(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、省エネルギーや地球温暖化対策の観点から、空調機器や換気装置を用いずに、建物の各部屋の窓やドアを開放して自然換気を行うことによって建物内に快適な居住環境を形成したいという要望がある。また、夏場においては建物内に導入する外気が温暖であるため、さらに市街地においてはヒートアイランド化現象による気温上昇のため、自然換気による効果を得にくい場合がある。
【0008】
また、従来のように煉瓦等の多孔質壁材を用いる場合、一定以上の奥行きを必要とする上、壁体として使用するためには煉瓦等の多孔質壁材を支えるための鉄筋が必要となる。さらには、給水量が多いことから大型の貯水タンクを必要とするなど、重量、体積ともに大きくなってしまう場合がある。このため、スペースが限られる戸建住宅等では、蒸発冷却効果のみを目的として、大きく重い部材を導入することは、空間利用上、課題となっている。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、建物内に導入される外気を冷却する効果を発揮できるとともに、周辺環境よりも体感温度の低いクールスポットを形成することが可能であり、また、スペースが限られる戸建住宅等であっても導入しやすい外構部材及び外構部材の表面構造及び外構部材の表面形成方法並びに外構構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、外構部材1(1A)であって、例えば
図1〜
図7に示すように、外構構造物10を構成しており、
親水性を有する塗材層3と、前記塗材層3の表面に、吸水性を有する多孔質材9が多数配設されたことによって形成された全体としての多孔質材層4と、少なくとも多孔質材9の表面に塗布された、
図1においては微小で点状の親水性部8と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、塗材層3は基材2の表面を連続して被覆しているが、多孔質材9によって形成される多孔質材層4は親水性を有する塗材層3の表面において連続していても非連続であってもよく、また親水性部8は点状で非連続であっても、点状に吹付けられたあと点状以外の形状となって多孔質材の表面において連続状となってもよい。さらに詳しくは本願で言う多孔質材9の表面に塗布された親水性部8とは、多孔質材9の表面に吹付等の手段により塗布された部分が隣接して塗布された部分と非連続であっても連続した状態となっていてもよく、少なくとも多孔質材9の表面の一部が現れていればよい。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、建物内に導入される外気を冷却する効果を発揮できると共に、周辺環境よりも体感温度の低いクールスポットを形成することが可能であり、またスペースが限られる戸建住宅等であっても導入しやすいという効果がある。すなわち、前記多孔質材9は多数の細孔を有するため、吸水性を有し、前記多孔質材層4に水が供給された場合に、この多孔質材層4に水を十分に含ませることが出来る。
【0013】
また、多孔質材9の表面には親水性部8が設けられているため、多孔質材9の多数の細孔には容易に水が導かれると共に、少量の水(例えば僅かな雨)であっても、該水が多孔質材9内に確実に取り込まれ、多孔質材9内に保持される。
【0014】
また、基材2は親水性を有する塗材層3が連続して被覆されているため、多孔質材9が例え非連続に塗材層3に配設されていても1個の多孔質材9に許容量以上の水が供給された場合や、多孔質材9上以外の部分に水が供給されても、該水は塗材層3を容易に濡れ広がって隣の多孔質材9に達して、極めて容易に多孔質材層4全体に十分な水を含ませることが出来る。
【0015】
このため、前記多孔質材層4に含まれた水の気化熱を利用して外構部材1(1A)を冷却することができ、これに伴って周囲の気温を低下させることが出来る。このような外構部材1(1A)によって前記外構構造物10を構成すれば、前記外構構造物10の周囲の空気を冷却する効果を発揮できるので、建物内の自然換気を行う際に、冷却された外気を建物内に導入できる。
【0016】
したがって、たとえ夏場であっても、空調機器や換気装置を用いずに、建物内に快適な居住環境を形成することができ、ひいては省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが出来る。さらには、例えば従来のような煉瓦等の多孔質壁材に比して軽量であり、かつ形状の自由度が高い。このため広範囲にわたって用いることが可能であり、冷却対象空間における冷却面の形態係数を大きくとることが出来る。これによって、住宅等の建物の外回りに、体感温度が周辺環境よりも低くなるクールスポット(涼しい微気候空間)を形成できる。
【0017】
このように外回りに涼しい環境を形成できれば人の滞在時間が長くなることが期待され、屋内から屋外に出て過ごす時間が増えることで空調機器の稼働時間を短縮し、結果的に、省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが可能となる。
【0018】
また、外構部材1(1A)は、前記塗材層3と、前記多孔質材層4と前記親水性部8とを備えてなるものであるため、該外構部材1(1A)は、新規に製造した部材に限られるものではなく、既存の部材にも適用することが可能である。つまり、既存の外構部材1(1A)であっても、この基材の外構部材1(1A)に対して塗材層3と多孔質材層4と親水性部8を備えさせ、この多孔質材層4に水を含ませることで容易に冷却効果を得ることが出来る。
【0019】
さらに、上記のように、前記多孔質材層4は、前記塗材層3の表面に吸水性を有する多孔質材が配設されてなるので、前記多孔質材層4に水を供給すれば、毛細管現象等により外構部材1(1A)全体に対する水の拡散性が向上する。これによって、前記多孔質材層4を少量の水で効率よく濡らすことができるので、水の節約や省エネルギーに貢献することが出来る。
【0020】
