(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
[番組提供システムSの概要]
初めに、
図1を参照して、本発明の番組提供システムSの概要について説明する。
図1は、番組提供システムSのシステム構成を示す図である。
図1に示すように、番組提供システムSは、放送局1と、テレビ受信機2と、管理サーバ3と、コンテンツサーバ4と、を含んで構成される。
【0025】
放送局1は、配信部としての放送設備1Aを用いて、番組コンテンツを含む放送信号を任意の方法で伝送する。放送設備1Aは、デジタル放送又はケーブルテレビ放送用の放送設備であり、放送信号を放送波に重畳し放送用アンテナ又は光ケーブル等を介して伝送する。なお、放送局1は、放送設備1Aに加え、VOD(Video On Demand)配信用の通信設備を備えることとしてもよい。
【0026】
ここで、放送信号には、番組コンテンツに加え、番組コンテンツを補完等する各種デジタルデータやハイブリッドキャストを起動するための情報等が含まれる。番組コンテンツは、放送番組の内容を示すコンテンツであり、映像や音声を含んで構成される。
また、ハイブリッドキャストを起動するための情報とは、例えば、AIT(Application Information Table)である。AITには、番組コンテンツと連携して実行する1又は複数のアプリケーション(以下、「HTMLコンテンツ」と呼ぶ)のリストが記述される。このリストには、HTMLコンテンツID、HTMLコンテンツ名称、HTMLコンテンツを提供するコンテンツサーバ4の所在を示すロケーション情報等の各種情報が記述される。
【0027】
テレビ受信機2は、セットトップボックスと表示装置とを含んで構成され、放送局1から伝送される放送信号を解析し、映像及び音声等の信号に変換して番組コンテンツとして表示する。テレビ受信機2は、インターネットNを介して外部機器と通信可能に接続される。本実施形態では、テレビ受信機2は、管理サーバ3及びコンテンツサーバ4に加え、他のテレビ受信機2と通信可能に接続される。
【0028】
管理サーバ3は、複数のテレビ受信機2におけるHTMLコンテンツの取得状況を管理する。より具体的には、管理サーバ3は、HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2が存在する場合に、そのテレビ受信機2の所在を示すロケーション情報等を管理する。
【0029】
コンテンツサーバ4は、ハイブリッドキャスト用のHTMLコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバであり、インターネットNを介して複数のテレビ受信機2と通信可能に接続される。コンテンツサーバ4は、HTMLコンテンツを管理し、テレビ受信機2からの要求に応じてHTMLコンテンツを配信する。
【0030】
以上のような構成の番組提供システムSにおいて、テレビ受信機2のユーザは、番組コンテンツを視聴中に当該番組コンテンツに関連するHTMLコンテンツの閲覧を望むことがある。このような場合、通常、テレビ受信機2は、AITに含まれるHTMLコンテンツのロケーション情報に基づいてコンテンツサーバ4にアクセスし、HTMLコンテンツを取得する。
【0031】
これに対して、本実施形態の番組提供システムSでは、テレビ受信機2は、AITのロケーション情報に関わらず、管理サーバ3に対してアクセスし、取得予定のHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2が存在するか否かを確認する。そして、HTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2が存在する場合、テレビ受信機2は、コンテンツサーバ4にアクセスすることなく、この他のテレビ受信機2から所謂P2P(peer to peer)方式によりHTMLコンテンツを取得する。
【0032】
これにより、テレビ受信機2は、コンテンツサーバ4にアクセスすることがないため、コンテンツサーバ4へのアクセスが集中することなく、コンテンツサーバ4の負荷を軽減することができる。
【0033】
[番組提供システムSのシステム態様例]
以上のような番組提供システムSの好適なシステム態様例を
図2に示す。
図2は、番組提供システムSのシステム態様の一例を示す図である。
