(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振分部は、前記軌跡による振り分けるべき端末装置の決定が不可能な場合、前記読取対象領域画像を、各々が前記複数の端末装置の各々に対応付けされた複数の画像に分割し、
前記情報抽出部は、前記振分部により分割された画像毎に、前記画像から前記情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る読取装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0014】
なお、以下の説明では、本実施形態に係る読取装置を、POSシステムで使用されるバーコードイメージスキャナ(以下単に「スキャナ」という)とするが、これに限定されるものではない。また、そのスキャナをスタンド型とするが、壁面等に固定されて使用されるタイプなど、他のタイプのスキャナでもよい。また、そのスキャナが設置される店舗を、POSレジカウンタのスペースが狭く、且つ、営業時間中の買物客の混雑と閑散の差が激しい書店とするが、書店以外の、そのような店舗でもよい。
【0015】
図1に示したように、本実施形態に係るスキャナ100は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130、イメージ読取部140、動作モード表示部150、POS端末A用接続インタフェース160、及びPOS端末B用接続インタフェース170を含み、各々が、相互にデータの送受が可能なように、バス180を介して接続されている。
【0016】
CPU110は、ROM120に格納されているプログラムを読み出し実行することによって、スキャナ100の全体動作を制御する。
【0017】
ROM120は、CPU110により実行されるプログラムや、その実行中に必要とされる各種の固定的なデータを格納する。なお、各種の固定的なデータは、
図4を用いて後述する認識対象領域管理テーブルを含む。
【0018】
RAM130は、ワークエリア(作業記憶領域)等として使用され、各種の可変的なデータを格納する。なお、各種の可変的なデータは、イメージ読取部140により取得される画像データや、
図3を用いて後述する動作モード管理データテーブル(以下単に「動作モード管理テーブル」という)を含む。
【0019】
イメージ読取部140は、例えばCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含み、
図5を用いて後述する読み取り可能範囲(読取対象領域)を撮像して、その画像データを取得する。なお、イメージ読取部140は、設置環境の光量不足を補うために、LED(Light Emitting Diode)やレーザ等の光源を更に含むようにしてもよい。
【0020】
動作モード表示部150は、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末をユーザに通知する。例えば、動作モード表示部150は、図示しないモード表示用LEDを備え、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200のみである場合にはモード表示用LEDを緑色に点灯させ、それがPOS端末B300のみである場合にはモード表示用LEDを青色に点灯させ、それがPOS端末A200及びPOS端末B300の両方である場合にはモード表示用LEDを橙色に点灯させる。但し、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が無い場合には、モード表示用LEDを点灯させない(消灯させる)。
【0021】
POS端末A用接続インタフェース160は、有線又は無線によりPOS端末A200に接続され、POS端末A200と通信を行う。
【0022】
POS端末B用接続インタフェース170は、有線又は無線によりPOS端末B300に接続され、POS端末B300と通信を行う。
【0023】
なお、POS端末A用接続インタフェース160及びPOS端末B用接続インタフェース170において、有線による接続は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、有線LAN(Local Area Network)、又はRS232C(Recommended Standard 232 version C)等による接続である。また、無線による接続は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はNFC(Near field communication)(登録商標)等による接続である。
【0024】
図2は、スキャナ100の機能ブロックの一例を示す図である。
図2に示したように、スキャナ100は、スキャナ100の全体動作を制御する全体制御部111を含む。なお、この全体制御部111は、CPU110がROM120に格納されているプログラムを読み出し実行することによって実現される。
【0025】
全体制御部111は、イメージ読取制御部112、振分制御部113、POS端末A用バーコード認識処理部114、POS端末B用バーコード認識処理部115、POS端末A用接続インタフェース制御部116、POS端末B用接続インタフェース制御部117、及び表示制御部118を含む。
【0026】
イメージ読取制御部112は、イメージ読取部140を制御する。
