特許第6307244号(P6307244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307244
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   B65D5/52 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-226071(P2013-226071)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-85960(P2015-85960A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】大鐘 新也
(72)【発明者】
【氏名】田中 聖子
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−202242(JP,A)
【文献】 特開2011−168320(JP,A)
【文献】 実開昭60−036765(JP,U)
【文献】 特開2013−006796(JP,A)
【文献】 実開昭55−080211(JP,U)
【文献】 実開昭54−074638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 − 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面、背面、左側面、右側面、上面、下面からなり、粉末化粧料を充填したコンパクトケースを包装する包装容器であって、
前記正面の下端の両側に設けられた正面足桁部と、
前記左側面及び前記右側面の下端にそれぞれ設けられた側面足桁部と、
前記背面の下端に設けられた背面足桁部とを備え、
前記正面足桁部及び前記側面足桁部がそれぞれ連結され、
前記正面足桁部の幅は、前記側面足桁部の幅より大きく、
前記コンパクトケースは、前記下面サイドフラップが先に接して、次いで前記下面と接していて、
前記背面足桁部が、前記背面より外側へ反っていて、正面から見たときに、前記正面足桁部と重ならない位置にある、包装容器。
【請求項2】
前記粉末化粧料の硬度は、0.05N以上0.6N以下である請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
連結されている前記正面足桁部及び前記側面足桁部の下端は、連結の境界を亘って形成された円弧部を有する請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記正面足桁部、前記側面足桁部、及び前記背面足桁部の下端形状のうち、1つ以上が円弧形状である請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記正面足桁部、前記側面足桁部、及び前記背面足桁部のうち、1つ以上がテーパを有する請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器。
【請求項6】
前記正面の幅が、前記側面の幅より大きい請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器。
【請求項7】
連結されている前記正面足桁部及び前記側面足桁部のそれぞれが、左右対称となるように配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の包装容器。
【請求項8】
前記背面足桁部の高さは、前記正面足桁部及び前記側面足桁部の高さより高い請求項1〜7のいずれかに記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション及びアイシャドウ等の粉末化粧料を充填したコンパクトケース(蓋付き容器)の包装に用いる包装容器(個装箱)は、店頭での限られたスペースに陳列する等のために、自立性を有するものがある。
包装容器に自立性を持たせる手段として、例えば、箱の一面に折れ曲げ部及び切り欠き部を設けて支持部を形成させることにより自立性を付与したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、包装容器に自立性を付与する他の手段としては、包装容器において背面の下端を正面よりも短小にして、組立て時に底面が背面上りに傾斜するようにし、且つ背面の下端に足桁部を設けて包装容器を正面の下端と背面の足桁部とで自立性を付与したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1で示した手段では、支持部を形成する面には商品訴求の文言及びデザイン等を施すことができない問題があった。また、特許文献1で示した手段では、支持部を形成することで、奥行き寸法が大きくなるため、店頭で限られたスペースに陳列する際には非常に不利となる問題があった。
特許文献2で示した手段では、包装容器の底面が傾斜しているので、包装容器に収納するコンパクトケースの形状によっては斜めに傾いた状態となってしまう問題があった。
【0003】
