特許第6306989号(P6306989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306989
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】裏面入射型固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20180326BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20180326BHJP
   H04N 5/372 20110101ALI20180326BHJP
【FI】
   H01L27/146 D
   H04N5/369
   H04N5/372
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-182973(P2014-182973)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-58507(P2016-58507A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】米田 康人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 久則
(72)【発明者】
【氏名】村松 雅治
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−104414(JP,A)
【文献】 特開2010−232494(JP,A)
【文献】 特開2002−33473(JP,A)
【文献】 特開2004−22560(JP,A)
【文献】 特開2012−49431(JP,A)
【文献】 特開2010−177705(JP,A)
【文献】 特開2012−151364(JP,A)
【文献】 特開2012−146917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 5/369
H04N 5/372
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面入射型固体撮像装置であって、
裏面側に光入射面を有すると共に、光入射に応じて電荷が発生する受光部を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記光入射面とは反対側の光検出面側に設けられている電荷転送部と、
前記半導体基板の前記光検出面側に設けられている遮光膜と、
前記半導体基板と前記遮光膜との間に位置し、前記遮光膜が設けられる絶縁膜と、
前記絶縁膜内に位置し、前記光検出面に沿うように並んで配置されている複数の導体と、を備え、
前記絶縁膜には、前記複数の導体に対応して形成されている凹凸が形成されており、
前記遮光膜は、前記光検出面に対向する凹凸面を有しており、前記凹凸面が、前記絶縁膜に形成されている前記凹凸に対応している、裏面入射型固体撮像装置。
【請求項2】
前記遮光膜は、導電性金属材料からなり、
前記複数の導体のうち、所定の信号が入力される導体以外の導体は、前記遮光膜と電気的に接続されている、請求項に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項3】
前記複数の導体は、それぞれの端部が重なるように交互に配置されている複数の第一及び第二導体を含み、
前記絶縁膜の前記凹凸は、前記第一導体と前記第二導体との段差に対応して形成されている、請求項1又は2に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項4】
前記受光部は、複数の画素を含み、
前記絶縁膜は、少なくとも前記複数の画素毎で離間するように形成されており、
前記遮光膜は、前記絶縁膜における離間している部分の間にも設けられている、請求項に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項5】
前記受光部は、第一方向に並んで配置されている複数の光感応領域を有し、
前記半導体基板の前記光検出面側には、前記第一方向に交差する第二方向に沿って高くされた電位勾配を各前記光感応領域に対して形成する複数の電位勾配形成部が設けられ、
前記電荷転送部は、前記複数の光感応領域から取得した電荷を前記第一方向に転送し、
前記遮光膜は、前記複数の電位勾配形成部及び前記電荷転送部を覆うように設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項6】
各前記光感応領域の平面形状は、前記第二方向を長辺方向とする矩形状であり、
前記遮光膜の前記凹凸面は、前記第二方向に沿って凹凸が繰り返して連続する面である、請求項に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項7】
前記受光部は、第一方向に並んで配置されている複数の光感応領域を有し、
前記半導体基板の前記光検出面側には、前記第一方向に交差する第二方向に沿って高くされた電位勾配を各前記光感応領域に対して形成する複数の電位勾配形成部が設けられ、
前記電荷転送部は、前記複数の光感応領域から取得した電荷を前記第一方向に転送し、
前記遮光膜は、前記複数の電位勾配形成部を覆うように設けられており、
前記複数の導体は、前記複数の電位勾配形成部上に位置している、請求項1に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【請求項8】
前記遮光膜は、導電性金属材料からなり、
