【実施例】
【0042】
特性化
Mg、Tiの測定
固体触媒成分中のMg及びTi含量の測定は、“I.C.P Spectrometer ARL Accuris”上で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
【0043】
サンプルは、“Fluxy”白金るつぼ内に、0.1÷0.3グラムの触媒及び2グラムのリチウムメタボレート/テトラボレート1/1混合物を分析的に秤量して製造した。KI溶液の数滴を添加した後、るつぼを完璧な燃焼のための特別な装置“Claisse Fluxy”内に挿入する。残渣を5%v/vHNO
3溶液を使用して収集した後、次の波長でICPで分析する:マグネシウム279.08nm;チタン368.52nm。
【0044】
Biの測定
固体触媒成分中のBi含量の測定は、“I.C.P Spectrometer ARL Accuris”上で誘導結合型プラズマ放出分光器を介して行った。
【0045】
サンプルは、200cm
3メスフラスコ内に0.1÷0.3グラムの触媒を分析的に秤量して製造した。約10ミリリットルの65%v/vHNO
3溶液及び約50cm
3の蒸溜水両方ともをゆっくりと添加した後、サンプルを4÷6時間消化させる。次に、前記メスフラスコを脱イオン水でマークまで希釈させる。得られた溶液を直ちに次の波長でICPで分析する:ビスマス223.06nm。
【0046】
内部供与体含量の測定
固体触媒化合物中の内部供与体の含量の測定は、ガスクロマトグラフィーを介して行った。固体成分をアセトンに溶解させ、内部標準物質を添加した後、有機相のサンプルをガスクロマトグラフで分析し、出発触媒化合物に存在する供与体の量を測定した。
【0047】
X.I.の測定
キシレン可溶性画分は、次の変更を除いては、ISO16152,2005によって測定した(ISO16152で規定されたものは、カッコの内である):
i)溶液体積は、250ml(200ml)であり
ii)25℃で30分間の沈澱段階途中に、前記溶液を最後の10分間マグネチックスターラーで撹拌下に保持させ(30分、任意の撹拌が全然なく)
iii)最後の乾燥段階は、70℃(100℃)の真空下で行われた。
前記キシレン可溶性画分の含量は、最初2.5グラム中の百分率として表現し、次に、その差(100に対して相補的である)は、X.I.%で表現する。
【0048】
分子量分布(Mw/Mn)
分子量及び分子量分布は、13μmの粒子大きさを有する4つの混合−層カラムPLgel Olexisが備られたWaters Alliance GPCV/2000機器を使用して150℃で測定した。カラムの寸法は、300×7.8mmであった。使用された移動相は、真空蒸溜された1,2,4−卜リクロロベンゼン(TCB)であり、流速は1.0ml/minで維持した。サンプル溶液を1〜2時間TCBの中で150℃で撹拌下でサンプルを加熱して製造した。濃度は、1mg/mlであった。分解を防止するために、0.1g/lの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。300μl(公称値)の溶液をカラムセットに注入した。580〜7500000の範囲の分子量を有する10個のポリスチレン標準サンプル(アジレント社のEasiCalキット)を使用して較正曲線を得た。マーク−ホーウィンク関係式のK値は、次のようなものとして仮定した:
K=1.21×10
−4dl/g 及び α=0.706ポリスチレン標準物質の場合、
K=1.90×10
−4dl/g 及び α =0.725実験サンプルの場合。
三次多項式フィットを実験データを補間法に使用し、較正曲線を得るために使用した。データ取得及び加工は、GPCオプションを使用したウォーターズエンパワー3のクロマトグラフィーデータソフトウェアを使用して行った。
【0049】
メルトフローレート(MIL)
重合体のメルトフローレートMILは、ISO1133(230℃、2.16Kg)によって測定した。
【0050】
プロピレン/エチレン共重合体の
13C NMR
13C NMRスペクトルは、120℃でフーリエ変換モードで160.91MHzで操作する、クライプロブが備えられたブルカーAV−600分光器上で取得した。
【0051】
S
ββ炭素(“Monomer Sequence Distribution in Ethylene−Propylene Rubber Measured by
13C NMR.3.Use of Reaction Probability Mode”C. J. Carman、 R. A. Harrington and C. E. Wilkes, Macromolecules, 1977, 10, 536による命名法)のピークを29.9ppmの内部基準として使用した。サンプルを8%wt/vの濃度で120℃で1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2中に溶解させた。各々のスペクトルを90゜パルス、パルス間15秒の遅延及び1H−13Cカップリングを除去するためのCPDで取得した。512個の過渡信号(transient)を9000Hzのスペクトルウィンドウを使用して32Kデータ地点に保存した。
【0052】
