された板状でL字状の連結部によって互いに強固に連結されることで、振動時におけるスロットル側取付フランジの振れを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−308506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような内燃機関用吸気マニホールドは、溶融した樹脂製材料を金型に充填して硬化させることで成形しているが、複数の分岐管が湾曲しており、しかも、スロットル側取付フランジと気筒側取付フランジとが互いに離間して独立して設けられている場合には、前記樹脂製材料の冷却時に生じる変形が大きく、該変形に伴って位置ずれが発生し、前記スロットル側取付フランジ及び気筒側取付フランジを相手部材に対して所定の位置に組み付けることが困難となる。
【0006】
また、このように位置ずれが生じた場合、スロットル側取付フランジと気筒側取付フランジとが、断面L字状で剛性の高く形成された連結部によって互いに強固に連結されているため、スロットル側取付フランジと気筒側取付フランジとを相対的に移動させることが困難であり、変形を調整して組み付けることが困難である。
【0007】
一方、上述したような変形による位置ずれを抑制するために、成形を行うための金型の形状を調整することが行われているが、その調整作業が非常に煩雑であり、製造工数及び製造コストの増加を招くこととなる。また、位置ずれ抑制のための冷却時間を確保するために、成形品を金型内に一定時間保持する必要があるため、それに伴って、生産時間が長くなり生産性の悪化を招くこととなる。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、成形時に生じる変形を抑制して製品精度の向上を図ると同時に、組付性の向上を図ることが可能な内燃機関用吸気マニホールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、サージタンクと、内燃機関の各シリンダと前記サージタンクとを接続する分岐管と、前記サージタンクに吸入ガスを取り入れるための導入口を有し該導入口から前記サージタンクへ前記吸入ガスを導く流路を形成する導入部と、前記分岐管と連通して前記各シリンダに前記吸入ガスを送出する導出口を有し前記サージタンクから前記導出口の間に流路を形成する導出部とを備え、導入部は、第1の導入部と、第1の導入部近傍に設けられた第2の導入部とを有し、樹脂製材料を成形することで形成される内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
第1の導入部と第2の導入部とを接続するリブが一体的に設けられ、
リブは、接続される第1及び第2の導入部よりも先行して硬化するように形成され、さらには、弾性変形自在で導入部を移動可能に保持することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、樹脂製材料からなる内燃機関用吸気マニホールドにおいて、吸入ガスをサージタンク内へと取り入れる導入部と、サージタンクから導出口の間に流路を形成する導出部とを備え、第1の導入部と第2の導入部とを接続するようにリブが一体的に設けられ、このリブは、接続される第1及び第2の導入部よりも先行して硬化するように形成され、さらには弾性変形自在で導入部を移動可能に保持している。
【0011】
そして、内燃機関用吸気マニホールドを樹脂製材料から成形する際に、第1の導入部と第2の導入部とに接続されるリブには、前記導入部に対して先に材料を充填させ先行して硬化させることが可能となるため、前記リブによって導入部や導出部が硬化し始める前に相対的な位置決めを行うことが可能となる。
【0012】
その結果、成形時における変形によって導入部及び導出部の相対的な位置ずれがリブによって抑制され、導入部及び導出部を精度よく位置決めでき、相手部材に対応する所定位置に配置して確実且つ容易に組み付けることができると共に、若干の変形によって導入部の位置がずれた場合でも、リブを弾性変形させながら前記導入部を接続される相手部材に合わせるように移動させて容易に組み付けることができるため、その組付性を向上させることが可能となる。また、リブを設けることで位置ずれを抑制できるので、該位置ずれを抑制するための冷却時間を確保する必要がなく、生産時間を短縮でき生産効率の向上を図ることができる。
【0013】
また、リブを、接続される第1の導入部及び導出部より薄く形成するとよい。
【0014】
さらに、リブは、導入部及び導出部に対して体積を小さく形成することにより、樹脂製材料から成形する際に、前記導入部及び前記導出部に対して先にリブに材料を充填できるため、先行して硬化させることで前記リブによって前記導入部及び導出部が硬化し始める前に相対的な位置決めを行うことが可能となる。
【0015】
