(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の光通信装置を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る電流センサ100を示す図である。
図2は、
図1に示す電流センサ100のコアを示す斜視図である。
図1及び
図2では、図示するように直交座標系であるXYZ座標系を定義する。
【0011】
電流センサ100は、コア10、20、ホール素子30、40、及び差動アンプ50を含む。
【0012】
コア10、20は、電流が流れる配線1の周囲において円環状をなすように配設されている。コア10は、コア部11,12を有し、コア20はコア部21,22を有する。コア部11,12、21,22は、配線1の周囲において、配線1に対して対称な位置に配設されている。すなわち、コア部11,12、21,22は、配線1を対称軸として配置されている。
【0013】
図1では、説明の便宜上、コア10及び20の間の間隔と、コア部11及び12の間の間隔と、コア部21及び22の間の間隔を、実際の間隔よりも広げて示すが、コア部11,12,21,22は、
図2に示すように円環状をなすように配置される。
【0014】
コア10は、コア部11、12に二等分されている。コア10は、第1磁気コアの一例であり、コア部11、12は、一対の第1磁気コア部の一例である。コア部11、12は、ともに四半円環状の部材であり、互いに等しい大きさ及び形状を有する。
【0015】
コア部11、12は、
図1及び
図2に示すように半円環状をなすように、図示しない筐体の内部で固定されている。このため、コア10は、半円環状をなす。
【0016】
コア20は、コア部21、22に二等分されている。コア20は、第2磁気コアの一例であり、コア部21、22は、一対の第2磁気コア部の一例である。コア部21、22は、ともに四半円環状の部材であり、互いに等しい大きさ及び形状を有する。また、コア部21、22の大きさ及び形状は、コア部11、12の大きさ及び形状と等しい。
【0017】
コア部21、22は、
図1及び
図2に示すように半円環状をなすように、図示しない筐体の内部で固定されている。このため、コア20は、半円環状をなす。
【0018】
コア10及び20は、
図1及び
図2に示すように、円環状をなすように固定されている。コア10及び20は、円環状の磁気コアを構築する。
【0019】
コア10、20は、例えばパーマロイ、フェライト、冷間圧延鋼板、高透磁率ナノ結晶材等の磁性体材料を用いることができる。
【0020】
ホール素子30は、コア部11と12との間に配設されており、配線1に電流が流れることによってコア部11,12に生じる磁束の磁束密度を検出する。ホール素子30は、差動アンプ50の非反転入力端子(+)に接続されている。
【0021】
ホール素子40は、コア部21と22との間に配設されており、配線1に電流が流れることによってコア部21,22に生じる磁束の磁束密度を検出する。ホール素子40は、差動アンプ50の反転入力端子(−)に接続されている。
【0022】
差動アンプ50は、ホール素子30から非反転入力端子に入力される電圧と、ホール素子40から反転入力端子に入力される電圧との差を表す電圧を差動出力として出力する。差動アンプ50の出力端子は、電流センサ100の出力端子51に接続されている。
【0023】
このような電流センサ100は、配線1にZ軸正方向向き電流が流れると、コア10,20の内部に、右ねじの法則に従った方向の磁界が発生する。そして、磁界の発生に伴ってホール素子30,40が出力する電圧値の差動電圧Vsを差動アンプ50で得ることにより、差動電圧Vsに応じて配線1に流れる電流の値を測定(検出)することができる。
【0024】
このような電流センサ100の出力をシミュレーションで求めた結果を
図3に示す。
【0025】
図3は、実施の形態1の電流センサ100の出力のシミュレーション結果を示す図である。
図3には、磁束密度と、外乱磁束密度の影響のシミュレーション結果を示す。磁束密度は、フルスケールの電流値における磁束密度(mT)at FS(Full Scale)と、磁束密度を電流値で割った値(mT/A)を示す。フルスケールの電流値は、50Aであるため、磁束密度を電流値で割った値(mT/A)は、フルスケールの電流値における磁束密度(mT)at FS(Full Scale)の1/50の値である。
