特許第6307078号(P6307078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6307078-離型フィルム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307078
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】離型フィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/68 20060101AFI20180326BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20180326BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20180326BHJP
   B29K 25/00 20060101ALN20180326BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
   B29C33/68
   B29C59/04
   B29C55/12
   B29K25:00
   B29L7:00
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-527305(P2015-527305)
(86)(22)【出願日】2014年7月15日
(86)【国際出願番号】JP2014068811
(87)【国際公開番号】WO2015008759
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-147831(P2013-147831)
(32)【優先日】2013年7月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣
(72)【発明者】
【氏名】中野 正志
(72)【発明者】
【氏名】明星 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】西松 英明
(72)【発明者】
【氏名】小田川 友彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 晴紀
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−094268(JP,A)
【文献】 特開2001−246635(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/023907(WO,A1)
【文献】 特開平05−309730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 − 33/76
B29C 55/00 − 55/30
B29C 59/00 − 59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンジオタクチックポリスチレン系樹脂およびフェノール系酸化防止剤を含有する前駆体フィルムを、同時二軸延伸処理および少なくとも片面のマット加工に供してなる二軸配向ポリスチレン系フィルムからなる離型フィルムであって
当該離型フィルムのカール率が80%以下であ
前記マット加工の面の表面粗さが0.5μm以上8.0μm以下であり、
前記離型フィルムの厚みが10〜150μmである、
ことを特徴とする離型フィルム。
【請求項2】
前記カール率が60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
前記シンジオタクチックポリスチレン系樹脂がシンジオタクチックポリスチレンである請求項1又は2に記載の離型フィルム。
【請求項4】
前記フェノール系酸化防止剤の含有割合が、前記シンジオタクチックポリスチレン系樹脂に対して0.01〜3.0重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項5】
前記離型フィルムの熱収縮率が8%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型フィルム、特に転写性に優れたポリスチレン系離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板、セラミック電子部品、半導体パッケージ、レンズ部品、熱硬化性樹脂製品、熱可塑性樹脂製品、化粧板等を製造する際、成形金型や成形ロールと被成形材料が融着しないように、その間にプラスチックフィルムを離型フィルムとして介在させる場合がある。また、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、セラミック、金属等の薄膜層の形成工程や所定の処理工程において、その薄膜層の支持や保護を目的としてプラスチックフィルムに薄膜層を積層し、最終的にはプラスチックフィルムを離型フィルムとして剥離・除去する場合もある。このようにプラスチックフィルムの用途は多岐にわたっている。
