(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307260
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】ビードコア・エイペックス部分組立体を支持および保持する装置、およびビードコア・エイペックス部分組立体を製造および搬送する方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
B29D30/32
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-256713(P2013-256713)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-117955(P2014-117955A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年10月4日
(31)【優先権主張番号】13/711,932
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル コーネン
(72)【発明者】
【氏名】パトリス ドゥ モント
(72)【発明者】
【氏名】エリッヒ ニコラウス ルメール
【審査官】
鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−500139(JP,A)
【文献】
特開2005−111786(JP,A)
【文献】
特開2012−20430(JP,A)
【文献】
特開2011−46025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持する装置であって、
前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持するスペーサディスクと、
固定装置であって、前記スペーサディスクを支持する支持面と、前記スペーサディスクを前記支持面に選択的に固定する複数の固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記スペーサディスクが前記支持面に固定される拡張位置と、前記スペーサディスクが固定解除され前記支持面から持ち上げ可能な収縮位置との間を移動可能である、固定装置と、
を有し、
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材が、前記スペーサディスクの前記内縁部を固定する第1のセグメントと、前記スペーサディスク上に位置する前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体の半径方向内縁部を固定する第2のセグメントと、を有し、
前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントの半径方向外縁部と前記第2のセグメントの半径方向外縁部との間隔が調整可能であるように、前記第1のセグメントに対してスライド可能に取り付けられている、装置。
【請求項2】
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材は、前記スペーサディスクが前記支持面上に位置し該支持面に固定されているときに、前記スペーサディスクの少なくとも前記内縁部を固定するように前記開口から延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定部材は、該固定部材が前記拡張位置にあるときに前記スペーサディスクが前記支持面に保持されるように、前記スペーサディスクの表面に平行に移動可能であるとともに前記表面の上方に移動可能であるか、あるいは、
前記固定部材は、該固定部材が前記拡張位置にピボット運動したときに前記スペーサディスクが前記支持面に保持されるように、前記スペーサディスクの上にピボット運動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材は、前記スペーサディスクを選択可能に固定または固定解除するように、前記開口から拡張可能であるとともに前記開口に収縮可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記固定部材を前記拡張位置に強制的に配置するとともに、収縮力が加えられたときに前記固定部材を前記収縮位置に移動させる弾性部材をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記固定部材に機械的に連結されたアクチュエータであって、該アクチュエータによる作動によって前記固定部材が前記拡張位置と前記収縮位置との間を移動可能である、アクチュエータをさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記固定装置がスライド面を有し、該スライド面は、前記固定部材を前記スライド面の上でスライド移動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に円形の内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材の少なくとも1つが、前記スペーサディスクの前記内縁部を固定する外側ショルダを有し、該外側ショルダは、前記固定部材が前記拡張位置にあるときに前記スペーサディスクの前記内縁部を形状嵌合によって保持するように、該内縁部を固定する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に円形の内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材の少なくとも1つが、前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を固定する外側ショルダを有し、該外側ショルダは、前記固定部材が前記拡張位置にあるときに前記ビードコア・エイペックス部分組立体の前記内縁部を形状嵌合によって保持するように、該内縁部を固定する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、
