(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ガイドワイヤの先端部での形状付けが容易であり、先端部までのトルク伝達性に優れたガイドワイヤ、および、かかるガイドワイヤを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜
(9)の本発明により達成される。
(1) 長尺状をなし、細径の先端部を有する芯線を備えるガイドワイヤであって、
前記先端部は、前記芯線の長手方向に沿って設けられた少なくとも1本の棒状部と、
前記棒状部の外周部に突出して設けられ、前記棒状部の太さよりも小さい薄さの板状をなす少なくとも1枚の板状部とを有し、
前記棒状部の横断面形状は、円形をなすことを特徴とするガイドワイヤ。
【0009】
(2) 前記棒状部と前記板状部とは、一体的に形成されている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
【0010】
(3) 前記板状部は、1本の前記棒状部を介して2枚設けられている上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
【0011】
(4) 前記棒状部は、2本設けられており、該2本の棒状部の間に1枚の前記板状部が設けられている上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
【0012】
(5) 前記棒状部の全長と、前記板状部の全長とが、同じである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
【0014】
(6) 前記板状部の幅は、先端方向に向かって漸増または漸減している
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
【0015】
(7) 前記板状部の厚さは、前記芯線の長手方向に沿って一定である
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
【0016】
(8) 長尺状をなし、細径の先端部を有する芯線を備えるガイドワイヤを製造する方法であって、
加圧および加熱のうちの少なくとも一方によって、前記先端部が、前記芯線の長手方向に沿って設けられ、
横断面形状が円形をなす少なくとも1本の棒状部と、前記棒状部の外周部に突出して設けられ、前記棒状部の太さよりも小さい薄さの板状をなす少なくとも1枚の板状部とを有するように形成することを特徴とするガイドワイヤの製造方法。
【0017】
(9) 前記先端部の形成には、前記棒状部および前記板状部の形状に対応した形状を有するキャビティを備える金型を用い、
前記金型は、前記加圧および前記加熱のうちの少なくとも一方が可能である
上記(8)に記載のガイドワイヤの製造方法。
【0018】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記2本の棒状部の間の間隔は、先端方向に向かって漸増しているのが好ましい。
【0019】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記棒状部の全長は、前記板状部の全長よりも長いのが好ましい。
【0020】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記棒状部の太さは、前記芯線の長手方向に沿って一定であるのが好ましい。
【0021】
また、本発明のガイドワイヤでは、前記板状部の幅は、前記芯線の長手方向に沿って一定であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、リシェイプ部が棒状部とそれよりも薄い板状部とを有する構成となっている。これにより、ガイドワイヤの先端部(リシェイプ部)での形状付けが容易であり、かつ、当該先端部までトルクを確実に伝達することができる、すなわち、トルク伝達性に優れる。また、横断面積が同じであることから引張強さも保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本発明のガイドワイヤの第1実施形態を示す部分縦断面図である。
図2は、
図1に示すガイドワイヤが備える芯線のリシェイプ部を示す斜視図である。
図3は、
図1に示すガイドワイヤが備える芯線(リシェイプ部)を製造する過程を示す斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1および
図2中(
図4〜
図7についても同様)の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。また、
図1および
図2中(
図4〜
図7についても同様)では、見易くするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは大きく異なる。
【0026】
図1に示すガイドワイヤ1は、例えばPTCA術でカテーテル(内視鏡も含む)の内腔に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤである。ガイドワイヤ1の全長は、特に限定されないが、200〜5000mm程度であるのが好ましい。このガイドワイヤ1は、長尺状をなす1本の単線で構成された芯線(ワイヤ本体)2と、芯線2の先端部(先端側の部分)に設置された螺旋状のコイル5とを備えている。