【0003】
プラスチックフィルムには一般的に熱が付与される場合が多く、より高い温度が付与される場合が増えている。さらに近年の高性能化ニーズに伴い、プラスチックフィルムに求められる耐熱性は厳しくなっている。具体的には、例えばプラスチックフィルムを離型フィルムとしてプレス成形時の融着防止のために金型と被成形材料との間に介在させて使用する場合、プラスチックフィルムは通常、延伸処理されているので、熱によりプラスチックフィルムに寸法変動(熱収縮)が起こると、当該フィルムが金型成形面の凹凸に十分に追随せず、金型成形面による良好な付形が行われない。このため、当該フィルムには特に良好な耐熱寸法安定性が求められている。
【0004】
寸法安定性に優れたプラスチックフィルムの一例として、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムが知られている。例えば、特許文献1には、シンジオタクチックポリスチレン系フィルムよりなる未延伸非晶のフィルムに対して、特定の逐次二軸延伸を行うことにより、縦方向と横方向における、機械的強度や熱収縮率のバランスに優れたシンジオタクチックポリスチレン系フィルムを製造する技術が開示されている。
【0005】
一方、離型フィルムには、離型性を更に向上させるため、かつ/又は成形体に艶消し性を付与するために、マット加工のような表面加工を行うことが要求されている。マット加工は、フィルムに張力をかけながら、所望の表面形状を備えた金属又はゴム等からなる型で熱および圧力を付与することにより、フィルム表面に微細な凹凸を形成する加工処理である。被成形材料の成形に際し、マット加工を行った離型フィルムを用いることにより、離型フィルムが表面に有する微細な凹凸を成形体に転写させることができ、結果として当該成形体に艶消し性を付与できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−201873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のシンジオタクチックポリスチレン系フィルムに対してマット加工を行うと、得られる離型フィルムにおいて、フィルムが端部から独りでに巻いた状態になるカール現象が発生した。特にカールの大きな離型フィルム、言いかえればカール率の高い離型フィルムは、金型と被成形材料との間への設置時に生産上の不便さをもたらすだけでなく、当該カールを十分に伸ばしながら、離型フィルムを介在させることが困難で、端部に折れ曲がりが生じた。このため、成形体に、離型フィルムの端部折れに起因するスジ状の模様が発生し、結果的にフィルム表面の微細凹凸形状の転写不良が生じる。また離型フィルムが耐熱寸法安定性に劣ると、成形体に、フィルム表面の微細凹凸形状を精確に転写することができず、転写の十分なところと転写の甘いところで濃い薄いができるような、いわゆるムラが生じる。
【0008】
本発明は、耐熱寸法安定性および耐カール性に十分に優れたポリスチレン系離型フィルムを提供することを目的とする。すなわち、本発明は、金型成形面の凹凸に十分に追随するとともに、マット加工によるカール現象の発生を十分に防止することにより、金型成形面による成形体への付形および離型フィルム表面の成形体への転写を精度よく達成するポリスチレン系離型フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂を含有する二軸配向ポリスチレン系フィルムからなる離型フィルムであって、少なくとも片面がマット加工されてなり、当該離型フィルムのカール率が80%以下であること特徴とする離型フィルムに関する。
【0010】
本明細書中、耐熱寸法安定性とは、フィルムを加熱しても、フィルムの収縮が十分に防止されるフィルム特性を意味するものとする。
耐カール性とは、フィルムをマット加工しても、カール現象の発生が十分に防止されるフィルム特性を意味するものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の離型フィルムは耐熱寸法安定性に十分に優れている。
本発明の離型フィルムはさらに、耐カール性に十分に優れている。
本発明の離型フィルムは、表面の微細凹凸形状の成形体への転写を十分に精度よく達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の離型フィルムを使用するときの使用方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るポリスチレン系離型フィルム(以下、単に「PS系離型フィルム」という)はシンジオタクチックポリスチレン系樹脂を含有する二軸配向フィルムである。二軸配向とは、当該フィルムを構成するポリマー分子が当該フィルムの面内方向において、主として、互いに異なる2方向、好ましくは略直角をなす2方向で配向していることを意味するものであり、例えば後述する同時二軸延伸により達成することができる。
