特許第6307102号(P6307102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゲーエー ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307102
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】シリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/24 20060101AFI20180326BHJP
   F02B 19/16 20060101ALI20180326BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20180326BHJP
   F02M 61/04 20060101ALI20180326BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20180326BHJP
   F02M 61/14 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   F02F1/24 E
   F02F1/24 H
   F02B19/16 A
   F02B19/16 F
   F02B19/16 H
   F02M21/02 S
   F02M61/04 G
   F02M61/16 K
   F02M61/14 320K
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-31916(P2016-31916)
(22)【出願日】2016年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-166608(P2016-166608A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年4月26日
(31)【優先権主張番号】A50161/2015
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】504344576
【氏名又は名称】ゲーエー ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル ヤコブ
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/122318(WO,A1)
【文献】 特開2014−181613(JP,A)
【文献】 特開平01−313662(JP,A)
【文献】 特開昭60−104752(JP,A)
【文献】 米国特許第05222993(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/24
F02B 19/16
F02M 21/02
F02M 57/06
F02M 61/04
F02M 61/14
F02M 61/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予燃焼室のガスバルブ(5)を受け入れるための空洞(7)を備えるシリンダヘッド(2)であって、
実質的にまたは完全に前記予燃焼室ガスバルブ(5)を囲んで延びるリセスは、前記空洞(7)の壁(10)と共に、前記予燃焼室ガスバルブ(5)を包囲する環状通路(13)を形成し、
前記環状通路(13)は、前記予燃焼室ガスバルブ(5)へ燃焼ガスを供給するための少なくとも1つのガス供給路(12)へ連接され、
前記環状通路(13)は、少なくとも1つの傾斜したガス通路(20)によって前記予燃焼室ガスバルブ(5)の下部空洞(21)と連接され
前記予燃焼室ガスバルブ(5)のバルブヘッドのシートと前記予燃焼室ガスバルブ(5)の、予燃焼室(3)への開口との間、または前記予燃焼室ガスバルブ(5)の前記バルブヘッドの前記シートと前記予燃焼室ガスバルブ(5)の、予燃焼室(3)へ繋がる通路(8)への開口との間に、空間(23)が設けられ、
前記空間(23)は、前記予燃焼室(3)へ向かって狭まる略洋梨形の構造である
ことを特徴とする、シリンダヘッド(2)。
【請求項2】
前記バルブ本体(24)の対称軸に対する前記ガス通路(2)の角度は、20゜から70゜までの間であることを特徴とする、請求項1に記載のシリンダヘッド(2)。
【請求項3】
スパークプラグ・スリーブ(4)は、前記予燃焼室ガスバルブ(5)と共に環状通路(13)を形成する前記空洞(7)の前記壁(10)が前記スパークプラグ・スリーブ(4)の壁によって形成されるように、前記シリンダヘッド(2)に嵌合されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシリンダヘッド(2)。
【請求項4】
前記予燃焼室ガスバルブ(5)と共に環状通路(13)を形成する前記空洞(7)の前記壁(10)は、前記シリンダヘッド(2)自体の壁によって形成されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシリンダヘッド(2)。
【請求項5】
