特許第6306890号(P6306890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306890
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】油圧プレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/34 20060101AFI20180326BHJP
   B21J 9/02 20060101ALI20180326BHJP
   B21J 9/12 20060101ALI20180326BHJP
   B30B 15/04 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   B30B1/34 B
   B21J9/02 Z
   B21J9/12
   B30B15/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-11011(P2014-11011)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-136732(P2015-136732A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 渉
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−212733(JP,A)
【文献】 特開2001−259778(JP,A)
【文献】 特開平08−168897(JP,A)
【文献】 特開2012−024838(JP,A)
【文献】 特開2002−178087(JP,A)
【文献】 特開2009−195927(JP,A)
【文献】 特開昭60−056500(JP,A)
【文献】 特開平10−137984(JP,A)
【文献】 特開2009−113096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/34
B21J 9/02
B21J 9/12
B30B 13/00
B30B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、
ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、
前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、
前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、
前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、
前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、
前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、
前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、
前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、
前記入側前ギブブロックおよび入側後ギブブロックは、いずれも第2メインスライドに設けたガイド部と第1サブスライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれており、
前記出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックは、いずれも第2メインスライドに設けたガイド部と第3サブスライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれている
ことを特徴とする油圧プレス。
【請求項2】
前記第2スライドガイドは、第2メインスライドの四隅から左右方向に張出して形成されたガイド部を有しており、ギブブロック側のガイド部とで構成するガイド面が、プレス中心と各アプライト中心をつなぐ仮想線に対し略平行な面をもつ張出しX型ガイドである
ことを特徴とする請求項1記載の油圧プレス。
【請求項3】
前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ外端面と該外端面に隣接する両側面の3面からガイドする6個のガイド部を有する対向U型6面ガイドである
ことを特徴とする請求項1または2記載の油圧プレス。
【請求項4】
鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、
ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、
前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、
前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、