スペクトルの割り当て、トライアド分布及び組成物の評価を次の方程式を使用してカクゴ(Kakugo)(“Carbon−13 NMR determination of monomer sequence distribution in ethylene−propylene copolymers prepared with δ−titanium trichloride−diethylaluminum chloride”M. Kakugo, Y. Naito, K. Mizunuma and T. Miyatake, Macromolecules, 1982, 15, 1150)によって行った:
PPP=100T
ββ/S PPE=100T
βδ/S EPE=100T
δδ/S
PEP=100S
ββ/S PEE=100S
βδ/S EEE=100(0.25S
γδ+0.5S
δδ)/S
S=T
ββ+T
βδ+T
δδ+S
ββ+S
βδ+0.25S
γδ+0.5S
δδ
【0053】
エチレン含量のモールパーセントは下記方程式を使用して評価した:
E% mol = 100 * [PEP+PEE+EEE]
エチレン含量の重量パーセントは次の方程式を使用して評価した:
【0054】
【化1】
【0055】
前記式で、P%molはプロピレン含量のモール比であり、MW
E及びMW
Pは、それぞれエチレン及びプロピレンの分子量である。
【0056】
反応性比の積r
1r
2は、次のようにカーマン(C.J. Carman、 R.A. Harrington and C.E. Wilkes, Macromolecules, 1977; 10, 536)に応じて計算した:
【0057】
【化2】
【0058】
プロピレンシーケンスの立体規則性(tacticity)は、PPP mmT
ββの比(28.90〜29.65ppm)と全体T
ββ(29.80〜28.37ppm)からmm含量で計算した。
【0059】
レジオインバーション(regioinvertion)の測定:文献[J.C. Randall in “Polymer sequence determination Carbon 13 NMR method”, Academic Press 1977]に記載された方法に従って、C
13 NMRによって測定した。レジオインバーションの含量は、S
αβ+S
ββメチレンシークエンスの相対濃度に基づいて計算した。
【0060】
示差走査熱量法(DSC)を介した溶融温度
重合体の溶融点(Tm)は、インジウム溶融点に対して予め補正した、パーキンエルマー社製のDSC−1熱量計上で、示差走査熱量法(D.S.C.)により、20℃/minで、ISO 11357−1,2009及び11357−3,2011に従って測定した。全てのDSCるつぼ中のサンプルの重量は6.0±0.5mgに保持した。
【0061】
溶融点を得るために、称量されたサンプルをアルミニウムパン内に密封し、20℃/minで200℃まで加熱した。サンプルを2分間、200℃で保持し、全ての結晶性物質が完全に溶融するようにした後、20℃/minで、5℃に冷却した。5℃で、2分静置した後、サンプルを20℃/minで200℃に再加熱した。このような再加熱時、ピーク温度(Tp,m)を溶融温度とした。
【0062】
ディスク試片上でのヘイズ測定
ヘイズは、1mm厚さ、及び50mmの直径の射出成形された円状プラーク(disk)上で、ガードナーヘーズメーター、モデルヘイズガードプラスを利用して、ASTM D 1003−07により測定した。
【0063】
ディスク試片は、16mm直径のスクリュー付きの射出成形機、BOYモデルXSを利用して製造した。下記の成形条件が適用された:
【0064】
溶融温度 230℃
モールド温度 40℃
スクリューRPM 120
射出時間 1s
背圧 12Bar
全サイクル時間 30s
射出圧力 フラッシングなしで可能な最大
(サンプルによって90−120Bar)
保持圧力 射出圧力より15bar低い(即ち、75−105Bar)
保持時間 20s
【0065】
シール開始温度(SIT)
フィルム試片の製造
50μmの厚さを有する幾つかのフィルムは、それぞれのテスト組成物を1軸スクリューCollin押出成形機(スクリューの長さ/直径比1:25)で、7m/minのフィルム延伸速度及び210−250℃の溶融温度で押出して製造した。それぞれの得られたフィルムを、97重量%のキシレン不溶性画分及び2g/10minのMFR Lを有するプロピレン単独重合体の1000μm厚さのフィルム上に重畳した。重畳されたフィルムを200℃で、9000kg荷重下で、Carverプレスで互いに接着し、これを5分間保持した。得られたラミネートを150℃で、TOM Longフィルムストレッチャーを利用して6倍に、縦横に、即ち、二軸延伸して、20μm厚さフィルム(18μm単独重合体+2μmテスト)を得た。2×5cm試片を前記フィルムから切断した。
【0066】
SITの測定
それぞれのテストのために、二つの前記試片を、隣接した層が特別なテスト組成物の層になるように整列して重畳した。重畳された試片をBrugger Feinmechanik Sealer、モデルHSG−ETK 745を利用して、2cmの側面の一方に沿って密封した。シール時間は、0.1N/mm