【0026】
外乱磁束密度の影響は、X軸正方向の向きの1mTの磁束密度を外乱として与えた際の影響である。
【0027】
なお、コア10,20は、コア部11と12の間の間隔と、コア部21と22との間の間隔は、ともに1.4mmに設定し、コア部11と21との間の間隔と、コア部12と22との間の間隔は、0.05mmに設定した状態で配置した。
【0028】
また、コア10,20の幅(Z軸方向の長さ)は17mm、コア10と20の環状形状の内径は8mm、外形は14mmである。
【0029】
また、
図3には、比較用に、ホール素子40を取り除き、コア20のコア部21と22を一体型にすることにより、ホール素子30のみで電流を検出する電流センサにおけるシミュレーション結果も示す。
【0030】
図3に示すように、比較用の電流センサでは、磁束密度は34.1(mT)at FS(Full Scale)、0.68(mT/A)であった。また、外乱磁束密度の影響は、1.130であった。
【0031】
これに対して、実施の形態1の電流センサ100では、コア10又は20の一方のみで得る磁束密度は19.4(mT)at FS(Full Scale)、0.388(mT/A)であった。また、外乱磁束密度の影響は、4.680であった。また、コア10と20による差動出力では、磁束密度は38.8(mT)at FS(Full Scale)、0.776(mT/A)であった。また、外乱磁束密度の影響は、相殺されて0であった。
【0032】
以上のように、実施の形態1の電流センサ100は、差動式の検出により、検出できる磁束密度が大きく、差動検出により外乱磁束密度による影響を受けにくいことが分かった。
【0033】
このシミュレーションで得られた磁束密度は、
図4に示すとおりである。
【0034】
図4は、実施の形態1の電流センサ100で検出される磁束密度と電流の関係を示す図である。横軸は電流(A)、縦軸は磁束密度(T)である。
【0035】
図4に示すように、コア10とコア20で検出される磁束密度は、電流値に比例したものになり、正負の符号が異なるだけで絶対値は等しい。このため、差動出力(コア10の出力−コア20の出力)は、コア10,20の単独の出力の2倍の出力となる。
【0036】
図5は、外乱磁束密度の影響を示す図である。
図5には、電流センサ100のコア10,20のそれぞれの磁束密度に加えて、比較用の電流センサで検出される磁束密度も示す。
【0037】
図5に示すように、電流センサ100のコア10,20のそれぞれの磁束密度は、X軸正方向の磁束密度が増えるに連れて、線形的に増大する特性を示した。また、同様に、比較用の電流センサのコアにおける磁束密度も、X軸正方向の磁束密度が増えるに連れて、線形的に増大する特性を示したが、その値は電流センサ100に比べて、約1/4であった。
【0038】
次に、
図6乃至
図8を用いて、実施の形態1の電流センサ100における実測結果について説明する。
【0039】
図6は、実施の形態1の電流センサ100でリニアリティとヒステリシスを測定する際の回路を示す図である。
【0040】
図6では、電流センサ100の差動アンプ50の反転入力端子側に、オペアンプ60を接続している。また、
図6に示すように、抵抗器及びキャパシタを接続した。各抵抗器の抵抗値は図示する通りである。
【0041】
図7は、実施の形態1の電流センサ100で測定したリニアリティとヒステリシスを示す図である。
図7には、リニアリティの誤差とヒステリシスの目標値も示す。
【0042】
図7に示すように、電流センサ100は、比較用の電流センサに比べて、リニアリティの誤差及びヒステリシスともに、目標値に近い値が得られていることが分かる。なお、コア10又は20の単独の出力とは、センサ30又は40の単独の出力を示したものである。
【0043】
電流センサ100は、センサ30と40の差動出力を取ることにより、センサ30又は40の単独の出力に比べて、リニアリティが改善され(誤差が低下し)、ヒステリシスが小さくなっていることが分かる。
【0044】
図8は、実施の形態1の電流センサ100における、電流とリニアリティのヒステリシス特性を示す図である。
図8(A)は、比較用に、センサ40を取り外し、コア20のコア部21及び22を一体にした電流センサにおけるヒステリシス特性を示し、