コンパクトケースに充填された粉末化粧料は、物流時の振動や落下による衝撃により、割れやヨレという破損を生じることがある。そこで、粉末化粧料に伝達する衝撃を緩和するために、衝撃に対する緩衝効果を有する容器保持シートを備える包装容器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3の包装容器では、衝撃に対する緩衝効果を得るために、部品数が増加するので、それに伴って作業数及びコストの増加を引き起こすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−47522号公報
【特許文献2】実開昭60−169110号公報
【特許文献3】特開2010−202242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題の解決を鑑みたものであり、奥行き寸法を大きくすることなく、自立性を付与することができ、かつ、部品数を増加させることなく、外部からの衝撃に対する緩衝効果を有する包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、正面足桁部、側面足桁部、及び背面足桁部を所定の条件で配置することによって、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも正面、背面、左側面、右側面、上面、下面からなり、粉末化粧料を充填したコンパクトケースを包装する包装容器であって、前記正面の下端の両側に設けられた正面足桁部と、前記左側面及び前記右側面の下端にそれぞれ設けられた側面足桁部と、前記背面の下端に設けられた背面足桁部とを備え、前記正面足桁部及び前記側面足桁部がそれぞれ連結されている包装容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、奥行き寸法を大きくすることなく、自立性を付与することができ、かつ、部品数を増加させることなく、外部からの衝撃に対する緩衝効果を有する包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る包装容器及びコンパクトケースの一態様を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る包装容器の展開図である。
図3】本発明の実施の形態に係る包装容器の正面足桁部の幅と側面足桁部の幅との関係を示す模式的展開図である。
図4】本発明の実施の形態に係る包装容器の円弧部を示す模式的展開図である。
図5】本発明の実施の形態に係る包装容器の正面足桁部、側面足桁部、及び背面足桁部の下端形状が円弧形状であることを示す模式的展開図である。
図6】本発明の実施の形態に係る包装容器の背面足桁部の高さと正面足桁部及び側面足桁部の高さとの関係を示す模式的展開図である。
図7】本発明の実施の形態に係る包装容器の正面足桁部、側面足桁部、及び背面足桁部がテーパを有することを示す模式的展開図である。
図8】本発明の実施の形態に係る包装容器の背面足桁部が、背面より外側へ反っていることを示す側面図である。
図9】本発明の実施例1、比較例1、比較例2に係る化粧料用中皿の形状を示す平面図である。
図10】本発明の実施例1、比較例1、比較例2に係る包装容器の正面足桁部の形態を示す平面図である。
図11】本発明の実施例2〜6、比較例3に係る化粧料用中皿の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る包装容器は、図1に示すように、少なくとも正面10、背面11、左側面12、右側面13、上面14、下面15からなり、粉末化粧料を充填したコンパクトケース20を包装する包装容器であって、正面10の下端の両側に設けられた正面足桁部1と、左側面12及び右側面13の下端にそれぞれ設けられた側面足桁部2と、背面11の下端に設けられた背面足桁部3とを備える。正面足桁部1及び側面足桁部2は、それぞれ連結されている。ここで、「連結」とは、正面足桁部1及び側面足桁部2が連接されていて、解離していない状態をいう。
【0010】
本発明の実施の形態に係る包装容器の展開図を図2に示す。図2に示す包装容器は、右側面13、正面10、左側面12、背面11、糊代30が順次連設されている。正面10の上辺には、上面14が連設され、正面10の下辺には、下面15が連設されている。そして、上面14の上辺には、上面係止め部31が連設され、下面15の下辺には、下面係止め部32が連設されている。また、左側面12及び右側面13の上辺及び下辺には、それぞれ上面サイドフラップ33,34及び下面サイドフラップ35,36が連設されている。
なお、正面10の下端の両側には、正面足桁部1が設けられ、左側面12及び右側面13の下端には、それぞれ側面足桁部2が設けられ、背面11の下端には、背面足桁部3が設けられている。
【0011】
本発明の包装容器としては、適度な強度や弾性を有し、形状を維持できるものであれば、特に制限するものではなく、合成樹脂や紙類等、化粧品や文具等の日用品の包装に用いられるものが使用できる。包装容器は、印刷をする、商品を見せる様に透明にするといった加工のしやすさから、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)やポリオレフィン樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等)やポリスチレン樹脂(PS)等の合成樹脂が好適に用いられる。また包装容器の厚さは任意であるが、0.2mm以上0.5mm以下の範囲の厚さのものが好適に用いられる。