前記複数の導体は、前記遮光膜と電気的に接続されている、請求項7に記載の裏面入射型固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面入射型固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面側に光入射面を有すると共に、光入射に応じて電荷が発生する受光部を有する半導体基板と、半導体基板の光入射面とは反対側の光検出面側に設けられている電荷転送部と、半導体基板の光検出面側に設けられている遮光膜と、を備えている裏面入射型固体撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、遮光膜は、裏面入射型固体撮像装置以外の箇所(たとえば、裏面入射型固体撮像装置が実装される基板など)で反射又は散乱した光が光検出面側から半導体基板に再入射するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−33473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
裏面入射型固体撮像装置(半導体基板)に光入射面側から入射した光と、半導体基板を通った光のうち、遮光膜で反射して光入射面側に向かう光との間で干渉が生じることがある。上記光の干渉が生じると、分光感度特性が波打ち、すなわち、エタロニング現象が生じ、感度が安定し難い。
【0005】
本発明は、光検出面側からの半導体基板への光の再入射を抑制しつつ、エタロニング現象の発生を抑制することが可能な裏面入射型固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、裏面入射型固体撮像装置であって、裏面側に光入射面を有すると共に、光入射に応じて電荷が発生する受光部を有する半導体基板と、半導体基板の光入射面とは反対側の光検出面側に設けられている電荷転送部と、半導体基板の光検出面側に設けられている遮光膜と、を備え、遮光膜は、光検出面に対向する凹凸面を有している。
【0007】
本発明では、遮光膜が、半導体基板の光検出面側に設けられているので、光検出面側からの半導体基板への光の再入射が抑制される。また、遮光膜が、光検出面に対向する凹凸面を有しているので、半導体基板に光入射面側から入射した光の位相に対して、凹凸面で反射される光が、分散した位相差を有する。これにより、これらの光同士が相殺され、エタロニング現象が抑制される。
【0008】
半導体基板と遮光膜との間に位置し、遮光膜が設けられる絶縁膜を更に備え、絶縁膜には、凹凸が形成されており、遮光膜の凹凸面は、絶縁膜に形成されている凹凸に対応していてもよい。この場合、凹凸面を有する遮光膜を簡易に実現することができる。
【0009】
絶縁膜内に位置し、光検出面に沿うように並んで配置されている複数の導体を更に備え、絶縁膜の凹凸が、複数の導体に対応して形成されていてもよい。この場合、凹凸が形成されている絶縁膜を簡易に実現することができる。
【0010】
遮光膜は、導電性金属材料からなり、複数の導体のうち、所定の信号が入力される導体以外の導体は、遮光膜と電気的に接続されていてもよい。この場合、所定の信号が入力される電極の機能を阻害することなく、所定の信号が入力される電極以外の電極の電位が安定する。
【0011】
複数の導体は、それぞれの端部が重なるように交互に配置されている複数の第一及び第二導体を含み、絶縁膜の凹凸は、第一導体と第二導体との段差に対応して形成されていてもよい。この場合、凹凸が形成されている絶縁膜を簡易に実現することができる。
【0012】
受光部は、複数の画素を含み、絶縁膜は、少なくとも複数の画素毎で離間するように形成されており、遮光膜は、絶縁膜における離間している部分の間にも設けられていてもよい。この場合、画素間における光(凹凸面で反射される光)のクロストークの発生を抑制することができる。
【0013】
受光部は、第一方向に並んで配置されている複数の光感応領域を有し、半導体基板の光検出面側には、第一方向に交差する第二方向に沿って高くされた電位勾配を各光感応領域に対して形成する複数の電位勾配形成部が設けられ、電荷転送部は、複数の光感応領域から取得した電荷を第一方向に転送し、遮光膜は、複数の電位勾配形成部及び電荷転送部を覆うように設けられていてもよい。この場合、光感応領域にて発生した電荷は、電位勾配形成部により形成される電位勾配によるポテンシャルの傾斜に沿って移動するため、光感応領域での電荷の移動には、異なる位相の電荷転送信号が与えられる転送電極群が設けられている必要はない。すなわち、遮光膜と光検出面との間には、上述したような転送電極群が存在しないため、エタロニング現象が、顕著に生じ易い。したがって、凹凸面を有している遮光膜は、光感応領域での電荷が電位勾配形成部により形成される電位勾配によって移動する構成において、特に、有効である。
【0014】
各光感応領域の平面形状は、第二方向を長辺方向とする矩形状であり、遮光膜の凹凸面は、第二方向に沿って凹凸が繰り返して連続する面であってもよい。この場合、光感応領域の長辺方向にわたって、エタロニング現象を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光検出面側からの半導体基板への光の再入射を抑制しつつ、エタロニング現象の発生を抑制することが可能な裏面入射型固体撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の構成を説明するための概念図である。
図3図2におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための概念図である。
図4図2におけるIV−IV線に沿った断面図である。
図5図2におけるV−V線に沿った断面図である。