さらにまた、導入部及び導出部の少なくともいずれか一方において、その流路の途中に吸入ガスの流通方向を変化させるように形成された湾曲部を有することにより、内燃機関用吸気マニホールドの成形時に生じる前記湾曲部の変形(反り)をリブによって効果的に抑制することが可能となり、該変形に起因した導入部及び導出部の位置ずれを抑制することができる。
【0016】
またさらに、リブを、導入部に対して湾曲部の上流側に接続し、前記導出部への前記リブの接続部に対して前記湾曲部の下流側に接続することにより、前記湾曲部の一端部及び他端部側の反り(変形)に起因した前記導入部及び導出部の位置ずれをリブによって効果的に抑制することが可能となる。
【0017】
また、リブの接続部を、導出部におけるフランジ部に対して湾曲部側にオフセットして配置することにより、成形時に変形量の大きな湾曲部側にリブが設けられるため、前記湾曲部の変形(反り)を効果的に抑制することができ、それに伴って、導入部の変形を抑制して位置決め精度を向上させることで確実に接続することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0020】
すなわち、内燃機関用吸気マニホールドを樹脂製材料から成形する際に、第1の導入部と第2の導入部とに接続されるリブには、材料が迅速に充填され該導入部に対して先行して硬化させることが可能であるため、前記リブによって前記導入部が硬化し始める前に相対的な位置決めを行うことが可能となる。その結果、成形時における変形に起因した導入部の相対的な位置ずれをリブによって抑制でき、それに伴って、前記導入部の位置決め精度を向上することで相手部材に対して確実且つ容易に組み付けることができると共に、若干の変形によって導入部の位置がずれている場合でも、リブを弾性変形させながら前記導入部を接続される相手部材に合わせるように移動させることで容易に組み付けることができるため、組付性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドの全体正面図である。
図2図1の内燃機関用吸気マニホールドの側面図である。
図3図1の内燃機関用吸気マニホールドを構成する分岐管における本体部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドを示す。
【0023】
この内燃機関用吸気マニホールド10(以下、吸気マニホールド10という)は、車両等に搭載される、例えば、4つのシリンダ室を有する4気筒の内燃機関に用いられる。
【0024】
この吸気マニホールド10は、図1及び図2に示されるように、例えば、熱可塑性樹脂から形成され、複数の第1〜第4分岐通路12a〜12dを有した分岐管14と、該分岐管14の一端部がそれぞれ接続されるサージタンク16と、前記サージタンク16の長手方向(矢印A、B方向)に沿った一端部に設けられる第1吸入接続部(第の導入部)18と、前記第1吸入接続部18と前記サージタンク16との間に排気ガス(吸入ガス)を供給する第2吸入接続部(第の導入部)20とを含む。
【0025】
分岐管14は、サージタンク16の長手方向(矢印A、B方向)に所定幅で形成され、前記サージタンク16に接続される一端部から内燃機関のシリンダヘッドに接続する他端部に向かって断面湾曲形状に形成される。この分岐管14は、サージタンク16に接続され、内部に複数の第1〜第4分岐通路12a〜12dの形成された本体部(一方の分割体)22と、該本体部22の側方に開口した開口部24を閉塞する分岐管カバー(他方の分割体)26とを含む。すなわち、分岐管14は、本体部22及び分岐管カバー26からなる分割体で構成され、且つ、内部に第1〜第4分岐通路12a〜12dが形成された本体部22の一部と分岐管カバー26とから湾曲部が構成される。
【0026】
分岐管カバー26は、本体部22の開口部24に装着されることで第1〜第4分岐通路12a〜12dを閉塞すると共に、前記本体部22に対して前記分岐通路12a〜12dの延在方向、すなわち、流体(吸入ガス)の流通方向と交差する方向に分離可能に装着されている。
【0027】
なお、第1〜第4分岐通路12a〜12dは、サージタンク16の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに等間隔離間して形成される。
【0028】
本体部22は、図1図3に示されるように、その一端部がサージタンク16に接続されて連通し、他端部には図示しない内燃機関のシリンダヘッドに接続される取付フランジ(導出部)28が形成される。取付フランジ28には、サージタンク16の長手方向に沿って一体的に形成され、その端面には第1〜第4分岐通路12a〜12dと連通した導出ポート30がそれぞれ形成される。また、取付フランジ28には、導出ポート30の外側、導出ポート30の間に、それぞれボルト孔32が形成され、前記ボルト孔32にボルトが挿通され、図示しないシリンダヘッドに螺合されることで取付フランジ28を介して分岐管14の他端部がシリンダヘッドの端面に固定される。