【0012】
コンパクトケース20に充填する粉末化粧料としては、ベンガラ、酸化鉄、酸化チタン等の色剤、マイカ、タルク等の賦形剤、流動パラフィン等の油剤を含有するものが挙げられる。
コンパクトケース20に充填する粉末化粧料の硬度は、包装容器が優れた緩衝効果を有することにより、硬度の低い粉末化粧料であっても落下等の衝撃を受けた際にヨレや割れ等を生じることを防止して収容可能であるという観点及び粉末化粧料の感触の観点から、最終製品において0.05N以上であることが好ましく、0.1N以上であることがより好ましく、0.6N以下であることが好ましく、0.45N以下であることがより好ましい。粉末化粧料の硬度の測定は、具体的には、レオメーター(株式会社サン科学製「COMPAC−100」)を用い、測定条件として、針2mmφ、1mm針入速度60mm/minにて行う。
【0013】
コンパクトケース20に充填する粉末化粧料の充填方法は、湿式充填法であっても乾式充填法であってもよい。
湿式充填法によってコンパクトケース20に充填する粉末化粧料に含有する油剤量は、柔らかい感触を得るという観点から、最終製品中に15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0014】
正面足桁部1及び側面足桁部2の幅を大きくすることで、落下した際に、接地面が大きくなるので、正面足桁部1及び側面足桁部2が受ける衝撃を分散できるため好ましいが、本願発明の正面足桁部1の幅D1は、図3に示すように、側面足桁部2の幅D2より大きいことが好ましい。正面足桁部1の幅D1が側面足桁部2の幅D2より大きいことによって、下記に示す理由により、部品数を増やさずに衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
包装容器内では、コンパクトケース20は、下面サイドフラップ35,36が先に接して、次いで下面15と接している。仮に、側面足桁部2の幅D2を正面足桁部1の幅D1より大きくした場合、左側面12及び右側面13と下面サイドフラップ35,36の罫線が短くなってしまい、衝撃により下面サイドフラップ35,36の接続部に亀裂やちぎれが生じやすくなってしまう。一方、正面足桁部1は、直接コンパクトケース20と接していない点で下面サイドフラップ35,36に守られているので、正面足桁部1と下面15の罫線が短くなっても亀裂やちぎれが生じにくい。また、包装容器を形成した際には下面係止め部32が差し込まれて遊びが少なくなるので、正面足桁部1と下面15の罫線が短くなっても亀裂やちぎれが生じにくい。したがって、正面足桁部1の幅D1が側面足桁部2の幅D2より大きい方が有利となる。
加えて、緩衝効果の面では、左側面12及び右側面13において下面サイドフラップ35,36はコンパクトケース20に接しており、かつ、その面も各々小さいため、側面足桁部2からの力が分散して小さくなることなく、比較的大きな力のまま直接コンパクトケース20に伝わってしまう。一方で、正面10においては、下面15は全面でコンパクトケース20を受けており、かつ下面サイドフラップ35,36を介してコンパクトケース20を受けているので、力を分散させてコンパクトケース20に伝わる力を小さくすることができる。したがって、本願発明の包装容器は、正面足桁部1が側面足桁部2よりも衝撃を多く受けることが好ましいので、正面足桁部1の幅D1が側面足桁部2の幅D2より大きい方が有利となる。
これらの点は、包装容器の正面10の幅が左側面12及び右側面13の幅より大きいことが好ましく、包装容器の正面10の幅が左側面12及び右側面13の幅より大きい場合により効果を発揮する。上記観点より、正面10の幅は、左側面12及び右側面13の幅の2倍以上であることが好ましい。
【0015】
正面足桁部1及び側面足桁部2は、連結されて設けられていることによって、正面10の両角部と背面足桁部3とを支点として、良好な自立性が付与される。また、正面足桁部1及び側面足桁部2が連結されていることで、それぞれが単独である場合と比して耐久性が向上する。正面足桁部1及び側面足桁部2の耐久性が向上することで、落下等による衝撃で破損することなく、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
【0016】
連結されている正面足桁部1及び側面足桁部2のそれぞれが、左右対称となるように配置されていることが好ましい。左右対称となるように連結されている正面足桁部1及び側面足桁部2が配置されることによって、包装容器の左右のバランスを保つことに寄与し、良好な自立性が付与される。さらに、包装容器の下部にかかった力を左右均等に分散することができるので、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
【0017】
連結されている正面足桁部1及び側面足桁部2の下端は、連結の境界を亘って形成された円弧部40を有することが好ましい。本発明の包装容器は、円弧部40を有することで、円弧部40にて力を分散することができ、緩衝効果を増すことができるので、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。連結されている正面足桁部1及び側面足桁部2の下端に円弧部40を有する具体例としては、図4(a)に示すように、上に凸である円弧部40を有する形態、図4(b)に示すように、下に凸である円弧部40を有する形態、図4(c)に示すように、正面足桁部1及び側面足桁部2の全体で下に凸である円弧部40をなす形態等が挙げられる。
