(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱伝導膜は、前記基板の厚さ方向視において、前記発熱抵抗体よりも、前記基板の短手方向における端部寄りに形成された部位を有する、請求項1または請求項2に記載のヒータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、基板が割れることを防止できるヒータを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によると、長手状の基板と、前記基板に形成された発熱抵抗体と、前記基板に形成され、前記発熱抵抗体に接する抵抗体用電極と、熱伝導膜と、を備え、前記基板は、発熱区間と、非発熱区間とを含み、前記発熱区間は、前記基板の長手方向において、前記発熱抵抗体および前記抵抗体用電極のうち、前記発熱抵抗体のみに重なる区間であり、前記非発熱区間は、前記発熱区間とは異なり、且つ、前記基板の長手方向において、前記発熱区間に隣接している区間であり、前記熱伝導膜は、前記基板にて、前記発熱区間から前記非発熱区間にわたって、形成されている、ヒータが提供される。
【0006】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記基板における、前記基板の短手方向の端部に形成されている。
【0007】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記基板の厚さ方向視において、前記発熱抵抗体よりも、前記基板の短手方向における端部寄りに形成された部位を有する。
【0008】
好ましくは、前記基板は、基板主面と、基板裏面と、第1基板側面と、第2基板側面と、を有し、前記基板主面および前記基板裏面は、前記基板の厚さ方向において、互いに反対側に位置しており、前記第1基板側面および前記第2基板側面は、前記基板の短手方向において、互いに反対側に位置しており、前記基板主面側に、前記発熱抵抗体および前記抵抗体用電極が形成されている。
【0009】
好ましくは、前記第1基板側面および前記基板裏面には、複数の切欠きが形成されており、前記複数の切欠きは各々、前記基板の厚さ方向に直交する平面による断面形状が、半円形状であり、且つ、前記基板裏面から前記基板主面に向かうにつれて、前記半円の直径が徐々に小さくなる。
【0010】
好ましくは、前記複数の切欠きは各々、半円錐状である。
【0011】
好ましくは、前記基板裏面における、前記切欠きを構成する前記半円の直径は、40〜70μmである。
【0012】
好ましくは、前記複数の切欠きは、レーザによって形成されたものである。
【0013】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記基板裏面に形成された裏面部を含む。
【0014】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記第1基板側面に形成された第1側面部と、前記第2基板側面に形成された第2側面部と、を含む。
【0015】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記基板主面に形成された主面部を含む。
【0016】
好ましくは、前記主面部と、前記発熱抵抗体と、前記抵抗体用電極と、は、前記基板主面に接する。
【0017】
好ましくは、前記主面部は、前記基板主面に接しており、前記主面部は、前記基板の厚さ方向視において、前記発熱抵抗体に重なる部分を有する。
【0018】
好ましくは、前記主面部および前記発熱抵抗体の間に介在する絶縁層を更に備える。
【0019】
好ましくは、前記熱伝導膜のうち、前記非発熱区間に形成された部分の、前記基板の長手方向における寸法は、5mm以上である。
【0020】
好ましくは、前記熱伝導膜のうち、前記発熱区間に形成された部分の、前記基板の長手方向における寸法は、5mm以上である。
【0021】
好ましくは、前記裏面部の、前記基板の短手方向における寸法は、前記基板の前記短手方向の寸法の半分以上である。
【0022】
好ましくは、前記裏面部は、互いに離間した複数の裏面要素を含み、前記複数の裏面要素はいずれも、前記発熱区間から前記非発熱区間にわたって、形成されている。
【0023】
好ましくは、前記主面部は、互いに離間した複数の主面要素を含み、前記複数の主面要素はいずれも、前記発熱区間から前記非発熱区間にわたって、形成されている。
【0024】
好ましくは、前記熱伝導膜は、前記基板を構成する材料の熱伝導率よりも大きい熱伝導率の材料よりなる。
【0025】
好ましくは、前記熱伝導膜は、金属よりなる。
【0026】
好ましくは、前記金属は、Ag、AgPt、Au、あるいは、Cuである。
【0027】
好ましくは、前記熱伝導膜の厚さは、10〜20μmである。
【0028】
好ましくは、前記発熱抵抗体は、各々が前記基板の長手方向に沿って延びる第1長状部および第2長状部を含み、前記第1長状部および前記第2長状部は、前記基板の短手方向に離間している。
