【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照して、ヘテロ接合電界効果トランジスタで生じる電流コラプス現象によって発現する電界領域の位置を特定して電流コラプス現象を観察する方法及び装置を説明する。まず、観察評価対象のヘテロ接合電界効果トランジスタの一例を説明する。
【0021】
図1に示されるように、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1は、半導体層2を備える。半導体層2は、シリコン(Si)のSi基板3、超格子(AlN/GaN)又は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のバッファ層4、窒化ガリウム(GaN)の電子走行層5及び窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の電子供給層6を備える。電子走行層5と電子供給層6は、ヘテロ接合を構成しており、そのヘテロ接合面に2次元電子ガス層(2DEG)が形成される。ヘテロ接合電界効果トランジスタ1はさらに、電子供給層6上に設けられているドレイン電極7、ゲート電極8及びソース電極9を備える。ドレイン電極7及びソース電極9は、電子供給層6にオーミック接触する。ゲート電極8は、ドレイン電極7とソース電極9の間に配置されており、電子供給層6にショットキー接触する。
【0022】
ヘテロ接合電界効果トランジスタ1をスイッチング動作させるとき、ドレイン電極7に正の高電圧が印加され、ソース電極9に接地電圧が印加され、ゲート電極8にオン電圧又はオフ電圧が印加される。本実施例のヘテロ接合電界効果トランジスタ1は、ノーマリオン型である。このため、ゲート電極8にオン電圧(この例では接地電圧)が印加されているとき、ドレイン電極7とソース電極9の間の2次元電子ガス層(2DEG)を介して電流が流れ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1はオンとなる。一方、ノーマリオンデバイスでは、ゲート電極8にオフ電圧(この例では負電圧)が印加されているとき、2次元電子ガス層(2DEG)が空乏化されて電流の流れが遮断され、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1はオフとなる。
【0023】
ヘテロ接合電界効果トランジスタ1では、オフ状態において、ドレイン電極7とゲート電極8の間に高電圧が印加される。このため、オフ状態において、ゲート電極8からドレイン側に向けて電子が注入され、その電子の一部がゲート電極8のドレイン側端部の電子供給層6の表面又はバルクにトラップされる。これにより、ゲート電極8のドレイン側端部に負帯電領域が形成される。この負帯電領域の影響によって、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のオン状態における抵抗が増加し、ドレイン電流が減少する。このような負帯電領域の形成が、電流コラプス現象の原因であると考えられている。以下では、負帯電領域に形成される電界を2次高調波(SHG:Second Harmonic Generation)を利用して検出することで、電流コラプス現象によって発現する電界領域の位置を特定して電流コラプス現象を観察する方法及び装置を説明する。
【0024】
図2に示されるように、電流コラプス現象の評価装置100は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に向けてレーザ光を照射する光照射装置10、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に発生する2次高調波を検出する検出装置20、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の各電極に印加する電圧を生成する電圧生成装置30及び制御装置40を備える。
【0025】
光照射装置10は、レーザ発振器11、第1IRパスフィルタ12、NDフィルタ13、ミラー14、偏光板15、第2IRパスフィルタ16、レンズ17及びローパスフィルタ18を有する。
【0026】
レーザ発振器11は、固体レーザ装置であり、所定波長のレーザ光を出射する。この例では、レーザ発振器11はTi-Sapphireレーザ発振器であり、レーザ光の波長は1000nmである。第1IRパスフィルタ12は、レーザ発振器11から出射された赤外線の波長域のレーザ光を選択的に透過させる。NDフィルタ13は、第1IRパスフィルタ12を透過したレーザ光の強度を減衰させる。ミラー14は、NDフィルタ13を透過したレーザ光を反射させ、偏光板15に入射させる。偏光板15は、所定の振動方向のレーザ光のみを透過させ、レーザ光の偏光成分の品質を高めている。第2IRパスフィルタ16は、迷い光などの光をカットする。レンズ17は、第2IRパスフィルタ16を透過したレーザ光を集光する。ローパスフィルタ18は、所定波長よりも長い波長(所定周波数よりも低い周波数)のレーザ光のみを透過させる。この例では、ローパスフィルタ18は、レーザ発振器11から出射されるレーザ光の半分の波長よりも長い波長の光のみを透過させる。ローパスフィルタ18を透過したレーザ光の一部がハーフミラー22及び対物レンズ21に入射する。対物レンズ21で集光されたレーザ光は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に照射される。
【0027】
ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に照射されるレーザ光のスポット径は、約φ100μmである。このため、レーザ光は、ドレイン電極7とソース電極9の間の全域を照射する。ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に電界が形成されている電界領域が存在すると、その電界領域にレーザ光の半分の波長の2次高調波が発生する。この例では、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に1000nmのレーザ光を照射させているので、500nmの2次高調波が発生する。