【0029】
第1吸入接続部18は、サージタンク16の側方、すなわち、前記サージタンク16の長手方向に沿った本体部22の一端部側(矢印A方向)に設けられ、例えば、略矩形状に形成され図示しない吸気配管と接続されるフランジ部34を有する。このフランジ部34の中央部には第1導入ポート36(図2参照)が開口すると共に、四隅には吸気配管の端部に接続するためのボルトが挿通されるボルト孔32がそれぞれ形成される。
【0030】
そして、第1吸入接続部18には、フランジ部34に図示しない複数のボルトを介して吸気配管(図示せず)のフランジが接続され、図示しないエアクリーナを通じて導入された空気が、スロットルボディによって流量調整された後、第1吸入接続部18の第1導入ポート36を経てサージタンク16へと供給される。
【0031】
第2吸入接続部20は、本体部22において第1吸入接続部18とサージタンク16との間に配置され、且つ、前記第1吸入接続部18と略直交するように設けられる。そして、第2吸入接続部20の中央部には第2導入ポート38が開口し、該第2導入ポート38は、第1導入ポート36とサージタンク16とを接続する流路(図示せず)に接続される。すなわち、第1及び第2吸入接続部18、20は、いずれも分岐管14を構成する本体部22にそれぞれ設けられる。
【0032】
また、第2吸入接続部20は、図示しないシリンダヘッドのEGR供給通路に接続される一組の第1及び第2取付フランジ40、42が第2導入ポート38の外側に設けられる。第1取付フランジ40は、第2導入ポート38からサージタンク16側に向かって延在し、その先端には締結ボルトの挿通される取付孔44が形成される。すなわち、吸気マニホールド10では、本体部22を構成する取付フランジ28と、第2吸入接続部20とが、同一部材であるシリンダヘッド(図示せず)に対して締結される。
【0033】
第2取付フランジ42は、第2導入ポート38を中心として第1取付フランジ40とは反対側となる位置に設けられ、該第2導入ポート38からサージタンク16から離間する方向に向かって延在し、その先端には締結ボルトの挿通される取付孔44が形成される。すなわち、第1及び第2取付フランジ40、42は、第2導入ポート38を中心として略一直線上に設けられる。
【0034】
そして、第2吸入接続部20における第1及び第2取付フランジ40、42に、締結ボルトを介してEGR供給配管のフランジが接続されることで、内燃機関で排気された排気ガスが第2導入ポート38へと供給され、図示しない流路を通じて空気と共にサージタンク16へと導入される。
【0035】
また、第2取付フランジ42には、第1吸入接続部18のフランジ部34との間に第1連結リブ46が接続されると共に、取付フランジ28の端部との間に第2連結リブ48が接続される。この第1及び第2連結リブ46、48は、それぞれ第2取付フランジ42の先端に接続され、図2に示されるように、ボルト孔32の延在方向に沿った所定幅を有した板状に形成されると共に、略一定厚さで薄板状に形成される。また、第1及び第2連結リブ46、48は、所定の荷重を付与することで撓曲自在な弾性を有している。換言すれば、第1及び第2連結リブ46、48は、それぞれ接続される第1吸入接続部18、取付フランジ28に対して体積が小さく、しかも、薄く形成される。
【0036】
詳細には、図1に示されるように、第1連結リブ46は、第2取付フランジ42の先端と第1吸入接続部18のフランジ部34の端部とを一直線上に接続し、第2連結リブ48は、第2取付フランジ42の先端と取付フランジ28において最も前記第2取付フランジ42側(矢印A方向)となる端部とを一直線上に接続しており、前記先端を中心として第1連結リブ46と第2連結リブ48とが所定角度だけ傾斜するように接続されている。
【0037】
さらに、第1及び第2連結リブ46、48は、図2に示されるように、取付フランジ28の取付面28aに対して分岐管14側(矢印C方向)にオフセットし、且つ、前記取付面28aと略平行に形成されると共に、本体部22における開口部24の上流側端部24aに対しても分岐管14側(矢印C方向)にオフセットして設けられる。なお、第1及び第2連結リブ46、48は、開口部24の上流側端部24aに対して分岐管14側(図2中、矢印C方向)にオフセットして配置される場合に限定されるものではなく、例えば、取付フランジ28側となる開口部24の下流側端部24bに対して分岐管14側にオフセットして配置するようにしてもよい。すなわち、第1及び第2連結リブ46、48は、開口部24の上流側端部24a及び下流側端部24bの少なくともいずか一方より分岐管14側に配置されていればよい。
【0038】
