(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キヌレニナーゼが霊長類またはヒトのキヌレニナーゼであり、霊長類のキヌレニナーゼが、配列番号8及び10〜12のいずれかに対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、キヌレニナーゼ活性を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
キヌレニナーゼが、単離された、修飾されたヒトキヌレニナーゼ酵素であって、前記修飾された酵素が、ネイティブなヒトキヌレニナーゼ(配列番号8を参照)に比べて少なくとも1つの置換を有し、前記少なくとも1つの置換が、ネイティブなヒトキヌレニナーゼの306位に通常見いだされるPheに対するMetまたはLeuによる置換を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記製剤が、腫瘍内に、静脈内に、皮内に、動脈内に、腹腔内に、病変内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸膜腔内に、気管内に、眼内に、鼻内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、筋肉内に、皮下に、結膜下に、小嚢内に(intravesicularlly)、粘膜に、心膜内に、臍内に、経口で、吸入によって、注射によって、点滴によって、持続点滴によって、標的細胞を直接浸す局所潅流によって、カテーテルを介して、または洗浄を介して投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
前記キヌレニナーゼが細菌のキヌレニナーゼであり、前記細菌のキヌレニナーゼが、配列番号7、13〜52、及び57のいずれかに対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、キヌレニナーゼ活性を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0038】
例証となる実施形態の記述
キヌレニンは、インドールアミン―2,3−ジオキシゲナーゼ(IDO)またはトリプトファン−2,3−ジオキシゲナーゼ(TDO)の作用を介して生成されるアミノ酸、トリプトファンの代謝産物である。キヌレニンは細胞生理学に対して複数の効果を発揮し、その最も重要なものの1つがT細胞応答の調節である。多数の腫瘍細胞はIDO及び/またはTDOの合成を調節してキヌレニンの局所濃度を高め、それにはトリプトファンの枯渇が伴う。高レベルのキヌレニンは、さもなければ腫瘍を攻撃することになる腫瘍浸潤T細胞の機能を阻害する強力な方法として働く。
【0039】
本発明は、腫瘍の微細環境と同様に血清における局所のキヌレニンのレベルを枯渇させるのでT細胞の作用の腫瘍が介在する抑制を妨げる手段としてキヌレニンを分解させる酵素の使用方法を提供する。キヌレニン加水分解酵素(キヌレニナーゼ)はキヌレニンをアラニンとアントラニル酸に変換し、その後者はT細胞機能に影響することは知られていない。本発明者らは、キヌレニナーゼ酵素の医薬製剤を生成し、生理的条件下で酵素が長時間持続することを可能にした。次いで本発明者らは、酵素の腫瘍内投与がマウスにて悪性腫瘍の増殖の劇的な遅延を生じることを示した。
【0040】
I.定義
本明細書で使用されるとき、用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」はペプチド結合を介して連結されるアミノ酸を含む化合物を指し、相互交換可能に使用される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「融合タンパク質」は、ネイティブではない方法で機能的に連結されたタンパク質またはタンパク質断片を含有するキメラタンパク質を指す。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「半減期(1/2−ライフ)」は、たとえば、哺乳類での注射の後、インビトロまたはインビボでそのポリペプチドの濃度が半分になるのに必要とされる時間を指す。
【0043】
用語「機能的な組み合わせ」、「機能的な順」及び「機能的に連結される」は、そのように記載される成分がそれらが意図される方法で機能するのを可能にする関係にある結合、たとえば、核酸分子が、所与の遺伝子の転写及び/または所望のタンパク質分子の合成を指向することが可能であるような方法での核酸配列の結合、または融合タンパク質が作出されるような方法でのアミノ酸配列の結合を指す。
【0044】
用語「リンカー」は2つの異なる分子を機能的に連結する分子架橋として作用する化合物または部分を指すことにし、その際、リンカーの一方の部分は第1の分子に機能的に連結され、リンカーの別の部分は第2の分子に機能的に連結される。
【0045】
用語「ペグ化」は、その高度な生体適合性と修飾の容易さを考えて薬剤キャリアとして広く使用されているポリエチレングリコール(PEG)とのコンジュゲーションを指す。PEGは化学法によってPEG鎖の末端のヒドロキシ基を介して活性剤に結合(たとえば、共有結合)することができるが、PEG自体は分子当たり多くても2つの活性剤に限定される。異なるアプローチでは、PEGとアミノ酸のコポリマーがPEGの生体適合性を保持するが、分子当たりの多数の連結点という追加の利点を有し(従って、大きな薬剤負荷を提供し)、種々の適用に合うように合成で設計することができる新規の生体材料として研究されている。
【0046】
用語「遺伝子」はポリペプチドまたはその前駆体の作出に必要な制御配列及びコーディング配列を含むDNA配列を指す。ポリペプチドは、所望の酵素活性が保持されるように完全長のコーディング配列によってまたはコーディング配列の一部によってコードされ得る。
【0047】
用語「ネイティブな」は、天然に存在する供給源から単離された場合の遺伝子、遺伝子産物、またはその遺伝子、遺伝子産物の特徴の典型的な形態を指す。ネイティブな形態は、天然の集団で最も頻繁に観察されるので正常または野生型の形態と任意で呼ばれるものである。対照的に用語「修飾された」、「改変体」または「変異体」は、ネイティブな遺伝子または遺伝子産物と比べた場合、配列及び機能的な特性で修飾(すなわち、変化した特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。
【0048】
用語「ベクター」は、それが複製され得る場合、細胞への導入のためにその中に核酸配列を挿入することができるキャリア核酸分子を指すのに使用される。核酸配列は、ベクターが導入されている細胞に対して外来性であることを意味する、または配列が、配列が普通は見いだされない宿主細胞の核酸の中での一部以外の細胞における配列と相同であることを意味する「外因性」であることができる。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、及び人工染色体(たとえば、YAC)が挙げられる。当業者は標準の組換え法を介してベクターを構築するのに必要なものを十分に持っている(たとえば、双方とも参照によって本明細書に組み入れられるManiatisら,1988及びAusubelら,1994)。
【0049】
用語「発現ベクター」は転写されることが可能であるRNAをコードする核酸を含む遺伝子構築物の型を指す。場合によっては、次いでRNA分子はタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳される。他の場合では、たとえば、アンチセンス分子またはリボザイムの作出ではこれらの配列は翻訳されない。発現ベクターは、特定の宿主細胞における機能的に連結されたコーディング配列の転写及び考えられる翻訳に必要な核酸配列を指す種々の「制御配列」を含有することができる。転写及び翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクター及び発現ベクターは、他の機能を果たすと共に以下で記載される核酸配列を含有してもよい。
【0050】
用語「治療上有効な量」は本明細書で使用されるとき、治療効果を達成するのに方法で採用される細胞及び/または治療用組成物(たとえば、治療用ポリヌクレオチド及び/または治療用ポリペプチド)の量を指す。用語「治療上の利益」または「治療上有効な」は本出願全体を通して使用されるとき、この状態の医学治療に関して対象の満足できる状態を助長するまたは向上させるものを指す。これには、疾患の兆候または症状の頻度または重症度の低下が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、癌の治療には、たとえば、腫瘍サイズの低下、腫瘍の侵襲性の低下、癌の増殖速度の低下、または転移の予防が関与してもよい。癌の治療は癌の対象の生存を延長することも指してもよい。
【0051】
用語「K
M」は本明細書で使用されるとき、酵素についてのミカエリス−メンテン定数を指し、酵素が触媒する反応にて所与の酵素が最大速度の半分の速度を与える特定の基質の濃度として定義される。用語「k
cat」は本明細書で使用されるとき、各酵素部位が単位時間当たり生成物に変換する代謝回転数または基質分子の数を指し、酵素は最大効率で作用している。用語「k
cat/K
M」は本明細書で使用されるとき、特異性定数であり、酵素がどれくらい効率的に基質を生成物に変換するかの評価基準である。
【0052】
用語「キメラ抗原受容体(CAR)」は本明細書で使用されるとき、人工のT細胞受容体、キメラT細胞受容体、またはキメラ免疫受容体を指し、たとえば、特定の免疫エフェクター細胞に人工の特異性を移植する操作された受容体を包含する。CARを採用してモノクローナル抗体の特異性をT細胞に付与し、それによって、たとえば、養子細胞療法での使用のための多数の特異的なT細胞が生成されるのを可能にする。特定の実施形態では、CARは、たとえば、細胞の特異性を腫瘍関連抗原に向ける。一部の実施形態では、CARは、細胞内活性化ドメイン、膜貫通ドメイン及び腫瘍関連抗原の結合領域を含む細胞外ドメインを含む。特定の態様では、CD3ζの膜貫通及びエンドドメインに融合させた、モノクローナル抗体(その全体が参照によって本明細書に組み入れられるUS7,109,304に記載されたもののような)に由来する単鎖可変断片(scFv)の融合体を含む。他のCARの設計の特異性は受容体のリガンド(たとえば、ペプチド)またはデクチンのようなパターン認識受容体に由来してもよい。特定の実施形態では、B細胞系列分子、CD19に特異的なCARを用いて、T細胞の特異性を向け直すことによって悪性B細胞を標的とすることができる。特定の場合では、抗原認識ドメインの間隔を修飾して活性化が誘導する細胞死を減らすことができる。特定の場合では、CARは、たとえば、CD3−ζ、FcR、CD27、CD28、CD137、DAP10、及び/またはOX40のような追加の同時刺激シグナル伝達についてのドメインを含む。一部の場合では、同時刺激分子、画像化(たとえば、ポジトロン放出断層撮影のための)用のレポーター遺伝子、プロドラッグの添加の際、条件付きでT細胞を除去する遺伝子産物、ホーミング受容体、ケモカイン、ケモカイン受容体、サイトカイン及びサイトカイン受容体を含む分子をCARと共に同時発現させることができる。
【0053】
「治療」及び「治療すること」は、疾患または健康関連の状態の治療上に利益を得る目的での対象への治療剤の投与若しくは塗布、または対象における処置またはモダリティの実施を指す。たとえば、治療には、薬学上有効な量のキヌレニナーゼの投与が含まれてもよい。
【0054】
「対象」及び「患者」はヒトまたは非ヒト、たとえば、霊長類、哺乳類及び脊椎動物のいずれかを指す。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0055】
II.キヌレニナーゼポリペプチド
一部の実施形態は修飾されたタンパク質及びポリペプチドに関する。特定の実施形態は、未修飾の型に匹敵する少なくとも1つの機能的活性、好ましくはキヌレニン分解活性または3'−ヒドロキシキヌレニン分解活性を示す修飾されたタンパク質及びポリペプチドに関する。さらなる態様では、タンパク質またはポリペプチドはさらに修飾されて血清での安定性を高めてもよい。従って、本出願が「修飾されたタンパク質」または「修飾されたポリペプチド」の機能または活性を指す場合、当業者は、これが、たとえば、キヌレニン分解活性または3'−ヒドロキシキヌレニン分解活性のような未修飾のタンパク質またはポリペプチドを超える追加の利点を保有するタンパク質またはポリペプチド含むことを理解することになる。特定の実施形態では、未修飾のタンパク質またはポリペプチドはネイティブなキヌレニナーゼ、好ましくはヒトのキヌレニナーゼまたはシュードモナス・フルオレッセンスのキヌレニナーゼである。「修飾されたタンパク質」に関する実施形態は「修飾されたポリペプチド」に関して実施されてもよく、逆もまた同様であることが特に企図される。
【0056】
活性の測定は、特にタンパク質の活性に関して当業者に精通したアッセイを用いて達成されてもよく、比較目的で、修飾されたまたは未修飾のタンパク質またはポリペプチドの天然の型及び/または組換えの型の使用が含まれてもよい。
【0057】
特定の実施形態では、修飾されたポリペプチド、たとえば、修飾されたキヌレニナーゼは、キヌレニン分解活性及び/または3'−ヒドロキシキヌレニン分解活性の上昇に基づいて特定されてもよい。たとえば、未修飾のポリペプチドの基質認識部位が特定されてもよい。この特定は構造解析または相同性解析に基づいてもよい。そのような基質認識部位の修飾を含む変異体の集団が生成されてもよい。さらなる実施形態では、高いキヌレニン分解活性を持つ変異体を変異体集団から選択してもよい。所望の変異体の選択には、たとえば、キヌレニン分解からの副産物または産物の検出のような方法が挙げられ得る。
【0058】
修飾されたタンパク質はアミノ酸の欠失及び/または置換を保有し得るので;欠失のあるタンパク質、置換のあるタンパク質、及び欠失と置換のあるタンパク質は修飾されたタンパク質である。一部の実施形態では、これらの修飾されたタンパク質はさらに、たとえば、融合タンパク質を伴ったまたはリンカーを持つタンパク質のように挿入または付加されたアミノ酸をふくんでもよい。「修飾された欠失タンパク質」はネイティブなタンパク質の1つ以上の残基を欠くが、ネイティブなタンパク質の特異性及び/または活性を保有し得る。「修飾された欠失タンパク質」は低下した免疫原性または抗原性も有し得る。修飾された欠失タンパク質の例は、少なくとも1つの抗原性領域、すなわち、修飾されたタンパク質を投与され得る生物の種類のような特定の生物にて抗原性であると決定されたタンパク質の領域から欠失させたアミノ酸残基を有するものである。
【0059】
置換または置き換えの改変体は通常、タンパク質の中での1つ以上の部位にて1つのアミノ酸の別のアミノ酸との交換を含有し、ポリペプチドの1つ以上の特性、特にエフェクター機能及び/または生物利用効率を調節するように設計され得る。置換は、1つのアミノ酸が類似の形状及び電荷のもので置き換えられる保存的なものであってもよいし、そうでなくてもよい。保存的置換は当該技術で周知であり、たとえば、アラニンのセリンへの;アルギニンのリジンへの;アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの;アスパラギン酸のグルタミン酸への;システインのセリンへの;グルタミンのアスパラギンへの;グルタミン酸のアスパラギン酸への;グリシンのプロリンへの;ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの;イソロイシンのロイシンまたはバリンへの;ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの;リジンのアルギニンへの;メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの;フェニルアラニンのチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの;セリンのスレオニンへの;スレオニンのセリンへの;トリプトファンもチロシンへの、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの;及びバリンのイソロイシンまたはロイシンへの交換が挙げられる。
【0060】