前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、
前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、
前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、
前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、
前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、
前記プレス入側における前後2個のギブブロックおよび前記プレス出側における前後2個のギブブロックが、いずれも一体に構成されたものであり、
前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ外端面と該外端面に隣接する一側面の2面からガイドするガイド部と、
前記各サブスライドのプレス前後方向に沿う他側面と前記ギブブロックとの間に設けたガイド部からなる対向5面ガイドである
ことを特徴とする油圧プレス。
【請求項5】
鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、
ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、
前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、
前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、
前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、
前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、
前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、
前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、
前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、
前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ、前記第2スライドガイドにおける張出しX型ガイドのガイド面に平行なガイド面を有するガイド部と、該ガイド面に直角なガイド面を有するガイド部からなる対向X型4面ガイドである
ことを特徴とする油圧プレス。
【請求項6】
鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、
ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、
前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、
第1の成形工程を行うための第1シリンダと、
前記第1の成形工程の後に第2の成形工程を行うための第2シリンダと、
前記第2の成形工程の後に第3の成形工程を行うための第3シリンダと、
前記第1シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第1スライドと、
前記第2シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第2スライドと、
前記第3シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第3スライドと、
前記プレスフレームに設けられ、前記第1スライド、前記第2スライド、及び前記第3スライドのそれぞれをスライド可能にガイドするスライドガイド部と、を備え、
前記スライドガイド部は、前記第1スライドをガイドするための第1ガイド面と、前記第2スライドをガイドするための第2ガイド面と、前記第3スライドをガイドするための第3ガイド面と、を有し、
前記第1ガイド面、前記第2ガイド面、及び第3ガイド面は、それぞれ異なる面であ
前記入側前ギブブロックおよび入側後ギブブロックは、いずれも第2スライドに設けたガイド部と第1スライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれており、
前記出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックは、いずれも第2スライドに設けたガイド部と第3スライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれている
ことを特徴とする油圧プレス。
【請求項7】
前記スライドガイド部は、前記アプライトに取り付けられており、
前記第2スライドは、前記第1スライド及び前記第3スライドよりも大形であり、
前記第2ガイド面は、平面視した場合に、前記アプライトから当該油圧プレスの中心に向かう方向に対して平行となっている、
