(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運行位置受信手段、前記運行情報受信手段及び前記文字情報受信手段が受信した情報を翻訳して前記表示装置において一の画面で同時に表示する翻訳手段として前記携帯端末を機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載の列車情報取得プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、携帯端末において放送内容を文字にした情報は得ることができるが、それ以上の情報を得ることはできない。
特に列車遅延や事故などの異常時においては、状況の把握や対処のために放送内容以外の情報も必要となるが、携帯端末でwebサイトにアクセスするなどしてこれらの情報を参照している間は、放送内容を把握することができなくなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、利用者、特に聴覚障害者や外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、第1の発明は、表示装置を備える携帯端末を情報取得手段として機能させるための列車情報取得プログラムであって、
当該携帯端末を、
列車に固有の固有情報を当該列車内に発信する発信手段が発信した前記固有情報を取得する固有情報取得手段、
前記固有情報取得手段により取得した前記固有情報を情報提供サーバに送信する固有情報送信手段、
列車の運行位置を管理する運行位置管理サーバから、前記情報提供サーバが当該固有情報に対応する列車の運行位置の情報を取得して当該携帯端末に送信する運行位置情報を受信する運行位置受信手段、
列車の運行情報を管理する運行情報管理サーバから、前記情報提供サーバが当該固有情報に対応する列車が走行する線区が属するエリアの運行情報を取得して当該携帯端末に送信する運行情報を受信する運行情報受信手段、
列車内に放送された内容を文字情報として当該列車の固有情報と対応付けて蓄積する放送情報サーバから、前記情報提供サーバが当該固有情報に対応する列車についての文字情
報を取得して当該携帯端末に送信する文字情報を受信する文字情報受信手段、
前記運行位置受信手段、前記運行情報受信手段及び前記文字情報受信手段が受信した情報を、前記表示装置において一の画面で同時に表示する表示手段、
として機能させることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、利用者が運行位置情報と、運行情報と、文字情報を同時に確認できるので、利用者、特に聴覚障害者や外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
なお、外国人にとっては文字情報による情報の取得が困難であるとしても、文字情報によらない運行位置情報と運行情報から状況を把握可能である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の列車情報取得プログラムにおいて、
前記発信手段は、
前記固有情報を含む非可聴音を当該列車内に発信するように構成され、
前記固有情報取得手段は、
前記発信手段が当該列車内に発信した前記固有情報を含む前記非可聴音を受信する非可聴音受信手段、
前記非可聴音受信手段により受信した前記非可聴音から前記固有情報を抽出して取得する固有情報抽出手段、
として機能することを特徴とする。
【0009】
第2の発明によれば、発信手段を簡便なものとすることができ列車への改造を最小限にすることができる。
また、電波を用いないので、優先席付近にも発信手段を設けることができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明の列車情報取得プログラムにおいて、
前記運行位置受信手段、前記運行情報受信手段及び前記文字情報受信手段が受信した情報を翻訳して前記表示装置において一の画面で同時に表示する翻訳手段として前記携帯端末を機能させることを特徴とする。
【0011】
