【課題を解決するための手段】
【0025】
この課題は、請求項1でさらに詳しく特徴づけられているような感圧接着剤によって解決される。従属請求項では本発明の有利な実施形態が記載されている。本発明による感圧接着剤の変形形態は本発明の一部である。さらに、本発明による接着剤の使用が本発明思想に含まれる。
【0026】
したがって本発明は、少なくとも1種の含フッ素熱可塑性エラストマーおよび少なくとも1種の含フッ素液状エラストマーから成る混合物を少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも90重量%(それぞれ感圧接着剤の組成全体に対し)含む、浸透物に対する電子的装置のカプセル化のための感圧接着剤であって、含フッ素液状エラストマーと含フッ素熱可塑性エラストマーの質量比が5:95〜55:45の間、好ましくは15:75〜50:50の間、特に好ましくは25:75〜40:60の間である感圧接着剤に関する。
【0027】
本発明による接着剤は感圧接着剤として実施されている。したがって以下では接着剤および感圧接着剤の概念を一般に同義に使用する。
【0028】
感圧接着剤とは、比較的弱い押圧力下で既に被接着下地との持続的な結合が可能であり、かつ使用後に実質的に残留物なく被接着下地から再剥離し得る接着剤のことを言う。感圧接着剤は、室温で永久感圧接着性に作用し、つまり十分に低い粘性および高い初期粘着性を有し、したがって感圧接着剤は、小さな押圧力で既にその時々の被接着下地の表面を濡らす。接着剤の貼付性はその付着特性に基づき、再剥離性はその凝集特性に基づく。
【0029】
これに属するのは、特にDonatas Satasの「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Satas & Associates、Warwick 1999)(非特許文献1)に対応する感圧接着特性を有する接着剤、とりわけダルキスト(Dahlquist)基準を満たす接着剤である。
【0030】
1種または複数の含フッ素熱可塑性エラストマーは、
・フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレンまたはフッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレンから成るターポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/エチレンもしくはクロロトリフルオロエチレン/エチレンから成るコポリマーまたはポリフッ化ビニリデンで構成された少なくとも1つの硬質セグメントとを有する含フッ素エラストマー、
・テトラフルオロエチレン/プロピレンから成るコポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/エチレンから成るコポリマーで構成された少なくとも1つの硬質セグメントとを有する含フッ素エラストマー、および/あるいは
・テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルから成る非晶質でゴム状のコポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルから成るコポリマーで構成されており、ペルフルオロアルキルビニルエーテルの含有率が軟質セグメントより低い少なくとも1つの硬質セグメントとを有する含フッ素エラストマー
から成る群から選択されるのが好ましい。
【0031】
含フッ素熱可塑性エラストマーの特殊な例は、
・フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレンまたはフッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレンから成るターポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/エチレンもしくはクロロトリフルオロエチレン/エチレンから成るコポリマーまたはポリフッ化ビニリデンで構成された少なくとも1つの硬質セグメントとを含むエラストマー、
・テトラフルオロエチレン/プロピレンから成るコポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/エチレンから成るコポリマーで構成された少なくとも1つの硬質セグメントとを含むエラストマー、および/あるいは
・テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルから成る非晶質でゴム状のコポリマーで構成された少なくとも1つの軟質セグメントと、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテルから成るコポリマーで構成されており、ペルフルオロアルキルビニルエーテルの含有率が軟質セグメントより低い少なくとも1つの硬質セグメントとを含むエラストマー
である。
【0032】
これらの含フッ素熱可塑性エラストマーは、JP53086786A(特許文献7)およびUS4,158,678A(特許文献8)で開示されている。
