【実施例】
【0032】
以下、実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(飲料中の香気成分の定量方法)
飲料(試料溶液)中のヘキサナールとリナロールの濃度(ppb)を以下の方法により測定した。
【0033】
バイアル瓶(容量20ml)に試料溶液を10ml入れ3gのNaClを加え、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法によりGCMS(アジレント社
製)に導入した。以下に示す条件で分析を行った。
・装置:GC:Agilent Technologies社製 GC7890B
MS : Agilent Technologies 社製 5977A
HS:Gestel 社製 MPS,
Tube:Tenax TA, Carbon bx1000
・カラム:HP-INNOWAX 60m x 0.25mmi.d. df=0.25μm
・定量イオン:ヘキサナール 56.0m/z、リナロール 93m/z
・温度条件 40℃(4分)〜5℃/分〜260℃
・キャリアガス流量He 1.5ml/分
・注入法:スプリットレス
・イオン源温度260℃
(カテキン類濃度の定量方法)
試料となる茶飲料をメンブレンフィルター(孔径0.45μm、十慈フィールド株式会社
水系未滅菌13A)で固形分を除去した後、HPLC分析に供して測定した:
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 modelII
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(栗田高純度試薬)
(アミノ酸濃度の定量方法)
飲料中のアミノ酸濃度(ppm)をHPLCを用いて、以下の方法により測定した:
・HPLC装置:Waters アミノ酸分析装置2695
・カラム:AccQ-Tagカラム(3.9mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:AccQ-TagA(pH5.8)
・移動相B:アセトニトリル
・移動層C:水/メタノール=9/1
・検出:EX250nm EM395nm Gain100
・注入量:5μL
・グラジエントプログラム:
時間(分) 流速(ml/min) %A %B %C
0 1 100 0 0
1 1 99 1 0
16 1 97 3 0
25 1 94 6 0
35 1 86 14 0
40 1 86 14 0
50 1 82 18 0
51 1 0 60 40
54 1 100 0 0
75 1 0 60 40
110 0 0 60 40
・標準物質:アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン、テアニン)
・上記の方法にて測定したアミノ酸について、(D1)アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群と、(D2)セリン、グリシン、トレオニン、アラニン、プロリン及びテアニンからなる群に分類し、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))を算出した。ここで、(D1)の含有量をいうときは、(D1)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。また、(D2)の含有量をいうときは、(D2)に分類されるアミノ酸の合計量を表す。
1.粉砕茶葉含有液の調製
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、平均粒子径が20μm以下となる粉砕茶葉懸濁液を得た。さらに、これに20重量部の煎茶粉砕物(20μm以上の粒子を含む)を配合して、平均粒子径が20μmとなるような粉砕茶葉含有液を調製した(粉砕茶葉含有液B)。2.茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液の調製
煎茶葉の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液A)。
3.評価
以下の茶飲料について、専門パネラー3人で飲用し評価した(評価は、協議の上決定した)。
【0034】
[比較例1〜6]
緑茶抽出液Aに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Bを添加して濁度が異なる6種類の茶飲料を調製した(配合割合は表1〜5に記載)以下、表中の緑茶抽出液もしくは粉砕茶葉含有液の表中の単位はg/Lとする)。500mLずつをPETボトルに充填し、容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例1は濁りがなく、比較例2〜6は濁
りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、濁りのない比較例1を対照としてざらつき感を評価した。
<評価基準>
◎:ざらつき感を感じない(対照と同程度)
〇:少しざらつき感を感じる
×:ざらつき感がある
表1から明らかなとおり、ヘキサナール濃度が0.6〜0.7ppbの場合、粉末茶葉に由来するざらつき感を低減することはできず、のど越しの悪い飲料であった。
【0035】
【表1】
【0036】
[実施例1〜4、比較例7〜8]
比較例1〜6に市販のヘキサナール(関東化学株式会社製;型番07126-30)を添加して500mLずつをPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度2.0ppbの容器詰緑茶飲
料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例7は濁りがなく、実施例1〜4及び比較例8は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、濁りのない比較例7を対照としてざらつき感を評価した。濁度が0.2〜2.0となる粉末茶葉を含有する飲料では、該粉末茶葉由来のざらつき感は、2.0ppbのヘキサナールを含有させることで低減させることができ、スッキリしたのど越しを有する飲料であった。特に、濁度が0.40〜0.80の茶飲料ではざらつき感がより低減されており、対照と同等レベルであった。一方、濁度が2.5となると、ヘキサナールでのざらつき感低減効果は十分でなく、のど越しの悪い飲料であった。また、実施例1〜4の飲料について、PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。
【0037】
【表2】
【0038】
[実施例5〜12、比較例9〜18]
さらに、ヘキサナールを添加して、ヘキサナール濃度10ppb、18ppb及び20ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例9、11及び1