前記固定部材の少なくとも1つが、前記スペーサディスクの内縁部を固定する半径方向外側ショルダを有し、該半径方向外側ショルダは、前記固定部材が前記拡張位置にあるときに前記スペーサディスクの前記内縁部を形状嵌合によって保持するように、該内縁部を保持し、
前記固定部材の少なくとも1つが、前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を固定する別の半径方向外側ショルダを有し、該別の半径方向外側ショルダは、前記固定部材が前記拡張位置にあるときに前記ビードコア・エイペックス部分組立体の前記内縁部を形状嵌合によって保持するように、該内縁部を固定する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のセグメントが、前記第1のセグメントに着脱可能に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記支持面に対して垂直に移動可能な中心シャフトと、
前記シャフトの移動を、移動可能な前記セグメントの拡張または収縮に変換する伝動部材と、
をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
スライディングブロックであって、前記拡張位置と前記収縮位置との間の前記固定部材の移動が前記スライディングブロックによって少なくとも部分的に支持または案内されるように、前記固定部材を支持するスライディングブロックをさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持する装置であって、前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持するスペーサディスクと、固定装置であって、前記スペーサディスクを支持する支持面と、前記スペーサディスクを前記支持面に選択的に固定する複数の固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記スペーサディスクが前記支持面に固定される拡張位置と、前記スペーサディスクが固定解除され前記支持面から持ち上げ可能な収縮位置との間を移動可能である、固定装置と、を有する装置と、
前記スペーサディスクによって支持された環状のビードコア・エイペックス部分組立体または環状のビードと、
を有し、
前記スペーサディスクが、該スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、前記固定部材が、前記スペーサディスクの前記内縁部を固定する第1のセグメントと、前記スペーサディスク上に位置する前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体の半径方向内縁部を固定する第2のセグメントと、を有し、
前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントの半径方向外縁部と前記第2のセグメントの半径方向外縁部との間隔が調整可能であるように、前記第1のセグメントに対してスライド可能に取り付けられている、システム。
【請求項15】
ビードコア・エイペックス部分組立体を搬送する方法であって、
製造ステーションに設けられたスペーサディスク上に、環状のビードコア・エイペックス部分組立体を用意するステップと、
前記スペーサディスクに支持された前記ビードコア・エイペックス部分組立体と共に、前記スペーサディスクを、前記製造ステーションから、該製造ステーションから切り離され独立して設けられ温度調整された冷却領域に搬送するステップと、
前記ビードコア・エイペックス部分組立体が所望の温度に達するまで、前記スペーサディスクに支持された前記ビードコア・エイペックス部分組立体と共に、前記スペーサディスクを維持するステップと、
前記スペーサディスクから前記ビードコア・エイペックス部分組立体を分離するステップと、
を含み、
前記環状のビードコア・エイペックス部分組立体を用意するステップが、
装着ステーションに設けられたスペーサディスク上に、環状のビードコアを配置するステップと、
前記環状のビードコアを支持する前記スペーサディスクを、第1のゴム組成物押出成形ステーションに搬送するステップと、
前記スペーサディスク上に第1のゴム組成物を押出成形するステップと、
前記環状のビードコアと前記第1のゴム組成物とを支持する前記スペーサディスクを、1つ以上のさらなるゴム組成物押出成形ステーションに搬送するステップと、
前記スペーサディスク上に1つ以上のさらなるゴム組成物を押出成形して、前記ビードコア・エイペックス部分組立体を形成するステップと、
前記ビードコア・エイペックス部分組立体を支持する前記スペーサディスクを装着解除ステーションに搬送するステップと、
の1つ以上のサブステップをさらに含む、方法。
【請求項16】
前記ビードコア・エイペックス部分組立体とさらなるタイヤ構成部材とを組み立てるために、前記ビードコア・エイペックス部分組立体を保管領域または処理ステーションに搬送するステップと、