ことを特徴とする請求項6に記載の油圧プレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧プレスに関する。さらに詳しくは、鍛造品の多工程成形を行う油圧プレスに関する。
【背景技術】
【0002】
鍛造品を多工程成形するための油圧プレスとしては、1本のメインシリンダで1個のスライドを昇降させるようにし、そのスライドに複数本のサブシリンダを内蔵して、このサブシリンダには上金型ホルダーを取付けた型式のものがあった。
この型式の油圧プレスでは、メインシリンダでスライドを下降させて、上金型と下金型の間の素材を加圧し、さらに複数本のサブシリンダを下降させて上金型をさらに圧下させることにより成形を仕上げるものであった。
しかるに、この型式の油圧プレスでは、メインシリンダもスライドも1個しかないので、複数個の上下金型セットのうち、端の金型セットにのみ素材が入っている状態では、偏心荷重によりスライドの傾きが発生しやすかった。この場合、鍛造品の寸法精度は低下する。
【0003】
前記の問題を解消するため、スライドにメインシリンダを複数本(たとえば、2本)設けた油圧プレスが開発された。
しかし、この油圧プレスにおいても、スライドは1個であったので、複数個の上下金型セットのうち端の金型セットにのみ素材が入っている状態では、やはり偏心荷重によってスライドの傾きが生じていた。この場合も、鍛造品の寸法精度の向上は望めない。
【0004】
上記のようにスライドの傾きが生ずると、成形品の寸法精度が低下するので、これを回避するための一つの手段としては、スライドガイドの剛性を高めるという対策がとれる。しかし、そうすると価格の高い設備となる。
また、1個のスライドに複数の金型セットを取付けた構成では、各工程の金型同士の微調整(シャットハイト等)に時間がかかり、多品種少量生産には不利という問題がある。
【0005】
一方、鍛造成形用ではなく板曲げ用のプレスにはスライドを複数個用い、個々のスライドとプレスフレームとの間に油圧シリンダを配設し、スライドの下降量を個別に調整できるようにした特許文献1の従来技術がある。
この特許文献1の技術は、各金型ごとに異なる突出し量と加圧により、複数の異なる加工が必要なワークであっても、1台のプレスで加工できるようにしたものである。
この板曲げ用プレスの従来技術は、偏心荷重によるスライドの傾きに着目したものではないので、スライドの傾きを防止するスライドガイドについては全く言及がない。
【0006】
特許文献2の従来技術は、1個のメインスライドの中に3個のサブスライドを取付けたもので、メインスライド左右のクラウンの間に2本のプランジャが取付けられている。
この従来技術の構造は、メインスライドのプランジャの付いていない中央部へのプレス反力の影響を抑制することを目的としており、スライドの傾きを考慮したものではない。
したがって、メインスライドのスライドガイドは開示がなく、サブスライドのスライドガイドはサブスライドの左右両側とメインスライドの側壁間に設けられた縦向きの1本のガイドレールとそれに嵌合するガイド部材からなる簡易なものでしかない。つまり、左右方向のガイドは何とかできても、前後方向のガイド能力はなく、したがって斜め方向のガイド能力もないものである。ゆえに、強力なガイド機能を要求される鍛造プレスには適用することができないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−168897号公報
【特許文献2】特開2009−113096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、鍛造品を多工程成形するプレスにおいて、偏心荷重の発生を抑制でき、仮に偏心荷重が発生しようとしてもスライドの傾きを防止でき、寸法精度の高い鍛造品が得られる油圧プレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の油圧プレスは、鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、前記入側前ギブブロックおよび入側後ギブブロックは、いずれも第2メインスライドに設けたガイド部と第1サブスライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれており、前記出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックは、いずれも第2メインスライドに設けたガイド部と第3サブスライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれていることを特徴とする。
第2発明の油圧プレスは、第1発明において、前記第2スライドガイドは、第2メインスライドの四隅から左右方向に張出して形成されたガイド部を有しており、ギブブロック側のガイド部とで構成するガイド面が、プレス中心と各アプライト中心をつなぐ仮想線に対し略平行な面をもつ張出しX型ガイドであることを特徴とする。