3は濁りがなく、粉末茶葉を添加した飲料は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、表3は比較例9、表4は比較例11、表5は比較例13を各々対照として、ざらつき感を評価した。結果を表3〜5に示す。
【0039】
濁度が0.2〜2.0となる粉末茶葉を含有する飲料では、ヘキサナールを10ppb又は18ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感を低減させることができた。ヘキサナールを10ppbの濃度で含有する飲料は、濁度が0.40〜0.80の茶飲料ではざらつき感がより低減されており、対照(比較例9及び11)と同等レベルの口当たり及びのど越しであった。一方、濁度が2.5となると、ヘキサナールでのざらつき感低減効果はあるものの、それ以上に粉末茶葉を配合することによるざらつき感が増長され、飲用し難い飲料であった。ヘキサナールを20ppbの濃度で含有する飲料は、濁度に関わらずざらつき低減の効果は見られなかった。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
[実施例13]
実施例の飲料に市販のリナロールを添加し、ヘキサナール2ppb、リナロール6ppb、濁度0.4の容器詰緑茶飲料を得た。高濃度の粉砕茶葉を含有しているにもかかわらず、ざらつき感が全く感じられない、スッキリした口当たりとのど越しを有する茶飲料であった。PETボトルに直接口をつけて飲用したところ、豊かなレトロネーザルアロマを有し、飲用後まで茶の香りの余韻を味わうことができた。このレトロネーザルアロマは、実施例2よりも強かった。
[実施例14]
次の方法により、容器詰緑茶飲料を製造した。緑茶飲料の原料として、緑茶葉抽出液、粉砕茶葉懸濁液を用いた。緑茶葉抽出液は、ヘキサナール含有茶葉8gを、70℃の湯で5分間抽出した後、遠心分離機を用いて固液分離して調製した。粉砕茶葉含有液は、実施例1で用いたものと同様にして調製した。前記緑茶葉抽出液、粉砕茶葉含有液を任意の割合で混合し、濁度:0.49、ヘキサナール:3.2ppbとなる緑茶飲料を製造した。
【0044】
得られた茶飲料について、カテキン類及びアミノ酸類を分析するとともに、その香味を評価した。カテキン類の総量は、440ppmであった。このうち遊離型カテキン(a1)は270ppm、ガレート型カテキン類(a2)は170ppmであり、その比率[(a2)/(a1)+(a2)]は0.39であった。また、アミノ酸の分析結果を表6に示す。表中の値はppmである。
【0045】
【表6】
【0046】
この茶飲料は、粉砕茶葉を高濃度で含有するにもかかわらず、好適な舌触りとのど越し感を奏し得る緑茶飲料であった。粉砕茶葉を高濃度に含有するので、粉砕茶葉が持つコクと深い味わいを十分に味わうことができ、3名のパネラー全員が従来にない美味しさと評価した。以上より、カテキン類濃度が200〜700ppmであり、(D1)と(D2)の重量比((D2)/(D1))が2.0〜6.0である茶飲料は、本発明の好適な態様の一つであることが示唆された。
【0047】
[実施例15、比較例19〜20]
ここでは、新たに別の粉砕茶葉含有液を調製した。
碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶を約20倍量の水に懸濁させ、この懸濁液を高圧ホモジナイザーにより10MPaの圧力で処理した後に遠心分離(6000rpm、10分)を行って粗大な粉砕茶を除去して、平均粒子径が20μm以下となる粉砕茶葉懸濁液を得た。さらに、これに20重量部の煎茶粉砕物(20μm以上の粒子を含む)を配合して、平均粒子径が80μmとなるような粉砕茶葉含有液を調製した(粉砕茶葉含有液D)。
【0048】
また、茶飲料のベースとなる緑茶葉抽出液も新たに調製した。
上記とは異なる煎茶葉を用い、煎茶葉の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶葉抽出液を得た(緑茶葉抽出液C)。
【0049】
緑茶抽出液Cに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Dを添加して濁度が異なる3種類の茶飲料を調製した(配合割合は表7に記載)。市販のヘキサナール(関東化学株式会社;型番07126-30)を添加して500mLずつをPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度10.
0ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例19は濁りがなく、実施例15と比較例20は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について飲用し、濁りのない比較例19を対照としてざらつき感を評価した。
【0050】
本例においても、濁度が0.4である粉末茶葉を含有する飲料では、ヘキサナールを10ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感が低減され、対照(比較例19)と同等レベルであった。
【0051】
【表7】
【0052】
[実施例16、比較例21〜22]
緑茶抽出液Aに、種々の割合で粉砕茶葉含有液Dを添加して濁度が異なる3種類の茶飲料を調製した(配合割合は表8に記載)。市販のヘキサナールを添加して500mLずつ
をPETボトルに充填し、ヘキサナール濃度10.0ppbの容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、粉末茶葉無添加の比較例21は濁りがなく、実施例16と比較例22は濁りを有する茶飲料であった。これら茶飲料について、専門パネラー3人で飲用し、ざらつき感を濁りのない比較例21を対照として評価した(評価は、協議の上決定した)。
【0053】
本例においても、濁度が0.4である粉末茶葉を含有する飲料では、ヘキサナールを10ppbの濃度で含有させることで粉末茶葉由来のざらつき感が低減され、対照(比較例21)と同等レベルであった。
【0054】
【表8】
【0055】
[実施例17〜19]
緑茶抽出液Aに、粉砕茶葉含有液Bを添加して濁度が2となる茶飲料を調製した(配合
割合は表9に記載)。市販のリナロール、ヘキサナールを添加して500mLずつをPE
Tボトルに充填し、リナロール濃度、ヘキサナール濃度が表9に記載の通りとなる容器詰緑茶飲料を得た。目視によると、すべての実施例は濁っていた。これら茶飲料について、専門パネラー3人で飲用し、ざらつき感を濁りのない実施例17を対照として評価した。実施例17のリナロール量を既に記載の方法で測定したところ、3.5ppbであった。
【0056】
本例においては、ヘキサナールに加えてリナロールを好ましい範囲内の濃度にて含有させることで、粉末茶葉由来のざらつき感が低減され対照(実施例17)と同等レベルであった。これは濁度とヘキサナールだけでなくリナロールを好適に調整することで本発明の好適な様態となることが示唆された。
【0057】
【表9】