【0033】
含フッ素熱可塑性エラストマーは、JP53003495A(特許文献9)およびUS4,158,678A(特許文献8)に記載の方法に基づいて製造されるのが好ましい。
【0034】
含フッ素熱可塑性エラストマーは透明であるという利点を有している。
【0035】
透明性つまり透過度(時にはまた単に短く透過性と言う)とは、一般的に%で提示され、光を通す物体の裏側に届く光出力の、表側に当たっている光出力に対する比を意味している。透過性は、反射および吸収によって制限される。
【0036】
つまり、透過度=(1−反射度−吸収度)である。
【0037】
熱可塑性エラストマーは、75%超の透過性、特に90%超の透過性を、それぞれ350〜1150nmの波長の場合に有することが好ましい。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態では、含フッ素熱可塑性エラストマーおよび含フッ素液状エラストマーは、熱可塑性含フッ素エラストマーが含フッ素液状エラストマーと適合するように、つまり前者のエラストマーが後者のエラストマー中で自由に膨潤または溶解するように組み合わされる。成分の好ましい質量比のすべてで相分離を回避するため、熱可塑性エラストマーの軟質セグメントのモノマー組成または含フッ素コポリマーもしくはターポリマーのモノマー組成は、液状エラストマーのモノマー組成に倣って選択される。そうでなければ、液状成分のマイグレーションおよび感圧接着剤の特性変化が起こる。
【0039】
エラストマーの好ましい組合せの1つは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンから成る含フッ素液状エラストマーと、この液状エラストマーと同じターポリマーから成る軟質セグメントを含む含フッ素熱可塑性エラストマーとの組合せである。エラストマーのもう1つの好ましい組合せは、テトラフルオロエチレン/プロピレンコポリマーまたはテトラフルオロエチレン/ペルフルオロプロピルビニルエーテルコポリマーである含フッ素液状エラストマーと、この液状エラストマーと同じコポリマーから成る軟質セグメントを有する含フッ素熱可塑性エラストマーとの組合せである。
【0040】
含フッ素熱可塑性エラストマーの硬質セグメントの例は、テトラフルオロエチレンおよびエチレンを含む結晶質のコポリマーセグメント、ポリフッ化ビニリデンセグメント、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロプロピルビニルエーテルから成る結晶質のコポリマーセグメントである。
【0041】
本発明による組成物は、含フッ素熱可塑性エラストマーおよび含フッ素液状エラストマーを、室温〜約200℃の温度で、ゴムローラ、カレンダロール、または混錬機を用い、均質な化合物が得られるように混合することによって製造することができる。必要とあれば、組成物と相溶性の溶剤を使用することができる。エラストマー組成物は、溶剤なしでも高い温度で加工し得るのではあるが、その加工を容易にするために溶液の形態で使用することができる。その代わりに本発明の接着組成物は、エラストマーの水分散液を混合し、それから水を除去することによって製造することができる。
【0042】
含フッ素(熱可塑性)エラストマーおよび液状含フッ素エラストマーが適切な溶剤中に溶解されるのが好ましい。これは、例えば低級ケトンおよびエステルであることができる。
【0043】
本発明で使用される含フッ素液状エラストマーは、エラストマーの分子量を低減させる方法によって製造することができ、この方法はJP56057811A(特許文献10)およびUS4,361,678A(特許文献11)で開示されている。
【0044】
含フッ素エラストマーが安定化された分子端部を有しており、ほとんど化学反応しないことが好ましく、これにより接着特性の老朽化が阻止される。
【0045】
含フッ素液状エラストマーの好ましい例は、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンを基礎とするエラストマー、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレンを基礎とするエラストマー、テトラフルオロエチレン/プロピレンを基礎とするエラストマー、ヘキサフルオロプロピレン/エチレンを基礎とするエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー、およびフッ素置換されたホスファゼンエラストマーである。液状エラストマーの数平均分子量M
zは500〜20,000、好ましくは500〜10,000である。これらの液状エラストマーは、単独でまたは混合物として使用することができる。
【0046】
接着組成物の接着力または特性を改善するため、ポリマー鎖内またはポリマー鎖末端に、−OHまたは−COOHのような官能基を導入することができる。このような基は、式:CF
2=CFCH
2CH
2OHまたはCF
2=CFCF
2COOHの化合物を統計的に共重合することにより、ポリマー鎖内に導入することができる。
【0047】