【0014】
<シンジオタクチックポリスチレン系樹脂>
本発明のPS系離型フィルムに含有されるシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(以下、単に「SPS系樹脂」という)は、いわゆるシンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマーである。シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基または置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を意味するものである。
【0015】
SPS系樹脂のタクティシティー(立体規則性)は同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量することができる。13C−NMR法により測定されるSPS系樹脂のタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば、2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。本発明におけるSPS系樹脂は、通常、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミトリアッドで60%以上、好ましくは75%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するスチレン系ポリマーである。
【0016】
SPS系樹脂としてのスチレン系ポリマーの種類としては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリールスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体等及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。
【0017】
ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(ビニルスチレン)等が挙げられる。
ポリ(アリールスチレン)としては、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)等が挙げられる。)
ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。
ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等が挙げられる。
ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等が挙げられる。
【0018】
本発明に係るPS系離型フィルムを構成するSPS系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜1,500,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。SPS系樹脂のガラス転移温度は60〜140℃、好ましくは70〜130℃である。SPS系樹脂の融点は200〜320℃、好ましくは220〜280℃である。
【0019】
SPS系樹脂は市販品として入手することもできるし、公知の方法によって製造することもできる。
例えば出光興産(株)社製「ザレック」(142ZE、300ZC、130ZC、90ZC)等として入手できる。
【0020】
PS系離型フィルム中、SPS系樹脂は上記した範囲内で、タクティシティー(ラセミダイアッド、ラセミトリアッドまたはラセミペンタッド)、種類、ガラス転移温度および/または融点が異なる2種類以上のSPS系樹脂が含有されてもよい。
【0021】
本発明のPS系離型フィルムは、耐熱寸法安定性、耐カール性、耐熱変形性、製膜性および耐熱強度安定性等に悪影響を与えない範囲で、上記SPS系樹脂以外に、他のポリマーを含有してもよい。
【0022】
他のポリマーの具体例としては、例えば、前記SPS系樹脂以外のポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のポリスチレン系合成ゴム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンサルファイト;ポリアリレート;ポリエーテルサルホン;ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
【0023】
前記SPS系樹脂以外のポリスチレン系樹脂とは、いわゆるアイソタクチックポリスチレン系樹脂およびアタクチックポリスチレン系樹脂を包含して意味するものである。
【0024】