図8(B)は、電流センサ100におけるヒステリシス特性を示す。
【0045】
図8(A)と(B)を比べると、比較用の電流センサ(
図8(A))に比べて、電流センサ100のヒステリシスが小さくなっていることが分かる。
【0046】
これは、コア4等分したことにより、コア部11,12,21,22の内部における磁界が小さくなったことによるものと考えられる。
【0047】
以上のように、実施の形態1の電流センサ100は、比較用の電流センサに比べて、外乱に強いことが分かる。
【0048】
このように外乱に強い結果が得られたのは、4等分したコア部11,12,21,22を用いることにより、特性が改善されたことによるものと考えられる。
【0049】
以上、実施の形態1によれば、特性の調整が容易な電流センサ100を提供することができる。
【0050】
なお、コア10,20として高透磁率ナノ結晶材のような比較的柔らかい材料を用いる場合、コア10と20の対向する部分における接触性が向上し、電流センサの特性が向上するという利点がある。なお、当該対向する部分にのみ、高透磁率ナノ結晶材等の柔らかい材料を用い、他の部分にはより低コストな材料を用いる構成としてもよい。
【0051】
<実施の形態2>
図9は、実施の形態2の電流センサ200を制御回路230に接続した状態を示す図である。
【0052】
図9には、実施の形態2の電流センサ200として、出力端子51よりも外側の部分を示すが、出力端子51には、
図1に示す電流センサ100と同様に、差動アンプ50とホール素子30、40が接続され、ホール素子30,40は、それぞれ、コア10のコア部11,12と、コア20のコア部21,22との間に配設されている。
【0053】
すなわち、実施の形態2の電流センサ200は、実施の形態1の電流センサ100(
図1参照)の出力端子51に、オペアンプ210を追加したものである。
【0054】
オペアンプ210は、反転入力端子が出力端子51に接続され、非反転入力端子が抵抗器Rsを介して接地されるとともに、出力端子200Bに接続されている。また、オペアンプ210の出力端子は、出力端子200Aに接続されている。出力端子200A,200Bは、実施の形態2の電流センサ200の一対の出力端子である。
【0055】
出力端子200A,200Bは、ケーブル220を介して、制御回路230に接続されている。制御回路230は、電流センサ200とPC(Personal Computer)等の情報処理装置との間のインターフェイス(I/F)となる回路である。
【0056】
制御回路230は、入力端子230A,230B、出力端子230C、抵抗器RL、ADC(Analog to Digital Converter:ADコンバータ)231、及びMCU(Micro Controller Unit)232を含む。MCU232としては、例えば、マイコン(Micro Computerを用いればよい。
【0057】
ケーブル210は、一対の信号線を有しており、一方の信号線が出力端子200Aと入力端子230Aとを接続し、他方の信号線が出力端子200Bと入力端子230Bとを接続している。
【0058】
抵抗器RLは、入力端子230Aと230Bとの間に接続されており、ADC231とMCU232は、入力端子230A,230Bと、出力端子230Cとの間に、この順に接続されている。なお、出力端子230Cは、一例として、PCに接続されている。
【0059】
ここで、電流センサ200は、差動電圧Vsに比例した電流をオペアンプ210から出力できる。電流値は、Vs/Rsで求まる。
【0060】
また、制御回路230の抵抗器RLの抵抗値と、電流センサ200の抵抗器RSの抵抗値とを揃えることにより、制御回路230のMCU232では、電流センサ200の内部における差動電圧Vsと同一の電圧値を検出することができる。
【0061】
このため、制御回路230に接続されるPCで、電流センサ200の差動電圧Vsを検出することにより、配線1に流れる電流値を監視することができる。
【0062】
以上、実施の形態2によれば、特性の調整が容易な電流センサ200を提供することができるとともに、差動アンプ50から出力される差動出力を電流変換して電流値で出力することができる電流センサ200を提供することができる。
【0063】
<実施の形態3>
図10は、実施の形態3の電流センサ300を制御回路330に接続した状態を示す図である。