欠失または置換に加えて、修飾されたタンパク質は残基の挿入を保有してもよく、それには通常ポリペプチドにおける少なくとも1つの残基の付加が関与する。これには、ターゲティングペプチド若しくはポリペプチドまたは単に単一の残基の挿入が含まれ得る。融合タンパク質と呼ばれる末端付加は以下で議論する。
【0061】
用語「生物学的に機能的な同等物」は当該技術でよく理解されており、本明細書でさらに詳細に定義される。従って、タンパク質の生物活性が維持されるという条件で、対照ポリペプチドに対して同一であるまたは機能的に同等であるアミノ酸の約70%〜約80%の間、約81%〜約90%の間、またはさらに約91%〜約99%の間を有する配列が含まれる。修飾されたタンパク質は特定の態様ではネイティブな対応物に対して生物学的に機能的に同等であってもよい。
【0062】
アミノ酸配列及び核酸配列は、タンパク質発現に関心がある場合、配列が、生物学的なタンパク質活性の維持を含む上記で述べられた基準を満たす限り、追加のN末端若しくはC末端のアミノ酸または5'若しくは3'配列のような追加の残基を含んでもよく、本明細書で開示される配列の1つでまた本質的に述べられ得ることが理解されるであろう。末端配列の付加は、たとえば、コーディング領域の5'若しくは3'部分のいずれかに隣接する種々の非コーディング配列を含んでもよい、または遺伝子内で存在することが知られる種々の内部配列、すなわち、イントロンを含んでもよい核酸配列に特に適用される。
【0063】
III.治療法のためのキヌレニンの酵素的分解
特定の態様では、ポリペプチドは、キヌレニンの枯渇に感受性である癌を含む疾患のキヌレニンを枯渇させる酵素による治療に使用されて腫瘍が介在する寛容原性の効果を妨げ、代わりに腫瘍除去型の炎症誘発性反応に介在する。特定の態様では、キヌレニナーゼは、IDO1、IDO2及び/またはTDOを発現している腫瘍を治療することにおける使用について企図される。
【0064】
本発明の特定の態様は腫瘍のような疾患を治療するための修飾されたキヌレニナーゼを提供する。特に、修飾されたポリペプチドはヒトのポリペプチド配列を有してもよいのでヒト患者におけるアレルギー反応を防いでもよく、反復投与を可能にし、治療有効性を高める。
【0065】
本治療法が有用である腫瘍には、固形腫瘍または血液腫瘍で見いだされるもののような悪性の細胞型が挙げられる。例となる固形腫瘍には、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭、頸、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、黒色腫、前立腺及び乳腺から成る群から選択される臓器の腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。例となる血液腫瘍には、骨髄の腫瘍、TまたはB細胞の悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽腫、骨髄腫等が挙げられる。本明細書で提供される方法を用いて治療され得る癌のさらなる例には、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、白血病、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃の癌または胃癌(胃腸の癌及び胃腸の間質癌を含む)、膵臓癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎臓の癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、頭頚部の種々の癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端性黒子性黒色腫、結節黒色腫、並びにB細胞リンパ腫(低度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中等度/濾胞性NHL;中等度/びまん性NHL;高度/免疫芽性NHL;高度/リンパ芽球性NHL;高度非切断小細胞型NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
癌は具体的には、これらに限定されないが、以下の組織学的な型のものであり得る:新生物、悪性;癌腫;未分化癌腫;巨大紡錘細胞癌腫;小細胞癌;乳頭癌腫;扁平上皮癌腫;リンパ上皮癌腫;基底細胞癌腫;石灰化上皮癌腫;移行細胞癌腫;乳頭移行細胞癌腫;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;複合肝細胞癌及び胆管癌;索状腺癌;腺様濾胞癌腫;腺腫様ポリープにおける腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌腫;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞上皮腺癌;乳頭腺癌;嫌色素性細胞癌腫;好酸性癌腫;好酸性腺癌;好塩基性癌腫;明細胞腺癌;顆粒細胞癌腫;濾胞性腺癌;乳頭及び濾胞性腺癌;非被包性硬化性癌腫;副腎皮質癌腫;類内膜癌腫;皮膚付属器癌腫;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘膜表皮癌腫;嚢胞腺癌;乳頭嚢胞腺癌;乳頭漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌腫;浸潤性導管癌腫;髄様癌腫;小葉癌腫;炎症性癌腫;パジェット病、乳腺;腺房細胞癌腫;腺扁平上皮癌腫;腺癌/扁平上皮化生;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫瘍、悪性;卵胞膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫瘍、悪性;男性胚腫、悪性;セルトリ細胞癌腫;ライディッヒ細胞腫瘍、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳腺外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロームス血管腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂質肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胚性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胚性癌腫;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌腫;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉軟骨肉腫;骨の巨細胞腫瘍;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣細胞腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽細胞腫;乏突起膠腫;乏突起膠腫;原始神経外胚葉腫瘍;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽腫;網膜芽腫;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;及びヘアリー細胞性白血病。
【0067】
キヌレニナーゼは、腫瘍組織からキヌレニン及び/または3'−ヒドロキシキヌレニンを枯渇させる種々のモダリティにて、または癌の哺乳類の循環にて、またはその枯渇が望ましいとみなされる場合のキヌレニンの枯渇のために抗腫瘍剤として本明細書で使用されてもよい。
【0068】
枯渇は、哺乳類の循環においてインビボで、組織培養または他の生物学的培地におけるキヌレニン及び3'−ヒドロキシキヌレニンの枯渇が望まれる場合インビトロで、及び生物学的な流体、細胞または組織が生体外で操作され、その後患者哺乳類の体に戻されるエクスビボ処置にて実施することができる。循環、培養培地、生物学的流体、または細胞からのキヌレニンの枯渇を行って、治療される物質にアクセスできるキヌレニンの量を減らすので、キヌレニンの枯渇は、接触される物質における周囲のキヌレニンを分解するようにキヌレニンを枯渇させる条件下で、キヌレニンを枯渇させる量のキヌレニナーゼと枯渇される物質を接触させることを含む。
【0069】
枯渇は細胞の栄養源に向けられてもよく、必ずしも細胞自体には向けられなくてもよい。従って、インビボでの適用では、腫瘍細胞を治療することには、腫瘍細胞の集団のための栄養媒体をキヌレニナーゼに接触させることが含まれる。この実施形態では、媒体は、キヌレニンの枯渇が所望される血液、リンパ液、脊髄液及び同様の体液であってもよい。
【0070】
キヌレニン及び3'−ヒドロキシキヌレニン枯渇の有効性は、適用に応じて広く変化することができ、通常、物質に存在するキヌレニンの量、枯渇の所望の速度、及びキヌレニナーゼへの暴露についての物質の寛容に左右される。物質におけるキヌレニン及びキヌレニン代謝産物のレベル、それゆえ物質からのキヌレニン及びキヌレニン代謝産物の枯渇の速度は、当該技術で周知の種々の化学的方法及び生化学的方法によって容易にモニターすることができる。例となるキヌレニン枯渇の量は本明細書でさらに記載され、処理される物質のミリリットル(mL)当たり0.001〜100単位(U)のキヌレニナーゼ、好ましくは約0.01〜10U、さらに好ましくは約0.1〜5Uのキヌレニナーゼの範囲であり得る。典型的な投与量は体重に基づいて投与することができ、約5〜1000U/キログラム(kg)/日、好ましくは約5〜100U/kg/日、さらに好ましくは約10〜50U/kg/日、及びさらに好ましくは約20〜40U/kg/日の範囲である。
【0071】
キヌレニンを枯渇させる条件はキヌレニナーゼの生物活性に適合する緩衝液と温度の条件であり、酵素に適合する適度の温度、塩、pHの条件、たとえば、生理的条件が含まれる。例となる条件には、生理的条件が含まれる一方で約4〜40℃、約0.05〜0.2MのNaClのイオン強度当量及び約5〜9のpHが挙げられる。
【0072】
特定の実施形態では、本発明は、キヌレニナーゼを抗腫瘍剤として使用する方法を企図するので、腫瘍細胞の増殖を阻害するのに十分な時間、腫瘍細胞の集団を治療上有効な量のキヌレニナーゼに接触させることを含む。
【0073】
一実施形態では、インビボで接触させることは、静脈内、腹腔内または腫瘍内の注射により、本発明のキヌレニナーゼを含む生理的に認容可能な組成物の治療上有効な量を患者に投与し、それによって患者に存在する腫瘍細胞のキヌレニン供給源を枯渇させることによって達成される。
【0074】
キヌレニナーゼの治療上有効な量は、所望の効果を達成する、すなわち、腫瘍組織または患者の循環にてキヌレニンを枯渇させるように計算された所定の量であり、それによって腫瘍除去型の炎症誘発性反応に介在する。従って、本発明のキヌレニナーゼの投与についての投与量範囲は、腫瘍細胞の分裂及び細胞周期の症状が減らされる所望の効果を生じるのに十分大きなものである。投与量は、たとえば、過粘稠度症候群、肺浮腫、鬱血性心不全、神経学的影響等のような有害な副作用の原因となるほど多くすべきではない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、性別及び疾患の程度によって変化し、当業者が決定することができる。投与量は、任意の合併症の事象において個々の医師によって調整され得る。
【0075】
キヌレニナーゼは注射によってまたは時間をかけた穏やかな点滴によって非経口で投与することができる。キヌレニナーゼは、静脈内に、腹腔内に、経口で、筋肉内に、皮下に、腔内に、皮内に、皮膚に投与することができ、蠕動手段によって送達することができ、腫瘍細胞を含有する組織に直接注射することができ、またはキヌレニン用の有望なバイオセンサーを含有してもよいカテーテルに接続したポンプによって投与することができる。
【0076】
キヌレニナーゼを含有する治療用組成物は、たとえば、単位用量の注射によって従来どおり静脈内に投与される。用語「単位用量」は治療用組成物を参照して使用されるとき、対象にとって単一の投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は必要とされる希釈剤、すなわち、キャリアまたはビヒクルと関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性物質を含有する。
【0077】
組成物は、投与製剤に適合する方法で、且つ治療上有効な量で投与される。投与される量は、治療される対象、有効成分を利用する対象の系の能力、所望される治療効果の程度に左右される。投与されるのに必要とされる有効成分の正確な量は、施術者の判断に依存し、各個人に特有である。しかしながら、全身性適用についての好適な投与量範囲は本明細書で開示され、投与の経路に依存する。当初の投与及び追加投与のための好適な投薬計画も企図され、当初の投与に続くその後の注射または他の投与による1時間以上間隔での反復投与に代表される。例となる複数回投与が本明細書で記載され、キヌレニナーゼの血清及び組織における連続した高レベルを維持し、逆にキヌレニンの血清及び組織における低レベルを維持するために特に好まれる。或いは、インビボ療法で特定される範囲で血中濃度を維持するのに十分な連続した静脈内点滴が企図される。
【0078】
IV.コンジュゲート
本発明の組成物及び方法には、たとえば、異種のペプチドセグメントまたはポリマー、たとえば、ポリエチレングリコールとのコンジュゲートを形成することによって修飾されたキヌレニナーゼが関与する。さらなる態様では、キヌレニナーゼをPEGに連結して酵素の流体力学半径を大きくするので血清での持続を高める。特定の態様では、開示されるポリペプチドは、任意のターゲティング剤、たとえば、外部受容体または腫瘍細胞上の結合部位に特異的に且つ安定的に結合する能力を有するリガンドにコンジュゲートされてもよい(US2009/0304666)。
【0079】
A.融合タンパク質
本発明の特定の実施形態は融合タンパク質に関する。これらの分子は、異種ドメインにN末端またはC末端で連結されたネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼを有してもよい。たとえば、融合は、他の種に由来するリーダー配列も採用して異種宿主にてタンパク質の組換え発現を可能にしてもよい。別の有用な融合には、融合タンパク質の精製を円滑にするための、好ましくは切断可能な、タンパク質親和性タグ、たとえば、血清アルブミン親和性タグ、または6ヒスチジン残基、または免疫的に活性のあるドメイン、たとえば、抗体エピトープの付加が含まれる。非限定の親和性タグには、ポリヒスチジン、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。
【0080】
特定の実施形態では、キヌレニナーゼを、たとえば、XTENポリペプチド(Schellenbergerら,2009)、IgGのFcドメイン、アルブミン、またはアルブミン結合ペプチドのようなインビボでの半減期を増やすペプチドに連結してもよい。
【0081】
融合タンパク質を生成する方法は当業者に周知である。そのようなタンパク質は、たとえば、完全な融合タンパク質のデノボ合成によって、または異種ドメインをコードするDNA配列の連結、それに続くインタクトな融合タンパク質の発現によって作出することができる。
【0082】
親タンパク質の機能的な活性を回復する融合タンパク質の作出は、直列に接続したポリペプチド間でスプライシングされるペプチドリンカーをコードする架橋DNAセグメントを伴った遺伝子を接続することによって促進される。リンカーは、得られる融合タンパク質の適正な折り畳みを可能にする十分な長さであろう。
【0083】
B.リンカー
特定の実施形態では、キヌレニナーゼは、二官能性架橋試薬を用いて化学的にコンジュゲートされてもよいし、またはタンパク質レベルでペプチドリンカーと融合されてもよい。
【0084】
二官能性架橋試薬は、親和性マトリクスの調製、多様な構造の修飾と安定化、リガンド及び受容体結合部位の特定、及び構造的研究を含む種々の目的で広範に使用されている。たとえば、Gly−Serリンカーのような好適なペプチドリンカー用いてキヌレニナーゼを連結してもよい。
【0085】
