(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6307342
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】フェンス又は手摺り構造
(51)【国際特許分類】
E04H 17/20 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
E04H17/20 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-95839(P2014-95839)
(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-212497(P2015-212497A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】308017375
【氏名又は名称】株式会社アキト
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 淳
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−040154(JP,U)
【文献】
米国特許第3506243(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/20 − 17/22
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に所定間隔で立設された支柱と、この支柱の上下部に配置された横材によって四周が枠組みされ、枠組み内部にパネル又は複数の桟材が配置されたフェンス又は手摺り構造において、
前記支柱は、左右一対の分割支柱材を組合せることによって構成された分割支柱とされ、前記分割支柱を構成するそれぞれの分割支柱材は溝型断面の半枠部を有するとともに、半枠部の両端部にそれぞれ内部側に突出する突片部分を有し、前記分割支柱材を組み合わせることによって前記半枠部同士によって矩形状の中空部が形成されており、
前記支柱の高さ方向中間であって前記矩形状の中空部の内部に、断面L字状とされ、両端部に夫々継手係合部を備えた部材を一対で組み合わせることによって断面矩形状を成すとともに、前記半枠部の継ぎ目位置に存在している一対の突片部分を両側から押さえる係止部を有する曲げ捻れ防止部材を配設したことを特徴とするフェンス又は手摺り構造。
【請求項2】
前記曲げ捻れ防止部材を構成する一対の断面L字状部材は夫々、断面視で一方側端部に上下方向に貫通する溝型形状の溝型継手係合部を備え、他方側端部に直角に屈曲する屈曲継手係合部を備え、前記断面L字状部材の一方側を天地反対として前記溝型継手係合部と屈曲継手係合部とを夫々係合させることにより断面矩形状を成している請求項1記載のフェンス又は手摺り構造。
【請求項3】
前記分割支柱材の半枠部の内面に、内部側に突出して形成された座面用L字突出片を有し、前記曲げ捻れ防止部材を構成する各断面L字状部材は前記座面用L字突出片に対してビス止めされている請求項1、2いずれかに記載のフェンス又は手摺り構造。
【請求項4】
前記曲げ捻れ防止部材は、支柱の中間位置に1又は2ヶ所設けられている請求項1〜3いずれかに記載のフェンス又は手摺り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱が左右一対の分割支柱材を組み合わせることによって構成された分割支柱とされるフェンス又は手摺り構造において、前記分割支柱の曲げ捻れ変形を防止したフェンス又は手摺り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、区画境界や敷地境界を仕切ったり、マンション、ビルなどの構造物における落下防止設備として設置されるフェンス構造又は通路、屋上、階段、バルコニーなどに設置される手摺り構造として種々の構造のものが提案されている。これらの中で、分割支柱材を互いに組み合わせることによって支柱を構成するようにした構造が存在する。