図2に示すように、本発明の番組提供システムSは、例えば、ケーブルテレビシステムにおいて好適に利用することができる。
【0034】
ケーブルテレビシステムでは、ケーブルテレビ局と各ユーザ宅とを光ケーブルや同軸ケーブル等で接続し、ケーブルテレビ局が放送局1から伝送される放送波を受信し、各ユーザ宅に配信することで、ユーザは番組コンテンツを視聴する。なお、本実施形態では、ケーブルテレビ局と各ユーザ宅とを接続する光ケーブルにより形成されるネットワーク網をケーブル網と呼ぶ。
ケーブルテレビシステムでは、通常、テレビ放送の他にインターネット接続や電話等も含む複合的なサービスが提供されている。ケーブルテレビシステムにおけるインターネット接続は、ケーブル網から出てインターネットNにアクセスすることで行われる。
【0035】
本発明の番組提供システムSをこのようなケーブルテレビシステムに適用する場合、コンテンツサーバ4は、インターネット上のサーバであるため、ケーブル網の外側に設置される。
一方、管理サーバ3は、任意の場所に設置することができ、例えば、
図2に示すように、ケーブル網の内側に設けることとしてもよく、また、コンテンツサーバ4のようにインターネット上に設けることとしてもよい。ケーブル網の内側に設けた場合、管理サーバ3とテレビ受信機2との間の制御をケーブル網内で完結することができ、好適である。
【0036】
以上、番組提供システムSのシステム態様の一例を
図2に示した。なお、
図2に示す態様例は一例に過ぎず、本発明の番組提供システムSは、ケーブルテレビシステム以外のテレビシステム、即ち、電波を利用して放送番組を提供する通常のテレビ放送や、インターネットNを介して放送番組を提供するIP放送等のテレビシステムに対しても適用することができる。
【0037】
<第1実施形態>
続いて、
図3から
図6を参照して、本発明の番組提供システムSの第1実施形態について説明する。
【0038】
[テレビ受信機2及び管理サーバ3の機能構成]
初めに、
図3を参照して、テレビ受信機2及び管理サーバ3の機能構成について説明する。
図3(A)は、テレビ受信機2の機能構成を示すブロック図であり、
図3(B)は、管理サーバ3の機能構成を示すブロック図である。
【0039】
図3(A)に示すように、テレビ受信機2は、記憶部21と、表示部22と、通信部23と、制御部24と、を含んで構成される。
記憶部21は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部21は、テレビ受信機2を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部21は、後述の管理テーブル311のロケーション情報(本実施形態では、管理サーバ3のロケーション情報)や、コンテンツサーバ4等から取得したHTMLコンテンツを記憶する。
【0040】
表示部22は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成され、制御部24の制御に基づいて、番組コンテンツやHTMLコンテンツを表示する。
【0041】
通信部23は、所定の通信回線を介して外部機器と接続され、外部機器との間で所定の通信を行う。一例として、通信部23は、放送網やケーブル網を介して放送局1(ケーブルテレビ局)から伝送される放送信号を受信する。また、通信部23は、インターネットNを介してコンテンツサーバ4と通信可能に接続され、コンテンツサーバ4からHTMLコンテンツを受信する。
【0042】
また、通信部23は、ケーブル網やインターネットNを介して他のテレビ受信機2及び管理サーバ3と通信可能に接続される。テレビ受信機2は、管理サーバ3からHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2のロケーション情報を受信するとともに、HTMLコンテンツの取得有無に関する情報を管理サーバ3に対して送信する。また、テレビ受信機2は、他のテレビ受信機2との間でHTMLコンテンツの送受信を行う。
【0043】
制御部24は、例えば、CPUにより構成される。制御部24は、記憶部21に記憶されている各種プログラムを実行することにより、テレビ受信機2に係る機能を統括的に制御し、接続先取得部241及びコンテンツ取得部242として機能する。