2つの同一の官能基を持つホモ二官能性試薬は、同一の及び異なる高分子または高分子のサブユニットの間で架橋を誘導すること、及びポリペプチドリガンドをその特異的な結合部位に連結することにおいて効率が高いことが判明した。ヘテロ二官能性試薬は、2つの異なる官能基を含有する。2つの異なる官能基の異なる反応性を利用して、選択的に及び順次の双方で架橋を制御することができる。二官能性の架橋試薬はその官能基、たとえば、アミノ基、スルフヒドリル基、グアニジン基、インドール基、カルボキシルに特異的な基の特異性に従って分けることができる。これらのうちで、遊離のアミノ酸に向けられた試薬は、その市販性、合成の容易さ、及びそれを適用することができる反応条件の穏やかさのために特に評判が良くなっている。
【0086】
ヘテロ二官能性架橋試薬の大半は、1級アミン反応性基とチオール反応性基を含有する。別の例では、ヘテロ二官能性架橋試薬及び架橋試薬の使用方法が記載されている(その全体が参照によって本明細書に具体的に組み入れられるUS5,889,155)。架橋試薬は、求核性ヒドラジド残基を求電子性マレイミド残基と組み合わせて、一例では、アルデヒドの遊離チオールへの結合を可能にする。架橋試薬を修飾して種々の官能基を架橋することができる。
【0087】
さらに、たとえば、抗体抗原相互作用、アビジンビオチン結合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホエステル結合、ホスホルアミド結合、無水結合、ジスルフィド結合、イオン相互作用及び疎水性相互作用、二重特異性抗体及び抗体断片、またはそれらの組み合わせのような、当業者に既知の他の連結/結合剤及び/またはメカニズムを用いてキヌレニナーゼを組み合わせてもよい。
【0088】
血中で理に適った安定性を有する架橋剤を採用することが好まれる。ターゲティング剤と治療剤/予防剤をコンジュゲートするのに上手く採用することができる多数の種類のジスルフィド結合を含有するリンカーが知られている。立体的に妨害されるジスルフィド結合を含有するリンカーはインビボでさらに高い安定性を与えることが判明し得る。従って、これらのリンカーは連結剤の一群である。
【0089】
妨害される架橋剤に加えて、妨害されない架橋剤も本明細書に従って採用することができる。保護されたジスルフィドを含有するまたは生成するとはみなされない他の有用な架橋剤には、SATA、SPDP、及び2−イミノチオラン(Wawrzynczak及びThorpe,1987)が挙げられる。そのような架橋剤の使用は当該技術でよく理解されている。別の実施形態には柔軟性リンカーの使用が関与する。
【0090】
いったん化学的にコンジュゲートされると、ペプチドが一般に精製されてコンジュゲートされていない作用剤及び他の混入物からコンジュゲートを分離する。臨床的に有用にするのに十分な程度の純度のコンジュゲートを提供して使用するために多数の精製法が利用可能である。
【0091】
たとえば、ゲル濾過、ゲル透過または高速液体クロマトグラフィのようなサイズの分離に基づく精製法が一般に最もよく使用される。たとえば、Blue−Sepharose分離のような他のクロマトグラフィ法も使用してもよい。たとえば、N−ラウロイルサルコシンナトリウム(SLS)のような弱い界面活性剤を用いた、封入体から融合タンパク質を精製する従来の方法が有用であってもよい。
【0092】
C.ペグ化
本発明の特定の態様では、キヌレニナーゼのペグ化に関する方法及び組成物が開示される。たとえば、キヌレニナーゼは本明細書で開示される方法に従ってペグ化されてもよい。
【0093】
ペグ化は、別の分子、通常、薬剤または治療用タンパク質へのポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の共有結合の過程である。ペグ化は、標的高分子とのPEGの反応性誘導体のインキュベートによって日常的に達成される。薬剤または治療用タンパク質へのPEGの共有結合は、宿主の免疫系から作用剤を「マスク」することができ(低下した免疫原性及び抗原性)、または作用剤の流体力学サイズ(溶液におけるサイズ)を大きくすることができ、それは腎クリアランスを低下させることによってその循環時間を延長する。ペグ化はまた、疎水性の薬剤及びタンパク質に水溶性を提供することもできる。
【0094】
ペグ化の第1の工程は、一方の末端または双方の末端でのPEGポリマーの好適な官能化である。各末端にて同じ反応性部分によって活性化されるPEGが「ホモ二官能性」として知られるのに対して、存在する官能基が異なるのであれば、PEG誘導体は「ヘテロ二官能性」または「ヘテロ官能性」と呼ばれる。PEGポリマーの化学的に活性のあるまたは活性化された誘導体を調製して所望の分子にPEGを結合させる。
【0095】
PEG誘導体にとって好適な官能基の選択は、PEGに結合する分子上の利用できる反応性の基の種類に基づく。タンパク質については、典型的な反応性のアミノ酸には、リジン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン及びチロシンが挙げられる。N末端のアミノ基及びC末端のカルボン酸も使用することができる。
【0096】
第1世代のPEG誘導体を形成するのに使用される技法は一般に、ヒドロキシル基と反応性である基、通常、無水物、酸塩化物、クロロ蟻酸及び炭酸とPEGポリマーを反応させることである。第2世代のペグ化化学反応では、さらに効率的な官能基、たとえば、アルデヒド、エステル、アミド等がコンジュゲーションに利用できる。
【0097】
ペグ化の適用がますます進み、洗練されるにつれて、コンジュゲーションにはヘテロ二官能性のPEGの必要性が増えている。これらのヘテロ二官能性のPEGは、親水性、柔軟性及び生体適合性のスペーサーが必要とされる場合、2つの実体を連結するのに非常に有用である。ヘテロ二官能性のPEGについて好まれる末端基は、マレイミド、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィド、アミン、カルボン酸及びNHSエステルである。
【0098】
最も一般的な修飾剤またはリンカーはメトキシPEG(mPEG)分子に基づく。その活性は、タンパク質を修飾する基をアルコール末端に付加することに依存する。場合によっては、ポリエチレングリコール(PEGジオール)を前駆体分子として使用する。ヘテロ−またはホモ−二量体PEG連結分子を作るためにジオールはその後両端で修飾される。
【0099】
タンパク質は一般に求核部位、たとえば、非プロトン化チオール(システイニル残基)またはアミノ基でペグ化される。システイニル特異的な修飾試薬の例には、PEGマレイミド、PEGヨード酢酸、PEGチオール及びPEGビニルスルホンが挙げられる。4つはすべて穏やかな条件下及び中性からややアルカリ性のpHで強くシステイニル特異的であるが、それぞれ欠点を有する。マレイミドと共に形成されるチオエーテルはアルカリ条件下で若干不安定であり得るのでこのリンカーによる製剤化の選択肢には多少限定があり得る。ヨードPEGと共に形成されるカルバモチオエート結合はさらに安定であるが、一部の条件下では遊離のヨウ素がチロシン残基を修飾することができる。PEGチオールはタンパク質チオールと共にジスルフィド結合を形成するが、この結合もアルカリ条件下で不安定であることができる。PEG−ビニルスルホンの反応性はマレイミド及びヨードPEGと比べて相対的に遅いが、形成されるチオエーテル結合は全く安定である。そのさらに遅い反応速度はPEG−ビニルスルホンの反応をさらに制御し易くすることもできる。
【0100】
ネイティブなシステイニル残基での部位特異的なペグ化は、これらの残基が通常ジスルフィド結合の形態で存在するので、または生物活性に必要とされるので、滅多に行われない。他方、部位特異的変異誘発を用いてチオール特異的リンカーにシステイニルのペグ化部位を組み込むことができる。システインの変異は、それがペグ化試薬にアクセスでき、ペグ化の後、依然として生物学的に活性があるように設計されなければならない。
【0101】
アミン特異的な修飾剤には、PEG、NHS、エステル、PEGトレシレート、PEGアルデヒド、PEGイソチオシアネート等が挙げられる。すべて穏やかな条件下で反応し、アミノ基について非常に特異的である。PEG NHSエステルはたぶん、さらに反応性の作用剤の1つであるが、その高い反応性は大規模ではペグ化反応を制御しにくくし得る。PEGアルデヒドはアミノ基と共にイミンを形成し、それは次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウムによって2級アミンに還元される。水素化ホウ素ナトリウムとは異なり、シアノ水素化ホウ素ナトリウムはジスルフィド結合を還元しない。しかしながら、この化学物質は毒性が高く、特にそれが揮発性になる低pHでは慎重に取り扱わなければならない。
【0102】
ほとんどのタンパク質における複数のリジン残基の故に、部位特異的なペグ化は難題であり得る。幸いにも、これらの試薬は非プロトン化アミノ基と反応するので、低pHで反応を行うことによってペグ化を低pKのアミノ基に向けることができる。一般にαアミノ基のpKはリジン残基のεアミノ基よりも1〜2pH単位低い。pH7以下で分子をペグ化することによって、N末端の高い選択性を獲得できることが多い。しかしながら、これは、タンパク質のN末端部分が生物活性に必要とされなければ、実現可能であるにすぎない。その上、ペグ化に由来する薬物動態上の利益はインビトロでの生物活性の有意な損失に勝ることが多く、ペグ化の化学的性質にかかわらず、インビボではるかに高い生物活性を持つ生成物を生じる。
【0103】
ペグ化の手順を開発する場合、考慮する幾つかのパラメータがある。幸いにも、普通、たった4または5の重要なパラメータがあるにすぎない。ペグ化の条件を最適化する「実験計画法」アプローチは非常に有用であることができる。チオール特異的なペグ化反応については、考慮するパラメータには、タンパク質濃度、PEG対タンパク質の比(モル基準で)、温度、pH、反応時間、場合によっては酸素の排除が挙げられる(酸素はタンパク質による分子間ジスルフィド形成に寄与することができ、それはペグ化生成物の収率を減らす)。アミン特異的な修飾については、特にN末端アミノ基を標的とする場合、pHが一層さらに決定的であることを除いて同じ因子(酸素を除外して)が考慮されるべきである。
【0104】
アミン及びチオールに特異的な修飾については、反応条件はタンパク質の安定性に影響し得る。これは温度、タンパク質濃度、及びpHを限定し得る。加えて、PEGリンカーの反応性は、ペグ化反応を開始する前に知られるべきである。たとえば、ペグ化剤が70パーセントしか活性がないのであれば、使用されるPEGの量は活性のあるPEG分子だけがタンパク質対PEGの反応の化学量論にて勘定に入れられることを保証すべきである。
【0105】
V.タンパク質及びペプチド
特定の実施形態では、本発明は、たとえば、キヌレニナーゼのような少なくとも1つのタンパク質またはペプチドを含む新規の組成物に関する。これらのペプチドは融合タンパク質に含まれてもよく、または上述のような作用剤にコンジュゲートされてもよい。
【0106】
本明細書で使用されるとき、タンパク質またはペプチドは一般に、約200アミノ酸より大きく、遺伝子から翻訳された完全長までの配列のタンパク質;約100アミノ酸より大きいポリペプチド;及び/または約3〜約100アミノ酸のペプチドを指すが、これらに限定されない。便宜上、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は本明細書では相互交換可能に使用される。
【0107】
本明細書で使用されるとき、「アミノ酸残基」は、天然に存在するアミノ酸、アミノ酸誘導体または当該技術で既知のアミノ酸模倣体を指す。特定の実施形態では、タンパク質またはペプチドの残基は、アミノ酸残基の配列を中断する非アミノ酸が存在することなく、順次である。他の実施形態では、配列は1つ以上の非アミノ酸部分を含んでもよい。特定の実施形態では、タンパク質またはペプチドの残基の配列は1つ以上の非アミノ酸部分によって中断されてもよい。
【0108】
従って、用語「タンパク質またはペプチド」は、天然に存在するタンパク質で見いだされる20の一般的なアミノ酸の少なくとも1つ、または少なくとも1つの修飾されたアミノ酸または稀なアミノ酸を含むアミノ酸配列を包含する。
【0109】
タンパク質またはペプチドは、標準の分子生物学的技法を介したタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現、天然の供給源からのタンパク質またはペプチドの単離、またはタンパク質またはペプチドの化学合成を含む、当業者に既知の技法によって作製されてもよい。種々の遺伝子に対応するヌクレオチド及びタンパク質、ポリペプチド及びペプチドの配列は、以前開示されており、当業者に既知のコンピュータデータベースで見いだされ得る。そのようなデータベースの1つは、National Center for Biotechnology InformationのGenbank及びGenPeptデータベース(ncbi.nlm.nih.gov/でのworld wide webにて利用可能)である。本明細書で開示される技法または当業者に既知であろう技法を用いて、既知の遺伝子のコーディング領域を増幅してもよいし、及び/または発現させてもよい。或いは、タンパク質、ポリペプチド及びペプチドの種々の市販の製剤が当業者に既知である。
【0110】
VI.核酸及びベクター
本発明の特定の態様では、キヌレニナーゼまたはキヌレニナーゼを含有する融合タンパク質をコードする核酸配列が開示され得る。どの発現系が使用されるかに応じて、従来の方法に基づいて核酸配列を選択することができる。たとえば、キヌレニナーゼがヒトのキヌレニナーゼに由来し、大腸菌では稀にしか利用されない複数のコドンを含有するのであれば、それは発現を妨害する。従って、各遺伝子またはその改変体は大腸菌での発現についてコドンを最適化され得る。種々のベクターも用いて当該タンパク質を発現させてもよい。例となるベクターにはプラスミドベクター、ウイルスベクター、トランスポゾンまたはリポソームに基づくベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
VII.宿主細胞
宿主細胞は、形質転換されてキヌレニナーゼ及びそのコンジュゲートの発現及び分泌を可能にし得るいずれかであってもよい。宿主細胞は細菌、哺乳類細胞、酵母または糸状菌であってもよい。種々の細菌にはエシェリキア(Escherichia)及びバチルス(Bacillus)が挙げられる。サッカロミセス(Saccharomyces)属、クルイベロミセス(Kiuyveromyces)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属またはピキア(Pichia)属に属する酵母は適当な宿主細胞として使用される。以下の属:アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、アクリャ(Achlya)、ポドスポラ(Podospora)、エンドチア(Endothia)、ムコール(Mucor)、コクリオボルス(Cochliobolus)、及びピリキュラリア(Pyricularia)を含む糸状菌の種々の種は発現宿主として使用されてもよい。
【0112】
使用できる宿主生物の例には、細菌、たとえば、大腸菌(Escherichia coli)MC1061、枯草菌(Bacillus subtilis)BRB1の誘導体(Sibakovら、1984)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)SAI123(Lordanescu、1975)またはストレプトコッカス・リビダンス(Streptococcus lividans)(Hopwoodら、1985);酵母、たとえば、サッカロミセス・セレビシエAH22(Mellorら、1983)またはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);及び糸状菌、たとえば、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)(Ward、1989)、またはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(Penttilaら、1987;Harkkiら、1989)が挙げられる。
【0113】