【0028】
検出装置20は、対物レンズ21、ハーフミラー22、IRカットフィルタ23、バンドパスフィルタ24、光電変換装置25及び処理部26を有する。
【0029】
対物レンズ21は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に発生した2次高調波を採光し、ハーフミラー22に入射させる。対物レンズ21の倍率は、20倍である。ハーフミラー22は、2次高調波の一部を反射させ、IRカットフィルタ23に入射させる。IRカットフィルタ23は、赤外線の波長域のレーザ光をカットする。このため、IRカットフィルタ23は、レーザ発振器11から出射されるレーザ光の反射光をカットし、2次高調波を選択的に透過させる。バンドパスフィルタ24は、2次高調波付近の所定の波長域を選択的に透過させる。このため、バンドパスフィルタ24は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に発生した2次高調波を選択的に透過させる。光電変換装置25は、CCDカメラを有しており、2次高調波の光の強度に応じた平面情報を取得する。処理部26は、積算回路を有する。後述するように、処理部26は、検出サイクル毎に検出された検出信号を積算するように構成されている。これにより、取得される平面情報は、検出サイクル毎に検出された検出信号の総和となっている。検出サイクル毎の2次高調波の強度が微弱であっても、検出装置20は、高感度に平面情報を取得することができる。
【0030】
電圧生成装置30は、直流電源を有する。電圧生成装置30は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7、ゲート電極8及びソース電極9に接続されており、これらの電極に印加する所定電圧を生成可能に構成されている。
【0031】
制御装置40は、光照射装置10のレーザ発振器11と電圧生成装置30に接続されている。制御装置40は、レーザ発振器11からレーザ光を出射させるタイミングを制御可能に構成されている。さらに、制御装置40は、電圧生成装置30からヘテロ接合電界効果トランジスタ1の各電極に所定電圧を印加するタイミングを制御可能に構成されている。
【0032】
図3及び
図4に示されるように、制御装置40は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のオフ期間(t1−t2)において、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7にストレス電圧(正の高電圧)を印加すると同時に、ゲート電極8にオフ電圧(負の電圧)を印加する(
図4のステップS1参照)。一例では、ストレス電圧が100V、200V又は300Vのいずれかに設定されており、ソース電極9には接地電圧が印加されており、ゲート電極8には−5Vが印加されている。一例では、オフ期間(t1−t2)は、130μsに設定される。これにより、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7とゲート電極8の間には高電圧が印加され、ゲート電極8からドレイン側に向けて電子が注入される。注入された電子の一部は、ゲート電極8のドレイン側端部において、電子供給層6及びバルクにトラップされ、負帯電領域を形成する。
【0033】
次に、制御装置40は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7に接地電圧を印加すると同時に、ゲート電極8にオン電圧(接地電圧)を印加し、オン期間(t2以降)に移行する(
図4のステップS2)。なお、ソース電極9にも、接地電圧が印加されている。
【0034】
次に、制御装置40は、所定のタイミングt3において、レーザ発振器11からレーザ光を出射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1にレーザ光を照射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に2次高調波を発生させる(
図4のステップS3参照)。一例では、タイミングt3については、タイミングt2からの経過時間が10μs、100μs又は800μsのいずれかに設定される。制御装置40は、
図3に示される過程を1サイクルとし、これを複数回繰り返し、所定回数に達したときに検出作業を終了する(
図4のステップS4参照)。その結果、所定のタイミングt3で測定された検出信号は積算され、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の面内方向に分布する2次高調波の強度(以下、SHG強度という)を含む平面情報が取得される。
【0035】
図5に、検出されたSHG強度を含む平面情報を示す。なお、図中の「D」がドレイン電極7であり、「G」がゲート電極8であり、「S」がソース電極9を示す。
図5に示されるように、ゲート電極8のドレイン側端部に、電界領域を示す白い像(2次高調波の像であり、以下、SHG像という)が観察された。ストレス電圧が100V及び200Vでは、ゲート電極8の長手方向に沿って、ゲート電極8のドレイン側端部にSHG像が一定幅で観察されている。このように、本実施例の評価装置100では、SHG強度を含む平面情報を取得することができるので、電界領域の位置を特定することができる。SHG強度は、ストレス電圧が大きいほど大きく、時間が経過すると減少することが確認された。一方、ストレス電圧が300Vでは、SHG像の幅の均一性が悪くなっている。これは、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の劣化が原因と考えられる。このように、本実施例の評価装置100では、局所的な電界領域の位置も特定することができるので、不良解析にも有用であることが示唆された。