前記ビードコア・エイペックス部分組立体から分離した後で前記スペーサディスクを前記製造ステーションに搬送するステップと、
の1つ以上のステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記スペーサディスクが、少なくとも前記製造ステーションにおいて固定装置の支持面に固定され、前記支持面に固定された状態で、前記製造ステーションの内部を搬送される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビードコア・エイペックス部分組立体の支持と保持と搬送との少なくとも1つを行う装置に関する。空気入りタイヤの製造においては、そのようなビードコア・エイペックス部分組立体を、組立済みの構成部材として使用することができる。
【0002】
さらに、本発明は、ビードコア・エイペックス部分組立体の製造と加工と搬送との少なくとも1つを行う方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、環状のエラストマータイヤ構成部材を形成する方法および装置が記載されている。エラストマーが支持面上に環状に押出成形され、エラストマー材料のストリップが、成形型と支持面との間で所定の形状に成形される。この方法を使用して、多層構成部材を形成することができる。
【0004】
特許文献2には、ビードコア・エイペックス部分組立体と、このような組立体を有するタイヤとが記載されている。回転マンドレルに押出成形物を巻き付けることでらせん状に押出成形されるエラストマー材料のストリップから、エイペックスフィラーを製造することができる。
【0005】
特許文献3には、複合型ビード装着およびエイペックス貼付装置が記載されている。ビードコア・エイペックス部分組立体が製造され、組立ドラム上に移送され、空気入りタイヤに用いられる。
【0006】
特許文献4には、タイヤ製造に使用されるゴム化合物を混合することと、タイヤ組立ドラムなどの基体上に混合ゴム組成物を貼り付ける方法とが記載されている。
【0007】
特許文献5にも、タイヤ製造に使用されるゴム化合物を混合することが記載されている。さらに特許文献5には、2つ以上の層を有するゴム製品を形成する方法が記載されており、その方法は、第1の押出成形機と第1のギヤポンプとを用いて第1のゴム化合物を押出成形するステップと、この混合物のゴムからなる1つ以上の第1のストリップを基体上に貼り付けるステップと、第2のゴム化合物を混合するステップと、第2の混合物のゴムからなる1つ以上の第2のストリップを貼り付けるステップとを含んでいる。このゴム製品を、ゴムからなる2つ以上の層を有する、空気入りタイヤのエイペックスとすることができる。
【0008】
特許文献6には、空気入りタイヤに使用されるビードコア・エイペックス・チッパ部分組立体を製造する方法が記載されている。連続的なエラストマーストリップがエイペックスストリップとして支持面上に押出成形され、チッパプライストリップがエイペックスストリップに取り付けられ、チッパとエイペックスとの部分組立体が環状のビードコアに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0089400号明細書
【特許文献2】欧州特許第1123198号明細書
【特許文献3】欧州特許第1165306号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/0146884号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0146888号明細書
【特許文献6】米国特許第7501033号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1418043号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1749648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ビードコア・エイペックス部分組立体用の改良された支持または搬送システム、あるいはその製造用の改良された支持または搬送システムを提供するという課題が提起されている。この支持によって、ビードコア・エイペックス部分組立体を損傷せずに確実に取り扱うことができなければならない。
【0011】
製造中と製造後の少なくとも一方における、システムすなわちビードコア・エイペックス部分組立体の取扱または搬送方法を提供するというさらなる課題が提起されている。
【0012】
ビードコア・エイペックス部分組立体を製造、支持、または搬送するための標準化システムおよび方法を提供するというさらなる課題が提起されている。
【0013】
ビードコアと、エイペックスと、適切な場合にはフリッパとを空気入りタイヤに組み込むことに関して、より少ない製造工程で済むような空気入りタイヤの製造方法を提供するというさらなる課題が提起されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一例では、環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持する装置が提供され、その装置は、環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持するスペーサディスクと、固定装置またはチャックであって、スペーサディスクを支持する支持面と、スペーサディスクを支持面に選択的に固定する複数の固定部材とを有する固定装置またはチャックと、を有し、固定部材は、スペーサディスクが支持面に固定される拡張位置と、スペーサディスクが固定解除され支持面から持ち上げ可能な収縮位置との間を移動可能である。