振分制御部113は、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルと、ROM120に格納されている認識対象領域管理テーブルと、バーコードの移動の軌跡の方向とに基づいて、イメージ読取部140により取得された読取対象領域画像に、POS端末A及びPOS端末Bの一方を設定する。
【0027】
POS端末A用バーコード認識処理部114は、振分制御部113により設定されたPOS端末A用に、読取対象領域画像からバーコードを認識し、そのバーコード文字列を抽出する。
【0028】
POS端末B用バーコード認識処理部115は、振分制御部113により設定されたPOS端末B用に、読取対象領域画像からバーコードを認識し、そのバーコード文字列を抽出する。
【0029】
POS端末A用バーコード認識処理部114とPOS端末B用バーコード認識処理部115は、通信線で接続されており、相互に情報を授受するよう構成されている。
【0030】
POS端末A用接続インタフェース制御部116は、POS端末A用バーコード認識処理部114により抽出されたバーコード文字列をPOS端末A200へ送信するように、POS端末A用接続インタフェース160を制御する。また、POS端末A用接続インタフェース制御部116は、POS端末A200で実行されているPOSアプリケーション(POS用のプログラム)210から接続インタフェース制御部220の制御の下に送信される動作開始又は動作終了の要求を処理する。
【0031】
POS端末B用接続インタフェース制御部117は、POS端末B用バーコード認識処理部115により抽出されたバーコード文字列をPOS端末B300へ送信するように、POS端末B用接続インタフェース170を制御する。また、POS端末B用接続インタフェース制御部117は、POS端末B300で実行されているPOSアプリケーション310から接続インタフェース制御部320の制御の下に送信される動作開始又は動作終了の要求を処理する。
【0032】
表示制御部118は、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルに基づいて、動作モード表示部150を制御する。
【0033】
図3は、RAM130に格納される各種テーブルの一例を示す図である。
図3(a)に示したように、動作モード管理テーブルには、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末を示す動作モードとして「0」、「1」、「2」、又は「3」の何れかのデータが格納される。動作モード「0」は、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が無い場合を示す。動作モード「1」は、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200のみである場合を示す。動作モード「2」は、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末B300のみである場合を示す。動作モード「3」は、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200及びPOS端末B300の両方の場合を示す。
【0034】
図3(b)に示したように、バーコード検出タイマーには、読み取り可能範囲内を移動するバーコードの位置の検出の際のタイムアウト時間が格納される。このタイムアウト時間は、バーコードの軌跡を取得するための時間間隔であり、バーコードが読取り可能範囲に入ってから0.05ms間隔で、軌跡取得動作を行う。
【0035】
図3(c)に示したように、座標比較元テーブルには、検出されたバーコードのある時点での座標値が格納される。座標比較
元テーブルに格納される座標値は、作業領域である座標プロットテーブルに格納されたバーコードの軌跡を表す複数の座標値の中から抽出された、軌跡の方向を検出する際に基準となる座標値である。座標プロットテーブルのバーコードの座標値と、座標比較元テーブルに格納される、直前の座標値とを比較することによって、バーコードの軌跡がどの方向に向かっているかを判断する。
図3(c)においては、バーコードがX座標値「1000」、Y座標値「550」の位置に存在したことが格納されている。
【0036】
図3(d)は、バーコードの軌道の傾きが2つの位置のみでは判定できない場合の座標比較元テーブルを示し、バーコードの軌跡上の複数の位置の座標値を格納するものとなっている。
図3(d)においては、最初、バーコードは、X座標値「1000」、Y座標値「550」の位置にあり、次に、X座標値「750」、Y座標値「600」の位置に移動したことが示されている。
図3(d)では、3つ位置の座標値が格納可能となっているが、本発明はこれには限定されず、もっと多くの軌跡上の位置の座標値を格納するようにしても良い。
【0037】
図4は、ROM120に格納される認識対象領域管理テーブルの一例を示す図である。
図4に示したように、認識対象領域管理テーブルには、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が一つの場合(POS端末A200又はPOS端末B300)と二つの場合(POS端末A200及びPOS端末B300)の、各々の場合の認識対象領域を指定する認識対象領域指定データが格納される。
【0038】
スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が一つの場合の認識対象領域指定データは、イメージ読取部140により取得された読取対象領域画像の全領域を、POS端末A用認識対象領域又はPOS端末B用認識対象領域として指定するデータである。この例では、読取対象領域画像のサイズを1000×1000(幅が1000、高さが1000)としていることから、読取対象領域画像の座標(0,0)(X座標が0、Y座標が0)を始点とする、幅が1000、高さが1000の領域を、POS端末A用認識対象領域又はPOS端末B用認識対象領域として指定している。
【0039】
また、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が二つの場合の認識対象領域指定データは、イメージ読取部140により取得された読取対象領域画像の半分の領域をPOS端末A用認識対象領域として設定し、残りの半分の領域をPOS端末B用認識対象領域として指定するデータである。この例では、読取対象領域画像の座標(0,0)を始点とする、幅が500、高さが1000の領域をPOS端末A用認識対象領域として指定し、読取対象領域画像の座標(500,0)を始点とする、幅が500、高さが1000の領域をPOS端末B用認識対象領域として指定している。
【0040】
図5は、一実施の形態に係るスキャナ及びスキャナの読み取り範囲の一例を斜め上から見た図である。
【0041】
図5に示したように、この例では、スキャナ100のイメージ読取部140により撮像される読み取り可能範囲(読取対象領域)400が示されており、この読み取り可能範囲400内を移動するバーコードの移動の軌跡の方向を検出することにより、バーコードの読み取り情報をPOS端末A200に送信するか、POS端末B300に送信するかを決定する。
【0042】
また、バーコードの移動の軌跡の方向を検出しても、POS端末A200に読み取り情報を送信したらよいか、POS端末B300に読み取り情報を送信したらよいか判断がつかない場合には、バーコードが読取対象領域画像のどの領域に存在するかを用いて判断する。
【0043】
その場合、スキャナ100のイメージ読取部140により撮像される読取対象領域400において、その半分の領域(
図5の左側の領域)410がPOS端末A用認識対象領域に対応する領域(以下「POS端末A用読取対象領域」という)となり、残りの半分の領域(
図5の右側の領域)420がPOS端末B用認識対象領域に対応する領域(以下「POS端末B用読取対象領域」という)となる。
【0044】
なお、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が一つの場合には、読取対象領域400の全領域が、POS端末A用認識対象領域又はPOS端末B用認識対象領域に対応する領域となる。
【0045】
図6は、一実施の形態に係るスキャナに接続されている動作可能なPOS端末が二つの場合の、バーコードの移動の軌跡の方向による読み取りPOS端末の振分動作を説明する図である。
【0046】
図6に示したように、商品430に付されたバーコード430aが、読取対象領域400の左下側から右上側に向かって移動した場合には、スキャナ100によってバーコード430aが認識され、バーコード文字列がPOS端末Aへ送信される。一方、商品440に付されたバーコード440aが、読取対象領域400の右下側から左上側に向かって移動した場合には、スキャナ100によってバーコード440aが認識され、バーコード文字列がPOS端末Bに送信される。
【0047】
バーコードの移動の軌跡の方向からは判断がつかない場合は、POS端末A用読取対象領域410内に、商品(書籍)430に付されたバーコード430aが位置されると、スキャナ100によって、その商品430のバーコード430aが認識され、そのバーコード文字列がPOS端末A200へ送信されるようになる。また、POS端末B用読取対象領域420内に、商品(書籍)440に付されたバーコードが位置されると、スキャナ100によって、その商品440のバーコード440aが認識され、そのバーコード文字列がPOS端末B300へ送信されるようになる。なお、このような動作の詳細は、
図8及び
図9を用いて後述する。これにより、商品430は、POS端末A200のPOSアプリケーション210によってPOS処理(登録処理等)され、商品440は、POS端末B300のPOSアプリケーション310によってPOS処理(登録処理等)されるようになる。
【0048】
なお、このように構成されたスキャナ100において、イメージ読取制御部112及びイメージ読取部140は、読取対象領域を撮像して読取対象領域画像を取得する画像取得部の一例である。振分制御部113は、画像取得部により取得された読取対象領域画像に含まれる情報を記録した媒体の移動の軌跡から当該スキャナに接続されている複数のPOS端末装置の内の、当該情報を振り分けるべきPOS端末装置を決定する振分部の一例である。POS端末A用バーコード認識処理部114及びPOS端末B用バーコード認識処理部115は、取得された画像から情報を抽出する情報抽出部の一例である。POS端末A用接続インタフェース制御部116及びPOS端末A用接続インタフェース160と、POS端末B用接続インタフェース制御部117及びPOS端末B用接続インタフェース170は、情報抽出部により抽出された情報を、対応する端末装置へ送信する送信部の一例である。表示制御部118及び動作モード表示部150は、読取装置に接続されている端末装置をユーザに通知する通知部の一例である。認識対象領域管理テーブルは、読取対象領域画像における複数の画像の各々の領域を指定する領域指定データの一例である。
