(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307306
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】水洗便器用薬剤供給機構及び減圧弁
(51)【国際特許分類】
E03D 9/02 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
E03D9/02
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-36175(P2014-36175)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-161095(P2015-161095A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591047970
【氏名又は名称】共立製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋一
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−158973(JP,A)
【文献】
特開2012−097451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管から連通管を介して本体ケース内に洗浄水を取り込み、本体ケース内に配置された薬剤供給手段から供給される薬剤を本体ケース内に取り込まれた洗浄水に混合させ、薬剤が混合された洗浄水を前記連通管を介して前記洗浄水供給管内に流出させて水洗便器へ供給する水洗便器用薬剤供給機構において、
前記連通管内に挿入可能な外径で形成され、内部に長手方向に貫通する洗浄水流通孔を備えたハウジングと、
洗浄水が前記洗浄水供給管から前記本体ケースに取り込まれる際に、前記洗浄水流通孔の開口面積を制御する弁体と
を備えてなる減圧弁が、前記連通管内に配設されていることを特徴とする水洗便器用薬剤供給機構。
【請求項2】
前記ハウジングが、長手方向の中途に設けられた切り欠き部を挟んで形成され、軸方向に貫通する洗浄水流通孔をそれぞれの内部に備えた第1筒部及び第2筒部を有してなり、
前記弁体が、前記切り欠き部に対応する位置に設けられ、外周面と、挿入対象の前記連通管の内周面との間で洗浄水の流路を形成する構造である請求項1記載の水洗便器用薬剤供給機構。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記第1筒部を前記洗浄水供給管側に位置させ、前記第2筒部を前記本体ケース側に位置させて前記連通管内に挿入配設され、
前記弁体は、前記本体ケース側に位置する第2筒部に設けられた洗浄水流通孔の開口面積を制御する構造である請求項2記載の水洗便器用薬剤供給機構。
【請求項4】
前記弁体は、小径部及び大径部を備えた一体型であり、前記大径部が前記第2筒部側に位置するように設けられると共に、
前記弁体には、前記ハウジングの軸方向に沿って配設されたシャフトが挿通され、
前記洗浄水供給管から前記本体ケースに洗浄水が取り込まれる際に、前記弁体が前記シャフトに沿って前記第2筒部側に大径部が当接し、前記第2筒部の洗浄水流通孔の開口面積を低減させる構造である請求項3記載の水洗便器用薬剤供給機構。
【請求項5】
水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管から連通管を介して本体ケース内に洗浄水を取り込み、本体ケース内に配置された薬剤供給手段から供給される薬剤を本体ケース内に取り込まれた洗浄水に混合させ、薬剤が混合された洗浄水を前記連通管を介して前記洗浄水供給管内に流出させて水洗便器へ供給する水洗便器用薬剤供給機構に用いられる減圧弁であって、
前記連通管内に挿入可能な外径で形成され、内部に長手方向に貫通する洗浄水流通孔を備えたハウジングと、
洗浄水が前記洗浄水供給管から前記本体ケースに取り込まれる際に、前記洗浄水流通孔の開口面積を制御する弁体と
を備えてなり、前記連通管内に配設されるものであることを特徴とする減圧弁。
【請求項6】
前記ハウジングが、長手方向の中途に設けられた切り欠き部を挟んで形成され、軸方向に貫通する洗浄水流通孔をそれぞれの内部に備えた第1筒部及び第2筒部を有してなり、