また、前記塗材層3は、該塗材層3が表面に設けられる基材2(2A)と前記多孔質材層4との間に介在し、親水性を有するので、例えば、基材2が疎水性であっても、上記のように多孔質材層4に容易に水を含ませることができ、冷却効果を発揮させることが出来る。
【0021】
以上のように、外構部材1(1A)の表面性状を本願請求項1記載の発明のように形成することにより保水性を発現させることが出来るので、基材2(2A)自体の構造強度や耐久性は維持でき、また、前記多孔質材層4のみに水が含まれるので、凍結融解による基材2(2A)の破損を防ぐことが出来る。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の上記発明である外構部材の表面構造に関するものであり、また請求項3に記載の発明は、請求項1記載の上記発明である外構部材の表面形成方法に関するものであり、これらの発明に係る外構部材は、上記同様の作用効果を有する。
【0023】
請求項4に記載の発明な、例えば
図1〜
図7に示すように、請求項1に記載の外構部材1(1A)を複数並列してなる外構構造物10であって、
互いに間隔をあけて配置される複数の支柱11、11と、
前記複数の支柱11、11間にわたって長尺に形成されており、前記複数の支柱11、11間に横方向に架設されるとともに、上下方向に互いに間隔をあけて並列配置される前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、前記複数の支柱11、11と前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)とによって、例えばフェンスや柵、ルーバー等の外構構造物10を形成することが出来る。このような外構構造物10によれば、該外構構造物10の周囲の空気を全体的に冷却できるだけでなく、前記複数の外構部材1、1間の隙間(例えば隙間S)を通過する空気を冷却することが出来る。
【0025】
また、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)は、上下方向に互いに間隔をあけて並列配置されることにより、例えば前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)が間隔を空けずに並列配置された場合に比して、空気に接触する面を増やすことが出来るので、空気の冷却効果を高めることが出来る。
【0026】
また、このような外構構造物10を、建物の窓等の開口部前方や開口部周囲に配置すれば、外部からの視線を遮蔽しつつ、建物内に冷却された外気と採光とを同時に導入することが出来る。これによって、建物内の居住環境の快適性をより向上させることが可能となる。
【0027】
請求項5に記載の発明は、例えば
図3、
図4、
図7に示すように、請求項4に記載の外構構造物10において、
前記各外構部材1・・・(1A・・・)の上面部5は、前記複数の支柱11、11の高さ方向に対して一定の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、前記各外構部材1・・・(1A・・・)の上面部5は、前記複数の支柱11、11の高さ方向に対して一定の角度で傾斜しているので、前記上面部5上の水を、傾斜方向上端部から下端部に向かって流すことができ、さらに、下方へと滴下させることが出来る。
【0029】
つまり、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して水を供給する際は、最も上方に位置する前記外構部材1(1A)に対して水を供給すれば、水を下方へ滴下させることが出来る。下方に滴下された水は、下方の前記外構部材1(1A)に当たれば、この下方の外構部材1(1A)に対しても水を供給でき、これによって下方の前記複数の外構部材1・・・」に対して順々に水を供給できることになるので、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して効率よく水を含ませることが出来る。
【0030】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1、
図3、
図4、
図7に示すように、請求項4に記載の外構構造物10において、
前記各外構部材1・・・(1A・・・)は、前記上面部5と、
前記上面部5と一体形成されると共に、該上面部5の傾斜方向下端部からななめ下方に折り返される側面部6と、を有することを特徴とする。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、前記側面部6は、前記上面部5と一体形成されると共に該上面部5の傾斜方向下端部から斜め下方に折り返されているので、前記上面部5を流れる水を前記側面部6に伝わせて下方に流し、該側面部6の下端部から滴下させることが出来る。これによって、前記上方の外構部材1(1A)の前記上面部5を流れる水を、より確実に前記下方の外構部材1(1A)の前記上面部5へと滴下させることが出来る。
【0032】
請求項7に記載の発明は、例えば
図3、
図4、
図7に示すように、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の外構構造物10において、
前記複数の支柱11、11の上端部に取り付けられると共に、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)のうち最も上方に位置する外構部材1(1A)の上方に配置される天板17をさらに備えており、
前記天板17は、前記各外構部材1・・・(1A・・・)の前記上面部5と略等しい角度で傾斜しており、傾斜方向下端部には、前記各外構部材1・・・(1A・・・)の前記側面部6と略等しい角度で傾斜する折り返し部17aが一体形成されていることを特徴とする。
【0033】
請求項7に記載の発明によれば、前記複数の支柱11、11の上端部に前記天板17が取り付けられているので、この天板17の下方に位置する前記最も上方に位置する外構部材1(1A)が、雨や日射を直接受けにくくなる。これによって、天候等による前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)の劣化を抑制することが可能となる。