【0027】
芯線2は、先端側に位置するリシェイプ部3と、リシェイプ部3の基端側に位置する本体部4とで構成されている。
【0028】
リシェイプ部3は、芯線2の先端部に位置し、細径のリシェイプ(形状付け)可能な部分であり、所望の形状に変形するように、例えば
図1、
図2中の矢印方向に屈曲または湾曲させて用いることができる。一般に、ガイドワイヤでは、誘導するカテーテル等の先端部を血管形状に対応させたり、血管分岐を適正かつ円滑に選択、誘導したりするために、医師等がガイドワイヤの先端部を予め所望の形状に変形させて使用することがあり、このようにガイドワイヤの先端部を所望の形状に曲げることをリシェイプと言う。そして、リシェイプ部3を設けることにより、リシェイプを容易かつ確実に行うことができ、ガイドワイヤ1を生体内に挿入する際の操作性が格段に向上する。なお、ガイドワイヤ1の先端部には、当該先端部の好ましい曲げ方向を示すマーカが付されていてもよい。
【0029】
本体部4は、リシェイプ部3よりも太く長い部分である。本体部4は、外径が基端方向に向かって漸増するテーパ状をなすテーパ部41と、外径が一定の外径一定部42とを有している。
【0030】
リシェイプ部3と外径一定部42との間にテーパ部41が形成されていることにより、芯線2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1は、先端部に良好な狭窄部の通過性および柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。なお、テーパ部41のテーパ角度(外径の減少率)は、芯線2の長手方向に沿って一定であっても、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
【0031】
外径一定部42は、その外径がテーパ部41の最大外径と同じとなっており、比較的剛性が高い部分である。これにより、ガイドワイヤ1の先端方向への押し込み性が良好となる。なお、外径一定部42の基端面421は、丸みを帯びているのが好ましい。
【0032】
図1に示すように、芯線2のリシェイプ部3の外周には、当該リシェイプ部3を覆うようにコイル5が配置されている。このコイル5により、カテーテルの内壁や生体表面に対する芯線2の表面の接触面積が少なくなり、これにより、摺動抵抗を低減することができ、その結果、ガイドワイヤ1の操作性がより向上する。
【0033】
コイル5の内側の中心部には、リシェイプ部3が挿通されており、当該リシェイプ部3は、コイル5の内面と非接触状態となっている。これにより、コイル5とリシェイプ部3との間に間隙11が形成され、血管壁に対するプッシャビリティを下げることが可能となる。
【0034】
コイル5は、素線51を、リシェイプ部3の周方向に沿って螺旋状に巻回してなるものである。この場合、1本の素線51を螺旋状に巻いたものであってもよいし、複数本の素線51を螺旋状に巻いたものであってもよい。
【0035】
本実施形態では、コイル5の隣接する素線51同士は、接触しており、いわゆる密巻きの状態となっている。これらの素線51同士は、外力が付与していない自然状態で互いに芯線2の軸方向に押し合う力(圧縮力)が生じている。なお、ガイドワイヤ1ではこれに限らず、コイル5の隣接する素線51同士が離間している、いわゆる疎巻きの箇所があってもよい。
【0036】
素線51の構成材料は、特に限定されず、金属材料、樹脂材料のいずれでもよい。金属材料の好ましい例としては、ステンレス鋼や、例えばAu、Pt等の貴金属、該貴金属を含む合金(例えばPt−Ni合金)のようなX線不透過材料が挙げられる。X線不透過材料を用いた場合、ガイドワイヤ1の先端部にX線造影性が得られ、X線透視下で先端部の位置を確認しつつ生体内に挿入することができ、好ましい。
【0037】
なお、コイル5は、2種以上の材料を組み合わせたものでもよい。例えば、コイル5の先端側の素線51を前記Pt−Ni合金のようなX線不透過材料で構成し、コイル5の基端側の素線51をステンレス鋼で構成することができる。この場合には、X線透視下で、コイル5の先端側に位置する部位(特に、リシェイプ部3を含む部位)を、それよりも基端側に位置する部位よりも強調することができ(視認し易くなり)、よって、ガイドワイヤ1の最先端部(リシェイプ部3が存在する部分)の位置をより鮮明に視認することができる。
【0038】
また、コイル5の素線51の線径は、コイル5の全長に渡って同一でもよいが、コイル5の先端側と基端側とで、素線51の線径が異なっていてもよい。例えば、コイル5の先端側においては、基端側に比べ素線51の線径が小さく(または大きく)なっていてもよい。これにより、コイル5の先端部におけるガイドワイヤ1の柔軟性をより向上させることができる。
【0039】
また、コイル5の外径は、コイル5の全長に渡って同一でもよいが、コイル5の先端側と基端側とで、コイル5の外径が異なっていてもよい。例えば、コイル5の先端側においては、基端側に比べコイル5の外径が小さくなっていてもよい。これにより、コイル5の先端部におけるガイドワイヤ1の病変部の穿通性をより向上させることができる。
【0040】