本実施形態のようにハイブリッドキャストに対応するテレビ受信機2では、制御部24は、通信部23を介して受信した放送信号を解析し、放送信号を映像データ及び音声データに加え、AITや字幕データ等の各種データに分離する。また、制御部24は、これら各種データに対して適宜デコード処理等を行い、番組コンテンツとして表示部22から出力する。なお、本実施形態の放送信号は、本発明のコンテンツ信号に相当し、映像データ及び音声データは、本発明の番組コンテンツに対応するデータに相当する。また、AITに記述された各種情報は、本発明のHTMLコンテンツを指定する情報に相当する。
【0044】
接続先取得部241は、放送信号を受信すると(より詳細には、ユーザがハイブリッドキャストの開始を選択すると、又は、テレビ受信機2において自動でハイブリッドキャストを開始する設定となっている場合には放送信号を受信すると自動で)、管理テーブル311にアクセスし、放送信号に含まれるAITにより指定されたHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2に関する情報を管理テーブル311から取得する。本実施形態では、
図3(B)に示すように、管理テーブル311を管理サーバ3に設けることとしているため、接続先取得部241は、管理サーバ3の管理テーブル311にアクセスし、指定されたHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2に関する情報を取得する。
通常、ハイブリッドキャストにおいてHTMLコンテンツを取得する場合、テレビ受信機は、AITに記述されたロケーション情報に従いコンテンツサーバ4にアクセスする。この点、本実施形態では、テレビ受信機2(接続先取得部241)は、AITの記述に関わらずコンテンツサーバ4へのアクセスの前に、先ず、管理テーブル311にアクセスし、コンテンツサーバ4の負荷を軽減する。なお、管理テーブル311のロケーション情報は、記憶部21に予め記憶しておくものとする。
【0045】
接続先取得部241は、管理テーブル311にアクセスすると、取得対象のHTMLコンテンツ名称やHTMLコンテンツID及び自身の位置情報に基づいて、当該HTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2のうち自身の近傍に位置する他のテレビ受信機2の種別やロケーション情報等を、管理テーブル311から取得する。
このように自身の近傍に位置する他のテレビ受信機2を特定することで、他のテレビ受信機2とP2P方式で通信を行う際に、HTMLコンテンツを早期に取得することができ、好適である。
【0046】
なお、位置情報としては、ZIPコードのような物理的な位置情報を用いることとしてもよく、また、IPアドレスのような論理的な位置情報を用いることとしてもよい。
図2に一例として示すケーブルテレビシステムにおいて、ユーザ宅Aとユーザ宅Cとが隣接する場合について考える。ユーザ宅Aとユーザ宅Cとは隣接しているため、物理的には近傍に位置することになる。しかしながら、
図2に示すように、ユーザ宅Aは、あるケーブルテレビ局が管理するケーブル網A内に存在し、ユーザ宅Cは、別のケーブルテレビ局が管理するケーブル網B内に存在するため、論理的な距離としては離れる可能性がある。このような場合、物理的な位置情報を用いて他のテレビ受信機2を特定することは必ずしも適切ではなく、論理的な位置情報を用いて他のテレビ受信機2を特定することが好ましいことになる。
【0047】
コンテンツ取得部242は、放送信号に含まれるAITにより指定されたHTMLコンテンツを取得する。具体的には、取得対象のHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2が存在する場合には、コンテンツ取得部242は、接続先取得部241が特定した他のテレビ受信機2から当該HTMLコンテンツを取得する。他方、取得対象のHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2が存在しない場合には、コンテンツ取得部242は、AITにより指定されたロケーション情報に従いコンテンツサーバ4にアクセスして、コンテンツサーバ4からHTMLコンテンツを取得する。
【0048】
続いて、管理サーバ3の構成について説明する。