第3発明の油圧プレスは、第1または第2発明において、前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ外端面と該外端面に隣接する両側面の3面からガイドする6個のガイド部からなる対向U型6面ガイドであることを特徴とする。
第4発明の油圧プレスは、鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、前記プレス入側における前後2個のギブブロックおよび前記プレス出側における前後2個のギブブロックが、いずれも一体に構成されたものであり、前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ外端面と該外端面に隣接する一側面の2面からガイドするガイド部と、前記各サブスライドのプレス前後方向に沿う他側面と前記ギブブロックとの間に設けたガイド部からなる対向5面ガイドであることを特徴とする。
第5発明の油圧プレスは、鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、前記クラウンに工程順に取付けられた第1サブシリンダ、第2メインシリンダ、第3サブシリンダと、前記第1サブシリンダに取付けられた第1サブスライド、前記第2メインシリンダに取付けられた第2メインスライド、前記第3サブシリンダに取付けられた第3サブスライドと、前記第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドと、前記第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドと、前記第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドとを備えており、前記第2スライドガイドが、前記4個のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第2メインスライドに設けたガイド部でガイドされるように構成され、前記第1スライドガイドが、プレス入側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第1サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成され、前記第3スライドガイドが、プレス出側における前後のギブブロックにそれぞれ設けたガイド部と前記第3サブスライドに設けたガイド部とでガイドされるように構成されており、前記第1スライドガイドおよび前記第3スライドガイドは、前記各サブスライドのプレス前後方向における両端部において、それぞれ、前記第2スライドガイドにおける張出しX型ガイドのガイド面に平行なガイド面を有するガイド部と、該ガイド面に直角なガイド面を有するガイド部からなる対向X型4面ガイドであることを特徴とする。
第6発明の油圧プレスは、鍛造品を多工程成形するための油圧プレスであって、ベッドとクラウンの間を4本のアプライトで連結したプレスフレームと、前記4本のアプライトにそれぞれ取付けられた入側前ギブブロック、入側後ギブブロック、出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックからなる4個のギブブロックと、第1の成形工程を行うための第1シリンダと、前記第1の成形工程の後に第2の成形工程を行うための第2シリンダと、前記第2の成形工程の後に第3の成形工程を行うための第3シリンダと、前記第1シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第1スライドと、前記第2シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第2スライドと、前記第3シリンダにより前記プレスフレームに対してスライドする第3スライドと、前記プレスフレームに設けられ、前記第1スライド、前記第2スライド、及び前記第3スライドのそれぞれをスライド可能にガイドするスライドガイド部と、を備え、前記スライドガイド部は、前記第1スライドをガイドするための第1ガイド面と、前記第2スライドをガイドするための第2ガイド面と、前記第3スライドをガイドするための第3ガイド面と、を有し、前記第1ガイド面、前記第2ガイド面、及び第3ガイド面は、それぞれ異なる面であ前記入側前ギブブロックおよび入側後ギブブロックは、いずれも第2スライドに設けたガイド部と第1スライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれており、前記出側前ギブブロックおよび出側後ギブブロックは、いずれも第2スライドに設けたガイド部と第3スライドに設けたガイド部とでプレス中心とアプライトの中心とを結ぶ仮想線の前後から挟まれていることを特徴とする。
