特許第6307105号(P6307105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6307105ガス使用量の予測システムおよび予測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307105
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】ガス使用量の予測システムおよび予測方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20180326BHJP
【FI】
   G06Q50/06ZJE
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-47110(P2016-47110)
(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公開番号】特開2017-162276(P2017-162276A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2016年3月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595058808
【氏名又は名称】日本瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 眞治
(72)【発明者】
【氏名】出構 眞吾
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−199552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家ごとに、当該需要家が使用し得るガス消費設備の情報を管理する記憶部であって、前記ガス消費設備の情報には、前記ガス消費設備と当該ガス消費設備の予測使用量とを含む、記憶部と、
通信端末から、需要家のガス消費設備の変更情報を受け付ける受付部であって、前記変更情報は、ガス消費設備の台数の変更日を含む、受付部と、
前記変更情報に含まれる前記ガス消費設備の台数の変更日として、当該ガス消費設備の取り付け日または取り外し日を、前記記憶部の前記ガス消費設備の情報において、前記需要家が使用し得るガス消費設備に関連付けて設定して当該ガス消費設備の情報を更新する更新部と、
更新前のガス消費設備の情報と更新後のガス消費設備の情報とに基づいて、前記取り付け日または取り外し日から台数が増減するガス消費設備のガス使用量の変化率を算出する算出部であって、前記ガス消費設備の前記ガス使用量の変化率は、前記増減するガス消費設備の台数分の前記予測使用量に基づくものである、算出部と、
前記変化率に基づいて、前記取り付け日または取り外し日を基準日にした前記需要家のガス消費量を予測する予測部であって、前記ガス消費量の予測は、あらかじめ設定されている前記需要家の一日当たりのガス使用量に対して前記算出されたガス消費設備の前記ガス使用量の変化率を用いることにより行う、予測部
を含むことを特徴とする予測システム。
【請求項2】
コンピューターが実行する予測方法であって、
前記コンピューターは、需要家ごとに、当該需要家が使用し得るガス消費設備の情報を管理する記憶部であって、前記ガス消費設備の情報には、前記ガス消費設備と当該ガス消費設備の予測使用量とを含む、記憶部を備えており、
通信端末から、需要家のガス消費設備の変更情報を受け付けるステップであって、前記変更情報は、ガス消費設備の台数の変更日を含む、ステップと、
前記変更情報に含まれる前記ガス消費設備の台数の変更日として、当該ガス消費設備の取り付け日または取り外し日を、前記記憶部の前記ガス消費設備の情報において、前記需要家が使用し得るガス消費設備に関連付けて設定して当該ガス消費設備の情報を更新するステップと、
更新前のガス消費設備の情報と更新後のガス消費設備の情報とに基づいて、前記取り付け日または取り外し日から台数が増減するガス消費設備のガス使用量の変化率を算出するステップであって、前記ガス消費設備の前記ガス使用量の変化率は、前記増減するガス消費設備の台数分の前記予測使用量に基づくものである、ステップと、
前記変化率に基づいて、前記取り付け日または取り外し日を基準日にした前記需要家のガス消費量を予測するステップであって、前記ガス消費量の予測は、あらかじめ設定されている前記需要家の一日当たりのガス使用量に対して前記算出されたガス消費設備の前記ガス使用量の変化率を用いることにより行う、ステップ
を含むことを特徴とする予測方法。
【請求項3】
請求項2に記載の予測方法をコンピューターに実行させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油(LP:Liquefied Petroleum)ガス使用量の予測を行うためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス容器内の残ガス量を低減しかつガス切れ率を低くするためのシステムが知られている。例えば、公知のシステムでは、ユーザー(需要家)の当月1日分のガスの平均使用量を求め、ガス容器内のガスが切れる前にガス容器を配送できるように当該需要家の将来のガス使用量を予測計算するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−329159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムは、需要家の当月1日分のガスの平均使用量を求め、当該需要家の将来のガス使用量を予測計算する。しかしながら、ガス消費設備の機種変更や新規購入などで、需要家が使用するガス消費設備が異なれば需要家のガス使用量が異なってくるため、従来のシステムでは、予測値の精度が低下するという問題があった。
【0005】