図6】本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
図7】本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
図8】本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
図9】実施例1及び比較例1における、波長(nm)と出力(A)との関係を示すグラフである。
図10】本実施形態の変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。
図11】本実施形態の変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。
図12】本実施形態の更なる変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。
図13】本実施形態の更なる変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。
図14】画素と遮光膜との位置関係を説明するための模式図である。
図15図12の(a)に示された変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
図16図12の(b)に示された変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1図5を参照して、本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置SIの構成を説明する。図1は、本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の斜視図である。図2は、本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の構成を説明するための概念図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための概念図である。図4は、図2におけるIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図2におけるV−V線に沿った断面図である。
【0019】
裏面入射型固体撮像装置SIは、図1に示されるように、半導体基板1が裏面側から薄化されたBT(Back-Thinned)−CCDリニアイメージセンサである。半導体基板1は、たとえば、KOH水溶液などでエッチングすることにより、薄化される。半導体基板1の中央領域には凹部3が形成され、凹部3の周囲には厚い枠部が存在している。凹部3の側面は、底面5に対して鈍角を成して傾斜している。
【0020】
半導体基板1の薄化された中央領域は撮像領域(受光部)であり、この撮像領域に光Lが入射する。半導体基板1の凹部3の底面5は、光入射面を構成している。半導体基板1の裏面、すなわち光入射面とは反対側の面が、光検出面7(図2図4及び図5を参照)を構成している。上記枠部は、エッチングによって除去し、全領域が薄化された裏面入射型固体撮像装置とすることも可能である。
【0021】
裏面入射型固体撮像装置SIは、図2に示されるように、受光部13と、複数のストレージ部15と、複数の転送部17と、電荷転送部としてのシフトレジスタ19と、を光検出面7側に備えている。
【0022】
受光部13は、複数の光感応領域21と、複数の電位勾配形成部23と、を有している。光感応領域21は、光の入射に感応して、入射光の強度に応じた電荷を発生する。光感応領域21の平面形状は、二つの長辺と二つの短辺とによって形作られる矩形状を呈している。複数の光感応領域21は、第一方向D1に並んで配置されている。本実施形態では、第一方向D1は、光感応領域21の短辺方向に沿う方向である。複数の光感応領域21は、第一方向D1を一次元方向として、当該一次元方向にアレイ状に配置されている。一つの光感応領域21は、受光部13における一画素を構成する。
【0023】
各電位勾配形成部23は、光感応領域21にそれぞれ対応して配置されている。電位勾配形成部23は、対応する光感応領域21に対して、第一方向D1と交差する第二方向D2に沿って高くされた電位勾配を形成する。本実施形態では、第一方向D1と第二方向D2とは直交しており、第二方向D2は、光感応領域21の長辺方向に沿う方向である。電位勾配形成部23により、光感応領域21に発生した電荷は、光感応領域21の他方の短辺側から排出される。すなわち、電位勾配形成部23は、光感応領域21の一方の短辺側よりも光感応領域21の他方の短辺側が高くされた電位勾配を形成する。
【0024】
各ストレージ部15は、光感応領域21にそれぞれ対応し、かつ、光感応領域21の他方の短辺側に配置されている。すなわち、複数のストレージ部15は、光感応領域21の他方の短辺側に、第二方向D2で光感応領域21と並ぶように配置されている。ストレージ部15は、光感応領域21と転送部17との間に位置する。本実施形態では、電位勾配形成部23によって光感応領域21から排出された電荷がストレージ部15に蓄積される。ストレージ部15に蓄積された電荷は、対応する転送部17に送られる。
【0025】
各転送部17は、ストレージ部15にそれぞれ対応し、かつ、対応するストレージ部15とシフトレジスタ19との間に配置されている。すなわち、複数の転送部17は、光感応領域21の他方の短辺側に、第二方向D2でストレージ部15と並ぶように配置されている。転送部17は、ストレージ部15とシフトレジスタ19との間に位置する。転送部17は、ストレージ部15に蓄積されている電荷を取得し、取得した電荷をシフトレジスタ19に向けて転送する。
【0026】