第7発明の油圧プレスは、第6発明において、前記スライドガイド部は、前記アプライトに取り付けられており、前記第2スライドは、前記第1スライド及び前記第3スライドよりも大形であり、前記第2ガイド面は、平面視した場合に、前記アプライトから当該油圧プレスの中心に向かう方向に対して平行となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、第2メインスライドが四隅をスライドガイドで強固にガイドされ、第1サブスライドおよび第3サブスライドも専用のスライドガイドでそれぞれガイドされる。そして、第2メインスライドも第1サブスライドおよび第3サブスライドもそれぞれ独立した1個の金型セットによって成形できるので、偏心荷重は発生しにくい。仮に偏心荷重が発生したとしても専用のスライドガイドで個別にガイドするので、各スライドの傾きはよく防止され、各スライドのベッドに対する平行度は高精度に保たれる。このため、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
第2発明によれば、第2スライドガイドにおける張出しX型ガイドの4面のガイド面は、プレス荷重点とほぼ同じプレス中心から各アプライトの中心に向く仮想線に対し略平行であるので、プレス荷重によるアプライト方向への負荷はガイド部で滑ることによって逃がされ、アプライトの変形を生じにくくする。このため、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
第3発明によれば、対向U型6面ガイドにより、第1サブスライドも第3サブスライドも、それぞれの両端部が外端面とそれに隣接する両側面の3面からガイドされるので、プレスの左右方向も前後方向もガイドされる。このため、ベッドに対する平行度が高精度に保たれ、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
第4発明によれば、プレス入側の2個のギブブロックもプレス出側の2個のギブブロックも一体化しているので、アプライトの変形が生じにくい。また、第1サブスライドおよび第3サブスライドはそれぞれ対向5面ガイドでガイド剛性を高められているので、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
第5発明によれば、第2メインスライドの張出しX型ガイドと第1サブスライドの対向X型4面ガイドのガイド部が互いに対向しており、また、第3サブスライドの対向X型4面ガイドのガイド部とも互いに対向しているので、第2メインスライドから伝えられるプレス荷重がギブブロックを介して第1サブスライドまたは第3サブスライドを通ってアプライトへ伝えられる。このように、前後2個のギブブロックの間にサブスライドが介在して双方の変形を防止するよう働くので、第2メインスライドのガイド剛性もより高まり、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧プレスの要部断面正面図である。
図2図1の油圧プレスにおけるII−II線で示す横断面図である。
図3図1の油圧プレスにおける多工程作業の説明図である。
図4図1の油圧プレスにおける単工程作業の説明図である。
図5】本発明の第2実施形態における油圧プレスの横断面図である。
図6】本発明の第3実施形態における油圧プレスの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、図1に基づき、本発明が適用される油圧プレスの基本構成を説明する。
この油圧プレスPは、鍛造品を3工程からなる多工程で成形する鍛造機械である。そのプレスフレームは、ベッド1とクラウン2とを4本のアプライト3で連結した公知の構造物である。なお、アプライト3は4本以外の構成も本発明に含まれる。前記ベッド1上には、ボルスタ13が設置されている。下金型はこのボルスタ13上に設置され、上金型は後述するスライドに取付けられる。
【0013】
(第1実施形態)
以下、本実施形態を詳述する。
クラウン2には、図中左側から右側に向けて、工程順に第1サブシリンダ4、第2メインシリンダ5、第3サブシリンダ6が取付けられている。前記第1サブシリンダ4には第1サブスライド7が取付けられ、前記第2メインシリンダ5には第2メインスライド8が取付られ、前記第3サブスライド6には第3サブスライド9がそれぞれ取付けられている。
本発明の特徴は、3個のスライドが3個のシリンダで個別に動作し、かつ後述するように3個のスライドがそれぞれ専用のスライドガイドでガイドされる点にある。
【0014】
本実施形態の油圧プレスは3工程用であり、第1サブシリンダ4と第1サブスライド7のセットが第1工程用、第2メインシリンダ5と第2メインスライド8のセットが第2工程用、第3サブシリンダ6と第3サブスライド9のセットが第3工程用である。
【0015】
第1サブシリンダ4と第3サブシリンダ6は出力の小さい小径の油圧シリンダを用いており、第2メインシリンダ5は出力の大きい大径の油圧シリンダを用いている。
前記第2メインスライド8には、小形シリンダ11が内蔵されており、メインシリンダ5の加圧と共に加圧成形するようになっている。なお、この小形シリンダ11は無いものも本発明に含まれる。
【0016】
つぎに、前記各スライド7,8,9のスライドガイドの構造を図2に基づき説明する。
前記各スライド7,8,9はそれぞれ個別のスライドガイドを有しており、また、取付け位置に合わせて偏心荷重対策に有効なガイド構造を採用している。
【0017】