哺乳類の宿主細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1;ATCC CCL61)、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラット肝癌細胞(H−4−II−E;ATCCCRL1548)、SV40−形質転換サル腎臓細胞(COS−1;ATCC CRL1650)、及びマウス胚細胞(NIH−3T3;ATCC CRL1658)が挙げられる。前述のものは、当該技術で既知の多数の考えられる宿主生物の説明に役立つものであって、限定するものではない。原則として、分泌可能な宿主はすべて原核細胞であろうと真核細胞であろうと使用することができる。
【0114】
親細胞株を培養するのに通常採用される条件下で、キヌレニナーゼ及び/またはその融合タンパク質を発現している哺乳類の宿主細胞を培養する。一般に、生理的な塩及び栄養素を含有する、通常、ウシ胎児血清のような5%〜10%の血清で補完された、たとえば、標準のRPMI、MEM、IMEM、またはDMEMのような標準の培地にて細胞を培養する。培養条件も標準であり、たとえば、培養物は、タンパク質の所望のレベルが達成されるまで静置培養またはローラー培養にて37℃でインキュベートされる。
【0115】
VIII.タンパク質の精製
タンパク質の精製法は当業者に周知である。これらの技法には、1つのレベルでは、細胞、組織または臓器の均質化及びそれのポリペプチド画分及び非ポリペプチド画分への粗分画化が関与する。当該タンパク質またはポリペプチドはクロマトグラフィ法及び電気泳動法を用いてさらに精製されて、特定されない限り、部分精製または完全精製(または均質性への精製)を達成してもよい。純粋なペプチドの調製に特に適する分析法は、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル排除クロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アフィニティクロマトグラフィ、免疫アフィニティクロマトグラフィ、及び等電点電気泳動である。ペプチドを精製する特に効率的な方法は高速液体クロマトグラフィ(FPLC)またはさらに高速の液体クロマトグラフィ(HPLC)である。
【0116】
精製されたタンパク質またはペプチドは他の成分から分離できる組成物を指すように意図され、その際、タンパク質またはペプチドは天然で得られる状態に比べて任意の程度に精製される。従って、単離されたまたは精製されたタンパク質またはペプチドは、それが天然に存在する環境から離れたタンパク質またはペプチドも指す。一般に「精製された」は、種々の他の成分を取り除く分画化に供された、且つ組成物が発現された生物活性を実質的に保持するタンパク質またはペプチドの組成物を指すであろう。用語「実質的に精製された」が使用される場合、この指示は、タンパク質またはペプチドが組成物におけるタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%以上を構成する組成物の主成分を形成する組成物を指すであろう。
【0117】
タンパク質の精製で使用するのに好適な種々の技法は当業者に周知である。これらには、たとえば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体等による沈殿、または熱変性による沈殿、その後の遠心分離;イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシアパタイト及びアフィニティのクロマトグラフィのようなクロマトグラフィ工程;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;及び他の技法とのこれらの組み合わせが挙げられる。当該技術で一般に知られるように、種々の精製工程を行う順序は変化してもよく、特定の工程が省略されてもよく、さらに実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの調製に好適な方法を生じてもよいと考えられる。
【0118】
タンパク質またはペプチドの精製の程度を定量する種々の方法は本開示に照らして当業者に既知である。これらには、たとえば、活性画分の比活性を測定すること、またはSDS/PAGE解析による画分内でのポリペプチドの量を評価することが挙げられる。画分の純度を評価する好まれる方法は、画分の比活性を算出すること、当初の抽出物の比活性とそれを比べること、従って「精製倍数」で評価されるその中の精製の程度を計算することである。活性の量を表すのに実際に使用される単位は当然、精製に続いて選択されるアッセイ法、及び発現されたタンパク質またはペプチドが検出可能な活性を示すかどうかに依存するであろう。
【0119】
タンパク質またはペプチドが常に最も精製された状態で提供されるという一般的な要求はない。実際、実質的にはあまり精製されていない生成物が特定の実施形態では有用性を有し得ることが企図される。少ない精製工程を組み合わせて用いて、または同じ一般的な精製スキームの異なる形態を利用して部分精製を達成してもよい。たとえば、HPLC装置を利用して行われるカチオン交換カラムクロマトグラフィは一般に、低圧クロマトグラフィ系を利用する同じ技法よりも大きな精製倍数を生じる。程度の低い相対精製を示す方法は、タンパク質生成物の全体的な回収にて、または発現されるタンパク質の活性を維持することにて利点を有し得る。
【0120】
特定の実施形態では、タンパク質またはペプチド、たとえば、キヌレニナーゼ、キヌレニナーゼを含有する融合タンパク質、またはペグ化後の修飾されたキヌレニナーゼを単離し、または精製してもよい。たとえば、Hisタグまたは親和性エピトープをそのようなキヌレニナーゼに含ませて精製を円滑にし得る。アフィニティクロマトグラフィは、単離される物質と特異的に結合できる分子との間の特異的な親和性に頼るクロマトグラフィ手順である。これは受容体/リガンド型の相互作用である。カラム材料は、結合相手の一方を不溶性のマトリクスに共有結合させることによって合成される。次いでカラム材料は溶液からその物質を特異的に吸着することができる。条件を結合が生じないものに変える(変化したpH、イオン強度、温度等)ことによって溶出が生じる。マトリクスは、分子を有意な程度に吸着せず、且つ、広い範囲の化学的な、物理的な及び熱に対する安定性を有する物質であるべきである。リガンドは結合特性に影響しない方法で結合されるべきである。リガンドは相対的にしっかりした結合も提供すべきである。試料またはリガンドを破壊しないで物質を溶出することが可能であるべきである。
【0121】
サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)は、溶液中の分子がそのサイズ、またはさらに専門的な用語では、その流体力学的容積に基づいて分離されるクロマトグラフィ法である。それは普通、大きな分子または高分子複合体、たとえば、タンパク質及び産業用ポリマーに適用される。通常、有機溶媒を移動相として使用する場合のネームゲル透過クロマトグラフィに対して、水溶液を用いてカラムを通って試料を輸送する場合、技法はゲル濾過クロマトグラフィとして知られる。
【0122】
SECの根底にある原理は、異なるサイズの粒子は異なる速度で静止相から溶出する(濾過する)ということである。これはサイズに基づく粒子の溶液の分離を生じる。粒子すべてが同時にまたはほぼ同時に負荷されるという条件で、同一サイズの粒子は一緒に溶出するはずである。各サイズ排除カラムは分離することができる分子量の範囲を有する。排除限界は、この範囲の上限の分子量を定義し、分子が静止相で捕捉するには大きすぎる場合である。浸透限界は分離の範囲の下限での分子量を定義し、十分に小さいサイズの分子が静止相の孔に完全に浸透し、この分子質量より小さい分子はすべて小さいのでそれらは単一バンドとして溶出される場合である。
【0123】
高速液体クロマトグラフィ(または高圧液体クロマトグラフィ、HPLC)は、化合物を分離し、特定し、定量するのに生化学及び分析化学で使用されることが多いカラムクロマトグラフィの形態である。HPLCは、クロマトグラフィの充填材料を保持するカラム(静止相)と、カラムを通って移動相を動かすポンプと、分子の保持時間を示す検出器とを利用する。保持時間は静止相、分析される分子及び使用される溶媒の間での相互作用に応じて変化する。
【0124】
IX.医薬組成物
新規のキヌレニナーゼを全身性にまたは局所で投与して、腫瘍細胞の増殖を阻害する、最も好ましくは局所の進行癌または転移癌の癌患者にて癌細胞を殺傷することができることが企図される。それらは静脈内に、クモ膜下に、及び/または腹腔内に投与することができる。それらは単独でまたは抗増殖剤との併用で投与することができる。一実施形態では、それらを投与して手術または他の処置に先立って患者における癌の負荷を軽減する。或いは、術後にそれらを投与して残りの癌(たとえば、手術が取り除けなかった癌)を確実に生き残らないようにすることができる。
【0125】
本発明は治療用製剤の特定の性質によって限定されることは意図されない。たとえば、そのような組成物は、生理学的に認容できる液体、ゲル、または固体のキャリア、希釈剤及び賦形剤と一緒に製剤にて提供することができる。これらの治療用製剤を他の治療剤と同様の方法で、家畜への用途のために、たとえば家畜を相手にして、及びヒトにおける臨床用途のために哺乳類に投与することができる。一般に、治療有効性のために必要とされる投与量は、使用の種類及び投与の方式、と同様に個々の対象の特定化された要件に従って変化するであろう。
【0126】
そのような組成物は通常、液体の溶液または懸濁液として、注射剤として調製される。好適な希釈剤及び賦形剤は、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール等、及びそれらの組み合わせである。加えて所望であれば、組成物は軽微な量の補助物質、たとえば、湿潤剤、乳化剤、安定剤またはpH緩衝剤を含有してもよい。
【0127】
臨床応用が企図される場合、意図される適用に適する形態にてタンパク質、抗体及び薬剤を含む医薬組成物を調製することが必要であってもよい。一般に、医薬組成物は、薬学上許容可能なキャリア中に溶解されるまたは分散される有効量の1つ以上のキヌレニナーゼまたは追加の作用剤を含み得る。語句「薬学上または薬理学上許容可能な」は、たとえば、適宜、ヒトのような動物に投与した場合、有害反応、アレルギー反応または他の厄介な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。本明細書で開示される方法によって単離された少なくとも1つのキヌレニナーゼまたは追加の有効成分を含有する医薬組成物の調整は、参照によって本明細書に組み入れられるRemingtonのPharmaceutical Sciences,第18版,1990によって例示されるように、本開示に照らして当業者に既知である。さらに、動物(たとえば、ヒト)への投与については、製剤はFDA Office of Biological Standardsによって求められるような無菌性、発熱性、一般安全性及び純度基準を満たすべきであることが理解されるであろう。
【0128】
本明細書で使用されるとき、「薬学上許容可能なキャリア」には、当業者に既知であるような任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬剤、薬剤安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、風味剤、染料、そのような類似の物質及びそれらの組み合わせが挙げられる(たとえば、参照によって本明細書に組み入れられるRemingtonのPharmaceutical Sciences,第18版,1990を参照のこと)。従来のキャリアが有効成分とは非相溶性である限りを除いて、医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0129】
本発明の特定の実施形態は、それが固体、液体またはエアロゾルの形態で投与されるべきであるかどうか、且つ注射のような投与の経路について無菌である必要があるかどうかに応じて異なる種類のキャリアを含んでもよい。組成物は、静脈内に、皮内に、経皮で、クモ膜下に、動脈内に、腹腔内に、鼻内に、膣内に、直腸内に、筋肉内に、皮下に、粘膜に、経口で、局所に、局部に、吸入によって(たとえば、エアロゾルの吸入)、注射によって、点滴によって、持続点滴によって、標的細胞を直接浴びさせる局所潅流によって、カテーテルを介して、洗浄を介して、脂質組成物で(たとえば、リポソーム)、または当業者に既知であるような他の方法または前述の組み合わせによって投与することができる(たとえば、参照によって本明細書に組み入れられるRemingtonのPharmaceutical Sciences,第18版,1990を参照のこと)。
【0130】
修飾されたポリペプチドを遊離の塩基、中性または塩の形態で組成物に製剤化してもよい。薬学上許容可能な塩には、酸付加塩、たとえば、タンパク質様組成物の遊離のアミノ基で形成されるもの、または、たとえば、塩酸もしくはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸若しくはマンデル酸のような有機酸で形成されるものが挙げられる。遊離のカルボキシル基で形成される塩は、たとえば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム若しくは水酸化第二鉄のような無機塩基、または、たとえば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン若しくはプロカインのような有機塩基にも由来することができる。製剤化の際、溶液は、投与製剤に相溶性の方法で、且つ治療上有効であるような量で投与されるであろう。製剤は、種々の剤形で、たとえば、非経口投与用に製剤化された剤形で、たとえば、注射用溶液で、または肺への送達用のエアロゾルで、または栄養投与用に製剤化された剤形で、たとえば、薬剤放出カプセル等で容易に投与される。
【0131】
さらに本発明の特定の態様によれば、投与に好適な組成物は不活性の希釈剤と共にまたはそれを伴わずに薬学上許容可能なキャリア中に提供されてもよい。キャリアは吸収可能であるべきであり、それには液体、半固体、すなわち、ペースト、または固体のキャリアが挙げられる。従来の媒体、作用剤、希釈剤またはキャリアがレシピエントに対してまたはその中に含有される組成物の治療上の有効性に対して有害である限りを除いて、方法を実践するのに使用するための投与可能な組成物におけるその使用は適切である。キャリアまたは希釈剤の例には、脂肪、油、水、生理食塩水、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤等、またはそれらの組み合わせが挙げられる。組成物は1つ以上の成分の酸化を遅らせる種々の抗酸化剤も含んでもよい。さらに、微生物の作用の防止は、保存剤、たとえば、パラベン(たとえば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない種々の抗菌剤及び抗真菌剤によってもたらすことができる。
【0132】
本発明の特定の態様によれば、組成物は、好都合で実践的な方法にて、すなわち、溶解、懸濁、乳化、混合、被包、吸収等によってキャリアと組み合わせられる。そのような手順は当業者にとって日常的である。
【0133】
本発明の特定の実施形態では、組成物を半固形または固形のキャリアと組み合わせ、または十分に混合する。混合は製粉のような従来の方法で実施することができる。治療活性の喪失、すなわち、胃での変性から組成物を保護するために混合過程で安定剤を加えることもできる。組成物で使用するための安定剤の例には、緩衝液、たとえば、グリシン及びリジンのようなアミノ酸、たとえば、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトール等のような炭水化物が挙げられる。
【0134】