【0036】
図6に、各検出タイミングにおけるヘテロ接合電界効果トランジスタ1のオン抵抗及びSHG強度をプロットした結果を示す。
図6に示されるように、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のオン抵抗とSHG強度の間に比例関係が存在することが確認された。このことは、SHG強度が、電流コラプス現象の評価指標として有用であることを示唆している。
【0037】
このように、本実施例の技術を利用すると、SHG像から電流コラプス現象の発生位置を特定することができ、また、SHG強度から電流コラプス現象の強さを評価することができる。SHG強度から電流コラプス現象の強さを評価することができるので、不良品の選別にも有用である。
【0038】
本実施例の技術では、2次高調波を利用するので、オフストレス状態からオン状態に切り換えた直後の情報を得ることができる。ヘテロ接合電界効果トランジスタ1は、高周波でスイッチング動作する。例えば、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1は、100KHzでスイッチング動作して用いられることが想定される。このような場合、ストレス電圧をオフしてから短時間(例えば、10μs)で電流コラプス現象を評価することが必要とされるが、本実施例の技術はこの要求に応えることができる。例えば、ケルビンフォース顕微鏡(KFM)を利用した評価技術では、触針式によって表面ポテンシャルを計測するので、短時間の現象を捉えることは不可能である。
【0039】
加えて、本実施例の技術では、電圧生成装置30が検出系から独立しているので、ヘテロ接合電界効果トランジスタに大きな電圧(600V以上)を印加可能である。例えば、ケルビンフォース顕微鏡(KFM)を利用した評価技術では、ヘテロ接合電界効果トランジスタに印加可能な電圧に制限(最大で100V程度)があり、高電圧を印加できない。このため、本実施例の技術は、パワーデバイス用途のヘテロ接合電界効果トランジスタの電流コラプス現象を評価するのに特に有用である。
【0040】
上記実施例の電流コラプス現象の評価装置100は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の面内方向(半導体層2の深さ方向に対して直交する方向)に分布するSHG強度を検出することを特徴とする。これに代えて又はこれに加えて、電流コラプス現象の評価装置は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向に分布するSHG強度を検出するように構成されることができる。
【0041】
図7に、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向に分布するSHG強度を検出する電流コラプス現象の評価装置101の構成を例示する。なお、
図1に示す評価装置100と相違する点のみを説明し、一致する構成については説明を省略する。
【0042】
評価装置101の検出装置20は、zスキャン21a及びピンホール27を備える。zスキャン21aは、対物レンズ21をz軸方向(ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向)に移動させるように構成されている。zスキャン21aは、ピエゾ素子を利用しており、0.1μmステップで対物レンズ21をz軸方向に移動させることができる。ピンホール27は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向において、焦点の合った位置に発生する2次高調波のみを通過させ、それ以外の位置に発生する2次高調波をカットする。
【0043】
評価装置101の検出装置20では、対物レンズ21の倍率が100倍に向上されている。また、評価装置101の検出装置20では、光電変換装置25が、CCDカメラに代えて、光電子倍増管を利用してSHG強度に応じた電気信号を取得するように構成されている。
【0044】
このように、評価装置101では、対物レンズ21の倍率向上及びピンホール27の追加によって深さ方向の分解能が向上する。さらに、評価装置101は、zスキャン21aによって対物レンズ21を深さ方向に沿って移動させることができるので、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向に分布するSHG強度を検出することができる。
【0045】
図8に示されるように、評価装置101の検出作業中におけるドレイン電極、ゲート電極及びレーザ光のタイミングチャートは、評価装置100のそれと概ね一致する。後述するように、評価装置101の検出作業では、深さ方向のSHG強度の分布が電界強度に依存することを検証するために、オフ期間(t1−t2)のタイミングt4においても、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1にレーザ光を照射させる。
【0046】
図8に示されるように、評価装置101の制御装置40は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のオフ期間(t1−t2)において、ノーマリオンのデバイスでは、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7にストレス電圧(正の高電圧)を印加すると同時に、ゲート電極8にオフ電圧(負の電圧)を印加する。一例では、ストレス電圧が100Vに設定されており、ソース電極9には接地電圧が印加されており、ゲート電極8に−5Vが印加されている。一例では、オフ期間(t1−t2)は、200μsに設定される。これにより、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7とゲート電極8の間には高電圧が印加され、ゲート電極8からドレイン側に向けて電子が注入される。注入された電子の一部は、ゲート電極8のドレイン側端部において、電子供給層6及びバルクにトラップされ、負帯電領域を形成する。