シフトレジスタ19は、各ストレージ部15とで各転送部17を挟むように配置されている。すなわち、シフトレジスタ19は、光感応領域21の他方の短辺側に配置されている。シフトレジスタ19は、各転送部17から転送された電荷を取得し、第一方向D1に転送して、出力部25に順次出力する。シフトレジスタ19から出力された電荷は、出力部25によって電圧に変換され、光感応領域21毎の電圧として裏面入射型固体撮像装置SIの外部に出力される。出力部25は、たとえば、フローティングディフュージョンアンプ(FDA)などから構成される。
【0027】
隣り合う光感応領域21の間、隣り合うストレージ部15の間、及び隣り合う転送部17の間には、アイソレーション領域が配置されている。アイソレーション領域は、光感応領域21間、ストレージ部15間、及び転送部17間それぞれにおける電気的な分離を実現している。
【0028】
受光部13、複数のストレージ部15、複数の転送部17、及びシフトレジスタ19は、図3にも示されるように、半導体基板1に形成されている。半導体基板1は、半導体基板1の基体となるp型半導体層31と、p型半導体層31の一方面側(半導体基板1の光検出面7側)に形成されたn型半導体層32,34,36,38、n型半導体層33,35,37、及びp型半導体層39と、を含んでいる。本実施形態では、半導体基板1としてシリコン基板が用いられている。導電型に付された「+」は、高不純物濃度を示す。高不純物濃度とは、不純物濃度がたとえば1×1017cm−3以上である。導電型に付された「−」は、低不純物濃度を示す。低不純物濃度とは、不純物濃度がたとえば1×1015cm−3以下である。n型の不純物としてはN、P又はAsなどがあり、p型の不純物としてはB又はAlなどがある。
【0029】
p型半導体層31とn型半導体層32とはpn接合を形成しており、n型半導体層32により、光の入射により電荷を発生する光感応領域21が構成される。n型半導体層32は、平面視で、二つの長辺と二つの短辺とによって形作られる矩形状を呈している。n型半導体層32は、第一方向D1に沿って並んでおり、一次元方向にアレイ状に位置している。すなわち、各n型半導体層32は、n型半導体層32の短辺方向に沿う方向に並んでいる。複数のn型半導体層32は、半導体基板1の薄化された中央領域に位置している。上述したアイソレーション領域は、p型半導体層により構成できる。
【0030】
n型半導体層32に対して、電極41が配置されている。電極41は、絶縁層(図3では図示せず)を介してn型半導体層32上に形成されている。電極41により、電位勾配形成部23が構成される。電極41は、いわゆるレジスティブゲート電極を構成しており、第二方向D2に延びるように形成されている。
【0031】
電極41は、第二方向D2での両端(REGL,REGH)に電位差が与えられることにより、電極41の第二方向D2での電気抵抗成分に応じた電位勾配を形成する。すなわち、電極41は、光感応領域21の一方の短辺側から他方の短辺側に向けて第二方向D2に沿って高くされた電位勾配を形成する。この電位勾配により、n型半導体層32における電極41の直下の領域には、ポテンシャルの傾斜が形成される。光入射に応じてn型半導体層32にて発生した電荷は、電極41の直下の領域におけるポテンシャルの傾斜に沿って第二方向D2に移動する。
【0032】
n型半導体層32に対して、電極42が配置されている。電極42は、電極41と第二方向D2で隣接している。電極42は、絶縁層(図3では図示せず)を介して、n型半導体層32上に形成されている。
【0033】
電極42には、電極41の両端に印加される電圧よりも高い電圧(STG)が印加されている。したがって、n型半導体層32における電極42の直下の領域のポテンシャルが、n型半導体層32における電極41の直下の領域のポテンシャルよりも低い。このため、電極41の直下の領域におけるポテンシャルの傾斜に沿って移動してきた電荷は、電極42の直下の領域に形成されるポテンシャル井戸内に流れ込み、当該ポテンシャル井戸に蓄積される。電極42及びn型半導体層32によって、ストレージ部15が構成される。
【0034】
電極42と第二方向D2に隣接して、一対の転送電極43,44が配置されている。転送電極43,44は、絶縁層(図3では図示せず)を介して、n型半導体層33及びn型半導体層34上にそれぞれ形成されている。n型半導体層33及びn型半導体層34は、n型半導体層32と第二方向D2に隣接して配置されている。
【0035】
転送電極43,44には、制御回路(図示せず)から信号TGが与えられる。n型半導体層33及びn型半導体層34のポテンシャルの深さは、転送電極43,44に与えられる信号TGに応じて変わり、電極42の直下の領域に蓄積されている電荷を取得し、シフトレジスタ19に送り出す。転送電極43,44と、転送電極43,44下のn型半導体層33及びn型半導体層34とによって、転送部17が構成される。
【0036】
転送電極44と第二方向D2に隣接して、二対の転送電極45,46,47,48が配置されている。転送電極45,46,47,48は、絶縁層(図3では図示せず)を介して、n型半導体層35,37及びn型半導体層36,38上にそれぞれ形成されている。n型半導体層35,37及びn型半導体層36,38は、n型半導体層34と第二方向D2に隣接して配置されている。
【0037】
転送電極45,46には、制御回路(図示せず)から信号P1Hが与えられ、転送電極47,48には、制御回路(図示せず)から信号P2Hが与えられる。信号P1Hと信号P2Hとは、逆位相である。n型半導体層35,37及びn型半導体層36,38のポテンシャルの深さは、転送電極45,46,47,48に与えられる信号P1H及び信号P2Hに応じて変わり、転送部17から取得した電荷を出力部25に転送する。転送電極45,46,47,48と、転送電極45,46,47,48下のn型半導体層35,37及びn型半導体層36,38とによって、シフトレジスタ19が構成される。