図3(B)に示すように、管理サーバ3は、記憶部31と、通信部32と、制御部33と、を含んで構成される。
記憶部31は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部31は、管理サーバ3を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。また、記憶部31は、管理テーブル311を記憶する。ここで、
図4を参照して、管理テーブル311について説明する。
図4は、管理テーブル311の一例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、管理テーブル311は、HTMLコンテンツの種別に対応付けて、当該HTMLコンテンツの保存有効期限、当該HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2、及び当該テレビ受信機2のロケーション情報を記憶する。なお、テレビ受信機2のロケーション情報としては、論理的な位置情報であってもよく、また、物理的な位置情報であってもよい。
【0050】
図3(B)に戻り、通信部32は、所定の通信回線を介して外部機器と接続され、外部機器との間で所定の通信を行う。一例として、通信部32は、ケーブル網やインターネットNを介してテレビ受信機2と通信可能に接続される。管理サーバ3は、テレビ受信機2に対してHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2を通知するとともに、テレビ受信機2においてHTMLコンテンツに対するイベントが起きると、テレビ受信機2からその旨の通知を受ける。
なお、HTMLコンテンツに対するイベントとは、HTMLコンテンツの保存状態の変更があったことであり、HTMLコンテンツを取得したこと、HTMLコンテンツを削除したこと等である。テレビ受信機2がHTMLコンテンツを取得すると、テレビ受信機2は、例えば、取得したHTMLコンテンツの種別及びHTMLコンテンツの保存有効期限を管理サーバ3に通知する。管理サーバ3では、これら情報に基づいて管理テーブル311を更新する。なお、HTMLコンテンツの保存有効期限は、任意の方法で取得することができる。一例として、テレビ受信機2は、AITに記述された有効期限日から保存有効期限を取得することとしてもよく、取得したHTMLコンテンツに設定された有効期限日から保存有効期限を取得することとしてもよい。
【0051】
制御部33は、例えば、CPUにより構成される。制御部33は、記憶部31に記憶されている各種プログラムを実行することにより、管理サーバ3に係る機能を統括的に制御し、通知部331及び更新部332として機能する。
【0052】
通知部331は、テレビ受信機2から取得対象のHTMLコンテンツの種別及びテレビ受信機2の位置情報の通知を受けると、当該HTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2のロケーション情報を、テレビ受信機2に対して通知する。このとき、通知部331は、HTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2のうち、テレビ受信機2の(論理的又は物理的に)近傍に位置する他のテレビ受信機2のロケーション情報を、テレビ受信機2に対して通知する。
【0053】
更新部332は、テレビ受信機2からイベント発生の通知を受けると、この通知の内容に応じて管理テーブル311を更新する。一例として、テレビ受信機2からHTMLコンテンツを取得したことの通知を受け付けると、更新部332は、当該テレビ受信機2がHTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2であることを示すレコードを管理テーブル311に追加する。また、テレビ受信機2からHTMLコンテンツを削除したことの通知を受け付けると、更新部332は、当該テレビ受信機2がHTMLコンテンツ取得済みのテレビ受信機2であることを示すレコードを管理テーブル311から削除する。
また、更新部332は、HTMLコンテンツの保存有効期限が過ぎた場合、当該レコードを管理テーブル311から削除する。
【0054】
[番組提供システムSの動作]
以上、本発明の番組提供システムSの構成について説明した。続いて、番組提供システムSの動作について説明する。