【0047】
このオフ期間(t1−t2)において、制御装置40は、所定のタイミングt4において、レーザ発振器11からレーザ光を出射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1にレーザ光を照射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に2次高調波を発生させる。一例では、タイミングt4については、タイミングt1からの経過時間が100μsに設定される。
【0048】
次に、制御装置40は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のドレイン電極7に接地電圧を印加すると同時に、ゲート電極8にオン電圧(接地電圧)を印加し、オン期間(t2以降)に移行する。なお、ソース電極9にも、接地電圧が印加されている。
【0049】
次に、制御装置40は、所定のタイミングt3において、レーザ発振器11からレーザ光を出射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1にレーザ光を照射させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1に2次高調波を発生させる。一例では、タイミングt3については、タイミングt2からの経過時間が800nsに設定される。
【0050】
制御装置40は、
図8に示される過程を1サイクルとし、これを複数回繰り返し、所定回数に達したときに、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の所定深さにおける検出作業を終了する。その結果、所定のタイミングt4及びt3で測定された検出信号の各々が積算される、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の所定深さにおけるSHG強度を含む情報が取得される。
【0051】
次に、評価装置101は、zスキャン21aを利用して対物レンズ21を移動させ、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向の焦点位置を変更する。評価装置101は、変更された焦点位置において、上記と同様に、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の所定深さにおけるSHG強度を含む情報を取得する。このような検出作業を複数の焦点位置で実行することで、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1の半導体層2の深さ方向に分布するSHG強度を含む深さ情報が取得される。
【0052】
図9に、検出されたSHG強度を含む深さ情報をヘテロ接合電界効果トランジスタ1の断面図に対応させて示す。なお、
図9に示すSHG強度は、ゲート電極8からドレイン側に3μm離れた位置の結果である。また、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1については、バッファ層4の厚みが約2.4μmであり、電子走行層5の厚みが約1.6μmであり、電子供給層6の厚みが約20nmである。
【0053】
オフ時に検出されたSHG強度は、半導体層2の表面側で強く、深部に向けて弱くなる。また、バッファ層4においては、SHG強度がほぼ検出されない。ヘテロ接合電界効果トランジスタ1がオフ時の電界は、半導体層2の表面側で強く、深部に向けて弱くなり、バッファ層4には生じない。このように、オフ時に検出されたSHG強度の分布は、電界分布と概ね一致する。このことから、検出されるSHG強度は、電界分布の観測に適用可能と考えられる。
【0054】
図9に示されるように、オン時に検出されたSHG強度は、半導体層2の表面側で強く、深部に向けて弱くなる。このことから、電流コラプス現象に影響する局所的な電界領域が、半導体層2の表面に強く存在することが確認された。また、オン時に検出されたSHG強度は、電子走行層5にも観察された。これは、電子走行層5の窒素空孔に電子がトラップされたからと考えられる。このように、本実施例の技術を利用すると、深さ方向のSHG強度から電流コラプス現象の発生位置を特定することができ、また、SHG強度から電流コラプス現象の強さを評価することができる。SHG強度から電流コラプス現象の強さを評価することができるので、不良品の選別にも有用である。
【0055】
上記実施例の評価装置101では、深さ方向の焦点位置を設定するために、対物レンズ21に接続するzスキャン21aを利用する。この例に代えて、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1が載置されるステージがz方向に駆動するように構成されてもよい。
【0056】
評価装置101の深さ方向の分解能を向上させるために、レーザ発振器11が出射するレーザ光の品質を向上させるのが望ましい。特に、レーザ発振器11が出射するレーザ光の強度分布がガウシアン分布を示すのを利用するのが望ましく、そのガウシアン半径が1μm以下であるのが望ましい。
【0057】
半導体層2の面内方向のSHG強度を検出する技術と深さ方向のSHG強度を検出する技術を組み合わせるのが望ましい。これにより、ヘテロ接合電界効果トランジスタ1のSHG強度の分布を3次元で検出することができる。
【0058】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。