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、互いに係合部で係合させられることにより一つの支柱となる分割支柱材を、係合部を互いに相手の係合部と係合する方向に向けて所定の間隔に保ち、両分割支柱材の上下間に夫々横材を渡設するとともに、これによって囲われた空間内に立子或いはパネルを取り付けて一ユニットを構成し、かくして構成したユニットの複数を、相係合する分割支柱材で一つの支柱が形成されるように組み立てて連結し、組立てられた支柱にはキャップを被せ、或いはバンドで回りから締めるとともにその支柱を施工面に建ててなるフェンス構造が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、施工面上に予め所定間隔で立設される柱用芯材と、両側部に配置された分割支柱材および上下部に配置された横材によって四周が枠組みされ、枠組内部にパネル又は複数の桟材が配置されたユニット材とから成るフェンス又は手摺り構造であって、
【0005】
前記ユニット材の分割支柱材は、断面視で前記柱用芯材の略片側半分を囲む半枠部を有するとともに、該半枠部の両端部に夫々、前記柱用芯材に対する係合部を有し、前記柱用芯材は前記係合部に対応する部位に被係合部を有し、上方側から前記ユニット材の半枠部を柱用芯材に落とし込むことにより、前記分割支柱材を柱用芯材に係合させて前記ユニット材の取付けが行われ、前記柱用芯材を囲む一対の分割支柱材の組合せによって支柱が構成されているとともに、前記分割支柱材同士は直接的に係合していないフェンス又は手摺り構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭49−19643号公報
【特許文献2】特開2009−287174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1及び特許文献2記載のフェンス又は手摺り構造のように、支柱を左右の分割支柱材を組み合わせることによって構成した場合、断面視でX方向とこれに直行するY軸方向とで強度が異なるため、断面に強軸と弱軸とを有することになる。この結果、例えば高層ビルなどの手摺りとして用いた場合に過大な風荷重が加わったり、人為的に過渡の力が加えられ支柱に大きな曲げモーメントが作用すると、弱軸に向かって捻れながら変形する現象(曲げ捻れ変形)が生じることがあった。
【0008】
この曲げ捻れ変形が生じると、分割支柱材の目地部分に隙間(口開き)が生じたり、特に変形が大きい場合は横座屈を起こしたりすることがあった。特に、前記特許文献2記載の発明のように、ユニット単位の交換が簡易に行えるように前記分割支柱材同士が直接的に係合していない構造とした場合にはその傾向が顕著となる。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、支柱が左右の分割支柱材を組み合わせることによって構成されたフェンス又は手摺り構造において、前記支柱の曲げ捻れ変形を防止したフェンス又は手摺り構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、横方向に所定間隔で立設された支柱と、この支柱の上下部に配置された横材によって四周が枠組みされ、枠組み内部にパネル又は複数の桟材が配置されたフェンス又は手摺り構造において、
【0011】
前記支柱は、左右一対の分割支柱材を組合せることによって構成された分割支柱とされ、前記分割支柱を構成するそれぞれの分割支柱材は溝型断面の半枠部を有するとともに、半枠部の両端部にそれぞれ内部側に突出する突片部分を有し、前記分割支柱材を組み合わせることによって前記半枠部同士によって矩形状の中空部が形成されており、
【0012】
前記支柱の高さ方向中間であって前記矩形状の中空部の内部に、断面L字状とされ、両端部に夫々継手係合部を備えた部材を一対で組み合わせることによって断面矩形状を成すとともに、前記半枠部の継ぎ目位置に存在している一対の突片部分を両側から押さえる係止部を有する曲げ捻れ防止部材を配設したことを特徴とするフェンス又は手摺り構造が提供される。
【0013】