PS系離型フィルム中の全量に対するSPS系樹脂の含有割合は、耐熱寸法安定性のさらなる向上の観点から、60重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上であり、最も好ましくは95重量%以上である。2種類以上のSPS系樹脂が含有される場合、それらの合計割合が上記範囲内であればよい。
【0025】
<他の添加剤>
本発明のPS系離型フィルムは、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。本発明のPS系離型フィルムは特に、滑剤及び酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。
【0026】
滑剤としては、例えば、炭化水素樹脂、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、複合系滑剤等が挙げられる。滑剤を含むことにより、本発明の離型フィルムの離型性をさらに向上させることができる。
【0027】
滑剤の含有割合は、離型フィルムの離型性の観点から、PS系フィルム中のSPS系樹脂に対して0.01〜3.0重量%、特に0.02〜1.0重量%が好ましい。2種類以上の滑剤が含有される場合はそれらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0028】
酸化防止剤としては、PS系離型フィルムの分野で黄変防止を目的として使用される酸化防止剤が使用可能であり、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。耐熱寸法安定性および耐カール性のさらなる向上の観点からは、酸化防止剤は、少なくともフェノール系酸化防止剤を含むことが好ましい。酸化防止剤、特にフェノール系酸化防止剤を含有させることにより、耐熱寸法安定性および耐カール性をさらに向上させることができる。
【0029】
フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を含有する有機化合物であり、従来よりPS系フィルムの分野でフェノール系酸化防止剤として使用されているフェノール骨格含有有機化合物が使用できる。フェノール系酸化防止剤は市販品として入手することができる。
フェノール系酸化防止剤の市販品として、例えば、スミライザーGA−80(住友化学社製)、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330(ともにADEKA社製)、イルガノックス245(BASF社製)、サイアノックス1790(CYTEC社製)等が挙げられる。
【0030】
リン系酸化防止剤はリン原子を含有する有機化合物であり、従来よりPS系フィルムの分野でリン系酸化防止剤として使用されているリン原子含有有機化合物が使用できる。リン系酸化防止剤は市販品として入手することができる。
リン系酸化防止剤の市販品として、例えば、スミライザーGP(住友化学社製)、アデカスタブPEP−36(ADEKA社製)、Irgafos38、Irgafos168(ともにBASF社製)等が挙げられる。
【0031】
硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する有機化合物であり、従来よりPS系フィルムの分野で硫黄系酸化防止剤として使用されている硫黄原子含有有機化合物が使用できる。硫黄系酸化防止剤は市販品として入手することができる。
硫黄系酸化防止剤の市販品として、例えば、スミライザーMB(住友化学社製)、アデカスタブAO−412S(ADEKA社製)等が挙げられる。
【0032】
酸化防止剤の含有割合は、耐熱寸法安定性および耐カール性の観点から、PS系フィルム中のSPS系樹脂に対して0.01〜3.0重量%、特に0.02〜1.0重量%が好ましい。2種類以上の酸化防止剤が含有される場合はそれらの合計量が上記範囲内であればよい。特にフェノール系酸化防止剤の含有割合は、耐熱寸法安定性および耐カール性のさらなる向上の観点から、上記範囲内であることが好ましい。
【0033】
<PS系離型フィルムの製造方法>
本発明のPS系離型フィルムは以下の方法により製造できる。
例えば、前記SPSおよび所望により含有される他のポリマーおよび添加剤を所定の割合で混合し、溶融・混練して前駆体フィルム(未延伸フィルム)を製造した後、得られた前駆体フィルムを同時二軸延伸処理およびマット加工に順次、供する。
【0034】
(前駆体フィルムの製造)
前駆体フィルムの製造方法は公知の方法を採用できる。例えば、所望の成分からなる混合物を押出機により溶融・混練し、混練物をTダイより押し出した後、冷却すればよい。
【0035】
前駆体フィルムの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、20〜2000μmであり、好ましくは30〜1000μmである。
【0036】
(二軸延伸処理)
二軸延伸処理工程では通常、同時二軸延伸処理を行った後、熱固定処理を行う。このような二軸延伸処理工程によって、フィルムのガラス転移温度を上昇させたり、熱膨張率を減少させたり、熱収縮率の絶対値を減少させたりすることができる。