第3の発明によれば、運行情報や運行位置情報、文字情報等の各情報の文字情報が翻訳手段により翻訳されて表示装置において表示されるため、利用者、特に外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
【0012】
第4の発明は、表示装置を備える携帯端末に列車に関する情報提供する情報提供システムであって、
列車に固有の固有情報を当該列車内に発信する発信手段と、
前記携帯端末が前記発信手段から取得した固有情報を前記携帯端末から受信する固有情報受信手段と、
前記列車内に放送された音声を認識して文字情報に変換する音声認識手段と、
前記文字情報を当該列車の固有情報と対応付けて蓄積する放送情報サーバと、
列車の運行位置を管理する運行位置管理サーバと、
列車の運行情報を管理する運行情報管理サーバと、
前記固有情報受信手段が受信した前記固有情報に基づき、前記運行位置管理サーバから当該固有情報に対応する列車の運行位置の情報を取得して当該携帯端末に送信する運行位置送信手段と、
前記固有情報受信手段が受信した前記固有情報に基づき、前記運行情報管理サーバから当該固有情報に対応する列車が走行する線区が属するエリアの運行情報を取得して当該携帯端末に送信する運行情報送信手段と、
前記固有情報受信手段が受信した前記固有情報に基づき、前記放送情報サーバから当該
固有情報に対応する列車についての文字情報を取得して当該携帯端末に送信する文字情報送信手段と、
前記運行位置送信手段、前記運行情報送信手段及び前記文字情報送信手段が送信した情報を、前記携帯端末の前記表示装置において一の画面で同時に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
第4の発明によれば、利用者が運行位置情報と、運行情報と、文字情報を同時に確認できるので、利用者、特に聴覚障害者や外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
なお、外国人にとっては文字情報による情報の取得が困難であるとしても、文字情報によらない運行位置情報と運行情報から状況を把握可能である。
【0014】
第5の発明は、第4の発明の情報提供システムにおいて、前記発信手段は、
前記固有情報を含む非可聴音を当該列車内に発信するように構成され、
前記携帯端末は、
前記発信手段が当該列車内に発信した前記固有情報を含む前記非可聴音を受信する非可聴音受信手段と、
前記非可聴音受信手段により受信した前記非可聴音から前記固有情報を抽出して取得する固有情報抽出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
第5の発明によれば、発信手段を簡便なものとすることができ列車への改造を最小限にすることができる。
また、電波を用いないので、優先席付近にも発信手段を設けることができる。
【0016】
第6の発明は、第4又は第5の発明の情報提供システムにおいて、
前記運行位置の情報、前記運行情報及び前記文字情報を翻訳する翻訳手段を備えることを特徴とする。
【0017】
第6の発明によれば、運行情報や運行位置情報、文字情報等の各情報の文字情報が翻訳手段により翻訳されて表示装置において表示されるため、利用者、特に外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、利用者が運行位置情報と、運行情報と、文字情報を同時に確認できるので、利用者、特に聴覚障害者や外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように情報提供システムでは、各列車1に固有の固有情報(ID)を当該列車内に発信する発信手段2、列車1の利用者が有する携帯端末である利用者端末3、列車1の乗務員が有する端末である乗務員端末4、利用者端末3に情報を提供する情報提供サ
ーバ5、列車1の運行位置を管理する運行位置管理サーバ6、列車1の運行情報を管理する運行情報管理サーバ7、列車内に放送された内容を文字情報として蓄積する放送情報サーバ8から構成される。
【0021】
この情報提供システムは、列車1の乗務員が列車内に放送した音声情報を文字情報とし、当該列車1に乗っている利用者が有する利用者端末3に表示するものである。