また、第2連結リブ48は、第2取付フランジ42と分岐管14の管壁との間を接続するようにしてもよく、この場合、前記第2連結リブ48は、前記分岐管14の管壁に対して薄く、且つ、体積が小さくなるように形成される。
【0039】
本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールド10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、吸気マニホールド10を構成する本体部22を樹脂製材料(例えば、熱可塑性樹脂)によって成形する場合について簡単に説明する。
【0040】
先ず、本体部22の形状となるキャビティが形成された金型に対して、溶融した樹脂製材料を流し込んで充填させた後、所定時間かけて冷却させる。この際、樹脂製材料は、分岐管14、第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28等に対して体積の小さな第1及び第2連結リブ46、48が先に充填完了して冷却されることで硬化し始める。換言すれば、薄板状に形成された第1及び第2連結リブ46、48には、ブロック状に形成された第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28よりも先行して樹脂製材料が充填され形作られる。
【0041】
そのため、第1及び第2連結リブ46、48は、周りの部位が硬化し始める前に先行して硬化し始めることで、第2吸入接続部20に対する第1吸入接続部18、取付フランジ28の相対的な位置決めが第1及び第2連結リブ46、48によってなされる。
【0042】
そして、第1及び第2連結リブ46、48が硬化した後に、分岐管14、第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28等が徐々に硬化し始め、本体部22の全体が完全に冷却されて硬化することで、吸気マニホールド10を構成する本体部22の成形が完了する。
【0043】
この際、体積の大きな分岐管14、第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28等の冷却時に変形が生じた場合でも、既に硬化している第1及び第2連結リブ46、48によって第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28の相対的な位置関係が変化することなく維持される。
【0044】
このように、第1及び第2吸入接続部18、20を有した吸気マニホールド10において、該第2吸入接続部20の第2取付フランジ42と第1吸入接続部18のフランジ、取付フランジ28とをそれぞれ接続する薄板状の第1及び第2連結リブ46、48を設けることにより、成形時において第1及び第2連結リブ46、48を先行して硬化させることができるため、該第1及び第2連結リブ46、48によって、第1吸入接続部18、第2吸入接続部20及び取付フランジ28が硬化する前に互いの相対的な位置決めを行うことができる。
【0045】
その結果、吸気マニホールド10の本体部22を成形によって製造する際、その冷却に伴った第1吸入接続部18、第2吸入接続部20及び取付フランジ28の相対的な位置関係のずれを抑制することが可能となる。
【0046】
次に、上述したように形成された本体部22を含む吸気マニホールド10を内燃機関のシリンダヘッド、吸気配管及びEGR供給配管に対して組み付ける場合の一例について説明する。なお、この場合、本体部22の開口部24には予め分岐管カバー26が装着されている状態とする。
【0047】
先ず、内燃機関におけるシリンダヘッドの端面に取付フランジ28を当接させた状態で、各ボルト孔32にボルトを挿通して前記シリンダヘッドへと締結することで、分岐管14の導出ポート30がそれぞれ前記シリンダヘッドのポート(図示せず)と連通した状態で装着される。
【0048】
次に、第1吸入接続部18のフランジ部34に吸気配管(図示せず)を接続し、ボルト孔32に挿通したボルトで締結することで連結した後、第2吸入接続部20における第1及び第2取付フランジ40、42をそれぞれ図示しないEGR供給配管のフランジに対して組み付ける。この際、第2吸入接続部20が、本体部22を成形する際に変形して第1吸入接続部18及び取付フランジ28に対する相対位置がずれていた場合には、前記第2吸入接続部20を相手側となるEGR供給配管の取付位置に合わせるように所望の方向に押圧することで、第1及び第2連結リブ46、48が撓曲して弾性変形し、水平移動させることが可能となるため、所望の位置に移動させた前記第2吸入接続部20をEGR供給配管のフランジに組み付けることが可能となる。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、吸気マニホールド10を構成する本体部22において、吸気配管に接続される第1吸入接続部18と、EGR供給配管に接続される第2吸入接続部20と、内燃機関のシリンダヘッドに接続され前記第1及び第2吸入接続部18、20から供給された空気及び排気ガスを前記シリンダヘッドへと供給する取付フランジ28とを備え、前記第1吸入接続部18と前記第2吸入接続部20との間、前記第2吸入接続部20と前記取付フランジ28との間にそれぞれ薄板状の第1及び第2連結リブ46、48が設けられる。