【0037】
二軸延伸処理は、MD方向およびTD方向について延伸を行う。延伸方式は、逐次二軸延伸方式と同時二軸延伸方式があるが、同時二軸延伸方式を行う。同時二軸延伸の代わりに、MD方向もしくはTD方向のうち一方の方向に延伸を行った後、他方の方向に延伸を行う逐次二軸延伸を行うと、最初に延伸を行った方向の熱膨張率の減少幅が小さくなり、かつ熱収縮率も悪くなり耐熱寸法安定性が低下する。二軸延伸の代わりに、一軸延伸を行うと、延伸していない方向の熱膨張率が減少せず、耐熱寸法安定性が低下する。本明細書中、MD方向とは、いわゆる流れ方向であって、押出機からの前駆体フィルムの引き取り方向(縦方向)を意味するものとする。TD方向とは、いわゆる幅方向であって、当該MD方向に対する直交方向を意味するものとする。
【0038】
二軸延伸を行うに際して、延伸倍率、延伸温度および延伸速度は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではないが、以下の範囲が好ましい。熱収縮率がより一層、向上するためである。
【0039】
延伸倍率は、MD方向およびTD方向ともに2.0倍以上の破断が起こらない範囲内であり、特に2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは2.2〜4.0倍である。MD方向およびTD方向の延伸倍率は近似していることが好ましい。具体的には、MD方向の延伸倍率をPMD、TD方向の延伸倍率をPTDとしたとき、「PTD−PMD」は−0.6〜+0.6が好ましく、より好ましくは−0.3〜+0.3である。なお、MD方向の延伸倍率は延伸直前のMD方向長さに基づく倍率である。TD方向の延伸倍率は延伸直前のTD方向長さに基づく倍率である。
【0040】
延伸温度は、当該フィルムを構成するSPS系樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg以上、Tg+30℃以下であり、耐熱寸法安定性のさらなる向上の観点から好ましくはTg℃以上、Tg+25℃以下である。延伸温度が低すぎても、高すぎても、耐熱寸法安定性が低下する。なお、延伸温度は、延伸を行う雰囲気温度である。SPS系樹脂が2種類以上のポリマーからなる場合、SPS系樹脂のTgは、各ポリマーのガラス転移温度に当該ポリマーの含有比率を乗じた値の和である。
【0041】
延伸速度は、MD方向およびTD方向ともに50〜10000%/分であり、好ましくは100〜5000%/分、より好ましくは100〜3000%/分である。
延伸速度とは、{(延伸後寸法/延伸前寸法)−1}×100(%)/延伸時間で算出される値である。
【0042】
熱固定処理は、延伸フィルムを延伸温度以上の温度で保持することにより、ポリマー分子の配向を固定する処理である。熱固定処理温度は、当該フィルムを構成するSPS系樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、融点をTm(℃)としたとき、Tg+70℃以上、Tm以下であり、耐熱寸法安定性のさらなる向上の観点から好ましくはTg+75℃以上、Tm−20℃以下である。熱固定処理温度が低すぎても、高すぎても、熱収縮率が高くなり、耐熱寸法安定性が低下する。なお、熱固定処理温度は、フィルム保持を行う雰囲気温度である。SPS系樹脂が2種類以上のポリマーからなる場合、SPS系樹脂のTmは、各ポリマーの融点に当該ポリマーの含有比率を乗じた値の和である。
【0043】
熱固定処理は、二軸延伸処理時の張力を維持したまま熱固定処理を行う緊張式熱固定処理を実施してもよいし、当該処理と同時に当該張力を弛緩させて熱固定処理を行う弛緩式熱固定処理を実施してもよいし、または当該張力を維持して熱固定処理(第1熱固定処理)を行った後、当該張力を弛緩させて熱固定処理(第2熱固定処理)を行う複合式熱固定処理を実施してもよい。好ましくは弛緩式熱固定処理を実施する。熱固定処理を上記いずれの方式で実施するに際しても、熱固定処理温度は前記範囲内に設定される。
【0044】
熱固定処理を上記した弛緩式または複合式で行う場合、熱収縮率の絶対値の低減、耐熱寸法安定性のさらなる向上、フィルムの平坦性の観点から、弛緩倍率はMD方向およびTD方向ともに0.8〜1.00倍が好ましく、より好ましくは0.85〜1.00倍、最も好ましくは0.90〜0.98倍である。MD方向およびTD方向の弛緩倍率は近似していることが好ましい。具体的には、MD方向の弛緩倍率をQMD、TD方向の弛緩倍率をQTDとしたとき、「QTD−QMD」は−0.1〜+0.1が好ましく、より好ましくは−0.05〜+0.05であり、最も好ましくは−0.02〜+0.02である。なお、MD方向の弛緩倍率は延伸直後のMD方向長さに基づく倍率である。TD方向の弛緩倍率は延伸直後のTD方向長さに基づく倍率である。
【0045】
(マット加工)