【0034】
また、前記天板17は、前記各外構部材1・・・(1A・・・)の前記上面部5と略等しい角度で傾斜しており、傾斜方向下端部には、前記各外構部材1・・・(1A・・・)の前記側面部6と略等しい角度で傾斜する折返し部17aが一体形成されているので、前記天板17上の水を、傾斜方向上端部から下端部に向かって流すことが出来る。さらに、前記天板17上からの水を前記折返し部17aに伝わせて下方に流し、該折返し部17aの下端部から前記最も上方に位置する外構部材1(1A)に滴下させることが出来る。
【0035】
したがって、例えば夏場の雨天時等においては、前記天板17によって前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)の劣化を抑制しつつ、雨水による水の供給によって前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して十分に水を含ませることが出来る。
【0036】
請求項8に記載の発明は、例えば
図2〜
図4、
図7に示すように、請求項7に記載の外構構造物10において、
前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して水を供給する供給手段18をさらに備えており、
前記供給手段18は、給水源18aと、前記給水源18aから前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)のうち最も上方に位置する外構部材1(1A)よりも上方に配管される給水管(例えば支管18c)と、を有しており、
前記天板17の直下には、前記給水管が収納される収納部17cが設けられており、
前記収納部17cは、下方に向かって開口する開口部17dを備えることを特徴とする。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して水を供給する前記供給手段18を備えるので、前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に容易かつ確実に水を含ませることができる。さらに、前記天板17の直下に設けられた前記収納部17cに前記給水管(例えば支管18c)を収納した状態で、前記開口部17dから確実に水を滴下させることができる。つまり、前記給水管によって前記複数の外構部材1・・・(1A・・・)に対して確実に水を供給しつつ、前記給水管によって周囲の景観性が損なわれることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、建物内に導入される外気を冷却する効果を発揮できるとともに、周辺環境よりも体感温度の低いクールスポットを形成することが可能であり、さらに、スペースが限られる戸建住宅等であっても導入しやすいという効果がある。
【0039】
また、外構部材は、塗材層と、多孔質材層と、親水性部を備えてなるものであるため、該外構部材は、新規に製造した部材に限られるものではなく、既存の部材にも適用することが出来るという効果がある。つまり、既存の外構部材であっても、この既存の外構部材に対して塗材層と多孔質材層と、親水性部とを備えさせ、この多孔質材層に水を含ませることで容易に冷却効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、外構部材を示す。なお、外構部材とは、住宅等の建物の外回りにある各種外構構造物等に使用される建材を指している。また、外構構造物としては、例えばフェンスや門扉、柵、手摺、ルーバー、垣根、塀、車庫、ガレージ、土間、アプローチ、アクセントウォール、パーゴラ、デッキ、舗装材、各種柱、物置等、様々なものが挙げられる。さらに、このような外構構造物としては、建物の庭等の敷地に設置されるものだけでなく、バルコニーの柵や手摺等も含んでいる。
【0042】
本実施の形態の外構部材1は、以上のような外構構造物10を構成するものであり、外構部材1は、親水性を有する塗材層3と、該塗材層3の表面に配設された多孔質材9によって形成される多孔質材層4と、少なくとも多孔質材9の表面に塗布された親水性部8と、から形成される表面を備えている。
【0043】
また、前記塗材層3は、前記外構部材1自体を構成する基材2の表面に設けられている。つまり、この基材2とは、前記塗材層3を設けるための支持体、または基盤としての役割を果たすものである。
【0044】
したがって、この基材2が新規に製造されたものであるか、既存ものであるかについては何ら限定されるものではない。言い換えれば、本実施の形態の外構部材1は、新規に製造したものであってもよく、既存の基材2の表面に前記塗材層3と前記多孔質材層4と、前記親水性部8を設けたものであってもよい。すなわち、本実施の形態の外構部材1は、前記外構構造物10の新設時にも利用でき、リフォーム時にも利用できる。
【0045】
前記基材2は、本実施の形態においてはアルミニウム等の金属からなる長尺な押出成形品が採用されており、中空筒状に形成されるとともに、断面形状が平行四辺形に形成されている。なお、この基材2の種類としては、アルミニウム等の金属だけでなく、外構用の建材として市場に流通しているもの、既存の製品の全てを採用することができるとともに、その形状も限定されるものではない。すなわち、その他の金属製のものや木製のもの、樹脂製のもの、セラミック等、様々なものが挙げることができる。
【0046】
また、塗材層3は、前記基材2と前記多孔質材層4との間に介在し、前記多孔質材9を前記基材2の表面に配設する接着剤としての作用を有している。
【0047】
該塗材層3を構成する親水性を有する塗材としては、JISA 6909に規定される合成樹脂エマルジョン系塗材であるところの、外装薄塗材E、可とう形外装薄塗材E、外装厚塗材Eであって乾燥後の塗材表面が親水性であるものが好ましく、親水性の有無は、水平に保持した塗材表面に水を滴下した際、該水が濡れ広がる状態であれば親水性を有すると判断し、該水が少なくとも半球状に保持されて濡れ広がらない状態にあれば親水性を有しないと判断する。
【0048】