【0038】
型半導体層39は、n型半導体層32,34,36,38及びn型半導体層33,35,37を、半導体基板1の他の部分から電気的に分離している。電極41,42及び転送電極43,44,45,46,47,48は、光を透過する材料、たとえばポリシリコン膜からなる。上述した絶縁層は、たとえばシリコン酸化膜からなる。n型半導体層32を除く、n型半導体層32,34,36,38及びn型半導体層33,35,37(複数のストレージ部15と、複数の転送部17と、シフトレジスタ19)と、p型半導体層39とは、半導体基板1の枠部に位置している。
【0039】
裏面入射型固体撮像装置SIは、図4及び図5に示されるように、半導体基板1の光検出面7側に配置されている、絶縁膜51と、それぞれ複数の第一導体53及び第二導体55と、遮光膜57とを備えている。絶縁膜51は、電極41,42及び転送電極43,44,45,46,47,48などを覆うように、これらの電極41〜48上に設けられている。絶縁膜51は、半導体基板1の光検出面7側から見て、光検出面7全体を覆うように形成されている。絶縁膜51は、光を透過する材料、たとえばBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)からなる。
【0040】
第一導体53及び第二導体55は、絶縁膜51内に位置し、光検出面7に沿うように並んで配置されている。第一導体53及び第二導体55は、電極41(n型半導体層32)上、すなわち受光部13(複数の光感応領域21)上に位置している。第一導体53及び第二導体55は、受光部13の第一方向D1での端部間にわたって、第一方向D1に沿って延びている。第一導体53及び第二導体55は、光を透過する材料、たとえばポリシリコン膜からなる。
【0041】
第一導体53と第二導体55とは、それぞれの第二方向D2での端部が重なるように、第二方向D2に沿って交互に配置されている。第一導体53と第二導体55とが重なって存在している領域は、第一導体53又は第二導体55のみが存在している領域に比して、一方の導体53,55の厚みに対応して、厚くなっている。第一導体53と第二導体55とが重なって存在している領域が凸となり、第一導体53又は第二導体55のみが存在している領域が凹となる。すなわち、第一導体53と第二導体55とが重なって存在している領域と、第一導体53又は第二導体55のみが位置している領域とにより、第二方向D2において段差が形成される。
【0042】
遮光膜57は、絶縁膜51上に、絶縁膜51全体を覆うように設けられている。すなわち、遮光膜57も、半導体基板1の光検出面7側から見て、光検出面7全体を覆うように形成されている。絶縁膜51は、半導体基板1と遮光膜57との間に位置している。遮光膜57は、裏面入射型固体撮像装置SI以外の箇所(たとえば、裏面入射型固体撮像装置SIが実装される基板など)で反射又は散乱した光が光検出面7側から半導体基板1に再入射するのを抑制する。遮光膜57は、たとえば導電性金属材料(Al又はAlSiTiなど)からなる。遮光膜57が導電性金属材料からなる場合、遮光膜57は反射膜として機能する。
【0043】
絶縁膜51には、凹凸が形成されている。絶縁膜51の凹凸は、第一導体53と第二導体55とにより形成されている段差に対応して形成されている。絶縁膜51は、第一導体53と第二導体55とが重なって存在している領域に対応する位置で「山」となり、第一導体53又は第二導体55のみが存在している領域に対応する位置で「谷」となる。絶縁膜51の凹凸は、第二方向D2に沿って繰り返して連続している。
【0044】
転送電極45,46,47,48それぞれは、第一方向D1での端部が重なるように、第一方向D1に沿って交互に配置されているため、転送電極45,46,47,48により、第一方向D1において段差が形成される。したがって、絶縁膜51には、転送電極45,46,47,48により形成されている段差に対応した凹凸も形成されている。
【0045】
遮光膜57は、光検出面7に対向する凹凸面57aを有している。凹凸面57aは、絶縁膜51に形成されている凹凸に対応している。したがって、凹凸面57aは、第二方向に沿って凹凸が繰り返して連続する面である。凹凸面57aの半導体基板1(絶縁膜51)の厚み方向に平行な断面は、凹曲線と凸曲線とが交互に連続してなる波形状である。本実施形態では、第二方向D2に平行で、かつ、上記厚み方向に平行な断面において、凹凸面57aは波形状である。したがって、凹凸面57aの山部及び谷部は、第一方向D1に伸びている。凹凸面57aの凹凸パターンは、各光感応領域21において同一である。ここで同一とは、数学的に厳密な同一ではなく、実質的な同一を意味し、形状の寸法誤差又は高さ(深さ)の誤差などが±10%以内であれば、パターンが同一であるとする。
【0046】
光検出面7に直交する方向における光検出面7から凹凸面57aまでの距離は、第二方向D2に沿って、連続的に且つ周期的に変化している。すなわち、半導体基板1の厚み方向(半導体基板1での光入射面と光検出面7とが対向する方向)における、半導体基板1の光入射面(底面5)から凹凸面57aまでの光路長は、凹凸面57a(絶縁膜51に形成されている凹凸)に対応して、様々な値とされる。
【0047】
絶縁膜51には、第一導体53と第二導体55とに対応する所望の位置にコンタクトホールが形成されている。遮光膜57は、絶縁膜51に形成されたコンタクトホールを通して、第一導体53と第二導体55とに電気的かつ物理的に接続されている。転送電極45,46,47,48には、電荷を転送するための信号P1H,P2Hが入力されるため、遮光膜57に接続されていない。すなわち、所定の信号が入力される導体(たとえば、転送電極45,46,47,48など)以外の導体(第一導体53及び第二導体55)は、遮光膜57と電気的に接続されている。