【0049】
次に、本実施形態に係るスキャナ100が行う動作について説明する。
図7は、スキャナ100が行う、動作モード管理テーブルの更新動作及び動作モード表示部150の表示動作の処理内容を示すフローチャートである。なお、
図7に示した動作は、CPU110がROM120に格納されているプログラムを読み出し実行することによって行われるものであり、例えば、スキャナ100の電源が投入されている間、繰り返し行われる。
【0050】
図7に示したように、本動作が開始すると、まず、CPU110(POS端末A用接続インタフェース制御部116又はPOS端末B用接続インタフェース制御部117)は、POS端末A用接続インタフェース160又はPOS端末B用接続インタフェース170が、POS端末A200(POSアプリケーション210)又はPOS端末B300(POSアプリケーション310)からの動作開始又は動作終了の要求を受信したか否かを判定する(S110)。ここで、その判定結果がNoの場合には、本判定を繰り返す。
【0051】
一方、S110の判定結果がYesの場合、CPU110(POS端末A用接続インタフェース制御部116又はPOS端末B用接続インタフェース制御部117)は、受信した要求が動作開始又は動作終了の何れであるのかを判定する(S120)。
【0052】
S120の判定結果が動作開始である場合、CPU110は、動作開始要求を送信したPOS端末A200又はPOS端末B300が、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末として登録されるように、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルを更新する(S130)。例えば、動作モード管理テーブルに格納されている動作モードが「0」である場合に、POS端末A200からの動作開始要求を受信した場合には、その動作モードを「0」から「1」へ更新する。
【0053】
一方、S120の判定結果が動作終了である場合、CPU110は、動作終了要求を送信したPOS端末A200又はPOS端末B300が、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末として登録されているPOS端末から除かれるように、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルを更新する(S140)。例えば、動作モード管理テーブルに格納されている動作モードが「1」である場合に、POS端末A200からの動作終了要求を受信した場合には、その動作モードを「1」から「0」へ更新する。
【0054】
S130又はS140の後、CPU110は、更新後の動作モードが「0」、「1」、「2」、又は「3」の何れであるかを判定する(S150)。
【0055】
S150の判定結果が「0」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が無い場合、CPU110(表示制御部118)は、動作モード表示部150を制御して、モード表示LEDを消灯する(S160)。
【0056】
S150の判定結果が「1」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200のみの場合、CPU110(表示制御部118)は、動作モード表示部150を制御して、モード表示LEDを緑色に点灯する(S170)。
【0057】
S150の判定結果が「2」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末B300のみの場合、CPU110(表示制御部118)は、動作モード表示部150を制御して、モード表示LEDを青色に点灯する(S180)。
【0058】
S150の判定結果が「3」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200及びPOS端末B300の両方の場合、CPU110(表示制御部118)は、動作モード表示部150を制御して、モード表示LEDを橙色に点灯する(S190)。
そして、S160、S170、S180、又はS190の後、本動作が終了する。
【0059】
このような
図7に示した動作によれば、POS端末A200又はPOS端末B300からの動作開始要求又は動作終了要求の受信に応じて、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルの動作モードが更新されると共に、動作モード表示部150のモード表示LEDの点灯色の変更又は消灯が行われるようになる。
【0060】
図8及び
図9は、スキャナ100の振分け制御部113が行う振分動作の処理内容を示すフローチャートである。なお、
図8及び
図9に示した動作も、CPU110がROM120に格納されているプログラムを読み出し実行することによって行われるものであり、例えば、スキャナ100の電源が投入されている間、繰り返し行われる。
【0061】
図8に示したように、本動作が開始すると、まず、CPU110(イメージ読取制御部112)は、イメージ読取部140を制御して、読取対象領域を撮像し、読取対象領域画像を取得する(S210)。