さらなる実施形態では、本発明は、キヌレニナーゼと1つ以上の脂質と水性溶媒を含む医薬脂質ビヒクル組成物の使用に関する。本明細書で使用されるとき、用語「脂質」は、水に特徴的に不溶性であり、且つ有機溶媒で抽出可能である広い範囲の物質のいずれかを含むように定義されるであろう。この広いクラスの化合物は当業者に既知であり、本明細書では用語「脂質」が使用され、それは特定の構造に限定されない。例には、長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体を含有する化合物が挙げられる。脂質は天然に存在してもよいし、または合成であってもよい(すなわち、ヒトによって設計され、または製造される)。しかしながら、脂質は、たいていは生体物質である。生体脂質は当該技術で周知であり、それには、たとえば、中性脂肪、リン脂質、リングリセリド、ステロイド、テルペン、リソ脂質、グリコスフィンゴ脂質、グリコ脂質、スルファチド、エーテル結合及びエステル結合した脂肪酸を伴った脂質、重合性脂質、及びそれらの組み合わせが挙げられる。当然、当業者によって脂質として理解されている本明細書で具体的に記載されたもの以外の化合物も組成物及び方法によって包含される。
【0135】
当業者は、脂質ビヒクルに組成物を分散するのに採用することができる技法の範囲に精通している。たとえば、キヌレニナーゼまたはその融合タンパク質は、脂質を含有する溶液に分散されてもよく、脂質とともに溶解されてもよく、脂質とともに乳化されてもよく、脂質とともに混合されてもよく、脂質とともに組み合わせられてもよく、脂質に共有結合されてもよく、脂質における懸濁液として含有されてもよく、ミセル若しくはリポソームとともに含有されまたは複合体形成してもよく、またはさもなければ、当業者に既知の手段によって脂質若しくは脂質構造と会合してもよい。分散はリポソームの形成を生じてもよいし、生じなくてもよい。
【0136】
動物患者に投与される組成物の実際の投与量は、たとえば、体重、状態の重症度、治療される疾患の種類、以前のまたは現在の治療介入、患者の特発性疾患、及び投与の経路のような物理的な及び生理的な因子によって決定することができる。投与量及び投与の経路に応じて、好まれる投与量の投与の回数及び/または有効量は、対象の応答に従って変化し得る。投与に責任のある施術者が任意の事象にて組成物における有効成分の濃度及び個々の対象のための適切な用量を決定するであろう。
【0137】
特定の実施形態では、医薬組成物は、たとえば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含み得る。他の実施形態では、活性化合物は、単位の重量の、たとえば、約2%〜約75%の間で、または約25%〜約60%の間、及びそれらにて引き出せる範囲を構成し得る。当然、各治療上有用な組成物における活性化合物の量は、化合物の所与の単位用量にて好適な投与量が得られるような方法で調製され得る。たとえば、溶解性、生物利用効率、生体半減期、投与の経路、製品の保存可能期間といった因子と同様に薬理学的な検討がそのような医薬製剤を調製する当業者によって企図され、したがって、種々の投与量及び治療計画が望ましいものであり得る。
【0138】
他の非限定例では、用量は、投与当たり約1マイクログラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重、約10マイクログラム/kg/体重、約50マイクログラム/kg/体重、約100マイクログラム/kg/体重、約200マイクログラム/kg/体重、約350マイクログラム/kg/体重、約500マイクログラム/kg/体重、約1ミリグラム/kg/体重、約5ミリグラム/kg/体重、約10ミリグラム/kg/体重、約50ミリグラム/kg/体重、約100ミリグラム/kg/体重、約200ミリグラム/kg/体重、約350ミリグラム/kg/体重、約500ミリグラム/kg/体重から、約1000ミリグラム/kg/体重以上まで、及びそれらにて引き出せる範囲も含み得る。本明細書で列記される数から引き出せる範囲の非限定例では、約5ミリグラム/kg/体重〜約100ミリグラム/kg/体重の範囲、約5マイクログラム/kg/体重〜約500ミリグラム/kg/体重の範囲等を上述の数に基づいて投与することができる。
【0139】
X.併用治療
特定の実施形態では、本実施形態の組成物及び方法には、第2の治療法または追加の治療法と併用したキヌレニナーゼの投与が関与する。そのような治療法はキヌレニン依存性に関連する疾患の治療に適用することができる。たとえば、疾患は癌であってもよい。
【0140】
併用療法を含む方法及び組成物は、治療または予防の効果を向上させ、及び/または別の抗癌療法または抗過剰増殖療法の治療効果を高める。たとえば、癌細胞の殺傷及び/または細胞の過剰増殖の阻害のような所望の効果を達成するのに有効な合わせた量で治療法及び予防法及び組成物を提供することができる。この過程にはキヌレニナーゼと第2の治療法とを施すことが関与する。第2の治療法は直接的な細胞傷害性効果を有してもよいし、または有さなくてもよい。たとえば、第2の治療法は直接的な細胞傷害性効果を有さずに免疫系を上方調節する作用剤であってもよい。1つ以上の作用剤(たとえば、キヌレニナーゼまたは抗癌剤)を含む1つ以上の組成物若しくは薬理学的製剤に組織、腫瘍または細胞を暴露することができ、または2以上の異なる組成物若しくは製剤に組織、腫瘍及び/または細胞を暴露することによって、その際、組成物の1つは1)キヌレニナーゼ、2)抗癌剤、または3)キヌレニナーゼと抗癌剤の双方を提供する。また、そのような併用療法を化学療法、放射線療法、外科療法または免疫療法と併せて使用することができることが企図される。
【0141】
用語「接触させた」及び「暴露した」は細胞に適用されるとき本明細書では、それによって治療用の構築物及び化学療法剤または放射線療法剤が標的細胞に送達される、または標的細胞に直接並置して置かれる過程を記載するのに使用される。細胞の殺傷を達成するために、たとえば、細胞を殺傷するまたはそれが分裂するのを妨げるのに有効な合わせた量で双方の作用剤が細胞に送達される。
【0142】
キヌレニナーゼは、抗癌治療の前に、途中で、後で、またはそれに対して種々の併用で投与されてもよい。投与は、同時から数分まで、数日まで、数週までに及ぶ間隔であってもよい。キヌレニナーゼが抗癌剤とは別に患者に提供される実施形態では、各送達の時間の間で有意な時間が失効しないことを一般に保証することになるので、2つの化合物は依然として有利に合わせた効果を患者に対して発揮することができる。そのような例では、互いに約12〜24または72時間以内に、さらに詳しくは互いに約6〜12時間以内に患者にキヌレニナーゼと抗癌療法を提供してもよいことが企図される。一部の状況では、各投与間で数日(2、3、4、5、6または7)〜数週(1、2、3、4、5、6、7または8)が経過する治療の期間を有意に延長することが望ましくてもよい。
【0143】
特定の実施形態では、治療の経過は1〜90日以上続くであろう(そのようなこの範囲には介入日も含まれる)。一方の作用剤が1日目〜90日目(そのようなこの範囲には介入日も含まれる)のいずれかの日またはその組み合わせに与えられてもよく、別の作用剤が1日目〜90日目(そのようなこの範囲には介入日も含まれる)のいずれかの日またはその組み合わせに与えられることが企図される。単一の日の中(24時間の期間)で患者は、作用剤の1回の投与または複数回の投与を受け得る。さらに、治療の経過の後、抗癌治療が投与されない期間があることが企図される。この期間は、たとえば、その予後、強度、健康等のような患者の状態に応じて1〜7日及び/または1〜5週及び/または1〜12ヵ月以上(そのようなこの範囲には介入日も含まれる)続いてもよい。治療のサイクルは必要に応じて繰り返されることが予想される。
【0144】
種々の組み合わせが採用されてもよい。以下の例については、キヌレニナーゼが「A」であり、抗癌療法が「B」である。
【0145】
本実施形態の化合物または治療法の患者への投与は、もしあれば、作用剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与についての一般的なプロトコールに従うであろう。従って、一部の実施形態では、併用療法に起因し得る毒性をモニターする工程がある。
【0146】
A.化学療法
本実施形態に従って多種多様な化学療法剤を使用してもよい。用語「化学療法」は癌を治療するための薬剤の使用を指す。「化学療法剤」は癌の治療で投与される化合物または組成物を含意するのに使用される。これらの作用剤または薬剤は、細胞内での活性のその様式によって、たとえば、どの段階でそれらが細胞周期に影響するかどうかによって分類される。或いは、作用剤は、DNAを直接架橋する、DNAに挿入する、または核酸合成に影響することによって染色体異常及び有糸分裂異常を誘導するその能力に基づいて特徴付けされてもよい。
【0147】
化学療法剤の例には、たとえば、チオテパ及びサイクロホスファミドのようなアルキル化剤;たとえば、ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファンのようなアルキルスルホネート;たとえば、ベンゾドパ、カルボクオン、メツレドパ、及びウレドパのようなアジリジン;オルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;たとえば、クロラムブシル、クロロナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、酸化メクロレタミン塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、及びウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード;たとえば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンのようなニトロソウレア;たとえば、エンジイン抗生剤(たとえば、カリケアミシン、特に、カリケアミシンγlI及びカリケアミシンωI1)のような抗生剤;ダイネミシンAを含むダイネミシン;たとえば、クロドロネートのようなビスホスホネート;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生剤発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;たとえば、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝産物;たとえば、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキサートのような葉酸類似体;たとえば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;たとえば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンのようなピリミジン類似体;たとえば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンのようなアンドロゲン;たとえば、ミトタン及びトリロスタンのような抗副腎剤;たとえば、フロリン酸のような葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;たとえば、マイタンシン及びアンサミトシンのようなマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2''−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド("Ara−C");サイクロホスファミド;タキソイド、たとえば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;たとえば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンのような白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(たとえば、CPT−11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);たとえば、レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、フェルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナム、及び上記いずれかの薬学上許容可能な塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0148】
B.放射線療法
DNAの損傷を引き起こし、広範に使用されている他の因子には、γ線、X線として一般に知られるもの及び/または腫瘍細胞への放射性同位元素の指示された送達が挙げられる。たとえば、マイクロ波、プロトンビーム照射(US5,760,395及び4,870,287)及びUV照射のような、DNAを損傷する因子の他の形態も企図される。これらの因子すべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、並びに染色体の集合及び維持における広い範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。X線の投与量範囲は、長期(3〜4週)にわたる50〜200レントゲンの一日線量から2000〜6000レントゲンの単回線量に及ぶ。放射性同位元素の投与量範囲は広く変化し、同位元素の半減期、放出される放射線の強度及び種類、並びに腫瘍細胞による取り込みに左右される。
【0149】
C.免疫療法
当業者は本実施形態の方法を併用してまたは併せて免疫療法を使用してもよいことを理解するであろう。癌治療の文脈では、免疫療法は一般に癌細胞を標的とし、破壊する免疫エフェクター細胞と分子の使用に頼る。リツキシマブ(リツキサン(登録商標))はそのような例である。たとえば、イピリミマブのようなチェックポイント阻害剤は別のそのような例である。免疫エフェクターは、たとえば、腫瘍細胞の表面上のあるマーカーに特異的な抗体であってもよい。抗体は単独で治療法のエフェクターとして働いてもよいし、またはそれが細胞の殺傷に実際に影響を及ぼす他の細胞を動員してもよい。抗体はまた薬剤または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素)にコンジュゲートされてもよく、単にターゲティング剤として働いてもよい。或いは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接または間接的に相互作用する表面分子を運ぶリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞には細胞傷害性T細胞及びNK細胞が挙げられる。
【0150】
免疫療法の態様の1つでは、腫瘍細胞はターゲティングを行い易い、すなわち、他の細胞の大半には存在しないマーカーを持たなければならない。多数の腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれかが本実施形態の文脈でターゲティングを行うのに好適であってもよい。一般的な腫瘍マーカーには、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、及びp155が挙げられる。免疫療法の代替態様は抗癌効果を免疫刺激効果に組み合わせることである。たとえば、IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、γ−IFNのようなサイトカイン、たとえば、MIP−1、MCP−1、IL−8のようなケモカイン、及びFLT3リガンドのような増殖因子を含む免疫刺激分子も存在する。
【0151】
現在検討中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、たとえば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(US5,801,005及び5,739,169;Hui及びHashimoto、1998;Christodoulidesら、1998);サイトカイン療法、たとえば、インターフェロンα、β及びγ、IL−1、GM−CSF及びTNF(Bukowskiら,1998;Davidsonら,1998;Hellstrandら,1998);遺伝子療法、たとえば、TNF、IL−1、IL−2及びp53(Qinら,1998;Austin−Ward及びVillaseca,1998;US5,830,880及び5,846,945);及びモノクローナル抗体、たとえば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2及び抗p185(Hollander,2012;Hanibuchiら,1998;US5,824,311)である。1つ以上の抗癌療法が、本明細書で記載される抗体療法と共に採用されてもよいことが企図される。