各シリンダに取付けられた3個のスライドのうち、第2メインスライド8は大形のスライドであり、第1サブスライド7と第3サブスライド9は小形のスライドである。第2メインスライド8の横断面(X−Y平面での断面)は長四角形であり、Y方向の長さはX方向より長い。第1サブスライド7および第3サブスライド9の横断面(X−Y平面での断面)も長四角形であり、Y方向の長さはX方向より長い。
【0018】
各スライド8,7,9におけるX方向およびY方向の長さは任意であって、図示の実施形態に限られない。したがって、図示の実施形態において、第2メインスライド8のY方向長さのX方向長さに対する比は第1、第3サブスライドにおけるY方向長さのX方向長さに対する比よりも小さいが、これも一例であって、本発明はこのような長さ比に制限されない。
なお、図2において、プレス左右方向、すなわち被成形の搬送方向をX矢印で示しており、X矢印の左側はプレス入側、右側はプレス出側である。また、プレス前後方向、すなわちX方向に直交する向きをY矢印で示している。この入側出側の別と前後の別は、明細書および図面、さらに特許請求の範囲において共通する定義である。
【0019】
4本のアプライト3には、それぞれ1個のギブブロック10が取付けられ、合計4個のギブブロック10が用いられている。図1および図2において、図形の左側はプレス入側であり、同右側はプレス出側であるので、以下、左側2個を「プレス入側のギブブロック10L」といい、かつ前後を分けるときは符号10Lf、10Lrを用い、右側の「プレス出側のギブブロック10R」といい、前後を分けるときは符号10Rf、10Rrを用いる。以下の説明で、10Lfは入側前ギブブロック、10Lrは入側後ギブブロック、10Rfは出側前ギブブロック、10Rrは出側後ギブブロックということがある。また、特許請求の範囲ではこの定義を用いて特定する。
【0020】
4個のギブブロック10Lr、10Lf、10Rr、10Rfには、ガイド部g4が形成されている。すなわち、入側後ギブブロック10Lrには、ガイド部g4が形成されており、このガイド部g4は、入側後ギブブロック10Lrの左右方向(X方向)におけるプレス中心O側の表面と、前後方向(Y方向)におけるプレス中心Oから離れる側の表面との間に形成されている。さらに、ガイド部g4は、X方向に対しても、Y方向に対しても傾斜した傾斜するように形成されている。そして、入側前ギブブロック10Lf、出側後ギブブロック10Rr、出側前ギブブロック10Rfにも同様な形状のガイド部g4が形成されている。
【0021】
第2メインスライドをガイドする第2スライドガイドを説明する。
第2メインスライド8の4隅は、それぞれ左右方向、すなわちギブブロック側に張出しており、各張出し部にはガイド部g8が設けられている。この4カ所のガイド部g8の各ガイド面は斜めに形成されている。すなわち、図2に示す平面視において、前後方向(Y方向)に対しても、左右方向(X方向)に対しても、各ガイド部g8のガイド面は傾斜している。
このように、ギブブロック側のガイド部g4のガイド面とスライド側のガイド部g8のガイド面はいずれも傾斜した状態で、互いに滑りが可能となっている。
上記のように第2メインスライド8が左右方向(X方向)に張出したガイド部g8を有する形式のスライドガイドを張出しX型スライドガイドという。
【0022】
図2において、符号Oはプレス中心であり、第2メインスライド8の中心とも一致している。このプレス中心Oと各アプライト3の中心とを結ぶ仮想線を符号Lで示す。
そして、前記各ギブブロック10の4個所のガイド部g4と第2メインスライド8の4個所のガイド部g8のガイド面は、4本の仮想線Lに対し、ほぼ平行である。本明細書において「ほぼ平行」とは、完全に平行でなくとも、若干の角度を以て互いに傾斜しているものも含む。すなわち、アプライト3がプレス中心Oに向かって変形する際に、そのアプライト3の変形によってガイド面に作用する力(つまり、アプライト3及びギブブロック10が第2メインスライド8のガイド面を押す力)を抑制することができ、このような効果を奏する角度を含んでいる。
【0023】
上記のような張出しX型ガイドは、前後方向のガイド隙間(ガイド部g4とガイド部g8との隙間)及び左右方向のガイド隙間を小さくできるため、圧下時に偏心荷重が発生したとしても、第2メインスライド8のボルスタ13に対する平行度を高精度に保つことができる。
【0024】
つぎに、第1,第2サブスライド7,9のスライドガイドを説明する。
4個のギブブロック10Lr、10Lf、10Rr、10Rfは、いずれもプレス前後方向(Y方向)の内側において、3個が一セットになるガイド部g1,g2,g3が設けられている。ガイド部g1は左右方向に延びるガイド面を有し、ガイド部g2,g3は前後方向に延びるガイド面を有している。ガイド部g1とガイド部g2,g3は直角に交わっており、ガイド部g2,g3同士は対面している。
【0025】
第1サブスライドをガイドする第1スライドガイドの構成は、以下のとおりである。