図5は、番組提供システムSにおける処理の流れを示すシーケンス図であり、
図6は、番組提供システムSの動作例を示す図である。
【0055】
図5に示すように、初めに、テレビ受信機2A及びテレビ受信機2Bは、管理サーバ3にアクセスして、事前機器認証を行う(ステップS1)。その後、ハイブリッドキャスト放送が開始する。
図6(A)に示すように、テレビ受信機2では、ハイブリッドキャスト放送の放送信号を解析して、AITを抽出する。このAITには、「HTMLコンテンツA」とその所在(URL)を示す「ロケーション情報B」、また、当該コンテンツが保存可のコンテンツかどうかを示すための「キャッシュ情報記述子」が記述されているものとする。
【0056】
テレビ受信機2Aのユーザがハイブリッドキャスト放送の視聴を望み(ハイブリッドキャスト放送受信に必要となるユーザアクションを取り)、受信したAIT内に「キャッシュ情報記述子」が含まれている場合、ステップS2において、テレビ受信機2Aは、管理サーバ3の管理テーブル311にアクセスし、「HTMLコンテンツA」が他のテレビ受信機2において取得済みであるか否か問い合わせる。
図6(A)に示すように、ステップS2の時点では、「HTMLコンテンツA」を取得済みの他のテレビ受信機2が存在しないため、ステップS3において、管理サーバ3は、その旨をテレビ受信機2Aに対して通知する。なお、AIT内に「キャッシュ情報記述子」が含まれていない場合、当該HTMLコンテンツは保存不可となるため、真っ先にコンテンツサーバ4へコンテンツ取得要求を行う。
【0057】
ステップS3における管理サーバ3からの通知を受けると、ステップS4において、テレビ受信機2Aは、AITから得られた「ロケーション情報B」を参照してコンテンツサーバ4にアクセスし、「HTMLコンテンツA」を要求する。この要求を受けると、コンテンツサーバ4は、テレビ受信機2Aに対して「HTMLコンテンツA」を配信する。
【0058】
コンテンツサーバ4から「HTMLコンテンツA」を受信すると、ステップS5において、テレビ受信機2Aは、取得した「HTMLコンテンツA」を保存する。続いて、HTMLコンテンツの取得有無についてのイベントが発生したため、ステップS6において、テレビ受信機2Aは、管理サーバ3に対してその旨を通知する。
一例として、テレビ受信機2Aは、テレビ受信機2Aの名称(ID)、取得したHTMLコンテンツの名称(ID)、及びHTMLコンテンツの保存有効期限を管理サーバ3に対して通知する。また、テレビ受信機2Aは、テレビ受信機2AとP2P方式により通信するために必要な情報(IPアドレス、ポート番号、NATタイプ等)を管理サーバ3に対して通知する。
【0059】
テレビ受信機2Aから通知を受けると、ステップS7において、管理サーバ3は、管理テーブル311を更新する。これにより、テレビ受信機2Aが「HTMLコンテンツA」を取得済みであることが、管理サーバ3において管理される。
【0060】
その後、テレビ受信機2Bのユーザがハイブリッドキャスト放送の視聴を望み(ハイブリッドキャスト放送受信に必要となるユーザアクションを取り)、受信したAIT内に「キャッシュ情報記述子」が含まれている場合、ステップS8において、テレビ受信機2Bは、管理サーバ3の管理テーブル311にアクセスし、「HTMLコンテンツA」が他のテレビ受信機2において取得済みであるか否か問い合わせる。
図6(B)に示すように、ステップS8の時点においてテレビ受信機2Aが「HTMLコンテンツA」を取得しているため、ステップS9において、管理サーバ3は、テレビ受信機2Aまでのルートを設定するべく、テレビ受信機2A,2Bにルーティング情報(双方のIPアドレス、ポート番号、NATタイプ等)を通知する。
【0061】
管理サーバ3から通知されたルーティング情報に基づいてテレビ受信機2A,2B間のルートが設定されると、ステップS10において、テレビ受信機2Bは、テレビ受信機2Aに対して「HTMLコンテンツA」を要求する。この要求を受けると、ステップS11において、テレビ受信機2Aは、テレビ受信機2Bに対して「HTMLコンテンツA」を配信する。これにより、テレビ受信機2Bは、コンテンツサーバ4にアクセスすることなく「HTMLコンテンツA」を取得することができる。
【0062】