マット加工とは、フィルムに対して、張力を付与しながら、所望の表面形状を備えた一組の型の間で、熱および圧力を付与することにより、フィルム表面に型の表面形状を転写させ、艶消しのための微細な凹凸を形成する処理である。マット加工されるフィルムは上記した方法で二軸延伸処理工程を経たフィルムである。本発明において、離型フィルムを特定条件でマット加工することにより、カール現象を十分に防止することができ、また当該離型フィルムを用いて行うプレス成形時において、離型フィルムの離型性を更に向上させつつ、成形体に離型フィルム表面に有する微細凹凸形状を精度よく転写させることができる。
【0046】
一組の型の間で熱および圧力を付与する方法としては、加熱された2枚の平板状の上下金型によりプレスする金型プレス法、2本の熱ロールの間でプレスしながら通過させるロールプレス法等を用いることができる。一組の型として、1枚の平板状金型と1本のロールとを組み合わせて使用することもできる。型は、当該型の表面形状をフィルムに転写させることができる限り、あらゆる材料から構成されていてよく、例えば、金属からなっていてもよいし、ゴムからなっていてもよいし、またはフィルムとの接触面を有する表面部分のみが金属またはゴムからなっていてもよい。以下、上記金型プレス法またはロールプレス法を行う実施態様について説明するが、上記金型プレス法またはロールプレス法において金型またはロールによりフィルムを加熱する代わりに、金型またはロールによるプレスの直前にフィルム自体を直接、IRヒーター等で加熱してもよい。
【0047】
マット加工はフィルムの少なくとも片面に行われ、耐カール性の観点から好ましくはフィルムの両面に行われる。マット加工がフィルムの両面に行われるとは、一組の型のうちの両方の型として後述の艶消し性を有する型を使用することを意味する。これにより、フィルムの両面に艶消し性が付与される。マット加工がフィルムの片面に行われるとは、一組の型のうちの一方の型として後述の艶消し性を有する型を使用し、かつ他方の型として艶消し性を有さない型を使用することを意味する。これにより、フィルムの片面のみに艶消し性が付与される。
【0048】
マット加工条件としては以下の条件が採用される。
一組の型のうち少なくとも一方、好ましくは両方の型として艶消し性を有する型を使用する。艶消し性を有する型とは、マット加工されたフィルム面が後述する表面粗さ(Ra)を有するように、フィルムとの接触面に表面粗さを付与された型のことである。そのような型は、フィルムとの接触面の表面粗さが、マット加工されたフィルム面が有する後述の表面粗さ(Ra)と同一か、または当該表面粗さより大きな値である。
【0049】
一組の型がフィルムの両面に付与する温度をそれぞれ独立して100℃〜250℃、好ましくは120℃〜220℃とする。
【0050】
プレス圧力は、金型プレス法の場合、0.5〜300kgf/cm、好ましくは1〜200kgf/cmである。ロールプレス法の場合は、0.1〜500kgf/cm、好ましくは1〜100kgf/cmである。
【0051】
フィルムの張力は通常、1〜300N、好ましくは10〜200Nである。当該張力は1m幅のフィルムに付与される張力である。特にロールプレス法を採用する場合においてフィルム速度は通常、0.1〜10m/分、好ましくは0.2〜5m/分である。
【0052】
マット加工条件として、型の表面粗さ、フィルムの処理温度、プレス圧力およびフィルム張力をそれぞれ上記の範囲内としながら、それらの値を調整することにより、カール率を制御することができる。
例えば、一組の型がフィルムに与える表面粗さの差および/または温度差を小さくすることにより、カール率を低減することができる。具体的には、一組の型がフィルムに与える表面粗さの差、すなわちマット加工されたフィルムの両面における表面粗さの差を後述の範囲内にすることにより、カール率をより一層有効に低減することができる。一組の型がフィルム両面に与える温度の差、例えば上型と下型との設定温度差を、特に30℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下とすることにより、カール率をより一層有効に低減することができる。
また例えば、プレス圧および/またはフィルム張力を小さくすることにより、カール率を低減することができる。具体的には、金型プレス法の場合、プレス圧力を特に1〜100kgf/cm、好ましくは1〜50kgf/cmとすることにより、カール率をより一層有効に低減することができる。フィルムの張力を特に10〜100N、好ましくは10〜50Nとすることにより、カール率をより一層有効に低減することができる。
【0053】
<PS系離型フィルム>
本発明のPS系離型フィルムのカール率は80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは30%以下である。カール率が大きすぎると、プレス成形時において端部に折れ曲がりが生じ、成形体に、当該端部折れに起因するスジ状の模様が発生し、その周辺において離型フィルムの表面形状が十分に転写されない。
【0054】
