【課題を解決するための手段】
【0006】
媒体を制御するための本発明による装置は、少なくとも1つの駆動モジュールと、少なくとも2つのポンプモジュールと、少なくとも1つのバルブモジュールとを有している。この場合、駆動モジュールは、駆動モジュールの向かい合った端面に、軸方向にずらして配置された少なくとも2つの出口を有している。ポンプモジュールは、駆動モジュールの出口のそれぞれ1つに接続されている。ポンプモジュールは、駆動モジュールによって駆動され、媒体(例えば流体)を圧送する。さらに、ポンプモジュールによって圧送された媒体を制御するための切換え回路を備えたバルブモジュールが設けられている。このバルブモジュールは、駆動モジュールの出口によって規定された中心軸線に対して空間的にずらして配置されている。
【0007】
媒体を制御するための装置は、好適にはポンプモジュールおよび駆動モジュールの幾何学的形態および配置が互いに、並びにバルブモジュールに関連して変えられる、という特徴を有している。これは、モジュールの新式の接続部構造、特に例えば駆動モジュールにおける互いに向き合う2つの出口等の使用可能性に関連して有利である。直方体形のバルブハウジングを、U字形のポンプハウジングまたはL字形、直方体形またはブロック形の複数のポンプハウジングで補うことによって、例えば互いに向き合う両端面に出口を備えた円柱形の駆動モジュールを接続することができる。
【0008】
モジュールの純粋な幾何学的形態および配置に選択的かつ追加的に、媒体を制御するための本発明による装置は、好適には、従来では1つのハウジング内に組み込まれていたモジュールを複数の独立したハウジングに分離することもできる。さらに、ハウジングに幾何学的形態エレメントが追加され、並びに元のまたは追加されたハウジングの分割が行われる。これによってシステム全体の組立に好適な形式で影響を及ぼすことができる。
【0009】
特に本発明によれば、少なくとも1つポンプモジュールとバルブモジュールとが構造的に別個のユニットを形成している。ポンプモジュールを、バルブモジュールを備えた共通のハウジングから分離することによって、バルブモジュールのために必要な構造空間を縮小することができる。ポンプモジュールとバルブモジュールの結合は、ねじ結合または圧着固定により可能である。構造的な分離によってさらに、組立可能性に好適な影響を及ぼすことができる。バルブモジュールに対して駆動モジュールをずらして配置したことによって、並びにバルブモジュールと駆動モジュールとをポンプモジュールを介して接続したことによって、駆動モジュールによって、ポンプモジュール内で駆動軸の方向に横方向力が生ぜしめられる。この横方向力は、ポンプモジュールを互いにねじ結合することを要求するか、またはポンプモジュールをバルブモジュールに固定することを要求する。
【0010】
媒体を制御するための装置の好適な実施態様によれば、少なくとも1つの前記ポンプモジュールと前記バルブモジュールとが、一体的に構成された構造ユニットを形成している。一体的な構成は、例えば2分割された構成におけるような追加的な結合を必要としない、という利点を提供する。
【0011】
媒体を制御するための本発明の装置は、好適な実施態様において、ポンプモジュールが前記駆動モジュールを少なくとも部分的に包囲していることを特徴としている。このように包囲することによって、複数の利点が得られる。この場合、一方では、必要な構造空間の減少が挙げられる。この効果は、例えば駆動モジュールが少なくとも部分的にバルブモジュールによって包囲されることによって、強化される。これは、例えば部分的に埋め込むことによって可能となる。他方では、包囲することによって、これらのモジュールを互いに位置決めまたは方向付けすることもできる。また、2つのモジュール間の固定が可能であり、かつ/または力の伝達が可能である。
【0012】