【0029】
好ましくは、前記第1長状部は、前記基板の短手方向のうちの一方である第1短手方向側に位置しており、前記基板の短手方向の寸法に対する、前記第1長状部と前記第1短手方向における前記基板の端縁との離間寸法の比は、0.054〜0.109であり、前記第2長状部は、前記基板の短手方向のうちの他方である第2短手方向側に位置しており、前記基板の短手方向の寸法に対する、前記第2長状部と前記第2短手方向における前記基板の端縁との離間寸法の比は、0.054〜0.109である。
【0030】
好ましくは、前記基板の厚さは、0.5〜1.0mmである。
【0031】
好ましくは、前記第1長状部は、前記基板の短手方向のうちの一方である第1短手方向側に位置しており、前記第1長状部と、前記第1短手方向における前記基板の端縁と、の離間寸法は、0.5〜1.0mmであり、前記第2長状部は、前記基板の短手方向のうちの他方である第2短手方向側に位置しており、前記第2長状部と、前記第2短手方向における前記基板の端縁と、の離間寸法は、0.5〜1.0mmである。
【0032】
好ましくは、前記第1長状部は、第1幅広部および第1幅狭部を有し、前記第1幅広部の前記短手方向における寸法は、前記第1幅狭部の前記短手方向の寸法よりも大きく、前記第1幅広部は、前記第1幅狭部と、前記抵抗体用電極と、の間に位置している。
【0033】
好ましくは、前記第2長状部は、第2幅広部および第2幅狭部を有し、前記第2幅広部の前記短手方向における寸法は、前記第2幅狭部の前記短手方向の寸法よりも大きく、前記第2幅広部は、前記第2幅狭部と、前記抵抗体用電極と、の間に位置している。
【0034】
好ましくは、前記発熱抵抗体を覆う保護層を更に備える。
【0035】
好ましくは、前記保護層は、前記第1長状部と、前記第2長状部と、前記抵抗体用電極と、を覆う。
【0036】
好ましくは、前記抵抗体用電極は、第1抵抗体用パッドおよび第2抵抗体用パッドを有し、前記第1抵抗体用パッドおよび前記第2抵抗体用パッドは、前記保護層から露出している。
【0037】
好ましくは、前記抵抗体用電極は、第1抵抗体用連絡部および第2抵抗体用連絡部を有し、前記第1抵抗体用連絡部は、前記第1抵抗体用パッドにつながり、且つ、前記第1長状部に接しており、前記第2抵抗体用連絡部は、前記第2抵抗体用パッドにつながり、且つ、前記第2長状部に接しており、前記第1抵抗体用連絡部および前記第2抵抗体用連絡部は、前記保護層に覆われている。
【0038】
好ましくは、前記発熱抵抗体は、AgPd、ニクロム、あるいは、酸化ルテニウムよりなる。
【0039】
好ましくは、前記基板は、セラミックよりなる。
【0040】
好ましくは、前記セラミックは、アルミナ、ジルコニア、あるいは、窒化アルミニウムである。
【0041】
好ましくは、前記基板の厚さは、0.4〜1.1mmである。
【0042】
好ましくは、前記基板の厚さは、0.4〜0.6mmである。
【0043】
好ましくは、前記保護層は、ガラスよりなる。
【0044】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<第1実施形態>
図1〜
図12を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0047】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる装置の断面図である。
【0048】
同図に示す装置800は、たとえばOA機器(たとえば電子複写機、ファクシミリ、プリンタ)のトナー定着等に用いられる。装置800は、ヒータ100と、プラテンローラ801と、サーミスタ861と、を備える。
【0049】
ヒータ100は、プラテンローラ801に対向しており、被加熱媒体Dcに転写されたトナーを、被加熱媒体Dcに熱定着させるために用いられる。
【0050】
図2は、本発明の第1実施形態にかかるヒータの平面図(一部透視化)である。
図3は、
図2から保護層を省略した図である。
図4は、
図2に示したヒータの部分拡大断面図である。
図5は、
図2に示したヒータの裏面図である。
図6は、
図2のVI−VI線に沿う断面図である。
図7は、
図2のVII−VII線に沿う断面図である。
【0051】
ヒータ100は、基板1と、発熱抵抗体2と、熱伝導膜3と、抵抗体用電極5と、保護層7と、を備える。
【0052】
図1〜
図7に示す基板1は長板状である。基板1の長手方向を長手方向Xとしており、基板1の短手方向を短手方向Yとしており、基板1の厚さ方向を厚さ方向Zとしている。
【0053】
本実施形態では、基板1は絶縁性の材料よりなる。本実施形態では、基板1を構成する絶縁性の材料はセラミックである。このようなセラミックとしては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、および、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0054】