感圧接着剤の付着性、したがって熱間せん断強度を改善するため、感圧接着剤を架橋することができる。これは、アミンによる架橋、ビスフェノール(例えばビスフェノールAF)による架橋を介し、または過酸化物を介して行うことができる。このような架橋プロセスは、当業者に公知であり、特に高架橋されたフッ素ゴムの製造に用いられている。フッ素ポリマーの架橋についての詳細は、例えば「Fluoroelastomer Handbook:The Definite Users Guide and Databook、Alber L. Moore、2005 William Andrew Publishing/Plastics Design Library(非特許文献2)」から読み取ることができる。
【0048】
本発明に基づく使用に関しては、アミンによる架橋を用いるのが好ましく、この場合、特に少なくとも二官能性の第一級および/または第二級アミンが使用される。第一級および/または第二級アミンの例を挙げるとすれば、ここではMomentiveのEpikureシリーズ(例えばEpikure925、トリエチレンテトラミン、3,6−ジアザオクタン−1,8−ジアミン)、HuntsmanのJeffamine(例えばJeffamine SD 2001、第二級ポリエーテルアミン)、またはBASFのBaxxodurである。優れた耐老朽化性を達成するため、脂肪族アミンを用いるのが好ましい。
【0049】
上記の第一級および/または第二級アミンと組み合わせて、有機強塩基(好ましくはアミジンまたはグアニジンのような第三級アミン)、例えばHuntsmanのJeffcatシリーズにおいて入手可能であるような例えばDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、TBD(1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)などを用いるのが好ましい。なぜならこれが、架橋反応の促進を通常の方法に比べて低い温度で可能にするからである。
【0050】
強塩基は、十分に長い可使時間を達成するため、フッ素エラストマーの割合に対して最大1.0重量%までで用いられるのが好ましい。好ましくは0.005〜0.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.2重量%で用いられる。
【0051】
感圧接着剤の十分な架橋密度、したがって凝集性を達成するため、第一級および/または第二級アミンは、0.1重量%〜10重量%の間、好ましくは0.25重量%〜5重量%の間、特に好ましくは0.5重量%〜3重量%の間で用いられる。
【0052】
これに加え、任意選択で酸捕捉剤、例えばナノスケールのMgOまたはCaOのような金属酸化物が、発生するHFを捕えるために用いられる。ナノスケールの金属酸化物は、透明な感圧接着剤を可能にし、かつ表面積が大きいので比較的少ない量で用いることができる。
【0053】
アミン架橋の際の例えばヘキサメチレンジアミンのみによる標準的な架橋または水酸化カルシウムのような無機塩基を伴うビスフェノール(例えばビスフェノールAまたはビスフェノールAF)による架橋は、170℃超の架橋温度を15〜30分間必要とする。過酸化物およびTAIC(トリアリルイソシアヌレート)のような架橋剤による架橋も可能であるが、ポリマー鎖内に組み込まれたキュアサイドモノマー(Cure−Side Monomer)が必ず必要である。キュアサイドモノマーが存在しない場合、完全な架橋は不可能である。架橋のもう1つの可能性は電子線硬化である。
【0054】
有利には、本発明による感圧接着剤において充填剤を用いることができる。好ましくは、接着剤の充填剤としてナノスケールのおよび/または透明な充填剤が使用される。ここでは、充填剤が少なくとも一つの次元で最大限の延びが約100nm、好ましくは約10nmである場合に、その充填剤をナノスケールと呼ぶ。特に好ましいのは、小板状の晶子構造および高いアスペクト比を有する塊状で透明な充填剤が、均質な分布で使用されることである。小板状の晶子構造および100を大きく超えるアスペクト比を有する充填剤は、一般的に数nmの厚さしか有さないが、晶子の長さもしくは幅は最大数μmであり得る。このような充填剤もナノ粒子と呼ぶ。加えて、充填剤の、寸法の小さな粒子状の形態は、感圧接着剤の透明な形態のために特に有利である。例として挙げるとすれば、ここでは例えばSiO
2、BaSO
4、またはMgOをベースとするナノスケールの充填剤である。
【0055】
接着材料マトリクス中で、前述の充填剤によりラビリンス状の構造を構成することにより、例えば酸素および水蒸気の拡散経路は、酸素および水蒸気が接着材料層を通り抜けて浸透することを減少させるように延長される。結合剤マトリクス中でのこの充填剤の分散性が改善されるように、この充填剤の表面を有機化合物により変性することができる。このような充填剤の使用自体は、例えばUS2007/0135552A1(特許文献12)およびWO02/026908A1(特許文献13)から知られている。
【0056】