上記請求項1記載の発明では、支柱は、左右一対の分割支柱材を組合せることによって構成された分割支柱とされるフェンス又は手摺り構造において、分割支柱を構成するそれぞれの分割支柱材は溝型断面の半枠部を有するとともに、半枠部の両端部にそれぞれ内部側に突出する突片部分を有し、前記分割支柱材を組み合わせることによって前記半枠部同士によって矩形状の中空部が形成された構造とした上で、前記支柱の高さ方向中間であって前記矩形状の中空部の内部に、断面L字状とされ、両端部に夫々継手係合部を備えた部材を一対で組み合わせることによって断面矩形状を成すとともに、前記半枠部の継ぎ目位置に存在している一対の突片部分を両側から押さえる係止部を有する曲げ捻れ防止部材を配設するようにした。
【0014】
従って、前記支柱の高さ方向中間であって前記矩形状の中空部の内部に設けられた前記曲げ捻れ防止部材は、一対の断面L字状部材同士を組み合わせることにより断面矩形状を成し、周方向に閉合しているとともに、前記半枠部の継ぎ目位置に存在している一対の突片部分を両側から押さえる係止部を有するため、X方向及びY方向に対する断面剛性を補強するとともに、捻れ剛性を補強するため、支柱に過大な風荷重が加わったり、人為的に過渡の力が加えられたとしても、支柱が弱軸に向かって捻れながら変形する現象(曲げ捻れ変形)が生じるのを防止することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明として、前記曲げ捻れ防止部材を構成する一対の断面L字状部材は夫々、断面視で一方側端部に上下方向に貫通する溝型形状の溝型継手係合部を備え、他方側端部に直角に屈曲する屈曲継手係合部を備え、前記断面L字状部材の一方側を天地反対として前記溝型継手係合部と屈曲継手係合部とを夫々係合させることにより断面矩形状を成している請求項1記載のフェンス又は手摺り構造が提供される。
【0016】
上記請求項2記載の発明では、断面L字状を成す一対の曲げ捻れ防止部材の継手係合部の構造例を示したものである。具体的には、断面L字状部材の一方側端部に上下方向に貫通する溝型形状の溝型継手係合部を備え、他方側端部に直角に屈曲する屈曲継手係合部を備えるようにし、前記断面L字状部材の一方側を天地反対として使用し、前記溝型継手係合部と屈曲継手係合部とを夫々係合させるようにしたものである。この場合は、1種類の断面L字状部材を作製することにより、左右一対の断面L字状部材を兼用することができ、製作効率の向上とコスト低減が図れるようになる。
【0017】
請求項3に係る本発明として、前記分割支柱材の半枠部の内面に、内部側に突出して形成された座面用L字突出片を有し、前記曲げ捻れ防止部材を構成する各断面L字状部材は前記座面用L字突出片に対してビス止めされている請求項1、2いずれかに記載のフェンス又は手摺り構造が提供される。
【0018】
上記請求項3記載の発明では、前記分割支柱材の半枠部の内面に、内部側に突出して形成された座面用L字突出片を有するようにし、前記曲げ捻れ防止部材を構成する各断面L字状部材を前記座面用L字突出片に対してビス止めしておくようにすると、後述するように、ユニット毎に順次落とし込みによって施工する場合、設置済みの分割支柱材に対して、隣接する分割支柱材を落し込みによって係合させる際、設置済みの分割支柱材に設けてある断面L字状部材に対して、隣接する分割支柱材に設けてある他方の断面L字状部材を嵌合させる手順によって曲げ捻れ防止部材を設置することが可能となる。また、曲げ捻れ部材をビス止めしているビスは外側から見えないため、意匠的にも優れるようになる。
【0019】
請求項4に係る本発明として、前記曲げ捻れ防止部材は、支柱の中間位置に1又は2ヶ所設けられている請求項1〜3いずれかに記載のフェンス又は手摺り構造が提供される。
【0020】
上記請求項4記載の発明では、前記曲げ捻れ防止部材の設置数について規定したものである。前記曲げ捻れ部材を支柱に多数(3以上)設置することも可能であるが、通常は、支柱の高さ方向中間位置に1又は2ヶ所設けるようにすれば十分に曲げ捻れに対して抵抗することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
以上詳説のとおり本発明によれば、支柱が左右の分割支柱材を組み合わせることによって構成されたフェンス又は手摺り構造において、前記支柱の曲げ捻れ変形を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るフェンス構造1の正面図である。
【
図3】
図1のIII−III線矢視図(縦断面図)である。
【
図4】
図1のIV−IV線矢視図(横断面図)である。
【