好ましくは、基板1の厚さは、たとえば、0.4〜1.1mmである。更に好ましくは、基板1の厚さは、たとえば、0.4〜0.6mmである。基板1が熱伝導率が小さい材料(たとえばアルミナ)よりなる場合には、基板1の厚さは薄い方が好ましい。
【0055】
基板1は、基板主面11と、基板裏面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、を有する。基板主面11と、基板裏面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、はいずれも平坦である。
【0056】
図6に示すように、基板主面11および基板裏面12は、厚さ方向Zにおいて互いに反対側に位置しており、且つ、互いに反対側を向いている。基板主面11は、厚さ方向Zの一方を向いている。一方、基板裏面12は、厚さ方向Zの他方を向いている。基板主面11および基板裏面12はいずれも、長矩形状である。
【0057】
図2、
図6、
図7等に示す、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、はいずれも、基板1の厚さ方向Zに交差する方向を向いている。第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、はいずれも、基板主面11および基板裏面12につながっている。第1基板側面13および第2基板側面14は、各々が長手状に延びており、基板1の短手方向Yにおいて互いに反対側に位置している。第1基板側面13は、基板1の短手方向Yの一端に位置している。第2基板側面14は、基板1の短手方向Yの他端に位置している。第1基板端面15および第2基板端面16は、基板1の長手方向Xにおいて互いに反対側に位置している。第1基板端面15は、基板1の長手方向Xの一端に位置している。第2基板端面16は、基板1の長手方向Xの他端に位置している。
【0058】
図6〜
図11に示すように、本実施形態では、基板1には、複数の切欠きが形成されている。具体的には次のとおりである。
【0059】
図6、
図8に示すように、基板裏面12および第1基板側面13には、複数の切欠き131が形成されている。複数の切欠き131は、基板裏面12および第1基板側面13から凹む形状である。複数の切欠き131は、長手方向Xに沿って配列されている。複数の切欠き131は各々、厚さ方向Zに直交する平面による断面形状が、半円形状であり、且つ、基板裏面12から基板主面11に向かうにつれて、当該半円の直径が徐々に小さくなる。すなわち、複数の切欠き131は各々、半円錐状である。基板裏面12における、切欠き131を構成する半円の直径R3(
図8参照)に、は、たとえば、40〜70μmである。
【0060】
図6、
図9に示すように、基板裏面12および第2基板側面14には、複数の切欠き141が形成されている。複数の切欠き141は、基板裏面12および第2基板側面14から凹む形状である。複数の切欠き141は、長手方向Xに沿って配列されている。複数の切欠き141は各々、厚さ方向Zに直交する平面による断面形状が、半円形状であり、且つ、基板裏面12から基板主面11に向かうにつれて、当該半円の直径が徐々に小さくなる。すなわち、複数の切欠き141は各々、半円錐状である。基板裏面12における、切欠き141を構成する半円の直径R4(
図9参照)は、たとえば、40〜70μmである。
【0061】
図7、
図10に示すように、基板裏面12および第1基板端面15には、複数の切欠き151が形成されている。複数の切欠き151は、基板裏面12および第1基板端面15から凹む形状である。複数の切欠き151は、短手方向Yに沿って配列されている。複数の切欠き151は各々、厚さ方向Zに直交する平面による断面形状が、半円形状であり、且つ、基板裏面12から基板主面11に向かうにつれて、当該半円の直径が徐々に小さくなる。すなわち、複数の切欠き151は各々、半円錐状である。基板裏面12における、切欠き151を構成する半円の直径R5(
図10参照)は、たとえば、40〜70μmである。
【0062】
図7、
図11に示すように、基板裏面12および第2基板端面16には、複数の切欠き161が形成されている。複数の切欠き161は、基板裏面12および第2基板端面16から凹む形状である。複数の切欠き161は、短手方向Yに沿って配列されている。複数の切欠き161は各々、厚さ方向Zに直交する平面による断面形状が、半円形状であり、且つ、基板裏面12から基板主面11に向かうにつれて、当該半円の直径が徐々に小さくなる。すなわち、複数の切欠き161は各々、半円錐状である。基板裏面12における、切欠き161を構成する半円の直径R6(
図11参照)は、たとえば、40〜70μmである。
【0063】
第1基板側面13や第2基板側面14や第1基板端面15や第2基板端面16に、切欠き(切欠き131,141,151,161)が形成されるのは、基板1を切断する際にレーザ(YAGレーザ)を用いるためである。基板1を切断する際に、基板裏面12側からレーザ光を照射して、レーザスリットを形成する。このスリットが、基板1において切欠きとして残る。なお、本実施形態にて用いるレーザのレーザ径は非常に小さい。そのため、上述のように直径R3〜R6は40〜70μmと非常に小さい。