前記弁体が、前記切り欠き部に対応する位置に設けられ、外周面と、挿入対象の前記連通管の内周面との間で洗浄水の流路を形成する構造である請求項5記載の減圧弁。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記第1筒部を前記洗浄水供給管側に位置させ、前記第2筒部を前記本体ケース側に位置させて前記連通管内に挿入配設され、
前記弁体は、前記本体ケース側に位置する第2筒部に設けられた洗浄水流通孔の開口面積を制御する構造である請求項6記載の減圧弁。
【請求項8】
前記弁体は、小径部及び大径部を備えた一体型であり、前記大径部が前記第2筒部側に位置するように設けられると共に、
前記弁体には、前記ハウジングの軸方向に沿って配設されたシャフトが挿通され、
前記洗浄水供給管から前記本体ケースに洗浄水が取り込まれる際に、前記弁体が前記シャフトに沿って前記第2筒部側に大径部が当接し、前記第2筒部の洗浄水流通孔の開口面積を低減させる構造である請求項7記載の減圧弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗便器用薬剤供給機構及び減圧弁に関し、特に、洗浄水供給管から水洗便器に洗浄水が供給されると、水洗便器に消毒、消臭、洗浄などを目的とした必要量の薬剤を供給する水洗便器用薬剤供給機構及びそれに用いられる減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管と組み合わせて使用され、水洗便器に洗浄水が流れる度に水洗便器内に消毒、消臭、洗浄などを目的とした薬剤(通常は液状タイプ(薬液))を供給する水洗便器用薬剤供給機構が知られている。このような水洗便器用薬剤供給機構は、これまでに種々の構造のものが知られているが、基本的には、特許文献1及び2に示された構造を利用したものである。すなわち、本体ケース内に、薬剤を浸出可能な薬剤容器とフロートとを配設すると共に、本体ケースに弁室を付設し、さらに、弁室内に配設した弁体と上記フロートとを連結し、該弁室と洗浄水供給管とを連通管により接続した構造である。洗浄水供給管内を洗浄水が流れると、その一部が連通管を介して弁室内に取り込まれ、さらに、弁室から本体ケース内に両者の連絡孔を介して取り込まれることにより、薬剤が洗浄水と混合され、フロートが所定量浮き上がると弁体が連絡孔を閉じ、洗浄水の流入量を制限する。そして、洗浄水供給管内を流れる洗浄水量が少なくなって水圧が低下すると、弁体が下降して連絡孔を開き、薬剤が混合された洗浄水が連通管から洗浄水供給管に流出し、さらに水洗便器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭49−21541号公報
【特許文献2】特開2003−96873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した水洗便器用薬剤供給機構は、洗浄水供給管を流れる洗浄水を取り込むことによって薬剤を希釈する構造である。そのため、洗浄水供給管を流れる洗浄水の水圧が高いほど、多量の洗浄水が取り込まれることになる。しかしながら、洗浄水供給管を流れる洗浄水圧は、取り付け対象の洗浄水供給管によって異なり、一定していない。特許文献1及び2の水洗便器用薬剤供給機構は、基本的には、ある程度の水圧の変動があっても正常動作する構造であるが、施設によっては洗浄水供給管の水圧が想定以上に高い場合がある。そのため、洗浄水が連通管を介して勢いよく本体ケース内に取り込まれ、フロートが上昇しても、洗浄水の勢いにより弁体やフロートが振動し続け、連通孔が閉じずに、洗浄水の流入が適正なタイミングで止まらず、本体ケースから洗浄水が溢れてしまう可能性もある。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、洗浄水供給管の水圧が所定以上高い場合であっても、本体ケース内への洗浄水の流入量を適切に制御できる水洗便器用薬剤供給機構及び該水洗便器用薬剤供給機構に用いられる減圧弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の水洗便器用薬剤供給機構は、水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管から連通管を介して本体ケース内に洗浄水を取り込み、本体ケース内に配置された薬剤供給手段から供給される薬剤を本体ケース内に取り込まれた洗浄水に混合させ、薬剤が混合された洗浄水を前記連通管を介して前記洗浄水供給管内に流出させて水洗便器へ供給する水洗便器用薬剤供給機構において、前記連通管内に挿入可能な外径で形成され、内部に長手方向に貫通する洗浄水流通孔を備えたハウジングと、洗浄水が前記洗浄水供給管から前記本体ケースに取り込まれる際に、前記洗浄水流通孔の開口面積を制御する弁体とを備えてなる減圧弁が、前記連通管内に配設されていることを特徴とする。