【0018】
正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3の下端形状のうち、1つ以上が円弧形状であることが好ましい。正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3の下端形状が円弧形状であることによって、落下した際に、円弧形状の一箇所(点)にて着地することになり、当該接地点から衝撃を波状的に拡散させることができるので、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3の複数の下端形状が円弧形状であることがより好ましい。正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3の複数の下端形状が円弧形状であることによって、落下した際に、正面10、左側面12及び右側面13、背面11の各面の下端に対応した接地点から衝撃を波状的に拡散することができるので、より衝撃を拡散させることができ、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
正面足桁部1及び側面足桁部2の下端形状が円弧形状である具体例としては、図5(a)に示す形態が挙げられ、背面足桁部3の下端形状が円弧形状である具体例としては、図5(b)に示す形態が挙げられる。
【0019】
背面足桁部3の高さh1は、図6(a)及び(b)に示すように、正面足桁部1及び側面足桁部2の高さh2より高いことが好ましい。図6(a)に示す背面足桁部3の高さh1が、図6(b)に示す正面足桁部1及び側面足桁部2の高さh2より高いことによって、包装容器が落下した際に、最初に背面足桁部3が地面と接することになる。コンパクトケース20は、下面15上及び下面サイドフラップ35,36上に配置されることになるので、図2で示した展開図より、下面15及び下面サイドフラップ35,36上と連設されていない背面11からの衝撃は包装容器の構成的にコンパクトケース20に及びにくい。以上のことより、背面足桁部3の高さh1が、正面足桁部1及び側面足桁部2の高さh2より高いことによって、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
背面足桁部3の高さh1は、自立性や見た目及び緩衝効果の観点から、側面足桁部2の高さh2の1.0倍以上1.5倍以下であることが好ましい。
【0020】
正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3のうち、1つ以上がテーパを有することが好ましい。正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3がテーパを有することによって、下方にかかった衝撃を分散し易くすることができ、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られると共に、基端部が広いので裂けにくい利点がある。正面足桁部1及び側面足桁部2の下端形状のうち、1つ以上がテーパを有することが、緩衝効果の点ではさらに好ましい。正面足桁部1がテーパ41を有し、側面足桁部2がテーパ42を有する具体例としては、図7(a)に示す形態が挙げられる。背面足桁部3がテーパ43を有する具体例としては、図7(b)に示す形態が挙げられる。テーパ41〜43は、直線で示したが、曲線であっても構わない。図4(c)、図5(a)、図5(b)もテーパを有する一態様である。
背面足桁部3は、図7(b)に示すように、両側にテーパ43を有することで台形とすることがより好ましい。基端部が広い背面足桁部3が台形であることによって、下部にかかった衝撃を分散し易い利点があると共に、基端部が広いので裂けにくい利点がある。
正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3がテーパ41〜43を有すると共に、円弧部40を有することで、テーパ41〜43による効果と円弧部40による効果を併せて得ることができ、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
また、正面足桁部1、側面足桁部2、及び背面足桁部3がテーパ41〜43を有すると共に、下端形状が円弧形状であることで、テーパ41〜43による効果と下端形状が円弧形状であることによる効果を併せて得ることができ、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
【0021】
背面足桁部3は、図8に示すように、背面11より外側へ反っていることが好ましい。背面足桁部3が、背面11より外側へ反っていることによって、包装容器の前後のバランスを保つことに寄与し、良好な自立性が付与される。さらに、背面足桁部3が背面11より外側へ反っていることで、包装容器が落下した際に、背面足桁部3で着地する可能性を向上させることができる。背面足桁部3で着地することによって、下部にかかった力を効率よく分散させることができるので、衝撃に対する優れた緩衝効果が得られる。