2の圧力で5秒であった。シール温度は、それぞれのシールに対し、2℃を増加させ、テスト組成物の溶融温度より約10℃低い温度から開始した。シールされたサンプルを冷却した後、これらのシールされていない末端をインストロン機に付着させ、ここで、これらを50mm/minの牽引速度(traction speed)でテストした。
【0067】
SIT.は少なくとも2ニュートンの荷重が前記テスト条件に適用される場合、シールが破壊されない最小限のシール温度である。
【0068】
フィルム上のヘイズの測定
SIT測定のために、前述された通りに製造された50μmフィルム試片を用いた。ヘイズ値は、フィルター「C」と共に、G.E.1209光源を有するヘーズメータータイプUX−10又は同等の機器に連結されたガードナー光度計ユニットで測定した。知らされたヘイズの基準サンプルを、機器補正するために使用した。
【0069】
球形付加物の製造のための過程
マイクロ球形MgCl
2・pC
2H
5OH付加物を、粉末形態の、表1に示された量のBiCl
3をオイルの供給前に添加することを除いては、WO98/44009の比較例5に記述された方法に従って製造した。
【0070】
固体触媒成分の製造のための過程
機械的撹拌機、冷却器及び温度計付きの500mLの丸底フラスコに、300mLのTiCl
4を質素大気下に室温で注入した。0℃に冷却した後、撹拌し、ジイソブチルフタレート及び9.0gの球形付加物(前記記載された通り製造された)を連続的に前記フラスコに添加した。充填された内部供与体の量は、8のMg/供与体モル比を満たす程度であった。温度を100℃に昇温し、2時間保持した。その後、撹拌を止め、固体生成物が定着するようにした後、上清を100℃で抜き取った。上清を除去した後、追加的な新しいTiCl
4を初期液体体積に再び達するように添加した。その後、混合物を120℃に加熱し、同温度で1時間保持した。撹拌を再び止め、固体が定着するようにした後、上清を抜き取った。固体を60℃に達するまで温度勾配で、6回無水カプロン酸で洗浄し、室温で1回洗浄した。その後、得られた固体を真空下に乾燥して、分析した。
【0071】
実施例1−6及び比較例1のプロピレン/エチレン共重合
撹拌機、圧力ゲージ、温度計、触媒供給システム、単量体供給ライン及びサーモスタットジャケット付きの4Lのスチール製オートクレーブを1時間、70℃で、窒素フローでパージした。その後、30℃で、プロピレンフロー(0.5Bar)下に、5分間、予め接触させた、75mLの無水カプロン酸、0.76gのAlEt
3、3.3mmolのジシクロペンチルジメトキシシラン(D供与体)、及び0.004÷0.010gの固体触媒成分を含有する懸濁液を充填した。オートクレーブを閉じ、次いで、3.2NLの水素を表1に示された通りに、所望のMILを得るために添加した。その後、撹拌下に1.2kgの液体プロピレンを必要な量のエチレン(4g)と共に、30から70℃まで昇温する間に供給した。温度を約10−15分内に70℃まで昇温し、重合を前記温度で2時間行った。圧力を一定に保持するために、エチレンを重合途中供給した。重合終了時、反応しなかった単量体を除去し、重合体を回収した後、3時間、真空下で、70℃で乾燥した。その後、重合体を称量して、特徴化した。プロピレン/エチレン共重合関連実験データを表1に示した。生成された全ての共重合体の場合、レジオインバーションがなかった。
【0072】
比較例2−3
US6,365,685の実施例1及び4のプロピレン/エチレン共重合体におけるXSは、前記特性化セクションに記載された方法により測定された。
【0073】
実施例7−8及び比較例4
予備重合処理
これを重合反応器内に導入する前に、前述された通りに製造された固体触媒成分をトリエチルアルミニウム(TEAL)及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン(C供与体)と表2に示された比で接触させた。その後、得られた混合物を、重合反応器内にこれを導入する前に、約5分間、20℃で、液体プロピレン中で懸濁を保持することによって予備重合した。
【0074】
重合
EP 1 012 195に記述されたように、重合装置を含む設備内で、連続条件下で形成された触媒の存在下にプロピレンとエチレンを重合して、共重合体を製造した。予備重合された触媒を、二つの互いに連結された円筒状の反応器、上昇管及び下降管を含む重合装置へ移送した。速い流動化条件は、ガス−固体分離器からガス(プロパン)をリサイクリングすることによって、上昇管内で確立された。バリアー供給は使わなかった。粉末を連続的に排出し、窒素フロー下で乾燥した。主な重合条件は、表2に示した。重合体の特性は、表4に示した。生成された全ての共重合体に対し、2,1レジオインバーションがなかった。
【0075】
比較例は比較例1の触媒成分を用いたことだけを除いては、同じ過程により行われた。
【0076】
イルガフォス(Irgafos)168(0.09%)、イルガノックス(Irganox)1010(0.045%)及びステアリン酸カルシウム(0.04%)が添加された共重合体を特性化のために、50μmフィルムに押出した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】