【0007】
前記ハウジングが、長手方向の中途に設けられた切り欠き部を挟んで形成され、軸方向に貫通する洗浄水流通孔をそれぞれの内部に備えた第1筒部及び第2筒部を有してなり、前記弁体が、前記切り欠き部に対応する位置に設けられ、外周面と、挿入対象の前記連通管の内周面との間で洗浄水の流路を形成する構造であることが好ましい。
前記ハウジングは、前記第1筒部を前記洗浄水供給管側に位置させ、前記第2筒部を前記本体ケース側に位置させて前記連通管内に挿入配設され、前記弁体は、前記本体ケース側に位置する第2筒部に設けられた洗浄水流通孔の開口面積を制御する構造であることが好ましい。
前記弁体は、小径部及び大径部を備えた一体型であり、前記大径部が前記第2筒部側に位置するように設けられると共に、前記弁体には、前記ハウジングの軸方向に沿って配設されたシャフトが挿通され、前記洗浄水供給管から前記本体ケースに洗浄水が取り込まれる際に、前記弁体が前記シャフトに沿って前記第2の筒部側に大径部が当接し、前記第2筒部の洗浄水流通孔の開口面積を低減させる構造であることが好ましい。
【0008】
本発明の減圧弁は、水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管から連通管を介して本体ケース内に洗浄水を取り込み、本体ケース内に配置された薬剤供給手段から供給される薬剤を本体ケース内に取り込まれた洗浄水に混合させ、薬剤が混合された洗浄水を前記連通管を介して前記洗浄水供給管内に流出させて水洗便器へ供給する水洗便器用薬剤供給機構に用いられる減圧弁であって、前記連通管内に挿入可能な外径で形成され、内部に長手方向に貫通する洗浄水流通孔を備えたハウジングと、洗浄水が前記洗浄水供給管から前記本体ケースに取り込まれる際に、前記洗浄水流通孔の開口面積を制御する弁体とを備えてなり、前記連通管内に配設されるものであることを特徴とする。
【0009】
前記ハウジングが、長手方向の中途に設けられた切り欠き部を挟んで形成され、軸方向に貫通する洗浄水流通孔をそれぞれの内部に備えた第1筒部及び第2筒部を有してなり、前記弁体が、前記切り欠き部に対応する位置に設けられ、外周面と、挿入対象の前記連通管の内周面との間で洗浄水の流路を形成する構造であることが好ましい。
前記ハウジングは、前記第1筒部を前記洗浄水供給管側に位置させ、前記第2筒部を前記本体ケース側に位置させて前記連通管内に挿入配設され、前記弁体は、前記本体ケース側に位置する第2筒部に設けられた洗浄水流通孔の開口面積を制御する構造であることが好ましい。
前記弁体は、小径部及び大径部を備えた一体型であり、前記大径部が前記第2筒部側に位置するように設けられると共に、前記弁体には、前記ハウジングの軸方向に沿って配設されたシャフトが挿通され、前記洗浄水供給管から前記本体ケースに洗浄水が取り込まれる際に、前記弁体が前記シャフトに沿って前記第2の筒部側に大径部が当接し、前記第2筒部の洗浄水流通孔の開口面積を低減させる構造であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、連通管内に挿入配設される減圧弁を備えている。従って、洗浄水供給管から供給される洗浄水の水圧が所定以上高い場合でも、減圧弁を通過することにより、適正な水圧に低下させることができ、本体ケースから洗浄水が溢れるようなことを防止できる。また、減圧弁は連通管内に挿入され、連通管の外部に露出する構造ではない。そのため、既存の連通管をそのまま用いることができる。また、既存の連通管の内径は、通常、5〜8mm程度である。本発明の水洗便器薬剤供給機構の減圧弁は、筒状のハウジングに加え、洗浄水流通孔の開口面積を制御する弁体を備えているが、ハウジングの外径を連通管の内径以下として、さらに、該ハウジング内に弁体を設けようとすると、弁体の直径が非常に小さくなり、その小さな弁体に液体の流通孔を貫通形成したりすることは精密な作業が必要で製造コストも高くなる。しかし、本発明によれば、弁体自体に液体の流通孔を貫通形成するのではなく、ハウジングに切り欠き部を形成し、弁体の外周面と連通管の内周面との間隙を液体の流路とした構成であり、細径の連通管内に挿入して用いる減圧弁として適している。