【0015】
本発明の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、固定部材は、スペーサディスクが支持面上に位置し支持面に固定されているときに、スペーサディスクの少なくとも内縁部を固定するように開口から延びている。
【0016】
本発明の別の例示的な態様では、固定部材は、固定部材が拡張位置にあるときにスペーサディスクが支持面から持ち上げられないように、スペーサディスクの表面に平行に移動可能であるとともに表面の上方に移動可能であるか、あるいは、固定部材は、固定部材が拡張位置にピボット運動したときにスペーサディスクが支持面から持ち上げられないように、スペーサディスクの上にピボット運動可能である。
【0017】
本発明の別の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの内縁部を規定する中央開口を有し、固定部材は、スペーサディスクを選択可能に固定または固定解除するように、中央開口から拡張可能であるとともに開口に収縮可能である。
【0018】
本発明のさらに別の例示的な態様では、この装置は、固定部材を拡張位置に強制的に配置するとともに、収縮力が加えられたときに固定部材を収縮位置に移動させる弾性部材をさらに有している。
【0019】
本発明のさらに別の例示的な態様では、この装置は、固定部材に機械的に連結されたアクチュエータであって、アクチュエータによる作動によって固定部材が拡張位置と収縮位置との間を移動可能である、アクチュエータをさらに有している。
【0020】
本発明のさらに別の例示的な態様では、固定部材がスライド面を有し、スライド面は、固定部材をスライド面の上でスライド移動させることができる。
【0021】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの実質的に円形の内縁部を規定する中央開口を有し、固定部材の少なくとも1つが、スペーサディスクの内縁部を固定する外側ショルダを有し、外側ショルダは、固定部材が拡張位置にあるときにスペーサディスクの内縁部を形状嵌合によって保持するように、その内縁部を固定する。
【0022】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの実質的に円形の内縁部を規定する中央開口を有し、固定部材の少なくとも1つが、環状のビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を固定する外側ショルダを有し、外側ショルダは、固定部材が拡張位置にあるときにビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を形状嵌合によって保持するように、その内縁部を固定する。
【0023】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有し、固定部材の少なくとも1つが、スペーサディスクの内縁部を固定する半径方向外側ショルダを有し、半径方向外側ショルダは、固定部材が拡張位置にあるときにスペーサディスクの内縁部を形状嵌合によって保持するように、その内縁部を固定する。さらに、固定部材の少なくとも1つが、環状のビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を固定する別の半径方向外側ショルダを有し、別の半径方向外側ショルダは、固定部材が拡張位置にあるときにビードコア・エイペックス部分組立体の内縁部を形状嵌合によって保持するように、その内縁部を固定する。
【0024】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクが、スペーサディスクの実質的に環状の内縁部を規定する中央開口を有している。さらに、固定部材が、スペーサディスクの半径方向内縁部を固定する第1のセグメントと、スペーサディスク上に位置するビードコア・エイペックス部分組立体の半径方向内縁部を固定する第2のセグメントと、を有している。
【0025】
本発明のさらに別の例示的な態様では、第2のセグメントが、第1のセグメントに着脱可能に取り付けられている。
【0026】
本発明のさらに別の例示的な態様では、第2のセグメントは、第1のセグメントの半径方向外縁部と第2のセグメントの半径方向外縁部との間隔が調整可能であるように、第1のセグメントに対してスライド可能に取り付けられている。
【0027】
本発明のさらに別の例示的な態様では、この装置は、支持面に対して垂直に移動可能な中心シャフトと、シャフトの移動を、移動可能なセグメントの拡張または収縮に変換する伝動部材と、をさらに有している。
【0028】
本発明のさらに別の例示的な態様では、この装置は、スライディングブロックであって、拡張位置と収縮位置との間の固定部材の移動がスライディングブロックによって少なくとも部分的に支持または案内されるように、固定部材を支持するスライディングブロックをさらに有している。
【0029】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクが、実質的にリング状であってもよく、あるいは実質的に環状の板であってもよい。支持面は実質的に環状であってもよい。
【0030】
本発明のさらに別の例示的な態様によれば、本発明は、上記装置と、上記装置のスペーサディスクによって支持された環状のビードコア・エイペックス部分組立体または環状のビードと、を有するシステムに関する。