【0064】
なお、本実施形態とは異なり、基板1を切断する際にレーザを用いない場合等には、第1基板側面13や第2基板側面14や第1基板端面15や第2基板端面16に切欠きが形成されていなくてもよい。
【0065】
図2、
図3に示すように、基板1は、発熱区間Z21および非発熱区間Z22を含む。発熱区間Z21および非発熱区間Z22については後述する。
【0066】
図1〜
図6に示す発熱抵抗体2は基板1に形成されている。発熱抵抗体2は基板1に接している。なお、本願において「ある物体が他の物体に形成されている」とは、「ある物体が他の物体に接している」ことに加え、「ある物体が他の物体に接していない場合」を含む。発熱抵抗体2は、電流が流れることにより熱を発する。発熱抵抗体2は抵抗体材料よりなる。発熱抵抗体2を構成する抵抗体材料としては、たとえば、AgPdが挙げられる。他に発熱抵抗体2を構成する抵抗体材料としては、たとえば、ニクロムや酸化ルテニウムが挙げられる。発熱抵抗体2の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、5〜15μmである。発熱抵抗体2は、たとえば、印刷によって形成される。発熱抵抗体2は、基板1のうち基板主面11側に形成されている。本実施形態においては、発熱抵抗体2は基板主面11に接している。
【0067】
図2、
図3、
図6に示すように、発熱抵抗体2は、第1長状部21および第2長状部22を有する。
【0068】
第1長状部21は、基板1の長手方向Xに沿って長手状に延びている。第1長状部21は、基板1のうち、短手方向Yの一端側(
図3では下側)に形成されている。第1長状部21は、基板1の長手方向Xの一端から他端にわたって形成されている。第1長状部21の長さは、基板1の長手方向Xの寸法の50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。第1長状部21は基板1に接しており、本実施形態では基板主面11に接している。
【0069】
第2長状部22は、基板1の長手方向Xに沿って長手状に延びている。第2長状部22は、基板1のうち、短手方向Yの他端側(
図3では上側)に形成されている。第2長状部22は、基板1の長手方向Xの一端から他端にわたって形成されている。第2長状部22の長さは、基板1の長手方向Xの寸法の50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。第2長状部22は基板1に接しており、本実施形態では基板主面11に接している。第2長状部22および第1長状部21は、基板1の短手方向Yに互いに離間している。第2長状部22および第1長状部21は互いに平行である。
【0070】
図2、
図3等に示す抵抗体用電極5は基板1に形成されている。抵抗体用電極5は基板1に接している。抵抗体用電極5は、ヒータ100外からの電力を発熱抵抗体2に供給するためのものである。抵抗体用電極5は導電材料よりなる。抵抗体用電極5を構成する導電材料としては、たとえば、Agが挙げられる。抵抗体用電極5の厚さ(厚さ方向Zにおける寸法)は、たとえば、5〜15μmである。抵抗体用電極5は、たとえば、印刷によって形成される。本実施形態においては、抵抗体用電極5は、基板1のうち基板主面11側に形成されている。抵抗体用電極5は基板主面11に接している。
図4に示すように、抵抗体用電極5の一部は、発熱抵抗体2の一部と重なっており、且つ、接している。本実施形態では、発熱抵抗体2と基板1との間に抵抗体用電極5の一部が介在している。本実施形態とは異なり、抵抗体用電極5と基板1との間に発熱抵抗体2の一部が介在していてもよい。
【0071】
図2、
図3に示すように、抵抗体用電極5は、第1抵抗体用パッド511と、第1抵抗体用連絡部512と、第2抵抗体用パッド516と、第2抵抗体用連絡部517と、を含む。
【0072】
第1抵抗体用パッド511は矩形状の部分である。第1抵抗体用パッド511には、ヒータ100外からの電力が供給される。第1抵抗体用連絡部512は第1抵抗体用パッド511につながっている。第1抵抗体用連絡部512は、発熱抵抗体2の一部と重なっており、且つ、発熱抵抗体2に接している。より具体的には、第1抵抗体用連絡部512は、発熱抵抗体2における第1長状部21に重なっており、且つ、発熱抵抗体2における第1長状部21に接している。第1抵抗体用連絡部512は、基板1の長手方向Xに沿って延びる帯状である。
【0073】
第2抵抗体用パッド516は矩形状の部分である。第2抵抗体用パッド516には、ヒータ100外からの電力が供給される。第2抵抗体用連絡部517は第2抵抗体用パッド516につながっている。第2抵抗体用連絡部517は、発熱抵抗体2の一部と重なっており、且つ、発熱抵抗体2に接している。より具体的には、第2抵抗体用連絡部517は、発熱抵抗体2における第2長状部22に重なっており、且つ、発熱抵抗体2における第2長状部22に接している。第2抵抗体用連絡部517は、基板1の長手方向Xに沿って延びる帯状である。第2抵抗体用連絡部517は、第2抵抗体用パッド516に対して基板1の短手方向Yに離間して形成されている。