【0011】
また、ハウジングが切り欠き部を挟んで第1筒部及び第2筒部を有し、各筒部に洗浄水流通孔を形成し、切り欠き部に配置される弁体を小径部と大径部を有する構成とすることが好ましい。それにより、大径部が第2筒部の端面に当接している際には、該第2筒部の洗浄水流通孔の開口面積を狭くして洗浄水の水圧を容易に低下させることができる一方、洗浄水が本体ケース側から洗浄水供給管側に流れる際には、弁体が第1筒部に当接しても、小径部によって大径部と第1筒部の端部との間に液体が流れる隙間が確保されるため、洗浄水を抵抗なく洗浄水供給管側に流出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一の実施形態に係る水洗便器用薬剤供給機構の全体構成を示した図である。
【
図2】
図2は、上記水洗便器用薬剤供給機構の本体ケースの内部構造を説明するための図である。
【
図3】
図3は、上記水洗便器用薬剤供給機構の本体ケース内の内部構造を説明するための図である。
【
図4】
図4は、
図1のA部拡大図であり、減圧弁の配設位置を説明するための図である。
【
図5】
図5(a)は、弁体の小径部が第1筒部の端面に当接した状態を示した斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の断面図である。
【
図6】
図6(a)は、弁体の大径部が第2筒部の端面に当接した状態を示した斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)の断面図である。
【
図7】
図7(a)は、減圧弁のハウジングの構造を説明するための図であり、
図7(b)は、
図7(a)のA−A矢視図である。
【
図8】
図8(a)は弁体の断面図であり、
図8(b)はシャフトを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。まず、本実施形態の減圧弁100を使用した水洗便器用薬剤供給機構1の全体構成を説明する。水洗便器用薬剤供給機構1は、
図1に示したように、水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管200から連通管110を介して本体ケース10内に洗浄水を取り込み、供給される薬剤を本体ケース10内に取り込まれた洗浄水により希釈し、洗浄水供給管200内の内圧減少に伴って、薬剤が混合された洗浄水を前記連通管110を介して再び洗浄水供給管200内に流出させて、水洗便器内へと流すように構成されている。
【0014】
洗浄水供給管200は、例えば、上下縦方向に延びて配管されており、上端部は図示しない洗浄水タンクに接続され、下端部は図示しない水洗便器に接続されている。かかる洗浄水供給管200の途中には、連通管110の一端部110aが接続され、他端部は本体ケース10に連結されている。
【0015】
水洗便器用薬剤供給機構1の本体ケース10は本実施形態では正面から見て略方形に形成され、後部に位置する板状のベース部材11と一面が開放された箱状の蓋部材12とから構成される。蓋部材12は、例えば係合溝と係合爪との係合構造やボルト等の締結具を利用するなどしてベース部材11に組付固定される。
【0016】
前記本体ケース10内には、水容器13が配設され、この水容器13の内側に、
図3に示したように、薬剤供給手段が配設される。薬剤供給手段は水容器13内に洗浄水が取り込まれた際に、洗浄水に混合される所定量の薬剤を供給できるものであればよく、本実施形態では、
図3に示したように、内部に液状の薬剤が充填されると共に、海綿体の如き浸出性瓶栓14Aを下向きにして倒立して設けられる薬剤瓶14がセットされる。
【0017】