第1サブスライド7は、図中左側に示すプレス入側において前後方向に配置された2個のギブブロック10L(10Lr,10Lf)でガイドされている。すなわち、第1サブスライド7における前後方向の両端部において外端面(前後方向の端面である)は、入側後ギブブロック10Lrのガイド部g1および入側前ギブブロック10Lfのガイド部g1でガイドされている。また、第1サブスライド7の両端部における前記外端面に隣接する両側面(左右方向の側面である)は、入側後ギブブロック10Lrのガイド部g2,g3および入側前ギブブロック10Lfのガイド部g2,g3でガイドされている。
【0026】
第3サブスライドをガイドする第3スライドガイドの構成は、以下のとおりである。
第3サブスライド9は、図中右側に示すプレス出側において前後方向に配置された2個のギブブロック10R(10Rr,10Rf)でガイドされている。すなわち、第3サブスライド9における前後方向の両端部において外端面(前後方向の端面である)は、出側後ギブブロック10Rrのガイド部g1および出側前ギブブロック10Rfのガイド部g1でガイドされている。また、第3サブスライド9の両端部における前記外端面に隣接する両側面(左右方向の側面である)は、出側後ギブブロック10Rrのガイド部g2,g3および出側前ギブブロック10Rfのガイド部g2,g3でガイドされている。
本明細書では、第1サブスライド7および第3サブスライド9に用いた、この形式のスライドガイドを対向U型6面ガイドという。
【0027】
図3および図4は、第1実施形態の油圧プレスにおける作業要領を示している。
図3は3工程作業の要領を示している。
第1工程用金型M1の上金型M11は第1サブスライド7に取付けられ、第2工程用金型M2の上金型M21は第2メインスライド8に取付けられ、第3工程用金型M3の上金型M31は第3サブスライド9に取付けられている。各3工程の下金型M12,M22,M32はいずれもボルスタ13上に設置されている。
この金型配置であると、各シリンダ4,5,6および各スライド7,8,9が個別に昇降して3工程成形が行える。
すなわち、第1サブスライド7の下降により金型M1での成形が行われ、第2メインスライド8の下降により金型M2での成形が行われ、第3サブスライド9の下降により金型M3での成形が行われる。しかも1〜3工程は独立して成形動作を行うことができる。
【0028】
図4は単工程作業の要領を示している。
第1サブスライド7と第2メインスライド8と第3サブスライド9の下端同士は連結ブロック14で連結されている。金型M4の上金型M41は連結ブロック14に取付けられ、下金型M42はボルスタ13上に設置されている。
この金型配置であると、3個のシリンダおよび3個のスライドが一緒になって単一工程の成形を行うことができる。
この場合の加圧力は3本のシリンダ4,5,6を合わせた出力となるので、強力な加圧が可能となる。
【0029】
図3に示す3工程作業において、各スライド7,8,9にそれぞれ金型M1,M2,M3が取付けられて加圧する場合、各スライド7,8,9は専用のスライドガイドでガイドされるので偏心荷重は発生しにくい。
また、各スライド7,8,9の一つあるいは隣接する二つのみで加圧したときも、それぞれのスライドに割り当てられた金型(M1からM3のなかの一つまたは二つ)を加圧するだけなので、偏心荷重は発生しにくい。
さらに、図4に示す単工程作業でも3本のスライド7,8,9は連結ブロック14で連結されるうえに、金型M4は中央にあるので、はやり偏心荷重は発生しにくい。
【0030】
上記に加え、本実施形態によれば、つぎの理由により、仮に偏心荷重が発生しようとしても各スライド7,8,9のボルスタ13(またはベッド1)に対する平行度は高精度に保たれる。
【0031】
(1)第2メインスライド8における張出しX型ガイドのガイド面は、プレス荷重点とほぼ同じプレス中心Oから各アプライト3の中心に向く仮想線Lに略平行であるので、アプライト3がプレス中心Oに向かって変形する際に、そのアプライト3の変形によってガイド面に作用する力(つまり、アプライト3及びギブブロック10が第2メインスライド8のガイド面を押す力)を抑制することができる。このため、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
【0032】
(2)第1サブスライド7と第3サブスライド9は、それぞれの対向U型6面ガイドにより、各サブスライド7,9の両端部における外端面とそれに隣接する両側面の3面からガイドされる。このため、各スライド7,9はその左右方向も前後方向もガイドされる。このため、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
【0033】
(第2実施形態)
図5に基づき、第2実施形態を説明する。
本実施形態は、第1スライドガイドおよび第3スライドガイドとして、前後のギブブロックを結合部材で一体に結合し、スライドガイドに対向5面ガイドを採用したものである。
すなわち、プレス入側における前後の入側後ギブブロック10Lrと入側前ギブブロック10Lfは互いに結合部材10cで一体に結合されており、プレス出側における前後の出側後ギブブロック10Rrと出側前ギブブロック10Rfも互いに結合部材10cで一体に結合されている。なお、本発明には、ギブブロックと別部材である結合部材10cを用いて前後のギブブロックを結合したものの外、前後のギブブロックと結合部材10cを一体の部材として製造したものも含まれる。