背面足桁部3が背面11より外側へ反っている場合は、正面10側から見たときに、正面足桁部1と重ならない位置にあることが好ましい。背面足桁部3と正面足桁部1が重ならないことにより、正面10を前面として包装容器を陳列しても、背面足桁部3が正面足桁部1の間にもぐりこむことができ、奥行き寸法も実質的には変わらず隙間のない陳列が可能となる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0023】
<湿式充填法>
(実施例1)
化粧料として、表1に示す処方の粉末化粧料を用意した。なお、表中の単位は質量%である。
【0024】
【表1】
【0025】
次に、コンパクトケース20(図1参照)を用意する。コンパクトケース20は、図9に示すような、A,B,C,Dの4区画に区分された化粧料用中皿21を備える。化粧料用中皿21は、それぞれの区分に上記の粉末化粧料を湿式充填法によって充填し、溶剤を揮発除去して厚さ2.3mmに固形化した。粉末化粧料を化粧料用中皿21に充填収容した後、化粧料用中皿21の底部を両面テープで接着して、コンパクトケース20に収容した。
【0026】
湿式充填法による粉末化粧料の硬度は、レオメーター(株式会社サン科学製「COMPAC−100」)を用い、測定条件として、針2mmφ、1mm針入速度60mm/minにて測定した結果、最終製品において0.18Nであった。
【0027】
次に、コンパクトケース20を包装容器に収納した。その際の包装容器は、図10(a)に示すように、正面足桁部1が正面10の下端の両側に設けられ、側面足桁部2と連結されているものである。
【0028】
(比較例1)
包装容器として、図10(b)に示すように、正面足桁部1aが3箇所に設けられていて、正面10の下端の両側に設けられておらず、側面足桁部2が無いものを用いた以外は、実施例1と同様である。
【0029】
(比較例2)
包装容器として、図10(c)に示すように、正面足桁部1bが正面10の下端の両側に設けられておらず、側面足桁部2が無いものを用いた以外は、実施例1と同様である。
【0030】
[正立落下試験]
上記の実施例1、比較例1、比較例2で得られたコンパクトケース20を収納した包装容器を用いて、正立落下試験を行った。ここで、正立落下試験とは、包装容器の下面15を床に向けて落下させる試験のことをいう。
正立落下試験は、落下高さ20cmから下面15を床に向けて落下させ、コンパクトケース20内の粉末化粧料の各区画にヨレ又は割れが生じるまでの落下回数及び区画を記録する。結果を表2に示す。
なお、「ヨレ」とは、粉末化粧料が化粧料用中皿21からずれて隙間ができてしまう状態をいう。
【0031】
【表2】
【0032】
表2より、実施例1の包装容器では、比較例1,2の包装容器に比べて、粉末化粧料のヨレ又は割れに至る落下回数が格段に向上していることが分かる。
【0033】
<乾式充填法>
(実施例2)
化粧料として、表3に示す処方の粉末化粧料を用意した。なお、表中の単位は質量%である。
【0034】
【表3】
【0035】
次に、コンパクトケース20(図1参照)を用意する。コンパクトケース20は、図11に示すような、A,B,C,Dの4区画に区分された化粧料用中皿21を備える。化粧料用中皿21は、それぞれの区分に上記の粉末化粧料を乾式充填法によって充填し、厚さ3.0mmに固形化した。粉末化粧料を化粧料用中皿21に充填収容した後、化粧料用中皿21の底部を両面テープで接着して、コンパクトケース20に収容した。
【0036】
乾式充填法による粉末化粧料の硬度は、レオメーター(株式会社サン科学製「COMPAC−100」)を用い、測定条件として、針2mmφ、1mm針入速度60mm/minにて測定した結果、最終製品において0.40Nであった。
【0037】
次に、コンパクトケース20を包装容器に収納した。その際の包装容器は、正面足桁部1が正面10の下端の両側に設けられ、側面足桁部2と連結されているものである。正面足桁部1の幅が5.0mmであり、側面足桁部2の幅が5.0mmである。
【0038】
(実施例3)
包装容器として、正面足桁部1の幅が7.5mmであるものを用いた以外は、実施例2と同様である。
【0039】
(実施例4)
包装容器として、正面足桁部1の幅が15.0mmであるものを用いた以外は、実施例2と同様である。
【0040】
(実施例5)
包装容器として、正面足桁部1の下端形状が幅5.0mmの円弧形状であるものを用いた以外は、実施例2と同様である。図4(c)に示すが如き形状である。
【0041】
(実施例6)
包装容器として、正面足桁部1の幅が5.0mmであり、円弧部を有するものを用いた以外は、実施例2と同様である。図5(a)に示すが如き形状である。
【0042】
(比較例3)
包装容器として、正面足桁部1の幅が10.0mmであり、側面足桁部2が無いものを用いた以外は、実施例2と同様である。
【0043】
[正立落下試験]
上記の実施例2〜6、比較例3で得られたコンパクトケース20を収納した包装容器を用いて、正立落下試験を行った。結果を表4に示す。
正立落下試験は、落下高さ20cmから底面を床に向けて落下させ、コンパクトケース20内の粉末化粧料にヨレ又は割れが生じるまでの落下回数、及びヨレ又は割れが生じた箇所を記録する。
【0044】
【表4】
【0045】