また、利用者端末3に文字情報の他、当該列車1の運行位置の情報である運行位置情報や、当該列車1が走行する線区が属するエリアにおける事故や遅延など列車の運行に障害が生じている旨の情報である運行情報を表示するものである。
また、列車情報取得プログラムは、利用者端末3において実行され、利用者端末3においてこれらの情報を表示可能とするためのプログラムである。
【0022】
発信手段2は、固有情報を含ませた非可聴音を列車内に発信するものであり、列車1のどの位置でも非可聴音を受信できるような個数及び配置とされている。
非可聴音は音波であり、壁を通り抜けずに反射するため、列車の車両などの閉じた空間において車両の外に信号が漏れることが殆どないという利点を有する。ただし、音波であるため、壁を通り抜けられないことや、発信範囲が、例えば、半径数十メートル程度のエリアに限られてしまうことから、列車1の編成を構成する各車両や壁で仕切られた部屋(乗務員室等)ごとに発信手段2を設けることが望ましい。これにより、車両の客室だけでなく乗務員室でも非可聴音を受信できるようになる。
【0023】
利用者端末3は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、パソコンなど、携帯することができる端末である。
図2に示すように利用者端末3は、演算処理を行うCPU31、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリであるROM32、CPU31の作業領域や各種情報を記憶するRAM33からなる制御手段を備える。
また、液晶表示装置やEL表示装置のような表示装置10、ボタンや表示装置10に組み込まれて構成されるタッチパネルなど利用者の入力を受け付ける入力手段34、音声入力手段をなすマイク35、ネットワークを介した通信を行う通信手段36を備える。
【0024】
マイク35は発信手段2が発信する非可聴音を取り込むことができるものであり、可聴音を取り込むマイクと兼用しても良いし、別途のマイクとしても良い。
この利用者端末3では、外部から本発明の列車情報取得プログラムをダウンロードしてROM32に記憶可能であり、ROM32に記憶した列車情報取得プログラムをCPU31等からなる制御手段により実行可能であって、当該列車情報取得プログラムを実行することにより利用者端末3が情報取得手段として機能することとなる。
【0025】
乗務員端末4は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、パソコンなど、携帯することができる端末であり、利用者端末3と同様の構成を有する。
この乗務員端末4に備えられたマイクも、発信手段2が発信する非可聴音を取り込むことができるものである。
このマイクは乗務員の音声などの可聴音を取り込むマイクと兼用しても良いし、別途のマイクとしても良い。
【0026】
この乗務員端末4は、利用者端末3と同様にマイクから取り込んだ非可聴音から固有情報を抽出して情報提供サーバ5に送信するプログラムや、音声を文字情報に変換する音声認識プログラムがROMに記憶されている。
これらのプログラムを実行することで入力された音声を文字情報に変換する音声認識手段として機能するとともに、固有情報と文字情報を情報提供サーバ5に送信することが可能となる。
なお、乗務員端末4は列車1の乗務員室に据え付けられた機器であっても良い。
【0027】
情報提供サーバ5は、図示しないCPU、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段、通信手段等を有している。
この情報提供サーバ5は、利用者端末3及び乗務員端末4とネットワークを介した情報の授受や必要な情報の記憶を行う。
また、列車1の運行位置を管理する運行位置管理サーバ6、列車1の運行情報を管理する運行情報管理サーバ7、列車内に放送された内容を文字情報として蓄積する放送情報サーバ8とも接続され、これらとの情報の授受や、必要な情報の抽出等の処理を行う。
【0028】
運行位置管理サーバ6は、図示しないCPU、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段、通信手段等を有している。
この運行位置管理サーバ6は、列車番号、窓番号(何番ホームであるか)、列車遅延時分、キロ程、上下(上りであるか下りであるかの識別)や、軌道回路から得られる列車位置の情報等の情報(TID情報)を収集して管理するものである。