【0074】
なお、ヒータ100には、第1長状部21および第2長状部22を連結する連結部59が形成されている。連結部59は、基板1の短手方向Yに沿って延びている。連結部59は、第1長状部21の端部と第2長状部22の端部とを連結している。連結部59は、第1長状部21および第2長状部22いずれにも接する。連結部59は、発熱抵抗体2に対して、第1抵抗体用パッド511とは反対側に、形成されている。
【0075】
上述のように、基板1は、発熱区間Z21および非発熱区間Z22を含む(
図2〜
図5等参照)。
【0076】
発熱区間Z21は、基板1の長手方向Xにおいて、発熱抵抗体2および抵抗体用電極5のうち、発熱抵抗体2のみに重なる区間である。本実施形態では、
図4に示すように、第1抵抗体用連絡部512の端部が、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界に一致する。同様に、第2抵抗体用連絡部517の端部が、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界に一致する。
【0077】
非発熱区間Z22は、発熱区間Z21とは異なる区間である。非発熱区間Z22は、長手方向Xにおいて発熱区間Z21に隣接している。本実施形態では、非発熱区間Z22には、第1抵抗体用パッド511と、第1抵抗体用連絡部512と、第2抵抗体用パッド516と、第2抵抗体用連絡部517と、が位置している。
【0078】
図5に示すように、熱伝導膜3は、基板1に形成されている。具体的には、熱伝導膜3は、基板1にて、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。本実施形態においては、熱伝導膜3は、基板1における、基板1の短手方向Yの端部に形成されている。
図6に示すように、熱伝導膜3は、基板1の厚さ方向Z視において、発熱抵抗体2よりも、基板1の短手方向Yにおける端部寄りに形成された部位を有する。熱伝導膜3のうち、発熱区間Z21に形成された部分の、長手方向Xにおける寸法L11(
図5参照)は、5mm以上であることが好ましい。同様に、熱伝導膜3のうち、非発熱区間Z22に形成された部分の、長手方向Xにおける寸法L12(
図5参照)は、5mm以上であることが好ましい。
【0079】
熱伝導膜3は、基板1を構成する材料の熱伝導率よりも大きい熱伝導率の材料よりなる。本実施形態では、熱伝導膜3は金属よりなる。熱伝導膜3を構成する金属は、たとえば、Ag、AgPt、Au、あるいは、Cuである。熱伝導膜3の厚さは、たとえば、10〜20μmである。
【0080】
本実施形態では、熱伝導膜3は、裏面部32を有する。
【0081】
裏面部32は、基板1の基板裏面12に形成されている。本実施形態では、裏面部32は、基板1の基板裏面12に接している。本実施形態では、裏面部32は、複数の裏面要素322を有する。複数の裏面要素322は、互いに離間している。複数の裏面要素322はいずれも、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。本実施形態では、複数の裏面要素322は各々、長手方向Xに沿って延びる帯状である。
【0082】
図1、
図2、
図6、
図7等に示す保護層7は、発熱抵抗体2を覆っている。また、保護層7は発熱抵抗体2に接している。更に保護層7は、抵抗体用電極5の一部を覆っている。具体的には、保護層7は、第1抵抗体用連絡部512と第2抵抗体用連絡部517とを覆っている。保護層7からは、抵抗体用電極5の一部が露出している。具体的には、保護層7からは、第1抵抗体用パッド511と、第2抵抗体用パッド516と、が露出している。保護層7は、たとえばガラスあるいはポリイミドよりなる。
【0083】
図1に示すように、装置800においては、基板1の基板主面11側が、プラテンローラ801に位置している。そのため、基板1とプラテンローラ801との間に、発熱抵抗体2が位置している。一方、サーミスタ861は、基板裏面12に配置され、基板1の温度を検出する。
【0084】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0085】
図12は、本実施形態にかかるヒータの温度分布と、従来のヒータの温度分布と、を示すグラフである。同グラフの縦軸は温度であり、横軸は長手方向Xの位置である。
【0086】
図12に、点線を用いて、従来のヒータの使用時における温度を模式的に示している。同図では、発熱区間Z21から非発熱区間Z22への温度勾配が非常に大きい。発熱区間Z21から非発熱区間Z22への温度勾配が非常に大きいと、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の短手方向Yにおける熱膨張の度合いが大きく異なる傾向にある。すると、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界近傍にて、基板1が割れるおそれがある。