【0048】
続いて、図6図8を参照して、上述した裏面入射型固体撮像装置SIの製造過程を説明する。図6図8は、本実施形態に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
【0049】
まず、p型半導体層31、n型半導体層32,34,36,38、n型半導体層33,35,37、及びp型半導体層39を備える半導体基板1を準備する。各半導体層は、対応する導電型の不純物を半導体基板1に添加することにより形成される。不純物の添加は、イオン注入法などが用いられる。次に、準備した半導体基板1の光検出面7側に、酸化膜61を介して、ポリシリコン膜63を形成する(図6の(a)参照)。酸化膜61は、半導体基板1の表面(光検出面7)を熱酸化することにより、形成できる。この場合、酸化膜61は、シリコン酸化膜である。
【0050】
次に、ポリシリコン膜63を、光感応領域21(受光部13)に対応する部分を除いて、エッチングにより除去する(図6の(b)参照)。除去されずに残ったポリシリコン膜63は、電極41などを構成する。次に、除去されずに残ったポリシリコン膜63上に、絶縁膜65を形成する(図6の(c)参照)する。絶縁膜65は、たとえばBPSGからなる。絶縁膜65は、上述した絶縁膜51の一部を構成する。その後、酸化膜61における、ポリシリコン膜63(絶縁膜65)から露出している部分上と、絶縁膜65上とに、ポリシリコン膜67を形成する(図6の(d)参照)。
【0051】
次に、ポリシリコン膜67をパターニングする(図7の(a)参照)。パターニングは、たとえばエッチングにより実施することができる。ポリシリコン膜67における酸化膜61上に位置する部分は、転送電極46,48を構成し、同じく、ポリシリコン膜67における絶縁膜65上に位置する部分は、第二導体55を構成する。その後、パターニングされたポリシリコン膜67上に、絶縁膜69を形成する(図7の(b)参照)する。絶縁膜69も、たとえばBPSGからなり、上述した絶縁膜51の一部を構成する。
【0052】
次に、絶縁膜69上にポリシリコン膜71を形成し(図7の(c)参照)、形成したポリシリコン膜71をパターニングする(図7の(d)参照)。パターニングは、たとえばエッチングにより実施することができる。ポリシリコン膜71における酸化膜61及び絶縁膜69上に位置する部分は、転送電極45,47を構成し、同じく、ポリシリコン膜71における絶縁膜65及び絶縁膜69上に位置する部分は、第一導体53を構成する。それぞれパターニングされたポリシリコン膜63とポリシリコン膜71は、それぞれの端部が重なるように、交互に配置されるため、ポリシリコン膜63とポリシリコン膜71とにより、段差が形成される。
【0053】
次に、ポリシリコン膜71上及び絶縁膜69(ポリシリコン膜63)上に、絶縁膜73を形成する(図8の(a)参照)。絶縁膜73も、たとえばBPSGからなり、上述した絶縁膜51の一部を構成する。絶縁膜73には、それぞれパターニングされたポリシリコン膜63とポリシリコン膜71とにより形成される段差に対応した凹凸が形成されている。その後、リフロー(熱処理)により、絶縁膜73に形成されている凹凸の形状を変化させる(図8の(b)参照)。絶縁膜73が溶融することにより、絶縁膜73の凹凸の形状が滑らかになる。
【0054】
次に、絶縁膜73の所望の位置に、コンタクトホールを形成し、所定のポリシリコン膜63及びポリシリコン膜71の一部を露出させる(図8の(c)参照)。コンタクトホールは、たとえばエッチングなどにより形成することができる。その後、絶縁膜73上に、遮光膜57を形成する(図8の(d)参照)。遮光膜57は、たとえばスパッタ法などにより形成することができる。
【0055】
これらの過程により、裏面入射型固体撮像装置SIが得られる。
【0056】
以上のように、本実施形態では、遮光膜57が、半導体基板1の光検出面7側に設けられているので、裏面入射型固体撮像装置SIの外部からの光が、光検出面7側から半導体基板1に再入射するのが抑制される。また、遮光膜57が、光検出面7に対向する凹凸面57aを有しているので、半導体基板1に底面5(光入射面)側から入射した光の位相に対して、凹凸面57aで反射される光が、分散した位相差を有する。これにより、これらの光同士が相殺され、エタロニング現象が抑制される。
【0057】
裏面入射型固体撮像装置SIは、半導体基板1と遮光膜57との間に位置し、遮光膜57が設けられる絶縁膜51を備えている。絶縁膜51には、凹凸が形成されており、遮光膜57の凹凸面57aは、絶縁膜51に形成されている凹凸に対応している。これにより、凹凸面57aを有する遮光膜57を簡易に実現することができる。
【0058】
裏面入射型固体撮像装置SIは、絶縁膜51内に位置し、光検出面7に沿うように並んで配置されているそれぞれ複数の第一導体53及び第二導体55を備えている。絶縁膜51の凹凸は、第一導体53及び第二導体55に対応して形成されている。これにより、凹凸が形成されている絶縁膜51を簡易に実現することができる。
【0059】
遮光膜57は、導電性金属材料からなり、第一導体53及び第二導体55は、遮光膜57と電気的に接続されている。これにより、第一導体53及び第二導体55の電位が安定する。所定の信号が入力される電極(たとえば、転送電極45,46,47,48など)は、遮光膜57と電気的に接続されておらず、当該電極の機能を阻害することはない。
【0060】
第一導体53と第二導体55とは、それぞれの端部が重なるように交互に配置されており、絶縁膜51の凹凸は、第一導体53と第二導体55との段差に対応して形成されていている。これにより、凹凸が形成されている絶縁膜51を簡易に実現することができる。