【0029】
運行情報管理サーバ7は、図示しないCPU、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段、通信手段等を有している。
この運行情報管理サーバ7は、各線区で発生している事故や遅延など、列車の運行に障害が生じている旨の情報を管理するものである。
【0030】
放送情報サーバ8は、図示しないCPU、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶手段、通信手段等を有している。
この放送情報サーバ8は、列車1の乗務員が乗務員端末4に入力した音声情報を音声認識手段により変換した文字情報を蓄積するものである。
この文字情報には音声情報を入力した列車1に固有の固有情報や放送された時間なども紐付けて記憶される。
【0031】
次に、このように構成される情報提供システムにおける具体的な処理について説明する。
図3に示すように、本発明の列車情報取得プログラムを実行する利用者端末3は、発信手段2から発信される非可聴音を利用者端末3のマイク35から取り込み(ステップS1)、取り込んだ非可聴音から固有情報を抽出して(ステップS2)、利用者端末3の記憶手段に記憶する(ステップS3)。
そして、抽出した固有情報を、自身を識別する識別情報と併せて情報提供サーバ5に送信する(ステップS4)。識別情報としては、利用者端末3の個体識別番号や、事前に会員登録した利用者の会員番号、メールアドレス、パスワードなどであっても良い。
情報提供サーバで5は、利用者端末3から送信された固有情報と識別情報とを紐付けて利用者情報として記憶する(ステップS5)。
【0032】
なお、利用者端末3は、定期的に非可聴音を取り込んで固有情報を抽出し、利用者端末3に記憶されている固有情報と一致するか否かを判定することにより利用者端末3の存在する列車1を定期的に確認することが好ましい。
そして、抽出した固有情報が、利用者端末3に記憶されている固有情報と異なる場合は、利用者が列車を乗り換えたものとして新たな固有情報と自身を識別する識別情報を情報提供サーバ5に送信する。
情報提供サーバ5では、新たに固有情報と識別情報とを受信することに基づき、当該識別情報が含まれる古い利用者情報を消去するとともに、新たな固有情報と識別情報を利用者情報として記憶する。
また、利用者の操作に基づき、利用者端末3に強制的に固有情報を取得させて情報提供
サーバ5に送信させることができるようにすれば、定期的な固有情報のチェックのタイミングを待たずに乗り換えた後すぐに対応する情報を得ることができるようになる。
【0033】
また、所定期間に亘り非可聴音を受信しなかった場合は、利用者が列車1を降りたものとして識別情報及び情報の受信を終了する旨の情報を情報提供サーバ5に送信する。
また、利用者端末3で列車情報取得プログラムを終了する際にも同様に識別情報及び情報の受信を終了する旨の情報を情報提供サーバ5に送信する。
情報提供サーバ5ではこれらの情報を受信することに基づき利用者情報を消去し、情報の提供を終了する。
また、利用者の操作に基づき識別情報及び情報の受信を終了する旨の情報を情報提供サーバ5に送信し、強制的に情報の受信を終了できるようにしても良い。
【0034】
図3に示すように、乗務員端末4は発信手段2が発信する非可聴音をマイクから取り込み(ステップS6)、取り込んだ非可聴音から固有情報を抽出して(ステップS7)、乗務員端末4の記憶手段に記憶する(ステップS8)。
【0035】
列車1の乗務員が乗務員端末4のマイクに、車内へ放送する音声を入力すると、乗務員端末4は入力された音声を音声認識手段により文字情報に変換し(ステップS9)、当該乗務員端末4に記憶されている固有情報と文字情報と放送が行われた時間とを情報提供サーバ5に送信する(ステップS10)。
情報提供サーバ5は、乗務員端末4から送信された固有情報と文字情報と放送が行われた時間とを紐付けて放送情報サーバ8に蓄積する(ステップS11)。
なお、車内放送用のマイクに乗務員端末4のマイクを併設して車内放送と同時に乗務員端末に音声が入力されるようにしても良いし、車内放送とは別途に乗務員が乗務員端末4に音声を入力するようにしても良い。