テレビ受信機2Aから「HTMLコンテンツA」を受信すると、テレビ受信機2Bは、取得した「HTMLコンテンツA」を保存し、その旨を管理サーバ3に対して通知する(ステップS12)。管理サーバ3では、この通知を受けて管理テーブル311を更新する(ステップS13)。
【0063】
[第1実施形態の番組提供システムSの効果]
以上説明した本実施形態の番組提供システムSでは、放送信号に含まれるAITによりHTMLコンテンツが指定された場合に、テレビ受信機2では、当該HTMLコンテンツを管理するコンテンツサーバ4にアクセスすることなく、既に取得済みの他のテレビ受信機2にアクセスし、P2P方式を利用してHTMLコンテンツを取得する。
これにより、コンテンツサーバ4にアクセスが集中してしまうことを防止でき、コンテンツサーバ4のサーバ負荷を軽減することができる。
【0064】
具体的には、番組提供システムSでは、HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2を記憶する管理テーブル311を備え、AITの記述に関わらず、テレビ受信機2は、先ず管理テーブル311にアクセスする。これにより、テレビ受信機2がコンテンツサーバ4にアクセスすることを適切に防止することができる。
特に、テレビ放送のように広範囲で運用されるサービスでは、HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2は、時間に応じて増えていくため、コンテンツサーバ4へのアクセス集中をより適切に防止することができる。
【0065】
なお、番組提供システムSでは、テレビ受信機2の論理的又は物理的な位置関係に基づいて、接続先のテレビ受信機2を決定する。これにより、HTMLコンテンツを取得するための通信時間を軽減することができ、テレビ受信機2では、HTMLコンテンツを遅延なく取得することができる。
【0066】
また、番組提供システムSでは、テレビ受信機2においてHTMLコンテンツの取得有無についてのイベントが発生すると、管理テーブル311を更新する。これにより、HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2が増えると、接続先を分散させることができ、好適である。また、HTMLコンテンツを所持していないテレビ受信機2にHTMLコンテンツを要求することがないため、不要な通信を抑えることができる。
【0067】
<第2実施形態>
続いて、本発明の番組提供システムSの第2実施形態について説明する。第1実施形態の番組提供システムSでは、管理テーブル311を管理サーバ3に設けておき、テレビ受信機2は、管理サーバ3にアクセスすることで管理テーブル311を参照することとしている。
この点、第2実施形態の番組提供システムSでは、管理テーブル311をテレビ受信機2の夫々が備えることとし、コンテンツサーバ4へのアクセス集中だけでなく、管理サーバ3へのアクセス集中も防止する点で異なる。
【0068】
[テレビ受信機2及び管理サーバ3の機能構成]
図7は、第2実施形態の番組提供システムSのテレビ受信機2及び管理サーバ3の機能構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0069】
図7(A)に示すように、第2実施形態のテレビ受信機2は、第1実施形態の構成に加え、管理テーブル211を更に備える。また、
図7(B)に示すように、第2実施形態の管理サーバ3は、通知部331に代えて配信部333を備える。
【0070】
管理サーバ3の配信部333は、複数のテレビ受信機2の夫々に対して管理テーブル311を配信する。管理テーブル311を配信するタイミングは任意であり、例えば、所定時間毎であってもよく、また、管理テーブル311が更新される度に配信することとしてもよく、また、番組コンテンツが開始してから一定時間経過した後に配信することとしてもよく、また、既取得のテレビ受信機2が所定台数に到達したタイミングで配信することとしてもよい。また、配信部333は、管理テーブル311の全てのレコードをテレビ受信機2に対して配信することとしてもよく、また、管理テーブル311のうちの更新されたレコードのみをテレビ受信機2に対して配信することとしてもよい。
なお、テレビ受信機2間の接続は、近傍のテレビ受信機2同士を接続することが好ましい。そこで、位置情報に基づいて複数のテレビ受信機2をグループ化しておき、配信部333は、同じグループ内のテレビ受信機2についてのレコードのみを同グループ内のテレビ受信機2に対して配信することとしてもよい。