【0031】
さらに、本発明は、ビードコア・エイペックス部分組立体を搬送する方法であって、環状のビードコア・エイペックス部分組立体を、製造ステーションに設けられたスペーサディスク上に用意するか、あるいはスペーサディスク上で組み立てるステップと、スペーサディスク上に支持されたビードコア・エイペックス部分組立体と共に、スペーサディスクを、製造ステーションから冷却領域または冷却ステーションに搬送するステップと、ビードコア・エイペックス部分組立体が所望の温度に達するまで、スペーサディスク上に支持されたビードコア・エイペックス部分組立体と共に、スペーサディスクを冷却領域に保管するステップと、スペーサディスクからビードコア・エイペックス部分組立体を分離するステップとを含む方法に関する。
【0032】
本発明の例示的な態様では、この方法は、ビードコア・エイペックス部分組立体とさらなるタイヤ構成部材とを組み立てるために、ビードコア・エイペックス部分組立体を保管領域または処理ステーションに搬送するステップと、ビードコア・エイペックス部分組立体から分離した後でスペーサディスクを製造ステーションに搬送するステップと、の1つ以上のステップをさらに含んでいる。
【0033】
本発明のさらに別の例示的な態様では、環状のビードコア・エイペックス部分組立体を用意するステップが、装着ステーションに設けられたスペーサディスク上に、環状のビードコアを配置するステップと、環状のビードコアを支持するスペーサディスクを第1のゴム組成物押出成形ステーションに搬送するステップと、スペーサディスク上に第1のゴム組成物を押出成形するステップと、環状のビードコアと第1のゴム組成物とを支持するスペーサディスクを、1つ以上のさらなるゴム組成物押出成形ステーションまで搬送するステップと、スペーサディスク上に1つ以上のさらなるゴム組成物を押出成形して、ビードコア・エイペックス部分組立体を形成するステップと、スペーサディスクを装着解除ステーションに搬送するステップと、1つ以上のサブステップをさらに含んでいる。
【0034】
本発明のさらに別の例示的な態様では、スペーサディスクを、例えば少なくとも製造ステーションにおいて固定装置の支持面に固定し、支持面に固定した状態で、製造ステーションを通って搬送するか、あるいは製造ステーション内を搬送することができる。
【0035】
本発明の上述した態様のすべての特徴を互いに組み合わせたり置き換えたりすることができる。
【0036】
(定義)
ここで、本明細書で使用される用語について定義する。
【0037】
「ビードコア」は、一般的に、リムへのタイヤの保持に関連した1つ以上の環状引張部材を意味する。ビードコアは、多くの場合、ビードコア自体に巻かれた1本以上の鋼線から形成されている。ビードコアは、円形または六角形など、さまざまな断面を有していてよい。
【0038】
「エイペックス」またはこれと同義語の「ビードフィラーエイペックス」は、空気入りタイヤ内でビードコアの半径方向上方であってプライ同士の間に配置されたエラストマー製のフィラー構造を意味する。
【0039】
「フリッパ」は、強度を高めるとともにビードコアをタイヤ本体に結合するためにビードコアの周囲に配置された補強織物を指している。フリッパは、織物または補強ゴムプライであってよい。
【0040】
以下、本発明の各実施形態による各図について簡単に説明する。さらなる詳細は、各実施形態の詳細な説明に与えられている。各図は、本発明を例示するためのものであり、限定的な意味で理解すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一例によるビードコア・エイペックス部分組立体を支持する装置を示す図である。
【
図2】
図1に示す装置のA−A断面を示す図である。
【
図3】ビードコア・エイペックス部分組立体を製造および搬送する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の一例による装置1の上面図であり、
図2は、当該装置のA−A断面を示している。それぞれ単独の図面ではすべての細部が見えるとは限らないため、以下では、これら2つの図を参照する。
【0043】
装置1は、例えば空気入りタイヤ(図示せず)の製造において組立済みの構成部材として使用される環状のビードコア・エイペックス部分組立体を支持することができるスペーサディスク3を有している。特に、スペーサディスク3は、リング状のディスクまたは環状の支持板であってよい。しかしながら、部分組立体5を支持するために他の形状を用いることもできる。特に、スペーサディスク3は、好ましくは実質的に円形の(中央)開口を有している。しかしながら、ここでいう「円形」とは、多角形を除外するものではない。図示した環状のスペーサディスク3は、支持すべき環状のビードコア・エイペックス部分組立体5の内径よりも小さい内径を有していてよく、支持すべきビードコア・エイペックス部分組立体5の直径よりも大きい外径を有していてよい。一般に、スペーサディスク3の表面は、実質的に平坦である。スペーサディスク3は、金属、例えば鋼またはアルミニウムで形成されていてよい。スペーサディスク3は、コーティング、特にテフロン(登録商標)コーティングまたはプラスチックコーティングなどの非付着性コーティングと、ビードコア・エイペックス部分組立体5のスペーサディスク3からの容易な取り外しを可能にする構造(textures)との少なくとも一方を有していてよい。さらに、スペーサディスク3は、複数のセグメントを有していてよく、あるいは複数のセグメントからなっていてよい。このようなセグメントは、部分組立体5の除去性をさらに向上させるために、それぞれ互いに対して移動可能、回転可能、または傾斜可能であってよい。