図10では、コア10、20と、ホール素子30、40(
図1参照)とを纏めてブロックで示し、コア10、20及びホール素子30、40を現すブロックの出力側に差動アンプ50が接続されている構成を示す。
【0064】
実施の形態3の電流センサ300は、コア10、20、ホール素子30、40、及び差動アンプ50に加えて、端子300A,300B,300C,300Dを含む。
【0065】
端子300Aは、電源VDDに接続されている。端子300Bは、差動アンプ50の出力端子に接続されている。端子300Cは抵抗器Rを介して接地されている。端子300Dは接地されている。
【0066】
また、制御回路330は、端子330A、330B,330C、330D、330E,ADC331、MCU332、及び抵抗器Rcを含む。
【0067】
端子330Aは電源VDDと抵抗器Rcの一端に接続されている。端子330BはADC331の入力端子に接続されている。端子330CはMCU332の一方の入力端子と抵抗器Rcの他端に接続されている。端子330Dは接地されている。端子330EはMCU332の出力端子に接続されている。端子330EにはPCが接続される。
【0068】
ADC331は、入力端子が端子330Bに接続され、出力端子がMCU332の他方の入力端子に接続されている。MCU332は一方の入力端子が端子330Cに接続され、他方の入力端子がADC331の出力端子に接続され、出力端子が端子330Eに接続されている。抵抗器Rcは端子330Aと330Cとの間に接続されている。
【0069】
このような電流センサ300に、4対の配線を含むケーブル310を介して制御回路330を接続すると、ADC331で電流センサ300の差動出力Vsを検出できる。ADC331では、ケーブル310における電圧降下やノイズの混入等を検出することができる。
【0070】
また、制御回路330を電流センサ300に接続すると、端子330Cがケーブル310を介して端子300Cに接続されることにより、MCU332は端子330Cの電圧降下を検出することができる。
【0071】
なお、抵抗器Rcを用いずに、制御回路330が電流センサ300に接続される前の状態でMCU332が端子330Cに所定の電圧を出力しておき、端子330Cが端子300Cに接続された際に、端子330Cに生じる電圧降下を検出することによって、MCU332が電流センサ300への接続を検出するようにしてもよい。
【0072】
以上、実施の形態3によれば、特性の調整が容易な電流センサ300を提供することができるとともに、制御回路330側で、ケーブル310における電圧降下やノイズの混入を検出できるとともに、電流センサ300への接続を検出することができる。
【0073】
<実施の形態4>
図11は、実施の形態4の電流センサ400を制御回路430に接続した状態を示す図である。
図11では、コア10、20と、ホール素子30、40(
図1参照)とを纏めてブロックで示し、コア10、20及びホール素子30、40を現すブロックの出力側に差動アンプ50が接続されている構成を示す。
【0074】
実施の形態4の電流センサ400は、コア10、20、ホール素子30、40、及び差動アンプ50に加えて、端子400A,400B,400C,400D、400E,400F、及びV−I変換回路410を含む。
【0075】
端子400Aは、電源VDDに接続されている。端子400Bは、差動アンプ50の出力端子に接続されている。端子400CはV−I変換回路410の一方の出力端子に接続されている。端子400DはV−I変換回路410の他方の出力端子に接続されている。
【0076】
端子400Eは抵抗器Rを介して接地されている。端子400Fは接地されている。
【0077】
V−I変換回路410は、入力端子が差動アンプ50の出力端子に接続され、一方の出力端子が端子400Cに接続され、他方の出力端子が端子400Dに接続されている。V−I変換回路410は、差動アンプ50の出力を電流変換して出力する回路である。
【0078】
また、制御回路430は、端子430A、430B,430C、430D、430E,430F,430G,ADC431、MCU432、及び抵抗器Rc、RLを含む。
【0079】