【0036】
図4に示すように情報提供サーバ5は、利用者情報として記憶された固有情報に対応した情報を取得し、当該利用者情報として当該固有情報と紐付けて記憶された識別情報により識別される利用者端末3に送信する。
具体的には、情報提供サーバ5は、運行位置管理サーバ6から当該固有情報に対応する列車1の運行位置の情報と、この運行位置を中心とした所定範囲に位置する列車1の運行位置の情報を取得し(ステップS21)、当該利用者端末3に送信する(ステップS22)。
なお、情報提供サーバ5は、各列車の編成番号と搭載している発信手段2が発信する固有情報の情報を含むデータベースを保有しており、このデータベースを参照することで固有情報から列車1を特定することが可能である。
【0037】
また、情報提供サーバ5は、運行情報管理サーバ7から当該固有情報に対応する列車1が走行する線区が属するエリアの運行情報を取得し(ステップS23)、当該利用者端末3に送信する(ステップS24)。
なお、固有情報から列車1が走行することとなる線区を特定するようにしても良いし、運行位置管理サーバ6から得た列車1の位置情報から線区を特定するようにしても良い。
【0038】
また、情報提供サーバ5は、放送情報サーバ8から当該固有情報に対応する列車1についての文字情報を取得し(ステップS25)、当該利用者端末3に送信する(ステップS26)。
このとき情報提供サーバ5は、放送された時間が最も新しい文字情報を取得して送信する。ただし、利用者端末3から固有情報を受信して当該固有情報に対応する文字情報を初めて送信する場合は、所定時間前までの期間に放送された過去の文字情報も取得して送信するようにしても良い。
【0039】
このように、各列車1に固有の固有情報が付与され、当該固有情報に基づいて照合を行うため、例えば、同じ線区を複数の列車1が走行している場合においても、各列車1の車内放送の文字情報が混同することなく、利用者は自分が乗車した列車1内の車内放送の文字情報を取得することができる。
【0040】
以上のように情報提供サーバ5が各サーバから情報を取得して利用者端末3に送信するタイミングは、利用者端末3から固有情報を受信して利用者情報を記憶した場合、一定時間が経過した場合、利用者端末3から情報提供の要求があった場合、各サーバから情報提供サーバ5に対して情報の更新があった旨の情報が送信された場合などが挙げられる。
なお、各サーバから情報提供サーバ5に対して情報の更新があった旨の情報が送信された場合の情報の送信は、
図4の下段に示すように、各サーバが情報の更新に基づき情報提供サーバ5に更新情報を提供すると(ステップS28)、情報提供サーバ5が当該更新情報に対応する固有情報が含まれる利用者情報を抽出して情報を送信する利用者端末3を抽出する(ステップS29)。そして、対応する利用者端末3に更新情報を送信し(ステップS30)、更新情報を受信した利用者端末3が表示を更新する(ステップS31)。
【0041】
利用者端末3は、情報提供サーバ5から送信された運行位置の情報、運行情報及び文字情報を受信し、表示装置10において一の画面で同時に表示する(ステップS27、S31)。
図5には表示の一例を示した。
画面の上部は運行情報を表示する運行情報表示部11とされる。この運行情報表示部11における表示では、路線図上で事故や遅延が発生している路線を強調表示するようにすることで運行情報を示すようにしている。路線図上での運行情報の表示により事故や遅延の他の路線への影響などを視覚的かつ全体的に把握することができる。
運行情報としてはこの他に、事故や遅延の詳細な内容や復旧見込み時間、振替輸送の情報などを表示するようにしても良い。
【0042】
画面の中央は運行位置の情報を表示する運行位置表示部12とされる。
この運行位置表示部12における表示では、周辺の駅12aや経路12bを示す路線図上に利用者が乗車している列車1aの位置の他、周辺の他の列車1bの位置が示される。
利用者が乗車している列車1aと他の列車1bは異なる表示で表示されて区別可能とされており、ここでは利用者が乗車している列車1aは斜線が施された表示とされ、他の列車1b白抜きの表示とされている。
【0043】