本発明のさらなる有利な一実施形態では、酸素および/または水蒸気と特別なやり方で相互作用し得る充填剤も使用される。この場合、(光)電子的装置内に侵入する酸素または水蒸気は、この充填剤と化学的または物理的に結合される。この充填剤は「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収剤」とも呼ばれる。このような充填剤には、これに限定されないが例として挙げるとすれば、酸化性金属と、金属および遷移金属のハロゲン化物、塩、ケイ酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩と、過塩素酸塩と、活性炭およびその変種とが含まれる。例として、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、二酸化ケイ素(シリカゲル)、酸化アルミニウム(活性アルミニウム)、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、ゼオライト、およびアルカリ(土類)金属の酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、および酸化マグネシウム、またはカーボンナノチューブも挙げられる。例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステルのような有機吸収剤、またはたいていは例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用されるハイブリッドポリマーをベースとしたさらなる吸収剤もさらに使用することができる。さらなる有機吸収剤は、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、アスコルベート、グルコース、没食子酸、または不飽和油脂である。
【0057】
バリア作用に関する充填剤のできるだけ優れた有効性を達成するためには、充填剤の割合が少なくなり過ぎないようにするべきである。この割合は、好ましくは少なくとも3重量%、さらに好ましくは少なくとも7重量%、およびとりわけ好ましくは少なくとも10重量%である。典型的には、接着剤の接着力を著しく低下させ過ぎない、または他の特性を損なうことのない、できるだけ高い割合で充填剤を使用する。本発明による混合物は充填剤を含むことができ、詳しくは最大30重量%(接着剤の組成全体に対し)含むことができる。好ましいのは、充填剤の割合が20重量%、好ましくは15重量%(接着剤の組成全体に対し)を超えないことである。
【0058】
さらに、充填剤ができるだけ細かく分布し、かつ表面積ができるだけ大きいことが有利である。これは、より高い効率およびより高い積載能力を可能にし、特にナノスケールの充填剤によって達成される。充填剤は必ず必要なわけではなく、接着剤は、充填剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0059】
さらなる有利な一実施形態によれば、本発明による接着剤は、好ましくは少なくとも部分的に水素化された粘着樹脂の少なくとも1種を含んでおり、有利には、コポリマーと適合するか、または硬質ブロックと軟質ブロックから形成されたコポリマーが用いられる場合には主に軟質ブロックと適合する粘着樹脂(軟質樹脂)を含んでいる。
【0060】
この粘着樹脂が、25℃超の粘着樹脂軟化温度を有する場合が有利である。それだけでなく、これに加えて20℃未満の粘着樹脂軟化温度を有する少なくとも1種の粘着樹脂が用いられる場合が有利である。これについては必要に応じ、一方で接着技術的な挙動を、しかしもう一方では貼付下地上での表面流動挙動も微調整することができる。
【0061】
感圧接着剤において、樹脂としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする水素化されていない、部分的または完全に水素化された樹脂、特に完全に水素化されたロジンのグリセリンエステル、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C
5、C
5/C
9、またはC
9モノマー流をベースとする部分的、選択的、または完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂、好ましくは純粋なC
8およびC
9芳香族類の水素化ポリマーが可能である。前述の粘着樹脂は、単独で使用することも、混合して使用することも可能である。
【0062】
その際、室温で固体の樹脂も液体の樹脂も使用することができる。高い耐老朽化性およびUV安定性を保証するためには、水素化度が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化樹脂が好ましい。
【0063】
さらに、30℃より高いDACP値(ジアセトンアルコール曇り点)および50℃より高いMMAP値(混合メチルシクロヘキサンアニリン点)、特に37℃より高いDACP値および60℃より高いMMAP値を有する非極性樹脂が好ましい。DACP値およびMMAP値は、それぞれ特定の溶剤中での溶解度を示す。この範囲を選択することにより、特に高い浸透バリアが、とりわけ水蒸気に対して達成される。