前記予燃焼室ガスバルブ(5)は、その外部輪郭において、前記環状通路(13)へ向かうフランクが前記環状通路(13)を画定し、かつその他方のフランクに、ボア(10)から前記予燃焼室ガスバルブ(5)を密封するためのシーリング手段が当接する、少なくとも1つの突起(19)を有することを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載のシリンダヘッド(2)。
【請求項6】
スパークプラグ(6)は、前記シリンダヘッド(2)内に配置され、前記スパークプラグ(6)および前記予燃焼室ガスバルブ(5)は、前記シリンダヘッド(2)の共通の空洞(7)内に配置されることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載のシリンダヘッド(2)。
【請求項7】
前記スパークプラグ(6)および前記予燃焼室ガスバルブ(5)は、互いに通り抜け合うボア内に配置されることを特徴とする、請求項に記載のシリンダヘッド(2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴部分に記されている特徴を有するシリンダヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
所定のボア(内径)(約150mm)を超えると、(ガス)内燃機関に点火増強用の予燃焼室が取り付けられる。予燃焼室内へ突き出す点火源は、そこに存在しかつフラッシュ式予燃焼室の場合には比較的高濃度である混合気に点火し、これにより、点火フレアが予燃焼室から主燃焼室へ移ってそこに存在する混合気に点火する。
【0003】
予燃焼室へ燃料を供給する設計概念は、様々なものが存在する。非フラッシュ式の予燃焼室の場合、混合気は、圧縮行程において主燃焼室から予燃焼室内へと推進される。
【0004】
フラッシュ式予燃焼室の場合には、予燃焼室に燃料が追加的に供給される可能性もある。この別々の燃料供給は、予燃焼室のガスバルブによって実行される。このバルブは、シリンダヘッド内へ直に、またはスパークプラグ・スリーブ内に配置されることが可能である。
【0005】
記載する一般的な種類のシリンダヘッドは、最新技術から既知である。したがって、特許文献1(キャタピラモトーレン社)は、ガスが通路(3)を通って流れ込む予燃焼室を有するガス機関を開示している。例示されているガス機関のシリンダヘッド(1)は、フラッシュ式予燃焼室(2)と、燃焼室(4)に点火エネルギー用のガスを供給するための別個のガス供給路(3)とを有し、通常の点火プロセスは、スパークプラグ(8)によって実行される。ガス供給路(3)内には、受容領域(6)にソレノイドバルブ(5)が配置され、出口は、燃焼室(4)へと直に開放されている。
【0006】
特許文献2(ヤンマーディーゼルエンジン株式会社)は、燃料ガスが通路(18)を通って供給される予燃焼室ガスバルブを開示している。ガスは、互いに対向するボアを通って中空空間(138)へ入り、バルブが開放されると、中空空間(138)から予燃焼室内へ入っていく。ここに示されている配置の欠点は、必要とされる空間が増量されること、ならびに、コンポーネントのアラインメント(ガスの貫通流を保証するための角度方向の位置補正)関連の複雑さおよび費用にある。
【0007】
特許文献3は、本体と、バルブばねと、バルブニードルと、ガスが供給される下部空洞とを有するバルブを示している。また、内部にバルブばねが配置される上部空洞も存在する。ガスは、側面からバルブへ供給される。半径方向に方向づけられるボア(内面、穴)は、かなり狭い環状通路へと繋がる。半径方向に方向づけられるボアは、ここから、バルブニードルに至る。
【0008】
特許文献4には、二部構成のバルブ本体と、バルブばねと、バルブニードルとを備える予燃焼室のガスバルブが開示されている。ガスは、下部空洞へ供給され、かつバルブばねは、上部空洞内に位置決めされる。この場合もやはり、ガスは、半径方向のボアを介してバルブハウジングに至り、狭い環状通路を通っていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004016260号明細書
【特許文献2】欧州特許第0480545号明細書
【特許文献3】日本国特開平04171256号公報
【特許文献4】米国登録特許第2,667,155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、最新技術を凌ぐ改良されたシリンダヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1に記載されているシリンダヘッドによって達成される。効果的な構成は、従属請求項に列挙されている。
【0012】
本発明によるシリンダヘッドは、予燃焼室のガスバルブを受け入れるための空洞を備え、実質的にまたは完全に予燃焼室ガスバルブを囲んで延びるリセス(凹部)は、空洞の壁と共に、予燃焼室ガスバルブを包囲する環状通路を形成し、環状通路は、予燃焼室ガスバルブへ燃焼ガスを供給するための少なくとも1つのガス供給路へ連接され、環状通路は、予燃焼室ガスバルブの下部空洞と、少なくとも1つの傾斜したガス通路によって連接される。