端子430Aは電源VDDと抵抗器Rcの一端に接続されている。端子430BはADC431の入力端子(Vs入力用の端子)に接続されている。端子430CはADCの電流入力用端子のうちの一方と、抵抗器RLの一端とに接続されている。端子430DはADCの電流入力用端子のうちの他方と、抵抗器RLの他端とに接続されている。
【0080】
端子430EはMCU432の一方の入力端子と抵抗器Rcの他端に接続されている。端子430Fは接地されている。端子430GはMCU432の出力端子に接続されている。端子430GにはPCが接続される。
【0081】
ADC431は、電圧入力用の入力端子が端子430Bに接続され、電流入力用の入力端子のうちの一方が端子430Cと抵抗器RLの一端とに接続され、電流入力用の入力端子のうちの他方が端子430Dと抵抗器RLの他端とに接続され、出力端子がMCU432の他方の入力端子に接続されている。
【0082】
MCU432は一方の入力端子が端子430Eに接続され、他方の入力端子がADC431の出力端子に接続され、出力端子が端子430Gに接続されている。抵抗器Rcは端子430Aと430Eとの間に接続されている。抵抗器RLは端子430Cと430Dとの間に接続されている。
【0083】
このような電流センサ400に、6本の配線を含むケーブル420を介して制御回路430を接続すると、ADC431で電流センサ400の差動アンプ50から出力される差動出力Vsを検出できるとともに、V−I変換回路410から出力される電流を検出することができる。
【0084】
すなわち、ADC431では、ケーブル420における電圧降下やノイズの混入等を検出することができるとともに、差動アンプ50の出力を電流値で検出することができる。
【0085】
また、制御回路430を電流センサ400に接続すると、端子430Eがケーブル420を介して端子400Eに接続されることにより、MCU432は端子430Eの電圧降下を検出することができる。
【0086】
以上、実施の形態4によれば、特性の調整が容易な電流センサ400を提供することができるとともに、制御回路430側で、ケーブル420における電圧降下やノイズの混入を検出できるとともに、電流センサ400への接続を検出することができる。
【0087】
また、実施の形態4の電流センサ400は、制御回路430側で、差動出力(Vs)を検出できるとともに、差動出力(Vs)を電流変換した電流値を検出することができる。このため、制御回路430に接続されたPCにおいて、配線1に流れる電流値を電圧値と電流値で監視することができる。
【0088】
<実施の形態5>
図12は、実施の形態5の電流センサ500を制御回路530に接続した状態を示す図である。
【0089】
図12では、コア10と、ホール素子30(
図1参照)とを纏めてブロックで示し、コア10及びホール素子30を表すブロックの出力側にオペアンプ501Aが接続されている構成を示す。同様に、コア20と、ホール素子40(
図1参照)とを纏めてブロックで示し、コア20及びホール素子40を表すブロックの出力側にオペアンプ501Bが接続されている構成を示す。
【0090】
実施の形態5の電流センサ500は、コア10、20、ホール素子30、40、及びオペアンプ501A、501Bに加えて、端子500A1,500B1,500C1,500D1、500E1,500F1、500A2,500B2,500C2,500D2、500E2,500F2、及びV−I変換回路510A,510Bを含む。
【0091】
実施の形態5の電流センサ500は、ホール素子30で検出される磁束と、ホール素子40で検出される磁束とを別々に出力できるように構成されているため、2つのオペアンプ501A,501Bを含み、オペアンプ501A,501Bより出力側も2系統に分かれている。
【0092】
また、電流センサ500は、差動出力ではなく、2系統に分けた回路から、ホール素子30と40で検出された磁束密度を表す電圧又は電流をMCU531に入力する。差動出力は、MCU531の内部で生成される。
【0093】
端子500A1は、電源VDDに接続されている。端子500B1は、オペアンプ501Aの出力端子に接続されている。端子500C1はV−I変換回路510Aの一方の出力端子に接続されている。端子500D1はV−I変換回路510Aの他方の出力端子に接続されている。
【0094】
端子500E1は抵抗器Rを介して接地されている。端子500F1は接地されている。
【0095】