【0064】
意外にも、20℃未満のDACP値および0℃未満のMMAP値を有する極性樹脂が適合する。このような樹脂により、接着力を明らかに上昇させることができる。
【0065】
接着剤には、老朽化防止剤(オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、光保護剤など)のような通常の混和剤を添加することができる。
【0066】
接着剤のための添加剤として利用できるのは、典型的には、
・可塑剤、例えば可塑化オイル、もしくは例えば低分子ポリブテンなどの低分子液体ポリマー
・一次酸化防止剤、例えば立体障害フェノール
・二次酸化防止剤、例えばホスファイトもしくはチオエーテル
・プロセス安定化剤、例えばC−ラジカルスカベンジャー
・光保護剤、例えばUV吸収剤もしくは立体障害アミン
・加工助剤
・湿潤添加剤
・付着促進剤
・末端ブロック強化樹脂、ならびに/または
・場合によっては、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;これに対応して利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも純粋な炭化水素をベースとするエラストマー、例えば天然のもしくは合成されたポリイソプレンもしくはポリブタジエンのような不飽和ポリジエン、化学的に実質的に飽和状態のエラストマー、例えば飽和エチレンプロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、および化学的に官能化された炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリレート含有の、アリル含有の、もしくはビニルエーテル含有のポリオレフィンである。
【0067】
混和剤も必ず必要なわけではなく、接着剤は、混和剤を単独でまたは任意に組み合わせて添加しなくても機能する。
【0068】
さらに好ましいのは、特定の実施形態ではスペクトルの可視光(約400nm〜800nmの波長領域)内で透明な接着剤を使用することである。所望の透明性は、特に無色の粘着樹脂を使用することで達成することができる。したがって、このような感圧接着剤は、(光)電子構造物を覆う面全体での使用にも適している。面全体を貼り付けることは、電子構造物がほぼ中心に配置される場合、縁封止に比べ、浸透物が構造物に達する前に浸透物が面全体にくまなく拡散しなければならないという利点を提供する。これにより浸透経路が明らかに延長される。浸透経路は透過性に反比例するので、この実施形態において、例えば液体接着材料による縁封止に比べて延長された浸透経路は、総合的なバリア性に良い影響を及ぼす。
【0069】
その際「透明性」とは、光の可視領域において、接着剤の平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味し、この考察は未補整の、つまり界面反射損失を差し引いていない透過率に関している。
【0070】
接着剤のヘイズは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満を示すのが好ましい。
【0071】
本発明による含フッ素熱可塑性エラストマーおよび本発明による含フッ素液状エラストマーは、例えばDaikinのDai−El(例えばGシリーズまたはT500シリーズおよびG−101)、DupontのViton(例えばViton A−100およびA−200)、3MのDyneon(例えばFC2211、FC2230、またはFE5832X)、またはSolvay PlasticsのTecnoflon(例えばN215またはN535)の名称で市販されている。
【0072】
好ましい実施形態では、含フッ素エラストマー(熱可塑性および/または液状)中のフッ素含有率は少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも65重量%である。
【0073】
熱可塑性タイプを用いるのが好ましく、なぜならこのタイプは完全に透明だからである。
【0074】
本発明による接着剤は、片面または両面で接着性の接着テープにおいて使用し得ることが特に有利である。この種の提供形態は、接着剤の特に簡単かつ均一な適用を可能にする。
【0075】
この場合、「接着テープ」という一般的な表現は、片面または両面に(感圧)接着剤が施された支持体材料を含んでいる。この支持体材料は、すべての平面的な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット(例えば(光)電子的装置の縁取りまたは境界画定の形で)、多層構成物、およびその類似物を含む。その際、多様な用途のために、例えばフィルム、織布、不織布、および紙のような非常に様々な支持体を接着剤と組み合わせることができる。さらに「接着テープ」という表現には、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持体のない接着テープも含まれる。転写式接着テープの場合、接着剤はむしろ適用前に、剥離層を備えかつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの間に施されている。適用するためには、通常はまず1枚のライナーを取り除き、そして接着剤を適用し、その後、第2のライナーを取り除く。したがってこの接着剤は、(光)電子的装置内の2つの表面を結合するために直接的に使用することができる。