図8】柱用芯材2の建込み状態を示す側面図である。
【
図10】
図9のX−X線矢視図(縦断面図)である。
【
図11】
図9のXI−XI線矢視図(横断面図)である。
【
図12】曲げ捻れ防止部材10を構成する一方側の断面L字状部材10Bを示す、(A)は平面図、(B)は右側面図である。
【
図13】断面L字状部材10A、10Bを組み合わせて曲げ捻れ防止部材10とし支柱9への組込み状態を示す平面図である。
【
図14】曲げ捻れ防止部材10の配設位置を示す支柱側面図である。
【
図17】曲げ捻れ防止部材10を構成する断面L字状部材10A、10Bの嵌合要領を示す斜視図である。
【
図19】フェンス形式を示す、(A)は縦桟方式、(B)は横桟方式、(C)は組合せ方式を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0024】
フェンス構造1は、
図1〜
図6に示されるように、施工面上に予め所定間隔で立設される柱用芯材2,2…と、これら柱用芯材2,2…によって支持され、横方向に所定間隔で立設された支柱9と、この支柱9の上下部に配置された横材6,7とを備え、前記支柱9、9と横材6,7とによって四周が枠組みされるとともに、この枠組み内部にパネルP(又は複数の桟材)が配置され、更に上部側横材6の上面に長手通しの笠木部材8が配設された構造である。本例では特に、前記支柱9が左右一対の分割支柱材4,5を組み合わせることによって構成された分割支柱とされ、前記分割支柱材4,5と前記横材6,7とによって予め四周が枠組みされたユニット材3が構成され、後述するように、各ユニット3,3…毎に施工される。本フェンス構造1では、特に前記支柱9の高さ方向中間であって、支柱9の内部に曲げ捻れ防止部材10が配設されている。
【0026】
前記柱用芯材2は、詳細には
図7に示されるように、断面略横H形状を成すアルミ形材であり、ウエブ2Aの前後2箇所にアンカーボルト通孔2a、2aを有し、一方側フランジ2Bの外面中央に凹状の切欠き2Dを有するとともに、他方側フランジ2Cの外面中央に凹状の切欠き2Eを有する。これら切欠き2D、2Eによって形成された右側のウエブ2Aを跨いだ前後対の段部が前記分割支柱材4のための被係合部2b、2cを構成し、左側のウエブ2Aを跨いだ前後対の段部が前記分割支柱材5のための被係合部2d、2eを構成する。
【0027】
前記柱用芯材2は、
図8に示されるように、アンカーボルト通孔2a、2aの下端側にタップ加工を施すとともに、アンカーボルト12,12の上端側(ネジ部)を螺合接続しておき、アンカーボルト12の下端側を施工面を構成しているコンクリート基礎Hに対して横方向に所定間隔Lで埋設固定することにより立設されている。
【0028】
前記ユニット材3は、詳細には
図9〜
図11に示されるように、両側部に配置された分割支柱材4、5と、上下部に配置された横材6,7とによって四周が枠組みされ、枠組内部にパネルP(又は後述する複数の桟材)が配置されたもので、基本的には工場製作され現場に搬入される。
【0029】
前記分割支柱材4は、押出し成型されたアルミ形材とされ、
図11に示されるように、断面視で前記柱用芯材2の略片側半分を囲む溝型断面の半枠部4Aを有するとともに、該半枠部4Aの両端部に夫々、前記柱用芯材2に対する係合部4a、4bを有する。これら係合部4a、4bは内部側に突出する突片部分を有し、同時に前記曲げ捻れ防止部材10の被係止部を構成している。前記半枠部4Aには、高さ方向中間であって、前記支柱9の内部に、前記曲げ捻れ部材10を構成する一方の断面L字状部材10Bが半枠部4Aに設けられた座面用L字突出片4cに対してビス13によって固定されている。また、前記半枠部4Aに隣接する前側位置に、内方側に開口溝を向けた断面略コ字状のパネル嵌合溝部4Bを備えている。さらに、前記半枠部4Aの内部には組立て用ビスポケット12、12が2箇所設けられている。
【0030】
一方の分割支柱材5も同様に、押出し成型されたアルミ形材とされ、