【0062】
続いて、CPU110(振分制御部113)は、RAM130に格納されている動作モード管理テーブルの動作モードが「0」、「1」、「2」、又は「3」の何れであるかを判定する(S220)。ここで、その判定結果が「0」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末が無い場合には、図示はしないが、処理がS210へ戻る。
【0063】
一方、S220の判定結果が「1」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200のみの場合、CPU110(POS端末A用バーコード認識処理部114)は、読取対象領域画像からバーコードが認識されたか否かを判定する(S250)。ここで、その判定結果がYesの場合、CPU110(POS端末A用バーコード認識処理部114)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末A用接続インタフェース制御部116)は、POS端末A用接続インタフェース160を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末A200へ送信(通知)する(S260)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末A200のPOSアプリケーション210によってPOS処理される。読取対象領域画像からバーコードが認識されなかった場合(S250の判定結果がNoの場合)、処理を終了する。
【0064】
一方、S220の判定結果が「2」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末B300のみの場合、CPU110(POS端末B用バーコード認識処理部115)は、読取対象領域画像からバーコードが認識されたか否かを判定する(S290)。ここで、その判定結果がYesの場合、CPU110(POS端末B用バーコード認識処理部115)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末B用接続インタフェース制御部117)は、POS端末B用接続インタフェース170を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末B300へ送信(通知)する(S300)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末B300のPOSアプリケーション310によってPOS処理される。読取対象領域画像からバーコードが認識されなかった場合(S290の判定結果がNoの場合)、処理を終了する。
【0065】
一方、S220の判定結果が「3」の場合、すなわち、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200及びPOS端末B300の両方の場合、CPU110(振分制御部113)は、バーコードの移動の軌跡の方向に基づいて、POS端末A200にバーコード文字列を送信するか、POS端末B300にバーコード文字列を送信するかを判断する。具体的には、
図9の処理を行う。
【0066】
すなわち、CPU110(振分制御部113)は、作業領域としての座標プロットテーブルを全てクリアする(S400)。座標プロットテーブルは、RAM130に格納される。このとき、座標プロットテーブルには、まだ、座標値は登録されていない。
【0067】
続いて、CPU110(振分制御部113)は、バーコードが存在するか否かを判定する(S410)。この判定結果がNoの場合には、バーコードが見つかるまで、この処理を繰り返す。
【0068】
その判定結果がYesの場合には、バーコードを検出したときのバーコードのX座標値とY座標値を取得し、RAM130に格納された座標プロットテーブルに先頭から登録する(S420)。CPU110(振分制御部113)は、バーコードの座標値を取得した後、
図3(b)のテーブルの時間だけ経過し、バーコード検出タイマーがタイムアウトするまで待つ(S430)。
【0069】
続いて、CPU110(振分制御部113)は、読取対象領域画像内に依然バーコードが存在するか否かを判定する(S440)。この判定結果がYesの場合には、S420に戻って、バーコードの検出されたX座標値とY座標値を取得し、RAM130に格納された座標プロットテーブルに登録する。この判定結果がNoの場合には、S450に処理を進める。この例では、バーコードの座標値の座標プロットテーブルへの登録は、バーコード検出タイマーがタイムアウトする間隔で、バーコードが読取対象領域画像内に検出されなくなるまで、繰り返される。
【0070】
続いて、CPU110(振分制御部113)は、座標プロットテーブルの先頭のX座標値とY座標値を取得し、RAM130に格納される、
図3(c)、(d)の座標比較元テーブルに格納する(X座標値、Y座標値をそれぞれX0、Y0とする)(S450)。
【0071】
続いて、CPU110(振分制御部113)は、座標プロットテーブルに、次のX、Y座標値が存在するか否かを判定する(S460)。この判定結果がNoの場合には、処理をS510に進める。
【0072】