他の列車1bの位置情報としては、利用者端末3が存在する列車1aと同一の線区の列車のみならず、当該線区から分岐、あるいは、当該線区に合流する線区の列車1bの位置情報を併せて表示させるようにしても良い。また、利用者が表示範囲を変更できるようにしても良い。
この運行位置の表示により、自身が乗車する列車1aの位置の他、他の列車1bに乗り換え可能であるかなどの判断が可能となる。
【0044】
運行位置の情報としてはこの他に、各列車1の行き先や種別、遅延時間などを表示するようにしても良い。また、利用者が乗車している線区内で発生している事故や遅延の詳細な内容や復旧見込み時間、振替輸送の情報などを表示するようにしても良い。
乗務員端末4にGPS機能等の測位機能を持たせて自身の位置情報である測位情報を取得可能とし、この測位情報を固有情報と併せて情報提供サーバ5に送信するようにすることで、情報提供サーバ5において各列車のより正確な位置情報を把握可能とすることができ、この情報を利用者端末3に送信することでより正確な位置情報を提供することができる。
また、情報提供サーバ5が時刻表情報やキロ程情報等が蓄積された時刻表データベースを参照可能とし、運行位置管理サーバ6からの位置情報や上述の測位情報と比較して各列車の遅延時分を算出することで利用者端末3に遅延時分を提供することができる。
遅延時分の算出は、例えば、時刻表情報及びキロ程情報に基づき定刻運行の場合の時刻と位置との関係を示すグラフを作成し、収集された緯度経度情報を測位時間とともに当該グラフにプロットし、定刻運行との差異を遅延時分情報として算出する。
【0045】
また、このようにして得られる各線区についての遅延時間の情報を、運行情報表示部11の路線図上に示すようにしても良い。
例えば、遅延時分情報における遅延時間の値が「5分未満」であれば表示色を「青色」とし、遅延時分情報における遅延時間の値が「30分未満」であれば表示色を「黄色」とし、遅延時分情報における遅延時間の値が「30分超過」であれば表示色を「赤色」として表示するようにしても良い。
このように、情報提供サーバ5が、算出された遅延時分情報における遅延時間の値が所定の値を超過等した場合に、利用者端末3に提供するコンテンツの表示画面における表示色を変えることにより、列車の遅延状態を視覚的に把握し易くなる。
【0046】
なお、乗務員端末4に測位機能を持たせて列車の位置を把握できるようにした場合に、乗務員端末4からの測位情報の取得周期が長い場合や、通信遮断等により十分な情報の取得ができなかった場合には、運行位置管理サーバ6による位置情報と測位情報とが示す内容が一致せず矛盾が生じる場合が想定される。
この場合は運行位置管理サーバ6の情報を優先して利用して位置情報を提供するようにする。
また、運行位置管理サーバ6が位置情報を把握できない場合や位置情報を把握できない線区である場合は乗務員端末4からの測位情報を利用して位置情報を提供するようにしても良い。
【0047】
画面の下部は文字情報を表示する文字情報表示部13とされる。
この文字情報表示部13における表示では、放送内容を時系列に沿って並べたタイムライン形式で表示されるようになっており、最新の放送内容13aの他、過去の放送内容13bも見ることが可能である。また、放送された時間も併せて表示される。
最新の放送内容13aは乗務員を模したアイコン13cからの吹き出しで表示されるようになっており、最新の放送内容13aであることが一目でわかるようにされている。
【0048】
ここでは過去の放送内容13bを2つまで表示できるようにしたが、放送内容をさらに過去に遡って見ることができるようにしても良い。
この場合、利用者がスクロールするなどして過去の放送内容13bを見る操作をすることに伴い、利用者端末3から情報提供サーバ5に過去の放送内容を送信するように要求を送り、情報提供サーバ5が固有情報に対応する過去の放送内容を放送情報サーバ8から取得して利用者端末3に送信するようにする。
【0049】
なお、乗務員端末4に入力された音声を文字情報に変換したものだけでなく、車内に自動的に放送される音声に対応した文字情報も表示するようにしても良い。
また、列車1だけでなく、駅構内での案内放送も文字情報として表示できるようにしても良い。
この場合は駅に発信手段2を設けるとともに、駅員が乗務員端末4に音声を入力するようにする。