【0152】
D.手術
癌を持つヒトのおよそ60%が何らかの種類の手術を受け、それには、予防上の、診断上の、または段階決定の、治癒的な、及び緩和のための手術が含まれる。治療的手術には、癌性組織の全部または一部を物理的に取り除く、切除する及び/または破壊する切除が含まれ、たとえば、本実施形態の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法、及び/または代替療法のような他の治療法と併せて使用されてもよい。腫瘍の切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍の切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、冷凍手術、電気手術、及び顕微鏡的に制御された手術(Mohsの手術)が挙げられる。
【0153】
癌性の細胞、組織または腫瘍の一部または全部の切除の際、体内に空洞を形成してもよい。治療は、追加の抗癌療法によるその領域の潅流、直接注射または局所塗布によって達成されてもよい。そのような治療は、たとえば、1、2、3、4、5、6若しくは7日ごとに、または1、2、3、4及び5週間ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12ヵ月ごとに繰り返してもよい。これらの治療は同様に投与量が変化してもよい。
【0154】
E.他の作用剤
他の作用剤を本実施形態の特定の態様と併用して使用して治療上の治療有効性を改善してもよいことが企図される。これらの追加の作用剤には、細胞表面受容体及びギャップ結合の上方調節に影響する作用剤、細胞増殖抑制及び分化の作用剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導体への過剰増殖性細胞の感受性を高める作用剤、または他の生物作用剤が挙げられる。ギャップ結合の数を増やすことによる細胞間シグナルの増大は近隣の過剰増殖性細胞の集団で過剰増殖抑制効果を高めることになる。他の実施形態では、細胞増殖抑制及び分化の作用剤を本実施形態の特定の態様と併用して使用して治療の過剰増殖抑制の有効性を改善することができる。細胞接着の阻害剤は本実施形態の有効性を改善するように企図される。細胞接着阻害剤の例は焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。アポトーシスへの過剰増殖性細胞の感受性を高める他の作用剤、たとえば、抗体c225は本実施形態の特定の態様と併用して使用されて治療有効性を高めてもよいことがさらに企図される。
【0155】
XI.キット
本発明の特定の態様は、たとえば、治療用キットのようなキットを提供してもよい。たとえば、キットは、本明細書で記載されるような1つ以上の医薬組成物と、任意で使用のための指示書とを含んでもよい。キットはまた、そのような組成物の投与を達成するための1つ以上の用具を含んでもよい。たとえば、主題のキットは、医薬組成物と、癌性腫瘍への該組成物の直接的な静脈内注射を達成するためのカテーテルとを含んでもよい。他の実施形態では、主題のキットは、任意で医薬として製剤化された、または送達用具で使用するために凍結乾燥されたキヌレニナーゼの事前に充填されたアンプルを含んでもよい。
【0156】
キットは、ラベルの付いた容器を含んでもよい。好適な容器には、たとえば、ボトル、バイアル及び試験管が挙げられる。容器は、たとえば、ガラスまたはプラスチックのような種々の材料から形成されてもよい。容器は、上述のような治療適用または非治療適用に有効であるキヌレニナーゼを含む組成物を保持してもよい。容器上のラベルは、組成物が特定の治療法または非治療適用に使用されることを示してもよく、また上述のもののようなインビボまたはインビトロでの使用のための指示を示してもよい。本発明のキットは通常、上述の容器と、緩衝液、希釈剤、充填剤、針、注射器及び使用のための指示書を伴った添付文書を含む、商業的な立場及びユーザーの立場から望ましい物質を含む1つ以上の他の容器とを含むであろう。
【実施例】
【0157】
XII.実施例
本発明の好まれる実施形態を実証するために以下の実施例が包含される。以下に続く実施例で開示される技法は、本発明の実践で上手く機能することが本発明者らによって見いだされた技法を表すので、その実践で好まれる様式を構成すると見なすことができることが当業者によって十分に理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示の観点から、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多数の変更を開示された特定の実施形態で行うことができ、それは類似のまたは似た結果をさらに得ることを十分に理解すべきである。
【0158】
実施例1:シュードモナス・フルオレッセンス由来のキヌレニナーゼの遺伝子構築、発現及び精製
シュードモナス・フルオレッセンス由来のキヌレニナーゼ酵素(Pf−KYNU)の発現のための遺伝子を、DNA−Worksソフトウエア(Hoover及びLubkowski,2002)を用いて設計した4つのコドンを最適化した遺伝子ブロックのオーバーラップ伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって構築した。完全長の遺伝子には、N末端XbaI制限酵素部位(ヌクレオチド1〜6)、最適化されたリボゾーム結合部位(RBS;ヌクレオチド29〜55)、開始コドン(ヌクレオチド56〜58)、N末端His
6タグ(ヌクレオチド59〜91)、大腸菌コドンに最適化されたPf−KYNU遺伝子(ヌクレオチド92〜1336)、停止コドン(ヌクレオチド1337〜1342)及びC末端BamHI制限酵素部位(ヌクレオチド1342〜1347)が含まれる(配列番号1を参照のこと)。前述の制限酵素部位を用いて集合させた遺伝子をpET−28a+ベクター(Novagen)にクローニングした。次いでこの構築物を使用して発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを伴ったテリフィックブロス(TB)培地にて210rpmで振盪しながら37℃で細胞を増殖させた。OD
600が約1.0に達したとき、37℃で連続して一晩振盪しながらIPTG(0.5mMの最終濃度)を添加することによって発現を誘導した。次いで遠心分離によって細胞を回収し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl、0.5mMのリン酸ピリドキシル(PLP)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び1μg/mLのDNA分解酵素から成る溶解緩衝液に再浮遊させた。溶解はフレンチプレスによって達成し、溶解物は20,000×gで4℃にて1時間遠心分離することによって粒子状物質を除いた。次いで5μmの注射器フィルターを介して上清を濾過し、50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl及び0.1mMのPLP、pH7.4で構成された緩衝液で事前に平衡化したNi−NTA/アガロースカラム(Qiagen)にかけた。溶解物をカラムに負荷した後、5カラム容量(CV)の30mMのイミダゾールを伴った50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLPで樹脂を洗浄した。次に、100CVの0.1mMのPLPと1%v/vのTRITON(登録商標)X114を伴った内毒素を含まないPBS(Corning)緩衝液でカラムを一晩ゆっくり洗浄するように流速を設定した。この一晩の洗浄によって、細菌発現系の典型的な混入物であるリポ多糖類(LPSまたは内毒素)を取り除く。次いで、5CVの0.1mMのPLPと250mMのイミダゾールを伴った内毒素を含まないPBSで、洗浄された酵素を溶出し、樹脂を2回目の5CV部分の0.1mMのPLPを伴った内毒素を含まないPBSですすいだ。この時点で酵素の緩衝液を新しいPBSに変えてイミダゾールを取り除き、10%グリセロールを加え、アリコートを−80℃での保存のために液体窒素で瞬間凍結した。或いは、酵素の緩衝液を直ちに、新しく作製した無菌の100mMのリン酸ナトリウム、pH8.4に交換して、イミダゾールの除去とペグ化の準備の双方を行った(実施例4を参照)。酵素の純度は通常、SDS−PAGE解析に基づいて>95%であり、典型的な収量は、培養物の75mg/L前後で平均された。Abs
280nmを測定し、63,745M
−1cm
−1の算出された酵素の吸光係数を用いてタンパク質の量を評価した。
【0159】
実施例2:ヒト由来のキヌレニナーゼの遺伝子構築、発現及び精製
DNA−Worksソフトウエア(Hoover及びLubkowski,2002)を用いて設計した4つのコドンを最適化した遺伝子ブロックのオーバーラップ伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、ヒト由来のキヌレニナーゼ酵素(h−KYNU)の発現のための遺伝子を得た。完全長の遺伝子には、N末端XbaI制限酵素部位(ヌクレオチド1〜6)、最適化されたRBS(ヌクレオチド28〜60)、開始コドン(ヌクレオチド61〜63)、N末端His
6タグ(ヌクレオチド64〜96)、大腸菌コドンに最適化されたh−KYNU遺伝子(ヌクレオチド97〜1488)、停止コドン(ヌクレオチド1489〜1491)及びC末端BamHI制限酵素部位(ヌクレオチド1492〜1497)が含まれる(配列番号2を参照のこと)。前述の制限酵素部位を用いて集合させた遺伝子をpET−28a+ベクター(Novagen)にクローニングした。次いでこの構築物を使用して発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを伴ったテリフィックブロス(TB)培地にて210rpmで振盪しながら37℃で細胞を増殖させた。OD
600が約1.0に達したとき、37℃で連続して一晩振盪しながらIPTG(0.5mMの最終濃度)を添加することによって発現を誘導した。次いで遠心分離によって細胞を回収し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl、0.5mMのリン酸ピリドキシル(PLP)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び1μg/mLのDNA分解酵素から成る溶解緩衝液に再浮遊させた。溶解はフレンチプレスによって達成し、溶解物は20,000×gで4℃にて1時間遠心分離することによって粒子状物質を除いた。次いで5μmの注射器フィルターを介して上清を濾過し、50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl及び0.1mMのPLP、pH7.4で構成された緩衝液で事前に平衡化したNi−NTA/アガロースカラム(Qiagen)にかけた。溶解物をカラムに負荷した後、5カラム容量(CV)の30mMのイミダゾールを伴った50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLPで樹脂を洗浄した。次に、100CVの0.1mMのPLPと1%v/vのTRITON(登録商標)X114を伴った内毒素を含まないPBS(Corning)緩衝液でカラムを一晩ゆっくり洗浄するように流速を設定した。この一晩の洗浄によって、酵素の細菌発現系の典型的な混入物であるリポ多糖類(LPSまたは内毒素)を取り除く。次いで、5CVの0.1mMのPLPと250mMのイミダゾールを伴った内毒素を含まないPBSで、洗浄された酵素を溶出し、樹脂を2回目の5CV部分の0.1mMのPLPを伴った内毒素を含まないPBSですすいだ。この時点で酵素の緩衝液を新しいPBSに変えてイミダゾールを取り除き、10%グリセロールを加え、アリコートを−80℃での保存のために液体窒素で瞬間凍結した。或いは、酵素の緩衝液を直ちに、新しく作製した無菌の100mMのリン酸ナトリウム、pH8.4に交換して、イミダゾールの除去とペグ化の準備の双方を行った(実施例4を参照)。酵素の純度は通常、SDS−PAGE解析に基づいて>95%であり、典型的な収量は、培養物の20mg/L前後で平均された。Abs
280nmを測定し、76,040M
−1cm
−1の算出された酵素の吸光係数を用いてタンパク質の量を評価した。
【0160】
実施例3:ハツカネズミ(Mus musculus)由来のキヌレニナーゼの遺伝子構築、発現及び精製
DNA−Worksソフトウエア(Hooverら,2002)を用いて設計した3つのコドンを最適化した遺伝子ブロックのオーバーラップ伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、ハツカネズミ由来のキヌレニナーゼ酵素(m−KYNU)の発現のための遺伝子を得た。完全長の遺伝子には、N末端XbaI制限酵素部位(ヌクレオチド1〜6)、最適化されたRBS(ヌクレオチド29〜58)、開始コドン(ヌクレオチド59〜61)、N末端His
6タグ(ヌクレオチド62〜94)、大腸菌コドンに最適化されたm−KYNU遺伝子(ヌクレオチド95〜1483)、停止コドン(ヌクレオチド1484〜1486)及びC末端BamHI制限酵素部位(ヌクレオチド1487〜1492)が含まれる(配列番号3を参照のこと)。前述の制限酵素部位を用いて集合させた遺伝子をpET−28a+ベクター(Novagen)にクローニングした。この構築物を次いで使用して発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを伴ったテリフィックブロス(TB)培地にて210rpmで振盪しながら37℃で細胞を増殖させた。OD
600が約1.0に達したとき、37℃で連続して一晩振盪しながら0.5mMのIPTGを添加することによって発現を誘導した。次いで遠心分離によって細胞を回収し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl、0.5mMのリン酸ピリドキシル(PLP)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び1μg/mLのDNA分解酵素から成る溶解緩衝液に再浮遊させた。溶解はフレンチプレスによって達成し、溶解物は20,000×gで4℃にて1時間遠心分離することによって粒子状物質を除いた。5μmの注射器フィルターを介して上清を濾過し、50mMのリン酸ナトリウム、300mMのNaCl及び0.1mMのPLP、pH7.4で構成された緩衝液で事前に平衡化したNi−NTA/アガロースカラム(Qiagen)にかけた。溶解物をカラムに負荷した後、5カラム容量(CV)の30mMのイミダゾールを伴った50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLPで樹脂を洗浄した。次に、100CVの0.1mMのPLPと1%v/vのTRITON(登録商標)X114を伴った内毒素を含まないPBS(Corning)緩衝液で一晩ゆっくり洗浄するように流速を設定した。この一晩の洗浄によって、酵素の細菌発現系の典型的な混入物であるリポ多糖類(LPSまたは内毒素)を取り除く。5CVの0.1mMのPLPと250mMのイミダゾールを伴った内毒素を含まないPBSで、洗浄された酵素を溶出し、樹脂を2回目の5CV部分の0.1mMのPLPを伴った内毒素を含まないPBSですすいだ。この時点で酵素の緩衝液を新しいPBSに変えてイミダゾールを取り除き、10%グリセロールを加え、アリコートを−80℃での保存のために液体窒素で瞬間凍結した。
【0161】
実施例4:シュードモナス・フルオレッセンス由来のキヌレニナーゼの薬理学的製剤
インビボでの酵素の循環時間を改善するために、PEGへのコンジュゲーションによりタンパク質における表面反応基を官能化することによってKYNU酵素の流体力学半径を大きくした。一実施形態では、Pf−KYNUは表面のリジン残基のメトキシルPEG炭酸スクシンイミジル5000MW(NANOCS)との反応によって官能化された。精製し、内毒素を含まない酵素の緩衝液を、新しく調製した100mMのリン酸ナトリウム、pH8.4に十分に交換して10mg/mLに濃縮した。得られた溶液を直接、100:1のモル過剰の固形PEG試薬に加え、室温で1時間反応させた(