【0061】
受光部13は、第一方向D1に並んで配置されている複数の光感応領域21を有し、半導体基板1の光検出面7側には、複数の電位勾配形成部23が設けられ、シフトレジスタ19は、複数の光感応領域21から取得した電荷を第一方向D1に転送し、遮光膜57は、複数の電位勾配形成部23及びシフトレジスタ19を覆うように設けられている。これにより、光感応領域21にて発生した電荷は、電位勾配形成部23により形成される電位勾配によるポテンシャルの傾斜に沿って移動するため、光感応領域21での電荷の移動には、異なる位相の電荷転送信号が与えられる転送電極群が設けられている必要はない。すなわち、遮光膜57と光検出面7との間には、上述したような転送電極群が存在しないため、エタロニング現象が、顕著に生じ易い。したがって、凹凸面57aを有している遮光膜57は、光感応領域21での電荷が電位勾配形成部23により形成される電位勾配によって移動する構成において、特に、有効である。
【0062】
各光感応領域21の平面形状は、第二方向D2を長辺方向とする矩形状であり、遮光膜57の凹凸面57aは、第二方向D2に沿って凹凸が繰り返して連続する面である。これにより、光感応領域21の長辺方向(第二方向D2)にわたって、エタロニング現象を確実に抑制することができる。
【0063】
ここで、裏面入射型固体撮像装置SIにおいて、エタロニング現象を抑制し得る効果を、比較例1との比較結果に基づいて説明する。実施例1として、上述した実施形態の裏面入射型固体撮像装置SIを用いた。比較例1として、第一導体53及び第二導体55を備えることなく、絶縁膜51が平坦であり、かつ、遮光膜57における光検出面7に対向する面が平坦である裏面入射型固体撮像装置を作製した。比較例1に係る裏面入射型固体撮像装置は、第一導体53及び第二導体55を備えていない点、絶縁膜51が平坦である点、及び遮光膜57における光検出面7に対向する面が平坦である点を除いて、裏面入射型固体撮像装置SIと同じ構成である。
【0064】
実施例1として用いた裏面入射型固体撮像装置SIでは、光検出面7に直交する方向での光検出面7から凹凸面57aの山部の頂点までの距離は、100nm〜10000nmに設定され、光検出面7に直交する方向での光検出面7から凹凸面57aの谷部の最深点までの距離は、100nm〜10000nmに設定されている。すなわち、凹凸面57aの凹凸の高さは、100nm〜5000nmである。凹凸面57aの山部の頂点の間隔は、100nm〜10000nmに設定されている。
【0065】
実施例1及び比較例1の感度特性を測定した。ここでは、実施例1の裏面入射型固体撮像装置SIと比較例1の裏面入射型固体撮像装置との出力の波長特性をそれぞれ測定した。測定結果を、図9に示す。図9は、実施例1及び比較例1における、波長(nm)と出力(A)との関係を示すグラフである。図9から理解できるように、実施例1は、比較例1に比して、エタロニング現象が抑制されている。
【0066】
次に、図10及び図11を参照して、本実施形態の変形例に係る裏面入射型固体撮像装置SIの構成を説明する。図10及び図11は、本実施形態の変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。
【0067】
図10に示されるように、第一導体53及び第二導体55は、遮光膜57と電気的に接続されていなくてもよい。また、図11に示されるように、裏面入射型固体撮像装置SIは、第一導体53及び第二導体55の代わりに、複数の導体81を備えていてもよい。
【0068】
複数の導体81は、絶縁膜51内に位置し、半導体基板1の光検出面7に沿うように並んで配置されている。複数の導体81は、第一導体53及び第二導体55と同様に、受光部13(複数の光感応領域21)上に位置している。各導体81は、受光部13の第一方向D1での端部間にわたって、第一方向D1に沿って延びている。導体81も、光を透過する材料、たとえばポリシリコン膜からなる。
【0069】
複数の導体81は、第二方向D2に沿って、互いに離間して配置されている。絶縁膜51の凹凸は、導体81に対応して形成されている。絶縁膜51は、導体81が存在している領域に対応する位置で「山」となり、導体81が存在していない領域に対応する位置で「谷」となる。したがって、本変形例でも、絶縁膜51の凹凸は、第二方向D2に沿って繰り返して連続している。
【0070】
導体81は、図11の(a)に示されるように、遮光膜57と電気的に接続されていなくてもよい。また、導体81は、図11の(b)に示されるように、遮光膜57と電気的に接続されていてもよい。導体81が遮光膜57と電気的に接続されている場合、各導体81の電位が安定する。
【0071】
次に、図12図14を参照して、本実施形態の更なる変形例に係る裏面入射型固体撮像装置SIの構成を説明する。図12及び図13は、本実施形態の更なる変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の断面構成を説明するための図である。図14は、画素と遮光膜との位置関係を説明するための模式図である。
【0072】
図12に示されるように、裏面入射型固体撮像装置SIは、絶縁膜51内に位置する複数の導体53,55,81を備えていなくてもよい。すなわち、絶縁膜51には、複数の導体53,55,81を配置することなく、凹凸が形成されている。
【0073】