【0013】
本発明の優位点は、具体的には、下記の通りである。
−燃焼ガスが環状通路を通って予燃焼室ガスバルブへ流れ込む方式は、流れ特性の観点から好ましい、
−追加的なガス通路が存在しないコンパクトな配置による、バルブ本体の中実構造、
−(2つ以上の通路による)ガス供給路を通る横方向の吸気流であっても可能なバルブ下部空洞における対称性、および、
−設置に際して、長手軸に対する予燃焼室ガスバルブの角度位置を画定する必要がないこと。
【0014】
好ましくは、バルブ本体の対称性に関するガス通路の角度は、20゜から70゜までの間と規定することができる。このガス通路のこうした位置合わせにより、中実構造に起因して、予燃焼室ガスバルブの特に高い安定性を達成することができる。さらに、鋭角が存在しないという事実により、供給されるガスの流体状態を最適化することができる。このようなガス通路を製造するために、環状通路の片側は(バルブ本体へ向かって)傾斜される、と規定することができる。例えば、環状通路の傾斜側は、ガス通路の軸に対して垂直であることが可能である。これにより、製造時のボアの穴あけが容易となる。特に好ましい実施形態では、バルブ本体の対称軸に対するガス通路の角度は、20゜から30゜までの間と規定することができる。
【0015】
好ましくは、環状通路は、予燃焼室ガスバルブの下部空洞へ、2つから6つまでのガス通路によって連接される、と規定することができる。これにより、流体品質ならびに時間的品質の双方に関連して、予燃焼室ガスバルブの下部空洞の最適な充填を実現することができる。さらには、これにより、バルブ本体内部で略対称の流れが達成される。
【0016】
好ましくは、スパークプラグ・スリーブは、予燃焼室ガスバルブと共に環状通路を形成する空洞の壁がスパークプラグ・スリーブの壁によって形成されるように、シリンダヘッドに嵌合される、と規定することができる。これは、予燃焼室ガスバルブがシリンダヘッドへ直に嵌合されず、スパークプラグ・スリーブ内に配置される状況を説明している。
【0017】
また、予燃焼室ガスバルブと共に環状通路を形成する空洞の壁は、シリンダヘッド自体の壁によって形成される、と規定することもできる。この場合、予燃焼室ガスバルブは、シリンダヘッドへ直に、換言すれば、スパークプラグ・スリーブによることなく嵌合される。
【0018】
予燃焼室ガスバルブ内には、環状通路を予燃焼室ガスバルブの下部空洞と連通させる少なくとも1つのガス通路が存在する、と規定することができる。したがって、予燃焼室ガスバルブのバルブ本体には、少なくとも1つのガス通路が設けられる。予燃焼室ガスバルブの作動中、燃焼ガスは、ガス通路を通って、環状通路から予燃焼室ガスバルブのバルブシート(弁座)の方向へ進む。したがって、予燃焼室ガスバルブのバルブ本体は、燃焼ガスを環状通路からバルブシートにおける吐出し位置へと案内するタスクを、ガス通路の形式で実行する。この構成は、特に効果的であることが証明されている。
【0019】
予燃焼室ガスバルブのバルブヘッドのシート(弁座)と予燃焼室ガスバルブの、予燃焼室への開口との間、または予燃焼室ガスバルブのバルブヘッドのシート(座部)と予燃焼室ガスバルブの、通路への開口との間には、空間が存在する、と規定することができる。これは、予燃焼室ガスバルブのバルブヘッドが予燃焼室または予燃焼室に通じる通路に直に隣接せず、両者の間に中空空間が形成される状況を説明している。この空間を備えることで、予燃焼室ガスバルブから予燃焼室への(予燃焼室ガスバルブが予燃焼室と同一平面に配置される場合)、または通路への(予燃焼室ガスバルブが間隔をおいて配置される場合)特に好ましいガスの流れを提供する。
【0020】
好ましくは、この空間は、予燃焼室へ向かって狭まる略洋梨形の構造である、と規定することができる。この方法では、効果的には、予燃焼室ガスバルブから予燃焼室への、または通路へのガスの流れに影響が出る可能性もあるが、それでも、その程度を少なく保つことができる。
【0021】
予燃焼室ガスバルブは、その外部輪郭に少なくとも1つの突起を有し、環状通路へ向かうこの突起のフランク(側面)もまた環状通路を画定し、かつそのもう一方のフランク(側面)には、予燃焼室ガスバルブをボア(穴、内面)から密封するためのシーリング手段が当接する、と規定することができる。これにより、コンポーネントは、特に簡易な方式で統合される。半径方向通路の半径方向深さは、突起の高さに一致するものであっても、それより深い、または浅いものであってもよい。突起の高さが考慮されれば、主要なバルブ本体に関するジオメトリの乱れを低減することができる。例えば、シーリング手段としてO−リングを用いることができ、これは、予燃焼室ガスバルブをボアから半径方向に密封する。当然ながら、さらなるシーラントを受け入れることができるさらなる突起を設けることも可能である。
【0022】
スパークプラグは、シリンダヘッド内に配置され、スパークプラグおよび予燃焼室ガスバルブは、シリンダヘッドの共通空洞内に配置される、と規定することができる。これは、コンパクトな構造に関連して特に効果的である。好ましくは、この場合、スパークプラグおよび予燃焼室ガスバルブは、互いに通り抜け合うボア内に配置される。この方法において、スパークプラグおよび予燃焼室ガスバルブは、さらに省スペース的な据付けに関与することができる。