または、駅に設置された放送設備に音声認識手段を備え、文字情報を各駅に対応する固有情報と併せて情報提供サーバ5に送信するようにしても良い。
また、利用者端末3では、運行位置表示部12において駅や他の列車1bの表示を選択
することで当該駅や列車1bでの放送の文字情報を取得できるようにしても良い。
【0050】
以上のような情報提供システム及び列車情報取得プログラムによれば、利用者が運行位置情報と、運行情報と、文字情報を同時に確認できるので、利用者、特に聴覚障害者が列車内で必要な情報を速やかに取得でき、これらの情報を利用して総合的な判断ができるので、平常運行時でも事故などの異常発生時でも利用者が効率よく状況を把握して行動することが可能となる。特に視覚障害者に対しては従来にない効果的な情報伝達が可能となる。
【0051】
なお、乗務員端末4は音声情報と固有情報を情報提供サーバ5に送信するようにし、情報提供サーバ5や放送情報サーバ8に備えた音声認識手段により当該音声情報を文字情報に変換するようにしても良い。
また、乗務員端末4において入力した音声について通常放送と非常放送の別を設定できるようにし、放送情報サーバ8が通常放送と非常放送の別についても文字情報と併せて記憶するようにしても良い。
そして、利用者端末3において通常放送と非常放送の何れか一方又は両方を受信するように設定して当該設定を情報提供サーバ5に送信するようにし、情報提供サーバ5はこの設定に応じた情報を利用者端末3に送信するようにしても良い。
また、文字情報表示部13において、各文字情報について通常放送と非常放送の別を表示するようにしても良いし、利用者の操作に応じて通常放送と非常放送の両方または一方のみを表示するようにしても良い。
【0052】
また、発信手段2は、利用者端末3及び乗務員端末4に各列車1に固有の固有情報を送信できるものであれば非可聴音を利用するものでなくても良く、例えば、光や電波により固有情報を送信するものであっても良く、利用者端末3及び乗務員端末4は発信手段2が発信する固有情報を受信する機能を有していれば良い。
また、ICタグや赤外線通信のような近距離通信により固有情報を送信するようにしても良く、この場合は利用者端末3を発信手段に近接させることで情報を受信するようにする。
【0053】
また、利用者端末3で文字情報の要否を選択できるようにし、その選択結果を情報提供サーバ5に送信するようにしても良い。
この場合、情報提供サーバ5は、文字情報を要することを選択した利用者端末3のみに文字情報を送信する。
さらに、運行位置の情報や運行情報についても要否を選択できるようにし、利用者が必要な情報のみが画面に表示されるようにしても良い。
【0054】
また、利用者端末3の表示において用いる言語を選択できるようにしても良い。この場合、運行情報や運行位置情報、文字情報等の各情報を蓄積する際に乗務員端末4や各サーバ6〜8に備えられた翻訳手段により翻訳した文字情報も併せて蓄積するようにしても良いし、各情報を利用者端末3に送信する際に情報提供サーバ5に備えられた翻訳手段により翻訳して送信するようにしても良いし、利用者端末3に翻訳手段を備え、受信した情報を翻訳するようにしても良い。運行情報や運行位置情報、文字情報等の各情報の文字情報が翻訳手段により翻訳されて表示装置において表示されるため、利用者、特に外国人が列車内で必要な情報を速やかに取得できる。
また、列車1に情報提供サーバ5から情報を取得する手段を備え、列車1に取り付けられた表示装置において情報提供サーバ5から提供される情報を利用者端末3と同様に表示するようにしても良い。
【0055】
また、一の列車1に複数搭載される発信手段2は、全て同じ固有情報を発信するように
しても良いし、各発信手段2が別々の固有情報を発信するようにしても良い。
各発信手段2が別々の固有情報を発信するようにした場合は、列車1における発信手段2の搭載位置と発信する固有情報についての情報を含むデータベースを情報提供サーバ5が参照することにより、利用者が列車1のどの位置にいるのかを特定することが可能となる。
また、前後の乗務員室についても別々の固有情報を発信するようにすれば、何れの乗務員室に乗車した乗務員が放送した内容であるか(運転手か車掌であるか)も判別可能となる。