この判定結果がYesの場合には、座標比較元テーブルに格納されているX、Y座標値(それぞれX0、Y0とする)と、座標プロットテーブルのS460で特定されたX、Y座標値(それぞれX1、Y1とする)とを比較する(S470)。
【0073】
この比較の結果、Y0>Y1であると判定された場合には、CPU110(振分制御部113)は、読取エラーであるとして、S400に処理を戻す。この比較の結果、X0<X1かつY0<Y1であると判定され場合には、バーコードの移動の軌跡の方向が右斜めに傾いているとして、CPU110(振分制御部113)は、POS端末A200へ振り分けることを決定する。CPU110(POS端末A用バーコード認識処理部114)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末A用接続インタフェース制御部116)は、POS端末A用接続インタフェース160を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末A200へ送信(通知)する(S490)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末A200のPOSアプリケーション210によってPOS処理される。
【0074】
上記比較の結果、X0>X1かつY0<Y1であると判定された場合には、バーコードの移動の軌跡の方向が左斜めに傾いているとして、CPU110(振分制御部113)は、POS端末B300へ振り分けることを決定する。CPU110(POS端末B用バーコード認識処理部115)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末B用接続インタフェース制御部117)は、POS端末B用接続インタフェース170を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末B300へ送信(通知)する(S480)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末B300のPOSアプリケーション310によってPOS処理される。
【0075】
上記比較の結果、X0=X1かつY0=Y1であると判定された場合には、CPU110(振分制御部113)は、バーコードの移動の軌跡の方向が水平あるいは垂直になっていると判断し、座標プロットテーブルの次のX座標値及びY座標値を座標比較元テーブルにコピーし(S500)、処理をS460に戻す。
【0076】
続いて、S510では、CPU110(振分制御部113)は、座標プロットテーブルの先頭のX座標及びY座標で示される位置は、
図4の認識対象領域管理テーブルで規定される右領域あるいは左領域のいずれに存在するかを判定する。バーコードが(X=0、Y=0)〜(X=500、Y=1000)の左領域に存在すると判定された場合には、CPU110(振分制御部113)は、POS端末A200へ振り分けることを決定する。CPU110(POS端末A用バーコード認識処理部114)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末A用接続インタフェース制御部116)は、POS端末A用接続インタフェース160を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末A200へ送信(通知)する(S520)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末A200のPOSアプリケーション210によってPOS処理される。
【0077】
この判定において、バーコードが(X=500、Y=0)〜(X=500、Y=1000)の右領域に存在すると判定された場合には、CPU110(振分制御部113)は、POS端末B300へ振り分けることを決定する。CPU110(POS端末B用バーコード認識処理部115)は、認識されたバーコードから、そのバーコード文字列を抽出すると共に、CPU110(POS端末B用接続インタフェース制御部117)は、POS端末B用接続インタフェース170を制御して、そのバーコード文字列をPOS端末B300へ送信(通知)する(S530)。このようにして送信されたバーコード文字列は、その後、POS端末B300のPOSアプリケーション310によってPOS処理される。
【0078】
そして、POS端末A200あるいはPOS端末B300のいずれかに、バーコード文字列が送信されると、処理が終了する。
【0079】
次に、本実施形態に係るスキャナ100の運用例について説明する。
図10は、店内の買物客が多くない通常時の運用例を示す図である。
【0080】
図10に示したように、このような通常時には、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200のみとされて使用される。すなわち、POS端末A200のみがスキャナ100に接続されて使用される。
【0081】
なお、
図10に示した運用例では、POS端末A200を据置型のPOS端末とし、そのPOS端末A200が、更に、図示しない出力装置(例えばプリンタやキャッシュドロワ等)とも接続されて使用される。POS端末A200とスキャナ100は、POSレジカウンタ510上に設置され、図示しない出力装置は、POSレジカウンタ510下に設置される。
【0082】
この運用例では、店員520が、買物客530の購入希望商品(書籍)に付されたバーコードを、読取対象領域(例えば