媒体を制御するための本発明による装置の好適な変化実施例によれば、ポンプモジュールが、前記駆動モジュールの前記出口を包囲している。この場合、駆動モジュールの各出口に、専用のポンプモジュールが対応配置されている。駆動モジュールの出口内において、それぞれ1つのポンプエレメントがガイドされており、これらのポンプエレメントは共通の可動子支持体に結合されている。ポンプエレメントは可動子支持体の両端部に、例えばピストンとして形成されている。好適には、一体的な構成も可能である。選択的に、複数部分より成る構成も可能である。駆動モジュールによって駆動されるこのようなポンプエレメントは、駆動モジュールの出口を通ってポンプモジュール内に作用する。ポンプエレメントをそれぞれの出口に対して空間的に近くに配置することによって、力伝達のために必要なスラストロッド若しくは可動子支持体または一般的に相応の接続部材は、短く構成することができる。これによって、好適な形式でスラストロッドまたは接続部材の折れ曲がりは避けられる。
【0013】
媒体を制御するための本発明による装置の好適な実施態様は、ポンプモジュールがハウジング内に配置されていて、ハウジングが概ねU字形またはL字形または直方体形またはブロック形に構成されている点にある。2つのポンプモジュールのためにU字形のハウジングを使用すれば有利である。何故ならば、U字形のハウジングは駆動モジュールを少なくとも部分的に包囲し、駆動モジュールの互いに向き合う端面に設けられた両出口を包囲することができるからである。L字形のハウジングを使用することによって、やはり駆動モジュールを部分的に包囲することができる。L字形のハウジングを使用すれば、U字形のハウジングに比べてその組立能力に関して有利である。また本発明によれば、直方体形または一般的なブロック形のポンプハウジングが使用されている。
【0014】
また、媒体を制御するための本発明の装置は、好適には、少なくとも1つのポンプモジュールが、概ねU字形に構成された唯一のハウジング内に配置されている。一体的に構成されたU字形のポンプハウジングは、好適には、ポンプエレメントを通って駆動モジュールの出口の中心軸線の方向でポンプモジュールにもたらされる力を吸収することができる。
【0015】
選択的に、ポンプモジュールは複数のハウジング内に配置されており、これらのハウジングは、組み合わせて概ねU字形に構成されている。この場合、各ポンプモジュールのために1つの専用のハウジングが設けられている。その際U字形の分割は、中央でまたは偏心的に行われる。この場合、個別のハウジングは、概ねL字形に構成されている。複数のハウジングを使用すれば、簡単かつ軽減された組立能力に関して有利である。前記横方向力の吸収は、ハウジングを例えばねじ結合によって互い結合することによって可能である。
【0016】
別の選択的な実施例によれば、ハウジングは、概ね直方体形またはブロック形に構成されている。U字形またはL字形を直方体形またはブロック形に簡略化させることによって、構造体積を節約することができる。好適には、構造体積の減少以外に、製造時の材料節約も得られることが分かった。
【0017】
ブロック形のポンプハウジングは、接続部例えばねじ結合を介して、バルブモジュールに結合される。ねじ結合の他に、選択的に圧着固定、リベット固定および/またはセルフクリンチ結合が意図されている。前記横方向力の吸収は、ブロック形のポンプモジュールにおいて、ポンプモジュールをバルブモジュールに固定することによって十分に行うことができる。
【0018】
構造的な分離、つまり2つの構成要素、ポンプモジュールおよびバルブモジュールの2分割された構成とは、ポンプモジュールからバルブモジュールまでポンプ供給される媒体をガイドするためのインターフェースのことである。漏れを避けるために、好適には媒体をガイドする構成要素のためのシールが設けられている。好適な実施態様によれば、Oリングが、ポンプモジュールハウジングとバルブハウジングとの間に組み込まれている。この場合、媒体の供給管路のためにも、また導出管路のためにも、専用のシールが設けられている。Oリングは、このために設けられた、ハウジングの凹部内に挿入されており、これらのハウジングは接続部で互いにねじ結合される。従ってねじ結合によって、シール力および保持力が生ぜしめられる。
【0019】
好適な実施例によれば、ポンプモジュールの単数または複数のハウジングが、特に直方体形に構成されたバルブモジュールと、特に円柱形に構成された駆動モジュールとの結合部として構成されている。結合は、様々な挿入部構造または接続部構造に関連して、また構成要素の客観的な結合に関連して行われる。
【0020】