上述した観点に鑑み、本発明の目的は、需要家が有するガス消費設備に対応したガス使用量の予測計算を行うことができる予測システムおよび予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、需要家ごとに、当該需要家が使用し得るガス消費設備の情報を管理する記憶部であって、前記ガス消費設備の情報には、前記ガス消費設備と当該ガス消費設備の予測使用量とを含む、記憶部と、通信端末から、需要家のガス消費設備の変更情報を受け付ける受付部であって、前記変更情報は、ガス消費設備の台数の変更日を含む、受付部と、前記変更情報に含まれる前記ガス消費設備の台数の変更日として、当該ガス消費設備の取り付け日または取り外し日を、前記記憶部の前記ガス消費設備の情報において、前記需要家が使用し得るガス消費設備に関連付けて設定して当該ガス消費設備の情報を更新する更新部と、更新前のガス消費設備の情報と更新後のガス消費設備の情報とに基づいて、前記取り付け日または取り外し日から台数が増減するガス消費設備のガス使用量の変化率を算出する算出部であって、前記ガス消費設備の前記ガス使用量の変化率は、前記増減するガス消費設備の台数分の前記予測使用量に基づくものである、算出部と、前記変化率に基づいて、前記前記取り付け日または取り外し日を基準日にした前記需要家のガス消費量を予測する予測部であって、前記ガス消費量の予測は、あらかじめ設定されている前記需要家の一日当たりのガス使用量に対して前記算出されたガス消費設備の前記ガス使用量の変化率を用いることにより行う、予測部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、需要家が有するガス消費設備に対応したガス使用量の予測計算を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るサーバーを含む全体的なシステム構成例を示す模式図である。
図2】サーバーの構成例を示すブロック図である。
図3】サーバーの記憶装置に格納された顧客情報の一例を示す図である。
図4】サーバーの全体動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態におけるサーバー10を含むシステムの概要構成を説明する。このシステムは、需要家が備えるガス消費設備の情報を記憶しておき、記憶したガス消費設備の情報に応じたガス使用量を予測計算するものである。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るサーバー10を含むシステム全体の構成例を示す模式図である。
【0011】
図1において、サーバー(予測システム)10は、通信ネットワーク50を介して、需要家のガスメータ20−1,20−2,・・・,20−N(Nは整数)と通信可能に構成されている。なお、各ガスメータ20−1,20−2,・・・,20−Nは、同様の構成を有しているので、以降の説明では説明の便宜上、ガスメータ20と適宜総称する。
【0012】
ガスメータ20は、定期的に、メータ指針値をサーバー10へ自動送信する。この実施形態では、ガスメータ20は、毎月の検針時のメータ指針値をサーバー10へ送信するようになっているので、サーバー10は、各月のメータ指針値に基づいて、1日当たりのガス使用量を算出することができるようになっている。
【0013】
クライアントコンピューター30は、例えば各配送拠点の配送を一元で管理する配送センターに設置され、配送センターの利用者によって使用される端末である。利用者は、クライアントコンピューター30を介してサーバー10に接続し、配送状況の確認、配送データの作成指示など、配送業務を専用で行う。なお、クライアントコンピューター30の設置場所は、例えば配送拠点などとしてもよい。
【0014】
通信ネットワーク50と接続可能な通信端末40は、例えば、携帯電話機、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assist)、小型ノートパソコンなどの端末である。
【0015】
[サーバーの構成]
図2は、サーバー10の構成例を示すブロック図である。なお、図2では、単一のコンピュータシステムが採用される場合について説明するが、サーバー10が複数のコンピュータシステムによる多機能の分散システムの一部として構成されることもあり得る。
【0016】
図2に示すように、サーバー10は、CPU(Central Processing Unit)301、システムバス302、RAM(Random Access Memory)303、入力装置304、出力装置305、通信制御装置306および記憶装置(記憶部)307を有する。
【0017】
CPU301は、各構成要素とシステムバス302で接続されて制御信号やデータの転送処理を行うとともに、サーバー10全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラムの実行、演算処理等を行う。
【0018】
RAM303には、データやコンピュータープログラムを一時的に記憶するための記憶領域が設けられる。
【0019】
記憶装置307は、ROMやHDDなどの不揮発性記憶媒体で構成され、コンピュータープログラムを格納するプログラム格納領域と、随時取得するデータや処理結果としてのデータなどを格納するデータ格納領域とを備える。このような記憶装置307に代えて、クラウドサービスを用いて必要なプログラムおよびデータを取り込むことももちろん可能である。
【0020】
記憶装置307のプログラム格納領域からコンピュータープログラムがRAM303の記憶領域に読み出されてCPU301によって当該コンピュータープログラムが実行されることにより、CPU301は後述する各部31〜34の機能を実現する。
【0021】
CPU301は、図2に示すように、受付部31、更新部32、算出部33および予測部34を備える。
【0022】