図1に示すように、コイル5は、芯線2に対し2箇所で固定されている。すなわち、コイル5の先端部が固定材料(固定部)52を介してリシェイプ部3の先端に固定され、コイル5の基端部が固定材料(固定部)53を介してテーパ部41の途中に固定されている。このように複数の箇所で固定することにより、ガイドワイヤ1の先端部(コイル5が存在する部位)の柔軟性を損なうのを防止しつつ、芯線2に対しコイル5を確実に固定することができる。
【0041】
特に、リシェイプ部3の先端側および基端側がそれぞれ固定材料52および53により固定されているため、リシェイプ部3をコイル5に対し確実に固定することができ、形状付けされたリシェイプ部3の形状を適正に保持することができる。
【0042】
固定材料52および53は、それぞれ、好ましくは半田(ろう材)で構成されている。その他、固定材料52および53は、接着剤であってもよい。また、コイル5の芯線2に対する固定方法は、前記のような固定材料によるものに限らず、例えば、溶接でもよい。
【0043】
なお、血管等の体腔の内壁の損傷を防止するために、固定材料52の先端面521は、丸みを帯びているのが好ましい。
【0044】
図1に示すように、芯線2の固定材料53よりも基端側の部分には、その全体(または一部)を覆う樹脂被覆層6が設けられている。この樹脂被覆層6は、種々の目的で形成することができるが、その一例として、ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)を低減し、摺動性を向上させることによってガイドワイヤ1の操作性を向上させることがある。
【0045】
ガイドワイヤ1の摩擦(摺動抵抗)の低減を図るためには、樹脂被覆層6は、以下に述べるような摩擦を低減し得る材料で構成されているのが好ましい。これにより、ガイドワイヤ1とともに用いられるカテーテルの内壁との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、カテーテル内でのガイドワイヤ1の操作性がより良好なものとなる。また、ガイドワイヤ1の摺動抵抗が低くなることで、ガイドワイヤ1をカテーテル内で移動および/または回転した際に、ガイドワイヤ1のキンク(折れ曲がり)やねじれを確実に防止することができる。
【0046】
このような摩擦を低減し得る材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、ETFE等)、またはこれらの複合材料が挙げられる。
【0047】
なお、樹脂被覆層6は、単層のものであってもよいし、2層以上の積層体(例えば、内側の層が外側の層に比べより柔軟な材料で構成されたもの)でもよい。
【0048】
さて、
図1、
図2に示すように、ガイドワイヤ1では、リシェイプ部3は、棒状をなす1本の棒状部31と、板状をなす2枚の板状部32とで構成されている。
【0049】
このリシェイプ部3は、棒状部31と板状部32とが一体的に形成されており、さらに本体部4とも一体的に形成されている。このように本実施形態では、芯線2は、当該芯線2を構成する各部が一体的に形成されている。これにより、芯線2(ガイドワイヤ1)の製造が容易となる。
【0050】
芯線2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線などの各種金属材料を用いることができ、これらの中でもステンレス鋼が好ましい。
【0051】
また、ステンレス鋼のような比較的剛性が高い材料の他に、芯線2の構成材料として、生体内で超弾性を示す超弾性合金も用いることができる。超弾性合金には、引張りによる応力−ひずみ曲線のいずれの形状も含み、As、Af、Ms、Mf等の変態点が顕著に測定できるものも、できないものも含み、応力により大きく変形(歪)し、応力の除去により元の形状にほぼ戻るものは全て含まれる。超弾性合金の好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。これらの中でも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。芯線2が超弾性合金で構成されている場合、芯線2の中でリシェイプ部3とすべき部分に対しては、熱処理を施す。これにより、当該部分での物性が変化して、すなわち、超弾性が低減または消失して、リシェイプ可能なリシェイプ部3を設けることができる。なお、当該部分に対しては、熱処理の他に冷間加工を施してもよい。また、Ni−Ti系合金に代表される超弾性合金は、樹脂被覆層6との密着性にも優れている。
【0052】
前述したように、リシェイプ部3は、1本の棒状部31と2枚の板状部32とで構成されている。
【0053】
棒状部31は、芯線2の中心軸O
2方向(長手方向)に沿い、当該芯線2の中心軸O
2上に設けられている。
【0054】
図3(c)に示すように、棒状部31の横断面形状は、円形をなし、その外径φd
31(太さ)は、中心軸O
2に沿って一定である。この外径φd
31は、テーパ部41の最小外径と同じとなっており、例えば、0.05mm以上、0.2mm以下であるのが好ましく、0.08mm以上、0.15mm以下であるのがより好ましい。
【0055】