本明細書中、カール率は、試験片(200mm×200mm)を雰囲気温度180℃で30分間放置したときに、カールが発生することにより減小する投影面積の割合であり、具体的には後述する方法により測定される。カール率が高いほどフィルムの反りが大きく、カール率が低いほどフィルムの反りが小さいことを意味する。試験片の投影面積は、当該試験片を載置した真上から写真撮影を行い、その画像から算出することができる。
【0055】
本発明のPS系離型フィルムは通常、180℃での熱収縮率の絶対値が8%以下であり、好ましくは6%以下、より好ましくは3%以下である。熱収縮率の絶対値は、MD方向およびTD方向のいずれの方向についても、上記範囲内である。熱収縮率の絶対値が大きすぎると、耐熱寸法安定性が低下し、プレス成形用離型フィルムとして使用された場合、金型の成形面を十分に付形することができない。
【0056】
本明細書中、熱収縮率は、試験片(200mm×200mm)を雰囲気温度180℃で30分間放置したときのMD方向およびTD方向の各方向における熱収縮率であり、具体的には後述する方法により測定される。熱収縮率の値は正の値が収縮を意味し、負の値が膨張を意味する。
【0057】
本発明のPS系離型フィルムは、少なくとも片面がマット加工されており、結果として0.5μm以上8.0μm以下、特に0.6μm以上5.0μm以下の表面粗さ(Ra)を有することが好ましい。本発明のPS系離型フィルムは、耐カール性の観点から、好ましくは両面がマット加工されており、結果としてそれぞれの面が独立して上記範囲内の表面粗さ(Ra)を有する。耐カール性の観点から、最も好ましい実施態様において、両面における表面粗さの差は1.5μm以下、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。本発明におけるフィルムの表面粗さは、JIS B−0601:1994により測定された値を示している。
【0058】
本発明のPS系離型フィルムの厚みは特に制限されるものではなく、例えば、10〜150μmであり、好ましくは25〜75μmであり、特に好ましくは35〜60μmである。
【0059】
本発明のPS系離型フィルムは、特に転写性を必要とする離型フィルム(転写フィルム)として有用である。
【0060】
具体的には、本発明のPS系離型フィルムを離型フィルムとして使用する場合、プレス成形時において当該フィルムを金型と被成形材料との間に介在させることにより、金型と被成形材料との融着を防止しながらも、当該フィルムの表面形状を精度よく転写させることができる。しかも本発明の離型フィルムは寸法変動が十分に防止されるので、例えば金型成形面に深さ1mmの凹凸がある場合でも、当該成形面を精度よく付形することができる。
【0061】
被成形材料を構成するプラスチックの種類は特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が使用可能である。
【0062】
本発明のPS系離型フィルムを用いてプレス成形する時の金型温度、圧力および処理時間はプラスチック成形の分野で公知の条件が使用可能である。例えば、プレス時の金型温度は通常、80〜200℃である。プレス圧は通常、1〜150kg/cmである。プレス時間は通常、0.5〜60分間である。
【実施例】
【0063】
実施例1〜5/比較例1〜2
下記成分の混合物を押出機により樹脂温度280℃でTダイより溶融押し出した後、冷却し、未延伸フィルム(前駆体フィルム)を得た。未延伸フィルムを、後述の条件で延伸工程に供した。延伸工程は延伸処理および熱固定処理からなり、熱固定処理は所定の温度および弛緩倍率にて弛緩式熱固定処理を行った。なお、延伸処理は同時二軸延伸である。
【0064】
混合物成分として、実施例及び比較例共に、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、酸化防止剤および滑剤を使用した。
シンジオタクチックポリスチレン樹脂は「ザレック142ZE」(出光興産(株)社製、ガラス転移温度95℃、融点247℃)を使用した。
酸化防止剤はフェノール系酸化防止剤を使用し、滑剤はアマイド系滑剤を使用した。
その配合割合は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂100重量部に対して、アデカスタブAO−60を0.2重量部、滑剤を0.2重量部とした。
【0065】
延伸条件としては、実施例及び比較例共に、以下のとおりである。
延伸倍率は3.3×3.4倍(MD×TD)
延伸温度:115℃
延伸速度:500%/分
熱固定温度:215℃
弛緩倍率:0.92×0.92(MD×TD)
【0066】
上記で得られた延伸フィルムを1m幅にカットし、その後2枚の平板状金型にてプレスを行うことによりマット加工を行い、離型フィルムを得た。加工条件(金型の表面粗さ、金型温度、プレス圧力、フィルム張力)は表1に記載のとおりである。なお、2枚の金型の内、上型は金型自体に所定の表面粗さを付与したものを使用し、下型は所定の表面粗さを付与したシリコンゴム層を金型表面に付与したものを使用した。