そして、ガイド部g1,g2は前記第1実施形態と同一であるが、本実施形態では結合部材10cの中央部に1個のガイド部g5が設けられている。
【0034】
第1サブスライド7は、その両端部における外端面が入側後ギブブロック10Lrと入側前ギブブロック10Lfのガイド部g1でガイドされ、外向き側面はガイド部g2でガイドされ、内向き側面における前後方向中間部(ガイド部g2の反対側)がガイド部g5でガイドされている。
また、第3サブスライド9も、その両端部における外端面が出側後ギブブロック10Rrと出側前ギブブロック10Rfのガイド部g1でガイドされ、外向き側面に接触するガイド部g2でガイドされ、内向き側面における前後方向中間部(ガイド部g2の半体側)がガイド部g5でガイドされている。
【0035】
上記構成において、2カ所のガイド部g2と1カ所のガイド部g5は左右方向において対向している。
本発明において、この形式のスライドガイドを対向5面ガイドという。
【0036】
この第2実施形態においては、プレス入側の2個のギブブロック10L(10Lr,10Lf)もプレス出側の2個のギブブロック10R(10Rr,10Rf)も結合部材10cで結合されるか、あるいは一体部材を用いて一体化しているので、第1サブスライド7および第3サブスライド9のガイド剛性が上り、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
また、第1サブスライド7および第3サブスライド9は、いずれも前後方向が対向するガイド部g1,g1でガイドされ、左右方向が、2カ所のガイド部g2,g2とこれに対抗するガイド部g5でガイドされる。
このように前後左右の4方向からガイドされるので、各サブスライド7,9のボルスタ13に対する平行度は高精度に維持される。
【0037】
(第3実施形態)
図6に基づき、第3実施形態を説明する。
本実施形態における第1サブスライド7および第3サブスライド9をガイドする第1スライドガイドおよび第3スライドガイドは対向X型4面ガイドを採用している。
第1サブスライド7の平面視における四隅は斜面に形成されている。すなわち、前後方向および左右方向に対して傾斜した斜面になっており、この4カ所の斜面は、ガイド部g7として構成されている。
【0038】
一方、プレス入側における前後の入側前ギブブロック10Lrと入側前ギブブロック10Lfには、いずれも2カ所のガイド部g10,g10が設けられている。このガイド部g10,g10は内側に向いて傾斜しており、第1サブスライド7のガイド部g7に対向して接触している。
これらの4カ所のガイド部g10は、それぞれが隣接するガイド部のガイド面に対しほぼ直交するガイド面を有している。つまり、ガイド部g7は、前記第2スライドガイドにおける張出しX型ガイドのガイド面に平行なガイド面を有するガイド部g7と、該ガイド面に直角なガイド面を有するガイド部g7から構成されている。
【0039】
第3サブスライド9の平面視における四隅も斜面に形成されている。すなわち、前後方向および左右方向に対して傾斜した斜面になっており、この4カ所の斜面には、ガイド部g7として構成されている。
【0040】
一方、プレス側における前後の出側後ギブブロック10Rrと出側前ギブブロック10Rfには、いずれも2カ所のガイド部g10,g10が設けられている。このガイド部g10,g10は内側に向いて傾斜しており、第3サブスライド9のガイド部g9に対向して接触している。
これらの4カ所のガイド部g10は、それぞれが隣接するガイド部のガイド面に対しほぼ直交するガイド面を有している。つまり、ガイド部g10は、第2スライドガイドにおける張出しX型ガイドのガイド面に平行なガイド面を有するガイド部g10と、該ガイド面に直角なガイド面を有するガイド部g10から構成されている。
【0041】
上記のような第1サブスライド7および第3サブスライド9のガイド構造を本明細書では対向4面X型ガイドという。
【0042】
この第3実施形態においては、第2メインスライド8の張出しX型ガイドと第1サブスライド7のX型ガイドが互いに対向しており、また、第3サブスライド9のX型ガイドとも互いに対向しているので、第2メインスライド8に発生した力がギブブロックを介して第1サブスライド7または第3サブスライド9を通ってアプライトへ伝えることができる。このように、前後2個のギブブロック10Lr,10Lf(同様に10Rr,10Rf)の間にサブスライド7(同様にサブスライド9)が介在して双方の変形を防止するよう働くので、第2メインスライド8のガイド剛性もより高まり、寸法精度の高い鍛造品が得られる。
【符号の説明】
【0043】
4 第1サブシリンダ
5 第2メインシリンダ
6 第3サブシリンダ
7 第1サブスライド
8 第2メインスライド
9 第3サブスライド
g1〜g10 ガイド部
10(10Lr,10Lf,10Rr,10Rf) ギブブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6