媒体を制御するための装置は、好適にはバルブモジュールが、駆動モジュールの出口によって規定された軸線に対して空間的に平行にずらして配置されていることを特徴としている。駆動モジュールの出口によって規定された駆動装置の中心軸線の隣に、別の軸線が規定されており、この別の軸線は、駆動モジュールに面したバルブモジュールハウジングの面に垂直に投影された、駆動モジュールの出口を通る中心軸線の垂直投影図である。これら2つの軸線の間隔は、出口を通る中心軸線とバルブモジュールハウジングの面との間のオフセット(ずれ)を規定する。構成要素のオフセットは、構成要素の本発明による配置および構成要素の互いの当接を可能にするために、有利である。さらに、例えば別の機能を構成要素内に組み込むために、互いに当接し合う構成要素のオフセットを、例えばL字形のポンプモジュールハウジングまたはその他の、間に位置する構成要素によって増大すれば有利である。選択的に、好適な形式で、例えば構造体積を減少させるために、互いに当接し合う構成要素のオフセットを、例えばバルブモジュールの切欠(この切欠内に駆動モジュールが挿入されるかまたは押し込まれる)によって減少させてもよい。
【0021】
可能な実施態様によれば、好適な形式で、ポンプモジュール内でのポンプ機能性を最適化するために、駆動モジュールによって駆動されるポンプエレメントのためにそれぞれ少なくとも1つの圧縮室が設けられている。さらに、吸入バルブおよび吐出バルブが圧縮室に設けられ、圧送される媒体のために供給管路および導出管路が設けられている。
【0022】
好適には、これらの構成要素は、ポンプモジュール内に直接組み込まれている。これによって、駆動モジュールに対してポンプエレメントを空間的に近くに配置することができる。またこれによって、駆動モジュールの端面をポンプモジュールによって包囲することによってこの個所において生じるポンプモジュールの構造体積を、好適に利用することができる。
【0023】
好適な実施例によれば、駆動モジュールは少なくとも1つの電気力学式の駆動装置を有している。特に、このために電磁式の駆動装置が使用されている。電磁式の駆動装置は、電圧を印加することによって磁界が生成される、という利点を有している。これによって、駆動装置の意図的な切換えおよび制御を実施することができる。さらに、好適な形式で雑音発生を低減しかつ摩耗減少を得るために、リニア駆動装置が設けられている。
【0024】
駆動モジュールは好適な形式で、2つの電磁式の駆動装置を備えたリニア駆動装置として構成されている。第1の駆動装置によって1つの方向に変位される可動子およびこの可動子に接続されたポンプエレメントのリセットは、第2の駆動装置を作動させることによって、および、この第2の駆動装置によって所属の可動子並びにこの可動子に接続されたポンプエレメントを前記第1の方向とは逆方向に変位させることによって、行われる。これによって、追加的な構成要素(例えば戻しばね)を節約することができ、またコストおよび組立費用を削減することができる。それと同時に、可動子を変位させるためのエネルギ消費の減少は、例えばリセットを可能にするために変位の際に追加的に緊張させる必要があるリターンスプリングを省くことによって得られる。
【0025】
リニア駆動装置の提案された駆動モジュールは、好適な実施態様では、概ね両側面に互いに向き合う出口を備えた、左右対称の円柱形の構成を有している。従ってこの駆動モジュールは、ABS/ESPシステムの液圧装置のために一般的である挿入部構造または接続部構造は有していない。このような挿入部構造または接続部構造は、リニア駆動装置の使用と関連して、モジュールの新たな幾何学的形態および配置を必要とする。これは、媒体を制御するための本発明による配置によって可能である。
【0026】
また好適には、従来ではABS/ESPブレーキ制御システムの液圧装置の直方体形のブロック内に直接組み込まれていた構成要素は、別の配置構成を有している。好適にはさらに、これらの構成要素は、組み込まれるのではなく、外側に位置していて接続される。ここで挙げるべきは例えば蓄圧器カートリッジであって、これは本発明によればポンプモジュールハウジングに外側から接続される。これによって、好適には材料使用量の減少が得られる。さらに、空間的な近さに基づいて、蓄圧器カートリッジとポンプモジュールとの間の短い圧送経路が得られる。
【0027】