該塗材の合成樹脂エマルジョンは、アクリル酸エステル共重合系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル・アクリル酸エステル系樹脂、エチレン・塩化ビニル系樹脂、シリコン変性アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂エマルジョンが使用でき、成膜助剤無添加で、施工時温度以下の成膜温度を持つか、成膜助剤の添加により、塗布環境下で成膜条件を達成すれば良い。これらには架橋タイプ、粉末型のエマルジョン等であっても使用できる。このうちアクリル酸エステル共重合系樹脂等のアクリル樹脂系エマルジョンが塗材乾燥後の塗膜物性がよく、好ましい。成膜助剤としてはテキサノール等が挙げられる。
【0049】
また、該親水性を有する塗材には、充填材、骨材、着色顔料が配合されていても良い。なお、ここで言う充填材はその平均粒径が100μm未満のものをいい、100μm以上のものを骨材としている。この他にも充填材や着色顔料等を均一に分散させるための分散剤や、塗材中の巻き込み等による泡を消すための消泡剤や、防黴剤等が配合されていてもよい。該親水性を有する塗材の市販品としては、ジョリパットJP−100、JQ−650(商品名、アイカ工業株式会社製)がある。
【0050】
親水性を有する塗材は、基材2の表面に塗布されるが、基材2との接着性を確保させることを目的としてシーラーを塗布し乾燥後に該親水性を有する塗材を塗布しても良い。親水性を有する塗材を塗布した後は、該塗材表面が乾燥する前に前記多孔質材9を吹付け等により表面に押し付けるようにして配設する。
【0051】
多孔質材9としては、粒状の無機質発泡ガラスが好ましく、該多孔質材は、粒径が4000μm以下のものを使用することができ、好ましくは2800μm以下であれば取扱いの点で良い。該粒状の無機質発泡ガラスは数μm〜数十μmの多数の細孔を有していて、これら細孔が水を吸水保持するために吸水性を有する。また、前記多数の細孔に入った水は、水の表面張力により細孔内に保持されることになり、これら細孔内に入った水や隣接する多孔質材間に溜まった水が蒸発し、この際に周囲の温度を下げることになる。
【0052】
また、多孔質材9である粒状の無機質発泡ガラスの24時間浸漬後の重量による吸水率は粒径が小さいほど高くなるため、本願発明において冷却効率が高めるためには粒径が小さいものが好ましい。市販の粒状の無機質発泡ガラスとしては、ライテックGL−3(商品名、粒径1000μm〜500μm;63.6重量%、吸水率(24時間浸漬による重量%)55.8%、かさ比重;0.40、啓和炉材株式会社製)がある。
【0053】
また、前記多孔質材は、前記塗材層3の表面に略密集して設けられることが好ましく、隙間なく密集させれば吸水による水の保持量は当然ながら多くすることが出来る。
【0054】
ここで、前記外構部材1の表面性状は、上述のように親水性であり、表面張力が大きいものが良い。具体的には、前記外構部材1表面に水を滴下した時の接触角θが90度以下である必要がある。接触角θが90度以下であれば、ウェンゼル理論により、表面を粗面化することによって部材のみかけの表面張力を高め、水の拡散性を向上することができる。そして、このような物性と意匠的な観点から、部材表面に0.1〜1mm程度の粒度の骨材を配設するとさらに水が濡れ広がりやすくなって本願発明が有する冷却効果が向上する。
【0055】
ここでいう骨材は、ミクロレベルの細孔を有する多孔質材であり、その細孔に水が保持される素材であれば上記粒状の無機質発泡ガラスに限定されない。吸水率が10%以上であると、灌水停止後も、細孔内にたまった水が蒸発し、蒸発冷却効果を任意の時間、維持することができる。また、空隙率によって吸水率が異なるため、蒸発冷却効果の持続時間の期待値によって任意の空隙率を持つ多孔質材を選定して塗材層に配設することで蒸発冷却効果を調整できる。
【0056】
また多孔質材の細孔径は小さいほど毛細管力が大きく、また径が大きいほど毛細管力は小さいが、細孔に溜まった水が屋外環境下で適度に蒸発散を繰り返すためには、毛細管力の大きさから、細孔径が1〜100μm程度の間で分布していることが望ましい。
【0057】
また塗材層3に配設された多孔質材9の表面には親水性部8が設けられ、該親水性部8は、多孔質材9の表面に親水性塗料を吹付けて塗布することによって形成することが出来る。吹付けて塗布する目的は、小さな多孔質材9の全体が被覆されて多孔質材9の吸水性が無くなることを避けるためであり、多孔質材9の表面に部分的に点状に親水性部8を設けるためである。吹付け以外の手段により、点状若しくは多孔質材9の表面の一部が現れている状態に親水性部を設けることができるのであれば、親水性塗料を塗布する手段は吹付けに限られない。
【0058】
また親水性部は、長期にわたって該親水性を保持することが好ましく、該長期にわたって親水性を保持する親水性塗料としては光触媒塗料がある。親水性部が長期にわたって親水性を保持することにより、本願発明に係る冷却効果は結果として耐久性を有するものとなる。もちろん、親水性部8は、多孔質材9が表面に配設されていない塗材層3の上に形成されていても良い。これは、塗材層3は親水性であるので、さらに親水性を付与する必要性は低いが、塗材層3の表面に隙間が生じた状態で多孔質材9が配設された場合は、該多孔質材9の表面だけに親水性塗料を吹付けることは難しいためである。
【0059】
また光触媒塗料により親水性部8が形成される部位は多孔質材9の表面であり、多孔質材9に上記無機質発泡ガラスを使用すれば、光触媒酸化チタンの有機質分解作用は該多孔質材には影響がなく、また無機質発泡ガラスが空気中の埃や排気ガス等の有機物質により汚れても、該光触媒の有機質分解作用により、表面は清浄に保持されるとともに親水性が保持される。光触媒塗料には、例えば特許第4107512号に示される光触媒酸化チタンからなる水系塗料があり、市販の該光触媒塗料には、クリーンマジック トップコートJC−500TP(商品名、アイカ工業株式会社製、二酸化チタン−ペルオキソチタン酸水溶液、二酸化チタン0.8〜0.9重量%)がある。
【0060】