【0067】
評価
各実施例/比較例で得られたマット加工済みの離型フィルムを、以下に示す項目について評価した。その結果を表1に示す。なお、具体的な評価方法は以下のとおりである。
【0068】
カール率
200mm×200mmにカットしたフィルムを、180℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内で一角を支持した宙吊り状態にて30分間放置した後、取り出して平らな面に置き、真上から見た際のカールした部分の面積(mm)を測定した。この面積に基づき、下記式よりカール率(%)を算出した。
カール率(%)=(カールした部分の面積)/(加熱後のフィルムの総面積)×100
なお、加熱後のフィルムの総面積は、フィルムがカールした場合、カールしたフィルムを引き伸ばして測定する。
【0069】
表面粗さ
フィルムの表面粗さはJIS B−0601:1994に準拠して測定した算術平均高さ(Ra)である。上面はマット加工時に上型と接触するフィルム面であり、下面は下型と接触するフィル面である。
【0070】
熱収縮率
まず、長さ150mmの2本の直線をそれぞれ、MD方向およびTD方向に対して平行に、かつ互いに中点で交わるように、試験片(フィルム;200mm×200mm)上に描いた。この試験片を、標準状態(温度23℃×湿度50%)に2時間放置し、その後試験前の直線の長さを測定した。続いて180℃の雰囲気に設定された熱風循環式オーブン内で一角を支持した宙吊り状態にて30分間放置した後、取り出して、標準状態に2時間放置冷却した。その後各方向の直線の長さを測定し、試験前の長さからの変化量を求め、当該試験前の長さに対する変化量の割合として熱収縮率を求めた。熱収縮率について正の値は収縮したことを意味する。なお、熱収縮率の絶対値が3%以下であれば非常に好ましいレベル(◎)、6%以下であれば好ましいレベル(○)、8%以下であれば実用上問題ないレベル(△)、8%超であれば実用上問題あるレベル(×)である。
【0071】
離型フィルム評価
エポキシ樹脂フレークを熱プレス成型するに際し、実施例1〜5、比較例1及び比較例2のそれぞれにおいて得られた転写フィルム(転写性を有する離型フィルム)を用いた。詳しくは図1に示すように、エポキシ樹脂フレーク1を上下金型2,3により熱プレス成型するに際し、フレーク1と金型2,3との間に前記転写フィルム4を介在させた。転写フィルム4は金型より外側で把持し固定した。なお、前記転写フィルム4は、シリコンゴム層により粗さを付与した面が、上下金型2,3側になるように配置した。プレス時において、金型2,3の接近はスペーサー5により制限された。プレス条件は次のとおりであった。金型2,3の温度;180℃、プレス圧;100kg/cm、スペーサー厚み0.5mm、プレス時間;10分間、凹部の深さ(凸部の高さ);1mm。
プレス成形後、成形体を取り出し、放置冷却した後、フィルム4を成形体から剥離した。成形体の表面に転写された転写面を目視により観察し、転写性について評価した。
◎;エポキシ成型体の転写面には、スジ状の模様やムラがなく、転写フィルムの表面がそのまま良好に転写されていた;
○;エポキシ成型体の転写面には、ほぼスジ状の模様やムラがなく、転写フィルムの表面がほぼ転写されていた;
△;エポキシ成型体の転写面には、少しスジ状の模様やムラがあり、転写フィルムの表面の転写がやや不十分であった(実用上問題なし);
×;エポキシ成型体の転写面に折れ曲った転写フィルムが段差となって転写し、実用上問題がある転写性であった。
【0072】
【表1】
【0073】
本発明の離型フィルムは、耐熱寸法安定性に十分優れ、良好なカール率を有し、成形性(追随性)および離型性に優れるとともに、成形体に良好な艶消し性を付与することが出来る。なお、離型フィルムの使い方にはロール状のまま使う方法(ロールtoロール方式)と、長手方向にも裁断して1枚ものとして使う方法(枚葉方式)があり、特に枚葉方式で用いる場合に耐カール性はより問題となる。本発明の離型フィルムはそのような枚葉方式で用いられる離型フィルムとして、より有用である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の離型フィルムは、プリント基板、セラミック電子部品、半導体パッケージ、レンズ部品、熱硬化性樹脂製品、熱可塑性樹脂製品、化粧板等を製造する際、平板状金型や成形ロールなどの型と被成形材料との間に介在させる離型フィルムとして有用である。また、本発明の離型フィルムは、いわゆる転写フィルムであり、当該フィルムの表面に設けられたマット調を被成形材料の表面に転写するフィルムとして有用である。また、本発明の離型フィルムは、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、セラミック、金属等の薄膜層の形成工程や所定の処理工程において、薄膜層の支持や保護を目的とし積層し、最終的には剥離・除去される工程フィルムとして有用である。
図1