前記蓋部材12の前壁上部の開口部には複数の長孔が開設された内蓋部材15が嵌め込まれると共に、内蓋部材15の前面には、これを覆うような外蓋部材16が装着され、この外蓋部材16には、多数のスリット状の開口部16Aが開設される。本体ケース10の底壁には、水洗便器に洗浄水を供給する洗浄水供給管200の途中に連結された連通管110に接続される洗浄水流入・排出部20が設けられている。
【0018】
洗浄水流入・排出部20は上部管部材20Aと、この上部管部材20Aの下端部外周面にねじ嵌合される下部管部材20Bとからなる。下部管部材20Bの周壁には前記連通管19の連通接続部となる接続口20Cが設けられている。そして、上部管部材20Aの上端部を本体ケース10の底壁及び水容器13底壁の取付孔に貫通させ、該取付孔から突出する上部管部材20Aの上端部外周面にナット部材21をねじ嵌合することにより、本体ケース10並びに水容器13に取り付けられる。このナット部材21には、後述する弁軸24が貫通支持される支持孔21Aを上端面に有する。また、ナット部材21には、その周壁に開口する貫通孔21Bが設けられ、この貫通孔21Bが、本体ケース10と洗浄水流入・排出部20とを連通する連通孔20Dと連通していることにより、洗浄水の流入及び排出を許容する。
【0019】
本体ケース10内の水容器13の内側には、フロート22が上下動自由に収納される。フロート22の下端部には、該フロート22と一体的に動作する弁体23が、上部管部材20Aの連通孔20Dの内側を貫通する弁軸24を介して連結され、洗浄水流入・排出部20を構成する下部管部材20B内に収容配設される。また、弁体23は略円錐台形状に形成されており、その外面はテーパ状となっている。上部管部材20Aの連通孔20Dの下端開口部内周面には、前記フロート22の上動時に弁体23の外面が当接すると合致して、連通孔20Dを閉塞する円錐状テーパ面からなる弁座25が形成されている。
【0020】
ここで、減圧弁100は、連通管110内に配設される。具体的には、連通管110のうち、洗浄水供給管200との接続端部である一端部110aから挿入配設される。減圧弁100は、
図4〜
図8に示したように、ハウジング101、シャフト102及び弁体103を有して構成される。
【0021】
ハウジング101は、外径が連通管110の内周面に密接可能な程度の筒状に形成されている。一端部には、フランジ部101aが形成され、このフランジ部101aが連通管110の一端部110aの端面に密着するように取り付けられる。ハウジング101は、長手方向略中央部に所定の範囲に亘って切り欠き部1010を有し、この切り欠き部1010を挟んで前記フランジ部101aが形成されている側の第1筒部1020と、反対側の第2筒部1030の2つの筒部を備えている。第1筒部1020及び第2筒部1030の間の切り欠き部1010は、ハウジング101の周囲に位置する連通管110の内周面との間で洗浄水の流路を形成するために設けられる。本実施形態では、円周の約半分の長さに亘って切り欠かれており、切り欠き部1010に円周方向に隣接する残りの半管状部1040は、第1筒部1020及び第2筒部1030を連結する連結部となっている。
【0022】
第1筒部1020及び第2筒部1030内の中心部には、それぞれ軸挿通孔1021,1031が形成され、該軸挿通孔1021,1031を形成している周壁部1021a,1031aの外側に、洗浄水の流路となる洗浄水流通孔1022,1032が形成されている。第1筒部1020に形成される第1洗浄水流通孔1022は、洗浄水の流入時及び流出時のいずれも洗浄水があまり抵抗なく流れる流路であり、その大きさや形状は限定されるものではない。一方、第2筒部1030に形成される第2洗浄水流通孔1032は、後述の弁体103が密接している状態で、ほぼ閉塞されるような大きさや形状で形成される。この点についてはさらに後述する。
【0023】
上記した第1筒部1020及び第2筒部1030を有するハウジング101は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂から一体成形されるが、第1筒部1020及び第2筒部1030に形成された軸挿通孔1021及び1031には、金属製好ましくはステンレス製のシャフト102が挿通されて支持される。
【0024】
シャフト102は、一端側が第1筒部1020の軸挿通孔1021に挿通され、他端側第2筒部1030の軸挿通孔1031に挿通されるため、切り欠き部1010に対応する部分は露出した状態となっており、この露出した状態となっている部分に、弁体103が配設されている。