以上のような本実施の形態の外構部材1によれば、建物内に導入される外気を冷却する効果を発揮できるとともに、周辺環境よりも体感温度の低いクールスポットを形成することが可能であり、さらに、スペースが限られる戸建住宅等であっても導入しやすい。すなわち、前記孔質材は多数の細孔があるため、表面張力が大きく、かつ吸水性を有するので、前記多孔質材層4に水が供給された場合に、この多孔質材層4に水を十分に含ませることができる。これによって、前記多孔質材層4に含まれた水の気化熱を利用して前記基材2を冷却することができ、これに伴って周囲の気温を低下させることができる。
【0061】
このような外構部材1によって前記外構構造物10を構成すれば、前記外構構造物10の周囲の空気を冷却する効果を発揮できるので、建物内の自然換気を行う際に、冷却された外気を建物内に導入できることとなる。したがって、たとえ夏場であっても、空調機器や換気装置を用いずに、建物内に快適な居住環境を形成することができ、しいては省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが可能となる。
【0062】
加えて、例えば従来のような煉瓦等の多孔質壁材に比して軽量であり、かつ形状の自由度が高い。このため広範囲にわたって用いることが可能であり、冷却対象空間における冷却面の形態係数を大きく取ることができる。これによって、住宅等の建物の外回りに、体感温度が周辺環境よりも低くなるクールスポット(涼しい微気候空間)を形成できる。
【0063】
このように外回りに涼しい環境を形成できれば人の外回りでの滞在時間が長くなることが期待され、屋内から屋外に出て過ごす時間が増えることで空調機器の稼働時間を短縮し、結果的に、省エネルギーや地球温暖化対策に貢献することが可能となる。また、外構部材1の表面は、前記塗材層3と、前記多孔質材層4と、親水性部8と、を備えてなるものであるため、該外構部材1は、新規に製造した部材に限られるものではなく、既存の部材にも適用することが可能となる。つまり、既存の外構部材1であっても、この既存の外構部材1の表面に対して塗材層3と多孔質材層4と親水性部8を備えさせ、この多孔質材層4に水を含ませることで容易に冷却効果を得ることができる。
【0064】
さらに、前記多孔質材層4は、前記塗材層3の表面に吸水性を有する多孔質材9が配設されているので、前記多孔質材層4に水を供給すれば、毛細管現象により水の拡散性を向上することができる。これによって、前記多孔質材層4を少量の水で効率良く濡らすことができるので、水の節約や省エネルギーに貢献できる。
【0065】
また、このように水の拡散性が高いので、例えば前記外構部材1の前記多孔質材層4を鉛直面に配置した場合でも所謂“水みち”が出来にくい。“水みち”ができると、蒸発冷却面が限定的になり、冷却効果が低下することに加え、雨染みのように部分的に色が変わってしまうため、前記多孔質材層4の水の拡散性が高ければ、このような部分的な変色を防ぎ、景観性の低下を防ぐことができる。
【0066】
また、前記塗材層3は、前記基材2と前記多孔質材層4との間に介在し、親水性を有するので、例えば前記基材2が疎水性であったとしても、前記多孔質材層4に水を供給することができ、冷却効果を発揮させることができる。また、外構部材1の表面性状を変えるだけで保水性を向上できるので、前記基材2自体の構造強度や耐久性は維持されると共に、前記多孔質材層4だけに水が含まれるので、凍結融解による前記基材2の破損を防ぐことができる。
【0067】
また、前記基材2として、外構用の建材として市場に流通しているもの、既存の製品の全てを採用することができるので、前記外構部材1の技術は、場所や用途を選ばず、多様な面に展開することができる。このため、前記外構部材1の技術を様々な場所や用途に適用すれば、冷却面積を広く取ることもできる。これにより、人が滞在する空間において冷却面の形態係数を高めることができるため、人の体感温度(作用温度)を下げることができる。なお、本実施の形態における冷却面もしくは蒸発冷却面とは、前記外構部材1のうち、前記多孔質材層4が露出する部分を指すものとし、前記多孔質材層4が設けられない部分、前記多孔質材層4が隠れる部分等は該当しないものとする。
【0068】
次に、以上のような外構部材1を用いて構成される外構構造物10について説明する。本実施の形態の外構構造物10は、
図2〜
図4に示すように、外構部材1を複数並列してなるル一バーである。このルーバーであるところの外構構造物10は、前記複数の外構部材1・・・と、互いに間隔をあけて配置される複数の支柱11、11と、複数のブラケット16、16と、天板17と、水の供給手段18と、を備える。なお、前記ルーバーであるところの外構構造物10は、住宅等の建物のテラスTに設けられている。また、建物の前記テラスTに面する外壁には、出入り用の窓が設けられている。
【0069】
前記複数の外構部材1・・・は、前記複数の支柱11、11間にわたって長尺に形成されており、その他の構成は、上述した
図1の外構部材1と同様の設定となっている。また、これら複数の外構部材1・・・は、前記複数の支柱11、11間に横方向に、かつ水平に架設されるとともに、上下方向に互いに間隔をあけて並列配置される。すなわち、上下方向に隣り合う前記外構部材1、1間には隙間Sが形成されることになる。なお、前記複数の外構部材1・・・、同一の向き、同一の角度、横方向の位置も同一となるように前記複数の支柱11、11に架設されている。また、前記複数の外構部材1・・・は、前記複数の支柱11、11の側面のうち、前記テラスT中央側の側面に固定されている。
【0070】
また、前記外構部材1は、前記複数の支柱11、11間に架設された状態において、上面部5と、側面部6,6aと、下面部7と、を有する。前記外構部材1は、断面形状が平行四辺形状に形成されているため、前記上面部5と前記下面部7は互いに平行して配置されており、前記側面部6、6aは斜めに、かつ互いに平行に配置されている。また、前記側面部6,6aのうち、一方の側面部6は前記テラスT中央側に配置されており、他方の側面部6aは前記支柱11側に配置されている。また、前記外構部材1の長さ方向両端部の開口部には、図示しないキャップが設けられており、該開口部は閉塞されている。
【0071】