【0087】
一方、本実施形態においては、ヒータ100は、熱伝導膜3を備える。熱伝導膜3は、基板1にて、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。このような構成によると、発熱区間Z21における熱が、非発熱区間Z22に伝わりやすくなる。したがって、発熱区間Z21から非発熱区間Z22への温度勾配を小さくすることができる。
図12の実線で示すように、従来に比べ、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の温度勾配は、小さくなっている。このように発熱区間Z21および非発熱区間Z22の温度勾配が小さくなると、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の短手方向Yにおける熱膨張の相違が小さくなる。これにより、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界近傍にて、基板1が割れることを防止できる。
【0088】
特に、基板1が熱伝導率の小さい材料(たとえば、アルミナ)よりなる場合、熱伝導膜3が形成されていなければ、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の温度勾配は大きくなる傾向にある。そのため、本実施形態の構成は、基板1が熱伝導率の小さい材料(たとえば、アルミナ)よりなる場合に、特に有用である。
【0089】
ヒータ100の使用時においては、基板1の短手方向Yの端部が熱膨張の影響を受けやすい。本実施形態においては、熱伝導膜3は、基板1における、基板1の短手方向Yの端部に形成されている。そのため、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界近傍にて、基板1が割れることを、より効果的に防止できる。
【0090】
本実施形態においては、熱伝導膜3は、基板1の厚さ方向視において、発熱抵抗体2よりも、基板1の短手方向Yにおける端部寄りに形成された部位を有する。このような構成によっても、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の境界近傍にて、基板1が割れることを、より効果的に防止できる。
【0091】
本実施形態においては基板裏面12における、切欠き131,141,151,161を構成する半円のそれぞれの直径R3〜R6は、40〜70μmであり、非常に小さい。当該構成は、基板1をYAGレーザによって切断した結果形成されたものである。このような構成によると、レーザ加工による溝を小さくすることで、高温発熱時に生じる熱応力を分散させることが可能となり、耐熱性が向上する。また、当該構成によっても、基板1の割れを防止できる。
【0092】
ヒータ100の使用時には、基板1に加え、発熱抵抗体2も熱膨張する。切欠き(切欠き131や切欠き141)が形成された箇所は、応力に弱い。そのため、基板裏面12に発熱抵抗体2が形成されたならば、熱膨張に起因する応力によって、切欠きを起点として、基板1に割れが生じるおそれがある。一方、本実施形態においては、発熱抵抗体2は、基板主面11に形成されている。このような構成によると、切欠き(切欠き131や切欠き141)から、発熱抵抗体2をより離間させることができるため、熱膨張によって基板1に割れが生じることを防止できる。
【0093】
上述の説明では、装置800においては、基板1の基板主面11側にプラテンローラ801を配置したが、基板裏面12側にプラテンローラ801を配置してもよい。すなわち、ヒータ100を
図1に示した状態から裏返して、用いてもよい。この場合、サーミスタ861は、たとえば、保護層7上に配置するとよい。
【0094】
<第1実施形態の第1変形例>
図13を用いて、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。
【0095】
図13は、本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるヒータの裏面図である。
【0096】
なお、以下の説明では、上記と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0097】
同図に示すヒータ100Aは、熱伝導膜3の形状(具体的には、裏面部32の形状)が、ヒータ100におけるものとは異なり、その他の点はヒータ100と同様である。
【0098】
本変形例では、熱伝導膜3における裏面部32の長手方向Xの寸法は、ヒータ100におけるものよりも短い。ただし、本変形例においても、熱伝導膜3のうち、発熱区間Z21に形成された部分の、長手方向Xにおける寸法L11は、5mm以上であることが好ましい。
【0099】
このような構成によっても、ヒータ100で述べた作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0100】