図12の(b)に示された変形例では、絶縁膜51は、凹凸の山部毎に離間するように形成されている。すなわち、絶縁膜51は、互いに離間するように位置している複数の膜部分52からなる。遮光膜57は、絶縁膜51の凹凸の山部上だけでなく、隣り合う膜部分52の間にも設けられている。すなわち、遮光膜57は、絶縁膜51上に位置する膜部分58aと、膜部分52の間に位置する膜部分58bと、を有する。膜部分58bは、光検出面7と直交する方向に延びている。遮光膜57と電極41とのショートを防ぐために、遮光膜57は、絶縁膜83を介して、電極41上に形成されている。
【0074】
図13に示されるように、絶縁膜51は、複数の画素P(光感応領域21)毎で離間するように形成されていてもよい。したがって、膜部分58bは、図14の(a)に示されるように、画素ピッチ毎に位置する。これにより、光感応領域21間における光(凹凸面57aで反射される光)のクロストークが発生するのを抑制できる。図14の(b)に示されるように、裏面入射型固体撮像装置SIが、複数の画素Pが二次元に配置されたBT−CCDエリアイメージセンサである場合でも、膜部分58bは、画素ピッチ毎に位置する。画素Pは、平面視で、膜部分58bに囲まれている。
【0075】
続いて、図15を参照して、図12の(a)に示された変形例の製造過程を説明する。図15は、図12の(a)に示された変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
【0076】
まず、図6の(a)〜(c)に示された過程と同様に、準備した半導体基板1の光検出面7側に、ポリシリコン膜63(電極41など)を形成した後、ポリシリコン膜63上に、絶縁膜65を形成する(図15の(a)参照)。次に、絶縁膜65をパターニングする(図15の(b)参照)。パターニングは、エッチングにより実施することができる。たとえば、絶縁膜51に形成される凹凸の谷部に対応する位置に開口が形成されたマスクを用い、絶縁膜51に形成される凹凸の山部に対応する位置が残るように、絶縁膜51における上記開口から露出する部分をエッチングにより除去する。
【0077】
次に、パターニングされた絶縁膜65上に、絶縁膜91を形成する(図15の(c)参照)。このとき、絶縁膜65が除去されることにより露出しているポリシリコン膜63上にも、絶縁膜91が形成される。したがって、絶縁膜65と絶縁膜91とにより、凹凸が形成される。絶縁膜65が残っている位置では、すなわち絶縁膜51に形成される凹凸の山部に対応する位置では、絶縁膜65と絶縁膜91とが存在し、絶縁膜65が除去されている位置では、すなわち絶縁膜51に形成される凹凸の谷部に対応する位置では、絶縁膜91が存在する。絶縁膜91も、たとえばBPSGからなり、上述した絶縁膜51の一部を構成する。
【0078】
次に、リフロー(熱処理)により、絶縁膜65と絶縁膜91とに形成されている凹凸の形状を変化させる(図15の(d)参照)。絶縁膜65と絶縁膜91とが溶融することにより、凹凸の形状が滑らかとされた絶縁膜51が形成される。その後、絶縁膜51上に、遮光膜57を形成することにより、図12の(a)に示された変形例の構成が得られる。
【0079】
次に、図16を参照して、図12の(b)に示された変形例の製造過程を説明する。図16は、図12の(b)に示された変形例に係る裏面入射型固体撮像装置の製造過程を示す図である。
【0080】
凹凸の形状が滑らかとされた絶縁膜51が形成される過程までは、図15の(a)〜(d)に示された過程と同じであり、説明を省略する。リフローの後、絶縁膜51における凹凸の谷部に対応する部分を除去し、ポリシリコン膜63(電極41など)を露出させる(図16の(a)参照)。絶縁膜51の除去は、エッチングにより実施することができる。
【0081】
次に、ポリシリコン膜63における露出した部分上に、絶縁膜83を形成する(図16の(b)参照)。このとき、同時に、絶縁膜51上にも絶縁膜83が形成されるが、絶縁膜51上に位置する絶縁膜83は、必ずしも必要ではない。絶縁膜83は、たとえばシリコン酸化膜などからなる。その後、絶縁膜83上に、遮光膜57を形成することにより、図12の(b)に示された変形例の構成が得られる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0083】
遮光膜57は、たとえば光吸収材料(カーボンブラックなど)からなっていてもよい。この場合、遮光膜57は、光吸収膜として機能する。遮光膜57が光吸収膜として機能する場合でも、遮光膜57と絶縁膜51との界面で光の反射が生じるおそれがある。このため、光吸収膜として機能する遮光膜57であっても、凹凸面57aを有することにより、エタロニング現象を抑制することができる。
【0084】
第一導体53及び第二導体55と導体81とは、第一方向D1に沿って延びているが、これに限られない。第一導体53及び第二導体55と導体81とは、第二方向D2に沿って延びていてもよい。光感応領域21の平面形状が、第二方向D2を長辺方向とする矩形状である場合には、上述したように、第一導体53及び第二導体55と導体81とは、第一方向D1に沿って延びていることが好ましい。
【0085】
第一導体53及び第二導体55と導体81とは、受光部13の第一方向D1での端部間にわたって、第一方向D1に沿って延びているが、これに限られない。第一導体53及び第二導体55と導体81とは、第一方向D1に沿って、互いに離間するように配置された複数の導体部分から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…半導体基板、5…底面、7…光検出面、13…受光部、15…ストレージ部、17…転送部、19…シフトレジスタ、21…光感応領域、23…電位勾配形成部、51…絶縁膜、53…第一導体、55…第二導体、57…遮光膜、57a…凹凸面、81…導体、D1…第一方向、D2…第二方向、SI…裏面入射型固体撮像装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16