【0044】
図1に詳細に示すように、装置1は、スペーサディスク3を保持する支持面7と、装置1の中心軸Sに対して実質的に半径方向に移動可能であってよい複数の拡張可能部材10と、を有する固定装置2を有していてよい。中心軸Sは、支持面7と、支持面7に支持されたスペーサディスク3とに実質的に垂直であってよい。拡張可能部材10すなわち固定部材10は、
図1に示す矢印の方向に押されて、
図2の断面に示す固定装置2の支持面7にスペーサディスク3を固定することができる。拡張可能部材10によってスペーサディスク3を支持面7に固定することで、スペーサディスク3はその支持に対して規定された位置になる。例えばこの例に示すように、各固定部材10は、少なくとも2つのセグメント11,12を有していてよく、第1のセグメント11が、スペーサディスク3を固定するようになっているとともに、第2のセグメント12が、環状のビードコア・エイペックス部分組立体5またはその環状のビード6を固定するようになっていることが好ましい。その目的のために、各セグメント11,12は、セグメント11,12がスペーサディスク3とビード6またはビードコア・エイペックス部分組立体5とを形状嵌合(form fit)によって閉鎖する(block)ように、ショルダまたは突起13,14を有していてよい。固定部材10は、水平方向に移動可能であってよく、すなわち、支持面7に支持されているときのスペーサディスク3の中心軸Sに対して垂直に移動可能であってよい。しかしながら、その代わりに、固定部材10は、傾斜運動またはピボット運動(図示せず)によって収縮位置から拡張位置まで移動することもできる。さらに図示したように、第2のセグメント12は、第1のセグメント11に対して調整可能であってよい。例えば、そのような調整は、2つのセグメント11,12の一方に配置された長孔15と、2つのセグメント11,12を接続する、対応するねじまたはボルトとによって可能となってもよく、あるいはスライディングレール(図示せず)によって可能となってもよい。第1の固定セグメント11の半径方向外縁部と第2の固定セグメント12の半径方向外縁部とを調整可能にすることで、装置1を、例えば直径(内径)または厚さが異なるなど、さまざまな環状のビードコア・エイペックス部分組立体5に使用することができる。さらに、固定部材10または第1および第2のセグメント11,12は、それらをさまざまなスペーサディスク3を使用するために交換したり、さまざまなビードコア・エイペックス部分組立体を製造するために交換したりすることができるように、取り外し可能に取り付けられていてよい。
【0045】
場合によっては、固定部材10は、ばね部材17が固定部材10を拡張位置に押し込むかまたは強制的に配置するように、装置1に弾性的に取り付けられている。その場合、固定部材10は、収縮力が作用していない状態で、スペーサディスク3と、ビードコア・エイペックス部分組立体5との少なくとも一方を保持している。環状のスペーサディスク3と、ビードコア・エイペックス部分組立体5との少なくとも一方の保持を解除するために、部材10またはそのセグメント11,12は能動的に収縮されなければならない。一般に、2つのセグメント11,12を収縮位置と拡張固定位置との間を独立して移動させることも可能である。
【0046】
図2の断面は、拡張可能部材10を拡張固定位置から収縮位置まで移動させるための例示的な機構を示している。特に、中心軸Sに対して実質的に平行に移動可能、すなわち、支持面7またはスペーサディスク3の平面に対して実質的に垂直に移動可能なシャフトまたはアクチュエータ20は、伝動部材21を介して、固定部材10の拡張運動を駆動することができる。特に、伝動部材21は、一方の端部でシャフト20にピボット運動可能に連結され、他方の端部で固定部材10にピボット運動可能に連結された、レバーまたはロッド21を有していてよい。例えば、シャフト20は、支持面7に固定して取り付けられているか、支持面7に連結された軸22の上をスライドする中空のシャフトまたはスリーブであってよい。
図2に詳細に示すように、拡張可能部材10、特に第1のセグメント11を、スライディングブロック25上で少なくとも部分的に案内することができる。例えば電気モータまたは油圧モータなどの駆動装置によって、シャフト20を移動または駆動することができる。さらに、装置1は、装置1または固定装置2を保持または支持するとともに、例えば、固定装置の基部27を開口に収容するためのホルダを有する台(図示せず)に取り付けられていてよい。基部27は、固定装置2の支持面7に固定されていることが好ましい。このような台に、固定部材10またはセグメント11,12を移動させる駆動手段を設けることができる。さらに、対応する台は、1次元、2次元、または3次元で移動可能であるか、または、中心軸Sを中心とした支持面7とスペーサディスク3との回転を可能にし、したがってビードコア・エイペックス部分組立体5の回転を可能にするように、垂直軸を中心とした回転が可能であるか、または、そのいずれもが可能であってよい。あるいは、装置1を、そのような台に回転可能に取り付けることができる。
【0047】
スペーサディスク3が実質的に環形状である場合、スペーサディスク3は、約30cmから約60cmまでの間の内径を有することができることが好ましく、その外径は、約35cmから約100cmまでの間であることが好ましい。スペーサディスク3が環状の内縁部を規定する円形の切り欠きまたは開口を有する場合、切り欠きまたは開口は、上述したのと同じ内径を有していてよい。スペーサディスク3の厚さは、約0.1cmから約3cmまでの間であることが好ましい。