好適な実施例によれば、有利には、駆動モジュールがポンプモジュールを介してバルブモジュールに固定されている。この場合、駆動モジュールをバルブモジュールに直接接続することは省かれる。これによって、必要な接続部材および組立ステップの削減が得られる。
【0028】
本発明の実施態様によれば、駆動モジュールが、この駆動モジュールを包囲する部材によってバルブモジュールに接続されている。包囲する部材として特にホースクランプ状の部材が設けられており、このホースクランプ状の部材は、固定部材特にねじによってバルブモジュールに結合されている。包囲する部材によって、駆動モジュールのハウジングなしの構成を用いることができる。この場合、磁気回路を包囲する、駆動モジュールの別個の円柱形のハウジングは省かれる。好適には、このような構成によって、固定子およびコイルからバルブモジュールハウジングへの熱伝導も改善される。また、例えば駆動ハウジングをバルブハウジング内に押し込む工程が必要ないことによって、製造時の利点および節約が得られる。
【0029】
前述したように、好適な実施例によれば、ポンプモジュールとバルブモジュールとが、ねじ結合、圧着固定、リベット固定および/またはセルフクリンチ結合によって結合されている。このために、概ねピン形、スリーブ形またはリベット形に構成された接続部材が適している。本発明の好適な実施例として、接続部材が概ねスリーブ形に構成されている。スリーブ形の接続部材の内部通路内で、圧送しようとする媒体がガイドされる。このような利点を実現するために、接続部材の位置決めは、媒体のための管路の位置決めに適合させて行われる。このために、少なくとも1つの接続部材が、バルブモジュールとポンプモジュールとの接続部として設けられている。選択的に、複数の管路のために複数の接続部材、例えば吸入された媒体並びに吐出された媒体の供給管路および導出管路毎に1つの接続部材が設けられてもよい。
【0030】
スリーブ形の接続部材をハウジング内に嵌め込むことによって、好適な形式でシール力および保持力を伝達することができる。ねじ結合部は省くことができる。概ねスリーブ形の接続部材は、まずバルブモジュールハウジングまたはポンプモジュールハウジングの適合する孔内に挿入される若しくは押し込まれる。次いで、対抗部材内への差込み若しくは押し込みが行われる。シール性は好適な形式で、孔直径に対して接続部材外径が大きいことによって生ぜしめられるか、または選択的に特別なシール構造、例えば接続部材におけるセルフクリンチ並びに孔におけるこれに合致した構造によって生ぜしめられる。
【0031】
接続部材をハウジング内に嵌め込むための押し込み力は、好適な形式で(接続部材の内径の面を差し引いた外径の面としての)管面を介して、または接続部材のつばを介して伝達される。接続部材のつばは、好適な形式で第2の押し込みステップのために設けられている。何故ならば、つばによって、押し込み力のためのより大きい力伝達面が提供され、これによってハウジングの不都合な変形が阻止されるからである。さらに、つばは、ストッパとして用いられ、また押し込み深さを調節するために用いられる。
【0032】
本発明の好適な実施態様によれば、電磁式の駆動装置の固定子部材のセンタリング、並びに巻線を有する固定子コイルのセンタリングが、固定子の端部金属薄板を介して行われる。この場合、結束は2つのカバーを介して行われ、これらのカバーは、ねじおよびナットによって互いに結合されており、それによって固定子コイルを固定する。2つの固定子コイルの中心点の間隔は、間隔を維持する、固定子の中央部材を介して規定される。固定子部材は、単数または複数の固定子セグメントより構成されていてよい。
【0033】
有利には、駆動モジュールの電気的な接触接続部が、バルブモジュール並びにポンプモジュールのハウジングを通ってガイドされる。これによって、電気的な接触接続のための短い経路およびひいては例えばより小さい抵抗も可能である。またこれによって管路の保護も可能である。
【0034】
さらに、本発明の好適な実施態様によれば、バルブモジュール、ポンプモジュールおよび駆動モジュールを備えた、媒体を制御するための装置が、ABS/ESPシステムの液圧装置のためのポンプシステム装置として構成されている。
【0035】
本発明は以下に図示の実施例を用いて詳しく説明されているが、本発明はこれに限定されるものではない。