【0023】
本発明を、図面によってさらに詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】スパークプラグ・スリーブを有するシリンダヘッドを示す。
図1b】スパークプラグ・スリーブを有するシリンダヘッドを示す。
図1c】スパークプラグ・スリーブを有するシリンダヘッドを示す。
図2a】シリンダヘッドのスパークプラグ・スリーブを示す。
図2b】シリンダヘッドのスパークプラグ・スリーブを示す。
図2c】シリンダヘッドのスパークプラグ・スリーブを示す
図3a】シリンダヘッドのさらなるスパークプラグ・スリーブを示す。
図3b】シリンダヘッドのさらなるスパークプラグ・スリーブを示す。
図3c】シリンダヘッドのさらなるスパークプラグ・スリーブを示す。
図4a】ガス供給概念に関する詳細を示す。
図4b】ガス供給概念に関する詳細を示す。
図4c】ガス供給概念に関する詳細を示す。
図4d】ガス供給概念に関する詳細を示す。
図4e】ガス供給概念に関する詳細を示す。
図5a】予燃焼室ガスバルブを示す。
図5b】予燃焼室ガスバルブの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aは、スパークプラグ・スリーブ4がシリンダヘッド2へ嵌合されているシリンダヘッド2を示す。本実施形態において、空洞7は、スパークプラグ・スリーブ4によって形成される。
【0026】
図1bおよび図1cは、スパークプラグ・スリーブ4の2図を示している。
【0027】
図1aは、スパークプラグ6(不図示)および予燃焼室ガスバルブ(副室ガスバルブ)5を収容する空洞7を介する縦断面を示している。
【0028】
空洞7は、一方で、スパークプラグ6を受け入れるために、対称軸S1を中心に同軸である、シリンダ部分より成るシャフトを含む。
【0029】
空洞7は、さらに、予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるための、対称軸S2を有するボア10を有する。
【0030】
通路8は、予燃焼室ガスバルブ5から予燃焼室3へ繋がる。予燃焼室3(副室)は、一方に、実際の空洞、換言すれば、内部で混合気の点火が行われる中空空間、を備える。当然ながら、予燃焼室3は、物理的なコンポーネント(部材)でもある。本実施形態において、予燃焼室3は、スパークプラグ・スリーブ4とは分離されたコンポーネントの形式であって、スパークプラグ・スリーブ4へ例えば加圧によって連接される。
【0031】
明瞭さのために図示されていないスパークプラグ6は、予燃焼室3と面一になって終わりかつその電極が予燃焼室3内へ突き出すようにして、対称軸S1と同軸のシャフトによりスパークプラグ・スリーブ4内へ導入される。予燃焼室3には、予燃焼室ガスバルブ5により、通路8を通じて燃焼ガスが混入される。予燃焼室3における点火後、点火された混合気は、フロー移動ボア9を通って主燃焼室(不図示)へと移動する。
【0032】
図1bは、図1aの平面図である。並列する円筒シャフトは、スパークプラグ6および予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるために空洞7内に配置されていることが分かる。スパークプラグ6は、図1aを参照して説明したように、図示されていない。予燃焼室ガスバルブ5内に、予燃焼室ガスバルブ5をスパークプラグ・スリーブ4内へねじ込む八角形(八角形リング)を見ることができる。本実施形態では、最大ボア径D1の空洞7が存在しているが、平面図において、これは、スパークプラグ6および予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるためのボアに外接している。言い替えれば、この実施形態では、スパークプラグ6および予燃焼室ガスバルブ5に共通のシャフトが存在する。
【0033】
直径D1であるこの最大ボアの中心線は、対称軸S1と対称軸S2との間に存在する。共通のシャフトは、スパークプラグ6および予燃焼室ガスバルブ5の取り付けに関して優位点を有するが、残りの壁厚が僅かでしかないことに起因して、スパークプラグ・スリーブ4を弱める。
【0034】
図1cは、本実施形態のスパークプラグ・スリーブ4を示す斜視図である。
【0035】
図2a〜図2cは、さらなる実施形態による、シリンダヘッド2(不図示)へ挿入するためのスパークプラグ・スリーブ4を示す様々な図である。この場合もやはり、空洞7は、スパークプラグ・スリーブ4によって形成される。図1a〜図1cの実施形態では、空洞7が、その最大直径によって、スパークプラグを受け入れるためのボア、さらに予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるためのボアの双方に外接する円筒部分を有するが、本実施形態において、空洞7の最大直径は、もはやスパークプラグ・スリーブ4のボア全体を包囲しない。そうではなく、予燃焼室ガスバルブ5のボア10は、その上側部分が、最大直径であるスパークプラグのボア11を通り抜ける。これは、特に、図2bおよび図2cにおける図から明白となるであろう。したがって、平面図(図2b)では、予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるためのボア10と、スパークプラグ6を受け入れるためのボアとが重なり合っている。