【0076】
ただし、2枚のライナーを用いてではなく、1枚だけの両面で剥離性に加工されたライナーを用いて作られる接着テープも可能である。この場合、接着テープシートはその上面が、両面で剥離性に加工されたライナーの片面で覆われており、接着テープシートの下面は、両面で剥離性に加工されたライナーの背面、特に巻物またはロールでの1つ隣りの巻きによって覆われている。
【0077】
接着テープの支持体材料として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/もしくは無機層を備えたフィルムもしくは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、フィルム製造に使用されるすべての一般的に流通しているプラスチックから成ることができ、これに限定されないが例として挙げるとすれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、特に1軸延伸もしくは2軸延伸により生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)である。
【0078】
加えて支持体は、有機または無機のコーティングまたは層と組み合わせることができる。これは例えば塗装、印刷、蒸着、スパッタリング、共押出し、またはラミネート加工のような通常の方法によって行うことができる。これに限定されないが例として挙げるとすれば、ここでは例えばケイ素およびアルミニウムの酸化物もしくは窒化物、酸化インジウムスズ(ITO)、またはゾルゲルコーティングである。
【0079】
これらのフィルム/複合フィルム、特にポリマーフィルムは、酸素および水蒸気に対する浸透バリアを有することが特に好ましく、その際この浸透バリアは、包装分野に対する要求を上回る(WVTR<10
−1g/(m
2d);OTR<10
−1cm
3/(m
2d bar))。
【0080】
さらにフィルム/複合フィルムは、好ましい形態では透明に形成することができ、したがってこのような接着用品の構成全体も透明に形成される。またここでは、「透明性」とは、光の可視領域での平均透過率が少なくとも75%、好ましくは90%より高いことを意味する。
【0081】
両面で(自己)接着性の接着テープの場合、上側および下側の層として、同じもしくは異なる種類および/または同じもしくは異なる層厚の本発明による接着剤を使用することができる。その際、支持体の片面または両面を、従来技術に対応して前処理することができ、これにより例えば接着剤の定着性が改善される。片面または両面に例えばバリア層として機能し得る機能層を備えることもできる。これらの感圧接着剤層を、任意選択で剥離紙または剥離フィルムで覆うことができる。その代わりに一方の接着剤層だけを、両面で剥離性のライナーで覆うこともできる。
【0082】
一変形形態では、両面で(自己)接着性の接着テープにおいて、本発明による接着剤と、任意のさらなる接着剤、例えばカバー土台に特に良好に付着するかまたは特に優れた再配置性を示す接着剤とが規定されている。
【0083】
接着剤および場合によってはそれを用いて形成された接着テープは、この接着剤または接着テープが電子的装置のカプセル化すべき領域の上および/または周囲に適用されることにより、浸透物に対する電子的装置のカプセル化にさらにとりわけ適している。
【0084】
さらに本発明思想に含まれるのは、特に、浸透物に対する電子的装置のカプセル化に適しており、かつ少なくとも1種の含フッ素熱可塑性エラストマーおよび少なくとも1種の含フッ素液状エラストマーから成る混合物ならびに少なくとも1種の粘着樹脂を含む接着剤であって、接着剤がこの混合物を好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%(それぞれ感圧接着剤の組成全体に対し)含んでいる接着剤である。
【0085】
好ましい一実施形態によれば、この含フッ素液状エラストマーと含フッ素熱可塑性エラストマーの質量比も5:95〜55:45の間、好ましくは15:75〜50:50の間、特に好ましくは25:75〜40:60の間である。
【0086】
この接着剤に関しても、第1の接着剤に関して言及したような、ただし第1の接着剤とは違い少なくとも1種の含フッ素熱可塑性エラストマーおよび少なくとも1種の含フッ素液状エラストマーから成る混合物中に少なくとも1種の粘着樹脂が必ず含まれているような、すべての実施形態が有利と見なされる。
【0087】
ここでは、前述の感圧接着剤によって完全に取り囲むことだけをカプセル化と呼ぶのではなく、(光)電子的装置のカプセル化すべき領域上での感圧接着剤の部分的な適用、例えば電子構造物の片面を覆うこと、または縁取ることも既にカプセル化と言う。