図1)。100kDaカットオフの遠心濾過装置(AMICON(登録商標))にて新しい内毒素を含まないPBSに十分に緩衝液交換することによって未反応のPEGを溶液から取り除いた。次いでPBSにおけるサイズ排除HPLCカラム(Phenomenex)にて酵素の見かけの分子質量を確認した。BioRadのMW標準溶液を用いて検量線を生成し、酵素の保持時間をタンパク質標準のそれと比較した。検量線に基づいて、ペグ化されなかった酵素は40kDaの見かけの質量を有し、それはPf−KYNUの単量体1つの質量に近い。酵素のペグ化された型は1,300kDa、すなわち、未修飾の酵素より実質的に大きい見かけの質量を有すると見なされた。Chromo−LAL動的発色内毒素試験キット(Associates of Cape Cod,Inc.)を用いて内毒素のレベルを定量した。上述のような方法で洗浄した酵素は精製したPf−KYNUの0.19±0.07EU/mgのレベルで内毒素を通常生じた。
【0162】
実施例5:ヒト由来のキヌレニナーゼの薬理学的製剤
インビボでのヒト酵素の循環滞留時間を改善するために、PEGへのコンジュゲーションによりタンパク質における表面反応基を官能化することによってh−KYNUの流体力学半径を大きくした。一実施形態では、h−KYNUは表面のリジン残基のメトキシルPEG炭酸スクシンイミジル5000MW(NANOCS)との反応によって官能化された。精製し、内毒素を含まない酵素の緩衝液を、新しく調製した100mMのリン酸ナトリウム、pH8.4に十分に交換して10mg/mLに濃縮した。得られた溶液を直接、100:1のモル過剰の固形PEG試薬に加え、室温で1時間反応させた。100kDaカットオフの遠心濾過装置(AMICON(登録商標))にて新しい内毒素を含まないPBSに十分に緩衝液交換することによって未反応のPEGを溶液から取り除いた。PBSで平衡化したサイズ排除HPLCカラム(Phenomenex)を用いて酵素の見かけの分子質量を測定し、保持時間をMW標準溶液(BioRad)と比較した。Chromo−LAL動的発色内毒素試験キット(Associates of Cape Cod,Inc.)を用いて内毒素のレベルを定量した。
【0163】
実施例6:キヌレニナーゼの動態パラメータを測定するアッセイ
実施例4及び5に記載したようなPf−KYNU及びh−KYNUと同様にそれらのペグ化した型の動態パラメータを、酵素基質、L−キヌレニンの最大吸光度における減衰を時間の関数としてモニターする分光光度アッセイによって定量した。L−キヌレニン溶液をPBS緩衝液、pH7.4にて調製し、8μM〜250μMに及ぶ最終濃度を生じた。L−キヌレニンは365nmでλ
maxを持ち、4,500M
−1cm
−1の吸光係数を有する一方で、キヌレニナーゼ反応の生成物であるL−アントラニル酸及びL−アラニンは365nmで感知できるほど吸収しない。酵素溶液(最終、約20nM)を加え、基質溶液と素早く混合し、経時的にAbs
365nmを測定することにより25℃での基質KYNの喪失をモニターすることによって反応を開始した。得られたデータを処理し、動態定数を決定するためにミカエリス−メンテンの方程式に適合させた。ペグ化されたPf−KYNU酵素の動態を同一の方法で測定した。ペグ化されていない酵素については、k
cat/K
M=1.0×10
5M
−1s
−1であり、ペグ化された形態については、k
cat/K
M=1.3×10
5M
−1s
−1であった。3−ヒドロキシ−L−キヌレン酸の加水分解についての動態パラメータもここで記載されたように測定した。
【0164】
実施例7:キヌレニナーゼのインビトロでの安定性
Pf−KYNUのインビトロでの安定性を測定するために、10μMの最終濃度でPBS緩衝液またはプールしたヒト血清に酵素を加え、37℃でインキュベートした。各時点でそれぞれの10μL部分を取り出し、L−キヌレニン/PBSの250μM溶液990μLに加えた。実施例3で記載されたように経時的に365nmでの吸光度の減衰を測定することによって反応初速度をモニターした。各時点でのL−キヌレニン触媒反応初速度を比較し、時間=0での速度と比較することによって酵素の安定性を決定した。得られたデータを時間に対する%活性としてプロットし、指数方程式に適合させて半減期(T
1/2)を決定した。Pf−KYNUはPBSにてT
1/2=34.3時間、及びプールしたヒト血清にてT
1/2=2.4時間を有することが見いだされた(
図2)。
【0165】
実施例8:インビボでキヌレニン及びトリプトファンのレベルを定量するアッセイ
L−キヌレニン、トリプトファン、キヌレン酸、3−ヒドロキシ−L−キヌレニン及びL−アントラニル酸(キヌレニナーゼの触媒作用の生成物の1つ)のインビボレベルをHPLCによって定量し、モニターした。マウスの解剖の際、血液、腫瘍、脾臓及び肝臓の試料を取り出した。血液試料を遠心分離し、血清と全血を分離した。組織試料を先ずホモジネートし、次いで遠心分離して固形部分を取り除いた。100%トリクロロ酢酸の1:10v/v部分を各液体部分に加え、高分子を沈殿させた。遠心分離によって固形分を再び取り除き、0.45μmの注射器フィルターに上清を通した。処理した上清をHPLC(Shimadzu)に直接かけ、溶液AがH
2O+0.1%トリフルオロ酢酸であり、溶液Bがアセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸である、0%溶液Bから出発して100%溶液Bまでの勾配を用いて標準の分析用C−18カラムにて分離した。190nmから900nmまでの完全な吸光度範囲を絶えず収集して考えられる分子すべてをモニターし、蛍光分光光度(Ex=365nm、Em=480nm)を同時に収集してキヌレニンのレベルを特にモニターした。純粋な分子(Sigma)から作製した標準溶液を用いて濃度及び保持時間を決定した。
【0166】
実施例9:自家B16マウス黒色腫モデルにおけるPEG−Pf−KYNUの有効性
脇腹皮下の注射によってB6−WTマウス(n=20)に2.5×10
5個のB16マウス黒色腫細胞を接種した。10日間腫瘍を根付かせた(腫瘍平均=20mm
2)後、マウスを各n=10の2群に分けた。次いで、対照群は、腫瘍が350mm
2のサイズに達するまで、3日ごとに腫瘍内注射によって、熱不活性化PEG−Pf−KYNUの20mg/kgで処理した。実験群は、腫瘍が350mm
2のサイズに達するまで、3日ごとに腫瘍内注射によって活性のあるPEG−Pf−KYNUの20mg/kgで処理したことを除いて、同様に処理した。B16黒色腫腫瘍の増殖速度は、熱不活性化PEG−Pf−KYNUで同様に処理した群(
図3)に比べて、活性のあるPEG−Pf−KYNUを投与した処理群では有意に遅延したということは有意な寿命の延長を生じた(
図4)。対照群及び実験処理群から単離されたリンパ球を抗体のパネル(すなわち、抗CD45、CD4、Nk1.1、CD25、FoxP3、CD8、グランザイムB、IFNγ、CTLA4、CD11c、CD11b、F4/80、GR−1、及びLy6−C)で評価したが、それは、循環CD4+CD25+FoxP3+調節性T細胞の集団が活性のあるPEG−Pf−KYNUで処理した群にて有意に低下することを示した(4.8±0.8%対8.6±0.8%)。加えて、グランザイムB及びインターフェロンγを発現している腫瘍浸潤CD8+T細胞の集団が活性のある酵素で処理されたマウスにて有意に高かった(26±19%対4±2%)(
図5A〜B)。
【0167】
実施例10:腫瘍のターゲティングのためのキヌレニナーゼ/scFv融合タンパク質
一部の態様では、本発明はまた、異種のアミノ酸配列に連結された、細菌または哺乳類の修飾されたキヌレニナーゼを含むポリペプチドを企図する。たとえば、特異的に細胞表面腫瘍抗原を結合する単鎖可変断片(scFv)抗体にネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼを連結してもよい。この実施形態では、既知の腫瘍抗原、好ましくは遅い速度で内部移行する腫瘍特異抗原、たとえば、MUC−1に対して特異的な親和性を有するタンパク質のscFv部分を伴うscFv/キヌレニナーゼ融合タンパク質は、融合タンパク質のキヌレニナーゼ部分が腫瘍細胞に送達され、KYNを分解するのを可能にすることになる。一例は、scFv部分が特定の種類の乳癌で上方調節されるヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)を標的とし、それに結合するscFv/キヌレニナーゼ融合タンパク質である。
【0168】
この実施形態では、ネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼ/抗HER2/scFv融合タンパク質は、腫瘍表面に直接向かい、キヌレニナーゼを濃縮するように作用し、腫瘍が産生したKYNを分解するように作用する。
【0169】
実施例11:キヌレニナーゼ/抗CTLA4/scFv融合タンパク質
一部の態様では、本発明はまた、異種のアミノ酸配列に連結された、細菌または哺乳類の修飾されたキヌレニナーゼを含むポリペプチドを企図する。たとえば、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA−4)受容体、プログラム細胞死1(PD−1)またはプログラム細胞死リガンド1(PD−L1)を結合する単鎖可変断片(scFv)抗体にネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼを連結してもよい。アンタゴニスト抗体または抗体断片によるCTLA−4、PD−1、またはPD−L1の遮断は、抑制性T細胞シグナルが反転されるのを可能にし、CD28がT細胞の活性化を刺激するのを可能にする。この実施形態では、ネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼ/抗CTLA−4、抗PD−1、または抗PD−L1/scFv融合タンパク質は、抑制性のタンパク質:タンパク質相互作用のシグナル伝達及び抑制性のキヌレニンのシグナル伝達の双方を除くように作用する。ネイティブなまたは修飾されたキヌレニナーゼ/scFv融合タンパク質のこの実施形態は、T細胞の活性化を強力に上方調節し、強固な抗腫瘍応答を促進することが期待される。
【0170】
実施例12:キヌレニナーゼのT細胞への送達のためのキメラ抗原受容体の構築物
一部の態様では、本発明はまた、細菌または哺乳類の修飾されたキヌレニナーゼがキメラ抗原受容体(CAR)構築物に加えて同時発現するように、CAR構築物をT細胞に形質移入するのに好適なレンチウイルスベクターも企図する。CAR構築物は、CD3−ζ鎖及び多くはCD28分子に由来する膜貫通及び細胞質のシグナル伝達ドメインに融合された細胞外の抗原結合ドメインを含有するタンパク質である(Ahmedら、2010)。抗原結合ドメインは、膠芽細胞腫または骨肉腫によって発現されるHER2、種々のB細胞悪性腫瘍によって発現されるCD19またはCD20、または神経芽細胞腫によって発現されるGD2(Lipowska−Bhallaら,2012)である例を伴った腫瘍細胞により発現される抗原を、または任意の他の関連する標的を結合するように設計されたscFvであってもよい。この実施形態では、T細胞に適当なCAR構築物を送達するレンチウイルスベクターは、細胞質にてネイティブなまたは修飾された、細菌または哺乳類のキヌレニナーゼをさらに同時発現する。このCAR/キヌレニナーゼ構築物を含有するT細胞は1)特異的な腫瘍細胞に結合する、且つ2)KYNを分解する二重能力を有して、調節性の表現型及び/またはアポトーシスのKYNによる誘導を妨げる。別の実施形態では、T細胞は、CD19+またはCD20+のびまん性大B細胞リンパ腫に結合する一方で、この種の腫瘍によって産生されることが多い高濃度のKYNを分解するキヌレニナーゼを同時発現するCAR構築物を発現する(Yoshikawaら,2010;de Jongら,2011;Yaoら,2011)。
【0171】
実施例13:キヌレニナーゼ活性についての遺伝子選択
アミノ酸L−トリプトファン(L−Trp)はtrp生合成遺伝子の発現によってペントース由来の前駆体、コリスミ酸から合成される。大腸菌のような細菌では、trp生合成遺伝子は5つの遺伝子trpE、trpD、trpC、trpB、及びtrpAで構成されるオペロンにて構造化される。TrpE及びTrpDのタンパク質はコリスミ酸とL−グルタミンのアントラニル酸とL−グルタミン酸への変換での第1工程を触媒するアントラニル酸シンターゼ複合体の成分である。次いでその後、TrpC、TrpA及びTrpBの作用によってアントラニル酸はL−Trpに変換される。機能的なアントラニル酸シンターゼ遺伝子を欠く細胞はL−Trpに対して栄養要求性であり、トリプトファンを含まない最少培地では増殖できない。本発明者らは、キヌレニンは多くの生物の細胞質ゾルに輸送され得るので、十分に高い触媒活性を示す組換えL−キヌレニナーゼ酵素を発現している細胞は細胞質ゾルのL−キヌレニンをアントラニル酸に変換することができるはずであり、後者はその後、L-Trpの合成を可能にすると仮定した。対照的に、酵素を発現しないまたは低い触媒活性を持つ改変体を発現する細胞は、L−キヌレニンを伴った最少培地では増殖を示さないまたは非常に遅い増殖を示すはずである。
【0172】
大腸菌のtrpE及びtrpDを欠失した変異体をYale CGSCの遺伝資源から得た。株の遺伝子型はそれぞれ、(F−、Δ(araD−araB)567、 ΔlacZ4787(::rrnB−3)、λ−、ΔtrpE772::kan、rph−1、Δ(rhaD−rhaB)568、hsdR514)及び(F−、Δ(araD−araB)567、ΔlacZ4787(::rrnB−3)、λ−、ΔtrpD771::kan、rph−1、Δ(rhaD−rhaB)568、hsdR514)だった。細胞をM9最少培地のプレートに入れた。次いで、L−Trp、L-Kyn、アントラニル酸、または緩衝液のいずれかに浸した濾紙円板をプレートに置き、その後、37℃でインキュベートした。L−Trpの存在下では大腸菌ΔtrpD細胞のみが増殖し、しかし、大腸菌ΔtrpEもアントラニル酸の存在下では増殖できたが、緩衝液またはL−Kynの存在下では増殖できなかったということは、trpC、trpA及びtrpBが発現されていることを明らかにしており、中間代謝体としてのアントラニル酸によってL−Trpの栄養要求性の救済を可能にする(
図6)。さらに、Pf−KYNU遺伝子を内部に持つプラスミドによって形質転換された大腸菌ΔtrpE細胞は、L−Kynの存在下でM9最少培地のプレートにて確実に増殖した。
【0173】
実施例14:キヌレニンに対する高い触媒活性とヒトのキヌレニナーゼに対する同一性を示す細菌キヌレニナーゼの遺伝子構築、発現及び精製
他の真核生物のキヌレニナーゼと同様に、ヒトの酵素は3'−OHキヌレニンの加水分解に対して高度に選択性であり、キヌレニンに対しては約1,000分の1の触媒活性を有する。キヌレニンに対するその乏しい触媒活性のために、ヒト酵素は治療目的に好適ではない。ペグ化したPf−KYNU(実施例9)、Mu−KYNU(実施例22及び実施例23)またはCp−KYNU(実施例17)(そのすべてが3'−OHキヌレニンの代わりにキヌレニンに対して高い触媒活性を示す)の投与は実施例9(
図3)で示すように腫瘍増殖の遅延を生じた。しかしながら、ペグ化したヒトキヌレニナーゼの投与は類似のまたは高い投与でB16黒色腫腫瘍の増殖に効果を有さなかった(n=4)。しかしながら、実施例20で示したように、h−KYNUの操作はヒト酵素のL−キヌレニン分解活性を改善することができる。そのような操作されたh−KYNU改変体はペグ化したPf−KYNU(実施例9)、Mu−KYNU(実施例22及び実施例23)またはCp−KYNU(実施例17)で見られたように腫瘍増殖の遅延を生じ得る。
【0174】
Pf−KYNUはヒトの対応物に対して低い配列同一性を有する(24%のアミノ酸同一性)。ヒトのタンパク質に対するその低い配列同一性の故に、Pf−KYNUは患者における有害な免疫応答と同様に中和抗体の産生を引き出し得る。従って、キヌレニンに対する高い触媒活性と選択性を示し、且つヒトのキヌレニナーゼに対する高い程度のアミノ酸同一性を有するキヌレニナーゼ酵素を発見することが重要である。本発明者らは、ヒトのキヌレニナーゼに対する>38%のアミノ酸同一性及び高いキヌレニン加水分解活性を示す多数の細菌酵素を特定した。これらの酵素の配列を配列番号13〜52にて提供する。ヒトのキヌレニナーゼと比べたこれらの酵素のパーセント同一性を表1にて提供する。代表的な例としてムチラギニバクター・パルジスに由来するキヌレニナーゼ酵素(Mu−KYNU)(配列番号33)の発現のための遺伝子を、DNA−Worksソフトウエア(Hoover及びLubkowski,2002)を用いて設計した2つのコドンを最適化した遺伝子ブロックのオーバーラップ伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって構築した。完全長の遺伝子には、N末端NcoI制限酵素部位、最適化されたRBS、N末端His