図5の読取対象領域400)内を通過させると、スキャナ100により、そのバーコードの認識等が行われ、そのバーコード文字列がPOS端末A200に送信される。
【0083】
図11は、店内の買物客が多い混雑時の運用例を示す図である。
図11に示したように、このような混雑時には、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末がPOS端末A200及びPOS端末B300の両方とされて使用される。すなわち、POS端末B300が増設され、POS端末A200とPOS端末B300の両方がスキャナ100に接続されて使用される。
【0084】
なお、
図11に示した運用例では、POS端末B300を携帯型(例えばタブレット型等)のPOS端末とし、そのPOS端末B300が、更に、前述の図示しない出力装置とも接続されて使用される。POS端末B300とスキャナ100との接続およびPOS端末B300と出力装置との接続は、無線により行われる。また、POS端末B300の増設に伴い、組立式等の延長机540が新たに設けられ、POSレジカウンタ510としてのスペースが延長される。
【0085】
この運用例では、店員520が、買物客550の購入希望商品(書籍)に付されたバーコードを、読取対象領域内を通過させると(例えば
図6の商品430参照)、スキャナ100により、そのバーコードの認識等が行われ、バーコードの移動の軌跡の方向に従って、そのバーコード文字列がPOS端末A200に送信される。また、店員560が、買物客570の購入希望商品(書籍)に付されたバーコードを、読取対象領域内を通過させると(例えば
図6の商品440参照)、スキャナ100により、そのバーコードの認識等が行われ、バーコードの移動の軌跡の方向に従って、そのバーコード文字列がPOS端末B300に送信される。
【0086】
このような
図10及び
図11を用いて説明した運用例によれば、通常時にはPOS端末A200のみがスキャナ100に接続されて使用され、混雑時にだけPOS端末B300が増設されて(スキャナ100に更に接続されて)使用される。これにより、混雑時には、通常時に比べてPOS処理能力が高くなるので買物客の混雑を緩和することができることは勿論のこと、従来のようなPOS端末の増設に伴うスキャナの増設が不要になるので、スキャナの増設に必要なスペースの確保が不要になる。また、スキャナの増設が不要になる分、POSシステムに係るコストを削減することもできる。さらに、増設されるPOS端末B300を携帯型のPOS端末としたことから、その増設に必要なスペースの確保を最小限にすることもできる。また、通常時の運用から混雑時の運用への移行は、POS端末B300を増設すると共に組立式の延長机540を新たに設けるだけでよく、混雑時の運用から通常時の運用への移行は、それらを取り除けばよいだけになるので、従来のような増設した装置が使用されずに無駄になる虞は無く、買物客の混雑度合に応じて、柔軟な増設を行うことができる。
【0087】
以上、本実施形態に係るスキャナ100によれば、2つのPOS端末をスキャナ100に接続して使用することができ、増設スペースの削減及び混雑度合に応じた柔軟な増設が可能になる。
【0088】
なお、本実施形態に係るスキャナ100においては、種々の変形が可能である。
例えば、本実施形態では、スキャナ100に接続され得る動作可能なPOS端末を最大で二つとしたが、それを三つ以上としてもよい。但し、この場合には、その3つ以上のPOS端末の各々に対して、POS端末用インタフェース、POS端末用バーコード認識処理部、及びPOS端末用接続インタフェース制御部が設けられる。また、3つ以上のPOS端末を設ける場合には、それぞれのPOS端末に対して、バーコードの移動の軌跡の方向の判定基準が定められると共に、認識対象領域管理テーブルには、接続され得る動作可能なPOS端末の数毎に、認識対象領域を指定する認識対象領域指定データが格納される。
【0089】
また、本実施形態では、動作モード表示部150が、モード表示用LEDを用いて、スキャナ100に接続されている動作可能なPOS端末をユーザに通知するようにしたが、モード表示用LEDの代わりに、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の他の手段を用いて、それをユーザに通知するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態において、スキャナ100は、外部の通信ネットワーク(例えばインターネット等)に接続するための通信インタフェースを更に含んでもよい。そして、CPU110により実行されるプログラムが、その通信インタフェースを介して、外部の通信ネットワークに接続される外部装置からRAM130に格納されて、CPU110によって実行されてもよい。
【0091】
また、本実施形態において、スキャナ100は、媒体読取装置を更に含んでもよい。そして、CPU110により実行されるプログラムが、その媒体読取装置にセットされた可搬型記録媒体からRAM130に格納されて、CPU110によって実行されてもよい。この場合は、可搬型記録媒体として、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USBメモリなど様々な形式の記録媒体を使用することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。