図2に示すように、各板状部32は、それぞれ、棒状部31の外周部に突出して設けられ、当該棒状部31を介してその両側面側に配置された羽の形態をなしている。一方の板状部32と、他方の板状部32とは、配置箇所が異なること以外は、同一であるため、以下、1つの板状部32について代表的に説明する。
【0056】
図3(c)に示すように、板状部32は、棒状部31の外径φd
31よりも小さい薄さ(厚さt
32)を有している。この厚さt
32は、中心軸O
2に沿って一定であり、板状部32の幅方向にも一定である。なお、厚さt
32は、外径φd
31の10%以上、60%以下であるのが好ましく、15%以上、35%以下であるのがより好ましい。
【0057】
また、板状部32の幅w
32も、中心軸O
2に沿って一定である。幅w
32は、外径φd
31の10%以上、200%以下であるのが好ましく、40%以上、90%以下であるのがより好ましい。
【0058】
このような形状をなす棒状部31は、板状部32に比べて強度および剛性が高くなっている。これにより、棒状部31は、主にリシェイプ部3の中で、芯線2の本体部4からのトルクやその他に押込力をガイドワイヤ1の先端まで伝達する機能を担っている。
【0059】
また、各板状部32は、それぞれ、棒状部31に比べて柔軟性に富み、変形による形状付けを容易に行なうことができるようになっている。そして、形状付けが行われた状態で、各板状部32は、それぞれ、棒状部31と相まって、その形状を確実に維持することができる。
【0060】
このように、ガイドワイヤ1では、その先端部、すなわち、リシェイプ部3での形状付けが容易であり、当該リシェイプ部3までのトルク伝達性に優れたものとなっている。
【0061】
また、
図2に示すように、本実施形態では、棒状部31の全長L
31と、板状部32の全長L
32とが、同じである。これにより、リシェイプ部3がその長手方向に沿って曲げ易さが一定となり、すなわち、リシェイプ部3の長手方向のいずれの箇所でも曲げ易さが同じとなり、よって、リシェイプ時の操作性が向上する。なお、全長L
31、L
32は、例えば、2mm以上、100mm以下であるのが好ましく、5mm以上、20mm以下であるのがより好ましい。このような数値範囲により、リシェイプ部3に対して、過不足なく形状付けを行なうことができる。
【0062】
次に、リシェイプ部3が未だ形成されてない母材2’を加工して芯線2(ガイドワイヤ1)を製造する方法について、
図3を参照しつつ説明する。
【0063】
図3に示すように、この製造方法では、型閉め(
図3(b)参照)・型開き(
図3(a)、(c)参照)可能な第1の型91と第2の型92とを備える金型9を用いる。
【0064】
第1の型91と第2の型92とは、型閉め状態でリシェイプ部3を成形するキャビティ93を有している。すなわち、第1の型91は空間911を有し、第2の型92も空間921を有し、型閉め状態でこれら空間911、921同士が連通して、リシェイプ部3を成形する、すなわち、棒状部31および各板状部32の形状に対応した形状を有するキャビティ93を構成することができる。
【0065】
芯線2の製造では、まず、本体部4を有する母材2’を用意する。この母材2’のテーパ部41の先端側には、成形後にリシェイプ部3となる、すなわち、リシェイプ部3を形成するための形成予定部(リシェイプ部形成予定部)3’が一体的に突出形成されている。形成予定部3’は、本実施形態では横断面形状が円形をなし、棒状部31よりも十分に太い部分となっている。
【0066】
次に、
図3(a)に示すように、型開き状態の第1の型91と第2の型92との間に、形成予定部3’を配置する。
【0067】
次に、
図3(b)に示すように、型閉めを行う。なおこの際、加圧しつつ、加熱を施してもよい。なお、加熱は、例えば、第1の型91および第2の型92のうちの少なくとも一方に内蔵されたニクロム線等の電熱線により行なわれる。そして、この加圧と加熱とにより、形成予定部3’が変形しつつ溶融してキャビティ93の形状にならう。
【0068】
次に、
図3(c)に示すように、再度型開き状態とする。これにより、1本の棒状部31と2枚の板状部32を有するリシェイプ部3を備えた芯線2が得られる。そして、このリシェイプ部3は、前述したように、形状付けが容易であり、トルク伝達性に優れた部分となっている。
【0069】
<第2実施形態>
図4は、本発明のガイドワイヤ(第2実施形態)が備える芯線のリシェイプ部を示す斜視図である。
【0070】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0071】
本実施形態は、リシェイプ部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0072】
図4に示すように、本実施形態では、各板状部32の幅w
32は、先端方向に向かって漸減している。これにより、リシェイプ部3全体としての剛性を(曲げ剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、よって、当該リシェイプ部3では、先端側の部分が、基端側の部分よりも曲げ易くなる。そして、この構成は、リシェイプ部3で曲げ易さに変化、すなわち、大小(強弱)を徐々に持たせたい場合に有効な構成である。
【0073】
なお、幅w
32の減少率は、図示の構成では中心軸O
2に沿って一定であるが、これに限定されず、中心軸O
2に沿って変化してもよい。