6タグ、大腸菌コドンに最適化されたMu−KYNU遺伝子、停止コドン及びC末端EcoRI制限酵素部位が含まれる。前述の制限酵素部位を用いて集合させた遺伝子をpET−28a+ベクター(Novagen)にクローニングした。次いでこの構築物を使用して発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを伴ったテリフィックブロス(TB)培地にて210rpmで振盪しながら37℃で細胞を増殖させた。OD
600が約1.0に達したとき、37℃で連続して一晩振盪しながらIPTG(0.5mMの最終濃度)を添加することによって発現を誘導した。次いで遠心分離によって細胞を回収し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl、0.5mMのリン酸ピリドキシル(PLP)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び1μg/mLのDNA分解酵素から成る溶解緩衝液に再浮遊させた。溶解はフレンチプレスによって達成し、溶解物は20,000×gで4℃にて1時間遠心分離することによって粒子状物質を除いた。次いで5μmの注射器フィルターを介して上清を濾過し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLP緩衝液で事前に平衡化したNi−NTA/アガロースカラム(Qiagen)にかけた。溶解物をカラムに負荷した後、5カラム容量(CV)の30mMのイミダゾールを伴った50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLPで樹脂を洗浄した。次いで、5CVの0.1mMのPLPと250mMのイミダゾールを伴ったPBSで、洗浄された酵素を溶出した。この時点で酵素の緩衝液を新しいPBSに変えてイミダゾールを取り除き、10%グリセロールを加え、アリコートを−80℃での保存のために液体窒素で瞬間凍結した。酵素の純度は通常、SDS−PAGE解析に基づいて>95%であり、典型的な収量は、培養物の75mg/L前後で平均された。Abs
280nmを測定し、78,185M
−1cm
−1の算出された酵素の吸光係数を用いてタンパク質の量を評価した。
【0175】
(表1)ヒトのキヌレニナーゼと比べた真正細菌のキヌレニナーゼ酵素のパーセント同一性
【0176】
実施例15:ムチラギニバクター・パルジスのキヌレニナーゼ(Mu−KYNU)の動的パラメータ
Mu−KYNUの動態パラメータを、酵素基質、L−キヌレニンの最大吸光度における減衰を時間の関数としてモニターする分光光度アッセイによって定量した。L−キヌレニン溶液をPBS緩衝液、pH7.4にて調製し、16μM〜500μMに及ぶ最終濃度を生じた。L−キヌレニンは365nmでλ
maxを持ち、4,500M
−1cm
−1の吸光係数を有する一方で、キヌレニナーゼ反応の生成物であるL−アントラニル酸及びL−アラニンは365nmで感知できるほど吸収しない。酵素溶液(約20nMの最終濃度)を加え、基質溶液と素早く混合し、経時的にAbs
365nmを測定することにより25℃での基質の喪失をモニターすることによって反応を開始した。得られたデータを処理し、動態定数を決定するためにミカエリス−メンテンの方程式に適合させた。Mu−KYNUはk
cat/K
M=1.2×10
5M
−1s
−1を有することが測定された。
【0177】
実施例16:ムチラギニバクター・パルジスのキヌレニナーゼ(Mu−KYNU)のインビトロでの安定性
Mu−KYNUのインビトロでの安定性を測定するために、10μMの最終濃度でPBS緩衝液またはプールしたヒト血清に酵素を加え、37℃でインキュベートした。各時点でそれぞれの10μL部分を取り出し、L−キヌレニン/PBSの250μM溶液990μLに加えた。実施例3で記載されたように経時的に365nmでの吸光度の減衰を測定することによって反応初速度をモニターした。各時点でのL−キヌレニン触媒反応初速度を比較し、時間=0での速度と比較することによって酵素の安定性を決定した。得られたデータを時間に対する%活性としてプロットし、二相減衰モデル(Stoneら,2010)に適合させて半減期(T
1/2)を決定した。PBSにおけるMu−KYNU酵素の活性は74%の残りの活性の多さを伴って
1T
1/2=6時間、及びその後の
2T
1/2=150時間を有することが見いだされた(
図7)。プールしたヒト血清におけるMu−KYNU酵素の安定性は、30%の残りの活性の多さを伴って
1T
1/2=5時間、及びその後の
2T
1/2=73時間を有することが測定された(
図7)。
【0178】
実施例17:クラミドフィラ・ペコルム(Chlamydophila pecorum)に由来するキヌレニナーゼの遺伝子構築、発現及び精製
クラミドフィラ・ペコルム由来のキヌレニナーゼ酵素(Cp−KYNU)の発現のための遺伝子を、大腸菌のコドンを最適化した遺伝子ブロックを用いて合成した。完全長の遺伝子には、N末端NcoI制限酵素部位(ヌクレオチド1〜6)、開始コドン(ヌクレオチド3〜5)、N末端His
6タグ(ヌクレオチド6〜35)、大腸菌コドンに最適化されたCp−KYNU遺伝子(ヌクレオチド36〜1295)、停止コドン(ヌクレオチド1296〜1298)及びC末端EcoRI制限酵素部位(ヌクレオチド1299〜1304)が含まれる(配列番号53)。前述の制限酵素部位を用いて集合させた遺伝子をpET−28a+ベクター(Novagen)にクローニングした。次いでこの構築物を使用して発現のために大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。50mg/Lのカナマイシンを伴ったテリフィックブロス(TB)培地にて210rpmで振盪しながら37℃で細胞を増殖させた。OD
600が約1.0に達したとき、16℃で連続して一晩振盪しながらIPTG(0.5mMの最終濃度)を添加することによって発現を誘導した。次いで遠心分離によって細胞を回収し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl、0.5mMのリン酸ピリドキシル(PLP)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル及び1μg/mLのDNA分解酵素から成る溶解緩衝液に再浮遊させた。溶解はフレンチプレスによって達成し、溶解物は20,000×gで4℃にて1時間遠心分離することによって粒子状物質を除いた。次いで5μmの注射器フィルターを介して上清を濾過し、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLP緩衝液で事前に平衡化したNi−NTA/アガロースカラム(Qiagen)にかけた。溶解物をカラムに負荷した後、10カラム容量(CV)の30mMのイミダゾールを伴った50mMのリン酸ナトリウム、pH7.4、300mMのNaCl及び0.1mMのPLPで樹脂を洗浄した。次いで、5CVの0.1mMのPLPと250mMのイミダゾールを含有するPBSで、洗浄された酵素を溶出した。溶出した酵素の緩衝液を新しいPBSに交換してイミダゾールを取り除き、10%グリセロールを加え、アリコートを−80℃での保存のために液体窒素で瞬間凍結した。
【0179】
実施例18:クラミドフィラ・ペコルムのキヌレニナーゼ(Cp−KYNU)の動態パラメータ
Cp−KYNU(配列番号57)の動態パラメータを、酵素基質、L−キヌレニンの最大吸光度における減衰を時間の関数としてモニターする分光光度アッセイによって定量した。L−キヌレニン溶液をPBS緩衝液、pH7.4にて調製し、16μM〜500μMに及ぶ最終濃度を生じた。L−キヌレニンは365nmでλ
maxを持ち、4,500M
−1cm
−1の吸光係数を有する一方で、キヌレニナーゼ反応の生成物であるアントラニル酸及びL−アラニンは365nmで感知できるほど吸収しない。酵素溶液(200nMの最終濃度)を加え、基質溶液と素早く混合し、経時的にAbs
365nmを測定することにより25℃での基質の喪失をモニターすることによって反応を開始した。得られたデータを処理し、動態定数を決定するためにミカエリス−メンテンの方程式に適合させた。Cp−KYNUはk
cat/K
M=3×10
4M
−1s
−1を有することが測定された。
【0180】
実施例19:ムチラギニバクター・パルジスに由来するキヌレニナーゼの薬理学的製剤
インビボでの酵素の循環時間を改善するために、PEGへのコンジュゲーションによりタンパク質における表面反応基を官能化することによってMu−KYNUの流体力学半径を大きくした。一実施形態では、Mu−KYNUは表面のリジン残基のメトキシルPEG炭酸スクシンイミジル5000MW(NANOCS)との反応によってペグ化された。精製されたMu−KYNUは以下で記載されるように非常に低い内毒素レベル(<20EU/mg)を含有することが測定された。その緩衝液を、新しく調製した100mMのリン酸ナトリウム、pH8.4に十分に交換して1mg/mLを超えるまで濃縮した。得られた溶液を直接、100:1のモル過剰の固形PEG試薬に加え、撹拌しながら室温で1時間反応させた。100kDaカットオフの遠心濾過装置(Amicon)にて新しい内毒素を含まないPBSに十分に緩衝液交換することによって溶液から未反応のPEGを取り除いた。次いで、検量線を生成するためのBioRadのMW標準溶液を用いて、PBSにおけるサイズ排除HPLCカラム(Phenomenex)にて酵素の見かけの分子質量を確認し、酵素の保持時間をタンパク質標準のそれと比較した。Chromo−LAL動的発色内毒素試験キット(Associates of Cape Cod,Inc.)を用いて内毒素のレベルを定量した。
【0181】
実施例20:操作されたヒトキヌレニナーゼ改変体における増強されたL−キヌレニンの分解
h−KYNU酵素は3'−OHキヌレニンの加水分解に対して高度に選択性であり、L−キヌレニンに対しては約1,000分の1の触媒活性を有する。L−キヌレニンに対する乏しい触媒活性の故に、野生型のヒト酵素は治療目的に好適ではない。h−KYNUにて改善されたL−キヌレニン分解活性を操作するために、h−KYNU遺伝子とアミノ酸F306に相当するコドンの変異を導入するように設計された1対のオリゴヌクレオチドとを用いてオーバーラップ伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって飽和変異誘発ライブラリを構築した。F306はh−KYNUの活性部位の中に位置し、基質の結合で役割を担うと思われる。実施例6のマイクロタイタープレートキヌレニナーゼアッセイを用いて活性についてF306飽和ライブラリをスクリーニングした。数十のクローンが野生型h−KYNUよりも有意に高い活性を示し、さらなる分析にためにそれらを選択した。これらのクローンの配列決定は、F306位における2種類のアミノ酸置換、すなわち、h−KYNU−F306M(配列番号55)及びh−KYNU−F306L(配列番号56)がL−キヌレニン分解活性の上昇を生じることを明らかにした。次いでこれらの改変体を均質に精製し、詳細な動態解析は、野生型のh−KYNUに比べて、h−KYNU−F306M及びh−KYNU−F306Lについて、L−キヌレニンに対するk
cat/K
Mでそれぞれ2倍及び5倍の上昇を明らかにした。
【0182】
実施例21:自家B16マウス黒色腫モデルにおけるPf−KYNU療法、抗PD1療法及び抗CTLA−4療法の比較
抗PD1(クローンRMP1−14、BioXCell #BE0146)または抗CTLA−4(クローンUC10−4F10−11、BioXCell #BE0032)免疫チェックポイント阻害剤抗体との対照比較にて、ペグ化したシュードモナス・フルオレッセンスのキヌレニナーゼ(PEG−Pf−KYNU)をB16マウス黒色腫モデルで評価した。50,000個のB16細胞をC57BL/6Jマウスの脇腹に移植した(0日目、各群n=8匹)。触診可能な腫瘍が発達する(10日目)とすぐに、示した時間(
図8)に250μgの抗PD1、100μgの抗CTLA−4(Holmgaardら(2013)のように200μgの1回目の投与)、または500μgのPEG−Pf−KYNUのいずれかで動物を処理した。熱不活性化PEG−Pf−KYNUを対照として使用した。PEG−Pf−KYNUの投与は、不活性化酵素またはPBSのみに対するPEG−Pf−KYNUについて抗PD1または抗CTLA−4チェックポイント阻害剤抗体で見られるものとは区別できない形で有意な腫瘍増殖の遅延を示し、且つ生存を延長した(
図8)。
【0183】
実施例22:自家B16マウス黒色腫モデルにおけるMu−KYNUまたはPf−KYNUと抗PD1の併用療法の有効性
抗PD1免疫チェックポイント阻害剤抗体(Curranら,2010)との併用でB16黒色腫同種移植にてペグ化した酵素(PEG−Mu−KYNU及びPEG−Pf−KYNU)を評価した。4群のC57BL/6Jマウス(群当たり10匹)に50,000個のB16細胞を移植し(0日目)、腫瘍を発達させた。触診可能な腫瘍が発達する(10日目)とすぐに、腫瘍部位の近傍の皮下での500μgのPEG−Mu−KYNUまたは500μgのPEG−Pf−KYNUと共にまたはそれを伴わずに、10、13及び16日目にIP注射により250μgの抗PD1(クローンRMP1−14、BioXCell #BE0146)で動物を処理した。マウスは10日目〜25日目の間に合計6回のKYNUの投与を受けた。1つの群はPD−1についての対照としてPBSのi.p.注射を行った。PBS対照に比べてすべての治療群で腫瘍増殖は劇的に損なわれ、さらに反転した(
図9A)。重要なことに、KYNUと併用した抗PD1で相加効果が認められ、PEG−Pf−KYNU/抗PD1処理によって腫瘍の60%及びPEG−Mu−KYNU/抗PD1処理によって腫瘍の20%の完全寛解を生じた(
図9B)。相当するカプラン−マイヤープロットを
図9Cにて提供する。
【0184】
実施例23:自家B16マウス黒色腫モデルにおけるPEG−Mu−KYNU療法の有効性
ムチラギニバクター・パルジスのペグ化したキヌレニナーゼ(PEG−Mu−KYNU)をB16マウス黒色腫モデルにて評価した。C57BL/6Jマウスの脇腹に50,000個のB16細胞を移植すること(0日目、群当たりn=9匹)によって同種移植を開始した。触診可能な腫瘍が発達する(10日目)とすぐに、3日ごとに合計6回、腫瘍の近傍への皮下注射によって500μgのPEG−Mu−KYNUで動物を処理した。熱不活性化PEG−Mu−KYNUによる同一の処理計画を対照として用いた。PEG−Mu−KYNUの投与は、熱不活性化PEG−Mu−KYNU対照についての22日に比べて25日の延長した中央値生存時間(
図10B)と共に腫瘍増殖の遅延(
図10A)を生じた。
【0185】
本明細書で開示され、請求される方法のすべては、本開示に照らして過度な実験を行うことなく行い、実行することができる。本発明の組成物及び方法は好まれる実施形態という点で記載されてきた一方で、本発明の概念、精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書で記載される方法に、及び方法の工程または工程の順序で変化が適用されてもよいことが当業者に明らかであろう。さらに具体的には、化学的に及び生理的にの双方で関連する特定の作用剤が本明細書で記載される作用剤に対して置き換えられてもよい一方で同一のまたは類似の結果が達成されることが明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神、範囲及び概念の範囲内にあると見なされる。
【0186】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書で言及されるものを補う例となる手順のまたは他の詳細を提供する程度に、参照によって具体的に本明細書に組み入れられる。