受付部31は、需要者のガス消費設備の変更情報を受け付ける。この処理については、後記で詳細に説明する。
【0023】
更新部32は、受付部31によって受け付けられた変更情報に応じて、記憶装置307の後述する「ガス消費設備」の情報を更新する。この処理については、後記で詳細に説明する。
【0024】
算出部33は、更新前のガス消費設備の情報と更新後のガス消費設備の情報とに基づいて、更新前のガス消費設備のガス使用量に対する、更新後のガス消費設備のガス使用量の変化率を算出する。この処理については、後記で詳細に説明する。
【0025】
予測部34は、算出部33によって算出された変化率に基づいて、更新後のガス消費設備を使用する需要家が消費し得るガス消費量を予測する。この処理については、後記で詳細に説明する。
【0026】
図3は、サーバー10の記憶装置307に格納された顧客情報の構成例を示す図であって、(a)は顧客管理テーブル3071のデータ構成、(b)はガス消費設備のテーブル3072のデータ構成、を示す。
【0027】
図3(a)に示すように、顧客管理テーブル3071は、需要家の顧客情報を管理する。この顧客情報は、例えば、需要家の顧客を識別するための「顧客ID」と、ガスメータ20を識別するための「メータ番号」と、需要家のガス容器のエリアを示す「エリア」と、需要家が有するガス消費設備を示すための「ガス消費設備」と、そのガス消費設備の「設置日/取外日」等とを含む。図3(a)では、対応するガス消費設備(例えば、「エアコン」、「ファンヒータ」、「ガスヒートポンプ」)が設置された「設置日」が登録され、この「設置日」から当該ガス消費設備は使用可能となる。なお、「取外日」は、設置済のガス消費設備が取り外された日として登録され、この「取外日」から当該ガス消費設備は使用不可となる。
【0028】
なお、顧客管理テーブル3071はさらに、「ガス消費設備」の台数も管理する。
【0029】
図3(b)に示すように、管理テーブル3072は、ガス消費設備のガス消費量を管理する。図3(b)では、ガス消費設備と予測使用量(ガス使用量)とが対応付けられて管理される。ガス消費設備は、エアコン、ファンヒータ、ガスヒートポンプ(冷暖房)等を含む。
【0030】
[サーバーの処理]
次に、需要家が使用するガス消費設備の変更情報に応じた需要家のガス使用量を予測する処理方法について図1〜4を参照して説明する。図4は、サーバー10の全体処理例を示すフローチャートである。
【0031】
図4において先ず、例えば通信端末40から、需要家が使用するガス消費設備の変更情報を送信した場合、サーバー10のCPU301は、その変更情報を受け付ける(ステップS101)。ここで、変更情報は、需要家のガス消費設備の変更(機種、台数、新規など)を示すための情報であればよい。例えば、かかる情報としては、需要家の顧客ID、ガス消費設備を示すためのID、ガス消費設備の台数、および変更日等を含めること等が考えられる。
【0032】
ここで、ステップS101において、CPU301は、受付部31として機能する。
【0033】
次に、CPU301は、ステップS101で受け付けられた変更情報に応じて、記憶装置307のガス消費設備の情報を更新する(ステップS102)。この実施形態では、ガス消費設備の情報は、顧客管理テーブル3071に記憶されているので、CPU301は、変更情報に応じて、対応する「顧客ID」の「ガス消費設備」の情報を更新する。
【0034】
ここで、ステップS102において、CPU301は、算出部32として機能する。
【0035】
CPU301は、更新前のガス消費設備の情報と更新後のガス消費設備の情報とに基づいて、更新前のガス消費設備のガス使用量に対する、更新後のガス消費設備のガス使用量の変化率を算出する(ステップS103)。変化率は、更新前のガス消費設備のガス使用量に対する、更新後のガス消費設備のガス使用量の変化率を示すものであればよい。例えば、かかる変化率として、顧客管理テーブル3071に登録済みの「ガス消費設備」の台数を追加したときは、その追加分(図3(b)のガス消費設備の予測使用量)に対応する増加率を示すことや、ガス消費設備の機種を変更したときは、その機種変更に伴う増加率または減少率を示すこと等が考えられる。
【0036】
ここで、ステップS103において、CPU301は、算出部33として機能する。
【0037】
CPU301は、S103で計算されたガス使用量の変化率に基づいて、更新後のガス消費設備を使用する前記需要家が消費し得るガス消費量を予測する(ステップS104)。
【0038】
この場合、CPU301は、あらかじめ登録されている需要家の一日当たりの平均ガス消費量B(m3/日)に対して、ステップS103で算出された変化率を加算し、需要家によってそのガス消費設備が使用されたときのガス使用量を計算する。これにより、最新のガス消費設備に応じたガス消費量の予測計算が可能となる。
【0039】
ここで、ステップS104において、CPU301は、予測部34として機能する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のサーバー10は、需要者のガス消費設備の変更情報に応じて、更新前(変更前)のガス消費設備の情報と更新後(変更後)のガス消費設備の情報とに基づいて、更新前のガス消費設備のガス使用量に対する、更新後のガス消費設備のガス使用量の変化率を算出し、変化率に基づいて、更新後のガス消費設備を使用する前記需要家が消費し得るガス消費量を予測する。ここで、需要家のガス使用量の予測値は、需要家が使用し得るガス消費設備のガス使用量を反映される。この点で、このサーバー10によれば、より正確なガス消費量の予測を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
20 ガスメータ
31 受付部
32 更新部
33 算出部
34 予測部
10 サーバー
307 記憶装置
301 CPU
図1
図2
図3
図4