【0088】
原理的には、接着テープを用いて2種類のカプセル化を実施することができる。接着テープを予め型抜きし、カプセル化すべき領域の周囲だけに貼り付けるか、または接着テープをカプセル化すべき領域の面全体に接着する。第2の変形形態の利点は、より簡単な取扱いおよびしばしばより良好な保護である。
【0089】
これに関し、非晶質の物質では軟化温度はガラス転移温度に相当し、(半)結晶性の物質では軟化温度は溶融温度に相当する。
【0090】
感圧接着剤の製造および処理は、溶液、分散液、および融体の状態で行うことができる。好ましくは溶液または融体の状態で製造および処理が行われる。特に好ましいのは溶液状態の接着剤を製造することである。その際、感圧接着剤の成分は、適切な溶剤、例えばブタノン中に溶解されており、一般的に知られている方法により支持体上に施される。融体状態で処理する場合、これはノズルまたはカレンダ機を用いた塗布方法であり得る。溶液状態での方法に関しては、いくつかの方法だけを挙げるとすれば、ドクターブレード、ナイフ、ローラ、またはノズルによるコーティングが知られている。
【0091】
溶剤なしのプロセスでは、コーティング温度によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。透明な接着層を得るためのプロセスパラメータは当業者に公知である。溶剤コーティングプロセスでは、溶剤または溶剤混合物の選択によりコーティング結果に影響を及ぼすことができる。これに関しても、適切な溶剤の選択は当業者に公知である。100℃未満で沸騰する溶剤と、100℃超で沸騰する溶剤との組合せが非常によく適している。
【0092】
溶剤または融体の状態でのコーティングが有利である。これに関しては、既に上で詳述したように、本発明による調合物が大きな利点を提供する。
【0093】
つまり、他の感圧接着剤と比較した本発明の利点は、様々な土台への優れた界面付着性を同時に伴う、水蒸気およびとりわけ酸素に対する非常に優れたバリア特性と、良好な凝集特性と、液体接着材料に比べて非常に高い柔軟性と、(光)電子的装置内での、およびカプセル化の際の/カプセル化における簡単な適用とからの組合せである。さらに特定の実施形態では高透明性の接着剤もあり、この接着剤は、入射光または出射光の減少を非常に少なく保つので、特に(光)電子的装置内での用途に使用することができる。
【0094】
平面的なバリア材料(例えばガラス、特に薄いガラス、金属酸化物をコーティングしたフィルム、金属フィルム、多層の土台材料)で、(光)電子構成物の少なくとも一部をラミネート加工することによるカプセル化は、非常に優れたバリア作用を伴いつつ、簡単なロール・ツー・ロール・プロセスにおいて可能である。構成物全体の柔軟性は、感圧接着剤の柔軟性のほかに、(光)電子構成物もしくは平面的なバリア材料の幾何形状および厚さのようなさらなる要因に左右される。それでも感圧接着剤の高い柔軟性は、非常に薄く、曲げやすく、かつ柔軟な(光)電子構成物の実現を可能にする。
【0095】
(光)電子構成物のカプセル化に特に有利なのは、感圧接着剤の適用の前、最中、または後で(光)電子構成物が加熱される場合である。これにより感圧接着剤は、なおより表面を流れやすくなり、したがって(光)電子的装置と感圧接着剤との間の界面での浸透をさらに低減させることができる。その際の温度は、表面流動を相応に促進するためには、好ましくは30℃超、さらに好ましくは50℃超であることが望ましい。ただし、(光)電子的装置を損傷させないよう、高すぎる温度を選択しないことが望ましい。温度はできるだけ100℃未満にするべきである。最適な温度範囲は50℃〜70℃の間の温度であることが分かった。それに加えてまたはその代わりに、感圧接着剤が適用の前、最中、または後で加熱される場合も有利である。
【0096】
まとめると、本発明による接着剤は、(光)電子的装置のカプセル化に用いられる接着剤に課されるすべての要件を満たしている。すなわち、
・水蒸気および酸素の低い体積浸透性、これは、WVTRの値(Mocon)が60g/m
2d未満で、OTRの値(Mocon)が2500cm
3/m
2・d・bar未満であることから明らかである。
・水蒸気および酸素の低い界面浸透性、これは、WVTRの値(Ca試験)が10g/m
2d未満であることから明らかであり、目標土台上への接着剤の優れた表面流動をもたらす。
・任意選択であるが好ましくは、透過率が好ましくは90%超の高い透明性
・任意選択であるが好ましくは、5.0%未満、好ましくは2.5%未満のヘイズ
・例えばロール・ツー・ロール・プロセスにおける秀でたラミネート挙動、これは、ガラス上での未架橋の系の接着力が1.5N/cm超、好ましくは2.5N/cm超、およびガラス上での架橋された系の動的せん断強度が10N/cm
2超、好ましくは20N/cm
2超であることから明らかである。
・(光)電子的用途、および特に例えば太陽電池のような用途に特に有利であるような非常に高いUV耐性および耐候性
【0097】
以下に、本発明のさらなる詳細、目的、特徴、および利点を、好ましい例示的実施形態を示す複数の図に基づきさらに詳しく説明する。