【0071】
テレビ受信機2では、HTMLコンテンツを取得する際に、自身の記憶部21に記憶された管理テーブル211にアクセスし、接続先を取得する。より詳細には、テレビ受信機2は、HTMLコンテンツを取得する際に、管理テーブル211を参照して取得対象のHTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2が存在するか否かを把握し、存在する場合には、当該他のテレビ受信機2を接続先とし、存在しない場合には、AITで指定されたコンテンツサーバ4を接続先とする。
【0072】
その後、他のテレビ受信機2又はコンテンツサーバ4からHTMLコンテンツを取得すると、テレビ受信機2は、その旨を管理サーバ3に通知する。管理サーバ3では、この通知を受けると管理テーブル311を更新し、複数のテレビ受信機2の夫々に対して更新した管理テーブル311を配信する。
【0073】
[第2実施形態の番組提供システムSの効果]
以上説明した第2実施形態の番組提供システムSでは、テレビ受信機2は、接続先を取得する際に、自身が備える管理テーブル211にアクセスすればよく、管理サーバ3にアクセスする必要がない。そのため、コンテンツサーバ4へのアクセス集中だけでなく、管理サーバ3にアクセスが集中してしまうことも防止できる。また、テレビ受信機2は、最初からダイレクトに他のテレビ受信機2にアクセスすることができるため、HTMLコンテンツの早期取得が期待でき、結果、ユーザエクスペリエンスの向上も期待できる。
【0074】
<第3実施形態>
続いて、本発明の番組提供システムSの第3実施形態について説明する。第1実施形態又は第2実施形態の番組提供システムSでは、HTMLコンテンツを取得する際に、テレビ受信機2は、先ず、管理サーバ3にある管理テーブル311(又はテレビ受信機2にある管理テーブル211、以下省略)にアクセスすることとしている。
この点、第3実施形態の番組提供システムSでは、HTMLコンテンツを取得する際に最初にアクセスする先を、状況に応じて切り替える点で第1実施形態及び第2実施形態の番組提供システムSと異なる。
【0075】
[テレビ受信機2の機能構成]
図8は、第3実施形態の番組提供システムSのテレビ受信機2の機能構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8に示すように、第3実施形態の番組提供システムSは、第1実施形態又は第2実施形態の構成に加え、判定部243を更に備える。
判定部243は、解析部244又は/及び計時部245を含んで構成され、HTMLコンテンツを取得する際に最初にアクセスする先を、管理テーブル311又はコンテンツサーバ4のいずれにするか判定する。
【0076】
本発明の番組提供システムSでは、P2P方式を利用してテレビ受信機2間で直接通信を行うことで、HTMLコンテンツを取得する。ここで、ハイブリッドキャストで用いられるHTMLコンテンツの中には、テレビ受信機2への保存が許可されたHTMLコンテンツと、保存が許可されないHTMLコンテンツとが含まれることが想定される。保存不可のHTMLコンテンツの場合、テレビ受信機2からHTMLコンテンツを取得することができないため、管理テーブル311にアクセスする必要がない。
【0077】
そこで、解析部244は、放送信号に含まれるAITにより指定されたHTMLコンテンツが保存可のHTMLコンテンツであるか否かを判定する。なお、保存可のHTMLコンテンツであるか否かについては、例えば、AIT内にキャッシュ情報記述子が配置されているか否かにより判定することができ、解析部244は、AIT内にキャッシュ情報記述子が配置されている場合に保存可のHTMLコンテンツであると判定する。
【0078】
そして、第3実施形態のテレビ受信機2は、解析部244により保存可のHTMLコンテンツであると判定された場合、コンテンツサーバ4ではなく管理テーブル311にアクセスし、当該HTMLコンテンツを取得済みの他のテレビ受信機2に関する情報を取得し、当該他のテレビ受信機2からHTMLコンテンツを取得する。
他方、解析部244により保存不可のHTMLコンテンツであると判定された場合には、テレビ受信機2は、管理テーブル311にアクセスすることなく、コンテンツサーバ4にアクセスし、コンテンツサーバ4からHTMLコンテンツを取得する。