<第1実施形態の第2変形例>
図14を用いて、本発明の第1実施形態の第2変形例について説明する。
【0101】
図14は、本発明の第1実施形態の第2変形例にかかるヒータの裏面図である。
【0102】
同図に示すヒータ100Bは、熱伝導膜3の形状(具体的には、裏面部32の形状)が、ヒータ100におけるものとは異なり、その他の点はヒータ100と同様である。
【0103】
本変形例では、裏面部32が複数の裏面要素322を有しておらず、1つのシート状である点において、ヒータ100とは異なるが、その他の点についてはヒータ100と同様である。本変形例では、裏面部32の短手方向Yにおける寸法は、基板1の短手方向Yの寸法の半分以上である。
【0104】
このような構成によっても、ヒータ100で述べた作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0105】
<第2実施形態>
図15〜
図16を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0106】
図15は、本発明の第2実施形態にかかるヒータの平面図(保護層を省略)である。
図16は、
図15のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【0107】
これらの図に示すヒータ101は、熱伝導膜3が、主面部31と、第1側面部33と、第2側面部34と、を更に含む点において、ヒータ100とは異なる。裏面部32は、ヒータ100におけるものと同様であるから、説明を省略する。
【0108】
主面部31は、基板1の基板主面11に形成されている。本実施形態では、主面部31は、基板1の基板主面11に接している。主面部31は、基板主面11にて、発熱抵抗体2とは異なる位置に形成されている。本実施形態では、主面部31は、複数の主面要素311を有する。複数の主面要素311は、互いに離間している。複数の主面要素311はいずれも、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。本実施形態では、複数の主面要素311は各々、長手方向Xに沿って延びる帯状である。本実施形態では、
図15の下側に位置する主面要素311は、第1長状部21と第1基板側面13との間に位置しており、
図15の上側に位置する主面要素311は、第2長状部22と第2基板側面14との間に位置している。
【0109】
なお、本実施形態とは異なり、主面部31が、ヒータ100Aにおける裏面部32のように、比較的短くてもよい。また、主面部31が複数の主面要素311を有していなくてもよい。たとえば、主面部31の平面視の形状が、ヒータ100Bにおける裏面部32のような形状であってもよい。
【0110】
第1側面部33は、第1基板側面13に形成されている。第1側面部33は、第1基板側面13に接している。第1側面部33は、長手方向Xに沿って延びる形状である。第1側面部33は、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。第1側面部33は、主面部31および裏面部32とはつながっていない。本実施形態とは異なり、第1側面部33が主面部31や裏面部32とつながっていてもよい。
【0111】
第2側面部34は、第2基板側面14に形成されている。第2側面部34は、第2基板側面14に接している。第2側面部34は、長手方向Xに沿って延びる形状である。第2側面部34は、発熱区間Z21から非発熱区間Z22にわたって、形成されている。第2側面部34は、主面部31および裏面部32とはつながっていない。本実施形態とは異なり、第2側面部34が主面部31や裏面部32とつながっていてもよい。
【0112】
本実施形態によると、ヒータ100で述べた作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0113】
<第3実施形態>
図17、
図18を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
【0114】
図17、
図18は、本発明の第3実施形態にかかるヒータの断面図である。
【0115】
これらの図に示すヒータ102は、発熱抵抗体2および抵抗体用電極5が、基板主面11から離間した位置に形成されている点において、ヒータ101とは異なる。
【0116】
ヒータ102は、絶縁層6を備える。絶縁層6は、たとえばガラスよりなる。絶縁層6は、基板主面11に形成されており、主面部31を覆っている。絶縁層6上に、発熱抵抗体2および抵抗体用電極5が位置している。絶縁層6は、主面部31および発熱抵抗体2の間、且つ、主面部31および抵抗体用電極5の間に介在している。そして、本実施形態では、厚さ方向Z視において、主面部31が、発熱抵抗体2と重なる部分を有している。
【0117】
本実施形態によると、ヒータ100で述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0118】