また、前記複数の支柱11、11は、前記テラスTの周縁部に、互いに間隔をあけて配置されている。より詳細には、前記テラスTの一辺側に前記支柱11が互いに間隔をあけて三本立設されており、前記一辺側に直交する他辺側には、互いに間隔をあけて立設された一対の前記支柱11、11が二組、合計四本設けられている。また、前記支柱11は、支柱本体12と、補強芯材13と、ベースプレート14と、ベースコンクリート15と、を有する。
【0072】
前記支柱本体12は、前記テラスTの床よりも上方に突出するとともに、前記複数の外構部材1・・・が固定される部分である。また、この支柱本体12は、アルミニウム等の金属からなる長尺な押出成形品であり、中空筒状に形成されている。なお、前記支柱本体12の内側面の四隅には、断面略C型に形成されたビス受け部12cが一体形成されている。このビス受け部12cは、前記支柱本体12に対して上方または下方からねじ込まれるビス等を受け、保持することができる。また、前記支柱本体12のうち、前記テラスT中央側の側面と直交する方向に配置された側面の一方には、
図5および
図6に示すように、この支柱本体12の長さ方向に沿って、前記支柱本体12の側方に向かって開口する溝部12aが形成されている。
【0073】
また、前記溝部12aには、この溝部12aの開口部を閉塞するカバー12bが着脱自在とされており、前記カバー12bは、前記溝部12aの開口部を閉塞した状態で前記支柱本体12の側面と面一となるように設定されている。なお、前記溝部12aおよび前記カバー12bは互いに係合する爪部を備える。なお、前記支柱本体12の前記テラスT側の側面は、複雑な凹凸形状とされている(
図5、
図6中の上方に位置する側面)。
【0074】
前記補強芯材13は、帯状の鋼板であり、前記支柱本体12の中空部に挿入されるとともに前記支柱本体12を補強するためのものである。なお、この補強芯材13は、図示はしないが、後述するベースプレート14から、上端部が、後述するベースコンクリート15の上面よりも上方に位置する程度の長さに設定されている。すなわち、前記補強芯材13の上端部が、ベースコンクリート15の上面よりも上方に突出していれば、この補強芯材13による前記支柱本体12の補強効果を高めやすくなる。
【0075】
また、前記補強芯材13には、この補強芯材13の長さ方向に沿って複数のボルト孔(図示せず)が形成されている。また、各ボルト孔には雌ネジが形成されている。前記支柱本体12の前記溝部12aの底部には、前記補強芯材13の複数のボルト孔に対応する位置にボルト挿通孔が形成されている。これによって、前記支柱本体12と前記補強芯材13は、
図5に示すように、ボルト軸の外周面に雄ネジが形成された複数のボルト13a・・・によって連結することができる。また、これら複数のボルト13a・・・は前記カバー12bによって遮蔽することができる。
【0076】
前記ベースプレート14は、前記補強芯材13が一体的に固定されるとともに、テラス基礎K上に載置される鋼製の板状体である。前記ベースプレート14には、前記テラス基礎Kから突出する二本のアンカーボルト14a、14aが挿通されるボルト挿通孔が二つ形成されており、これら二つのボルト挿通孔に挿通された前記アンカーボルト14a、14aのそれぞれには、ナット14b、14bが螺合される。これによって、前記ベースプレート14は前記テラス基礎Kに対して固定されることになる。
【0077】
前記ベースコンクリート15は、前記テラス基礎K上に構築されるコンクリートブロック体であり、前記支柱本体12の下端部、前記補強芯材13、前記ベースプレート14、前記アンカーボルト14a、14aおよび前記ナット14b、14bが埋設されている。また、図示はしないが、前記テラスTの床を構成する根太や床材等の床構成体は、前記ベースコンクリート15上に設置されている。
【0078】
前記複数のブラケット16、16は、
図3および
図4に示すように、前記複数の外構部材1・・・が取り付けられるとともに、これら複数の外構部材1・・・を支持するためのものであり、前記複数の支柱11、11の前記テラスT中央側の側面にそれぞれ固定されている。すなわち、前記複数の外構部材1・・・は、これら複数のブラケット16、16を介して前記複数の支柱11、11間に架設された状態となっている。
【0079】
前記ブラケット16は、厚さの薄い帯状の鋼板であり、前記支柱11の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、該支柱11の長さ方向に凹凸を繰り返す波形状に形成されている。つまり、前記ブラケット16は、鋼板を波形状に折り曲げて形成されている。そして、このブラケット16は、波形状の凹部に該当する平板状体であり、かつ前記支柱11に当接する複数の当接部16a・・・と、波形状の凸部に該当し、かつ前記外構部材1が取り付けられる複数の支持部16b・・・と、を有する。
【0080】
前記複数の当接部16a・・・のうち、少なくとも複数の当接部16a・・・は、前記支柱11に対してビス固定されている。本実施の形態においては、一つ置きにビス固定されているが、前記ブラケット16の取付強度を考慮し、最も上方に位置する当接部16aと、最も下方に位置する当接部16aは前記支柱11にビス固定されているものとする。
【0081】
前記複数の支持部16b・・・は、上方の前記当接部16aと下方の前記当接部16aとの間に設けられるとともに、側面視において略三角形状に形成されており、上側の傾斜面16cと、下側の傾斜面16dと、を備える。前記外構部材1、前記他方の側面部6aが前記下側の傾斜面16dに当接されており、これら他方の側面部6aと下側の傾斜面16dはリベット16eによって連結固定されている。なお、これら他方の側面部6aと下側の傾斜面16dのそれぞれには、前記リベット16eを挿通させるリベット孔が形成されているものとする。
【0082】
また、前記下側の傾斜面16dは、前記上側の傾斜面16cよりも長尺に形成されており、略三角形状の前記支持部16dの頂点が若干上方にずれた状態になっている。そして、前記下側の傾斜面16dの角度は、前記他の側面部6aに対応する角度に設定されている。
【0083】