図11に示されるように、断面視で前記柱用芯材2の略片側半分を囲む溝型断面の半枠部5Aを有するとともに、該半枠部5Aの両端部に夫々、前記柱用芯材2に対する係合部5a、5bを有する。これら係合部4a、4bは内部側に突出する突片部分を有し、同時に前記曲げ捻れ防止部材10の被係止部を構成している。前記半枠部5Aには、高さ方向中間であって、前記支柱9の内部に、前記曲げ捻れ部材10を構成する他方の断面L字状部材10Aが半枠部5Aに設けられた座面用L字突出片5cに対してビス13によって固定されている。また、前記半枠部5Aに隣接する前側位置に、内方側に開口溝を向けた断面略コ字状のパネル嵌合溝部5Bを備えている。さらに、前記半枠部5Aの内部には組立て用ビスポケット112が2箇所設けられている。前記分割支柱4と分割支柱5とを組み合わせることにより、前記半枠部同士4A、5Aによって矩形状中空部Mが形成されるようになっている。
【0031】
前記捻れ防止部材10を構成する前記断面L字状部材10A、10Bとしては、同じ部材が使用されており、片方を天地反対として使用し、組み合わせることにより断面矩形状となる。代表的に断面L字状部材10Bについて、
図12に基づいて詳述する。
【0032】
前記断面L字状部材10Bは、断面視で一方側端部に上下方向に貫通する溝型形状の溝型継手係合部10aを備え、他方側端部に直角に屈曲する屈曲継手係合部10bを備えている。長辺側において前記溝型継手係合部10aの隣接位置にビス孔10cを備えるとともに、このビス孔10cに近接する位置に位置決め用係止部10dを備える。また、天地反対使用を可能とするために、長辺の対象位置にビス孔10eと位置決め用係止部10fを備える。また、短辺側において、前記半枠部4Aに形成した係合部4bを押さえる係止部10gを備えている。部材の長さ寸法Sは、50〜100mm程度とされる。
【0033】
前記断面L字状部材10A、10Bを組み合わせるには、
図13に示されるように、一方の断面L字状部材10Bの溝型継手係合部10aに対して、他方の断面L字状部材10Aの屈曲継手係合部10bを嵌合させ、他方の断面L字状部材10Aの溝型継手係合部10aに対して、一方の断面L字状部材10Bの屈曲継手係合部10bを嵌合させるようにする。断面L字状部材10A、10Bを組み合わせ支柱9の取付け状態では、支柱9の一方側の継ぎ目位置で、半枠部4Aの係合部4aと半枠部5Aの係合部5aとの一対の突片部材を、前記溝型継手係合部10aを構成する一方側部材(係止部を構成)と前記係止部10gとにより両側から押さえるようになっている。また、支柱9の他方側の継ぎ目位置でも同様に、半枠部4Aの係合部4bと半枠部5Aの係合部5bとの一対の突片部材を、前記溝型継手係合部10aを構成する一方側部材(係止部を構成)と前記係止部10gとにより両側から押さえるようになっている。
【0034】
前記曲げ捻れ防止部材10の取付け位置は、
図14に示されるように、柱用芯材2の配設位置は堅固に固定されているため曲げ捻れ変形は生じないとして、支柱9の支柱高さHに対して、柱用芯材2の寸法Cを減算し、図示のように、高さ方向に1ヶ所設ける場合は、1/2(H−C)の高さ位置若しくはこの高さ位置の±200mmの範囲に設けるようにし、仮に2ヶ所設ける場合は、1/3(H−C)及び2/3(H−C)の高さ位置若しくはこの高さ位置の±200mmの範囲に設けるようにするのが望ましい。設置数については、支柱9の中間位置に1又は2ヶ所設けるようにすれば、十分に曲げ捻れに対して抵抗できることが試験により確認されている。
【0035】
前記曲げ捻れ防止部材10は、一対の断面L字状部材10A、10B同士を組み合わせることにより断面矩形状を成し、周方向に閉合しているとともに、前記半枠部4A、5Aの継ぎ目位置に存在している一対の突片部分4a、5a(4b、5b)を両側から押さえる係止部10a、10gを有するため、X方向及びY方向に対する断面剛性を補強するとともに、捻れ剛性Tを補強するため、支柱9に過大な風荷重が加わったり、人為的に過渡の力が加えられたとしても、支柱9が弱軸に向かって捻れながら変形する現象(曲げ捻れ変形)が生じるのを防止することができる。
【0036】
前記上部側横材6は、同じく押出し成型されたアルミ形材とされ、
図10に示されるように、前記分割支柱材4、5の半枠部4A、5Aに対応する部分に平板状の天板部6Aを有し、この天板部6Aに隣接する前側位置に、内方側に開口溝を向けた断面略コ字状のパネル嵌合溝部6Bを備えている。
【0037】