【0036】
図3a〜図3cは、シリンダヘッド2(不図示)へ挿入するためのスパークプラグ・スリーブ4のさらなる実施形態を示す。この場合もやはり、空洞7は、スパークプラグ・スリーブ4によって形成される。
【0037】
この場合も、予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるためのボア(穴)は、空洞7の最大直径部によって外接されていない。言い替えれば、この場合もやはり、スパークプラグ6を受け入れるためのボアおよび予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるためのボアは、互いに通り抜け合う。図2a〜図2cに示されている実施形態に比較すると、この場合の空洞7は、輪郭が変更されている。この場合、空洞7の輪郭は、スパークプラグ6および予燃焼室ガスバルブ5を受け入れるための円筒ボアが互いに滑らかに混和し合うような形状である。言い替えれば、図2a〜図2cの実施形態における鋭い移行部が、ここでは、2つのボアの移行部における滑らかな丸みに代わっている。
【0038】
図4aは、スパークプラグ・スリーブ4に沿った断面を示していて、断面は、予燃焼室ガスバルブ5へのガス供給をはっきりと例示するように位置合わせされている。図4bには、断面線が略示されている。
【0039】
ガス供給路12は、予燃焼室ガスバルブ5を囲む壁10と予燃焼室ガスバルブ5の外部輪郭との間に形成される環状通路13内へ開放されている。言い替えれば、ボア10は、予燃焼室ガスバルブ5と共に、ガス供給路12がその内部へと開放される環状通路13を形成する。
【0040】
流入するガスは、壁10および予燃焼室ガスバルブ5により形成される環状通路13から予燃焼室ガスバルブ5内へと一様に案内される。ここに例示されている実施形態において、壁10は、やはりスパークプラグ・スリーブ4の壁によって形成される。
【0041】
図4cは、スパークプラグ・スリーブ4に沿った縦断面を示している。断面線は、図4dに見ることができる。図4cから分かるように、この場合のセクショニングは、ガス供給路12の、対称軸S1に対して平行に延びる部分も見ることができるように選択されている。
【0042】
図4eは、予燃焼室ガスバルブ5およびそのガス供給の配置を示す等角斜視図である。ガス供給は、ガス供給路12の水平部分および垂直部分によって提供される。
【0043】
図5aは、予燃焼室ガスバルブ5を示す断面図である。予燃焼室ガスバルブ5は、シリンダヘッド2(不図示)により形成される空洞7へ、またはスパークプラグ・スリーブ4(不図示)により形成される空洞7へ嵌合されることが可能である。したがって、空洞7は、シリンダヘッド2内へ直に設けられるか、スパークプラグ・スリーブ4内に設けられる、かつ予燃焼室ガスバルブ5を収容することができる開口である。
【0044】
環状通路13が、空洞7の壁10と予燃焼室ガスバルブ5の外部輪郭との間に形成されることをはっきりと見ることができる。壁10は、シリンダヘッド2自体、または、シリンダヘッド2内へ嵌合されるスパークプラグ・スリーブ4の何れかによって形成されることが可能である。この可能性は、図1図4に示されている実施形態によって説明される。
【0045】
バルブニードル14は、ばね15によってその座にブレース(支持、固定)される。キャップ16は、ばね15を包含し、かつバルブニードル14へ例えばビーム溶接によって連接される。
【0046】
プラグ17は、閉鎖して予燃焼室ガスバルブ5を上側へ密封する。空洞7に対する環状通路13のシーリングは、O−リング18によって半径方向に実行される。これらのO−リングは、突起19によって形成される環状の受容手段内に配置される。したがって、ここに示されている予燃焼室ガスバルブ5のシーリング概念は、予燃焼室ガスバルブ5のシーリングが半径方向に実行される、換言すれば、予燃焼室ガスバルブ5の外面によって実行されることを規定する。
【0047】
図5bは、空間23が、予燃焼室3へ向かって狭まるまさに略洋梨形の構造である、図5aの変形例を示している。この構造は、流体の観点から特に効果的である。
【符号の説明】
【0048】
1:内燃機関
2:シリンダヘッド
3:予燃焼室
4:スパークプラグ・スリーブ
5:予燃焼室のガスバルブ
6:スパークプラグ
7:空洞
8:通路
9:フロー移動ボア
10:空洞7の壁
11:スパークプラグのボア
12:ガス供給路
13:環状通路
14:バルブニードル
15:バルブばね
16:キャップ
17:プラグ
18:O−リング
19:突起
20:ガス通路
21:予燃焼室ガスバルブの下部空洞
22:予燃焼室ガスバルブの上部空洞
23:空間
25:バルブ本体
S1:対称軸
S2:対称軸
図1a-c】
図2a-c】
図3a-c】
図4a-b】
図4c-d】
図4e
図5a
図5b