V−I変換回路510Aは、入力端子がオペアンプ501Aの出力端子に接続され、一方の出力端子が端子500C1に接続され、他方の出力端子が端子500D1に接続されている。V−I変換回路510Aは、オペアンプ501Aの出力を電流変換して出力する回路である。
【0096】
端子500A2は、電源VDDに接続されている。端子500B2は、オペアンプ501Bの出力端子に接続されている。端子500C2はV−I変換回路510Bの一方の出力端子に接続されている。端子500D2はV−I変換回路510Bの他方の出力端子に接続されている。
【0097】
端子500E2は抵抗器Rを介して接地されている。端子500F2は接地されている。
【0098】
V−I変換回路510Bは、入力端子がオペアンプ501Bの出力端子に接続され、一方の出力端子が端子500C2に接続され、他方の出力端子が端子500D2に接続されている。V−I変換回路510Bは、オペアンプ501Bの出力を電流変換して出力する回路である。
【0099】
また、制御回路530は、端子530A1、530B1,530C1、530D1、530E1,530F1,530A2、530B2,530C2、530D2、530E2,530F2、端子530G、MCU531、及び2組の抵抗器Rc、RLを含む。
【0100】
MCU531は、入力端子にADCを内蔵しており、電流センサ500から入力される2系統の電圧及び電流をデジタル変換し、さらに2系統のデジタル出力の差動出力を生成する。
【0101】
端子530A1は電源VDDと抵抗器Rcの一端に接続されている。端子530B1はMCU531の入力端子(Vs入力用の端子)に接続されている。端子530C1はMCU531の電流入力用端子のうちの一方と、抵抗器RLの一端とに接続されている。端子530D1はMCU531の電流入力用端子のうちの他方と、抵抗器RLの他端とに接続されている。
【0102】
端子530E1はMCU531の接続検出用の端子と抵抗器Rcの他端に接続されている。端子530F1は接地されている。端子530GはMCU531の出力端子に接続されている。端子530GにはPCが接続される。
【0103】
なお、以上の接続は、MCU531においては、オペアンプ501Aに対応した一方側の端子における接続である。
【0104】
また、端子530A2、530B2,530C2、530D2、530E2,530F2については、端子530A1、530B1,530C1、530D1、530E1,530F1がMCU531においてオペアンプ501Aに対応した端子に接続されることと同様に、MCU531において、オペアンプ501Bに対応した他方側の端子と接続される。
【0105】
このような電流センサ500に、6本の配線を含む2つのケーブル520A、520Bを介して制御回路530を接続すると、MCU531で電流センサ500のオペアンプ501A,501Bから出力される差動出力Vsを検出できるとともに、V−I変換回路510A,510Bから出力される電流を検出することができる。
【0106】
すなわち、MCU531では、ケーブル520A,520Bにおける電圧降下やノイズの混入等を検出することができるとともに、オペアンプ501A,501Bの出力を電流値で検出することができる。
【0107】
また、制御回路530を電流センサ500に接続すると、端子530E1,530E2がケーブル520A,520Bを介して端子500E1,500E2に接続されることにより、MCU531は端子530E1、530E2の電圧降下を検出することができる。
【0108】
以上、実施の形態5によれば、制御回路530側で、ケーブル520A,520Bにおける電圧降下やノイズの混入を検出できるとともに、電流センサ500への接続を検出することができる。
【0109】
また、制御回路530に接続されたPCにおいて、配線1に流れる電流値を電圧値と電流値で監視することができる。
【0110】
また、制御回路530側でデジタル変換してから2系統のデジタル信号の差動出力を生成するので、MCU531の内部で信号のゲインの調整等を行うことができ、これにより、差動出力の補正を行うことができる。
【0111】
従って、特性の調整が容易な電流センサ500を提供することができる。
【0112】
以上、本発明の例示的な実施の形態の電流センサについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。