前記下部側横材7も同じく押出し成型されたアルミ形材とされ、台形状の中空部7Aに隣接する前側位置に、内方側に開口溝を向けた断面略コ字状のパネル嵌合溝部7Bを備えている。また、前記中空部7Aの内部には組立て用ビスポケット12が2箇所設けられている。
【0038】
前記分割支柱材4,5及び横材6,7によって四周が枠組みされ、前記パネル嵌合溝4A、5B、6B、7Bが周方向に沿って連続形成され、このパネル嵌合溝4A、5B、6B、7Bにグレチャン11が嵌合されるとともに、このグレチャン11によってパネルPが嵌合支持され、ユニット材3が構成されている。なお、図示例では、
図9に示されるように、分割支柱材4,5の下端部が下部側横材7よりも若干突出し、脚部17を有するように組立てられている。
【0039】
次に、前記フェンス構造1の施工手順について
図15〜
図18に基づいて詳述する。
【0040】
先ず、
図15に示されるように、コンクリート基礎H面上に、所定の柱間隔Lの間隔で前記柱用芯材2,2…を立設する。アンカーボルト12の固定は、公知の種々の方法を採用することができるが、例えば樹脂注入アンカー方式を好適に採用することができる。樹脂注入アンカー方式は、二液樹脂接着剤を穿孔内に充填し、アンカーボルト12を挿入し樹脂による固着によってアンカーボルト12の固定を図るものである。
【0041】
次いで、
図16に示されるように、ユニット材3を順次持ち込み、両側部の分割支柱材4,5の半枠部4A、5Aを柱用芯材2,2に落とし込むことにより、前記分割支柱材4,5を柱用芯材2,2に係合させて前記ユニット材3の取付けが順次行われる。ユニット材3の設置状態では、
図4に示されるように、前記分割支柱材4の半枠部4Aの係合部4a、4bが柱用芯材2の被係合部2b、2cに係合し、前記分割支柱材5の半枠部5Aの係合部5a、5bが柱用芯材の被係合部2d、2eに係合するように取付けられ、前記柱用芯材2を囲む一対の分割支柱材4,5の組合せによって支柱9、9…が構成されている。
【0042】
また、
図17に示されるように、設置済みの分割支柱材4に対して、隣接する分割支柱材5を落し込みによって係合させる際、設置済みの分割支柱材5に設けられた断面L字状部材10Bに対して、隣接する分割支柱材5に設けられた他方の断面L字状部材10Aを嵌合させる手順によって曲げ捻れ防止部材10を設置することが可能となる。設置状態では、一方側の断面L字状部材10Bの溝型継手係合部10aと他方側の断面L字状部材10Aの屈曲継手係合部10bとが係合するとともに、一方側の断面L字状部材10Bの屈曲継手係合部10bと他方側の断面L字状部材10Aの溝型継手係合部10aとが係合することにより、断面矩形状を成しており、かつ前記半枠部4A、5Aの継ぎ目位置に存在している一対の突片部分4a、5a(4b、5b)を曲げ捻れ防止部材10の係止部10a、10gが両側から押さえるようになっている。
【0043】
各ユニット材3,3…の取付けが完了したならば、
図18に示されるように、前記上部側横材6の上面に長手通しの笠木部材8を配設し、
図3に示されるように笠木部材8をビス22、22…によって固定する。最後に、各支柱材9の基端部を囲むように付け根カバー24を設置して施工を完了する。なお、前記付け根カバー24は半割構造とされ、支柱材9の外側から設置可能となっている。
【0044】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、ユニット材3の枠組み内部にパネルPを嵌合支持させるようにしたが、
図19に示されるように、枠組み内部に複数の桟材50…、51…を配設したユニット材3とすることも可能である。
図19(A)は、縦桟50、50…を配置した例であり、
図19(B)は、横桟51,51…を配置した例である。これ以外に、横/縦ルーバー等を配置した形式とすることもできる。更には、
図19(C)に示されるように、これらの組合せとすることも可能である。
(2)上記形態例では、フェンス構造1として説明したが、手摺りとしても全く同様の構造を採用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…フェンス構造、2…柱用芯材、3…ユニット材、4・5…分割支柱材、4A・5A…半枠部、6…上部側横材、7…下部側横材、8…笠木部材、9…支柱、10…曲げ捻れ防止部材、10A・10B…断面L字状部材、12…アンカーボルト、P…パネル、M…矩形状中空部