【0050】
このように、第1及び第2連結リブ46、48を、第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28等に対して体積を小さく形成することで、吸気マニホールド10を樹脂製材料から成形する際に、前記第1及び第2連結リブ46、48に充填された材料を、第1及び第2吸入接続部18、20等の他の部位に対して先行して迅速に硬化させることが可能となるため、前記第1及び第2連結リブ46、48によって第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28の相対的な位置決めを行った後に、前記第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28を硬化させて形成することができる。
【0051】
その結果、成形時における変形によって第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28の相対的な位置がずれてしまうことが抑制され、所定の位置に確実且つ容易に組み付けることができると共に、若干の変形によって第1吸入接続部18及び取付フランジ28に対する第2吸入接続部20の位置がずれている場合でも、第1及び第2連結リブ46、48が弾性を有した撓曲自在に形成されているため、前記第2吸入接続部20を、接続されるEGR供給配管のフランジの位置に合わせるように移動させることで容易に組み付けることが可能となり、それに伴って、組付性の向上を図ることが可能となる。また、第1及び第2連結リブ46、48を設けることで、第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28の相対的な位置ずれを抑制できるので、該位置ずれを抑制するための冷却時間が不要となり、それに伴って、生産時間を短縮できるため生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0052】
また、第1連結リブ46を、第1吸入接続部18におけるフランジ部34の端部に接続し、第2連結リブ48を、分岐管14における取付フランジ28の端部に接続することで、それぞれの端部を確実に拘束することができるため、成形時における第1吸入接続部18及び取付フランジ28の変形をより一層確実に抑制することが可能となる。
【0053】
また、第2連結リブ48は、分岐管14における取付フランジ28の取付面28aに対して、分岐管カバー26側(矢印C方向)にオフセットして配置されているため、成形時に変形量の大きな分岐管14側(矢印C方向)に前記第2連結リブ48を設けることで、前記分岐管14の変形(反り)を効果的に抑制することができ、それに伴って、第2吸入接続部20の変形を抑制して位置決め精度を向上させることができる。
【0054】
また、分岐管14を、空気や排気ガスの流通方向と交差する方向で分割可能な本体部22及び分岐管カバー26から構成し、前記本体部22に第1及び第2吸入接続部18、20、取付フランジ28を設けることにより、分岐管14における一端部及び他端部側の反り(変形)に起因した位置ずれを第1及び第2連結リブ46、48によって抑制することが可能となる。
【0055】
また、第1及び第2連結リブ46、48を、分岐管カバー26の装着される本体部22の開口部24に対して前記分岐管カバー26側(矢印C方向)にオフセットして設けることで、前記分岐管カバー26を含む分岐管14の変形(反り)をより一層効果的に抑制することが可能となる。
【0056】
また、第1吸入接続部18と第2吸入接続部20とが隣接して配置された構成であっても、第1連結リブ46で互いに接続することで、前記第1及び第2吸入接続部18、20の変形を抑制し、且つ、前記第1連結リブ46を撓曲自在とすることで所定の位置に確実に組み付けることが可能となる。
【0057】
なお、本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0058】
10…内燃機関用吸気マニホールド 12a〜12d…第1〜第4分岐通路
14…分岐管 16…サージタンク
18…第1吸入接続部 20…第2吸入接続部
22…本体部 26…分岐管カバー
28…取付フランジ 30…導出ポート
34…フランジ部 36…第1導入ポート
38…第2導入ポート 40…第1取付フランジ
42…第2取付フランジ 46…第1連結リブ
48…第2連結リブ
図1
図2
図3