【0074】
また、このような形状のリシェイプ部3の形成は、その形状に合うようなキャビティ93を有する金型9を選択すれば可能となる。
【0075】
<第3実施形態>
図5は、本発明のガイドワイヤ(第3実施形態)が備える芯線のリシェイプ部を示す斜視図である。
【0076】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0077】
本実施形態は、リシェイプ部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0078】
図5に示すように、本実施形態では、各板状部32の幅w
32は、先端方向に向かって漸増している。これにより、リシェイプ部3全体としての剛性(曲げ剛性)を先端方向に向かって徐々に増加させることができ、よって、当該リシェイプ部3では、基端側の部分が、先端側の部分よりも曲げ易くなる。そして、この構成は、リシェイプ部3で曲げ易さに変化、すなわち、大小(強弱)を徐々に持たせたい場合に有効な構成である。
【0079】
なお、幅w
32の増加率は、図示の構成では中心軸O
2に沿って一定であるが、これに限定されず、中心軸O
2に沿って変化してもよい。
【0080】
<第4実施形態>
図6は、本発明のガイドワイヤ(第4実施形態)が備える芯線のリシェイプ部を示す斜視図である。
【0081】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0082】
本実施形態は、リシェイプ部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0083】
図6に示すように、本実施形態では、棒状部31の全長L
31は、板状部32の全長L
32よりも長く、当該板状部32は、先端側に偏在している。これにより、リシェイプ部3では、板状部32と反対側の基端側の部分が、板状部32が偏在している先端側の部分よりも曲げ易くなる。そして、この構成は、リシェイプ部3の中で、板状部32が偏在している部分と、それがない部分との間を境界部として、その先端側と基端側とに曲げ易さの明確な変化、すなわち、大小(強弱)を持たせたい場合に有効な構成である。
【0084】
<第5実施形態>
図7は、本発明のガイドワイヤ(第5実施形態)が備える芯線のリシェイプ部を示す斜視図である。
【0085】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0086】
本実施形態は、リシェイプ部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0087】
図7に示すように、本実施形態では、リシェイプ部3は、2本の棒状部31と、2本の棒状部31の間に設けられた1枚の板状部32とで構成されている。このような構成のリシェイプ部3は、前記第1実施形態でのリシェイプ部3よりも、棒状部31が1本多く、板状部32が1枚少ない分、剛性が高くなり、リシェイプ時の形状維持性も高くなる。
【0088】
また、2本の棒状部31の間の間隔は、先端方向に向かって漸増しており、その結果、板状部32の幅w
32は、先端方向に向かって漸増している。これにより、リシェイプ部3を
図7中の矢印M1方向に変形させることができる他、例えば、リシェイプ部3(板状部32)を
図7中の矢印M2方向に変形させる、すなわち、中心軸O
2回りに湾曲変形させることもできる。
【0089】
<第6実施形態>
図8は、本発明のガイドワイヤ(第6実施形態)が備える芯線のリシェイプ部を示す側面図である。
【0090】
以下、この図を参照して本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0091】
本実施形態は、リシェイプ部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0092】
図8に示すように、本実施形態では、各板状部32は、それぞれ、厚さt
32が変化する、すなわち、増減を交互に繰り返すよう形成されている。これにより、リシェイプ部3を変形させる際、中心軸O
2回りの捩れを防止しつつ、リシェイプ部3を
図8中の矢印方向に容易かつ確実に曲げることができる。
【0093】
以上、本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0094】
また、本発明のガイドワイヤおよびガイドワイヤの製造方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0095】
また、棒状部は、その外径が芯線の長手方向に沿って一定であるが、これに限定されず、例えば、外径が芯線の長手方向に沿って変化する部分を有していてもよい。
【0096】
また、板状部は、その厚さが芯線の長手方向に沿って一定であるが、これに限定されず、例えば、厚さが芯線の長手方向に沿って変化する部分を有していてもよい。
【0097】
また、板状部は、その厚さが板状部の幅方向に沿って一定であるが、これに限定されず、例えば、厚さが板状部の幅方向に沿って変化する部分を有していてもよい。
【0098】
また、芯線の母材を加工してリシェイプ部を成形する際、当該成形に用いられる金型にもよるが、加圧および加熱のうちの一方を省略することもできる。