【0048】
図2は、ビード部分6とエイペックス部分4とを有する、例示的なビードコア・エイペックス部分組立体5の断面も示している。エイペックス部分4は、実質的に三角形の断面を有していてよく、ビード6は、ビードコア・エイペックス部分組立体5の半径方向内側に位置していてよい。ビードコア・エイペックス部分組立体5の製造または構成の任意的なさらなる詳細については後述する。エイペックス部分4は、簡単のために、一つの部品として示されている。しかしながら、エイペックス部分4は、例えばそれぞれの異なるゴム構成部材で形成された複数の部分を有していてよい。
【0049】
図3は、ビードコア・エイペックス部分組立体5を製造および搬送する構成を示している。さらなる理解のために、
図1および
図2で既述した部材については、同じ参照番号が使用されている。
【0050】
図3の構成は、3つの主要ステーションA,B,Cを有しており、ビードコア・エイペックス部分組立体5は、ステーションAで製造され、その後、冷却ステーションBに置かれ、続いて、ステーションCに移送される。ステーションCは、保管ステーションか、例えばタイヤまたはタイヤ構成部材を組み立てるためのさらなる処理ステーションのいずれかであってよい。
【0051】
特に、環状のスペーサディスク3およびビードコア6を、ビードコア・エイペックス部分組立体5を製造する製造ステーションAに提供することができる。ビードコア・エイペックス部分組立体5は、製造後、環状のスペーサディスク3と共に、冷却領域つまり冷却ステーションBに搬送される。このステーションは、複数の上記スペーサディスク3を、その上に支持された部分組立体5と共に収容することができる。冷却ステーションBは、調整され、温度が15〜30℃の間、好ましくは20〜25℃の間であることが好ましい。特に、冷却ステーションBは送風機を有していてよい。さらに、部分組立体5は、調整された冷却ステーションBの温度に達するまで冷却ステーションBに置かれていてよい。部分組立体5を、約5〜30分間、冷却ステーションBに保管できることが好ましい。
【0052】
次のステップでは、ビードコア・エイペックス部分組立体5を、スペーサディスク3から取り外すことができ、あるいはスペーサディスク3から持ち上げることができる。このステップは、手動で行われてもよく、あるいは装着解除装置によって自動化されていてもよい。その後、ビードコア・エイペックス部分組立体5は、保管設備Cに搬送されてもよく、あるいは、タイヤまたはタイヤ構成部材のさらなる製造または組立を行うために、さらなる処理ステーションCに搬送されてもよい。
【0053】
空のスペーサディスク3は、製造ステーションAに送り返され、再びビードコア6が装備されることが好ましい。
【0054】
図3にも示すように、製造ステーションAは、回転可能な支持ラック30を有していてよく、支持ラック30は、中心コラム32から延びる、少なくとも2つ、好ましくは4つの支持アーム31を有している。各支持アーム31は、本発明の実施形態による装置1を保持していることが好ましい。さらに、各装置1の環状の支持面7または固定装置2は、その中心軸Sを中心として回転可能であってよい。
【0055】
別の態様では、第1から第4のアーム31は、中心コラム32を中心として実質的に90°の角度間隔で配置されていてよく、実質的に等しい長さを有していてよい。
【0056】
一般に、アームの数は、製造ステーションAの内部にあるステーションの数に対応していてよい。例えば、隣接する2つのアーム間の角度間隔は、360°を製造ステーションAの内部にあるアームまたはステーションの数で割った数によって実質的に与えられていてよい。
【0057】
製造ステーションAは、装着ステーション40を有していてよい。装着ステーション40は、装着装置を有していてよく、装着装置は、環状のビードコア6および空のスペーサディスク3を、装着ステーション40に設けられているか、装着ステーション40に存在している装置1の支持面7まで移送するように構成されている。
【0058】
装着時に、スペーサディスク3を装置1の支持面7に固定することができる。その後、装置1が、ディスク3およびビードコア6と共に、第1の押出成形またはポンピングステーション50に移されるか、あるいは、スペーサディスク3とビードコア6とだけが、第1の押出成形またはポンピングステーション50に移される。
【0059】
押出成形装置またはポンピング装置として、特許文献7に記載された装置を使用することができる。あるいは、特許文献8に記載された装置を使用することができる。
【0060】
ポンピングまたは押出成形ステーション50は、例えばギヤポンプGp1を有していてよい。
【0061】
さらに、ポンピング装置または押出成形装置と流体連通するノズルが設けられていてよい。中心軸Sを中心として、支持面7とそれに固定されたスペーサディスク3とを回転することができ、第1のゴム化合物を、回転する環状のスペーサディスク3上にノズルを通じて排出して、排出されたゴム化合物からエイペックスを形成することができる。ノズルは、回転するスペーサディスク3と、周囲にフリッパが巻き付けられたビードコア6との少なくとも一方に対して、ゴム化合物を押圧する舌部をさらに有していてよい。回転可能なディスクは、ゴム化合物またはゴム組成物の排出中に実質的に360°回転することが好ましい。
【0062】
あるいは、ゴム化合物を、回転するスペーサディスク3上に実質的にストリップの形状に排出することができ、ストリップ状のゴム化合物を排出しながら、支持面7上に配置された環状のビードコア6に対して、ノズルを半径方向に移動することができる。回転するスペーサディスク3上に1つ以上のノズルを通じて排出された1つ以上のゴムストリップから、エイペックスを形成することができる。