以上のような複数のブラケット16、16に架設される複数の外構部材1・・・は、前記上面部5が、前記複数の支柱11、11の高さ方向に対して一定の角度で傾斜した状態となっている。より詳細には、前記上面部5は、前記支柱11側から前記テラスT中央側にかけて下がるように傾斜しており、本実施の形態においては、その傾斜角が2度に設定されている。
【0084】
つまり、前記複数の外構部材1・・・の全てが、同一の角度で傾斜するようにして前記複数のブラケット16、16に取り付けられている。また、前記各下側の傾斜面16d・・・は、前記上面部5を一定の角度に傾斜できる角度に設定されている。したがって、前記上面部5上の水を、傾斜方向上端部から下端部に向かって流すことができ、さらに、下方へと滴下させることができる。つまり、前記複数の外構部材1・・・に対して水を供給する際は、最も上方に位置する前記外構部材1に対して水を供給すれば、水を下方への滴下させることができる。そして、下方に滴下された水が、下方の前記外構部材1に当たれば、この下方の外構部材1に対しても水を供給でき、これによって、下方の前記複数の外構部材1・・・に対して順々に水を供給できることになるので、前記複数の外構部材1・・・に対して効率良く水を含ませることができる。
【0085】
さらに、前記複数のブラケット16、16に架設される複数の外構部材1・・・は、前記側面部6が、前記上面部5の傾斜方向下端部から斜め下方に折り返されたような状態となっている。つまり、前記側面部6は、前記上面部5の傾斜方向下端部から前記支柱11側に折り返されて、側面視においてオーバーハングした状態となっている。したがって、前記上面部5を流れる水を前記側面部6に伝わせて下方に流し、該側面部6の下端部から滴下させることができる。これによって、前記上方の外構部材1の前記上面部5を流れる水を、より確実に前記下方の外構部材1の前記上面部5へと滴下させることができる。すなわち、前記上方の外構部材1の前記側面部6の下端部は、前記下方の外構部材1の前記上面部5のうち、より支柱11側に寄せられた状態となっている。
【0086】
前記天板17は、
図3および
図4に示すように、前記複数の支柱11、11の上端部に取り付けられるとともに、前記複数の外構部材1・・・のうち最も上方に位置する外構部材1の上方に配置されている。また、この天板17は、前記複数の外構部材1・・・と同様に、前記複数の支柱11、11の前記テラスT側の側面から前記テラスT中央側に突出している。つまり、前記天板17は、前記複数の支柱11、11の上端部間に架設された状態となっており、前記ルーバーであるところの外構構造物10にとって屋根のような機能を発揮することができる。
【0087】
また、前記天板17は、前記各外構部材1・・・の前記上面部5と略等しい角度で傾斜しており、傾斜方向下端部には、前記各外構部材1・・・の前記側面部6と略等しい角度で傾斜する折返し部17aが一体形成されている。
【0088】
また、前記天板17は、後述する給水源18aをメンテナンスする際に取り外しができるよう、ビスによって着脱可能となっている。すなわち、前記天板17は、前記複数の支柱11、11の上端面に対してビス固定されている。この天板17を固定するビスは、前記支柱11の前記ビス受け部12cに対してねじ込まれている。なお、前記天板17は上述のように、前記各外構部材1・・・の前記上面部5と略等しい角度で傾斜しているので、前記複数の支柱11、11の上端面も、前記各外構部材1・・・の前記上面部5と略等しい角度で傾斜している。さらに、中空筒状体である前記支柱11の長さ方向両端部は開口しているが、前記天板17によって、この支柱11の上端部の開口部を閉塞することができる。
【0089】
以上のような天板17によれば、前記天板17の下方に位置する前記最も上方に位置する外構部材1が、雨や日射を直接受けにくくなる。これによって、天候等による前記複数の外構部材1・・・の劣化を抑制することが可能となる。また、前記天板17は、前記各外構部材1・・・の前記上面部5と略等しい角度で傾斜しており、傾斜方向下端部には、前記各外構部材1・・・の前記側面部6と略等しい角度で傾斜する折返し部17aが一体形成されているので、前記天板17上の水を、傾斜方向上端部から下端部に向かって流すことができる。さらに、前記天板17上からの水を前記折返し部17aに伝わせて下方に流し、該折返し部17aの下端部から前記最も上方に位置する外構部材1に滴下させることができる。したがって、例えば夏場の雨天時等においては、前記天板17によって前記複数の外構部材1・・・の劣化を抑制しつつ、雨水による水の供給によって前記複数の外構部材1・・・に対して十分に水を含ませることができる。
【0090】
また、前記天板17の下方には、この天板17から間隔をあけて、かつ前記折返し部17aの下端部と略等しい高さ位置に、前記複数の支柱11、11間に架設固定される支持プレート17bが設けられている。前記支持プレート17bは側面視において略L字型に形成されており、鉛直面部が前記複数の支柱11、11に当接されるとともにビス固定されており、水平面部が前記複数の支柱11、11から前記テラスT中央側に向かって突出している。そして、この支持プレート17bと前記天板17と前記折返し部17aとで囲まれる空間が、後述する給水管の支管18cが収納される収納部17cとされている。つまり、前記天板17の直下に収納部17cが設けられた状態となっている。
【0091】
また、前記収納部17cは、下方に向かって開口する開口部17dを備える。この開口部17dは、前記折返し部17aの下端部と、前記支持プレート17bの突出方向側端部との間に形成される隙間を指している。また、前記支持プレート17bの水平面部は、例えばパンチングメタル等のように、該水平面部を厚さ方向に貫通する複数の孔を備えた構成としてもよい。
【0092】
前記供給手段18は、
図2〜
図4、
図6に示すように、前記複数の外構部材1・・・に対して水を供給するためのものであり、給水源18aと、この給水源18aから供給される水を通す給水管と、を有する。
【0093】