【0025】
弁体103は、軸方向に沿って円柱状の小径部103aと、それよりも外径の大きい円柱状の大径部103bとが軸方向に一体に形成された形状を有していると共に、軸方向中心には、貫通孔103cが一端から他端まで貫いて形成されている。ハウジング101と同様に、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂により一体成形される。そして、貫通孔103cにシャフト102が挿通されることにより、上記したハウジング101の第1筒部1020及び第2筒部1030間の切り欠き部1010に相当する位置で支持されている。
【0026】
弁体103の貫通孔103cは、シャフト102の外径よりも若干大きな内径で形成されている。そのため、弁体103は、シャフト102の外周面に沿って軸方向にほぼ抵抗なく動くことができるようになっている。また、弁体103は、第1筒部1020側に小径部103aが位置し、第2筒部1030側に大径部103bが位置するように上記シャフト102に支持される。
【0027】
ここで、本実施形態では、第2筒部1030に形成される第2洗浄水流通孔1032は、軸挿通孔1031の周壁部1031aの外側に所定幅の長孔を円弧状にした形状で形成され、かつ、円周方向に所定間隔毎に3つ形成されている。そして、この3つの第2洗浄水流通孔1032の各円弧の外周を結んだ仮想円の直径D1(
図7(b)参照)が、弁体103の大径部103bの外径よりも僅かに、例えば、0.1〜0.5mm程度大きくなるような条件で形成されている。上記したように弁体103の大径部103bは、第2筒部1030側に位置している。従って、弁体103の大径部103bが第2筒部1030の端面に密接した際には、第2洗浄水流通孔1032のほとんどの部分を閉塞するが、上記のように、第2洗浄水流通孔1032の各円弧の外周を結んだ仮想円の直径D1が、弁体103の大径部103bの外径よりも僅かに大きいため、弁体103の大径部103bが第2筒部1030の端面に密接していても、大径部103bの外側において各第2洗浄水流通孔1032は僅かに隙間がある状態となるように開口面積を制御する(低減させる)。第1筒部1020側から第2筒部1030側に洗浄水が流れる際には、第2洗浄水流通孔1032のこの僅かな隙間のみを通過できることになる。第2洗浄水流通孔1032を3つ形成したのは、それによって、軸挿通孔1031を形成する周壁部1031aと一体の支持壁1031bが3つ形成されることになり、該周壁部1031aをその形状が維持されるように支持でき、該軸挿通孔1031に挿通されるシャフト102を安定して支持できる。但し、第2洗浄水流通孔1032の形成数や形状は図示したものにされるものではない。
【0028】
一方、第1筒部1020側の対向する端面に対しては、弁体103は小径部103aが当接する。小径部103aは、シャフト102の直径よりも若干大きな外径(例えばシャフト103が直径1.2mmの場合に小径部103aが2.0mm)で形成されている。従って、小径部103aが第1筒部1020の端面に当接した際には、シャフト102の軸挿通孔1021の周壁部1021aに当接し、その外側に位置する第1洗浄水流通孔1022を閉塞することはない。そのため、第1洗浄水流通孔1022は、弁体103の小径部103aが第1筒部1020側に接している場合(
図5(a),(b)の状態)、離間している場合(
図6(a),(b)の状態)のいずれであっても、常に開放状態となっており、洗浄水は第1洗浄水流通孔1022を抵抗なく流通できる。第1洗浄水流通孔1022は、このように、周壁部1021aの外側に形成されていれば弁体103によってふさがれることはなく、洗浄水があまり抵抗なく流通できる大きさであれば、その形状は限定されるものではない。但し、本実施形態では、第2筒部1030に形成した上記の第2洗浄水流通孔1032と同様の大きさ、位置となるように、軸挿通孔1021の周壁部1021aを安定して支持する支持壁1021bを円周方向に3つ形成し、それぞれの間に、所定幅の長孔を円弧状にした第1洗浄水流通孔1022を3つ形成している。
【0029】