表4より、実施例2〜4の結果から、正面足桁部1の幅が大きくなるほど、粉末化粧料のヨレ又は割れに至る落下回数が格段に向上していることが分かる。なお、実施例4では、120回以上の正立落下試験を行ってもヨレ又は割れが生じなかった。
また、表4より、実施例5、6の結果から、正面足桁部1に円弧形状及び円弧部を有することで、粉末化粧料のヨレ又は割れに至る落下回数が格段に向上していることが分かる。
【0046】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の態様を開示する。
<1>少なくとも正面、背面、左側面、右側面、上面、下面からなり、粉末化粧料を充填したコンパクトケースを包装する包装容器であって、正面の下端の両側に設けられた正面足桁部と、左側面及び右側面の下端にそれぞれ設けられた側面足桁部と、背面の下端に設けられた背面足桁部とを備え、正面足桁部及び側面足桁部がそれぞれ連結されている包装容器。
【0047】
<2>粉末化粧料の硬度は、0.05N以上であって0.6N以下であり、より好ましくは0.1N以上であって0.45N以下である、前記<1>に記載の包装容器。
<3>粉末化粧料は湿式充填法によって充填されている、前記<1>又は<2>に記載の包装容器。
<4>粉末化粧料に含有する油剤量は、15質量%以上であって50質量%以下であり、より好ましく20質量%以上であって40質量%以下である、前記<3>に記載の包装容器。
<5>正面足桁部の幅は、側面足桁部の幅より大きい、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の包装容器。
<6>連結されている正面足桁部及び側面足桁部の下端は、連結の境界を亘って形成された円弧部を有する、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の包装容器。
<7>下に凸である円弧部を有する、前記<6>に記載の包装容器。
<8>上に凸である円弧部を有する、前記<6>又は<7>に記載の包装容器。
<9>正面足桁部及び側面足桁部の全体で下に凸である円弧部をなす、前記<6>又は<7>に記載の包装容器。
<10>正面足桁部、側面足桁部、及び背面足桁部の下端形状のうち、1つ以上が円弧形状である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の包装容器。
<11>正面足桁部及び側面足桁部の下端形状が円弧形状である、前記<10>に記載の包装容器。
<12>背面足桁部の下端形状が円弧形状である、前記<10>又は<11>に記載の包装容器。
<13>正面足桁部、側面足桁部、及び背面足桁部のうち、1つ以上がテーパを有する、前記<1>〜<12>のいずれかに記載の包装容器。
<14>正面足桁部及び側面足桁部の下端形状のうち、1つ以上がテーパを有する、前記<13>いずれかに記載の包装容器。
<15>正面足桁部及び側面足桁部の下端形状のいずれもテーパを有する、前記<13>〜<14>のいずれかに記載の包装容器。
<16>背面足桁部が、両側にテーパを有することで台形形状である、前記<13>〜<15>のいずれかに記載の包装容器。
<17>正面の幅が、側面の幅より大きい、前記<1>〜<16>のいずれかに記載の包装容器。
<18>正面の幅が左側面及び右側面の幅の2倍以上である、前記<17>に記載の包装容器。
<19>連結されている正面足桁部及び側面足桁部のそれぞれが、左右対称となるように配置されている、前記<1>〜<18>のいずれかに記載の包装容器。
<20>背面足桁部の高さは、正面足桁部及び側面足桁部の高さより高い、前記<1>〜<19>のいずれかに記載の包装容器。
<21>背面足桁部の高さが、正面足桁部及び側面足桁部の高さの1.0倍以上であって1.5倍以下である、前記<20>に記載の包装容器。
<22>背面足桁部が、背面より外側へ反っている、前記<1>〜<21>のいずれかに記載の包装容器。
<23>正面側から見たとき、背面足桁部と正面足桁部とが重ならない位置に設置されている、前記<1>〜<22>のいずれかに記載の包装容器。
<24>左側面及び右側面の下辺には、それぞれ下面サイドフラップが連設されている、前記<1>〜<23>のいずれかに記載の包装容器。
<25>包装容器内において、コンパクトケースが、包装容器の下面サイドフラップに先に接し、次いで下面と接している、前記<24>に記載の包装容器。
<26>包装容器の厚さが、0.2mm以上0.5mm以下である、前記<1>〜<25>のいずれかに記載の包装容器。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の包装容器は、ファンデーション、アイシャドウ、チーク、アイブロウ等の粉末化粧料を収容する各種コンパクトケースに入った商品の包装容器として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0049】
1…正面足桁部
2…側面足桁部
3…背面足桁部
10…正面
11…背面
12…左側面
13…右側面
14…上面
15…下面
20…コンパクトケース
21…化粧料用中皿
30…糊代
31…上面係止め部
32…下面係止め部
33,34…上面サイドフラップ
35,36…下面サイドフラップ
40…円弧部
41,42,43…テーパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11