前記給水源18aは、前記給水管が接続される散水栓を収納した散水栓ボックスを指しており、この散水栓ボックスは前記テラスTの床の下方に設置されている。なお、前記散水栓ボックス内には前記散水栓の他に、この散水栓の開閉を制御する制御装置が収納されているものとする。このような制御装置によれば、前記散水栓の開閉をタイマー制御したり、温湿度等の周囲の環境に基づいて制御したりすることができる。
【0094】
前記給水管は、前記給水源18aに接続されるとともに前記テラスTの床下に配管される本管18bと、この本管18bから分かれ、前記複数の外構部材1・・・のうち最も上方に位置する外構部材1よりも上方に配管される複数の支管18c、18cと、を有する。
【0095】
前記支管18cは樹脂製のチューブであり、弾力性を有する。そして、前記複数の支管18c、18cは、
図6に示すように、前記支柱本体12の前記溝部12aに収納されて、前記支柱11に沿って上方に向かって配管されている。また、前記支柱本体12の上端部もしくは前記カバー12bには前記支管18cを挿通できる挿通孔(図示せず)が形成されており、前記複数の支管18c、18cは、この挿通孔を通って、前記溝部12aから前記天板17直下の収納部17c内へと配管されている。
【0096】
さらに、前記支管18cのうち、前記収納部17cに収納される部分には複数の孔が形成されており、これら複数の孔から水を排出できるように構成されている。
【0097】
なお、図示はしないが、前記支管18cを、前記溝部12a内において前記ボルト13aが設けられた部分を通過させる際には、前記溝部12aと前記ボルト13aとの隙間の形状に合わせて弾性変形させることによって、前記ボルト13aの近傍を通過させるようにしてもよい。
【0098】
以上のような供給手段18および前記天板17によれば、前記複数の外構部材1・・・に容易かつ確実に水を含ませることができる。さらに、前記天板17の直下に設けられた前記収納部17cに前記支管18cを収納した状態で、前記開口部17dから確実に水を滴下させることができる。つまり、前記支管18cによって前記複数の外構部材1・・・に対して確実に水を供給しつつ、前記支管18cによって周囲の景観性が損なわれることを防ぐことができる。
【0099】
次に、前記供給手段18から供給される水が、前記複数の外構部材1・・・に至るまでの流れ(過程)について説明する
【0100】
前記給水源18aから供給された水は、
図2〜
図4、
図6に示すように、前記本管18b内を流れるとともに前記複数の支管18c、18cへと分かれて流れ、前記支柱11に沿って上方へと昇っていく。前記支柱11の上端部まで到達した水は、前記収納部17c内に収納された支管18cを通過するとともに前記複数の孔から水を排出する。
【0101】
前記複数の孔から排出された水は、前記開口部17d(および前記支持プレート17bの複数の孔)から下方へと落ち、前記複数の外構部材1・・・のうち最も上方に位置する外構部材1の前記上面部5へと落ちる。
【0102】
前記最も上方に位置する外構部材1の前記上面部5に落ちた水は、前記多孔質材層4の全体に拡散し、この多孔質材層4に十分に保水されることになる。前記支管18cから順次供給される水は、前記最も上方に位置する外構部材1前記多孔質材層4の最大含水量よりも多く供給されるため、前記上面部5から前記側面部6へと伝わり、さらに下方へと流れていく。なお、前記外構部材1の下面部7の多孔質材層4にも水が含まれるが、この下面部7も前記上面部5と同じ傾斜角度に設定されているため、前記多孔質材層4の最大含水量よりも多く供給された分の水は、前記側面部6の下方に向かって流れるように設定されている。
【0103】
前記側面部6の下端部へと到達した水は、前記最も上方に位置する外構部材1から下方の前記外構部材1へと滴下される。以降、水は同じ経路を辿って前記複数の外構部材1・・・を順々に落ちていき、前記複数の外構部材1・・・のうち最も下方に位置する外構部材1へと到達する。そして、前記最も下方の外構部材1の前記側面部6の下端部に到達した水は、前記最も下方の外構部材1の下方に設けられる植栽帯に滴下されて浸透し、さらにその下方の排水ドレインより外部に排水される。ただし、供給水量は、予め設定した散水栓の開閉タイマーにより、必要最少量となるように調節しておく。
【0104】
以上のようにして、前記複数の外構部材1・・・に水を含ませることができる。そして、以上のような本実施の形態のルーバーであるところの外構構造物10によれば、該外構構造物10の周囲の空気を全体的に冷却できるだけでなく、前記複数の外構部材1、1間の隙間Sを通過する空気を冷却することができる。
【0105】
また、前記複数の外構部材1・・・は、上下方向に互いに間隔をあけて並列配置されることにより、例えば前記複数の外構部材1・・・が間隔をあけずに並列配置された場合に比して、空気に接触する面を増やすことができるので、空気の冷却効果を高めることができる。そして、このようなルーバーであるところの外構構造物10を、建物の窓等の開口部前方や開口部周囲に配置すれば、外部からの視線を遮蔽しつつ、建物内に冷却された外気と採光とを同時に導入することができる。これによって、建物内の居住環境の快適性を向上することが可能となる。
【0106】
なお、本実施の形態においては外構構造物として前記ルーバーであるところの外構構造物10を採用したが、これに限られるものではなく、フェンスや門扉、柵、手摺、縦型ルーバー、垣根、塀、車庫、ガレージ、土間、アプローチ、アクセントウォール、パーゴラ、デッキ、舗装材、各種柱、物置等、その他の外構構造物でもよいことは言うまでもない。
【0107】
また、本実施の形態においては外構部材1として断面形状が平行四辺形に形成されたものを採用したが、これに限られるものではない。例えば
図7に示すように、断面形状が台形状に形成された基材2Aを備える外構部材1Aを採用してもよいし、その他の形状の外構部材を採用してもよい。なお、前記外構部材1Aによってルーバー10Aを構成する際には、この外構部材1Aの形状に対応した複数のブラケット160、160が用いられることになる。このようなブラケット160も、前記支柱11に当接固定される当接部160aと、前記外構部材1Aがリベット160cによって取り付けられる支持部160bとを有しているが、この支持部160bは、前記外構部材1Aの形状に合わせて鉛直面とされている。