本実施形態の減圧弁100は、洗浄水供給管200を流れる洗浄水の水圧が所定以上の場合に取り付けられる。具体的には、減圧弁100は、連通管110内に、洗浄水供給管200との接続端部である一端部110aから、第2筒部1030側が水洗便器用薬剤供給機構1の本体ケース10側となるように挿入して配設する(
図1及び
図4参照)。洗浄水供給管200を水圧の高い洗浄水が流れると、該洗浄水の一部が、連通管110内に取り込まれるが、減圧弁110が連通管110内に配置されているため、該洗浄水は必ず減圧弁110を通過する。まず、第1筒部1020内に侵入した洗浄水は、第1洗浄水流通孔1022を通過する。このとき、洗浄水の水圧により、弁体103は、大径部103bが第2筒部1030の端面に密接し、
図6(a),(b)に示した状態になる。それにより、第2洗浄水流通孔1032のほとんどの部分が閉塞される。洗浄水は、第1洗浄水流通孔1022を経た後、切り欠き部1010における弁体103の外周面と連通管110の内周面との間を通過して、大径部103bの外側にある僅かな隙間から第2洗浄水流通孔1032内に浸入しようとする。洗浄水はこの切り欠き部1010の形成された位置までは抵抗なく移動できるが、第2洗浄水流通孔1032に浸入しようとするときは、弁体103の大径部103bによって大きな抵抗を受けることになる。そのため、第2洗浄水流通孔1032を通過する洗浄水の水量が少なくなり、水圧も低下する。水圧が低下した洗浄水が第2洗浄水流通孔1032を経て連通管110から水洗便器用薬剤供給機構1の洗浄水流入・排出部20内に取り込まれる。その後は、本体ケース10内の水容器13に浸入し、フロート22が上昇し、弁体23が、連通孔20Dの下端開口部に位置する弁座25に当接すると、該連通孔20Dが閉塞される。水容器13内に洗浄水が取り込まれることにより、薬剤瓶14から浸出した薬剤が洗浄水と混合される。
【0030】
洗浄水供給管200の洗浄水の水圧が低下してくると、弁体23が弁座25から離れ、連通孔20Dを開放する。連通孔20Dが開放されると薬剤が混合された洗浄水が、連通管110から洗浄水供給管200に向かって流れる。その際、薬剤が混合された洗浄水は、減圧弁100を再び通過する。薬剤が混合された洗浄水は、減圧弁100の第2筒部1030側から減圧弁100内に入り、第2洗浄水流通孔1032を通過する。弁体103は、洗浄水供給管200の内圧が低下しているため、
図5(a),(b)に示したように、第1筒部1020側に移動しており、第1筒部1020の軸挿通孔1021の周壁部1021aに小径部103aが当接している。従って、薬剤が混合された洗浄水は、第2洗浄水流通孔1032を通過後、切り欠き部1010に位置している弁体103の大径部103bの外周面と連通管110の内周面との間を通過し、さらに、小径部103aの外側を通過して第1洗浄水流通孔1022内に抵抗なく浸入し、連通管110の一端部110aから洗浄水供給管200へと流出する。洗浄水供給管200に流出した後は、水洗便器に流れていく。
【0031】
以上より、本実施形態によれば減圧弁100を連通管110内に配設しているため、洗浄水供給管200を流れる洗浄水の水圧が通常より高い場合でも、減圧して水洗便器用薬剤供給機構1の本体ケース10に取り込むことができ、洗浄水流入・排出部20内で弁体23が振動して連通孔20Dを十分には閉弁せずに洗浄水が本体ケース10内に流入し続けるような事態を防止できる。また、既存の連通管110の内径は、通常、5〜8mm程度であるが、上記実施形態の減圧弁100によれば、弁体103自体に液体の流通孔を貫通形成するのではなく、ハウジング101に切り欠き部1010を形成し、弁体103の外周面と連通管110の内周面との間隙を洗浄水の流路とした構成であり、細径の連通管110内に挿入して用いる減圧弁100として適している。また、本実施形態の減圧弁100は、連通管110内に配設される構造であるため、配管の中途に設ける弁機構のように、配管の外部に弁機構の一部(例えば開閉操作部)が露出して外観に悪影響を与えることもない。
【符号の説明】
【0032】
1 水洗便器用薬剤供給機構
10 本体ケース
20 洗浄水流入・排出部
100 減圧弁
101 ハウジング
1010 切り欠き部
1020 第1筒部
1022 第1洗浄水流通孔
1030 第2筒部
1032 第2洗浄水流通孔
102 シャフト
103 弁体
103a 小径部
103b 大径部