発熱抵抗体2にて発生した熱は、基板1に伝わる前に、熱伝導膜3(主面部31)に伝わりやすい。したがって、基板1の温度上昇を防止でき、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の温度勾配の低減を図ることが可能となる。これによっても、基板1の割れを、より効果的に防止できる。
【0119】
<第4実施形態>
図19を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。
【0120】
図19は、本発明の第4実施形態にかかるヒータの平面図(保護層を省略)である。
【0121】
同図に示すヒータ103は、第1長状部21および第2長状部22の形状が、ヒータ100におけるものとは異なる。
【0122】
第1長状部21は、第1幅広部211および第1幅狭部212を有する。
【0123】
第1幅広部211の幅(短手方向Yにおける寸法)は、第1幅狭部212の幅(短手方向Yにおける寸法)よりも大きい。本実施形態においては、第1幅広部211の幅は、第1幅狭部212に向かうにつれて徐々に小さくなる。第1幅広部211は、第1幅狭部212と抵抗体用電極5との間に位置している。第1幅狭部212の幅は、長手方向Xにおいて一様である。
【0124】
第2幅広部221の幅(短手方向Yにおける寸法)は、第2幅狭部222の幅(短手方向Yにおける寸法)よりも大きい。本実施形態においては、第2幅広部221の幅は、第2幅狭部222に向かうにつれて徐々に小さくなる。第2幅広部221は、第2幅狭部222と抵抗体用電極5との間に位置している。第2幅狭部222の幅は、長手方向Xにおいて一様である。
【0125】
本実施形態によると、ヒータ100で述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0126】
このような構成によると、第1幅広部211および第2幅広部221は、抵抗が小さくなるので、発熱しにくい。そのため、発熱区間Z21のうち、第1幅広部211および第2幅広部221が形成された箇所における基板1の温度上昇を抑制できる。よって、基板1の温度上昇を防止でき、発熱区間Z21および非発熱区間Z22の温度勾配の低減を図ることが可能となる。これによっても、基板1の割れを、より効果的に防止できる。
【0127】
<第5実施形態>
図20および
図21を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。
【0128】
図20は、本発明の第5実施形態にかかるヒータの平面図(保護層を省略)である。
図21は、
図20のXXI−XXI線に沿う断面図である。
【0129】
本実施形態のヒータ104は、第1長状部21および第2長状部22が、それぞれ、基板1の短手方向Yの端部寄りに位置している点において、上述のヒータ100と異なる。
【0130】
本実施形態では、基板1の厚さは、0.5〜1.0mmが好ましい。基板1の短手方向Yの寸法は、7〜10mmが好ましい。
【0131】
第1長状部21は、基板1の短手方向Yのうちの一方である第1短手方向Y1側に位置している。第1長状部21と、第1短手方向Y1における基板1の端縁と、の離間寸法L31は、0.5〜1.0mmである。なお、離間寸法L31の下限が0.5mmであるのは、第1長状部21や保護層7の製造上の制限のためである。本実施形態では、第1長状部21の長手方向Xの全長にわたって、離間寸法L31は、0.5〜1.0mmである。第2長状部22は、基板1の短手方向Yのうちの他方である第2短手方向Y2側に位置している。第2長状部22と、第2短手方向Y2における基板1の端縁と、の離間寸法L32は、0.5〜1.0mmである。本実施形態では、第2長状部22の長手方向Xの全長にわたって、離間寸法L32は、0.5〜1.0mmである。なお、離間寸法L32の下限が0.5mmであるのは、第2長状部22や保護層7の製造上の制限のためである。
【0132】
また、基板1の短手方向Yの寸法に対する、第1長状部21と第1短手方向Y1における基板1の端縁との離間寸法L31の比は、0.054〜0.109(すなわち0.5/9.2〜1.0/9.2)が好ましい。同様に、基板1の短手方向Yの寸法に対する、第2長状部22と第2短手方向Y2における基板1の端縁との離間寸法L32の比は、0.054〜0.109が好ましい。
【0133】
ここで述べた点以外の説明は、ヒータ100の説明を適用できるから、本実施形態では説明を省略する。
【0134】
本実施形態によると、ヒータ100で述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0135】
本実施形態では、第1長状部21および第2長状部22が、それぞれ、基板1の短手方向Yのより端部寄りに位置している。発明者は、このような構成によると、熱応力を原因とする基板1の割れを防止できることにつき、知見を得た。よって、本実施形態によると、基板1が割れることをより効果的に防止できる。
【0136】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。