【0079】
このような構成によれば、取得対象のHTMLコンテンツがテレビ受信機2への保存が許可されていない場合にまで不要に管理テーブル311にアクセスすることがないため、不要な通信を抑えることができるとともに、ユーザエクスペリエンスの向上を期待できる。
【0080】
なお、テレビ受信機2は、保存可のHTMLコンテンツであっても、常に管理テーブル311にアクセスするのではなく、状況に応じてコンテンツサーバ4にアクセスすることとしてもよい。即ち、判定部243は、解析部244により保存可のHTMLコンテンツであると判定された場合に、管理テーブル311及びコンテンツサーバ4のうちのいずれをアクセス先にするかの判定を更に行うこととしてもよい。この判定部243の判定方法は任意であるが、一例として、後述のように所定時間が経過しているか否かにより判定することとしてもよく、また、アクセス先を管理テーブル311及びコンテンツサーバ4のいずれにするかを所定の確率で判定することとしてもよい。
なお、判定部243は、解析部244により保存不可のHTMLコンテンツであると判定された場合には、コンテンツサーバ4をアクセス先にすると判定する。
【0081】
また、HTMLコンテンツは番組コンテンツに関連付けられて配信されるため、番組コンテンツの開始直後は、当該番組コンテンツに関連するHTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2が存在せず、管理テーブル311にアクセスする必要がない。
【0082】
そこで、計時部245は、番組コンテンツが開始してからの時間を計時する。そして、第3実施形態のテレビ受信機2は、計時部245により所定時間が計時されると、管理テーブル311にアクセスし、取得済みのテレビ受信機2に関する情報を取得する。他方、テレビ受信機2は、計時部245により所定時間が計時されるまでは、管理テーブル311にアクセスすることなくコンテンツサーバ4にアクセスする。
【0083】
なお、所定時間は任意の長さの時間であり、予め定められた一定の長さの時間であってもよく、また、毎回変更されるランダムな長さの時間であってもよい。また、所定時間は、番組コンテンツ毎に異なる長さの時間であってもよく、また、テレビ受信機2毎に異なる長さの時間であってもよい。
夫々の番組コンテンツによって、コンテンツサーバ4の負荷が増大するタイミングが異なることが想定されるところ、所定時間を番組コンテンツ毎に異ならせることで、夫々の番組コンテンツに応じたタイミングでコンテンツサーバ4の負荷を軽減することができ、好適である。また、所定時間をテレビ受信機2毎に異ならせることで、管理テーブル311(管理サーバ3)へのアクセスが集中してしまうことを防止することができ、好適である。
【0084】
このような構成によれば、テレビ受信機2は、番組コンテンツの開始直後のようにHTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2があまり存在しない状況では、コンテンツサーバ4からHTMLコンテンツを取得し、その後、HTMLコンテンツを取得済みのテレビ受信機2が増えると、他のテレビ受信機2からHTMLコンテンツを取得する。これにより、他のテレビ受信機2において未だHTMLコンテンツを取得していない可能性が高い状況で管理テーブル311にアクセスすることがないため、不要な通信を抑えることができるとともに、ユーザエクスペリエンスの向上を期待できる。
【0085】
以上、第3実施形態の番組提供システムSについて説明したが、管理テーブル311にアクセスする条件は、組み合わせて適用することとしてもよい。即ち、テレビ受信機2は、HTMLコンテンツが保存可のHTMLコンテンツであり、かつ、番組コンテンツの開始から所定時間経過した場合に、管理テーブル311にアクセスすることとしてもよい。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0087】
上記実施形態では、本発明の受信機の一例としてテレビ受信機2を採用しているが、本発明は、放送信号を受信可能なチューナー機能を有していれば足り、例えば、チューナー機能を有するPC、携帯電話、タブレットPC、カーナビゲーション装置等の任意の装置に適用することができる。