【0063】
一般に、スペーサディスク3と支持面7との少なくとも一方は、実質的に水平な面内で回転することができ、その回転軸(つまり中心軸)は、スペーサディスク3と支持面7との少なくとも一方に垂直である。
【0064】
さらなる任意のステップでは、装置1を、第2の押出成形またはポンピングステーション60まで移動または回転することができ、そのステーション60では、第2のゴム化合物またはゴム組成物を、ビードコア6か、あるいはステーション50で製造済みの環状のビードコアおよびエイペックスに貼り付けることができる。例えば、ゴム化合物またはゴム組成物を貼り付けるために、ギヤポンプGp2を使用することができる。
【0065】
あるいは、押出成形またはポンピングは、一方のステーション50,60だけで行われる。特に、少なくとも2つの押出成形装置またはポンピング装置を一方のステーション40,50に配置することが可能である。したがって、2つのゴム組成物を順次または同時に貼り付けることができる。
【0066】
製造ステーションAの最後のステーションであることが好ましい装着解除ステーション70は、固定装置2の支持面7からスペーサディスク3を持ち上げるように構成された装着解除装置を有していてよい。その場合、スペーサディスク3をさらに冷却ステーションBまで搬送することができる。
【0067】
製造ステーションAについて、装置1または固定装置2のそれぞれを保持するアーム31を有する回転可能なラック30を参照して説明したが、ステーション40,50,60,70が一列に配置されていてもよいことに留意されたい。例えば、これらのステーション間の搬送をコンベアシステムまたはコンベアベルトによって行うことができる。さらなる代替例として、ポンピング装置または押出成形装置を装置1の上に移動させることができる。しかしながら、これには、製造プロセスを遅延させる可能性がある。一般に、ビードコア6またはビードコア・エイペックス部分組立体5を保持するスペーサディスク3のみをステーション40,50,60,70間で移動させることも可能である。
【0068】
一般に、ビードコア・エイペックス部分組立体5は、環状のビードコア6と、フリッパと、エイペックスとを有していてよく、フリッパは、ビードコアを取り囲むようにビードコアの周囲に巻き付けられていてよく、エイペックスは、フリッパに接触し、ゴム組成物を有する少なくとも1つのセグメントを有している。あるいは、フリッパは、少なくとも2つの異なるセグメントを有していてよい。第2のセグメントは、第1のセグメントの組成と異なる組成を有していてよい。
【0069】
ビード6は、例えば1本以上の鋼線を有する従来のビードコア6であってよい。さらに、フリッパは、タイヤ製造に使用される従来のフリッパであってよい。例えば、フリッパは、織物または補強ゴムプライであってよい。エイペックスは、実質的に三角形であってよく、例えば、フリッパからエイペックス先端まで延びていてよい。任意の構成として上記した2つのセグメントが設けられている場合、第1のセグメントの断面と第2のセグメントの断面との少なくとも一方が実質的に三角形であってよい。エイペックスの第1のセグメントのみがフリッパに接触していることが好ましい。一般に、フリッパのさまざまなセグメントは、それぞれショアA硬度が異なるゴム組成物を有していてよく、その場合、第1のゴム組成物のショアA硬度が、第2のゴム組成物のショアA硬度とは少なくとも3、あるいは少なくとも5または少なくとも10だけ異なっていてもよく、あるいは、第1のゴム組成物のショアA硬度が、第2のゴム組成物のショアA硬度よりも、好ましくは少なくとも3だけ大きくてもよく、あるいは、そのいずれであってもよい。さらに、フリッパがビードコアを完全に取り囲むことも可能である。
【0070】
製造時に、環状のビードコア6を用意し、環状のビードコア6を取り囲むようにその周囲にフリッパを巻き付けることができる。さらなる任意のステップでは、装着ステーション40において、周囲にフリッパが巻き付けられたビードコア6を、上述のスペーサディスク3の上に配置することができる。
【0071】
発明を実施する最良の形態を参照して本発明を説明したが、本明細書を読んで理解すれば、他者が修正や変更を思いつくであろうことは言うまでもない。本発明は、すべてのそのような修正や変更が添付の特許請求の範囲またはその同等物の範囲に含まれる限りは、すべてのそのような修正や変更を含むことが意図されている。
【0072】
いずれの場合も、上述した例を限定的な意味で理解すべきではない。特に、上述した例の特徴を互いに置き換えたり組み合わせたりすることもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 装置
2 固定装置
3 スペーサディスク
4 エイペックス部分
5 ビードコア・エイペックス部分組立体
6 ビード(ビードコア)
7 支持面
10 拡張可能部材
11,12 セグメント
13,14 ショルダまたは突起
15 長孔
17 ばね部材
20 シャフト
21 伝動部材
22 軸
25 スライディングブロック
27 基部
30 支持ラック
31 支持アーム
32 中心コラム
40 装着ステーション
50 第1の押出成形またはポンピングステーション
60 第2の押出成形またはポンピングステーション
70 装着解除ステーション
A 製造ステーション
B 冷却ステーション
C 保管ステーションまたはさらなる処理ステーション
Gp1,Gp2 ギヤポンプ
S 中心軸